JP4649866B2 - 面発光半導体レーザー及びこれを用いた光学装置 - Google Patents
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この垂直共振器型面発光半導体レーザーでは、横方向の発振モード(横モード)を単一モードに抑制することによって、光ファイバ通信の光源として使用する際に問題となるモード分散を回避することができ、長距離あるいは高データレートの通信が可能となる。
横モードの単一化には、発光領域を酸化によって小さく絞った酸化狭窄方式や、この酸化狭窄方式と、出射口に設けた高次モードの吸収・反射機構とを組み合わせた方式などが提案されている。
しかし、これらの方式で単一横モードを実現するには発光領域の直径を波長の3倍以下程度にしなければならず、発光領域の大口径化によるレーザーの高出力化には不向きであった。
上述のフォトニック結晶構造を採る方法や、このように低屈折率領域として空孔を設ける方法では、VCSELの上部多層膜反射鏡すなわち上部DBRの一部に空孔を形成することによって、発振光の横モードを制御している。
例えば光ファイバ通信でレーザー光をファイバに入力する際には、ファイバの端面や集光レンズなどの界面で反射したレーザー光がレーザー自身に再び入るいわゆる戻り光の問題を解決することが求められる。この戻り光が活性層に達すると、不要な励起を誘発し、ノイズの原因となることが知られている。
これに対してVCSELでは端面発光型レーザーに比べ反射鏡の反射率が99.9%程度と非常に高いため、通常は戻り光の除去を行う必要はないとされている。
これにより、大口径化を図りつつ横モードを制御して、且つ戻り光ノイズが抑制された面発光半導体レーザーを提供することができる。
まず、本発明による面発光半導体レーザーの実施の形態例を、図1を参照して説明する。
図1は、この形態例による面発光半導体レーザーの、一部を断面として示した概略斜視図である。
この実施の形態例における面発光半導体レーザー1において、基板3上に、必要に応じて設けられたバッファ層4と、第1のDBR5と、第1のクラッド層6と、活性層7と、第2のクラッド層8と、第2のDBR9と、キャップ層10とが、順次例えば連続エピタキシーによって形成される。
そして、酸化狭窄層18が、第1のクラッド層6の下部又は第2のクラッド層8の上部、図示の例においては第2のクラッド層8の上部に、電流通路となる中央部に開口を有する形状として形成される。この酸化狭窄層18は、例えば各層をエピタキシャル成長し、エッチング等によって垂直共振器型に形成した後、選択酸化によって形成し得る。
第1DBR5及び第2DBR9の間には垂直共振型の共振器が形成され、第1及び第2の電極2及び12との対向部、すなわち開口部11w内の第2電極12のリング部12aの下には主たる電流通路が形成されるようになされる。
また、基板3は例えば第1導電型ここではn型のGaAsより成り、バッファ層4は例えばGaAsより成り、第1DBR5は例えばAlGaAsによる積層膜より成り、第1クラッド層6は例えばAlGaAsより成り、活性層7は例えばAlGaAsとGaAsとによる積層膜より成り、第2クラッド層8は例えばAlGaAsより成り、第2DBR9は例えばAlGaAsによる積層膜より成り、キャップ層10は第2導電型ここではp型のGaAsより成る構成とすることができる。
このように、共振器の中心方向に向かって先細形状とされた孔部21を設けることによって、上記特願2003−367741号出願に記載されているように、主たる電流の通路、すなわち、キャビティ構成部の周囲において、ここに配置された低屈折領域この場合孔部の存在による平均的屈折率の低下が生じることによって、中央部に光の閉じ込めがなされ、発振効率が高められる。更に、この低屈折率領域が間歇的に配置され、その先端が鋭角とされていることから、その閉じ込めは、緩やかで、外周への光の漏洩を幾分大とすることができ、発光面積が大となって大出力化が図られる。
この場合は、フォトニック結晶構造による単一横モード化効果とは異なる現象が生じていることによって、大電流、高出力、単一横モードの半導体レーザーが得られていると考えられるものである。
または、例えば孔部21の外部に予めレジスト等より成るマスク層を被着しておき、全面的に金属層を蒸着、スパッタリング等によって全面的に被着し、マスク層をリフトオフすることによって、同様に孔部21内に選択的に金属層より成る遮光手段26を形成することもできる。
この低屈折率高吸収材料としては、例えば面発光半導体レーザーの発振波長が近赤外の場合、この波長帯域の光を良好に吸収する銅イオンを含んだ樹脂などが、機能性及び充填性に優れていて好適である。このような樹脂材料は、例えば塗布により良好に孔部21内に充填させることができる。
次に、本発明による面発光半導体レーザーから成る光源装置を具備する光学装置の実施の形態例を、図5〜図7を参照して説明する。
この実施の形態例においては、光学装置の一例としての、CD等の光記録媒体の記録/再生に用いられる光ピックアップ装置に関して説明する。
光源装置32より出射された、本発明による面発光半導体レーザーによるレーザー光は、グレーティング33及び偏光ビームスプリッタ34を通過し、コリメータレンズ35aで平行化され、1/4波長シフト板36で円偏光とされ、コリメータレンズ35bによって光学記録媒体37上で焦点を結び、例えばピット面で反射された光が、コリメータレンズ35b、1/4波長シフト板36で直線偏光とされ、コリメータレンズ35aを経由して、偏光ビームスプリッタ34で反射された後、円柱レンズ38を経て光検出器39に集束される。
この実施の形態例においては、光学装置の一例としての、例えばレーザープリンターにおける感光体に対する露光作用がなされる投影光学装置に関して説明する。
この例においては、光源装置42を構成する光源は、本発明による半導体レーザー(図示せず)を2次元的に多数集積されて成るVCSELアレイ構造を有し、光源装置42より出射されたレーザー光は、拡大光学系43を経由してミラー44によって感光体45に照射されて、所望のパターンの感光がなされる。
この実施の形態例においては、光学装置の一例としての通信装置に関して説明する。
この例においては、光学装置51は、図7にその概略構成図を示すように、光源装置すなわち送信装置52と、光ファイバ53と、受信装置54とを有する。
光源装置52は、本発明による面発光半導体レーザー(図示せず)を有するものであり、この面発光半導体レーザーは、活性層を挟んで第1及び第2のDBRが配置されて垂直方向の共振器が形成され、共振器の外周部に例えば低屈折率領域を構成する孔部が、共振器の周方向に間歇的に配置されて成り、そして少なくともこの孔部の上部と底部との間に遮光手段を設ける構成とする。
例えば本発明による光学装置の光源装置を構成する面発光半導体レーザーは、その他例えばフォトニック結晶を構成する孔部を設ける構成とすることもでき、またその他各種の孔部を設ける面発光半導体レーザー及びこれを用いた光学装置に本発明を適用することができることはいうまでもない。
そして、本発明による光学装置においては、単一基板上或いは複数の基板上に面発光半導体レーザーが複数個形成された所謂アレイレーザーとして構成することもできるなど、本発明による面発光半導体レーザー及び光学装置は本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更をなされ得る。
Claims (2)
- 近赤外光を発する活性層と、
前記活性層下に配設された第1のクラッド層と、
前記活性層上に配設された第2のクラッド層と、
前記第1のクラッド層下に配設された第1のDBRと、
前記第2のクラッド層上に配設された第2のDBRと、
前記活性層と第1及び第2のクラッド層と前記第1及び第2のDBRとによって構成される垂直共振型の共振器の外周部に設けられた孔部と、
前記孔部内に充填された銅イオンを含む低屈折率樹脂と、
を備えた
面発光半導体レーザー。 - 光源装置を具備する光学装置であって、
該光源装置が、面発光半導体レーザーを有し、
該面発光半導体レーザが、近赤外光を発する活性層と、前記活性層下に配設された第1のクラッド層と、前記活性層上に配設された第2のクラッド層と、前記第1のクラッド層下に配設された第1のDBRと、前記第2のクラッド層上に配設された第2のDBRと、前記活性層と第1及び第2のクラッド層と前記第1及び第2のDBRとによって構成される垂直共振型の共振器の外周部に設けられた孔部と、前記孔部内に充填された銅イオンを含む低屈折率樹脂と、を備えた
光学装置。
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