JP2006051354A - 超音波ハンドピース - Google Patents

Abstract

【課題】 縦とねじれの両方の運動をする超音波ハンドピースを提供する。
【解決手段】 ハンドピース１０は、適切な共振周波数で励起された場合に縦運動を生ずるように偏向されたピエゾ素子１４の単一セットを備える。ピエゾ素子１４は、切断チップ２０が取り付けられる超音波ホーン１２につなげられる。そのホーン１２及び／又は切断チップ２０は、複数の斜めスリット又は溝２４を有する。そのスリット又は溝２４は、ピエゾ素子１４が２次共振周波数で励起された場合に切断チップ２０に最適化されたねじれ運動を生ずる。好適には、二つの駆動周波数は一致せず、重なりのないパルスが供給される。
【選択図】 図１

Description

本発明は、超音波装置に関するものであり、さらに詳しくは、眼の超音波白内障乳化吸引術（phacoemulsification）用ハンドピースを調整及び制御する装置に関する。

眼の処置に適した代表的な超音波手術装置は、超音波で駆動されるハンドピースと、取り付けられる中空切断チップと、灌流スリーブと、電子制御コンソールからなる。ハンドピース部は、電気ケーブル及び弾性チューブで制御コンソールに取り付けられる。電気ケーブルを通じて、コンソールは、取り付けられた切断チップに対して、ハンドピースまで伝達されるパワーレベルを変化させ、弾性チューブは、ハンドピース部を通じて眼へ灌流液を供給し、且つハンドピース部を通じて眼から吸入液を汲み出す。

ハンドピースの稼動部分は中央に位置し、中空共振バー若しくはホーンがピエゾ結晶のセットに直接取り付けられる。その結晶は、超音波白内障乳化吸引術中、ホーン及び取り付けられた切断チップの両方を駆動するために必要とされる所定の超音波振動を供給し、そしてその結晶はコンソールによって制御される。その結晶／ホーン部は、相対的に硬い取り付け部によって、その結節点で中空本体部内若しくはハンドピースの外殻につるされる。ハンドピース本体部は、その本体部の遠位端で直径が減少し、または円錐頭となって終わる。その円錐頭は、灌流スリーブを受けいれるために外面にネジ山をつけられている。同様に、切断チップの外部のネジ山を受けるようにホーンの穴にはその遠位端で内側にネジきりされている。灌流スリーブもまた、円錐頭の外側のネジ上へねじ留めされる内側のネジきりされた穴を備える。切断チップは、灌流スリーブの開放端を所定量だけ過ぎて突出するように調節される。超音波ハンドピース及び切断チップは、米国特許第３５８９３６３号明細書、第４２２３６７６号明細書、第４２４６９０２号明細書、第４４９３６９４号明細書、第４５１５５８３号明細書、第４５８９４１５号明細書、第４６０９３６８号明細書、第４８６９７１５号明細書、及び第４９２２９０２号明細書に詳しく記載されており、それらの内容全体が、ここに参照として組み込まれる。

超音波白内障乳化吸引術を行うために使用される場合、切断チップ及び灌流スリーブの端部は、眼の前眼房へのアクセスを得るために、角膜、強膜、若しくは眼の組織の他の場所における所定幅の小さな切開内に挿入される。切断チップは、結晶駆動される超音波ホーンによって、灌流スリーブ内で切断チップの縦軸に沿って超音波で振動させられ、それによって選択された組織と接触することでそのまま乳化する。切断チップの中空の穴はホーン内の穴とつながり、同様にホーン内の穴はハンドピースからコンソールへの吸入ラインとつながっている。コンソール内の減圧若しくは真空源が、切断チップの開放端、切断チップの穴、ホーンの穴、及び吸入ラインを通じて眼から乳化された組織を収集装置へ汲み出すか吸入する。乳化組織の吸入は、灌流スリーブの内面と切断チップの外面との間の小さな環状ギャップを通じて手術部位へ注入される生理食塩水の洗浄溶液または洗浄薬で補助される。

切断チップの縦の超音波運動とそのチップの回転運動とを組み合わせる試みが既になされている。その試みについては、米国特許第５２２２９５９号明細書（アニス）、米国特許第５７２２９４５号明細書（アニス他）、及び米国特許第４５０４２６４号明細書（ケルマン）を参照されたい。それらの内容全体が、ここに参照として組み込まれる。これらの先行してなされた試みでは、チップの回転を与えるために電子モータが使用され、そしてその電子モータは、余分な複雑さ及びモータに生じ得る故障に加えて、機能しなくなる可能性のあるＯリング若しくは他のシールを必要とする。

また、電子モータを使用することなく、縦及びねじれの両方の運動を生じさせる試みも既になされている。例えば、米国特許第６０２８３８７号明細書、米国特許第６０７７２８５号明細書、及び米国特許第６４０２７６９号明細書（ボークニー）において、現在の発明者の一人が、ピエゾ結晶の二つのペアを備え、使用するハンドピースについて述べている。一方のペアは縦の運動を生ずるように偏向される。他方のペアはねじれ運動を生ずるように偏向される。二つの別の駆動信号が、その結晶の二つのペアを駆動するために使用される。実際上、縦方向とねじれ方向の両方において共振する結晶の二つのペアを用いたハンドピースを作製することは達成困難である。現在の発明者の一人によって述べられている、一つの可能な解決策が、米国特許出願公開第２００１／００１１１７６号明細書（ボークニー）に記載されている。この参照文献は、縦の運動を生ずるピエゾ結晶の単一セットと、ホーンまたはチップがピエゾ結晶の共振周波数で駆動される場合にねじれ運動を生じさせるハンドピースホーンまたはチップ上に一連の斜めスリットとを備えるハンドピースを開示する。しかし、実際には、ピエゾ結晶とチップ又はホーンの共振周波数は一致せず、そのため縦の運動とねじれ運動を同時に起こすことは達成困難である。

その結果、縦及びねじれの両方に、同時または別個に振動する、信頼性ある超音波ハンドピースが引き続き求められている。

米国特許第６０２８３８７号明細書 米国特許第６０７７２８５号明細書 米国特許第６４０２７６９号明細書 米国特許出願公開第２００１／００１１１７６号明細書

本発明の目的は、縦とねじれの両方の運動をする超音波ハンドピースを提供することにある。

本発明の別の目的は、ねじれ運動を生ずるように一連の斜めスリットを備えるホーンを有する超音波ハンドピースを提供することにある。

本発明は、適切な共振周波数で励起された場合に、縦の運動を生ずるように偏向されたピエゾ素子の単一セットを備えたハンドピースを提供することにより、先行技術に係る超音波ハンドピースを改良する。ピエゾ結晶は、切断チップが取り付けられる超音波ホーンに対してつなげられる。ホーン及び／又は切断チップは、複数の斜めスリット若しくは複数の斜め溝を有する。そのスリット若しくは溝は、ピエゾ結晶が２次共振周波数で励起された場合に、切断チップにおいて最適化されたねじれ運動を生ずる。好適には、二つの駆動周波数は一致せず、重ならないパルスで供給される。

本発明の他の目的、特長及び利点は、以下に示す詳細な説明、特許請求の範囲及び図面を参照することで明らかとなるであろう。

図１を参照してよく分かるように、本発明に係るハンドピース１０は、代表的にはチタニウム合金で作られる超音波ホーン１２を一般に有する。ホーン１２は、以下で説明する複数のらせん状のスリットを備える。複数（代表的には１又は２ペア）のリング状ピエゾ素子１４が、ホーン１２に対してコンプレッションナット１５で保持される。吸入シャフト１６は、ハンドピース１０の遠位端でプラグ１８を通り、ホーン１２、ピエゾ素子１４及びナット１５を通ってハンドピース１０の長さで下方に伸びる。吸入チューブ１６は、中空チップ２０を通して物質を吸入可能とし、そしてそれはハンドピース１０を通して外でホーン１２に取り付けられる。プラグ１８は、ハンドピース１０の外殻１１を流体密封し、ハンドピース１０をピエゾ素子１４に悪影響を与えることなく加圧滅菌処理を可能とする。Ｏリングガスケット（図示せず）を密封するための追加の溝２２がホーン１２には備えられる。

図２を参照してよく分かるように、ホーン１２は、複数のらせん状スリット２４を備える。好適には、スリット２４の幅は、ホーン１２の外径の２％から６５％の間である。無論、これは、幾つのスリット２４をホーン１２上に作れるかに影響する（例えば、スリット２４がホーン１２の直径の６５％であれば、ホーン１２には唯一つのスリット２４がカットされることになる）。選択されるスリット２４の幅は、所望のねじれ運動にほぼ依存する。ホーン１２におけるスリット２４の深さは、好適にはホーン１２の外径の４％から４５％の間である。スリット２４は、平らな若しくは四角い切り底を備えてもよいが、製造がより容易な丸い若しくは円形の底を備えることが好ましい。スリット２４の長さは、好適にはホーン１２の大きい方の直径の長さの８％から７５％の間である。スリット２４のピッチは、好適にはホーン１２の大きい方の直径の１２５％から５００％の間である。例として、本願の発明者は、外径１２．０６５ミリメートル（０．４７５インチ）であるホーン１２についてのスリット２４の一つの好適な構成を発見した。幅１．０１６ミリメートル（０．０４インチ）、深さ３．５５６ミリメートル（０．１４０インチ）（完全円形底）、長さ１７．７８ミリメートル（０．７インチ）でピッチ３４．２９ミリメートル（１．３５インチ）のスリットを全部で８本備えるその構成は、ホーン１２の縦運動を低下させることなく、ホーン１２の好適なねじれ運動を与える。

図１でよく分かるように、縦及びねじれ結節点（それぞれのモードのゼロ速度点）の位置は、ハンドピース１０が適正に機能するために重要である。ねじれ結節点２６は、好適には縦結節点２８に近接して位置し、そのためねじれ結節点２６と縦結節点２８は一致し、例えば、それら結節点両方はプラグ１８上に位置する。ハンドピース１０は、ホーン１２の直径減少部３２に位置する縦先端結節点３０も有する。

図３でよく分かるように、本発明に係るハンドピース１０で使用可能な駆動回路３４は、好適には米国特許第５４３１６６４号明細書に記載されたものと同様である。その明細書の記載内容全体は、ここに参照として組み込まれる。駆動回路３４は、ハンドピース１０のアドミタンスを追跡し、一定のアドミタンスを維持するためにハンドピース１０の周波数を制御する。しかしながら、駆動回路３４はねじれモードと縦モードの両方をモニターし、二つの異なる駆動周波数を用いてハンドピース１０におけるこれらのモードを制御する。好適には、ねじれ駆動信号は略３２ｋＨｚであり、縦駆動信号は４４ｋＨｚである。しかし、これらの駆動周波数は、ホーン１２及びスリット２４の大きさ及び形状と、使用されるピエゾ素子１４に依存して変化する。縦の駆動信号若しくはねじれの駆動信号の両方とも連続的に供給してもよいが、好適には縦の駆動信号及びねじれの駆動信号は交互に入れ替わり、そのため駆動信号は、ある周波数で所望のパルスにおいて供給され、その後同様のパルスについて他の周波数に切り替えられ、その二つの周波数間で重なることなく、しかし駆動信号にギャップ若しくは休止はない。代わりに、駆動信号を記述したのと同様の方法で操作するが、駆動信号中に短いギャップ若しくは休止を取り入れてもよい。さらに、駆動信号の振幅は、各周波数について独立に変調しても、設定してもよい。

本発明の特定の実施形態について説明してきたが、これらの記述は図示及び説明の目的のために与えられる。上記で開示されたシステム及び方法からの変形、変更、修正、及び逸脱を、本発明の範囲若しくは意図から逸脱することなく採用することができる。

外部ケースを除去した、本発明に係るハンドピースの斜視図である。 本発明に係るハンドピースで使用可能な超音波ホーンの斜視図である。 本発明で使用可能な駆動回路のブロック図である。

符号の説明

１０ ハンドピース
１１ 外殻
１２ ホーン
１４ ピエゾ素子
１５ コンプレッションナット
１６ 吸入チューブ
１８ プラグ
２０ 中空チップ
２２ 溝
２４ スリット
２６ ねじれ結節点
２８ 縦結節点
３０ 縦先端結節点
３２ 直径減少部
３４ 駆動回路

Claims (2)

1. ａ）ハンドピースの外殻と、
   ｂ）第１の周波数を有する第１の駆動信号に応答してホーンにねじれ運動を生じ、且つ第２の周波数を有する第２の駆動信号に応答してホーンに縦運動を生じる大きさと間隔の複数の円周方向斜めスリットを有する、前記外殻内に保持される超音波ホーンと、
   ｃ）複数のピエゾ素子とを有し、
   前記ピエゾ素子及び前記ホーンが、ねじれ結節点と縦結節点が一致するように前記外殻内に保持される、超音波ハンドピース。
2. 前記第１の駆動信号と前記第２の駆動信号は、交互に入れ替わり、且つ重ならない、請求項１に記載の超音波ハンドピース。

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