JP2006046111A - 内燃機関の可変動弁機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】最大リフト量及び作用角が小となり、吸入空気量が少なくなる状況であるとき、的確に燃焼室内のガスの流れを乱し、燃焼性の低下を抑制する。
【解決手段】リフト量可変機構14は、吸気カム11aに押されて揺動する入力アーム17と、この入力アーム17の揺動に基づき揺動して吸気バルブ9a,9bをリフトさせる揺動アーム18a,18bとを備え、入力アーム17と揺動アーム18a,18bとの相対位置を変更することで最大リフト量及び作用角を可変とする。揺動アーム18a,18bのカム面25における支持パイプ15寄りの部分には吸気バルブ9a,9bをリフトさせない非リフト区間が形成され、カム面25における非リフト区間よりも支持パイプ15から離れる側には吸気バルブ9a,9bをリフト可能なリフト区間が形成される。そして、揺動アーム18aの非リフト区間は、揺動アーム18bの非リフト区間よりも短くされる。
【選択図】 図1
【解決手段】リフト量可変機構14は、吸気カム11aに押されて揺動する入力アーム17と、この入力アーム17の揺動に基づき揺動して吸気バルブ9a,9bをリフトさせる揺動アーム18a,18bとを備え、入力アーム17と揺動アーム18a,18bとの相対位置を変更することで最大リフト量及び作用角を可変とする。揺動アーム18a,18bのカム面25における支持パイプ15寄りの部分には吸気バルブ9a,9bをリフトさせない非リフト区間が形成され、カム面25における非リフト区間よりも支持パイプ15から離れる側には吸気バルブ9a,9bをリフト可能なリフト区間が形成される。そして、揺動アーム18aの非リフト区間は、揺動アーム18bの非リフト区間よりも短くされる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内燃機関の可変動弁機構に関するものである。
自動車用エンジン等の内燃機関においては、機関運転領域全体に亘って運転性及び燃費の最適化を図るべく、吸気バルブの最大リフト量、及び同バルブを駆動する吸気カムの作用角を可変とすることが提案されている。そして、こうした最大リフト量及び作用角の変更を実現するために、例えば特許文献1に示されるような可変動弁機構を内燃機関に適用することも考えられている。
この可変動弁機構は、回転するカムに押されて軸を中心に揺動する入力アームと、この入力アームの揺動に基づき前記軸を中心に揺動して吸気バルブをリフトさせる揺動アームとを備え、それら入力アームと揺動アームとの軸を中心とする揺動方向についての相対位置を変更して最大リフト量及び作用角を可変とするものである。そして、同機構の揺動アームには吸気バルブを駆動するためのカム面が形成されており、このカム面の形状によって吸気バルブを駆動する際のリフト量の推移が定められることとなる。
なお、特許文献1においては、吸気バルブが一つの気筒につき複数(より詳しくは二つ)設けられる内燃機関に上記可変動弁機構が適用されており、同機構には一つの気筒に設けられる複数の吸気バルブを開閉すべく各吸気バルブに対応して一つの気筒につき複数の揺動アームが設けられている。そして、入力アームが揺動するときには、それに伴い一つの気筒に対応する各揺動アーム全てが揺動するようになっている。
また、特許文献1には、一つの気筒に対応した各揺動アームのうち、一部の揺動アームのカム面の形状を、他の揺動アームのカム面の形状と異ならせることで、各吸気バルブ周りを通って燃焼室に吸入される空気の流量等を同バルブ毎に異なるものとすることも開示されている。この場合、燃焼室への空気の吸入時、当該燃焼室内にスワール等の旋回流が生じ、これにより燃焼性の改善が図られるようになる。
特開2001−263015公報
ところで、可変動弁機構による最大リフト及び作用角の調整は、そのときの機関運転状態に応じて行われる。例えば、吸入空気量を多く必要とする機関運転状態になるほど、最大リフト量及び作用角が大となるよう可変動弁機構が駆動される。この場合、必要とされる吸入空気量が少ないときには、最大リフト量及び作用角が小とされるようになる。そして、このように最大リフト量及び作用角が小とされているとき、即ち吸入空気量が少なくなっているときには、吸入空気の流速が低く燃焼室内での空気と燃料との混合が進みにくい等の理由により燃焼性が低下する傾向がある。このため、上記のような状況のもとでは、燃焼性改善を図るために燃焼室内でのガスの流れを積極的に乱すことが好ましい。
しかし、特許文献1には、一つの気筒に対応した各揺動アームのうち、一部の揺動アームと他の揺動アームとの間でカム面の形状に差を設けるということしか開示されていないことから、そうした差を必ずしも最大リフト量及び作用角が小となる状況で的確に生じさせることができるとは限らない。この状況で上記差を的確に生じさせることができない場合、空気吸入時における燃焼室内でのガスの流れを効果的に乱すことができず、燃焼性が低下して燃費改善や排気浄化の面で不具合が生じるおそれがある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、最大リフト量及び作用角が小となり、吸入空気量が少なくなる状況であるとき、的確に燃焼室内のガスの流れを乱し、燃焼性の低下を抑制することのできる内燃機関の可変動弁機構を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、回転するカムに押されて軸を中心に揺動する入力アームと、この入力アームの揺動に基づき前記軸を中心に揺動して吸気バルブをリフトさせる揺動アームとを備え、前記揺動アームの前記吸気バルブを駆動するカム面における前記軸寄りの部分に同揺動アームの揺動に対して前記吸気バルブがリフトしない非リフト区間を形成するとともに、前記カム面における前記非リフト区間よりも前記軸から離れる側には前記揺動アームの揺動に対して前記吸気バルブをリフト可能なリフト区間を形成し、前記入力アームと前記揺動アームとの相対位置を変更することで、前記吸気バルブの最大リフト量及び前記カムの同吸気バルブに対する作用角を可変とする内燃機関の可変動弁機構において、前記吸気バルブ及びそれをリフトさせる前記揺動アームは一つの気筒につき複数設けられるとともに、前記各揺動アームの前記入力アームに対する相対位置は互いに等しくされており、前記一つの気筒における各揺動アームのうちの一部については、その非リフト区間が当該気筒の他の揺動アームの非リフト区間よりも短くされていることを要旨とした。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、回転するカムに押されて軸を中心に揺動する入力アームと、この入力アームの揺動に基づき前記軸を中心に揺動して吸気バルブをリフトさせる揺動アームとを備え、前記揺動アームの前記吸気バルブを駆動するカム面における前記軸寄りの部分に同揺動アームの揺動に対して前記吸気バルブがリフトしない非リフト区間を形成するとともに、前記カム面における前記非リフト区間よりも前記軸から離れる側には前記揺動アームの揺動に対して前記吸気バルブをリフト可能なリフト区間を形成し、前記入力アームと前記揺動アームとの相対位置を変更することで、前記吸気バルブの最大リフト量及び前記カムの同吸気バルブに対する作用角を可変とする内燃機関の可変動弁機構において、前記吸気バルブ及びそれをリフトさせる前記揺動アームは一つの気筒につき複数設けられるとともに、前記各揺動アームの前記入力アームに対する相対位置は互いに等しくされており、前記一つの気筒における各揺動アームのうちの一部については、その非リフト区間が当該気筒の他の揺動アームの非リフト区間よりも短くされていることを要旨とした。
カムの回転を通じて入力アーム及び揺動アームが揺動すると、揺動アームのカム面により吸気バルブが押されて同バルブがリフトするようになる。このときには、カム面における吸気バルブ側との接触部分が軸寄りに位置する非リフト区間からリフト区間へと移行してゆき、同リフト区間内にて軸から離れる方向に移行するほど、吸気バルブのリフト量が大となってゆく。従って、吸気バルブの最大リフト量及び吸気カムの作用角を小とすべく、入力アームと揺動アームとの相対位置を変更したときには、それら揺動アームの揺動時、カム面における吸気バルブ側との接触部分が軸寄りの部分で当該軸に対し接近・離間する方向に往復動する。
上記構成によれば、カム面における軸寄りに位置する非リフト区間が、一つの気筒における各揺動アームのうちの一部については他の揺動アームよりも短くされているため、上記一部の揺動アームに対応する吸気バルブでは、上記他の揺動アームに対応する吸気バルブよりも、早い時期に開弁してリフトしてゆくことになる。このことから、最大リフト量及び作用角が小とされ、カム面における吸気バルブ側との接触部分が軸寄りの部分で往復動するときには、上記一部の揺動アームに対応する吸気バルブが上記他の揺動アームに対応する吸気バルブよりも大きく開くという傾向が強くなる。
従って、最大リフト量及び作用角が小となり、吸入空気量が少なくなる状況であるときには、上記一部の揺動アームに対応する吸気バルブ周りを通って燃焼室に吸入される空気の流量と、上記他の揺動アームに対応する吸気バルブ周りを通って燃焼室に吸入される空気の流量との間に、大きな差を生じさせることが可能になる。このため、そのときに的確に燃焼室内のガスの流れを乱し、燃焼性の低下を抑制することができるようになる。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記一部の揺動アームにおける非リフト区間の長さは、「0」又はそれに近い値とされていることを要旨とした。
上記構成によれば、一部の揺動アームと他の揺動アームとでカム面の非リフト区間の長さに大きな差が生じるようになる。その結果、最大リフト量及び作用角が小とされるときには、上記一部の揺動アームに対応する吸気バルブが上記他の揺動アームに対応する吸気バルブよりも大きく開くという傾向が更に強くなる。従って、最大リフト量及び作用角が小となり、吸入空気量が少なくなる状況であるとき、燃焼室内のガスの流れを大きく乱し、燃焼性の低下をより効果的に抑制することができる。
上記構成によれば、一部の揺動アームと他の揺動アームとでカム面の非リフト区間の長さに大きな差が生じるようになる。その結果、最大リフト量及び作用角が小とされるときには、上記一部の揺動アームに対応する吸気バルブが上記他の揺動アームに対応する吸気バルブよりも大きく開くという傾向が更に強くなる。従って、最大リフト量及び作用角が小となり、吸入空気量が少なくなる状況であるとき、燃焼室内のガスの流れを大きく乱し、燃焼性の低下をより効果的に抑制することができる。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の発明において、前記他の揺動アームにおける非リフト区間の長さについては、前記最大リフト量及び作用角を最小としたときの前記揺動アームのカム面における前記吸気バルブ側との接触部分の往復動範囲が前記非リフト区間内に収まる値とされていることを要旨とした。
上記構成によれば、最大リフト量及び作用角を最小としたとき、上記一部の揺動アームに対応した吸気バルブのみを開弁させ、上記他の揺動アームに対応した吸気バルブを開弁させないようにすることができるため、そのときに燃焼室内のガスの流れを大きく乱し、燃焼性の低下をより効果的に抑制することができる。
請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記リフト区間は、前記軸寄りに位置する湾曲区間と、その湾曲区間よりも前記軸から離れる側に位置するストレート区間とからなり、前記ストレート区間は前記一部の揺動アームと前記他の揺動アームとで同形状に形成され、前記一部の揺動アームにおける湾曲区間の曲率は、前記他の揺動アームにおける湾曲区間の曲率よりも小とされていることを要旨とした。
入力アームと揺動アームとの相対位置の変更を通じて最大リフト量及び作用角を大とするほど、揺動アームの揺動時にカム面における吸気バルブ側との接触部分の往復動範囲が軸から離れる方向に移行する。その結果、揺動アームの揺動時に上記接触部分がより長くストレート区間に存在するようになる。
ここで、上記接触部分が軸から離れて位置するストレート区間に達すると、吸気バルブのリフト量が大となって燃焼室に効率よく空気が吸入されるようになる。また、ストレート区間は上記一部の揺動アームと上記他の揺動アームとで同形状とされていることから、上記接触部分がストレート区間に達したときには一部の揺動アームに対応する吸気バルブと上記他の揺動アームに対応する吸気バルブとでリフト量が等しくなる。このため、揺動アームの揺動時における上記接触部分がストレート区間に存在する期間が長くなるほど、燃焼室内のガスの流れを乱すことよりも燃焼室内に効率よく空気を吸入するという傾向が強くなる。
ところで、最大リフト量及び作用角を大とするということは、必要とされる吸入空気が多い機関運転状態であることを意味する。上記構成によれば、最大リフト量及び作用角が大となるほど、揺動アームの揺動時における上記接触部分がストレート区間に存在する期間が長くなるため、上述したように燃焼室内に効率よく空気を吸入するという傾向を強くすることができる。このため、最大リフト量及び作用角を小としたときには燃焼室内のガスの流れを的確に乱し、最大リフト量及び作用角を大とするにつれて燃焼室内に効率よく空気を吸入することができ、機関運転状態によって変化する各種の要求に対応することができる。
以下、本発明を自動車用の多気筒エンジンに適用した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1は、エンジン1の所定気筒におけるシリンダヘッド2周りの構造を示す拡大断面図である。このエンジン1においては、シリンダヘッド2、シリンダブロック3、及びピストン5によって各気筒毎に一つの燃焼室6が区画され、各燃焼室6には各々吸気通路7及び排気通路8が接続されている。各気筒の吸気通路7及び排気通路8は二つに分岐した状態で燃焼室6に繋がっている(図1には分岐後の一方の吸気通路7及び排気通路8のみ図示)。
図1は、エンジン1の所定気筒におけるシリンダヘッド2周りの構造を示す拡大断面図である。このエンジン1においては、シリンダヘッド2、シリンダブロック3、及びピストン5によって各気筒毎に一つの燃焼室6が区画され、各燃焼室6には各々吸気通路7及び排気通路8が接続されている。各気筒の吸気通路7及び排気通路8は二つに分岐した状態で燃焼室6に繋がっている(図1には分岐後の一方の吸気通路7及び排気通路8のみ図示)。
吸気通路7における二つに分岐した部分と燃焼室6との間にはそれぞれ吸気バルブ9a,9b(図1には吸気バルブ9aのみ図示)が設けられている。そして、吸気通路7の分岐した部分と燃焼室6との間は、これら二つの吸気バルブ9a,9bの開閉動作によって連通・遮断されるようになる。また、排気通路8における二つに分岐した部分と燃焼室6との間にはそれぞれ排気バルブ10a,10b((図1には排気バルブ10aのみ図示))が設けられている。そして、排気通路8の分岐した部分と燃焼室6との間は、これら二つの排気バルブ10a,10bの開閉動作によって連通・遮断されるようになる。
シリンダヘッド2には、これら吸気バルブ9a,9b、及び、排気バルブ10a,10bを駆動するための吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12が設けられている。これら吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12は、エンジン1のクランクシャフトからの回転伝達によって回転するようになっている。また、吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12には、それぞれ吸気カム11a及び排気カム12aが設けられている。そして、これら吸気カム11a及び排気カム12aの吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12との一体回転を通じて、吸気バルブ9a,9b、及び、排気バルブ10a,10bが開閉動作するようになっている。
また、エンジン1は吸気バルブ9a,9bのバルブ特性を可変とする可変動弁機構を備えている。こうした可変動弁機構の一つとして、吸気カムシャフト11の吸気バルブ9a,9bとの間に、同バルブ9a,9bの最大リフト量及び吸気カム11aの作用角を可変とするリフト量可変機構14が設けられている。このリフト量可変機構14の駆動を通じて、例えば吸入空気量を多く必要とするエンジン運転状態になるほど、最大リフト量及び作用角が大となるよう制御される。これは最大リフト量及び作用角を大とするほど、吸気通路7から燃焼室6への空気の吸入が効率よく行われ、上述した吸入空気量に関する要求を満たすことが可能なためである。
次に、リフト量可変機構14の詳細な構造について説明する。
リフト量可変機構14は、吸気カムシャフト11と平行に延びる支持パイプ15及びコントロールシャフト16を備えている。更に、リフト量可変機構14は、回転する吸気カム11aにより押されて上記支持パイプ15を中心に揺動する入力アーム17と、この入力アーム17の揺動に基づき上記支持パイプ15を中心に揺動して吸気バルブ9a,9bをリフトさせる揺動アーム18a,18b(図1には揺動アーム18aのみ図示)とを備えている。この揺動アーム18a,18bは各々、一つの気筒に設けられる二つの吸気バルブ9a,9bに対応するように設けられている。そして、入力アーム17と揺動アーム18a,18bとの揺動方向についての相対位置を変更することで、前記吸気バルブ9a,9bの最大リフト量、及び吸気カム11aの作用角が可変とされる。
リフト量可変機構14は、吸気カムシャフト11と平行に延びる支持パイプ15及びコントロールシャフト16を備えている。更に、リフト量可変機構14は、回転する吸気カム11aにより押されて上記支持パイプ15を中心に揺動する入力アーム17と、この入力アーム17の揺動に基づき上記支持パイプ15を中心に揺動して吸気バルブ9a,9bをリフトさせる揺動アーム18a,18b(図1には揺動アーム18aのみ図示)とを備えている。この揺動アーム18a,18bは各々、一つの気筒に設けられる二つの吸気バルブ9a,9bに対応するように設けられている。そして、入力アーム17と揺動アーム18a,18bとの揺動方向についての相対位置を変更することで、前記吸気バルブ9a,9bの最大リフト量、及び吸気カム11aの作用角が可変とされる。
リフト量可変機構14の上記入力アーム17においては、ローラ19が回転可能に取り付けられるとともに、そのローラ19が吸気カム11aに押しつけられるようコイルスプリング20によって吸気カム11a側に付勢されている。
また、揺動アーム18a,18bと吸気バルブ9a,9bとの間には、それぞれ揺動アーム18a,18bの揺動を吸気バルブ9a,9bに伝達するロッカーアーム21が設けられている。このロッカーアーム21の一端部はアジャスタ22によって支持され、同アーム21の他端部は吸気バルブ9a,9bに接触している。更に、ロッカーアーム21においては、それら一端部と多端部との間にローラ23が回転可能に取り付けられるとともに、そのローラ23が揺動アーム18a,18bに押しつけられるよう吸気バルブ9a,9bのバルブスプリング24により揺動アーム18a,18b側に付勢されている。
従って、揺動アーム18a,18bの揺動時には、それら揺動アーム18a,18bがロッカーアーム21を介して吸気バルブ9a,9bをリフトさせ、それら吸気バルブ9a,9bの開閉動作が行われるようになる。そして、入力アーム17と揺動アーム18a,18bとを揺動方向について互いに接近させるほど、吸気バルブ9a,9bの最大リフト量及び吸気カム11aの作用角は小となってゆく。逆に、入力アーム17と揺動アーム18a,18bとを揺動方向について互いに離間させるほど、吸気バルブ9a,9bの最大リフト量及び吸気カム11aの作用角は大となってゆく。
なお、揺動アーム18a,18bにおけるロッカーアーム21と対向する面は、吸気バルブ9a,9bを駆動するためのカム面25となっており、上記揺動時にロッカーアーム21のローラ23と接触することとなる。このカム面25における吸気バルブ9a,9b側との接触部分、即ちローラ23との接触部分は、揺動アーム18a,18bの揺動に伴い吸気バルブ9a,9bがリフトする際にカム面25に沿って往復動する。即ち、吸気バルブ9a,9bリフト量が増加するときには、上記接触部分がリフト量の増加につれて支持パイプ15から離れる方向に移行してゆく。逆に、吸気バルブ9a,9bのリフト量が減少するときには、その減少につれて上記接触部分が支持パイプ15に接近する方向に移行してゆく。
また、上記接触部分の往復動範囲は、最大リフト量及び作用角を小とする(入力アーム17と揺動アーム18a,18bとを接近させる)ほど支持パイプ15寄りに変位するとともに、最大リフト量及び作用角を大とする(入力アーム17と揺動アーム18a,18bとを離間させる)ほど支持パイプ15から離れる方向に変位することとなる。
ここで、リフト量可変機構14における入力アーム17と揺動アーム18a,18bとの相対位置を変更する構造について、図2を参照して詳しく説明する。なお、同図は、リフト量可変機構14の内部構造、詳しくは支持パイプ15に取り付けられた入力アーム17及び揺動アーム18a,18bの内側の構造を示す破断斜視図である。
図2に示されるように、支持パイプ15は入力アーム17及び揺動アーム18a,18bを貫通している。また、支持パイプ15の外周面における入力アーム17及び揺動アーム18a,18bに対応する部分には円筒状をなすスライダ26が嵌め込まれている。このスライダ26において、その長手方向両端部には各々同形状のヘリカルスプライン27が形成されており、それらヘリカルスプライン27は揺動アーム18a,18bの内側に形成されたヘリカルスプライン28と噛み合わされている。また、スライダ26の長手方向中央部にはヘリカルスプライン29が形成されており、このヘリカルスプライン29は入力アーム17の内側に形成されたヘリカルスプライン30と噛み合わされている。
なお、ヘリカルスプライン27,28とヘリカルスプライン29,30とは互いに歯すじの傾斜方向が逆となっている。また、揺動アーム18aと揺動アーム18bとは、ヘリカルスプライン27とヘリカルスプライン28とが噛み合わされたとき、揺動アーム18aと入力アーム17との相対位置、及び、揺動アーム18bと入力アーム17との相対位置が互いに等しくなるように、スライダ26に組み付けられている。
一方、支持パイプ15の内側にはコントロールシャフト16が挿入されている。そして、スライダ26に形成された周方向に延びる長穴32、及び、支持パイプ15に形成された軸線方向に延びる長穴(図示略)にピン31を挿入し、更に当該ピン31をコントロールシャフト16に挿入することで、スライダ26とコントロールシャフト16とが連結されている。ここで、上記支持パイプ15の長穴はコントロールシャフト16の軸線方向への変位を許容するためのものであり、スライダ26の長穴32は同スライダ26の周方向への変位を許容するためのものである。
そして、コントロールシャフト16を軸線方向に変位させ、それによってスライダ26を軸線方向に変位させると、ヘリカルスプライン27,29とヘリカルスプライン28,30との噛み合いにより、入力アーム17と揺動アーム18a,18bとの揺動方向についての相対位置が変更される。具体的には、コントロールシャフト16を矢印R方向に変位させるほど入力アーム17と揺動アーム18a,18bとの相対位置が互いに接近するように変更され、コントロールシャフト16を矢印F方向に変位させるほど入力アーム17と揺動アーム18a,18bとの相対位置が互いに離間するように変更される。以上のようなコントロールシャフト16の軸線方向についての変位は、例えば電動モータを用いたアクチュエータの駆動制御によって実現される。
上記入力アーム17及び揺動アーム18a,18bの相対位置の変更を通じて、吸気カム11aの回転により揺動アーム18a,18bが揺動したときの吸気バルブ9a,9bの最大リフト量、及び吸気カム11aの作用角が可変とされる。なお、上記のように揺動アーム18a,18bが揺動するときには、それに伴いスライダ26も支持パイプ15の外周面に対し周方向に変位するが、こうした変位はスライダ26の長穴32によって許容されることとなる。
次に、揺動アーム18a,18bのカム面25の形状について、図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は揺動アーム18aを支持パイプ15の軸線方向から見た拡大図であり、図4は揺動アーム18bを支持パイプ15の軸線方向から見た拡大図である。
これらの図に示されるように、揺動アーム18a,18bのカム面25には非リフト区間UL及びリフト区間CLが形成されている。
上記非リフト区間ULは、カム面25における支持パイプ15寄りの部分に形成されている。この非リフト区間ULは、支持パイプ15の軸線を中心とするベース円B上に沿って延びる区間であって、これにより揺動アーム18a,18bの揺動に対し吸気バルブ9a,9bがリフトしない区間となっている。
上記非リフト区間ULは、カム面25における支持パイプ15寄りの部分に形成されている。この非リフト区間ULは、支持パイプ15の軸線を中心とするベース円B上に沿って延びる区間であって、これにより揺動アーム18a,18bの揺動に対し吸気バルブ9a,9bがリフトしない区間となっている。
また、上記リフト区間CLは、カム面25における非リフト区間ULよりも支持パイプ15から離れる側に形成されている。このリフト区間CLは、上記ベース円Bに対し支持パイプ15とは逆側に離れるように延びる区間であって、これにより揺動アーム18a,18bの揺動に対して吸気バルブ9a,9bをリフト可能な区間となっている。なお、リフト区間CLは、支持パイプ15寄りに位置してベース円Bから離れる方向に湾曲して延びる湾曲区間CL1と、その湾曲区間CL1よりも支持パイプ15から離れる側に位置してベース円Bから離れる方向に直線状に延びるストレート区間CL2とからなる。
ところで、カム面25の形状を揺動アーム18aと揺動アーム18bとで異ならせれば、バルブ周りを通って燃焼室6に吸入される空気の流量を吸気バルブ9aと吸気バルブ9bとで異なるものとすることができ、燃焼室6への空気の吸入時に同燃焼室6内にスワール等の旋回流を生じさせることができる。
このように燃焼室6内のガスの流れを乱すことは、特に吸入空気量が少なくなるとき、言い換えれば必要とされる吸入空気量の少ないエンジン運転状態のときに望まれている。これは、吸入空気量が少ないときには吸入空気の流速が低く燃焼室6内での空気と燃料との混合が進みにくい等の理由によって燃焼性が低下する傾向があるためである。即ち、こうした燃焼性能低下を抑制すべく、燃焼室6内のガスの流れを乱して燃焼室内での空気と燃料との混合の促進を図ることが望まれている。
これに対し、吸入空気量が多くなるとき、言い換えれば必要とされる吸入空気量の多いエンジン運転状態のときには、燃焼室6内でのガスの流れを乱すことよりも、燃焼室6に効率よく空気を吸入することが、上記必要とされる吸入空気量を確保する上で好ましい。このため、必要とされる吸入空気量が多くなるにつれて、効率よく燃焼室6に空気が吸入されるようにすることが望まれている。
本実施形態では、上述した要求が満たされるよう、揺動アーム18a,18bの各カム面25の形状を互いに異ならせている。
具体的には、揺動アーム18aの非リフト区間UL(図3)を短くするとともに揺動アーム18bの非リフト区間UL(図4)を長くすることで、揺動アーム18aの非リフト区間ULを揺動アーム18bの非リフト区間ULよりも短くする。なお、ここでの揺動アーム18aの非リフト区間ULの長さは例えば「0」に極めて近い値とされる。また、揺動アーム18bの非リフト区間ULの長さについては、最大リフト量及び作用角を最小としたとき、揺動アーム18bにおけるカム面25のローラ23との接触部分の往復動範囲が上記非リフト区間UL内に収まる値とされる。
具体的には、揺動アーム18aの非リフト区間UL(図3)を短くするとともに揺動アーム18bの非リフト区間UL(図4)を長くすることで、揺動アーム18aの非リフト区間ULを揺動アーム18bの非リフト区間ULよりも短くする。なお、ここでの揺動アーム18aの非リフト区間ULの長さは例えば「0」に極めて近い値とされる。また、揺動アーム18bの非リフト区間ULの長さについては、最大リフト量及び作用角を最小としたとき、揺動アーム18bにおけるカム面25のローラ23との接触部分の往復動範囲が上記非リフト区間UL内に収まる値とされる。
一方、揺動アーム18a,18bにおけるリフト区間CL中のストレート区間CL2については、揺動アーム18aと揺動アーム18bとで同形状に形成される。また、揺動アーム18aにおけるリフト区間CL中の湾曲区間CL1については、その曲率が揺動アーム18bにおけるリフト区間CL中の湾曲区間CL1の曲率よりも小とされる。これにより、非リフト区間ULの短い揺動アーム18aのストレート区間CL2を、非リフト区間ULの長い揺動アーム18bのストレート区間CL2と同形状とすることが可能となっている。
以上のように、揺動アーム18a,18bの各カム面25の形状を互いに異ならせることで、リフト量可変機構14の駆動時、上述した要求が満たされるよう吸気バルブ9a,9bが駆動されることとなる。その理由について、図5及び図6を併せ参照して説明する。
図5は、吸気カム11aのカム角の変化に対する吸気バルブ9a,9bのリフト量の推移傾向が、リフト量可変機構14の駆動に伴いどのように変化するかを示すグラフである。本実施形態のリフト量可変機構14は、同機構14を駆動するアクチュエータのストローク量が小から大へと変化するにつれて、入力アーム17と揺動アーム18a,18bとが互いに離れるよう両者の相対位置を変化させるようになっている。そして、図5において(a)〜(c)は、(a)→(b)→(c)の順で上記ストローク量が最小から最大へと徐々に大となり、最大リフト量及び作用角が大となってゆくときの上記リフト量の推移傾向の変化を示している。
以下、上記ストローク量がそれぞれ「最小」、「中」、「最大」であるときの吸気バルブ9a,9bのリフト量の推移傾向について個別に説明する。
[ストローク量最小]
上記ストローク量が「最小」であって最大リフト量及び作用角が最小となるようリフト量可変機構14が駆動されると、揺動アーム18aにおけるカム面25のローラ23との接触部分の往復動範囲が最も支持パイプ15寄りへと変位し、例えば図3の点P1から点P2までの範囲となる。そして、往復動する上記接触部分がリフト区間CLに存在しているときには吸気バルブ9aがリフトした状態となり、その吸気バルブ9aのリフト量の推移傾向は図5(a)に実線で示される傾向となる。
[ストローク量最小]
上記ストローク量が「最小」であって最大リフト量及び作用角が最小となるようリフト量可変機構14が駆動されると、揺動アーム18aにおけるカム面25のローラ23との接触部分の往復動範囲が最も支持パイプ15寄りへと変位し、例えば図3の点P1から点P2までの範囲となる。そして、往復動する上記接触部分がリフト区間CLに存在しているときには吸気バルブ9aがリフトした状態となり、その吸気バルブ9aのリフト量の推移傾向は図5(a)に実線で示される傾向となる。
また、このときには、揺動アーム18bにおけるカム面25のローラ23との接触部分の往復動範囲についても、最も支持パイプ15寄りへと変位して例えば図4の点P3から点P4までの範囲となる。そして、このときの上記接触部分の往復動範囲は非リフト区間UL内に収まることから、上記接触部分がリフト区間CLに達して吸気バルブ9bがリフトすることはない。
[ストローク量中]
上記ストローク量が「最小」から大きくされて「中」の状態になると、最大リフト量及び作用角が最大と最小との間の状態となるようリフト量可変機構14が駆動される。
上記ストローク量が「最小」から大きくされて「中」の状態になると、最大リフト量及び作用角が最大と最小との間の状態となるようリフト量可変機構14が駆動される。
その結果、揺動アーム18aにおける上記接触部分の往復動範囲の両端が、図3の点P1,P2から支持パイプ15と離れる方向(矢印Y1,Y2方向)に所定量だけ変位する。これにより、上記往復移動範囲がよりリフト区間CL側に移行し、吸気バルブ9aのリフト量の推移傾向は図5(b)に実線で示される傾向、即ち上記ストローク量最小のときよりも最大リフト及び作用角が大となる傾向をとるようになる。
また、揺動アーム18bにおける上記接触部分の往復動範囲の両端も、図4の点P3,P4から支持パイプ15と離れる方向(矢印Y3,Y4方向)に所定量だけ変位する。これにより、上記往復移動範囲がリフト区間CLにさしかかるようになって吸気バルブ9bがリフトした状態となり、その吸気バルブ9bのリフト量の推移傾向は図5(b)に破線で示される傾向となる。なお、このときの吸気バルブ9bの最大リフト量、及び吸気カム11aの吸気バルブ9bに対する作用角は、吸気バルブ9aの最大リフト量、及び吸気カム11aの吸気バルブ9aに対する作用角よりも小となる。
[ストローク量最大]
上記ストローク量が「最大」となって最大リフト量及び作用角が最大となるようリフト量可変機構14が駆動されると、揺動アーム18a,18bにおける上記接触部分の往復動範囲は共に支持パイプ15から最も離れた位置に変位する。その結果、揺動アーム18aにおける上記接触部分の往復動範囲は例えば図3の点P5から点P6までの範囲となり、揺動アーム18bにおける上記接触部分の往復動範囲は例えば図4の点P7から点P8までの範囲となる。この場合、揺動アーム18a,18bの揺動時における上記接触部分のストレート区間CL2に存在する期間が最も長くなる。
上記ストローク量が「最大」となって最大リフト量及び作用角が最大となるようリフト量可変機構14が駆動されると、揺動アーム18a,18bにおける上記接触部分の往復動範囲は共に支持パイプ15から最も離れた位置に変位する。その結果、揺動アーム18aにおける上記接触部分の往復動範囲は例えば図3の点P5から点P6までの範囲となり、揺動アーム18bにおける上記接触部分の往復動範囲は例えば図4の点P7から点P8までの範囲となる。この場合、揺動アーム18a,18bの揺動時における上記接触部分のストレート区間CL2に存在する期間が最も長くなる。
ここで、上記接触部分がストレート区間CL2に達すると、リフト量が速やかに大とされるようになる。また、ストレート区間CL2は揺動アーム18aと揺動アーム18bとで同形状に形成されているため、上記接触部分のストレート区間CL2への到達は揺動アーム18aと揺動アーム18bとで同時になり、その到達後は吸気バルブ9aと吸気バルブ9bとでリフト量が等しくなる。このため、揺動アーム18a,18bの揺動時における上記接触部分がストレート区間CL2に存在する期間が長くなるほど、吸気バルブ9a,9bが共に大きく開くという傾向が強くなる。
従って、上記ストローク量が「最大」となるときには、吸気バルブ9a,bのリフト量の推移傾向はそれぞれ図5(c)に実線及び破線で示される傾向となる。より詳しくは、吸気バルブ9a,9bのリフト量の推移傾向は共に、上記ストローク量中のときよりも最大リフト量及び作用角が大となる傾向をとる。更に、吸気カム11aの吸気バルブ9bに対する作用角が吸気カム11aの吸気バルブ9aに対する作用角よりも小さくなるものの、吸気バルブ9a,9bの最大リフト量は互いに等しくなる。なお、このように吸気バルブ9a,9bの最大リフト量が等しくなるのは、ストレート区間CL2が揺動アーム18aと揺動アーム18bとで同形状に形成されているためである。
図6は、リフト量可変機構14を駆動するためのアクチュエータのストローク量の「最小」から「最大」への変化に伴い、吸気カム11aのカム角の変化に対する吸気バルブ9a,9bのリフト量の推移傾向が図5の(a)→(b)→(c)と変化するとき、エンジン1の吸入空気量がどのように変化するかを示すグラフである。
なお、同図において、実線L1は上記ストローク量の変化に対する吸気バルブ9a周りを通って燃焼室6内に吸入される空気の流量の変化を示しており、実線L2は上記ストローク量の変化に対する吸気バルブ9b周りを通って燃焼室6内に吸入される空気の流量の変化を示している。更に、破線L3は、上記ストローク量の変化に対するエンジン1の一つの気筒に対する吸入空気量の変化を示している。ここでの吸入空気量は、吸気バルブ9a周りを通って燃焼室6内に吸入される空気の流量と、吸気バルブ9b周りを通って燃焼室6内に吸入される空気の流量との和に等しくなる。
同図から分かるように、必要とされる吸入空気量が少ないエンジン運転状態であって、最大リフト量及び作用角が最小となるようストローク量が最小とされているときには、吸気バルブ9a周りを通って燃焼室6内に吸入される空気の流量(L1)と、吸気バルブ9b周りを通って燃焼室6内に吸入される空気の流量との間に大きな差が生じる(L2)。これは、上記ストローク量が最小とされているときには、吸気バルブ9bが閉弁した状態に保持されて同バルブ9b周りを通って燃焼室6内に吸入される空気の流量が「0」となる一方、吸気バルブ9aは図5(a)に実線で示されるリフト量の推移をもって開弁されて同バルブ9a周りを通って燃焼室6内に空気が吸入されるためである。
なお、上記のような吸気バルブ9aのみ開弁するというバルブ駆動態様は、ストローク量を例えば「X」へと増加するまでの間、継続されることとなる。ただし、上記ストローク量が「X」に向けて増加するにつれて、吸気バルブ9aのリフト量の推移傾向は図5(a)の実線に対し徐々に増加側の傾向へと移行してゆく。このため、吸気バルブ9a周りを通って燃焼室6内に吸入される空気の流量は徐々に増加してゆき、上記吸気バルブ9b周りを通って燃焼室6内に吸入される空気の流量(L2)と、吸気バルブ9a周りを通って燃焼室6内に吸入される空気の流量(L1)との間の差は広がってゆく。
以上のように、上記ストローク量が最小から「X」に至るまでは、上記流量の差が大きくなることから、燃焼室6内にスワール等の旋回流を生じさせてガスの流れを乱すことができ、吸入空気の流速が低く燃焼室6内での空気と燃料との混合が進みにくい等の理由による燃焼性低下を抑制することができる。
一方、必要とする吸入空気量の多いエンジン運転状態になるほど、最大リフト量及び作用角が大となるよう上記ストローク量が最大に向けて大とされる。このように最大リフト量及び作用角を大とするのは、必要とする吸入空気量を確保すべく燃焼室6へと効率よく空気を吸入させるためである。
ここで、ストローク量が最大に近づくほど、吸気バルブ9a,9bのリフト量の推移は図5(c)に示される状態に近くなる。言い換えれば、吸気バルブ9bのリフト量の推移傾向を吸気バルブ9aのリフト量の推移傾向に極力近づけ、燃焼室6への効率のよい空気の吸入を図るという傾向が強くなる。従って、上記ストローク量が最大に近づくほど、燃焼室6内のガスの流れを乱すことよりも燃焼室6内に効率よく空気を吸入するという傾向が強くされることになる。
以上のことから、上記ストローク量が「X」から最大に至るまでは、吸気バルブ9b周りを通って燃焼室6内に吸入される空気の流量(L2)と、吸気バルブ9a周りを通って燃焼室6に吸入される空気の流量(L1)とが共に増加しつつ、実線L2で示される流量が実線L1で示される流量に近づいてゆく。これにより、必要とされる吸入空気量の多いエンジン運転状態になって上記ストローク量が多くされるほど、吸気バルブ9a周りと吸気バルブ9a周りとの両方から多量の空気が燃焼室6内に吸入されるようになり、燃焼室6への効率のよい空気の吸入が可能となる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)揺動アーム18a,18bのカム面25において、揺動アーム18aの非リフト区間ULが揺動アーム18bの非リフト区間ULよりも短くされる。このため、上記ストローク量が小とされ、最大リフト量及び作用角が小となるようリフト量可変機構14が駆動されるとき、即ちエンジン1の吸入空気量が少なくなるときに、吸気バルブ9a周りを通って燃焼室6に吸入される空気の流量と、吸気バルブ9b周りを通って燃焼室6に吸入される空気の流量との間に、大きな差を生じさせることが可能になる。従って、そのときに的確に燃焼室6内のガスの流れを乱し、吸入空気の流速が低く燃焼室6内での空気と燃料との混合が進みにくい等の理由による燃焼性低下を抑制することができる。
(1)揺動アーム18a,18bのカム面25において、揺動アーム18aの非リフト区間ULが揺動アーム18bの非リフト区間ULよりも短くされる。このため、上記ストローク量が小とされ、最大リフト量及び作用角が小となるようリフト量可変機構14が駆動されるとき、即ちエンジン1の吸入空気量が少なくなるときに、吸気バルブ9a周りを通って燃焼室6に吸入される空気の流量と、吸気バルブ9b周りを通って燃焼室6に吸入される空気の流量との間に、大きな差を生じさせることが可能になる。従って、そのときに的確に燃焼室6内のガスの流れを乱し、吸入空気の流速が低く燃焼室6内での空気と燃料との混合が進みにくい等の理由による燃焼性低下を抑制することができる。
(2)揺動アーム18aの非リフト区間ULを「0」に近い値としているため、その非リフト区間ULの長さと揺動アーム18bにおけるカム面25の非リフト区間ULの長さとの間に大きな差が生じるようになる。その結果、最大リフト量及び作用角が小となるようリフト量可変機構14を駆動しているとき、吸気バルブ9aが吸気バルブ9bよりも大きく開くという傾向が更に強くなる。従って、そのときの吸気バルブ9a周りを通って燃焼室6に吸入される空気の流量と、吸気バルブ9b周りを通って燃焼室6に吸入される空気の流量との間に、より大きな差を生じさせることができる。そして、これにより燃焼室6内のガスの流れを大きく乱し、上記燃焼性低下をより効果的に抑制することができるようになる。
(3)揺動アーム18aの非リフト区間ULの長さについては、最大リフト量及び作用角が最小、或いはそれに近い状態となるようリフト量可変機構14を駆動したとき、カム面25のローラ23との接触部分の往復動範囲が上記非リフト区間UL内に収まる値とされる。このため、上記のようにリフト量可変機構14を駆動したとき、吸気バルブ9aのみを開弁させ、吸気バルブ9bを開弁させないようにすることができる。従って、そのときの吸気バルブ9a周りを通って燃焼室6に吸入される空気の流量と、吸気バルブ9b周りを通って燃焼室6に吸入される空気の流量との間に、より大きな差を生じさせることができる。そして、これにより燃焼室6内のガスの流れを大きく乱し、上記燃焼性低下をより効果的に抑制することができるようになる。
(4)必要とされる吸入空気量の多いエンジン運転状態になるほど、燃焼室6への効率のよい空気の吸入を目的として、最大リフト量及び作用角が大となるようリフト量可変機構14が駆動される。ここで、揺動アーム18a,18bのリフト区間CLにおいて、ストレート区間CL2は揺動アーム18aと揺動アーム18bとで同形状にされ、揺動アーム18aの湾曲区間CL1の曲率は揺動アーム18bの湾曲区間CL1の曲率よりも小とされている。このため、最大リフト量及び作用角を大とするほど、即ちリフト量可変機構14を駆動するアクチュエータのストローク量を大とするほど、吸気バルブ9b周りを通って燃焼室6内に吸入される空気の流量が増加しつつ、吸気バルブ9a周りを通って燃焼室6に吸入される空気の流量に近づいてゆく。これにより、上記のように最大リフト量及び作用角を大とするにつれて、燃焼室6内のガスの流れを出すことよりも燃焼室6内に効率よく空気を吸入するという傾向を強くすることができる。従って、最大リフト量及び作用角を小としたときには燃焼室6内のガスの流れを的確に乱し、最大リフト量及び作用角を大とするにつれて燃焼室6内に効率よく空気を吸入することができ、エンジン運転状態によって変化する各種の要求に対応することができる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・リフト区間CL中のストレート区間CL2を揺動アーム18aと揺動アーム18bとで必ずしも同形状とする必要はない。この場合でも、上記(1)〜(3)に記載した効果は得られる。
・リフト区間CL中のストレート区間CL2を揺動アーム18aと揺動アーム18bとで必ずしも同形状とする必要はない。この場合でも、上記(1)〜(3)に記載した効果は得られる。
・揺動アーム18bの非リフト区間ULの長さについては、最大リフト量及び作用角を最小としたとき、揺動アーム18bにおけるカム面25のローラ23との接触部分の往復動範囲が上記非リフト区間UL内に収まる値に設定されているが、必ずしもこうした設定を行う必要はない。即ち、上記接触部分の往復動範囲が非リフト区間ULからはみ出す長さに設定されていてもよい。この場合、上記のように最大リフト量及び作用角を最小としたとき、吸気バルブ9aでは、吸気バルブ9bよりも早い時期に開弁してリフトしてゆくとともに、最大リフト量について吸気バルブ9bよりも大となる。このため、少なくとも上記(1)及び(2)に記載した効果は得られる。
・揺動アーム18aの非リフト区間ULの長さについては、「0」に極めて近い値に設定されているが、「0」に設定してもよい。また、揺動アーム18aの非リフト区間ULの長さを、揺動アーム18bの非リフト区間ULの長さを越えない範囲で、上記「0」に極めて近い値よりも長い値に設定してもよい。
・本実施形態では、一つの気筒につき二つの吸気バルブ9a,9bを備えるエンジン1を例とし、吸気バルブ9a,9bに対応して二つの揺動アーム18a,18bを設けたリフト量可変機構14を採用したが、本発明はこれに限定されない。即ち、一つの気筒につき三つ以上の吸気バルブを備えるエンジン1に本発明を適用し、吸気バルブの数に対応して三つ以上の揺動アームを設けたリフト量可変機構を採用してもよい。
1…エンジン、2…シリンダヘッド、3…シリンダブロック、5…ピストン、6…燃焼室、7…吸気通路、8…排気通路、9a,9b…吸気バルブ、10a,10b…排気バルブ、11…吸気カムシャフト、11a…吸気カム、12…排気カムシャフト、12a…排気カム、14…リフト量可変機構(可変動弁機構)、15…支持パイプ、16…コントロールシャフト、17…入力アーム、18a…揺動アーム、18b…揺動アーム、19…ローラ、20…コイルスプリング、21…ロッカーアーム、22…アジャスタ、23…ローラ、24…バルブスプリング、25…カム面、26…スライダ、27,28,29,30…ヘリカルスプライン、31…ピン、32…長穴。
Claims (4)
- 回転するカムに押されて軸を中心に揺動する入力アームと、この入力アームの揺動に基づき前記軸を中心に揺動して吸気バルブをリフトさせる揺動アームとを備え、前記揺動アームの前記吸気バルブを駆動するカム面における前記軸寄りの部分に同揺動アームの揺動に対して前記吸気バルブがリフトしない非リフト区間を形成するとともに、前記カム面における前記非リフト区間よりも前記軸から離れる側には前記揺動アームの揺動に対して前記吸気バルブをリフト可能なリフト区間を形成し、前記入力アームと前記揺動アームとの相対位置を変更することで、前記吸気バルブの最大リフト量及び前記カムの同吸気バルブに対する作用角を可変とする内燃機関の可変動弁機構において、
前記吸気バルブ及びそれをリフトさせる前記揺動アームは一つの気筒につき複数設けられるとともに、前記各揺動アームの前記入力アームに対する相対位置は互いに等しくされており、
前記一つの気筒における各揺動アームのうちの一部については、その非リフト区間が当該気筒の他の揺動アームの非リフト区間よりも短くされている
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構。 - 前記一部の揺動アームにおける非リフト区間の長さは、「0」又はそれに近い値とされている
請求項1記載の内燃機関の可変動弁機構。 - 前記他の揺動アームにおける非リフト区間の長さについては、前記最大リフト量及び作用角を最小としたときの前記揺動アームのカム面における前記吸気バルブ側との接触部分の往復動範囲が前記非リフト区間内に収まる値とされている
請求項1又は2記載の内燃機関の可変動弁機構。 - 前記リフト区間は、前記軸寄りに位置する湾曲区間と、その湾曲区間よりも前記軸から離れる側に位置するストレート区間とからなり、
前記ストレート区間は前記一部の揺動アームと前記他の揺動アームとで同形状に形成され、
前記一部の揺動アームの湾曲区間の曲率は、前記他の揺動アームにおける湾曲区間の曲率よりも小とされている
請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁機構。
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