JP3857632B2 - 垂直共振器型面発光レーザ素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信や光伝送技術の光源として用いられる垂直共振器型面発光レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、光通信や光伝送などの分野では、出射光のコヒーレンシーが高く高速動作が可能であること、或いは非常に小型であることから、光源として半導体レーザが広く用いられている。中でも、ビームが円形であること、素子基板に対し垂直方向に出力光を取り出せること、しきい値電流が低くできること、製造時にウェハ状態での検査が可能でコストが低いことなどの理由から、垂直共振器型の面発光レーザ素子(以下、VCSELと記す)が多く用いられるようになってきている。
【0003】
VCSELは、端面発光型半導体レーザと異なり、活性層が波長に比べて十分大きく面方向に広がっているため、高次横モードが存在しやすい構造になっている。実際、市販のVCSELの大部分は多数の横モードで発振する。それぞれの横モードは、マルチモードファイバなどの伝送路に対する伝送特性が異なる。そのため、多数の横モードが発振した場合、温度の揺らぎや高速にデジタル信号で変調されることにより、モード間でのエネルギーの授受が起こって伝送特性が時間的に変動してしまう現象(いわゆるモーダルノイズ)や、各モード間での伝送遅延時間差により時間軸ジッタが大きくなる現象(モード分散)などが生じ、伝送特性が劣化する。
【0004】
この伝送特性の劣化を抑制するために、横モードをなるべく単一モードで発振するように、活性層の大きさ(面内方向)を小さくしてやることで高次横モードの励振を抑圧して単一横モード化している。理想的には、活性領域を面内方向に1/2波長程度まで絞り込んで、光を閉じ込めることで、基本横モードのみが定在波として存在できるようにすることが可能となるが、微小な領域に電流を注入する必要があるため素子抵抗が非常に高くなり、高速応答が不可能となる。さらに、高抵抗層に電流を注入することによる温度上昇によって利得の低下を招く。
【0005】
そこで、ある程度広い活性層のなかで、モード毎の利得差を利用して単一横モードの発振を得ている。例えば、(1)基本横モードのみが活性層領域の中心付近にピークを持つことを利用し、上部(出力側)DBRを一部エッチングして反射率を制御して利得の空間的分布をつける方法、(2)横モード間の微妙な波長の違いを利用して、外部共振器や波長フィルタをつける方法、などがある。
【0006】
(1)の例として、図13に示す構造がある(非特許文献1)。半導体基板上101上に、下部DBR反射鏡102、活性層及び上下クラッド層を含む発光領域層103、上部DBR反射鏡104が積層されている。上部DBR反射鏡104の下部に選択酸化層105が形成され、これにより電流狭窄構造が構成されている。最上部にリング状コンタクト電極106が形成され、基板101の下面にべた状コンタクト電極107が形成されている。
【0007】
また、上部DBR反射鏡104の表面に、発光領域中心軸付近を残してリング状の周辺部108がエッチングにより形成されている。ここで、上部DBR反射鏡104の中心付近は反射率が高いように設定され、リング状にエッチングした部分108の反射率が低くなるように設定されている。
【0008】
この構造においては、0次基本横モードが発光領域中心軸付近に発光のピークを持ち、1次の高次横モードが周辺部に発光ピークを持つ。これにより、高次横モードに対する利得が下がり、モード間の利得差を大きくすることができ、選択的に基本横モードのみが発振しやすくしている。
【0009】
(2)の例として、図14に示すような構造がある(特許文献1)。図14の(a)は素子構造、(b)は発光時のニアフィールドパターン、(c)は発光時のスペクトルを示す図である。半導体基板201上に、下部DBR反射鏡202、下部クラッド層203、活性層204、上部クラッド層205、上部DBR反射鏡206、上部電極207と順に形成し、半導体基板201の裏面に開口部208aを持つ下部電極208を形成し、開口部208aに波長フィルタ209を設けている。
【0010】
この例では、基本横モードと高次横モード間に僅かな共振波長の差があることを利用し、波長選択フィルタ209によって高次横モードを光学的にフィルタリングすると共に、開口部208aの大きさを基本横モードのビーム径(図14(b)中の破線で示す)より少し大きい寸法にすることで、高次横モードに対して電極によるマスクを施している。これにより、外部に取り出される光を基本横モードに制限している。
【0011】
しかしいずれの場合にも、共振器特性で横モードを規定するため、温度や電流分布などの変動により各モードに対する利得が変動し、条件によっては意図しないモードの発振が励起されて所望のモードよりも強い発光を示すことすらある。
【0012】
図13の例では、注入電流値が大きくなったり大振幅で変調がかかると、活性層内での電流分布やそれに伴う温度分布などにより、各横モードに対する利得が変動する。結果的に、高次横モードと基本横モードの利得差が小さくなり、或いは逆転して、意図しない高次横モードの発振が起こり得る。
【0013】
図14の例では、上述同様電流分布や温度分布による活性層面内での空間的な利得の分布が変化し、基本横モードの位置が変動したり、意図しない高次横モードのみが発振する場合すらある。これらの問題は全て、活性層領域内での利得の分布が電流や温度分布により変動することに起因している。
【0014】
一方、活性層面内での発光を規定する例として、活性層に周期構造を持ち込むことで、面内方向への発光を制限して、全体の発光に対する面方向へ発光成分を増加させる試みがなされている(特許文献2)。この例は、図15に示すように、基板311上に、下部DBR反射鏡312、バッファ層313、活性層321、バッファ層314、上部DBR反射鏡315が積層された構造で、VCSEL構造になっている。なお、図15(a)は斜視図であり、バッファ層313及び314は図示されていない。図15(b)は断面図である。
【0015】
活性層321を同心円状のフォトニック構造とすることにより、横方向のフォトニックバンドを生成して、横方向への発光を制限している構造になっている。この構造により、同心円活性層321からの発光パターンは、電流分布などによる活性層面内での空間的な位置の変動が抑えられる構造になっている。
【0016】
しかしながら、この場合にも積層方向(縦方向)の発光の制限は、共振器によるものであり、横モードは多数存在可能な構造であり、横モードの対策は何ら施されていない。このため、電流分布や温度分布の変動によらない横モード単一化は実現されない。
【0017】
同様に、量子細線構造などを使用して、面内での活性層利得の分布を作ることにより横モード制御をする方法なども提案されている(特開平6−177480号公報)。しかし、量子構造(量子細線や量子ドット)とするためには一般に、光の波長以下の微細構造が必要となり、通常の活性層(量子井戸構造)に比較するとその寸法は非常に小さいものとなるため、製造時の再現性や均一度に困難を伴う。さらに、体積が非常に小さいため、活性領域からの発光を大きくすることは困難であるという問題がある。
【0018】
【特許文献1】
特開平8−236852号公報
【0019】
【特許文献2】
特開平8−213711号公報
【0020】
【非特許文献1】
IEEE Photonics Technology Letters,Vol.11,No.12,pp.1536-1538,1999
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来、垂直共振器型面発光レーザ素子においては、温度変化や変調などによる大きな電流分布変動によって横モードが変化し、時間的にそれぞれの空間的な分布や強度分布が一定しないため、高速信号伝送や通信時に横モード変動に起因する信号の変動雑音が生じ、伝送特性が悪化するという課題があった。
【0022】
本発明は、上記事情を考慮して成されたもので、その目的とするところは、温度変化や変調などによる大きな電流分布変動による時間的空間的な横モードの変動を抑えることができ、高速信号伝送時のモード毎の伝送特性の違いに起因するモード雑音を抑制することのできる垂直共振器型面発光レーザ素子を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
(構成)
上記課題を解決するために本発明は、次のような構成を採用している。
【0024】
即ち本発明は、第1の反射鏡と、この第1の反射鏡上に形成された活性層を含む発光領域層と、この発光領域層上に形成された透明バッファ層と、この透明バッファ層上に形成された第2の反射鏡とを備え、各反射鏡及び各層の積層方向に沿ってレーザ光を出力する垂直共振器型面発光レーザ素子であって、前記活性層は、レーザ発振可能な光利得を持つと共に、非発光又は低光利得である不活性層により分割される同心構造を有し、該分割された活性層が各々前記同心構造の中心点からの放射方向に単一横モード発振となる幅に制限され、かつ該分割された活性層の間隔が互いに位相同期発振可能な寸法であり、前記バッファ層は、前記同心構造による回折光の0次回折光と1次以上の高次回折光とを空間的に分離し得る厚さに設定され、第2の反射鏡は、前記0次回折光を反射し、前記高次回折光を反射しない範囲に選択的に形成されていることを特徴とする。
【0025】
また本発明は、第1の反射鏡と、この第1の反射鏡上に形成された活性層を含む発光領域層と、この発光領域層上に形成された透明バッファ層と、この透明バッファ層上に形成された第2の反射鏡とを備え、各反射鏡及び各層の積層方向に沿ってレーザ光を出力する垂直共振器型面発光レーザ素子であって、前記活性層は、レーザ発振可能な光利得を持つと共に、非発光又は低光利得である不活性層により分割される同心構造を有し、該分割された活性層が各々前記同心構造の中心点からの放射方向に単一横モード発振となる幅に制限され、かつ該分割された活性層の間隔が互いに位相同期発振可能な寸法であり、前記バッファ層は、前記同心構造による回折光の0次回折光,1次回折光,及び2次以上の高次回折光を空間的に分離し得る厚さに設定され、第2の反射鏡は、前記1次回折光を反射し、前記0次回折光及び高次回折光を反射しない範囲に選択的に形成されていることを特徴とする。
【0026】
ここで、本発明の望ましい実施態様としては次のものが挙げられる。
【0027】
(1) 反射鏡は、分布ブラッグ反射鏡(DBR)であること。
【0028】
(2) 同心構造が、円及び円環からなる同心円構造であること。
【0029】
(3) バッファ層の厚さをLとし、同心円構造の直径をDa、同心円構造による1次回折光の回折角をθとしたとき、第2の反射鏡の中心軸が、同心円構造の中心軸と一致し、かつ第2の反射鏡の直径DmがDa<Dm<Ltanθを満たすこと。さらに、1次回折光のビーム広がり角をθ1としたとき、第2の反射鏡の中心軸が、同心円構造の中心軸と一致し、かつ第2の反射鏡の直径DmがDa<Dm<Ltan(θ−θ1)を満たすこと。
【0030】
(4) 第2の反射鏡上に1次回折光を平行光にする円錐プリズムを設けたこと。
【0031】
(5) 同心構造が楕円及び楕円環からなる同心楕円構造であり、楕円及び楕円環の各長辺方向及び短辺方向が一致しており、楕円及び楕円環の長径方向が活性層の利得が大きい結晶方位と一致していること。
【0032】
(6) 同心構造が長方形及び長方形枠形からなる同心長方形構造であり、長方形及び長方形枠形の各辺がそれぞれ平行であり、長方形及び長方形枠形の長辺方向が活性層の利得が大きい結晶方位と一致していること。
【0033】
(7) バッファ層と発光領域層との間に、第1の反射鏡との組み合わせでは活性層がレーザ発振を起こさない程度に低い反射率を有する部分反射鏡を有すること。第2の反射鏡の一部が、バッファ層と発光領域層との間に部分反射鏡として形成されていること。
【0034】
(8) バッファ層と発光領域層との間に、電流狭窄のために絶縁膜又は高抵抗膜が選択的に形成されていること。
【0035】
(作用)
本発明によれば、活性層に周期構造を導入し活性面内での発光の分布を制御して、横モードを空間的に安定かつ、分離可能なパターンに制限すると共に、共振器により所望の横モードを空間的に選択することのできる構造を採用することにより、温度や電流分布の変動による横モードの変動を小さくすることができる。
【0036】
より具体的には、活性層を例えば中心円及び複数のリングからなる同心円構造とし、中心円直径及び各リングの幅を基本モード単一で発光可能な小さい幅とする。これにより、回折格子と同様の効果が得られ、遠視野での発光パターンが中心円(0次光)とリング状の高次光に分離される。そして、これら各次数のモードが空間的に分離された位置に選択的にDBR共振器を配置することにより、所望の横モードのみを選択的に発光させる構造を実現することで、前述した問題を解決することが可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0038】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を説明するためのもので、(a)は全体構成を示す断面図、(b)は活性層構成を示す平面図、(c)は放射光強度分布を示す図である。
【0039】
図1(a)に示すように、n型GaAsから成る半導体基板1上に、Siドープされたn型AlAs/Al0.15Ga0.85Asの四分の一波長積層半導体層からなる下部DBR反射鏡2、Al0.2 Ga0.8 As/GaAsの多重量子井戸からなる活性層を含む発光領域層4が積層されている。発光領域層4上には発振波長近傍で透明なAlx Ga1-x As(0.3≦x≦0.6)からなる厚いバッファ層5が形成され、バッファ層5上にはCドープされたp型AlAs/Al0.15Ga0.85As四分の一波長積層半導体層からなる円状の上部DBR反射鏡7が部分的に形成されている。
【0040】
そして、上部DBR反射鏡7を囲むようにバッファ層5上に、AuZnからなる電気的コンタクト用のリング状電極8が形成されている。また、半導体基板1の裏面には、AuGeなどからなる裏面電極9が形成されている。これにより、積層方向に沿ってレーザ光を出力する垂直共振器型面発光レーザ素子となっている。
【0041】
活性層を含む発光領域層4は、Alx Ga1-x As(0.3≦x≦0.6)からなる下部クラッド層4−3と上部クラッド層4−4の間に、図1(b)に示すような中心円及び円環からなるレーザ発振可能な光利得を有する活性層4−1と、非発光或いは光利得が低い不活性層4−2とからなる同心円構造を持つ。活性層4−1の直径又は円環の幅は、同心円の半径方向に対して、円環内の光強度分布が単峰である単一横モードでの発振が可能な幅を持つ。また、各活性層4−1は互いに光学的に結合があり、位相同期が可能な間隔で配置される。
【0042】
この同心円構造により、活性層4−1に電流注入された時、各活性層4−1から誘導放出によってコヒーレントに発光した場合、それぞれの活性領域からの発光が干渉し、図中に示されたような0次光10と、ある特定の回折角を持つ高次光11に空間的に分離されることになる。実際には、誘導放出を起こすためには共振器の存在が必要であるため、図に示した矢印は仮想的な光である。例えば、活性層4−1の幅が0.8μmで、不活性層4−2の幅が0.4μmである時、±1次光の回折角は、約12.5°になる。この場合の同心円構造による回折角に対する光強度分布を、図1(c)に示す。なお、円及び円環の数は、中心円と4重の円環について計算した図である。
【0043】
そこで、上部DBR反射鏡7を所望のモードに相当する空間的な位置にのみ置くことにより、所望のモードのみが誘導放出を起こしレーザ発振可能となるように設定することができる。このとき、高次横モードを分離可能な位置に置くための条件として、以下のような位置関係を取る必要がある。
【0044】
図2において、11−1,11−2は、それぞれ同心円構造により回折された+1次,−1次光である。これらは活性層近傍では、0次光ビーム10を含めて空間的には分離されておらず、重なり合った状態にある。そして、活性層4−1から法線方向への距離Lが
L>Da/tanθ(=Lo) …(1)
を満たす範囲で、分離される。つまり、L≦Loの位置では各回折光が空間的には分離されていないため、同時に発振してしまう。ここで、Daは活性層4−1の最外郭円環の外円直径である。さらに、後述するように上部クラッド層4−4の厚さは極めて薄いため、活性層4−1から法線方向への距離Lは、実質的にはバッファ層5の厚さである。
【0045】
また、高次の回折光は、回折角方向にある角度広がり(±θ1=2θ1)を持ったビームを形成するため、実際にはこの広がりの影響を考慮した距離だけLoより離して上部DBR反射鏡7を置く必要がある。これによりバッファ層5の厚さが決定される。従って、各寸法関係は
Da<Ltan(θ−θ1) …(2)
と書ける。
【0046】
例えば、前述の例で、円の周囲の円環の数を4とすると、Da=10.4μmである。このとき、Loは約47μmとなる。1次光の広がり角を1次光ピークに対して1/10以下になった角度と定義すると約1°となるため、活性層4−1と上部DBR反射鏡7との距離Lは、約51μm以上必要である。つまり、バッファ層5の厚さが、約51μm以上必要である。この厚さは、通常のVCSELに比較すると非常に厚く、結晶成長で作製するには困難があるが、後述するように、基板接着技術を応用することで実現可能である。
【0047】
また、図2のように、0次光を選択する場合、上部DBR反射鏡7は、同心円活性層4−1の中心軸を含む中心付近に、0次光のみ反射する位置に置かれる。このとき、上部DBR反射鏡7は、中心軸が同心円活性層4−1の中心軸と一致し、直径DmがDaより大きい方が好ましい。何故なら、上部DBR反射鏡7の外側に対応した円環状活性層4−1では上下方向に共振器が形成されず、基本モードでも発振が不可能になるため、活性層として有効に機能せず、単なるロス媒体となるためである。
【0048】
従って、上述の寸法関係と合わせて、Dmの望ましい範囲は、
Da<Dm<Ltan(θ−θ1) …(3)
と定義される。また、上部DBR反射鏡7以外の部分からの迷光が表面から出力されて、雑音となることを防止するために、光出力面の上部DBR反射鏡以外の部分をなるべくリング状電極8でマスクすることが望ましい。
【0049】
以上で述べた図1、図2の構造は、次に述べるような方法で実現される。例えば、半導体基板1上に通常の結晶成長技術等を用いて、下部DBR反射鏡2、下部クラッド層4−3を積層形成した後、全面に活性層を形成する。その後、上部クラッド層4−4を形成しておく。
【0050】
ここで、全面に形成した活性層が同心円構造に残るように、レジストやSiNxなどの誘電体膜をマスクとしてZnAs2 を拡散源としてZn元素を600〜700℃程度で拡散させて無秩序化し、不活性層4−2を形成する。このときの上部クラッド層4−4が厚いと、同心円構造が微細な構造になった場合、活性層の深さまで拡散させた場合に、横方向の拡散も同時に起こって微細構造が形成できなくなる。このため、上部クラッド層4−4の厚さは、同心円構造の円環の幅と同等程度まで薄くしておく。また、不活性層4−2の形成は、ZnやSiのイオン注入後にアニールを行って無秩序化を行うことや、プロトンインプラにより高抵抗化させることでも実現可能である。
【0051】
次いで、別の支持基板に張り合わされた厚いバッファ層5を、基板接着などの技術を用いて、発光領域層4の上部クラッド層4−4と貼り合わせる。その後に、支持基板を除去する。バッファ層5は、上部クラッド層4−4と同じ材料であっても良い。
【0052】
次いで、バッファ層5上に上部DBR反射鏡7を全面に形成し、所望の位置のみドライエッチングなどの手法で上部DBR反射鏡7をパターニングする。このとき、全面への上部DBR反射鏡形成時に、高温となり押し込み拡散によって同心円の微細構造が崩れる虞のある場合には、DBR反射鏡7を作成したバッファ層5を基板接着しても良い。最後に、電極8を形成することによりレーザ素子が完成する。
【0053】
このように本実施形態によれば、活性層4−1を中心円及び複数のリングからなる同心円構造とし、中心円直径及び各リングの幅を基本モード単一で発光可能な小さい幅とすることにより、回折格子と同様の効果が得られ、遠視野での発光パターンが中心円(0次光)とリング状の高次光に分離される。そして、これら各次数のモードが空間的に分離された位置に上部DBR反射鏡7を選択的に配置することにより、所望の横モードのみを選択的に発光させる構造を実現することができる。従って、温度や電流分布の変動による横モードの変動を小さくすることができる。
【0054】
また、本実施形態の構成においては、活性層4−1が半径方向に対して基本横モードのみ発振する条件下では、出力光は常に所望のモードのみに限定される。各活性層4−1の幅を、電流注入やそれに伴う温度分布などに対してなるべく半径方向には単一横モードでの発振が可能であるような寸法にすることによって、結果として電流注入や温度によらず単一横モード動作可能な素子を実現することが可能である。
【0055】
一方、従来の活性層構造では、直径が0.8μmというような小さな領域に閉じ込めると、非常に抵抗値が上昇し、電流を流したときの温度上昇も大きくなってしまう。これに対し本実施形態によれば、素子抵抗は活性層4−1全体の面積に依存するため、高抵抗化を抑制することができる。例えば、上記の例で、円及び円環の数を4個とすると、面積では直径8.8μmの円とほぼ同じ面積になり、低い抵抗値を得ることが可能であり、高速駆動が可能となる。更に抵抗を下げる場合には、円環の数を増やし、バッファ層5を厚くすれば良い。
【0056】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0057】
本実施形態が先に説明した第1の実施形態と異なる点は、発光領域層4とバッファ層5との間に選択酸化膜などからなる高抵抗領域(電流狭窄構造)6を設けたことにある。
【0058】
発光領域層4において、不活性層4−2を通じて流れる電流は、レーザ発振には寄与しないため、この電流が占める割合が多いとしきい値の上昇を招くことになる。そこで、本実施形態のように通常のVCSELと同様に、上部クラッド層4−4上の円形の発光領域以外の部分に高抵抗領域6を形成することにより、不活性層4−2を通じて流れる電流を低減し、しきい値の上昇を抑制することができる。
【0059】
(第3の実施形態)
図4は、本発明の第3の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0060】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、同心円構造の活性層の作り方にある。第1の実施形態では、不純物の拡散により不活性層4−2を形成することにより同心円構造の活性層4−1を形成しているが、本実施形態では活性層自体はそのままにしておき、同心円構造の不活性層4−2を形成したい部分に相当する活性層の上に高抵抗領域6を形成している。
【0061】
この構造では、同心円構造の活性層4−1以外の部分に注入される電流密度を下げることで、該部分の光利得を実質的に低下させることができ、不純物拡散等により不活性層4−2を形成したのと同じ効果が得られる。なお、高抵抗領域6は、活性層の上に限らず、下、或いは上下に設けてもよい。また、図では上部クラッド層を省略しているが、第1,第2の実施形態と同様に上部クラッド層を設けてもよいのは勿論のことである。
【0062】
また、本実施形態では不活性層4−2の部分は無秩序化していないが、無秩序化を施した不活性層4−2上に、本実施形態と同様な電流狭窄構造を作ることも有効である。つまり、無秩序化された領域には電流狭窄効果がないため、リーク電流が流れて、実効的に発振しきい値電流が上昇する。そのため、無秩序化した不活性層4−2上に高抵抗領域6を形成することで、活性層の不活性化と電流狭窄を同時に実現可能となるという効果がある。
【0063】
(第4の実施形態)
図5は、本発明の第4の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0064】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、上部DBR反射鏡7を積層方向に2つに分離して設けたことにある。
【0065】
第1の実施形態の構造において、縦方向の光共振器としては、従来のVCSELと比較して長い共振器構造が必要となる。このため、縦モードの不安定性が大きくなるだけでなく、活性層4−1が縦方向の定在波の節にきてしまい、位相整合が取れなくなる虞れがある。この場合、図5に示すように上部DBR反射鏡7を、位相整合を取るための部分反射鏡7−1と高反射率を稼いで共振器を形成するための部分反射鏡7−2に分割し、その間をバッファ用上部クラッド層5で挟む構造にする。
【0066】
このような構成とすることにより、第1の実施形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、定在波を安定化し、位相整合を取りつつ基本横モードのみを選択することが可能となり、より安定した動作が可能となる。
【0067】
(第5の実施形態)
図6は、本発明の第5の実施形態に係わる半導体レーザの活性層構造を示す平面図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0068】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、同心円構造の活性層4−1を分離して形成したことにある。
【0069】
第1の実施形態の構造において、活性層の円環の半径が小さい場合には、中心円で基本モードのみ発振しているため、各円環での相互作用により位相同期発振が保たれるが、円環の半径が大きくなると、円周の長さが長くなり、円周方向の横モードが不安定となることで各円環で位相ずれを起こす可能性が高くなる。この場合には、図6に示すように、円環の一部を切断して扇型状にすることによりモードを安定させることも可能である。
【0070】
本実施形態の構造では、円周方向に1周分で見ると、基本横モードではなく高次のモードとなるが、半径方向には基本横モードが保たれているために、干渉による効果はこれまで述べた実施形態と同様の効果を示し、安定した単峰性の出力が得られる。
【0071】
(第6の実施形態)
図7は、本発明の第6の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0072】
第1〜第5の実施形態では、半径方向の横モードとして基本横モードを選択する例を述べたが、本発明はこれに限定されず、高次横モードを選択することも可能である。
【0073】
本実施形態では、図7に示すように、上部DBR反射鏡7を同心円構造の活性層4−1と中心軸が一致するようにリング状に配置することで、高次横モードに相当する位置に配置した。図7で、10が0次光、11が所望の±1次光、12は2次以上の高次光である。1次の出力光11は基板法線軸に対して一定の広がりを持つ逆円錐状の発光を示す。これにより、1次光のみを上部DBR反射鏡7で反射し、0次光10と2次以上の高次光は上部DBR反射鏡7では反射されなくすることができる。
【0074】
従って本実施形態によれば、1次光のみを選択してレーザ発振させることができる。そしてこの場合、同心円構造の活性層4−1に対向する位置に電極8を配置できるため、円環状の電極を用いるのに比べて、注入電流分布の均一性を高くすることができ、安定した光出力を得ることができるという効果がある。
【0075】
(第7の実施形態)
図8は、本発明の第7の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図である。なお、図7と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0076】
この実施形態は、先の第6の実施形態の構成に加え、光取り出し側に円錐プリズムを設けたものである。
【0077】
第6の実施形態の構成においては、1次の出力光を光ファイバなどに結合させることを考慮すると、出力光ビームの広がり角が大きいと結合効率が低下する。そこで本実施形態では、図8に示すように、素子上面に円錐プリズム13を設置し、基板法線軸に対して一定の広がりを持つ出力光ビームをプリズム13により屈折させて軸方向と平行な光ビームにした。これにより、軸方向に沿った円環出力光を得ることができ、高い効率の結合が可能となる。
【0078】
(第8の実施形態)
図9は、本発明の第8の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図である。なお、図7と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0079】
この実施形態は、円錐プリズムなどの別体を取り付けるのではなく、図9に示すようにレーザ素子自体にモノリシックにプリズム構造を集積したものである。即ち、上部DBR反射鏡7上にプリズム層15が一体形成されている。このプリズム層15は、AlGaAsなどからなる発振波長で透明な材料で作製され、表面が屈折により1次回折光が平行ビームになるような角度に設定されている。
【0080】
本実施形態の構造は、図10に示す方法により実現される。図10では、簡単のため、バッファ層6より上部のみを描いている。図10(a)でバッファ層6、上部DBR反射鏡7を全面に形成したところで、さらに全面にプリズム層15を形成する。この場合、上部DBR反射鏡7は、最外層が空気と接しておらず、プリズム層15に接していることを考慮した積層構造にする必要がある。
【0081】
次いで、図10(b)に示すように、レジスト16をパターニングした後に、ベーキングを行い、図10(c)に示したように半球状に変形させる。その後、塩素系の反応ガス17等を用いてドライエッチングすることにより、レジスト16のパターンがプリズム層15に転写されて、図10(d)の15−1に示したような形状が実現できる。さらに、プリズム層15の不要部分をレジストや誘電膜などをマスク18として用い、ドライエッチングにより上部DBR反射鏡7と共に除去してやることで、前記図9の構造を作製可能である。
【0082】
(第9の実施形態)
図11は、本発明の第9の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0083】
これまでの実施形態では、同心円構造の活性層についてのみ述べてきたが、本発明は必ずしも同心円構造に限定されない。本実施形態では、図11に示すように、活性層4−1を同心楕円構造に形成した。その作り方としては、第1の実施形態と同様に、全面に形成した活性層が同心楕円構造に残るように、不純物の拡散により4−2の部分を無秩序化すればよい。
【0084】
本実施形態の場合、ビーム形状は楕円又は楕円環になるため、それに応じて上部DBR反射鏡7の形状も変更する必要がある。即ち、0次回折光を選択する場合は楕円状に、1次回折光を選択する場合は楕円環状形状が好ましい。活性層を同心楕円構造にすることにより、回折光は活性層の長径方向が短径方向となる同心楕円ビームとなる。しかしながら、上部DBR反射鏡7が存在する部分のみがモードとして存在可能であるので、0次回折光を選択すれば楕円ビームが、1次回折光を選択すれば、楕円環ビームが得られる。
【0085】
ここで、多重量子井戸活性層のゲインが高い方向に楕円の長径方向を一致させるようにすると、偏波が安定するという効果がある。例えば、基板が(100)GaAs基板でAl0.2 Ga0.8 As/GaAs多重量子井戸の活性層を用いた場合は、[011]或いは[01-1]方向を長径方向に一致させることによりそれぞれの方向の偏波モードのゲインが高くなるため、安定した偏波が得られるという効果がある。
【0086】
(第10の実施形態)
図12は、本発明の第10の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0087】
本実施形態では、図12に示すように、活性層4−1を同心長方形構造に形成した。このような同心長方形構造の場合も、第9の実施形態と同様に偏波安定化の効果が得られる。この場合、同心長方形構造の長辺方向を前述の活性層のゲインが高い方向に一致させることにより有効に偏波を安定化できる。このとき得られる回折光は、0次光が光軸中心付近にあり、1次光は同心長方形構造の各辺に直交する方向に傾きを持った4つのビームに分かれる。従って、1次光を選択すると位相の揃ったマルチビームを得ることも可能であるという効果がある。
【0088】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態では、活性層を同心円,同心楕円,又は同心長方形構造に形成した例を説明したが、本発明は必ずしもこれらに限るものではなく、同心構造であれば五角形,六角形,その他の図形にしてもよい。
【0089】
実施形態では、GaAs系材料を用いた850nm程度の波長に発光ピークを持つ素子について述べているが、本発明はこれらの材料に何ら限定されることはなく、他の材料系にも適用可能である。例えば、InP系の材料では活性層を直接エッチングした後に、不活性層4−2としてバンドギャップの広い材料を、平坦に近い状態に埋め込むことができる。そのため、その後に上部クラッド層を薄く形成し、基板接着等の技術で厚い上部クラッド層を形成することもできる。
【0090】
また、GaN系の材料では、活性層の一部をエッチング除去後にAlNで埋め込んだ後に薄いクラッド層を形成して厚いクラッド層を基板接着する方法や、活性層の一部を水素中の熱アニールなどの方法で高抵抗化することにより不活性層を作製し、その後にクラッド層を薄く形成して厚いクラッドを持つ別基板を基板接着技術により張り合わせることにより実現可能である。また、活性層のパターンは、実施形態で述べた回折条件、寸法関係の条件を満たす限り、円環のみからなるパターンでも良い。
【0091】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0092】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、素子抵抗の上昇を抑えつつ、温度変動や変調などで生じる電流分布の変動による時間的空間的な横モードの変動を抑えかつ単一化可能となる。これにより、高速信号伝送時のモードごとの伝送特性の違いに起因するモード雑音を抑制することが可能となり、より高速な信号伝送が可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図及び平面図と放射光強度分布を示す特性図。
【図2】第1の実施形態における各部の寸法関係を説明するための模式図。
【図3】第2の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図4】第3の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図5】第4の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図6】第5の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図7】第6の実施形態に係わる半導体レーザの活性層構造を示す平面図。
【図8】第7の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図9】第8の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図10】第8の実施形態におけるプリズム構造の製造工程を示す断面図。
【図11】第9の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図12】第10の実施形態に係わる半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【図13】従来の半導体レーザの素子構造を示す斜視図と断面図。
【図14】従来の半導体レーザの素子構造を示す断面図と発光スペクトルを示す特性図。
【図15】従来の半導体レーザの素子構造を示す断面図。
【符号の説明】
1…半導体基板
2…下部DBR反射鏡
4−1…活性層
4−2…非活性層
4−3…下部クラッド層
4−4…上部クラッド層
5…バッファ層
6…高抵抗層
7…上部DBR反射鏡
8…リング状電極
9…裏面電極
10…0次光
11…1次光(高次光)
12…2次以上の高次光
13…円錐プリズム
15…プリズム層
16,18…レジスト
17…反応ガス
Claims (9)
- 第1の反射鏡と、この第1の反射鏡上に形成された活性層を含む発光領域層と、この発光領域層上に形成された透明バッファ層と、この透明バッファ層上に形成された第2の反射鏡とを備え、各反射鏡及び各層の積層方向に沿ってレーザ光を出力する垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
前記活性層は、レーザ発振可能な光利得を持つと共に、非発光又は低光利得である不活性層により分割される同心構造を有し、該分割された活性層が各々前記同心構造の中心点からの放射方向に単一横モード発振となる幅に制限され、かつ該分割された活性層の間隔が互いに位相同期発振可能な寸法であり、
前記バッファ層は、前記同心構造による回折光の0次回折光と1次以上の高次回折光とを空間的に分離し得る厚さに設定され、
第2の反射鏡は、前記0次回折光を反射し、前記高次回折光を反射しない範囲に形成されていることを特徴とする垂直共振器型面発光レーザ素子。 - 第1の反射鏡と、この第1の反射鏡上に形成された活性層を含む発光領域層と、この発光領域層上に形成された透明バッファ層と、この透明バッファ層上に形成された第2の反射鏡とを備え、各反射鏡及び各層の積層方向に沿ってレーザ光を出力する垂直共振器型面発光レーザ素子であって、
前記活性層は、レーザ発振可能な光利得を持つと共に、非発光又は低光利得である不活性層により分割される同心構造を有し、該分割された活性層が各々前記同心構造の中心点からの放射方向に単一横モード発振となる幅に制限され、かつ該分割された活性層の間隔が互いに位相同期発振可能な寸法であり、
前記バッファ層は、前記同心構造による回折光の0次回折光,1次回折光,及び2次以上の高次回折光を空間的に分離し得る厚さに設定され、
第2の反射鏡は、前記1次回折光を反射し、前記0次回折光及び高次回折光を反射しない範囲に形成されていることを特徴とする垂直共振器型面発光レーザ素子。 - 前記活性層の同心構造は、円及び円環からなる同心円構造であり、第2の反射鏡は円形であることを特徴とする請求項1又は2記載の垂直共振器型面発光レーザ素子。
- 前記バッファ層の厚さをLとし、前記同心円構造の直径をDa、前記同心円構造による1次回折光の回折角をθとしたとき、第2の反射鏡の中心軸が前記同心円構造の中心軸と一致し、かつ第2の反射鏡の直径DmがDa<Dm<Ltanθを満たすことを特徴とする請求項3記載の垂直共振器型面発光レーザ素子。
- 前記バッファ層の厚さをLとし、前記同心円構造の直径をDa、前記同心円構造による1次回折光の回折角をθ、該1次回折光のビーム広がり角をθ1としたとき、第2の反射鏡の中心軸が前記同心円構造の中心軸と一致し、かつ第2の反射鏡の直径DmがDa<Dm<Ltan(θ−θ1)を満たすことを特徴とする請求項3記載の垂直共振器型面発光レーザ素子。
- 前記活性層の同心構造は円及び円環からなる同心円構造であり、第2の反射鏡上に1次回折光を平行光にする円錐プリズムを設けたことを特徴とする請求項2記載の垂直共振器型面発光レーザ素子。
- 前記活性層の同心構造は楕円及び楕円環からなる同心楕円構造であり、前記楕円及び楕円環の各長辺方向及び短辺方向が一致しており、前記楕円及び楕円環の長径方向が前記活性層の利得が大きい結晶方位と一致していることを特徴とする請求項1又は2記載の垂直共振器型面発光レーザ素子。
- 前記活性層の同心構造は長方形及び長方形枠形からなる同心長方形構造であり、前記長方形及び長方形枠形の各辺がそれぞれ平行であり、前記長方形及び長方形枠形の長辺方向が前記活性層の利得が大きい結晶方位と一致していることを特徴とする請求項1又は2記載の垂直共振器型面発光レーザ素子。
- 前記バッファ層と前記発光領域層との間に、第1の反射鏡との組み合わせでは前記活性層がレーザ発振を起こさない程度に低い反射率を有する部分反射鏡を有することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の垂直共振器型面発光レーザ素子。
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