JP2006041181A - 面発光半導体レーザー及びこれを用いた光学装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】横モード制御のための散乱損失構造部又は低屈折率領域、空孔を設ける面発光半導体レーザーにおいて、電流密度の均一化を図ることを目的とする。
【解決手段】活性層を挟んで第1及び第2のDBRが配置されて垂直方向の共振器が形成された面発光半導体レーザーであって、共振器の外周部に、レーザーの主たる電流通路と対向する少なくとも1つ以上の対向端を有する空洞もしくは空洞に低屈折率物質が充填されて成る低屈折率領域21が配置され、この低屈折率領域21の対向端の、主たる電流通路の通電方向と交叉する断面形状が、レーザーの主たる電流通路の中心方向に向かって先細形状とされ、共振器の上部電極12の少なくとも一部が、レーザーの出射口の略中心位置に設けられて成る。
【選択図】図1

Description

本発明は、面発光半導体レーザーとこの面発光レーザーを用いた光源装置を具備する光学装置に関し、特に単一横モードを維持したまま、出力の増大化を図るためにモードフィールド径の拡大を図った面発光半導体レーザー及び光学装置に関する。
近年、データ通信等における光通信用の光源として、垂直共振器型の面発光半導体レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が用いられている。
この垂直共振器型面発光半導体レーザーでは、横方向の発振モード(横モード)を単一モードに抑制することによって、光ファイバ通信の光源として使用する際に問題となるモード分散を回避することができ、長距離あるいは高データレートの通信が可能となる。
横モードの単一化には、発光領域を酸化によって小さく絞った酸化狭窄方式や、この酸化狭窄方式と、出射口に設けた高次モードの吸収・反射機構とを組み合わせた方式などが提案されている。
しかし、これらの方式で単一横モードを実現するには発光領域の直径を波長の3倍以下程度にしなければならず、発光領域の大口径化によるレーザーの高出力化には不向きであった。
そこで、VCSELのレーザー発振部に所定の間隔をもって空孔を配置するフォトニック結晶構造を採用することによって、発光領域の大口径化すなわち光出力化を図りつつ単一横モード発振を実現する方法が考案されている(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。
特許2002−292781 Noriyuki Yokouchiet al, "Vertical-cavity surface-emitting laser operating with photonic crystal seven-point defect structure", Applied Physics Letters, Vol.82, No.21, 26 May 2003, pp.3608-3610
また、本出願人は、先にVCSELのレーザー発振部に、共振器方向と直交する方向の断面が円形や三角形などの散乱損失構造部又は低屈折率領域、例えば空孔を配置する面発光半導体レーザーを提案した(特願2004−136295号出願)。このような構成とすることによって、単一横モードの高出力面発光半導体レーザーを得ることができた。
これは、通常面発光レーザーにおいては、その発光面の中心部で基底モードが、周辺部で高次モードが局在することから、周辺部に散乱損失が生じる構造部を設けられれば、散乱損失が高次のモードに関して大となることにより、単一モードが得られるものと考えられる。
そして、主たる電流の通路、すなわち、キャビティ構成部の周囲において、低屈折領域が配置された構成とするときは、キャビティ構成部の周囲に、ここに配置された低屈折領域の存在による平均的屈折率の低下が生じることによって、中央部に光の閉じ込めがなされ、発振効率が高められるが、その低屈折率領域を間歇的に配置して、その先端を鋭角とする場合は、その閉じ込めが緩やかで、外周への光の漏洩を幾分大とすることができ、発光面積が大となって大出力化が図られる。更に、低屈折率領域の側面、すなわち界面では光の散乱損失が大きく、特にこの側面(界面)において、波状面ないしは粗面による凹凸面を形成するときは、その発散損失が顕著となり、上述した外周に局在する高次モードの発光レーザーの損失が著しく、良好な単一モード半導体レーザーが構成される。
すなわちこの場合は、フォトニッククリスタル効果とは異なる現象が生じていることによって、大電流、高出力、単一横モードの半導体レーザーが得られている。
ところで、上述のVCSELのような面発光半導体レーザーにおいては、光を取り出す出射口を確保するために、上部電極は通常リング状等とされ、開口を有する形状とされる。このために、活性層における電流密度は、中心付近では小さくなり、外周部で大きくなる現象が生じる。特に、例えば電流通路を規制する酸化狭窄層を設けるVCSELにおいて、中心部と比較して酸化狭窄層の開口付近で電流密度が大きくなるといった不均一な電流密度分布が生じてしまう。更に、高出力発振を目指して酸化狭窄層の開口径を大きくすると、より電流密度の不均一さが大きくなるという問題も生じる。
このような不均一さは、電極に設けた光を取り出すための開口径が酸化狭窄層の開口径よりも大きい場合には、より顕著となる。
しかしながら、上述したように散乱損失構造部又は低屈折率領域、空孔などを設けるために、またレーザー発振した光を効率よく取り出すためにも、電極の開口径を酸化狭窄層の開口径より大きくする必要があり、酸化狭窄層の開口近傍における電流密度の面内分布が不均一となることを回避し難いという問題がある。
電流密度が不均一であると、同じ電流を流していても、電流密度の高い領域における温度上昇に起因する光出力の飽和、いわゆる熱飽和が比較的早く生じてしまうため、結果的に光出力の増大化を図り難い。
本発明は、上述の問題に鑑みて、横モード制御のための散乱損失構造部又は低屈折率領域、空孔を設ける面発光半導体レーザーにおいて、電流密度の均一化を図ることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、活性層を挟んで第1及び第2のDBRが配置されて垂直方向の共振器が形成された面発光半導体レーザーであって、上記共振器の外周部に、散乱損失を生じさせる散乱損失構造部が配置され、該散乱損失構造部が、レーザーの主たる電流通路と対向する少なくとも1つ以上の対向端を有して成り、上記共振器の上部電極の少なくとも一部が、上記レーザーの出射口の略中心位置に設けられて成ることを特徴とする。
更に、他の本発明は、活性層を挟んで第1及び第2のDBRが配置されて垂直方向の共振器が形成された面発光半導体レーザーであって、上記共振器の外周部に、レーザーの主たる電流通路と対向する少なくとも1つ以上の対向端を有する空洞もしくは空洞に低屈折率物質が充填されて成る低屈折率領域が配置され、該低屈折率領域の対向端の、主たる電流通路の通電方向と交叉する断面形状が、レーザーの主たる電流通路の中心方向に向かって先細形状とされ、上記共振器の上部電極の少なくとも一部が、上記レーザーの出射口の略中心位置に設けられて成ることを特徴とする。
また、本発明は、上述の各面発光半導体レーザーにおいて、上記電流通路を規制する酸化狭窄層が設けられ、上記酸化狭窄層に設けられる酸化狭窄開口が、少なくとも上記散乱損失構造部又は低屈折率領域の上記対向端の外周側に設けられて成ることを特徴とする。
また、本発明は、上述の各面発光半導体レーザーにおいて、上記レーザーの出射口の略中心位置に第1の上部電極を設けるとともに、上記散乱損失構造部又は上記低屈折率領域の周囲に略リング状の第2の上部電極が設けられて成ることを特徴とする
更に、本発明は、上述の各面発光半導体レーザーにおいて、上記第1及び第2の上部電極を接続する連結部が、上記散乱損失構造部又は上記低屈折率領域の上部に設けられて成ることを特徴とする。
また、本発明は、上述の各面発光半導体レーザーにおいて、上記第1及び第2の上部電極を接続する連結部が、上記散乱損失構造部又は上記低屈折率領域の間の上部に設けられて成ることを特徴とする。
更に、本発明は、上述の各面発光半導体レーザーにおいて、上記連結部が、複数設けられて成ることを特徴とする。
また、本発明は、光源装置を具備する光学装置であって、該光源装置が、面発光半導体レーザーを有し、該面発光半導体レーザーが、活性層を挟んで第1及び第2のDBRが配置されて垂直方向の共振器が形成された面発光半導体レーザーとされ、上記共振器の外周部に、散乱損失を生じさせる散乱損失構造部が配置され、該散乱損失構造部が、レーザーの主たる電流通路と対向する少なくとも1つ以上の対向端を有して成り、上記共振器の上部電極の少なくとも一部が、上記レーザーの出射口の略中心位置に設けられて成ることを特徴とする。
更に、本発明は、光源装置を具備する光学装置であって、該光源装置が、面発光半導体レーザーを有し、該面発光半導体レーザーが、活性層を挟んで第1及び第2のDBRが配置されて垂直方向の共振器が形成された面発光半導体レーザーとされ、上記共振器の外周部に、レーザーの主たる電流通路と対向する少なくとも1つ以上の対向端を有する空洞もしくは空洞に低屈折率物質が充填されて成る低屈折率領域が配置され、該低屈折率領域の対向端の、主たる電流通路の通電方向と交叉する断面形状が、レーザーの主たる電流通路の中心方向に向かって先細形状とされ、上記共振器の上部電極の少なくとも一部が、上記レーザーの出射口の略中心位置に設けられて成ることを特徴とする。
上述した本発明による各面発光半導体レーザーにおいては、その上部電極の少なくとも一部が、レーザーの出射口の略中心位置に設けられて成ることきから、中心位置の下部への電流供給を確保し、この部分における電流密度を高めて、通常のリング状電極のみを設ける場合と比較して、共振器方向と直交する面内における電流密度分布の均一化を図ることができる。
上述したように、本発明による面発光半導体レーザーによれば、中心部分の電流供給を確保することによって共振器方向と直交する面内の電流密度分布の均一化を図ることができ、電流密度が不均一である場合に生じる熱飽和を抑制することができて、これにより光出力の増大化を図ることができる。
更に、本発明による面発光半導体レーザーにおいて、酸化狭窄層を設けることによって、散乱損失構造部又は低屈折率領域の間の高出力となる領域からの出射光を遮光することなく、中心位置に電流を供給して電流密度の均一化を図り、光出力の更なる増大化を図ることができる。
また、本発明による面発光半導体レーザーにおいて、共振器の中心位置に第1の上部電極を設けると共に、散乱損失構造部又は低屈折率領域の周囲に略リング状の第2の上部電極を設けることによって、より電流密度分布を均一化して、光出力の増大化を図ることができる。
更に、これら第1及び第2の上部電極の連結部を、上述の散乱損失構造部又は低屈折率領域の上部に渡って設けることによって、これら散乱損失構造部又は低屈折率領域の間から発光されるレーザー光を妨げることなく、より光出力を高めることができる。
また、第1及び第2の上部電極の連結部を、散乱損失構造部又は低屈折率領域の間の上部に設けることによって、光出力の増大化を図ることできる。
更に、これら連結部を複数設けることによって、より電流密度分布の均一化を図って、光出力の増大化を図ることができる。
また、本発明による光学装置においては、その光源装置に用いられる面発光半導体レーザーを、光源である面発光半導体レーザーの大口径化及び横モードの単一化を図りつつ戻り光出力の増大化を図ることができて、光学ピックアップ装置や光通信装置などに用いて記録再生特性、通信性能の向上を図ることができる。
以下、本発明による面発光半導体レーザー及びこれを用いた光学装置を実施するための最良の形態の例について説明するが、本発明は、以下の例に限定されるものではないことはいうまでもない。
先ず、本発明による面発光半導体レーザーの一例の要部の模式的拡大平面図及び一部を断面とした概略斜視図を図1及び図2に示す。
この実施の形態の例における面発光半導体レーザー1は、図2に示すように基板3上に、必要に応じて設けられたバッファ層4と、第1のDBR5と、第1のクラッド層6と、活性層7と、第2のクラッド層8と、第2のDBR9と、キャップ層10とが、順次例えば連続エピタキシーによって形成される。
そして、酸化狭窄層18が、第1のクラッド層6の下部又は第2のクラッド層8の上部、図示の例においては第2のクラッド層8の上部に、電流通路となる中央部に開口を有する形状として形成される。この酸化狭窄層18は、例えば各層をエピタキシャル成長し、エッチング等によって垂直共振器型に形成した後、選択酸化によって形成し得る。基板3の裏面には、下部電極2がオーミックに被着される。
そして、本発明による面発光半導体レーザーにおいては、上部電極として、共振器の略中心位置に設けられる第1の上部電極12Aと、例えば略リング状の第2の上部電極12Bとが、キャップ層10上にオーミックにコンタクトされて形成される。この例においては、第2の上部電極12Bは、キャップ層10上に例えばSiOによる絶縁膜11が例えばリング状パターンに形成され、この絶縁膜11の中心に形成された開口部11wを通じて内側にオーミックにコンタクトされる略リング状に形成された例を示す。
第1のDBR5及び第2のDBR9の間には垂直共振型の共振器が形成され、下部電極2と第1及び第2の上部電極より成る上部電極12とが対向する領域に主たる電流通路が形成されるようになされる。
ここで、下部電極2は例えば金/金−ゲルマニウム合金/金(Au/AuGe/Au)の多層膜、上部電極12は例えばチタン/白金/金(Ti/Pt/Au)の多層膜により構成され、例えばそれぞれ蒸着もしくはスパッタ等によって形成される。
また、基板3は例えば第1導電型ここではn型のGaAsより成り、バッファ層4は例えばGaAsより成り、第1のDBR5は例えばAlGaAsによる積層膜より成り、第1クラッド層6は例えばAlGaAsより成り、活性層7は例えばAlGaAsとGaAsとによる積層膜より成り、第2クラッド層8は例えばAlGaAsより成り、第2のDBR9は例えばAlGaAsによる積層膜より成り、キャップ層10は第2導電型ここではp型のGaAsより成る構成とすることができる。
そして、上述した共振器の外周部に、散乱損失構造部、或いは低屈折率領域、もしくは低屈折率領域によって構成される散乱損失構造部を配置する。図示の例においては、空孔より成る低屈折率領域21を設ける例を示す。これら散乱損失構造部ないし低屈折率領域は、少なくとも主たる電流通路の中心部との対向端21aが活性層7に至ることがない深さに選定されて成る。また散乱損失構造部としては、低屈折率領域により構成するほか、図示しないが例えば選択的にイオン注入を行うことにより、電気抵抗を部分的に増大させた領域を形成して、これを散乱損失構造部とすることも可能である。
そして、この低屈折率領域21の、面発光半導体レーザー1における主たる電流通路の通電方向と交叉する断面形状は、共振器の中心方向に向かって先細形状の鋭角を有して、例えば上述の選択的イオン注入のほか、フォトリソグラフィ−技術と例えば反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)とによって形成することができる。
この実施の形態の例においては、低屈折率領域21例えば空孔が、キャップ層10を貫通し、例えば第2のDBR9及び第2クラッド層8内に形成されるが、緩やかな光の閉じ込めと高次モード光の散乱とを効果的に両立するには、対向端を有する低屈折率領域21が同一面内、すなわち共振器の周方向に間歇的に3個以上設けられることが好ましく、図示の例においては、略等間隔に8個設けた場合を示す。
このように、共振器の中心方向に向かって先細形状とされた空孔より成る低屈折率領域21を設けることによって、上記特願2004−136295号出願に記載されているように、主たる電流の通路、すなわち、キャビティ構成部の周囲において、ここに配置された低屈折領域この場合孔部の存在による平均的屈折率の低下が生じることによって、中央部に光の閉じ込めがなされ、発振効率が高められる。更に、この低屈折率領域が間歇的に配置され、その先端が鋭角とされていることから、その閉じ込めは、緩やかで、外周への光の漏洩を幾分大とすることができ、発光面積が大となって大出力化が図られる。
そして、この実施の形態の例においては、上述したように、上部電極12として、共振器の略中心位置に配置される第1の上部電極12Aと、低屈折率領域21の周囲に、略リング状の第2の上部電極12Bとを設ける。第1の上部電極12Aは、図1に示すように、平面略円形としてもよく、その他例えば低屈折率領域や散乱損失構造部の配置間隔に対応する頂角を有する多角形状や、花びら形、または非対称な不定形状等の種々の形状とすることができる。そしてこれら第1及び第2の上部電極12Bの間には、導電性を有する材料より成る連結部13が設けられる。
図1に示すように、低屈折率領域21の先細形状の対向端を、酸化狭窄開口18Aの内側に配置し、低屈折率領域21の外側の周囲に略リング状の第2の上部電極12Bを設け、略中心位置に第1の上部電極12Aを設けることによって、共振器と直交する面内の電流密度分布を均一化することができる。
なお、上部電極として、本発明におけるように共振器の略中心位置に上部電極を設けず、低屈折率領域の周囲のみにリング状の上部電極12を設ける面発光半導体レーザーの比較例の概略平面図を図3に示す。このような構成による面発光半導体レーザーにおいては、光出力約7mW、サイドモード抑圧比約40dBが得られている。そして、レーザー光の近視野像を観察すると、図4に模式的に出力パターンを示すように、最も高い光出力領域が、共振器の略中心位置ではなく、低屈折率領域21に挟まれた領域に間歇的に発生していることがわかる。図3において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この場合、上部電極12の内径は酸化狭窄開口18Aの内径と比較して大きく、この酸化狭窄開口18A付近で電流密度が均一になっていないと予想される。
一方、この発光パターンにおいては、中心位置における光出力は、周囲に間歇的に位置する高光出力領域における出力の略50%程度であった。
したがって、図1に示すように、このように光出力の比較的低い中心位置に電極を設ける電極構成とすることによって、全体の光出力を損なうことなく、光出射領域の内側と外側から電流を注入することができ、特に酸化狭窄開口18A近傍の電流密度の均一性を高めることができる。
ここで、第1及び第2の電極12A及び12Bを電気的に接続する連結部13は、その下部のキャップ層10を取り除いた構造とすることによって、この連結部13から電流が注入されることを抑制することができる。
また、この連結部13の幅cは、出射する光を遮光しないようにできるだけ細くすることが望ましい。
一方、第1の上部電極12Aの直径b、第2の上部電極12Bの幅a及び上記連結部13の幅cを適切に選定することによって、レーザー光出射領域における内側と外側から注入される電流の比を制御することができ、これらを最適値に設定することによって酸化狭窄開口18Aの内側における電流密度の均一化を図ることができる。
例えば、第1の上部電極12Aの直径bが大となる程、中心位置の電流密度を高めることができて、酸化狭窄開口18Aの内側で最大となる電流密度分布を緩和して、より均一化することが可能である。
なお、このような第1及び第2の電極、連結部の形状は上述の例に限定されるものではなく、その他例えば、図5に示すように、各低屈折率領域21の上部にわたって連結部13がいわば放射状に設けられてもよく、また、図6に示すように、連結部13を、低屈折率領域21の間の上部に設けてもよい。
このように、連結部13を複数設ける場合、その数を増やすことで第1の上部電極12Aに電流を流れ易くすることもできる。
低屈折率領域21の上部、又は図示しないが散乱損失構造部を設ける場合において、その上部に設ける場合においては、これらの間において高い光出力が得られる場合に、そのレーザー光を遮光することなく、光出力を効率よく得ることが可能となる。
一方、空孔等より成る低屈折率領域21の上部ではなく、その間に連結部13を設けることによって、空孔を低屈折率材料によって埋め込む等の工程を省略することができて、製造工程の簡易化を図ることができる。図5及び図6において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
上述したように、中心位置に第1の上部電極12Aを設けることによって、電流密度の面内分布を変えることができるが、これにより、共振器内部における温度分布も目的に合わせて変化させて、熱の影響による屈折率変化も面内で均一化、もしくは所定の分布をもたせることが可能である。すなわち、目的に合わせて種々の屈折率分布をもたせることができる。
例えば、屈折率変化に分布をもたせるために、共振器の中心付近のみに電流を注入したい場合には、図7に示すように、中心位置のみに上部電極12を設けてもよい。
更に、例えば前述の図4に示すように、発光パターンが例えば低屈折率領域の間に高い出力値となるいわば花びら形の発光パターンとなる場合、図8に示すように、この高光出力領域のみを開口部とする形状の一体型の上部電極12を設けてもよい。図7及び図8において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
以上説明した例においては、低屈折率領域として空孔を設ける例について説明したが、本発明は以上の例に限定されることなく、その他の低屈折率材料が充填されて成る低屈折率領域や、イオン注入による散乱損失構造部が設けられる場合においても適用し得ることはいうまでもない。
また、酸化狭窄型面発光半導体レーザーに限ることなく、例えばイオン注入により電流通路を構成する場合においても、電流密度が電流通路内において不均一となり、特に外周側において中心部と比べて発光出力が高い発光パターンとなる場合に、本発明を適用することによって、レーザー光出力を低下することなく、電流密度の均一化を図ることができると考えられる。
本発明は、その他の各種構成の面発光半導体レーザーに本発明構成を逸脱しない範囲において、適用し得ることはいうまでもない。
次に、本発明による面発光半導体レーザーから成る光源装置を具備する光学装置の実施の形態例を、図9〜図11を参照して説明する。
〔光学装置の第1の実施の形態例〕
この実施の形態例においては、光学装置の一例としての、CD(コンパクトディスク)等の光記録媒体の記録/再生に用いられる光ピックアップ装置に関して説明する。
この実施の形態例における光学装置すなわち光ピックアップ装置31は、図9にその概略構成図を示すように、本発明による半導体レーザー(図示せず)を有する光源装置32と、所望の光スポットを形成するグレーティング33と、特定の偏光のみを透過する偏光ビームスプリッタ34と、コリメータレンズ35a及び35bと、1/4波長シフト板36と、光学記録媒体37と、円柱レンズ38と、光検出器39とを有する。
光源装置32より出射された、本発明による面発光半導体レーザーによるレーザー光は、グレーティング33及び偏光ビームスプリッタ34を通過し、コリメータレンズ35aで平行化され、1/4波長シフト板36で円偏光とされ、コリメータレンズ35bによって光学記録媒体37上で焦点を結び、例えばピット面で反射された光が、コリメータレンズ35b、1/4波長シフト板36で直線偏光とされ、コリメータレンズ35aを経由して、偏光ビームスプリッタ34で反射された後、円柱レンズ38を経て光検出器39に集束される。
光源装置32は、本発明による面発光半導体レーザーを有するものであり、この面発光半導体レーザーは、活性層を挟んで第1及び第2のDBRが配置されて垂直方向の共振器が形成され、共振器の外周部に例えば低屈折率領域を構成する空孔すなわち孔部が、共振器の周方向に間歇的に配置されて成り、少なくともこの孔部の上部と底部との間に、遮光手段が設けられて成るものとすることができる。
この構成による光学装置においては、光源装置32を構成する本発明による面発光半導体レーザーによって、横モードが単一かつ高出力のレーザー光の出射がなされることから、光学記録媒体37に対する記録/再生において、動作の高速化が可能となり、またその戻り光ノイズが低減化され、記録再生特性に優れた光学装置を提供することができる。
〔光学装置の第2の実施の形態例〕
この実施の形態例においては、光学装置の一例としての、例えばレーザープリンターにおける感光体に対する露光作用がなされる投影光学装置に関して説明する。
この実施の形態例における光学装置すなわちレーザープリンター用投影光学装置41は、例えば、図10Aにその概略構成図を示すように、本発明による面発光半導体レーザー(図示せず)を有する光源装置42と、拡大光学系43と、ミラー44と、感光体45とから成る構成とすることができる。
この例においては、光源装置42を構成する光源は、本発明による半導体レーザー(図示せず)を2次元的に多数集積されて成るVCSELアレイ構造を有し、光源装置42より出射されたレーザー光は、拡大光学系43を経由してミラー44によって感光体45に照射されて、所望のパターンの感光がなされる。
また、この実施の形態例における光学装置すなわちレーザープリンター用投影光学装置41は、例えば、図10Bにその概略構成図を示すように、光源装置46と、例えばポリゴンミラー又はガルバノミラーによる可動式ミラー47と、ミラー48と、感光体49とから成る構成とすることもできる。
この例においては、本発明による面発光半導体レーザー(図示せず)を有する光源装置42から出射されたレーザー光は、可動式ミラー47によって、ミラー48に対して2次元的に投影をなされ、感光体49に照射されて、これにより所望のパターンの感光がなされる。
これらの構成による光学装置においては、光源装置42を構成する本発明による面発光半導体レーザーによって、横モードが単一かつ高出力のレーザー光の出射がなされることから、感光体45に対する投影において、高出力のレーザー光による高速な出力が可能となるとともに、戻り光ノイズが低減化されることから、ノイズによる投影の乱れが抑制され、比較的鮮明なパターンの投影が可能となるものである。
〔光学装置の第3の実施の形態例〕
この実施の形態例においては、光学装置の一例としての通信装置に関して説明する。
この例においては、光学装置51は、図11にその概略構成図を示すように、光源装置すなわち送信装置52と、光ファイバ53と、受信装置54とを有する。
光源装置52は、本発明による面発光半導体レーザー(図示せず)を有するものであり、この面発光半導体レーザーは、活性層を挟んで第1及び第2のDBRが配置されて垂直方向の共振器が形成され、共振器の外周部に例えば低屈折率領域を構成する孔部が、共振器の周方向に間歇的に配置されて成り、そして少なくともこの孔部の上部と底部との間に遮光手段を設ける構成とする。
このような構成による光学装置51によれば、光源装置52を構成する本発明による面発光半導体レーザーによって、横モードが単一かつ高出力のレーザー光の出射がなされるとともに、特にその戻り光のイズの低減化を図ることができることから、通信性能に優れた光学装置すなわち通信装置を提供することができる。
以上、本発明による面発光半導体レーザー及びこれを用いた光学装置の実施の形態例について説明したが、本発明はこれらの実施の形態例に限られるものではなく、種々の変形、変更が可能である。
例えば本発明による光学装置の光源装置を構成する面発光半導体レーザーは、その他例えばフォトニック結晶を構成する孔部を設ける構成とすることもでき、またその他各種の孔部を設ける面発光半導体レーザー及びこれを用いた光学装置に本発明を適用することができることはいうまでもない。
また、本発明による面発光半導体レーザーから成る光源装置を具備する光学装置においては、実施の形態例として挙げた通信装置のほか、伝送装置あるいは光集積回路装置など、本発明による面発光半導体レーザーから成る光源装置を具備する種々の装置を構成することも可能である。
そして、本発明による光学装置においては、単一基板上或いは複数の基板上に面発光半導体レーザーが複数個形成された所謂アレイレーザーとして構成することもできるなど、本発明による面発光半導体レーザー及び光学装置は本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更をなされ得る。
本発明による面発光半導体レーザーの一例の概略平面構成図である。 本発明による面発光半導体レーザーの一例の概略斜視図である。 比較例による面発光半導体レーザーの一例の概略平面構成図である。 比較例による面発光半導体レーザーの一例の発光パターンを示す図である。 本発明による面発光半導体レーザーの一例の概略平面構成図である。 本発明による面発光半導体レーザーの一例の概略平面構成図である。 本発明による面発光半導体レーザーの一例の概略平面構成図である。 本発明による面発光半導体レーザーの一例の概略平面構成図である。 本発明による光学装置の一例としての光ピックアップ装置の概略構成図である。 Aは本発明による光学装置の一例としてのレーザープリンター用投影装置の概略構成図である。Bは本発明による光学装置の一例としてのレーザープリンター用投影装置の概略構成図である。 本発明による光学装置としての通信装置の一例の概略構成図である。
符号の説明
1・・・面発光半導体レーザー、2・・・下部電極、3・・・基板、4・・・バッファ層、5・・・第1のDBR、6・・・第1のクラッド層、7・・・活性層、8・・・第2のクラッド層、9・・・第2のDBR、10・・・キャップ層、11・・・絶縁膜、11w・・・開口部、12・・・上部電極、12A・・・第1の上部電極、12B、第2の上部電極、12a・・・リング部、18・・・酸化狭窄層、18A、酸化狭窄開口、21・・・低屈折率領域、21a・・・対向端、31・・・光学装置(光ピックアップ装置)、32・・・光源装置、33・・・グレーティング、34・・・偏光ビームスプリッタ、35a・・・コリメータレンズ、35b・・・コリメータレンズ、36・・・1/4波長シフト板、37・・・光学記録媒体、38・・・円柱レンズ、39・・・光検出器、41・・・光学装置(レーザープリンター用投影光学装置)、42・・・光源装置、43・・・拡大光学系、44・・・ミラー、45・・・感光体、46・・・光源装置、47・・・可動式ミラー、48・・・ミラー、49・・・感光体、51・・・光学装置(通信装置)、52・・・光源装置、53・・・光ファイバ、54・・・受信装置

Claims (26)

  1. 活性層を挟んで第1及び第2のDBR(Distributed Bragg Reflector)が配置されて垂直方向の共振器が形成された面発光半導体レーザーであって、
    上記共振器の外周部に、散乱損失を生じさせる散乱損失構造部が配置され、該散乱損失構造部が、レーザーの主たる電流通路と対向する少なくとも1つ以上の対向端を有して成り、
    上記共振器の上部電極の少なくとも一部が、上記レーザーの出射口の略中心位置に設けられて成る
    ことを特徴とする面発光半導体レーザー。
  2. 上記面発光半導体レーザーには、上記電流通路を規制する酸化狭窄層が設けられ、
    上記酸化狭窄層に設けられる酸化狭窄開口が、少なくとも上記散乱損失構造部の上記対向端の外周側に設けられて成る
    ことを特徴とする請求項1記載の面発光半導体レーザー。
  3. 上記レーザーの出射口の略中心位置に第1の上部電極を設けるとともに、上記散乱損失構造部の周囲に略リング状の第2の上部電極が設けられて成る
    ことを特徴とする請求項1記載の面発光半導体レーザー。
  4. 上記レーザーの出射口の略中心位置に第1の上部電極を設けるとともに、上記散乱損失構造部の周囲に略リング状の第2の上部電極が設けられて成る
    ことを特徴とする請求項2記載の面発光半導体レーザー。
  5. 上記第1及び第2の上部電極を接続する連結部が、上記散乱損失構造部の上部に設けられて成る
    ことを特徴とする請求項3記載の面発光半導体レーザー。
  6. 上記第1及び第2の上部電極を接続する連結部が、上記散乱損失構造部の上部に設けられて成る
    ことを特徴とする請求項4記載の面発光半導体レーザー。
  7. 上記第1及び第2の上部電極を接続する連結部が、上記散乱損失構造部の間の上部に設けられて成る
    ことを特徴とする請求項3記載の面発光半導体レーザー。
  8. 上記第1及び第2の上部電極を接続する連結部が、上記散乱損失構造部の間の上部に設けられて成る
    ことを特徴とする請求項4記載の面発光半導体レーザー。
  9. 上記連結部が、複数設けられて成る
    ことを特徴とする請求項5記載の面発光半導体レーザー。
  10. 上記連結部が、複数設けられて成る
    ことを特徴とする請求項6記載の面発光半導体レーザー。
  11. 上記連結部が、複数設けられて成る
    ことを特徴とする請求項7記載の面発光半導体レーザー。
  12. 上記連結部が、複数設けられて成る
    ことを特徴とする請求項8記載の面発光半導体レーザー。
  13. 活性層を挟んで第1及び第2のDBRが配置されて垂直方向の共振器が形成された面発光半導体レーザーであって、
    上記共振器の外周部に、レーザーの主たる電流通路と対向する少なくとも1つ以上の対向端を有する空洞もしくは空洞に低屈折率物質が充填されて成る低屈折率領域が配置され、
    該低屈折率領域の対向端の、主たる電流通路の通電方向と交叉する断面形状が、レーザーの主たる電流通路の中心方向に向かって先細形状とされ、
    上記共振器の上部電極の少なくとも一部が、上記レーザーの出射口の略中心位置に設けられて成る
    ことを特徴とする面発光半導体レーザー。
  14. 上記面発光半導体レーザーには、上記電流通路を規制する酸化狭窄層が設けられ、
    上記酸化狭窄層に設けられる酸化狭窄開口が、少なくとも上記低屈折率領域の上記対向端の外周側に設けられて成る
    ことを特徴とする請求項13記載の面発光半導体レーザー。
  15. 上記レーザーの出射口の略中心位置に第1の上部電極を設けるとともに、上記低屈折率領域の周囲に略リング状の第2の上部電極が設けられて成る
    ことを特徴とする請求項13記載の面発光半導体レーザー。
  16. 上記レーザーの出射口の略中心位置に第1の上部電極を設けるとともに、上記低屈折率領域の周囲に略リング状の第2の上部電極が設けられて成る
    ことを特徴とする請求項14記載の面発光半導体レーザー。
  17. 上記第1及び第2の上部電極を接続する連結部が、上記低屈折率領域の上部に設けられて成る
    ことを特徴とする請求項15記載の面発光半導体レーザー。
  18. 上記第1及び第2の上部電極を接続する連結部が、上記低屈折率領域の上部に設けられて成る
    ことを特徴とする請求項16記載の面発光半導体レーザー。
  19. 上記第1及び第2の上部電極を接続する連結部が、上記低屈折率領域の間の上部に設けられて成る
    ことを特徴とする請求項15記載の面発光半導体レーザー。
  20. 上記第1及び第2の上部電極を接続する連結部が、上記低屈折率領域の間の上部に設けられて成る
    ことを特徴とする請求項16記載の面発光半導体レーザー。
  21. 上記連結部が、複数設けられて成る
    ことを特徴とする請求項17記載の面発光半導体レーザー。
  22. 上記連結部が、複数設けられて成る
    ことを特徴とする請求項18記載の面発光半導体レーザー。
  23. 上記連結部が、複数設けられて成る
    ことを特徴とする請求項19記載の面発光半導体レーザー。
  24. 上記連結部が、複数設けられて成る
    ことを特徴とする請求項20記載の面発光半導体レーザー。
  25. 光源装置を具備する光学装置であって、
    該光源装置が、面発光半導体レーザーを有し、
    該面発光半導体レーザーが、活性層を挟んで第1及び第2のDBRが配置されて垂直方向の共振器が形成された面発光半導体レーザーとされ、
    上記共振器の外周部に、散乱損失を生じさせる散乱損失構造部が配置され、該散乱損失構造部が、レーザーの主たる電流通路と対向する少なくとも1つ以上の対向端を有して成り、
    上記共振器の上部電極の少なくとも一部が、上記レーザーの出射口の略中心位置に設けられて成る
    ことを特徴とする光学装置。
  26. 光源装置を具備する光学装置であって、
    該光源装置が、面発光半導体レーザーを有し、
    該面発光半導体レーザーが、活性層を挟んで第1及び第2のDBRが配置されて垂直方向の共振器が形成された面発光半導体レーザーとされ、
    上記共振器の外周部に、レーザーの主たる電流通路と対向する少なくとも1つ以上の対向端を有する空洞もしくは空洞に低屈折率物質が充填されて成る低屈折率領域が配置され、該低屈折率領域の対向端の、主たる電流通路の通電方向と交叉する断面形状が、レーザーの主たる電流通路の中心方向に向かって先細形状とされ、
    上記共振器の上部電極の少なくとも一部が、上記レーザーの出射口の略中心位置に設けられて成る
    ことを特徴とする光学装置。
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