JP2006045300A - シート材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 植物由来の生分解性を有するプラスチックは一般的には柔軟性がなく、加工性も悪いものである。そこで、このような物性を改善するため、他の樹脂を混合することが考えられている。柔軟性を付与するため柔軟な樹脂を混合すると、どうしても相溶性が悪くうまく混合できない。そこで、複数の物性を持ったものの相溶性がよ
く、生分解性を確保し、シートとして成形した後にも簡単に変形加工でき、且ついわゆる白化現象の非常に少ないシート材料を提供する。
【解決手段】 ポリ乳酸、柔軟ポリエステル、及び中間コポリマーの3成分を必須成分とするものであって、該柔軟ポリエステルはそれ自体生分解性を有し、引張特性における伸度が15〜1000%であり、該中間コポリマーは該柔軟ポリエステルを構成する構成成分と化学的に類似の成分と乳酸をその構成成分とし、ポリ乳酸、柔軟ポリエステルとも相溶性のよいものであるもの。
【選択図】 なし
く、生分解性を確保し、シートとして成形した後にも簡単に変形加工でき、且ついわゆる白化現象の非常に少ないシート材料を提供する。
【解決手段】 ポリ乳酸、柔軟ポリエステル、及び中間コポリマーの3成分を必須成分とするものであって、該柔軟ポリエステルはそれ自体生分解性を有し、引張特性における伸度が15〜1000%であり、該中間コポリマーは該柔軟ポリエステルを構成する構成成分と化学的に類似の成分と乳酸をその構成成分とし、ポリ乳酸、柔軟ポリエステルとも相溶性のよいものであるもの。
【選択図】 なし
Description
本発明は、シート材料に関するものである。
シート材料とは、これを加熱して粘度を下げシート状に成型して用いるものである。ここでいうシートは、フィルムという概念も含むもので、押出成型で製造するものをいう。厚みはフィルムのような薄いものでも、相当厚いものでもよい。
プラスチックシートは、成形が容易で安価であるため多量に製造、使用されている。しかし、一般のプラスチックは木材等と異なり、分解されて土に返るということがない。この観点から、地球環境を考え生分解性を有するもの考案され使用し始められている。これは、土中に放置すれば細菌等によって分解してしまうものである。また、単に生分解するだけでなく、そのものを石油から合成するのではなく植物由来のものが好まれる。
しかしこのような植物由来の生分解性を有するプラスチックは一般的には柔軟性がなく、加工性も悪い物である。そこで、このような物性を改善するため、他の樹脂を混合することが考えられている。
例えば、柔軟性を付与するため柔軟な樹脂を混合すると、どうしても相溶性が悪くうまく混合できない。分離して強度が落ちることとなる。
また、書類ホルダーのような文房具であっても同様であり、このような生分解性が要求されるようになってきている。これらは、内部の書類が見えるように透明であるものが多い。しかしながら、従来の生分解性のシートでは、その性質上どうしても白化現象が起こる。即ち、折った部分が白くなり透明性を失うのである。勿論、一旦白化すると元には戻らない。この現象はプラスチックシートでは大きな欠点である。
そこで、複数の物性を持ったものの相溶性がよく、生分解性を確保し、シートとして成形した後にも簡単に変形加工でき、且つ上記した白化現象の非常に少ないシート材料を提供する。
以上のような現状に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明シート材料を完成したものであり、その特徴とするところは、ポリ乳酸、柔軟ポリエステル、及び中間コポリマーの3成分を必須成分とするものであって、該柔軟ポリエステルはそれ自体生分解性を有し、引張特性における伸度が15〜1000%であり、該中間コポリマーは該柔軟ポリエステルを構成するカルボン酸とアルコール、及び乳酸を構成要素とするポリエステルである点にある。
ポリ乳酸とは、乳酸(HOCHCH3COOH)の自己縮合ポリマーであり、構造式は、HO(CHCH3COO)nHである。これは、一般には石油から合成されるのではなく、植物から製造されるものがほとんどである。純粋なポリ乳酸だけでなく分子量増大のための鎖延長剤がコポリマーとして含まれていてもよい。
ここでいう柔軟ポリエステルは、それ自体生分解性を有し、引張特性における伸度が15〜1000%であるものであり、側鎖を有しているものでもよい。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンのような多価アルコールと、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、ドデカン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の多価カルボン酸及びこれらの無水物との縮重合物、更に、ラクチドやε−カプロラクトンなどの環状エステルの開環重合物、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸のような縮重合物等があ。この中の1種の酸と1種のアルコールの重合物とは限らず、それぞれ複数種のポリマーでもよい。例えば、ポリブチレンサクシネート等である。
勿論、これに限定するものでなく、ポリエステルで生分解性を有するものであればよい。
勿論、これに限定するものでなく、ポリエステルで生分解性を有するものであればよい。
この柔軟ポリエステル自体も1種とは限らず、複数種混合して用いてもよい。相溶性やその他発明の趣旨に反しない限り、何種類でもよい。
上記のような構造のものの中から、引張特性における伸度が15〜1000%のポリエステルで、生分解性を有するものを選べばよい。なぜならば、単にポリエステルの種類だけでなく、重合度や重合型(ブロック重合やランダム重合等)によっても異なるためである。一般的にポリ乳酸は、非常に脆く、引張特性における伸度が5〜15%のものが多い。これは、主鎖のCCの連続部が長いほど伸びが大きくなる傾向があるためと考えられる。
引張特性における伸度が15〜1000%ということは、柔軟性に優れているということである。即ち、破断の前に相当延びるということを示している。この時の伸度は、フィルムやシートに成型したときの1方向でよい。即ち、どこか1つの方向でこの程度延びればよいということである。
中間コポリマーとは、該柔軟ポリエステルを構成する構成成分と乳酸を構成要素とするものである。即ち、例えば、該柔軟ポリエステルがAというジカルボン酸とBというジオールのポリエステルとすると、このAとBと乳酸の3つのモノマーのコポリマーであるということである。重合方法はランダムでも、ブロックでも、グラフトでもよい。また、AやBそのものでなくとも、それらと類似のものでもよい。例えば、化学的には、ブチル基やペンチル基は類似で相溶性もよい。
また、どの程度までを類似とするかは難しいが、ここでは、その中間ポリマーが、ポリ乳酸とも、柔軟ポリエステルとも相溶性がよいということが類似であると判断する。よって、化学的には類似と思えないような構成要素でも、相溶性がよければ使用できるということである。
また、柔軟ポリエステルが複数の酸やアルコールのモノマーを有している場合、この中間コポリマーはその代表的な酸とアルコールだけからなるものでも、そのすべてのモノマーを有するものでもよい。
ただ、少なくとも乳酸が含まれていなければならない。
このコポリマーを用いることによって、上記した2成分の相溶性が大きく向上するだけでなく、白化現象も大きく減少した。
ただ、少なくとも乳酸が含まれていなければならない。
このコポリマーを用いることによって、上記した2成分の相溶性が大きく向上するだけでなく、白化現象も大きく減少した。
この中間コポリマーも1種とは限らず、複数種用いてもよい。これもほとんどが相溶性の問題であるが、例えば、柔軟ポリエステルが複数の場合には、中間コポリマーも複数混合した方がいい場合もある。
上記した3成分の混合比率は、ポリ乳酸100重量部に対して、柔軟ポリエステルが1〜20重量部である。特に、3〜15がより好適であった。また、同様に中間コポリマーは、5〜60重量部が好適であった。
更に、この樹脂成分にフィラーを混合してもよい。フィラーを混合することによって、生分解性が向上するだけでなく、保形性(可塑性)が向上する。このフィラーの
混合量としては、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜50重量部である。混合
量が増加すればする程分解性等はよくなるが、50重量部以上になると、強度が落ちる。
混合量としては、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜50重量部である。混合
量が増加すればする程分解性等はよくなるが、50重量部以上になると、強度が落ちる。
ここでいうフィラーとは、単なる粉体の増量剤という意味である。有機系と無機系がある。有機系としては、プラスチックの粉体、澱粉、ケナフ、竹粉等であり、無機系としては、タルク、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、顔料、金属粉等でよい。しかし、発明者の実験によると、タルクが最も優れていた。タルクとは、結晶水を有するマグネシウム、珪素の酸化物であり、結晶核剤となりうるものである。
本発明に用いる樹脂には、上記した成分に更に添加剤を加えてもよい。例えば、顔料、香料、紫外線吸収剤等である。要するに、本発明の趣旨に反しない限り、増量剤や他の樹脂等何を加えてもよいということである。
本発明シート材料には次のような利点がある。
(1) 生分解性であるため、森や農地に放置されても自然に帰るため環境汚染にならない。
(2) 柔軟成分が含まれているため、脆弱性が大きく改善されている。
(3) 両成分を有するコポリマーが含まれているため、相溶性が非常によい。
(4) 白化現象が非常に少ない。
(5) 脆弱グループと柔軟グループを混合しているため、強度と柔軟性が保たれている。
(1) 生分解性であるため、森や農地に放置されても自然に帰るため環境汚染にならない。
(2) 柔軟成分が含まれているため、脆弱性が大きく改善されている。
(3) 両成分を有するコポリマーが含まれているため、相溶性が非常によい。
(4) 白化現象が非常に少ない。
(5) 脆弱グループと柔軟グループを混合しているため、強度と柔軟性が保たれている。
以下好適な実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
3つの成分を混合し実験した。
まず、ポリ乳酸としては、レイシアH440(ポリ乳酸:三井化学社製:伸度:8%)を使用した。
柔軟ポリエステルとしては、GS Pla AZ9IT(ポリブチレンサクシネート/アジペート:三菱化学社製:伸度:200%)、及び、エコフレックス(ポリブチレンテレフタレート/アジペート:BASF社製:伸度:650%)を用いた。
また、コポリマーとしては、プラメートPD−150(ポリ乳酸/ジオール・ジカルボン酸コポリマー:大日本インキ化学工業社製)を用いた。
まず、ポリ乳酸としては、レイシアH440(ポリ乳酸:三井化学社製:伸度:8%)を使用した。
柔軟ポリエステルとしては、GS Pla AZ9IT(ポリブチレンサクシネート/アジペート:三菱化学社製:伸度:200%)、及び、エコフレックス(ポリブチレンテレフタレート/アジペート:BASF社製:伸度:650%)を用いた。
また、コポリマーとしては、プラメートPD−150(ポリ乳酸/ジオール・ジカルボン酸コポリマー:大日本インキ化学工業社製)を用いた。
比較例としては、コポリマーを用いないものを使用した。
これらのものを押出成型によって200μmの厚みのシートに成型した。これのそれぞれの物性を表1に示す。また、エコフレックスは、構成成分としてフタル酸を有しているが、この成分は非常に少なく、プラメートPD−150でよく溶けた。
これらのものを押出成型によって200μmの厚みのシートに成型した。これのそれぞれの物性を表1に示す。また、エコフレックスは、構成成分としてフタル酸を有しているが、この成分は非常に少なく、プラメートPD−150でよく溶けた。
表1の透過率は、全光線透過率であり、厚み200μmで測定したものである。
また、透明性の◎は高透明、○は透明、△は半透明である。また、柔軟性の◎は柔らかい、○は硬い、×は非常に硬くて脆い。耐衝撃性の◎は非常によい、○は良い、×は弱いである。白化の◎は非常によい、○はわずかに白化する、×ははっきりと白化するである。
また、透明性の◎は高透明、○は透明、△は半透明である。また、柔軟性の◎は柔らかい、○は硬い、×は非常に硬くて脆い。耐衝撃性の◎は非常によい、○は良い、×は弱いである。白化の◎は非常によい、○はわずかに白化する、×ははっきりと白化するである。
表1から、比較例は本発明の3成分が含まれていないため、すべて白化し、且つ衝撃に弱いものであった。これに対して、本発明の実施例ではすべて、ほとんど白化せず、耐衝撃性も優れていた。
Claims (3)
- ポリ乳酸、柔軟ポリエステル、及び中間コポリマーの3成分を必須成分とするものであって、該柔軟ポリエステルはそれ自体生分解性を有し、引張特性における伸度が15〜1000%であり、該中間コポリマーは該柔軟ポリエステルを構成する構成成分と化学的に類似の成分と乳酸をその構成成分とし、ポリ乳酸、柔軟ポリエステルとも相溶性のよいものであることを特徴とするシート材料。
- 該3成分の混合割合は、ポリ乳酸100重量部に対して、柔軟ポリエステルが1〜5重量部、該中間コポリマーが5〜50重量部である請求項1記載のシート材料。
- 更にフィラーを混合したものである請求項1又は2記載のシート材料。
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