JP2006052682A - 内燃機関の圧縮比制御装置及び圧縮比制御方法 - Google Patents

内燃機関の圧縮比制御装置及び圧縮比制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 可変圧縮比機構を利用して、機関始動性を効果的に向上する。
【解決手段】 機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を備える。通常の機関運転中には、機関運転条件に応じて目標圧縮比を設定する(ステップ7,ステップ8)。但し、機関停止信号を受けた機関停止時には(ステップ4)、目標圧縮比を、機関始動に適した始動用圧縮比に強制的に切り換える(ステップ6)。
【選択図】 図2

Description

本発明は、機関運転状態に応じて機関圧縮比を変更可能な内燃機関の圧縮比制御装置及び圧縮比制御方法に関し、特に、機関始動性の向上に関する。
内燃機関の始動性を向上させるために、機関始動時にはデコンプ(減圧)機構等を用いて圧縮圧力を逃がし、スタータによりクランクシャフトを強制的に回転駆動するクランキング時のフリクショントルクを低減することにより、クランキング期間を短縮して、始動性を向上させるものが知られている。
また、特許文献1に記載されているように、機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を備え、低負荷側を高圧縮比、高負荷側を低圧縮比とすることによって、ノッキングの発生を回避しつつ燃料消費率を向上させる技術が知られている。
特開平07−229431号公報
上述したように、エンジンの負荷が低いときには熱効率を上げるために圧縮比を高く制御する場合、機関運転領域の中で最も負荷の低いアイドル状態では、機関圧縮比が最大又はその近傍の高い値に設定される。通常、エンジンはスロットルが閉じられてアイドル状態に戻された状況で停止されるので、機関停止状態では、機関停止直前におけるアイドル状態での高い圧縮比の状態が保持されることとなる。この場合、次回の機関始動時には、ほぼ毎回高い圧縮比から始動動作、すなわちスタータによるクランキングが開始されることになり、高い圧縮比による高いフリクショントルクに抗してクランキングを行わねばならず、スタータやバッテリの大型化を招いたり、始動に要する期間が長くなって、機関始動性の低下を招いてしまう。始動期間が長くなると、未燃燃料等の有害排出物の増加による排気エミッションの低下をも招いてしまうため、その改良が望まれていた。
そこで、機関始動時のクランキング中に、機関圧縮比を停止状態での高い値から始動に適した値まで低下させることも考えられる。但し、この場合であっても、クランキング開始直後は圧縮比が高いままであり、かつ、圧縮比を変更するために余分なエネルギーが必要であるため、やはり始動期間を十分に短縮できるものではない。特に、スタータや圧縮比を可変とするアクチュエータとしてのモータに電力を供給するバッテリの蓄電状態が低下している状況では、上述した機関始動性の低下の傾向が顕著に表れ易い。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、機関運転条件に応じて機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を備えた内燃機関の圧縮比制御に関し、機関停止時に、上記機関圧縮比を機関始動に適した始動用圧縮比に強制的に切り換えることを特徴としている。
機関停止時に、予め機関圧縮比を機関始動に適した始動用圧縮比に切り換えているため、次回の機関始動時には、機関圧縮比が既に機関始動に適した始動用圧縮比の状態から機関始動、典型的にはスタータによるクランキングを開始でき、機関始動性を向上することができる。このような機関始動性の向上効果を、従来のデコンプ機構のような始動用の特別の装置を敢えて設けることなく、機関運転条件に応じて機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を利用して容易に得ることができる。
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る内燃機関の圧縮比制御装置を示している。内燃機関の機関圧縮比を可変とする可変圧縮比機構として、この実施例では、ピストン3とクランクシャフト7のクランクピン8とを複数のリンクで連係した複リンク式ピストン−クランク機構を利用している。この可変圧縮比機構は特開2003−90409号公報等にも開示されているように公知であり、ここでは簡単な説明にとどめる。
可変圧縮比機構は、シリンダブロック1のシリンダ2内を摺動するピストン3にピストンピン4を介して一端が連結されたアッパリンク5と、このアッパリンク5の他端に連結ピン6を介して連結されるとともに、クランクシャフト7のクランクピン8に回転可能に連結されたロアリンク9と、このロアリンク9の自由度を制限するために該ロアリンク9にさらに連結ピン10を介して一端が連結され、かつ他端がシリンダブロック1等の機関本体(機関固定体)に揺動可能に支持されたコントロールリンク11と、を備えており、上記コントロールリンク11の揺動支持位置が制御軸12の偏心カム部(制御偏心軸部)13によって可変制御される構成となっている。上記制御軸12はクランクシャフト7と平行に配置され、かつシリンダブロック1に回転自在に支持されている。
制御軸12の回転位置が変化することにより、コントロールリンク11によるロアリンク9の運動拘束条件が変化し、ピストン3のストローク特性及び機関圧縮比を連続的に変化させることができる。この制御軸12は、アクチュエータ機構31を介して連係するアクチュエータとしてのモータ22により回転駆動され、このモータ22の動作はエンジン制御部20から出力される目標圧縮比に対応する制御信号によって制御される。この圧縮比制御は機関運転条件に基づいて行われ、典型的には、機関負荷が高いほどノッキングを回避するように低圧縮比側へ制御される。
このような可変圧縮比機構によれば、機関圧縮比を機関運転状態に応じて連続的・無段階に変更できることに加え、ピストンストローク特性そのものを好ましい特性、例えば単振動に近い特性へ近づけることができる。また、ロアリンク9にコントロールリンク11を接続することにより、制御軸12を比較的スペースに余裕のあるクランクシャフト7の斜め下方に配置することができ、機関搭載性にも優れている。
上記の特開2003−90409号公報にも開示されているように、可変圧縮比機構の制御軸12と、その動力源であるモータ22とを連係するアクチュエータ機構31は、制御軸12側から作用する回転駆動力によってロッド33が不用意に軸方向に移動することのない、つまり圧縮比が不用意に変動することのない不可逆式の伝達機構となっている。つまり、モータ22のトルクに依存することなく、圧縮比を現状の設定状態に保持し続けることが可能であり、電力消費を軽減できるものである。
このアクチュエータ機構31の構造を簡単に説明すると、制御軸12にはリンクレバー32が固定されており、該リンクレバー32のスリットにアクチュエータ機構31のロッド33先端のピンが係合している。これにより上記ロッド33の軸方向の進退に伴って制御軸12が回転する。また、アクチュエータ機構31は、雄ネジ部材としての上記のロッド33と、このロッド33の雄ネジ部分に螺合した雌ネジ部材としてのスリーブ34と、このスリーブ34を回転可能に保持したケーシング35と、を備えており、上記スリーブ34が、モータ22によって回転駆動される構成となっている。上記ロッド33および上記スリーブ34の雄ネジおよび雌ネジは、ネジ山の断面が台形をなす台形ネジとなっている。図示していないが、雄ネジ側のネジ山に放射状に形成された多数の溝によって、ネジ山のフランクが多数の細かい接触面に分割されている。そのため、交番荷重が作用してネジの接触面間に潤滑油膜が形成されても、潤滑油膜が細かく分断されるため、絞り膜作用による油膜圧力の上昇が抑制され、摩擦係数の急激な低下が抑制される。従って、荷重による位置の変化が防止される。
なお、アクチュエータ機構31としては、上述した構成に限られず、不可逆式の伝達機構である周知のウォームギア機構を用いたものであっても良い。
エンジン制御部(ECM:エンジン・コントロール・モジュール)20は、回転数センサ24、アクセル開度センサ25、水温センサ26及び制御軸センサ27等の各種センサ類により検出される機関運転条件に基づいて、周知の燃料噴射制御や点火時期制御等を行う他、上記のモータ22及びクランクシャフト7を回転駆動、すなわちクランキングを行うスタータモータ21へ制御信号を出力し、その動作を制御する。
図2は、本発明の第1実施例に係る目標圧縮比tεの設定制御の流れを示すフローチャートである。このルーチンは、上記のエンジン制御部20により記憶され、所定期間毎(例えば10ms毎)に繰り返し実行される。
ステップ(図では「S」と記す)1では、上記の回転数センサ24により検出されるエンジン回転数rNe1を読み込む。ステップ2では、アクセル開度センサ25により検出されるアクセル開度rAPO1を読み込む。ステップ3では、水温センサ26により検出されるエンジン水温rTw1を読み込む。ステップ4では、エンジンを停止するか否か、つまりエンジン停止信号に相当するイグニッション信号がONからOFFへ切り換えられたかを判定する(図9参照)。
エンジンを停止しない状態、つまり通常のエンジン運転状態では、ステップ4からステップ7へ進み、機関運転状態に基づいて基本目標圧縮比tε0を算出する。典型的には、エンジン回転数rNe1とアクセル開度rAPO1とに基づいて、図5に示す圧縮比設定マップを参照して、基本目標圧縮比tε0を算出する。同図に示すように、主として負荷に応じて圧縮比を大きく変化させており、負荷が高いほど圧縮比を低くしてノッキングの発生を抑制し、負荷が低いほど圧縮比を高くして燃費の向上を図るようにしている。
ステップ8では、この基本目標圧縮比tε0に基づいて目標圧縮比tεを設定する。例えば、簡易的にtε0をそのままtεにセットし、あるいはtε0に対してエンジン水温rTw1等を考慮してtεを設定する。
エンジン停止信号を受けた機関停止時(具体的には、イグニッション信号がONからOFFに切り替わった場合)には、ステップ4からステップ5へ進み、次回の機関始動に適した所定の始動用圧縮比#tεSTを読み込む。
図6に示すように、クランクシャフトを回転駆動するために必要なフリクショントルクと機関圧縮比とはほぼ比例関係にあり、圧縮比が高くなるほどフリクショントルクが高くなり、逆に、圧縮比が低くなるほどフリクショントルクが低くなる。従って、図7に示すように、バッテリ23の蓄電量や電圧等の蓄電状態が同等であれば、圧縮比が高くなるほど、スタータ21によるクランキング回転数が低くなり、圧縮比が低くなるほど、クランキング回転数(クランキングにより実現できるエンジン回転数の上限)は高くなる。つまり、圧縮比が低いほど、クランキングによるエンジン回転数の上昇が容易かつ迅速化される。但し、図8に示すように、燃焼・初爆が可能な圧縮比の下限値である始動可能回転数NeS(図7参照)よりエンジン回転数が高い領域においては、圧縮比が高くなるほど、混合気の着火性が向上するために、初爆までに要する時間が短くなる傾向にある。これらのことを勘案して、始動用圧縮比#tεSTが予め設定され、エンジン制御部20内のメモリに記憶されている。具体的には、始動用圧縮比#tεSTは、図9に示すように、少なくともアイドル状態での目標圧縮比tεIDよりも十分に低い値に設定されているが、始動可能回転数NeSを達成できる範囲内で、可能な限り高い値に設定されている。
再び図2を参照して、ステップ6では、ステップ5で算出した始動用圧縮比#tεSTに基づいて、目標圧縮比tεを設定する。この第1実施例では、簡易的に、基準の始動用圧縮比#tεSTをそのまま目標圧縮比tεに設定している。
図3は、図2と同じくエンジン制御部20により記憶及び実行される制御の流れを示すフローチャートである。ステップ11では、周知のようにエンジン回転数rNe1等に基づいて、クランキング後の初爆を確認する。初爆確認後の機関運転中では、ステップ11からステップ12へ進み、上記の目標圧縮比tεに対応した指令信号をモータ22へ出力して、可変圧縮比機構を目標圧縮比tεへ向けて駆動制御する。従って、機関停止信号を受けた場合には、図9に示すように、機関圧縮比が始動用圧縮比#tεSTへ向けて速やかに低下していくこととなる。
一方、機関始動開始から初爆確認までの間、すなわち、少なくもとスタータ21によりクランクシャフト7を強制的に回転駆動しているクランキング中には、モータ22への指令信号の出力を禁止して、モータ22の作動を禁止する。つまり、初爆の確認がなされるまで、あるいはクランキングが完了するまで、機関圧縮比の変更を禁止する。従って、図4に示すように、初爆確認前のクランキング中には、機関圧縮比が機関停止直前に設定された始動用圧縮比#tεSTのまま保持され、この始動用圧縮比#tεSTは十分に低い値であるため、クランキングに要するフリクショントルクが軽減され、クランキング中にエンジン回転数を速やかに上昇することができる。従って、初爆に至るまでの時間を著しく短縮することができる。仮に初爆確認前に機関圧縮比を変更すると、圧縮比の変更に必要な負荷の分、バッテリ23の蓄電量及び電圧が低下するために、可及的にスタータ21によるクランキング期間が長くなり、始動性の低下を招くおそれがある。本実施例では、初爆確認前には機関圧縮比の変更を禁止しているために、このような始動性の低下、つまり初爆前の圧縮比の変更により逆に始動性が低下するような事態を招くことは一切ない。
本実施例のように機関停止時に圧縮比を始動用圧縮比#tεSTに戻していない比較例では、図4の破線で示すように、機関停止状態からの機関始動直後、つまりクランキング開始直後の状況では、機関圧縮比がかなり高い値、典型的には前回の機関停止時におけるアイドル状態での圧縮比tεIDに保持されている。従って、仮にクランキングの開始と同時に始動用圧縮比#tεSTへ向けて圧縮比を低下させても、やはりクランキング中に高いフリクショントルクが作用するので、初爆までに要するクランキング期間が本実施例に比して矢印Y1に相当する分だけ長くなり、かつ、クランキング中に圧縮比を変更するための負荷の分、上述したように機関始動性が低下することとなってしまう。
図11は、本発明の第2実施例に係る目標圧縮比の設定制御の流れを示すフローチャートであり、第1実施例の図2に対応している。この第2実施例は、基本的には図1〜9に示す第1実施例と同様であるが、ステップ5で、予め設定された始動用圧縮比の基準値#tεSTを読み込んだ後、ステップ5Aへ進み、バッテリ21の蓄電状態に対応するバッテリ電圧に基づいて、図10に示す制御テーブルを参照して、始動用圧縮比#tεSTに対する補正率tεVBを算出する。同図に示すように、バッテリ電圧が高くなるほど補正率tεVBを高くし、バッテリ電圧が低くなるほど補正率tεVBを低くする。
そして、ステップ6では、始動用圧縮比#tεSTに補正率tεVBを乗じた値#tεST×tεVBを目標圧縮比tεとして設定する。つまり、バッテリ蓄電状態に基づいて始動用圧縮比#tεSTを補正し、補正後の始動用圧縮比#tεST×tεVBを機関停止状態での目標圧縮比tεとして設定している。これにより、バッテリ23の蓄電状態(劣化状態を含む)に応じた形で始動用圧縮比がより適正化され、初爆に至るまでの期間をより適切に短縮化することができる。具体的には、バッテリ電圧が高くバッテリの残量が大きいほど、図9の破線に示すように始動用圧縮比#tεSTを増加側へ補正し、逆に、バッテリ電圧が低くバッテリの残量が少ないほど、始動用圧縮比#tεSTを低下側へ補正する。
図12は、上記第1,第2実施例に対する改良を示す第3実施例を示しており、図2,10のステップ6の後の処理内容を示すフローチャートの一部である。エンジン停止信号を受けて、ステップ6において目標圧縮比を設定した後、ステップ21へ進み、実圧縮比rεを読み込む。この実圧縮比rεは、例えば制御軸12の回転位置を検出する制御軸センサ27(図1参照)により検出される。ステップ22では、この実圧縮比rεが目標圧縮比tεに達したかあるいは十分に近づいたかを判定する。この目標圧縮比tεは、第1実施例では始動用圧縮比#tεSTであり、第2実施例では補正後の値#tεST×tεVBである。実圧縮比rεが目標圧縮比tεに実質的に追いつくと、ステップ23へ進み、エンジン制御部(ECM)20への通電停止を許可する。言い換えると、実圧縮比rεが目標圧縮比tεに至るまで、エンジン制御部20の停止を禁止している。従って、エンジン停止状態での圧縮比をより確実に所望の目標圧縮比tε(第1実施例では#tεST、第2実施例では#tεST×tεVB)に近づけることができ、上述した所期の効果を安定して得ることができる。
以上の説明より把握し得る本発明の好適な実施の形態を、その作用効果とともに列記する。但し、本発明は、参照符号を用いて図示される構成に限定されるものではない。
(1)機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、目標圧縮比へ向けて上記可変圧縮比機構を駆動するアクチュエータと、機関運転条件に応じて上記目標圧縮比を算出する目標圧縮比算出手段と、機関停止時に、上記目標圧縮比を機関始動に適した始動用圧縮比に強制的に切り換える始動用圧縮比切換手段と、有する。
このような構成としたことで、機関停止時には次回の機関始動時を想定して、予め目標圧縮比を次回の機関始動に適した始動用圧縮比としておくことができる。そのため、典型的には、次回の始動時には既に機関圧縮比が適切な始動用圧縮比となっている状態からクランキングを開始することができ、迅速かつ確実に機関始動を行うことができ、機関始動性が向上する。また、このような始動性の向上効果を、機関運転状態に応じて機関圧縮比を可変とする可変圧縮比機構を利用して実現でき、従来のデコンプ機構のような特別な装置を敢えて設ける必要がない。
仮に、機関停止時に目標圧縮比を始動用圧縮比に強制的に切り換えない場合には、典型的には、機関停止直前での目標圧縮比がアイドル状態に応じた高い値となる。この場合、次回の機関始動時に機関圧縮比が高い状態からクランキングが開始されることとなり、機関圧縮比を高い値から始動に適した低い値に向かって、変更する必要がある。これに対し、本発明では、このような機関始動時に始動用圧縮比へ向けた圧縮比の変更が不要となるために、スタータが起動してから初爆が得られるまでのクランキング期間が大幅に削減される。
また、クランキング中に圧縮比の変更が不要なため、スタータの負荷やバッテリの消耗を十分に低減することができ、エネルギーのロスが少なくなるので、この点からも機関始動性が向上する。
更に、初爆までのクランキング時間が短くなると言うことは、初爆が得られるまでのクランキング中に、不可避的に内燃機関の排気管から外に排出されてしまう有害物質(主に未燃の燃料成分:HC)を抑制することができ、そのため、吸着触媒や酸化触媒などの排気後処理装置に依存する量も減り、結果的に排気エミッションの低減効果をも得ることができる。特に、冷機始動時には、未だ触媒が活性化温度に達していないため、一般に有害成分はそのまま車外に排出されてしまいやすいことから、クランキング時間短縮による有害物質低減効果は顕著である。
(2)一般的に、機関停止直前にはアイドル運転状態となっているが、上記始動用圧縮比は、少なくともアイドル状態での機関圧縮比よりも低い値に設定されている。従って、次回の機関始動時には、機関停止時に予め圧縮比をアイドル状態に応じた高い圧縮比から低い値である始動用圧縮比に変更しておくことにより、機関始動時のクランキング中又はクランキング前に機関圧縮比をアイドル状態に応じた高い圧縮比から低い値である始動用圧縮比に変更する必要がなく、機関始動性を向上することができる。
(3)上記アクチュエータが、バッテリからの電力により作動するモータであり、かつ、上記バッテリの蓄電状態に基づいて、上記始動用圧縮比を補正する始動用圧縮比補正手段を有する。このような構成とすることで、バッテリの蓄電量や電圧に応じて適切に始動用圧縮比を補正することができる。
(4)典型的には、上記始動用圧縮比補正手段は、バッテリの蓄電量が大きいか電圧が高い場合に、上記始動用圧縮比を増加側へ補正し、バッテリの蓄電量が小さいか電圧が低い場合に、上記始動用圧縮比を低下側へ補正する。これにより、バッテリの蓄電量や電圧が高い場合には、始動用圧縮比をやや高めにして着火性を向上させることにより、クランキング時間を短縮させることができ、一方、劣化などによりバッテリの蓄電量や電圧が低い場合には、始動用圧縮比を低めに補正することにより、機関始動性をより確実に確保することができる。
(5)本発明によれば、機関停止直前に圧縮比が機関始動に適した始動用圧縮比に予め設定されているため、機関始動要求を受けてスタータによりクランクシャフトを強制的に回転駆動しているクランキング中または初爆を確認するまでの間、機関圧縮比の変更を禁止することにより、初爆を確認する前に圧縮比が変更されることがなく、始動性を確実に向上することができる。
(6)上記アクチュエータと可変圧縮比機構とが不可逆式の伝達機構を介して連係されている。従って、機関停止時に圧縮比を始動用圧縮比に切り換えておくことにより、バッテリの電力等を消費することなく、圧縮比が始動用圧縮比に保持された状態が次回の機関始動時まで継続する。
(7)上記可変圧縮比機構は、好ましくは、クランクシャフトのクランクピンに取り付けられるロアリンクと、このロアリンクと内燃機関のピストンとを連係するアッパリンクと、上記アクチュエータにより回転位置が変更される制御軸と、この制御軸に偏心して設けられた制御偏心軸部と、この制御偏心軸部とロアリンクとを連係するコントロールリンクと、を有している。
このような可変圧縮比機構によれば、機関圧縮比を機関運転状態に応じて連続的・無段階に変更できることに加え、ピストンストローク特性そのものを好ましい特性、例えば単振動に近い特性へ近づけることができる。また、ロアリンクにコントロールリンクを接続することにより、制御軸を比較的スペースに余裕のあるクランクシャフトの斜め下方に配置することができ、機関搭載性にも優れている。
本発明に係る可変圧縮比機構の一例を示す断面対応図。 本発明の第1実施例に係る目標圧縮比の設定制御の流れを示すフローチャート。 機関始動時における圧縮比制御の流れを示すフローチャート。 機関始動時におけるタイムチャート。 目標圧縮比の設定マップ。 圧縮比とフリクショントルクとの関係を示す特性図。 圧縮比とクランキング回転数との関係を示す特性図。 圧縮比と初爆までの時間との関係を示す特性図。 機関停止時におけるタイムチャート。 バッテリの電圧に応じた始動用圧縮比補正率の設定マップ。 本発明の第2実施例に係る目標圧縮比の設定制御の流れを示すフローチャート。 機関停止時に圧縮比を確実に始動用圧縮比へ変更する例を示すフローチャートの一部。
符号の説明
3…ピストン
5…アッパーリンク
7…クランクシャフト
8…クランクピン
9…ロアリンク
11…コントロールリンク
12…制御軸
13…制御偏心軸部
20…エンジン制御部
21…スタータ
22…モータ(アクチュエータ)
23…バッテリ
31…アクチュエータ機構

Claims (8)

  1. 機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、
    目標圧縮比へ向けて上記可変圧縮比機構を駆動するアクチュエータと、
    機関運転条件に応じて上記目標圧縮比を算出する目標圧縮比算出手段と、
    機関停止時に、上記目標圧縮比を機関始動に適した始動用圧縮比に強制的に切り換える始動用圧縮比切換手段と、
    を有する内燃機関の圧縮比制御装置。
  2. 上記始動用圧縮比が、少なくともアイドル状態での機関圧縮比よりも低い値である請求項1に記載の内燃機関の圧縮比制御装置。
  3. 上記アクチュエータが、バッテリからの電力により作動するモータであり、
    かつ、上記バッテリの蓄電状態に基づいて、上記始動用圧縮比を補正する始動用圧縮比補正手段を有する請求項1又は2に記載の内燃機関の圧縮比制御装置。
  4. 上記始動用圧縮比補正手段は、バッテリの蓄電量が大きいか電圧が高い場合に、上記始動用圧縮比を増加側へ補正し、バッテリの蓄電量が小さいか電圧が低い場合に、上記始動用圧縮比を低下側へ補正する請求項3に記載の内燃機関の圧縮比制御装置。
  5. 機関始動要求を受けてスタータによりクランクシャフトを強制的に回転駆動しているクランキング中または初爆を確認するまでの間、機関圧縮比の変更を禁止する請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の圧縮比制御装置。
  6. 上記アクチュエータと可変圧縮比機構とが不可逆式の伝達機構を介して連係されている請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の圧縮比制御装置。
  7. 上記可変圧縮比機構が、クランクシャフトのクランクピンに取り付けられるロアリンクと、このロアリンクと内燃機関のピストンとを連係するアッパリンクと、上記アクチュエータにより回転位置が変更される制御軸と、この制御軸に偏心して設けられた制御偏心軸部と、この制御偏心軸部とロアリンクとを連係するコントロールリンクと、を有する請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の圧縮比制御装置。
  8. 機関運転条件に応じて機関圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を備えた内燃機関の圧縮比制御方法において、
    機関停止時に、上記機関圧縮比を機関始動に適した始動用圧縮比に強制的に切り換えることを特徴とする内燃機関の圧縮比制御方法。
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