JP2006052251A - 熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および成形品 Download PDF

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肇 笹本
Yasuyuki Hiromoto
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Abstract

【課題】 成形品の外観および耐傷付き性が共に優れた熱可塑性樹脂組成物および成形品を提供する。
【解決手段】 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム含有アクリル系樹脂(A)100質量部に対して、下記一般式(I)で示されるスルホン酸のアルカリ金属塩(B)0.05〜5質量部と多価アルコール(C)0.2〜5質量部とが配合されてなる。
R−SOM (I)
(但し、Rは直鎖ないし分岐状のアルキル基または置換基を有してもよいフェニル基(置換基は直鎖ないし分岐状のアルキル基)、Mはアルカリ金属。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、各種成形品に使用できる熱可塑性樹脂組成物および成形品に関する。
近年、成形品においては、コスト削減および環境対策から塗装工程を省き、材料そのもので良好な製品外観を得ようとする動きがあるが、使用される樹脂そのものの傷付き性が不足しているために、製品に傷が付きやすいという問題があった。
そこで、これまでにも樹脂の耐傷付き性を向上させる方法が提案されてきた。例えば、特許文献1では、特定の単量体を共重合した共重合体を含有させることで熱可塑性樹脂組成物の耐傷付き性を向上させることを提案している。
また、スチレン系樹脂に耐傷付き性を付与させる方法として、メタクリル酸メチル樹脂(PMMA)に代表されるメタクリル酸エステル樹脂等を混合し、表面硬度を高めて耐傷付き性を高める方法や、樹脂にシリコーン等を添加することにより摺動性を付与して、耐傷付き性を向上させる方法等が広く知られている(例えば、特許文献2〜5参照)。
特開平11−1600号公報 特開平02−27474号公報 特開平04−50252号公報 特開平06−25507号公報 特開2000−119477号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、通常の取り扱いであれば成形品の耐傷付き性を満足させることができるものの、傷を付けやすい環境である製造工程および移送(輸送)工程において傷の発生を抑えることができなかった。
また、本発明者らが特許文献2〜5に記載された方法を追試したところ、これらの方法では、シリコーン等の量が少ないと耐傷付き性を十分に確保でできない上に、傷付き性が向上するまでシリコーン等の添加量を増やすと低温時に白化するなどして製品の使用環境下で外観が悪化することがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、成形品の外観および耐傷付き性が共に優れた熱可塑性樹脂組成物および成形品を提供することを目的とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム含有アクリル系樹脂(A)100質量部に対して、下記一般式(I)で示されるスルホン酸のアルカリ金属塩(B)0.05〜5質量部と多価アルコール(C)0.2〜5質量部とが配合されてなることを特徴とする。
R−SOM (I)
(但し、Rは直鎖ないし分岐状のアルキル基または置換基を有してもよいフェニル基(置換基は直鎖ないし分岐状のアルキル基)、Mはアルカリ金属。)
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、前記多価アルコール(C)が、グリセリン系化合物および/またはそのアルキレンオキサイド付加物であることが好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、前記ゴム含有アクリル系樹脂(A)がグラフト体(a)を含有することが好ましい。
本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物が成形されてなることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物および成形品は、得られる成形品の外観および耐傷付き性が共に優れる。このような熱可塑性樹脂組成物によれば、無塗装化によりコストダウンを図ることができ、しかも意匠性を向上させて成形品の高級感を高めることができるので、その工業価値は極めて大きい
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム含有アクリル系樹脂(A)と特定のスルホン酸のアルカリ金属塩(B)と多価アルコール(C)とが配合されてなるものである。
<ゴム含有アクリル系樹脂(A)>
ゴム含有アクリル系樹脂(A)は、ゴムを含有するアクリル系樹脂であれば特に制限されないが、耐衝撃性が高くなるため、グラフト体(a)を含有することが好ましい。
グラフト体(a)は、ゴムにビニル系単量体をグラフト重合したものである。ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエンと共重合可能なビニル系単量体との共重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体と共重可能なビニル系単量体との共重合体、エチレン−プロピレンまたはブテン−非共役ジエン共重合体、ポリオルガノシロキサン等が使用できる。
ゴムにグラフト重合するビニル系単量体としては、メタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸エステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、マレイミド化合物などが挙げられる。
メタクリル酸エステル系単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルおよびこれらの誘導体等が挙げられ、この中でも特にメタクリル酸メチルが耐傷付き性の面から好ましい。アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルおよびこれらの誘導体等が挙げられ、この中でも特にアクリル酸メチルが耐傷付き性の面から好ましい。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
マレイミド化合物としては、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、N−フェニルマレイミドが好ましい。
上記ビニル系単量体はそれぞれ、1種または2種以上を選択して使用できる。
アクリル系樹脂とは、メタクリル酸エステル系単量体単位および/またはアクリル酸エステル系単量体単位を65質量%以上含む(共)重合体のことである。アクリル系樹脂の中でも、耐傷付き性がより高くなることから、メタクリル酸エステル系単量体単位および/またはアクリル酸エステル系単量体単位を70質量%以上含む硬質(共)重合体(b)が好ましい。なお、硬質(共)重合体(b)におけるメタアクリル酸エステル系単量体単位の割合が70質量%未満であると、流動性、熱安定性は良好となるものの、耐熱性、剛性、耐衝撃性が低下する傾向にある。また、100質量%に近づくにつれ、耐傷付き性は良好となるが、耐衝撃性、流動性が低下する傾向にあることから、使用用途に応じてメタアクリル酸エステル系単量体単位量を適宜選択することが望ましい。
さらに、硬質(共)重合体(b)は、メタクリル酸エステル系単量体単位および/またはアクリル酸エステル系単量体単位が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
また、ゴム含有アクリル系樹脂(A)には、得られる熱可塑性樹脂組成物の性能を損なわない範囲で、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、およびこれらと共重合可能なその他の単量体から選ばれた1種以上の単量体を重合してなる他の(共)重合体(c)が含まれてもよい。ここで、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体と共重合可能なその他の単量体としては、メタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸エステル系単量体、マレイミド化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ1種または2種以上を選択して使用することができる。なお、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸エステル系単量体、マレイミド化合物は上述したものと同じものを使用できる。
他の(共)重合体(c)の組成としては、好ましくは、シアン化ビニル系単量体単位15〜40質量%、芳香族ビニル系単量体単位60〜75質量%、メタクリル酸エステル系単量体単位0〜25質量%である。また、耐衝撃性が求められる場合には、シアン化ビニル系単量体単位15〜30質量%、芳香族ビニル系単量体単位70〜85質量%が好ましく、耐衝撃性と傷付き性とのバランスが求められる場合には、シアン化ビニル系単量体単位15〜30質量%、芳香族ビニル系単量体単位20〜50質量%、メタクリル酸エステル系単量体単位20質量%以上65質量%未満が好ましい。
ゴム含有アクリル系樹脂(A)において、グラフト体(a)、硬質(共)重合体(b)、他の(共)重合体(c)の好ましい比率としては、(a):5〜50質量部、(b):95〜50質量部、(c):0〜30質量部である。
さらに、得られる熱可塑性樹脂組成物および成形品の特性として、耐衝撃性を優先させる場合には、(a):10〜40質量部、(b):90〜60質量部、(c):0〜30質量部であることが好ましい。また、耐傷付き性を優先させる場合には、(a):5〜35質量部、(b):95〜65質量部、(c):0〜30質量部であることが好ましい。
グラフト体(a)、硬質(共)重合体(b)、他の(共)重合体(c)の製造方法としては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合および乳化重合等の通常公知の重合方法を採用できるが、グラフト体(a)の製造では乳化重合が好ましく、硬質(共)重合体(b)および他の(共)重合体(c)については、熱安定性の観点から、塊状重合あるいは溶液重合が好ましい。
<スルホン酸のアルカリ金属塩(B)>
スルホン酸のアルカリ金属塩(B)のアルキル基Rは、直鎖ないし分岐状のアルキル基または置換基(置換基は直鎖ないし分岐状のアルキル基)を有してもよいフェニル基であるが、耐傷付き性をより高くできることから、炭素数8〜22の直鎖ないし分岐状アルキル基であるアルキルベンゼン基が好ましい。また、アルキル金属Mについても特に限定されないが、汎用性の点から、ナトリウム、カリウムが好ましい。
スルホン酸のアルカリ金属塩(B)の含有量は、ゴム含有アクリル系樹脂(A)100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.5〜3質量部である。スルホン酸のアルカリ金属塩(B)の含有量が0.5質量部未満では耐傷つき性が不足し、5質量部を超える場合には成形品表面に剥離が生じることがあり、また、ブリードアウトによる外観不良が起こることがある。
<多価アルコール(C)>
多価アルコール(C)としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ソルビット、グリセリン系化合物およびそのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらの中でも、耐傷付き性をより高くできることから、特にグリセリン系化合物またはそのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。ここで、グリセリン系化合物としては、グリセリン、ジグリセリン、重合度が3〜20のポリグリセリンが挙げられる。
多価アルコール(C)の含有量は、ゴム含有アクリル系樹脂(A)100質量部に対して0.2〜5質量部、好ましくは0.5〜3質量部である。多価アルコール(C)の含有量が0.2質量部未満では耐傷つき性が不足し、5質量部を超える場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下したり、ブリードアウトによる外観不良が起きたりする。さらには、成形品表面にべたつきが生じるなどして、美麗さの要求される製品性能を満足できない。
熱可塑性樹脂組成物には、更に耐候性を向上させるためにベンゾトリアゾール系化合物および/またはヒンダードアミン系化合物が、ゴム含有アクリル系樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜2.0質量部の範囲で配合されていてもよい。ベンゾトリアゾール系化合物および/またはヒンダードアミン系化合物のゴム含有アクリル系樹脂(A)100質量部に対する配合量が0.01質量部未満では、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐候性が不足する傾向にあり、2質量部を超えると耐熱性が低下する傾向にある。ベンゾトリアゾール系化合物とヒンダードアミン系化合物とは各々単独で使用しても、また上記の配合量の範囲内で任意の比率で併用してもよい。
ここで、ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−テトラブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられる。
また、ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、市販品として、旭電化工業(株)から販売されているアデカスタブ(登録商標)LA−52、同LA−57、同LA−62、同LA−67、同LA−63P、同LA−77や、チバ・スペシャリティケミカルズ(株)より販売されているTINUVIN(登録商標)622、同770が挙げられる。
さらに、熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、滑剤、加工助剤、着色剤、可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤などの各種添加剤が本発明の目的を損なわない範囲内で配合されていてもよい。
熱可塑性樹脂組成物を製造するには、例えば、上記(A)〜(C)成分を所定量混合し、必要に応じて、各種添加剤を添加し、その混合物を、例えば、押出し機、バンバリーミキサ、混練ロール等にて混練してペレット化する方法を採用できる。この方法によれば、熱可塑性樹脂組成物を容易に製造できる。
また、上記製造方法においては、得られる熱可塑性樹脂組成物の性能、特に剛性を低下させず混練できることから、押出し機を使用することが好ましい。
以上説明した熱可塑性樹脂組成物は、ゴム含有アクリル系樹脂(A)に特定のスルホン酸のアルカリ金属塩(B)と多価アルコール(C)とが特定量配合されているため、この熱可塑性樹脂組成物から成形された成形品は耐傷付き性に優れ、例えば、製造工程および移送(輸送)工程でも傷の発生を抑えることができる。しかも、シリコーン等を添加しなくてよいから、成形品の外観にも優れる。
本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物が成形されてなるものである。成形方法としては、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、真空成形法などが挙げられる。
この成形品は、耐傷付き性に優れることから、自動車の外装用部品、例えば、ドアミラーやラジエーターグリル、ガーニッシュ、ピラー等に好適に利用でき、また、家電用途としては、テレビ筐体、パソコン筐体、カメラ筐体、ビデオカメラ筐体等に好適に利用できる。
以下に、合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<合成例1:グラフト体(a−1)の製造>
[EPDM含有架橋ラテックスの製造]
三井化学(株)製EPDM(商品名:EPT3012P(エチレン:82mol%,ジエン成分(5−エチリデン−2−ノルボルネン):1mol%))100部をn−ヘキサン566部に溶解した後、三井化学(株)製酸変性ポリエチレン(商品名:ハイワックス2203A(ポリエチレン99%、カルボキシル基含有単位1%、質量平均分子量2700))を1.0部添加し、更に、オレイン酸を加え、完全に溶解させて重合体溶液を調製した。これとは別に、水700部にKOH0.9部を溶解したKOH水溶液を60℃に保ち、これに上記重合体溶液を徐々に加えて乳化した後、ホモミキサで攪拌した。次いで、溶剤と水の一部を留去して粒径0.37〜0.45μmのラテックスを得た。このラテックスにゴム成分であるEPDM100部に対してジビニルベンゼン1.5部、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルシクロヘキサンを1.0部添加し、120℃で1時間反応させて、EPDM含有架橋ラテックスを調製した。
[グラフト体の製造]
攪拌機付きステンレス重合槽に、表1に示す成分1を仕込んだ。次いで、表1に示す成分2、成分3を順に仕込み、重合温度80℃一定で重合した。なお、成分2の添加時間は150分、成分3の添加時間は180分とした。
重合後、酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、グラフト体(a−1)の粉末を得た。なお、この重合における単量体転化率は92%で、粒子径は0.45μmであった。単量体転化率は、ラテックスの一部を採取してガスクロマトグラフィにより求めた残存単量体から算出した。
Figure 2006052251
<合成例2:グラフト体(a−2)の製造>
オートクレーブに、脱イオン水240部、半硬化牛脂ナトリウム石鹸1.5部、水酸化カリウム0.05部、ポリブタジエンラテックス60部を仕込み、60℃に加熱した。次いで、60℃に保持したままスチレン(ST)28部、アクリロニトリル(AN)12部を添加し、60分間放置した。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.25部を添加し、硫酸第一鉄0.004部、ピロリン酸ナトリウム0.02部、結晶ブドウ糖0.3部を2時間かけて連続添加し、70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得た重合体ラテックスを硫酸により凝固し、充分水洗後、乾燥してグラフト体(a−2)を得た。
<合成例3:グラフト体(a−3)の製造>
オートクレーブに表2に示す原料A(ポリブタジエンラテックスのゲル含有量は60%)を仕込み、60℃に加熱した。60℃に保持したまま90分間放置後、反応率が70%以上に達したことを確認し、原料Bを仕込んだ。次いで、原料Cを100分かけて連続添加し、70℃に昇温した後、1時間保って反応を完結させた。かかる反応によって得た重合体ラテックスを硫酸により凝固させ、十分水洗後、乾燥してグラフト体(a−3)を得た。
Figure 2006052251
<合成例4:硬質共重合体(b−1)(MMA/MA=98/2)の製造>
窒素置換した反応器に水120部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM)0.5部と、メタクリル酸メチル(MMA)98部およびアクリル酸メチル(MA)2部とからなる単量体混合物を仕込んだ。そして、反応器の温度を60℃として5時間加熱後、120℃に昇温し、4時間反応後、重合物を取り出した。転化率は94%で、得られた硬質共重合体(b−1)の質量平均分子量は150,000であった。
<合成例5:硬質共重合体(b−2)(MMA/MA=90/10)の製造>
単量体混合物をメタクリル酸メチル90部とアクリル酸メチル10部に変更した以外は、合成例4と同様にして硬質共重合体(b−2)を合成した。転化率は96%で、硬質共重合体(b−2)の質量平均分子量は135,000であった。
<合成例6:他の共重合体(c−1)(MMA/AN/ST=50/15/35)の製造>
窒素置換した反応器に水120部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM)0.5部と、メタクリル酸メチル50部、アクリロニトリル15部およびスチレン35部からなる単量体混合物を仕込んだ。そして、反応器の温度を60℃として5時間加熱後、120℃に昇温し、4時間反応後、重合物を取り出した。転化率は96%で、質量平均分子量は130,000であった。
<合成例7:他の共重合体(c−2)(AN/ST=20/80)の製造>
窒素置換した反応器に蒸留水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチロニトリル0.3部と、アクリルニトリル20部およびスチレン80部からなる単量体混合物を仕込んだ。そして、反応器の温度を60℃として5時間加熱後、120℃に昇温し、4時間反応後、重合物を取り出した。転化率は98%で、質量平均分子量は125,000であった。
グラフト体(a−1〜a−3)、硬質共重合体(b−1〜b−2)、他の共重合体(c−1〜c−2)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(竹本油脂製:MOA−215)、グリセリン(理研ビタミン製:リケマールS−100)を、表3に示す割合にて配合した。そして、その配合物を、二軸押出し機[(株)日本製鋼所製TEX44]により溶融混練し、これにより得たペレットを射出成形機[住友重機械工業(株)製SG150−SYCAPM IV]により成形温度260℃で成形して100×100mm、3mm厚のプレートを得た。また、ペレットを射出成形機[東芝機械(株)製IS55FP−1.5A]により成形温度260℃、金型温度50℃で成形して、ASTMに準拠した試験片を得た。
得られた成形品の外観観察、平面磨耗試験、落砂磨耗試験、熱変形温度を下記のように行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2006052251
(1)平面摩耗試験:(株)大栄科学精器製作所製「平面磨耗試験機」にて、プレート表面にガーゼを300g荷重で30回往復させた後、表面外観を目視にて観察し、下記判定基準に基づいて判定した。
◎:傷が全く付いていない。
○:極僅かに傷が付いている。
△:極僅かに傷が付いており、若干の擦り傷が見られる。
×:傷が浅く付いており、擦り傷も多い。
××:傷が深く付いており、擦り傷の他、削り粉も見られる。
(2)落砂磨耗試験:100×100mm、3mm厚のプレートを45度傾斜させたまま固定し、直径φ3の穴から砂(JIS R 6111の褐色アルミナ研削材A、粒度はJIS R 6001の#36)を30cmの高さから30秒落下させた。そして、試験前光沢、試験後の光沢値より光沢保持率((試験前光沢―試験後光沢)/試験前光沢×100%)を算出した。
(3)熱変形温度:ASTM D648(1.82MPa荷重、試験片幅6.4mm)に準拠して測定した。
(4)外観(剥離)試験:成形品表面を目視にて観察し、下記判定基準に基づいて判定した。
○:層状剥離等が認められず、外観良好。
△:若干層状剥離現象が認められる。
×:層状剥離現象が酷く、外観が悪い。
(5)べたつき試験:成形品表面を手で触って下記判定基準に基づいて判定した。
○:べたつき感全く無し。
△:若干べたつき感あり。
×:べたつき酷く、手にブリード物が付着する。
[実施例1〜4について]
本願請求項1の範囲を満たす実施例1〜4の熱可塑性樹脂組成物は、平面磨耗試験、落砂磨耗試験といった過酷な試験にも耐えるなど、耐傷付き性に優れていた。なおかつ、熱変形温度も極端に低下しておらず、成形品表面に層状剥離等の外観不良が見られず、手で触れてもべたつきが全く無い。よって、これらの熱可塑性樹脂組成物は、自動車の外装用部品や家電製品筐体として使用する際の要求性能を満足させることができる。
[比較例1〜5について]
グリセリンの配合量が本願請求項1の範囲より少ない比較例1および比較例2の熱可塑性樹脂組成物は、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含んでいるものの、平面磨耗試験、落砂磨耗試験の結果が不充分であった。
また、硬質共重合体を多量に配合し、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびグリセリンを含まない比較例3の熱可塑性樹脂組成物は、耐傷付き性が低かった。
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム量が本願請求項1の範囲を超えた比較例4の熱可塑性樹脂組成物は、耐傷つき性に優れるものの、成形品表面に層状剥離現象が認められるなど、製品として要求される外観を満足させることができなかった。さらには、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの配合量が多いため、熱変形温度が低かった。
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム量およびグリセリン量が本願請求項1の範囲を超える比較例5は、層状剥離、べたつきがひどく外観上問題がある上に、熱変形温度が低かった。

Claims (4)

  1. ゴム含有アクリル系樹脂(A)100質量部に対して、下記一般式(I)で示されるスルホン酸のアルカリ金属塩(B)0.05〜5質量部と多価アルコール(C)0.2〜5質量部とが配合されてなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
    R−SOM (I)
    (但し、Rは直鎖ないし分岐状のアルキル基または置換基を有してもよいフェニル基(置換基は直鎖ないし分岐状のアルキル基)、Mはアルカリ金属。)
  2. 前記多価アルコール(C)が、グリセリン系化合物および/またはそのアルキレンオキサイド付加物であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ゴム含有アクリル系樹脂(A)がグラフト体(a)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物が成形されてなることを特徴とする成形品。
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