JP2006047477A - 反射防止フィルム、偏光板、画像表示装置、および反射防止フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 透明支持基材1上に低屈折率層5を有する反射防止フィルム10において、該低屈折率層5が開環重合性基を3個以上有する化合物を主成分とした光カチオン重合物により形成されたものとする。層を塗布し硬化させる工程を、大気雰囲気の酸素濃度で行なうことができる。該反射防止フィルム10は、偏光板や画像表示装置に好適に使用される。
【選択図】 図1
Description
1) 透明支持基材上に低屈折率層を有する反射防止フィルムにおいて、該低屈折率層が、開環重合性基を3個以上含有する化合物を主成分とした光カチオン重合物により形成されることを特徴とする反射防止フィルム。
2) 前記透明支持基材と前記低屈折率層との間に一層以上の他の層を有することを特徴とする1)に記載の反射防止フィルム。
3) 前記開環重合性基を3個以上含有する化合物が、下記一般式[1]で表される構造単位を3個以上含有する化合物であることを特徴とする1)または2)に記載の反射防止フィルム。
4) 前記開環重合性基を3個以上含有する化合物が、さらに下記一般式[2]で表される構造単位をも化合物であることを特徴とする3)に記載の反射防止フィルム。
5) 前記低屈折率層を、前記透明支持基材上に直接または前記一層以上の他の層を介して、塗布し硬化させる工程を、大気雰囲気の酸素濃度で行なうことにより製造されたことを特徴とする1)から4)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
6) 前記透明支持基材上に前記一層以上の他の層を塗布し硬化させる工程、さらにその上に前記低屈折率層を塗布し硬化させる工程を通じて、大気雰囲気の酸素濃度で行なうことにより製造されたことを特徴とする2)から4)のいずれかに記載の反射防止フィルム。
7) 1)から6)のいずれかに記載の反射防止フィルムを取り付けたことを特徴とする画像表示装置。
8) 1)から6)のいずれかに記載の反射防止フィルムを少なくとも表面保護フィルムの片面として用いたことを特徴とする偏光板。
9) 8)に記載の偏光板を取り付けたことを特徴とする画像表示装置。
10) 透明支持基材上に低屈折率層を有する反射防止フィルムの製造方法において、低屈折率層を塗布し硬化させる工程を大気雰囲気の酸素濃度で行なうことを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」との記載は、「アクリロイル及びメタクリロイルの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
開環重合性基を3個以上含有する化合物としては、多価カルボン酸あるいはフェノールのアルカリ塩とハロゲン含有の上記開環重合性基を有する化合物との反応生成物、開環重合性基を有するアクリル酸あるいはメタクリル酸やスチレン、アリル誘導体などの重合体などがあげられ、一般式[1]で表される構造単位を3個以上含有する重合体が好ましい。
これらの具体例としては、下記のE−1からE−20などが挙げられる。
本発明の反射防止フィルムの構成例を図面を引用しながら説明する。
図1は、優れた反射防止性能を有する多層反射防止フィルムを表面保護フィルムの片側に用いた偏光板の層構成を模式的に示す断面図である。透明支持体1、ハードコート層2、中屈折率層3、高屈折率層4、低屈折率層(最外層)5の順序の層構成を有する。透明支持体1、中屈折率層3、高屈折率層4および低屈折率層5は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
図1のような層構成では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記数式(I)、高屈折率層が下記数式(II)、低屈折率層が下記数式(III)をそれぞれ満足することがより優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる点で好ましい。
(hλ/4)×0.7<n3d3<(hλ/4)×1.3
数式(I)中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、n3は中屈折率層の屈折率であり、そして、d3は中屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(II)
(iλ/4)×0.7<n4d4<(iλ/4)×1.3
数式(II)中、iは正の整数(一般に1、2または3)であり、n4は高屈折率層の屈折率であり、そして、d4は高屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
(jλ/4)×0.7<n5d5<(jλ/4)×1.3
数式(III)中、jは正の奇数(一般に1)であり、n5は低屈折率層の屈折率であり、そして、d5は低屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
ここで、λは500nmである。
数式(IV)
(λ/4)×0.80<n3d3<(λ/4)×1.00
数式(V)
(λ/2)×0.75<n4d4<(λ/2)×0.95
数式(VI)
(λ/4)×0.95<n5d5<(λ/4)×1.05
透明支持体としては、プラスチックフィルムであることが好ましい。プラスチックフィルムとしてはセルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、アセチルブチリルセルロース、ニトロセルロース)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマー等のフィルムやシートが好ましい。フィルムの厚みは20〜300μmが好ましく、80〜200μmがより好ましい。基材フィルムの厚みが薄すぎると膜強度が弱く、厚いと剛性が大きくなり過ぎる。シートの厚みは透明性を損なわない範囲であればよく、300μm以上数mmのものが使用できる。偏光板用途としては、トリアセチルセルロース、およびポリオレフィンが、レターデーションが小さく光学的均一性も高いため、好ましく、特に、液晶表示装置に用いる場合は、トリアセチルセルロースが好ましい。
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層(または中屈折率層)の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも重合性不飽和二重結合基含有化合物が好ましい。
重合性不飽和二重結合基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ハードコート層は、脆性の付与のために重量平均分子量が500以上のオリゴマーおよび/またはポリマーを添加してもよい。
オリゴマー、ポリマーとしては、(メタ)アクリレート系、セルロース系、スチレン系の重合体や、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。好ましくは、側鎖に架橋あるいは重合性官能基を有するポリマーが好ましい。架橋あるいは重合する官能基としては開環重合するものが好ましく、上記一般式[1]で表されるポリマーが好ましい。
表面粗さを非常に小さく保ったまま、ハードコート層に内部散乱性を付与して、鮮明な画像を実現するとともに、視野角特性を改良できる反射防止フィルムの場合は、ハードコート層のヘイズ値は、散乱により視野角特性を改良する為に、10%以上が好ましく、20%〜80%がより好ましく、更に好ましくは30%〜70%であり、最も好ましくは35%〜60%である。
塗布溶媒には、ケトン系溶媒の含有量が塗布組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
本発明の高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。高屈折率層および中屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましい。
本発明における二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の一次粒子の重量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。
本発明の高屈折率層および中屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散には、分散剤を用いることができる。
本発明の二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散には、アニオン性基を有する分散剤を用いることが特に好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(及びスルホ基)、リン酸基(及びホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びその塩が好ましく、カルボキシル基及びリン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1個以上含有されていればよい。
無機微粒子の分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
本発明の高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散に用いる好ましい分散剤は、アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤である。
アニオン性基、及び架橋又は重合性官能基を有し、かつ該架橋又は重合性官能基を側鎖に有する分散剤の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい重量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
高屈折率層および中屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、分散物の状態で高屈折率層および中屈折率層の形成に使用する。
無機微粒子の分散において、前記の分散剤の存在下で、分散媒体中に分散する。
分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
無機微粒子は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、重量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。
無機微粒子を200nm以下に微細化することで透明性を損なわない高屈折率層および中屈折率層を形成できる。
このようにして作製した高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機微粒子を含有する高屈折率層および中屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類等が挙げられる。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が挙げられる。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
光重合反応は、高屈折率層の塗布および乾燥後、紫外線照射により行なうことが好ましい。
本発明に用いる高屈折率層は、前記一般式Aで表される化合物、及び/又は、その誘導体化合物を含有することもできる。
本発明の低屈折率層は、一般式[1]あるいは[2]で表される架橋性ポリマーを主成分とするものである。
本発明において、反射防止膜の低屈折率層に好ましく用いることのできる無機粒子について説明する。
具体的には、分散性の改良のための表面処理がなされている無機酸化物粒子または中空無機酸化物粒子であって、低屈折率のものが好ましく用いられる。例えば、シリカまたは中空シリカの微粒子が挙げられる。シリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。 シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
数式(VII)
x=a3/b3×100
空隙率xは、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。
なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は、屈折率が既知のバインダーに粒子の添加量を変化させて作製したフィルムをアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定し、バインダー量0に外挿した値から求めた。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
上述したように、より優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製するために、高屈折率層の屈折率と透明支持体の屈折率の間の屈折率を有する中屈折率層を設けることが好ましい。
中屈折率層は、本発明の高屈折率層において記載したのと同様に作製することが好ましく、屈折率の調整には皮膜中の無機微粒子の含有率を制御することで可能である。
ハードコート層に適当な微粒子を含有させて表面に凹凸を付与させて外光を拡散させて画面の眩しさを和らげること(特開2000−338310号公報)、あるいは、表面微細凹凸形状を有する防眩性ハードコート層上に低屈折率層を1層設けて、表面における外光の拡散に加えて、光干渉の原理を利用して反射率を抑えること(特開2002−196117号公報、特開2003−161816号公報)も可能である。
反射防止フィルムの各層は、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やダイコート法等の塗布方式により形成することができる。塗膜を形成した後、乾燥による塗布欠陥の生成を防止するように溶媒を乾燥する。乾燥は50℃から150℃、好ましくは70℃から120℃が好ましく、引き続き、紫外線照射することが好ましい。ハードコート層、反射防止層の紫外線照射時は酸素濃度が高い場合、表面の重合は酸素により阻害されるが、次の層を塗布・乾燥した後、紫外線照射することにより、下層の重合を進めることができる。最表面の低屈折率層の場合は、通常のアクリル系の重合性層では、表面の硬度が低下してしまうが、本発明の架橋性ポリマーの場合は、酸素による阻害がないこと、ポリマーの架橋反応により表面硬度を高めることができる。
本発明の偏光板を作成するにあたり、反射防止フィルムを偏光膜の表面保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いるために、高屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良することが必須である。
[1]浸漬法
アルカリ液の中に反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/lであり、特に好ましくは1〜2mol/lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜70℃、特に好ましくは40〜60℃である。
上記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、高屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に高屈折率層を有する表面までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる反射防止層の受けるダメージの指標として、反射防止構造層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち反射防止フィルムの貼り合わせ面の、水に対する接触角を用いた場合、特に支持体がトリアセチルセルロースであれば、20度〜50度、好ましくは30度〜50度、より好ましくは40度〜50度を上記接触角とするのが好ましい。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、20度未満では、反射防止膜の受けるダメージが大きすぎる為、物理強度、耐光性を損ない、好ましくない。
上述の浸漬法における反射防止膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を反射防止膜を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行なう面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、この時、反射防止フィルムの貼り合わせ面の水に対する接触角が、10〜50度となるように鹸化処理を行なうことが好ましい。また、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では[1]の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾルゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
本発明の好ましい偏光板は、図1に示すように、偏光膜の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)の少なくとも一方に、本発明の反射防止フィルムを有する。図1では、反射防止フィルムの透明支持体[1]がポリビニルアルコールからなる接着剤層(6)を介して偏光膜(7)に接着しており、もう一方の偏光膜の保護フィルム(8)が接着剤層(6)を介して偏光膜(7)の反射防止フィルムが接着している主面と反対側の主面と接着している。もう一方の保護フィルム(8)の偏光膜と接着している主面と反対側の面主面には粘着剤層(9)を有している。
本発明の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いることにより、物理強度、耐光性に優れた反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
また、本発明の反射防止フィルムを偏光板用保護フィルムの一方に、後述する光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板を作製することにより、さらに、液晶表示装置の明室でのコントラストを改良し、上下左右の視野角が非常に広げることができる偏光板を作製できる。
光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されているディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性を有する層を有し、該ディスコティック化合物と支持体とのなす角度が透明支持体からの距離に伴って変化していることを特徴とする光学補償フィルムが好ましい。
該角度は光学異方性層の支持体面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
また、光学異方性層が更にセルロースエステルを含んでいる態様、光学異方性層と透明支持体との間に配向層が形成されている態様、該光学異方性層を有する光学補償フィルムの透明支持体が、光学的に負の一軸性を有し、且つ該透明支持体面の法線方向に光軸を有し、更に下記の条件式を満足する態様も好ましい。
20≦{(nx+ny)/2−nz}×d≦400
上記の条件式において、nxは、フィルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率、nyは、フィルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率であり、またdは光学補償層の厚みを表す。
本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。
液晶表示装置(LCD)の場合は、図1に示すような本発明の反射防止フィルムを有する偏光板を、液晶表示装置の液晶セルのガラスに直接または他の層を介して接着して用いる。他の表示装置では、最表面に接着させて用いる。
また、透過型または半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
また、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面および内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
・KAYARAD DPCA−30、日本化薬(株)製
(部分カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、未変成物を含む、平均3(ユニット/1分子)付加) 100質量部
・KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物) 20質量部
・メチルエチルケトン 100質量部
・シクロヘキサノン 20質量部
・イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 3質量部
上記の混合物を、攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した。
・MPT−129C、石原産業(株)製(TiO2:Co3O4:Al2O3:
ZrO2=90.5:3.0:4.0:0.5質量比) 257.1質量部
・下記分散剤 38.6質量部
・シクロヘキサノン 704.3質量部
上記の混合物を、ダイノミルにより質量平均径70nmになるまで分散した。
・上記の二酸化チタン分散液 88.9質量部
・KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製 58.4質量部
・イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製
3.1質量部
・カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製 1.1質量部
・メチルエチルケトン 482.4質量部
・シクロヘキサノン 1869.8質量部
上記の混合物を、攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した。
・上記の二酸化チタン分散液 586.8質量部
・KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製 47.9質量部
・イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製
4.0質量部
・カヤキュアーDETX−S、日本化薬(株)製 1.3質量部
・メチルエチルケトン 455.8質量部
・シクロヘキサノン 1427.8質量部
上記の混合物を、攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した。
・ポリグリシジルメタクリレート(E−1) 4.0質量部
(メチルエチルケトン(MEK)中にグリシジルメタクリレートを溶解させ、熱重合開始剤を滴下しながら80℃で2時間反応させ、得られた反応溶液をヘキサンに滴下し、沈殿物を減圧乾燥して得たポリグリシジルメタクリレート(ポリスチレン換算分子量は12,000)をメチルエチルケトンに50質量%濃度になるように溶解した溶液)
・ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート
0.2質量部
・MEK 92.8質量部
・シクロヘキサノン 3.0質量部
上記の混合物を、攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した。
・グリシジルメタクリレートと2−(パーフルオルオクチル)エチルメタクリレート」のコポリマー 4.0質量部
(メチルエチルケトン(MEK)中にグリシジルメタクリレートと2−(パーフルオルオクチル)エチルメタクリレートとを質量比で50:50に混合溶解させ、熱重合開始剤を滴下しながら80℃で2時間反応させ、得られた反応溶液をヘキサンに滴下し、沈殿物を減圧乾燥して得たポリマー(ポリスチレン換算分子量は10,000、NMRから求めた共重合質量比は55:45)をメチルエチルケトンに50質量%濃度になるように溶解した溶液)
・ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート
0.2質量部
・MEK 92.8質量部
・シクロヘキサノン 3.0質量部
上記の混合物を、攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(KAYARAD PET−30(商品名)、日本化薬(株)製)
4.0質量部
・イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製
0.2質量部
・MEK 92.8質量部
・シクロヘキサノン 3.0質量部
上記の混合物を、攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した。
・含フッ素アクリルペンダント共重合体 2.8質量部
(ヒドロキシエチルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレン(HFP)の1:1共 重合体のアクリル酸エステルのポリマー(分子量3.1万))
・ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(KAYARAD PET−30(商品名)、日本化薬(株)製)
1.2質量部
・イルガキュア184、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製
0.2質量部
・MEK 92.8質量部
・シクロヘキサノン 3.0質量部
上記の混合物を、攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した。
・セロキサイド2021(2官能の脂環式エポキシ化合物、ダイセル化学(株)製)
4.0質量部
・ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート
0.2質量部
・MEK 92.8質量部
・シクロヘキサノン 3.0質量部
上記の混合物を、攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した。
・ポリオキセタンメタクリレート(E−5) 4.0質量部
(メチルエチルケトン(MEK)中にオキセタンメタクリレート溶解させ、熱重合開始剤を滴下しながら80℃で2時間反応させ、得られた反応溶液をヘキサンに滴下し、沈殿物を減圧乾燥して得たポリマー(ポリスチレン換算分子量は11,000)、をメチルエチルケトンに50質量%濃度になるように溶解した溶液)
・ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート
0.2質量部
・MEK 92.8質量部
・シクロヘキサノン 3.0質量部
上記の混合物を、攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した。
・ポリグリシジルメタクリレート(E−1) 2.0質量部
・ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート
0.1質量部
・シリカ分散液(P−1) 10.0質量部
(中空シリカ微粒子ゾル(粒子サイズ約40〜50nm、シエル厚6〜8nm、屈折率1.31、固形分濃度20%、主溶媒イソプロピルアルコール、特開2002−79616号公報の調製例4に準じて粒子サイズを変更して作製)50部に、メチルエチルケトン197部、γグリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)3部を混合し、60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却して作製した分散液)
・MEK 84.9質量部
・シクロヘキサノン 3.0質量部
上記の混合物を、攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過した。
(1)ハードコート(HC)層の塗設
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、ハードコート層用塗布液をマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、塗布、乾燥後、160W/cmのメタルハライドランプを用いて、酸素濃度を制御しながら照射量500mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、屈折率1.51、厚さ7.5μmのハードコート層を形成し、巻き取った。
(1)で作製したハードコートフィルムに、高屈折率層用塗布液の調製例に従って調整した塗布液を、塗布、乾燥、紫外線照射し、表1に記載する屈折率、膜厚になるように、塗布組成、濃度、マイクログラビアロールを調整し、作製した。
(1)で作製したハードコートフィルムに、(2)と同様の操作を繰り返し、表1に記載する中屈折率層、高屈折率層を作製した。
(4)低屈折率層の塗設
(2)あるいは(3)で作製した高屈折率層に、同様の操作で、低屈折率層を作製した。
特性の評価は以下に記載の方法で行なった。
膜表面をスチールウール#0000を用いて、200g/cm2の荷重をかけて擦った後に、傷が見える回数を観察した。なお、「<10」は10回擦った後に初めて傷が見えたことを表す。また、「30<」は30回擦った後に傷が見えなかったことを表す。耐擦傷性としては、上記回数が好ましくは10回以上、より好ましくは20回以上となることが好ましい。
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの鏡面平均反射率を用いた。
本発明によれば、層の塗布硬化を大気雰囲気下で行うことができ、それにもかかわらず、表面が十分な硬度を有し、反射防止効果を奏するに十分な低屈折率を示す反射防止フィルムを提供することができる。
2:ハードコート層
3:中屈折率層
4:高屈折率層
5:低屈折率層
6:接着剤層
7:偏光膜
8:反対側の表面保護フィルム
9:粘着剤層
10:反射防止フィルム
Claims (10)
- 透明支持基材上に低屈折率層を有する反射防止フィルムにおいて、該低屈折率層が、開環重合性基を3個以上含有する化合物を主成分とした光カチオン重合物により形成されることを特徴とする反射防止フィルム。
- 前記透明支持基材と前記低屈折率層との間に一層以上の他の層を有することを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
- 前記低屈折率層を、前記透明支持基材上に直接または前記一層以上の他の層を介して、塗布し硬化させる工程を、大気雰囲気の酸素濃度で行なうことにより製造されたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
- 前記透明支持基材上に前記一層以上の他の層を塗布し硬化させる工程、さらにその上に前記低屈折率層を塗布し硬化させる工程を通じて、大気雰囲気の酸素濃度で行なうことにより製造されたことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の反射防止フィルム。
- 請求項1から6のいずれかに記載の反射防止フィルムを取り付けたことを特徴とする画像表示装置。
- 請求項1から6のいずれかに記載の反射防止フィルムを少なくとも表面保護フィルムの片面として用いたことを特徴とする偏光板。
- 請求項8に記載の偏光板を取り付けたことを特徴とする画像表示装置。
- 透明支持基材上に低屈折率層を有する反射防止フィルムの製造方法において、低屈折率層を塗布し硬化させる工程を大気雰囲気の酸素濃度で行なうことを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
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