JP2007294789A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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昭夫 古川
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Abstract

【課題】外部素子を必要としない簡素な構成で、高輝度化を実現することができる半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】二次元フォトニック結晶領域60の一部に欠陥領域70を設け、反射膜80を積層する。活性層24で発生した光は二次元フォトニック結晶領域60による正反射の作用を受け、その一部は欠陥領域70にしみ出す。欠陥領域70にしみ出た波長成分のうち欠陥領域70の共振波長に合致した光は活性層24の面外方向に出射し、反射膜80で反射されて欠陥領域70を経由して活性層24にフィードバックされる。欠陥領域70を経由してフィードバックされる狭帯域な波長成分においてレーザのゲインが増大し、レーザ発振はこの波長成分に同期した単一の発振モードに固定される。従って、発振スペクトルが狭く発散角が小さくなり、輝度が向上する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ブロードエリア型半導体レーザに好適な半導体レーザ素子に関する。
導波路の幅、すなわちストライプ幅を広げた、いわゆるブロードエリア型半導体レーザは、小型・高信頼性で低コストな高出力レーザ光源として、ディスプレイ,印刷機器,材料の加工または医療などさまざまな分野に利用されている。なお、一般にブロードエリア型と呼ばれる半導体レーザは、ストライプ幅が少なくとも5μm以上で、そのほとんどは10μm以上、最大で数百μm程度のものである。
ところで、このブロードエリア型半導体レーザでは、ストライプ幅を広げることにより発振の横モードが多モード化し、出射光の発散角が大きくなってしまうことから、高輝度化が困難であるという問題があった。従来では、ブロードエリア型半導体レーザを高輝度化する手段として、外部回折格子によるフィードバックまたはナローストライプ型半導体レーザによる注入同期を用いる方法や、共振器端面の反射鏡膜に対して傾斜した回折格子および導波路を備えたα−DFB(Distributed Feedback)構造等が提案され、そのうちの幾つかが実用化されてきた。
特開2005−129604号公報
しかしながら、外部回折格子や同期用レーザを用いる構成ではこれらの外部素子に加えて集光・コリメート用のレンズが必要となり、小型で低コストな半導体レーザの特質が損なわれてしまうという問題があった。また、α−DFB構造では結晶成長を二回に分けて行う必要があるほか、動作温度または注入電流によって発振波長がホップするという問題があった。
ちなみに従来では、ブロードエリア型半導体レーザの後側端面に二次元フォトニック結晶を採用し、光を活性層と平行な面内で導波路の軸方向とは異なる方向に回折させることにより、NFP(Near Field Pattern;近視野像)の不均一を解消することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
フォトニック結晶とは、多次元の周期的な屈折率変化による多次元ブラッグ反射によって特定の光波長帯域に対して伝播を禁止する禁制帯(PBG;フォトニックバンドギャップ)が発現した構造をいう。特に、スラブ(平板)状の誘電体材料に円筒形の空孔を周期的に形成した二次元フォトニック結晶は、作製が比較的容易で薄膜プロセスからなる光デバイスとの親和性が高いことから、フォトニックバンドギャップを利用した光デバイスの高機能化の手段として注目されており、特許文献1に記載されているように半導体レーザの共振器鏡として用いることも可能である。また、二次元フォトニック結晶は、フォトニックバンドギャップ内の波長に対して面内全ての方向への伝播を禁止することができるので、回折格子のような一次元構造では困難な湾曲した波面に対してもブラッグ反射を起こすことができ、ブロードエリア型半導体レーザへの適用にも極めて好適である。
しかし、二次元フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップ幅は通常数10nmと非常に広いので、1nm以下の帯域幅が必要とされる横モード単一化は難しく、高輝度化を実現する機能は有していなかった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、外部素子を必要としない簡素な構成で、高輝度化を実現することができる半導体レーザ素子を提供することにある。
本発明による半導体レーザ素子は、活性層を含む半導体層の積層構造を有するレーザ構造部と、レーザ構造部の主出射側端面に形成された反射鏡膜と、レーザ構造部を間にして反射鏡膜に対向し、二次元方向に周期的な屈折率分布を有すると共に、一部に周期的な屈折率分布のない欠陥領域を有する二次元フォトニック結晶領域と、二次元フォトニック結晶領域に対して半導体層の積層方向に重ねて形成された反射膜とを備えたものである。
本発明の半導体レーザ素子では、活性層で発生した光は二次元フォトニック結晶領域により二次元的にブラッグ反射を受けながら全体として正反射の作用を受けると共に、その一部は欠陥領域にしみ出す。欠陥領域はそれ自体微小な共振器としての機能を有しており、欠陥領域にしみ出た波長成分のうち欠陥領域の共振波長に合致した光は活性層の面外方向に出射し、反射膜で反射されて欠陥領域を経由して活性層にフィードバックされる。よって、この欠陥領域を経由してフィードバックされる狭帯域な波長成分においてレーザのゲインが増大し、レーザ発振はこの波長成分に同期した単一の発振モードに固定される。これにより、発振スペクトルが狭く発散角が小さく、高輝度のレーザ光が出射される。
本発明の半導体レーザ素子によれば、二次元フォトニック結晶領域の一部に周期的な屈折率分布のない欠陥領域を設けると共に、この二次元フォトニック結晶領域に対して反射膜を積層するようにしたので、欠陥領域から活性層の面外方向に出射した光を反射膜で反射させて活性層にフィードバックし、このフィードバックされた光に合致した波長で選択的にレーザ発振を生じさせ、発振スペクトルを狭くし発散角を小さくすることができる。よって、外部素子を必要としない簡素な構成で、高輝度な光出力を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る半導体レーザ素子の全体構成を表し、図2はこの半導体レーザ素子の断面構成を表したものである。この半導体レーザ素子は、ディスプレイ,印刷機器,材料加工または医療などの応用分野に用いられるものであり、基板10上に、n型バッファ層21、n型クラッド層22、第1ガイド層23、活性層24、第2ガイド層25、p型クラッド層26およびp側コンタクト層27が順に積層されたレーザ構造部20を有している。p側コンタクト層27上にはp側電極31が設けられ、基板10の裏側にはn側電極32が形成されている。p側コンタクト層27およびp型クラッド層26の一部はエッチング除去されて突条部(リッジ)40となっており、活性層24の突条部40に対応する領域がストライプ状の電流注入領域となっている。電流注入領域の幅は少なくとも5μm、例えば10μm以上である。すなわち、この半導体レーザ素子は、ブロードエリア型のものである。
基板10は、例えば、積層方向における厚み(以下単に「厚み」という。)厚みが450μm程度であり、シリコン(Si)などのn型不純物を添加したn型GaAsにより構成されている。n型バッファ層21は、例えば、厚みが300nmであり、シリコンなどのn型不純物を添加したn型GaAsにより構成されている。n型クラッド層22は、例えば、厚みが1200nmであり、シリコンなどのn型不純物を添加したn型(Al0.55Ga)As混晶により構成されている。第1ガイド層23は、例えば、厚みが150nmであり、シリコンなどのn型不純物を添加したn型(Al0.25Ga)As混晶により構成されている。
活性層24は、例えば、厚みが27nmであり、不純物を添加しないGaAs層、(GaIn0.16)As混晶層およびGaAs層を順に積層した構成を有し、発振波長は例えば980nm(TE(Transverse Electric )波;電界の振動方向が活性層24と平行)である。
第2ガイド層25は、例えば、厚みが150nmであり、亜鉛(Zn)などのp型不純物を添加したp型(Al0.25Ga)As混晶により構成されている。p型クラッド層26は、例えば、厚みが1200nmであり、亜鉛(Zn)などのp型不純物を添加したp型(Al0.55Ga)As混晶により構成されている。p側コンタクト層27は、例えば、厚みが250nmであり、亜鉛(Zn)などのp型不純物を添加したp型GaAsにより構成されている。
p側電極31は、例えば、厚み50nmのチタン(Ti)層,厚み100nmの白金(Pt)層および厚み1000nmの金(Au)層をp側コンタクト層24の側から順に積層した構造を有しており、p側コンタクト層24と電気的に接続されている。n側電極32は、例えば、金とゲルマニウム(Ge)との合金層,ニッケル(Ni)層および金(Au)層とを基板10の側から順に積層した構造を有しており、基板10を介してレーザ構造部20と電気的に接続されている。
レーザ構造部20の主出射側端面50には、例えば劈開による平滑な鏡面が形成されており、この鏡面に誘電体多層膜よりなる反射鏡膜51が形成されている。
レーザ構造部20を間にして反射鏡膜51に対向する後方領域には、二次元フォトニック結晶領域60が設けられ、この二次元フォトニック結晶領域60と反射鏡膜51との間でレーザ共振器が構成されている。二次元フォトニック結晶領域60は、屈折率が異なる2種類の媒質を配置し二次元方向(平面状)に周期的な屈折率分布を持たせた領域であり、レーザ構造部20の発振波長域にフォトニックバンドギャップを有している。ここでは、二次元フォトニック結晶領域60は、例えば、p型クラッド層26ないしn型クラッド層22の積層方向に伸びる複数の孔61を有し、孔61内の空気(屈折率n=1.0)と、p型クラッド層26ないしn型クラッド層22を構成する半導体材料(主としてAl0.55GaAs混晶、屈折率n=3.2)との2種類の媒質により周期的な屈折率分布が形成されている。
また、主出射側端面50の反射鏡膜51は低反射率となるように調整され、二次元フォトニック結晶領域60は、孔61の深さをp型クラッド層26からn型クラッド層22まで貫通する程度、例えば約3μmと十分に深くすることにより高反射率となるように調整されている。これにより、活性層22において発生した光は反射鏡膜51と二次元フォトニック結晶領域60との間を往復して増幅され、主出射側端面50の反射鏡膜51からレーザビームLBとして射出される。
二次元フォトニック結晶領域60は、一部に上述した周期的な屈折率分布のない欠陥領域70を有している。この欠陥領域70は、隣り合う2個以上の孔61が欠落したものであり、表面が平坦部分となっている。すなわち、この欠陥領域70は、それ自体が微小な共振器としての機能を有しており、波長がフォトニックバンドギャップのストップバンド内にあり、かつ欠陥領域70の共振波長に合致した、0.25nm程度の極めて狭い帯域幅の光をトラップし、活性層24の面外方向に出射させるものである。二次元フォトニック結晶領域60の上方には、欠陥領域70から出射された光を反射させるための反射膜80が積層されている。反射膜80は、例えば銀(Ag)などの反射率の高い金属、または誘電体多層膜により構成された薄膜ミラーである。これにより、この半導体レーザ素子では、外部素子を必要としない簡素な構成で、高輝度な光出力を実現することができるようになっている。
二次元フォトニック結晶領域60と反射膜80との間には、スペーサ層90が形成されていることが好ましい。スペーサ層90は、二次元フォトニック結晶領域60の上面を平坦化するためのものであり、例えば、SiO2 などの光吸収の小さい材料により構成され、その厚みは例えば0.2μm〜0.3μm程度が好ましい。この範囲内であれば高い効果が得られると共にスペーサ層90の応力的な問題を抑制することができるからである。なお、製造方法等により反射膜80の構成材料が孔61に入り込まないようにすることが可能であれば、スペーサ層90は必ずしも設ける必要はない。
図3は、二次元フォトニック結晶領域60の平面構成の一部を拡大して表したものであり、図4は、図3に示した二次元フォトニック結晶領域60がTE偏光光に対してフォトニックバンドギャップを有するための寸法パラメータ(孔中心間隔aおよび孔半径r)の規格化値の存在範囲を表したものである。この寸法パラメータは、平面波展開法またはFDTD法(時間領域差分法)などの数値計算により精度良く求めることが可能である。例えば、孔61の貫通する部分の大部分を構成するp型クラッド層26ないしn型クラッド層22の材料であるAl0.55GaAs混晶(屈折率n=3.2)を母材とし、空気(屈折率n=1.0)の孔61を図3に示したような三角格子状に配置した場合、TE偏光光に対してフォトニックバンドギャップを示す寸法パラメータの規格化値は、図4において網掛けを施した領域で存在することが平面波展開法により求められる。後述するように、この結果と本実施の形態における発振波長980nmとを併せることで、一例として孔中心間隔a=280nm(a/λ=0.286),孔半径r=95nm(r/a=0.34)という寸法パラメータが得られる。この寸法パラメータの場合、波長860nm〜1217nmのストップバンド幅でフォトニックバンドギャップが発現し、波長980nmの光に対して反射鏡としての機能を有することができる。
図5は、このような二次元フォトニック結晶領域60に欠陥領域70を設けた平面的な全体構成の一例を表したものである。欠陥領域70は、例えば、隣り合う3個の孔61が欠落したものであり、二次元フォトニック結晶領域60の突条部40側から三列目に三箇所設けられている。二次元フォトニック結晶領域60の共振器方向Aにおける孔61の列数はある程度少なく、例えば7列前後とすることが好ましい。孔61の列数を少なくして二次元ブラッグ反射の多重度を制限しておくことにより、欠陥領域70から出射しない波長の光が活性層24内の電流注入領域にフィードバックされる効率を低減することができ、その結果、欠陥領域70から出射する光のゲインを選択的に高めることが可能となるからである。
欠陥領域70の共振波長は、欠陥領域70の形状や孔61の寸法パラメータにより大きく変化するが、これを活性層24のゲイン帯域のピーク近傍の波長になるように調整することで発振効率を高めることが可能である。図6は、図5に示した3個の孔61を欠落した欠陥領域70について、孔中心間隔a=280nmとし、孔半径rを変化させた場合に、欠陥領域70の共振波長がどのように変化するかを数値計算により調べた結果を表したものである。なお、計算にはFDTD法を用いた。図6において二本の実線はフォトニックバンドギャップのバンド端を表しており、この実線に囲まれた領域がストップバンドとなる。また、欠陥領域70の共振波長は幾つかあるが、そのうちフォトニックバンドギャップ近傍の共振成分を図6において○により表している。
図6から分かるように、フォトニックバンドギャップの位置および欠陥領域70の共振波長は共に孔半径rによって変化している。例えば、活性層24のゲイン帯域のピーク波長が980nm(図6において破線で表す。)の場合、このピーク波長に一致する欠陥領域70の共振波長(図6において○で表す。)を選び、それに対応する孔半径rを横軸で読み取ると95nmとなる。すなわち、孔中心間隔a=280nm、孔半径r=95nmの寸法パラメータにより、欠陥領域70の共振波長を980nmに調整することが可能となり、効率の高い選択的発振を実現することが可能となる。
この半導体レーザは、例えば、次のようにして製造することができる。
図7ないし図9は、この半導体レーザの製造方法を工程順に表すものである。まず、図7に示したように、例えば、上述した材料よりなる基板10の一面に、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition ;有機金属化学気相成長)法により、上述した厚みおよび材料よりなるn型バッファ層21,n型クラッド層22,第1ガイド層23,活性層24,第2ガイド層25,p型クラッド層26およびp側コンタクト層27を順次積層し、レーザ構造部20を形成する。
次いで、同じく図7に示したように、p側コンタクト層27の上にレジストよりなるマスク層(図示せず)を形成し、このマスク層を用いたドライエッチングにより、p側コンタクト層27およびp型クラッド層26の厚さ方向一部を選択的に除去し、突条部40を形成する。そののち、マスク層を除去する。
続いて、図8に示したように、突条部40が形成されたp側コンタクト層27およびp型クラッド層26の上に、再びレジストよりなるマスク層(図示せず)を形成し、このマスク層を用いたRIE(反応性イオンエッチング)または高周波誘導結合プラズマ(ICP)エッチングなどのドライエッチングにより、突条部40よりも後方の領域に、孔61よりなる二次元フォトニック結晶領域60を形成する。その際、孔61の深さは、p型クラッド層26の表面からn型クラッド層22まで貫通する程度、例えば3μm程度と十分に深くし、二次元フォトニック結晶領域60による反射率が十分高くなるように調整することが望ましい。そののち、マスク層を除去する。
そののち、図9に示したように、突条部40および二次元フォトニック結晶領域60が形成されたp側コンタクト層27およびp型クラッド層26の上に、例えばプラズマCVD法により、上述した厚みおよび材料よりなるスペーサ層90を形成する。続いて、同じく図9に示したように、例えば蒸着法により、スペーサ層90の上に上述した材料よりなる反射膜80を積層し、例えばエッチングにより反射膜80を選択的に除去することにより二次元フォトニック結晶領域60上に反射膜80を形成する。
反射膜80を形成したのち、基板10の裏面側をラッピングして薄膜化し、その面に金とゲルマニウムとの合金層,ニッケル層および金層を順次蒸着することによりn側電極32を形成する。また、スペーサ層90の突条部40の上面に、エッチングにより開口部を設け、この開口部に、例えばチタン層,白金層および金層を順次蒸着することによりp側電極31を形成する。
n側電極32およびp側電極31を形成したのち、基板10を所定の大きさに整え、主出射側端面50に反射鏡膜51を形成する。これにより、図1に示した半導体レーザ素子が完成する。
この半導体レーザでは、n側電極32とp側電極31との間に所定の電圧が印加されると、p側電極31から供給される駆動電流は突条部40により電流狭窄されたのち活性層24に注入され、電子−正孔再結合により発光が起こる。この光は、主出射側端面50の反射鏡膜51と二次元フォトニック結晶領域60とにより反射され、その間を往復してレーザ発振を生じ、レーザビームとして外部に射出される。ここでは、二次元フォトニック結晶領域60の一部に欠陥領域70が設けられていると共に、この二次元フォトニック結晶領域60に対して反射膜80が積層されているので、活性層24で発生した光は二次元フォトニック結晶領域60により二次元的にブラッグ反射を受けながら全体として正反射の作用を受けると共に、その一部は欠陥領域70にしみ出す。欠陥領域70はそれ自体微小な共振器としての機能を有しており、欠陥領域70にしみ出た波長成分のうち欠陥領域70の共振波長に合致した光は活性層24の面外方向に出射し、反射膜80で反射されて欠陥領域70を経由して活性層24にフィードバックされる。よって、この欠陥領域70を経由してフィードバックされる狭帯域な波長成分においてレーザのゲインが増大し、レーザ発振はこの波長成分に同期した単一の発振モードに固定される。従って、発振スペクトルが狭く発散角が小さくなり、輝度が向上する。
このように本実施の形態では、二次元フォトニック結晶領域60の一部に周期的な屈折率分布のない欠陥領域70を設けると共に、この二次元フォトニック結晶領域60に対して反射膜80を積層するようにしたので、欠陥領域70から活性層24の面外方向に出射した光を反射膜80で反射させて活性層24にフィードバックし、このフィードバックされた光に合致した波長で選択的にレーザ発振を生じさせ、発振スペクトルを狭くし発散角を小さくすることができる。よって、外部素子を必要としない簡素な構成で、高輝度な光出力を実現することができる。
また、欠陥領域70によるこのような選択的フィードバックの作用は二次元面内において等方的であるので、導波光の波面の湾曲が大きいブロードエリア型半導体レーザに対しても十分な効果を得ることができる。
更に、本実施の形態では、発振波長を規定する二次元フォトニック結晶領域60および欠陥領域70が、レーザ構造部20の活性層24の電流注入領域とは分離されているので、次のような利点も得られる。すなわち、周期的な屈折率構造を用いて発振波長を規定するレーザ構造では、温度変化に伴う屈折率変化によって発振波長が変動する。α−DFB構造のように周期構造を電流注入領域に内包する構造の場合、この変動を独立して制御することが難しいのに対して、本実施の形態ではこれが可能となる。二次元フォトニック結晶領域60は電流非注入領域であるので、レーザ駆動時の温度変化の影響がもともと小さいことに加えて、例えば反射膜80をヒータ電極として用いることにより二次元フォトニック結晶領域60の温度をレーザ構造部20とは独立に制御し、二次元フォトニック結晶領域60の温度変化に伴う屈折率変化により欠陥領域70の共振波長を変化させ、これによりレーザ発振波長を制御することも可能となる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、二次元フォトニック結晶領域60が円形の孔61により構成されている場合について説明したが、孔61は円形以外の四角形などの形状でもよい。ただし、円形の孔61は最も対称性が高いので好ましい。孔61の配置は三角格子状に限らず、正方格子状でもよい。
また、上記実施の形態では、孔61内の媒質が空気である場合について説明したが、孔61内の媒質は屈折率の低いMgF2 など他の材料でもよい。
更に、上記実施の形態では、反射膜80をp型クラッド層26の上にスペーサ層90を間にして積層した場合について説明したが、これに加えて、基板10の裏面にも反射膜を設けるようにしてもよい。これにより、欠陥領域70にトラップされて下方(基板10側)に出射される光も反射させて活性層24にフィードバックすることができ、より効率を高めることができるからである。その場合、基板10を十分薄膜化し、二次元フォトニック結晶領域60と下方の反射膜との間の距離を十分に小さくすることが望ましい。なお、基板10の裏面と下方の反射膜との間には、スペーサ層90は必ずしも設ける必要はない。
加えて、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。例えば、上記実施の形態においては、n型不純物としてシリコンを用いたが、セレン(Se)など他のn型不純物を用いてもよい。また、第1ガイド層23および第2ガイド層25はn型不純物またはp型不純物を含まなくてもよい。
更にまた、例えば、上記実施の形態では、半導体レーザを構成する材料について具体的に例を挙げて説明したが、本発明は、上記実施の形態で説明したGaAs系素子以外にも、AlGaInP系,InGaAs系,InGaAsP系あるいはInP系などの他のIII−V族化合物半導体、InGaN系,GaN系あるいは通信用レーザに用いられるGaInNAs系などの窒化物系III−V族化合物半導体、またはII−VI族化合物半導体などの他の半導体材料を用いる場合についても広く適用することができる。
加えてまた、例えば、上記実施の形態では、半導体層20をMOCVD法により形成する場合について説明したが、MBE(Molecular Beam Epitaxy;分子線エピタキシー)法等を用いてもよい。
更にまた、例えば、上記実施の形態においては、n型の基板10上に、n型バッファ層21,n型クラッド層22,第1ガイド層23,活性層24,第2ガイド層25,p型クラッド層26およびp側コンタクト層27を順に積層した構成を有する半導体レーザ素子について説明したが、p型の基板を用い、p型の基板上に、p型半導体層、活性層およびn型半導体層を積層した逆導電型の構造としてもよい。
加えてまた、例えば、上記実施の形態では、半導体レーザ素子の構成を具体的に挙げて説明したが、全ての層を備える必要はなく、また他の層を更に備えていてもよい。例えば、n型バッファ層21,第1ガイド層23または第2ガイド層25は必ずしも設けられていなくてもよい。
本発明の一実施の形態に係る半導体レーザ素子の構成を表す斜視図である。 図1に示した半導体レーザ素子の構成を表す断面図である。 図1に示した二次元フォトニック結晶領域の一部を拡大して表す平面図である。 図3に示した二次元フォトニック結晶領域がTE偏光光に対してフォトニックバンドギャップを有するための寸法パラメータの規格化値の存在範囲を表す図である。 二次元フォトニック結晶領域および欠陥領域の配置の一例を表す平面図である。 図5に示した欠陥領域について、孔中心間隔a=280nmとし、孔半径rを変化させた場合の欠陥領域の共振波長の変化を表す図である。 図3に示した半導体レーザ素子の製造方法を工程順に表す斜視図である。 図7に続く工程を表す斜視図である。 図8に続く工程を表す斜視図である。
符号の説明
10…基板、20…レーザ構造部、21…n型バッファ層、22…n型クラッド層、23…第1ガイド層、24…活性層、25…第2ガイド層、26…p型クラッド層、27…p側コンタクト層、31…p側電極、32…n側電極、40…突条部、50…主出射側端面、51…反射鏡膜、60…二次元フォトニック結晶領域、61…孔、70…欠陥領域、80…反射膜、90…スペーサ層。

Claims (3)

  1. 活性層を含む半導体層の積層構造を有するレーザ構造部と、
    前記レーザ構造部の主出射側端面に形成された反射鏡膜と、
    前記レーザ構造部を間にして前記反射鏡膜に対向し、二次元方向に周期的な屈折率分布を有すると共に、一部に前記周期的な屈折率分布のない欠陥領域を有する二次元フォトニック結晶領域と、
    前記二次元フォトニック結晶領域に対して前記半導体層の積層方向に重ねて形成された反射膜と
    を備えたことを特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 前記二次元フォトニック結晶領域は、前記半導体層の積層方向に伸びる複数の孔を有し、前記欠陥領域は隣り合う2個以上の前記孔が欠落した領域である
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記二次元フォトニック結晶領域と前記反射膜との間にスペーサ層を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ素子。




JP2006122938A 2006-04-27 2006-04-27 半導体レーザ素子 Pending JP2007294789A (ja)

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