JP2006045107A - 4−テトラヒドロピラニルグリシンの製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、簡便な方法によって、4-テトラヒドロピラニルグリシンを高収率で製造出来る、工業的に好適な4-テトラヒドロピラニルグリシンの製法を提供することである。
【解決手段】 本発明の課題は、塩基の存在下、式(1)
【化1】
Figure 2006045107

で示される5-(4-テトラヒドロピラニル)ヒダントインを加水分解反応させた後、有機カルボン酸で中和することを特徴とする、式(2)
【化2】
Figure 2006045107

で示される4-テトラヒドロピラニルグリシンの製法によって解決される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、4-テトラヒドロピラニルグリシンを製造する方法に関する。4-テトラヒドロピラニルグリシンは、医薬や農薬等の原料や合成中間体として有用な化合物である。
従来、4-テトラヒドロピラニルグリシンを製造する方法としては、例えば、水酸化バリウムの存在下、5-(4-テトラヒドロピラニル)ヒダントインを水溶媒中で165℃に加熱した後、濃硫酸で酸性化、アンモニアで中和することによって、単離収率61%で4-テトラヒドロピラニルグリシンを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、反応系が複雑であるために反応操作が繁雑となる上に、単離収率が低い等、4-テトラヒドロピラニルグリシンの工業的な製法としては満足出来るものではなかった。
特表平11-500120号公報
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、簡便な方法によって、4-テトラヒドロピラニルグリシンを高収率で製造出来る、工業的に好適な4-テトラヒドロピラニルグリシンの製法を提供することである。
前記課題に鑑み、本発明者らが鋭意検討を行った結果、以下に示す簡便な方法によって4-テトラヒドロピラニルグリシンを高収率で製造出来る方法を見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の課題は、塩基の存在下、式(1)
Figure 2006045107
で示される5-(4-テトラヒドロピラニル)ヒダントイン(以下、化合物(1)と称する)を加水分解反応させた後、有機カルボン酸で中和することを特徴とする、式(2)
Figure 2006045107
で示される4-テトラヒドロピラニルグリシン(以下、化合物(2)と称する)の製法によって解決される。
本発明により、簡便な方法によって、4-テトラヒドロピラニルグリシンを高収率で製造することが可能であり、且つ、工業的に好適な4-テトラヒドロピラニルグリシンの製法を提供することが出来る。
本発明の加水分解反応において使用する化合物(1)は、以下に示す反応工程式(1)の方法によって、ヒダントインから容易に合成出来る化合物である(後の参考例1〜3に記載)。
Figure 2006045107
本発明の加水分解反応において使用する塩基としては、例えば、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられるが、好ましくはアルカリ金属水酸化物、更に好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが使用される。なお、これらの塩基は、無水物でも水和物でも良く、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記塩基の使用量は、化合物(1)1モルに対して、好ましくは1.0〜20モル、更に好ましくは1.1〜10モルである。
本発明の加水分解反応において使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;N,N'-ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられるが、好ましくは水、アルコール類、エーテル類、更に好ましくは水、アルコール類、特に好ましくは水が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、化合物(1)1gに対して、好ましくは1〜100g、更に好ましくは1.1〜50gである。
本発明の加水分解反応の終了後、反応液を中和する際に使用する有機カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸等が挙げられるが、好ましくは酢酸が使用される。なお、これらの有機カルボン酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記有機カルボン酸の使用量は、化合物(1)1モルに対して、好ましくは1.0〜50モル、更に好ましくは1.1〜20モルである。
本発明の加水分解反応及び中和は、例えば、化合物(1)、塩基及び溶媒を混合し、攪拌しながら反応させた後、有機カルボン酸で中和する等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは10〜250℃、更に好ましくは20〜200℃であり、反応圧力は特に制限されない。
なお、本発明の加水分解反応及び中和によって化合物(2)が得られるが、これは、反応終了後、抽出、濾過、濃縮、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離・精製されるが、好ましくは、疎水性溶媒を添加して共沸させながら脱水操作を行い、次いで、アルコール溶媒を添加して共沸させながら疎水性溶媒を留去させた後、アルコール溶媒から固体として取得する方法によって行われる。
前記疎水性溶媒としては、水を共沸させることが出来る溶媒ならば特に限定されないが、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の環状脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ジメトキシエタン等のエーテル類;酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類;n-ブタノール等のアルコール類が挙げられるが、好ましくは環状脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類が使用される。なお、これらの疎水性溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記疎水性溶媒の使用量は、加水分解反応及び中和によって生成した化合物(2)1gに対して、好ましくは1〜100g、更に好ましくは1.1〜50gである。
前記アルコール溶媒としては、疎水性溶媒を共沸させることが出来るアルコール溶媒ならば特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられるが、好ましくはメタノール、エタノール、更に好ましくはメタノールが使用される。なお、これらのアルコール溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
前記アルコール溶媒の使用量は、加水分解反応及び中和によって生成した化合物(2)1gに対して、好ましくは1〜100g、更に好ましくは1.1〜50gである。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
参考例1(化合物(4);5-ジエチルホスホノヒダントインの合成)
温度計、攪拌装置、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた内容積2000mlのガラス製反応器に、ヒダントイン200g(2.0mol)及び酢酸800mlを加えた後、液温を83〜85℃に維持しながら、臭素352g(2.2mol)をゆるやかに滴下し、同温度にて30分間反応させた。次いで、亜リン酸トリエチル339g(2.0mol)を、液温を液温40〜45℃に維持しながらゆるやかに滴下し、攪拌しながら同温度で2時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧下で濃縮した後、濃縮物をジエチルエーテル800ml中に加えて、5℃にて1時間攪拌した。析出した固体を濾過し、白色結晶として、5-ジエチルホスホノヒダントイン191.1gを得た(単離収率:40%)。
なお、5-ジエチルホスホノヒダントインの物性値は以下の通りであった。
1H-NMR(DMSO-d6,δ(ppm));1.25(6H,t,J=7.1Hz)、4.06〜4.13(4H,m)、4.76(1H,dd,J=14.4,1.2Hz)、8.41(1H,brs)、10.91(1H,brs)
CI-MS(m/e);237(M+1)
参考例2(化合物(5);5-(4-テトラヒドロピラニリデン)ヒダントインの合成)
温度計、攪拌装置及び滴下漏斗を備えた内容積1000mlのガラス製反応器に、参考例1で合成した5-ジエチルホスホノヒダントイン92g(0.39mol)、エタノール460ml及び水138mlを加えた後、室温にて水酸化リチウム一水和物16.3g(0.39mol)を添加した。次いで、テトラヒドロピラン-4-オン30g(0.3mol)をゆるやかに滴下し、攪拌しながら同温度で3時間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、濃縮物に2mol/l塩酸195ml(0.39mol)を加えた後、5℃にて1時間攪拌した。析出した固体を濾過し、固体を水120mlで洗浄して、白色結晶として、5-(4-テトラヒドロピラニリデン)ヒダントイン46.3gを得た(単離収率:85%)。
なお、5-(4-テトラヒドロピラニリデン)ヒダントインの物性値は以下の通りであった。
1H-NMR(DMSO-d6,δ(ppm));2.32(2H,t,J=5.7Hz)、2.91(2H,t,J=5.7Hz)、3.59〜3.66(4H,m)、9.87(1H,brs)、10.92(1H,brs)
13C-NMR(DMSO-d6,δ);27.5、29.7、67.0、67.7、123.2、125.6、153.8、164.8
CI-MS(m/e);183(M+1)
参考例3(化合物(1);5-(4-テトラヒドロピラニル)ヒダントインの合成)
温度計、攪拌装置及び還流冷却器を備えた内容積300mlのステンレス製耐圧容器に、実施例1で合成した5-(4-テトラヒドロピラニリデン)ヒダントイン25g(0.14mol)、5質量%パラジウム/炭素(50%含水品)2.5g(パラジウム原子として0.59mmol)及びエタノール150mlを加え、水素雰囲気下(0.6〜0.8MPa)、攪拌しながら115〜125℃にて4時間反応させた。反応終了後、N,N-ジメチルホルムアミド100mlを加え、50℃で攪拌させた。反応液を濾過した後、減圧下で濃縮し、濃縮物に水250mlを加えて後、5℃にて1時間攪拌した。析出した結晶を濾過し、白色結晶として、5-(4-テトラヒドロピラニル)ヒダントイン19.3gを得た(単離収率:77%)。
なお、5-(4-テトラヒドロピラニル)ヒダントインの物性値は以下の通りであった。
1H-NMR(DMSO-d6,δ(ppm));1.24〜1.58(4H,m)、1.87〜1.94(1H,m)、3.21〜3.32(2H,m)、3.82〜3.94(3H,m)、7.98(1H,brs)、10.63(1H,brs)
13C-NMR(DMSO-d6,δ);26.0、28.4、36.5、61.5、66.4、66.7、157.6、174.9
CI-MS(m/e);185(M+1)
実施例1(化合物(2);4-テトラヒドロピラニルグリシンの合成)
温度計、攪拌装置、還流冷却器及びDean-Stark装置を備えた内容積200mlのステンレス製耐圧容器に、参考例3で合成した5-(4-テトラヒドロピラニル)ヒダントイン15g(81.4mmol)及び2mol/l水酸化ナトリウム水溶液130ml(260mmol)を加え、攪拌しながら145〜150℃にて2時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸18g(300mmol)を加えて、反応液のpHを6.7に調整した。次いで、反応液に、トルエン150mlを添加して共沸させながら脱水させた。その後、メタノール150mlを添加して共沸させながらトルエンを留去させた。再び、メタノール135mlを添加した後、析出した固体を濾過した。濾過後、固体をメタノール30mlで洗浄した後に減圧下で乾燥させ、白色結晶として、4-テトラヒドロピラニルグリシン11.82gを得た(単離収率:91%)。
なお、4-テトラヒドロピラニルグリシンの物性値は以下の通りであった。
1H-NMR(D2O,δ(ppm));1.41〜1.74(4H,m)、2.13〜2.25(1H,m)、3.45〜3.55(2H,m)、3.61(1H,d,J=5.4Hz)、4.02〜4.07(2H,m)
CI-MS(m/e);160(M+1)
本発明は、4-テトラヒドロピラニルグリシンを製造する方法に関する。4-テトラヒドロピラニルグリシンは、医薬や農薬等の原料や合成中間体として有用な化合物である。

Claims (4)

  1. 塩基の存在下、式(1)
    Figure 2006045107
    で示される5-(4-テトラヒドロピラニル)ヒダントインを加水分解反応させた後、有機カルボン酸で中和することを特徴とする、式(2)
    Figure 2006045107
    で示される4-テトラヒドロピラニルグリシンの製法。
  2. 加水分解反応を溶媒中で行う請求項1記載の4-テトラヒドロピラニルグリシンの製法。
  3. 塩基がアルカリ金属水酸化物である請求項1記載の4-テトラヒドロピラニルグリシンの製法。
  4. 疎水性溶媒及びアルコール溶媒を用いて、4-テトラヒドロピラニルグリシンを含む反応液から、4-テトラヒドロピラニルグリシンを固体として析出させる請求項1記載の4-テトラヒドロピラニルグリシンの製法。
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