以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
本発明者らは、アクティブマトリクス型であり薄膜トランジスタの形成されている基板の方に光を射出する表示装置においては、薄膜トランジスタを形成する為に用いられる膜が原因で発光素子からの光が反射し、多重干渉が起きていることに着目し、当該反射を起こす膜の膜厚をある特定の膜厚にすることで、多重干渉に及ぼす影響を大幅に低減できることを見いだした。
なお、本発明においては、接触する2膜以上の複数の膜がそれぞれ異なる工程によって作製されていたとしても、当該複数の膜を構成する材料が同じ材料又は同じ屈折率を有する材料もしくは同様の屈折率を有する材料であれば、光学的には1層としてみなすこととする。また、物理的厚さとは注目する膜が有する実際の厚みのことであり、光学的厚さとは、ある波長の光が当該膜を通過することを想定し、物理的厚さにその光の波長における当該膜の屈折率をかけたものを言う。また、中心波長とは注目する発光素子が発する光のうち、最も強度の高い波長とする。もしくは、当該発光素子から実施者が得ようとする波長としても良い。
光が複数の層を通過してゆく際、反射が問題となるのは、屈折率の異なる層と層が積層された界面を通過する場合である。このような積層構造は薄膜トランジスタを作製する際にはしばしば見受けられる。例えば、酸化ケイ素膜と、窒化ケイ素膜の積層はその代表的なものである。酸化ケイ素膜と、窒化ケイ素膜程度の屈折率の差があると、光の反射による多重干渉の問題が大きい。
また、半導体装置においては絶縁性、膜質、ブロッキング性能や半導体層との相性などから、使用される材料は限られており、必然的に2種類程度の材料の繰り返し積層構造となっていることが多い。また、それ以外で用いられる材料もそのどちらかの屈折率と同じような屈折率を有していることが多い。
本発明において、発光素子から射出した光が外部に射出するまでの間に屈折率nの大きい、もしくは小さい層を1層通過する場合、すなわち、光の入射方向からn1<n2>n3又はn1>n2<n3なる屈折率の関係を有する積層構造を通過する場合は、当該層(上記屈折率n2を有する層)の光学的厚さLをλm/2(mは1以上の整数)のとする。これは物理的厚さdに換算すると当該層を構成する膜の屈折率をn、発光素子が発する光の中心波長をλとして、λm/2nとなる。
この構成を採ることにより、当該層(上記屈折率n2を有する層)に光が入射する際に起きた反射と、当該層より光が射出する際に起きた反射が互いに相殺し、結果、当該層が存在することによって起こる反射が小さくなる。この反射が小さくなることで、定在波の発生が抑制され、視野角依存性が改善された表示装置を得ることができるようになる。なお、視野角依存性が良好な表示装置を得る為には当該層の反射率は1%以下であれば良く、そのような反射率を与える当該層の光学的厚さLはλ/2の±6%程度である。なお、このことから本発明及び本明細書に於いて概略と言った場合は±6%のマージンを有することとする。
また、本発明において、発光素子から射出した光が外部に射出するまでの間に屈折率の大きい、もしくは小さい層を2層通過する場合、すなわち、光の入射方向からn1<n2>n3<n4>n5又はn1>n2<n3>n4<n5なる屈折率の関係を有する積層構造を一つ通過する場合は、当該2層(上記n2及びn4の屈折率を有する層)の光学的厚さLをそれぞれλm/2(mは1以上の整数)とする。これは物理的厚さdに換算すると当該層の屈折率をn、発光素子が発する光の中心波長をλとして、λm/2nとなる。
なお、当該2層(上記n2及びn4の屈折率を有する層)は同じ材料又は同じ屈折率を有する材料もしくは同様の屈折率を有する材料で形成されていると好ましい。この構成を採ることにより、当該層に光が入射する際に起きた反射と、当該層より光が射出する際に起きた反射が互いに相殺し、結果当該層の反射率が小さくなる。反射率が小さくなることで、定在波の発生が抑制され、視野角依存性が改善された表示装置を得ることができるようになる。なお、視野角依存性が良好な表示装置を得る為には当該層の反射率は1%以下であれば良く、そのような当該膜の光学的厚さLはλ/2の±6%程度である。
また、本発明において、発光素子から射出した光が外部に射出するまでの間に屈折率の大きい、もしくは小さい層を2層通過する場合、すなわち、光の入射方向からn1<n2>n3<n4>n5又はn1>n2<n3>n4<n5なる屈折率の関係を有する積層構造を一つ通過する場合は、当該2層(上記n2及びn4の屈折率を有する層)の光学的厚さをL1、当該2層に挟まれている層(上記屈折率n3を有する層)の光学的厚さをL2とすると、発光素子が発する光の中心波長をλとして、L2=−L1+(2m−1)λ/4を満たすようにする。
なお、当該2層を構成する材料は(上記n2及びn4の屈折率を有する層)は同じ材料、もしくは同じ屈折率を有する材料又は同様の屈折率を有する材料であると好ましく、当該2層に挟まれている層(上記屈折率n3を有する層)は光学的に1層であることを条件とする。この構成を採ることにより、屈折率n1を有する層と屈折率n2を有する層の界面で起きた反射が屈折率n3を有する層と屈折率n4を有する層との界面で起きた反射により相殺され、また、屈折率n2を有する層と屈折率n3を有する層との界面で起きた反射は屈折率n4を有する層と屈折率n5を有する層との界面で起きた反射により相殺され、結果当該積層膜の反射率が小さくなる。反射率が小さくなることで、定在波の発生が抑制され、視野角依存性が改善された表示装置を得ることができるようになる。なお、視野角依存性が良好な表示装置を得る為には当該膜の反射率は1%以下であれば良く、そのような反射率を与える当該膜の物理的厚さdはL1、L2の各々±6%程度である。
また、本発明において、発光素子から射出した光が外部に射出するまでの間に、屈折率1.8前後の層2層と、その間に屈折率1.5前後の層1層を挟んだ積層構造を通過する場合、屈折率1.8前後の層の物理的厚さを120nm〜162nm、屈折率1.5前後の膜の物理的厚さを132nm〜198nmとする。この構成を採ることにより、当該膜の反射率が小さくなり、定在波の発生が抑制され、視野角依存性が改善された表示装置を得ることができるようになる。なお、視野角依存性が良好な表示装置を得る為には当該層の反射率は1%以下であれば良く上記した物理的厚さはそのような反射率を与える膜厚である。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の表示装置の一例について図1を参照しながら説明する。
本実施の形態の表示装置は、透光性を有する基板100上に、基板100側から順に第1の下地絶縁膜101、第2の下地絶縁膜102が形成されている。第2の下地絶縁膜102上には半導体層103が形成され、半導体層103及び第2の下地絶縁膜102を覆ってゲート絶縁膜104が形成される。また、ゲート絶縁膜104上には半導体層103と一部重なってゲート電極105が形成されている。ゲート電極105及びゲート絶縁膜104は第1の絶縁膜106により覆われており、さらに第1の絶縁膜106は第2の絶縁膜107に覆われている。第2の絶縁膜107上には、第2の絶縁膜107、第1の絶縁膜106及びゲート絶縁膜104を貫通して設けられたコンタクトホールを介して、半導体層103に電気的に接続する電極108、109が設けられる。また、半導体層103、ゲート絶縁膜104、ゲート電極105、電極108、109より画素部の薄膜トランジスタ110が形成されている。
また、薄膜トランジスタ110の一方の電極109に一部重なって発光素子の第1の電極111が形成されている。さらに、その上部には第2の絶縁膜107と少なくとも第1の電極111の端部を覆い、第1の電極111が露出する開口部を有する隔壁112などと呼ばれる第3の絶縁膜が形成されている。そして、少なくとも当該開口部を覆って発光積層体113が形成され、隔壁112及び発光積層体113を覆って発光素子の第2の電極114が形成され、第1の電極111、発光積層体113及び第2の電極114からなる発光素子115が構成されている。
基板100の材料としては透光性を有するガラス、石英やプラスチック(ポリイミド、アクリル、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルスルホンなど)等を用いることができる。これら基板は必要に応じてCMP等により研磨してから使用しても良い。本実施の形態においてはガラス基板を用いる。
第1の下地絶縁膜101、第2の下地絶縁膜102は基板100中のアルカリ金属やアルカリ土類金属など、半導体膜の特性に悪影響を及ぼすような元素が半導体層中に拡散するのを防ぐ為に設ける。材料としては酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒素を含む酸化ケイ素、酸素を含む窒化ケイ素などを用いることができる。ところで、不純物元素(イオン)のブロック効果が大きいのは窒化ケイ素を主成分とする膜であることがわかっている。一方、酸化ケイ素を主成分とする膜は窒化ケイ素を主成分とする膜よりもバンドギャップが広く、絶縁性に優れ、トラップ順位も少ない長所がある。本実施の形態では第1の下地絶縁膜101を窒化ケイ素を主成分とする膜で、第2の下地絶縁膜102を酸化ケイ素を主成分とする膜で形成することで、良好な不純物バリア性と良好な薄膜トランジスタ性能との両方を同時に得ることができる。
また、本実施の形態において、第1の下地絶縁膜101の物理的厚さdは、発光素子115から発する光の中心波長をλ、中心波長における第1の下地絶縁膜101の屈折率をnとするとλm/2n(mは0以上の整数)とする。
本発明の表示装置はその画素部において、第2の下地絶縁膜上に複数の薄膜トランジスタを有している、アクティブマトリクス型の表示装置であり、図1における薄膜トランジスタ110はその中の一つを示している。なお、表示装置における画素部以外の部分に薄膜トランジスタを形成し、駆動回路、信号処理回路、音声回路及びCPU等を形成していても良い。
薄膜トランジスタ110は公知の方法により形成すれば良く、その種類を問わないが、第1の絶縁膜106は窒化ケイ素を主成分とする膜により形成し、半導体層103に不純物が侵入するのを防ぐパッシベーション膜や、膜中に多く含有する水素によって半導体層103のダングリングボンドを終端する水素化膜として用いることができる。
本実施の形態において、第1の絶縁膜106の物理的厚さdは、発光素子115から発する光の中心波長をλ、中心波長における第1の絶縁膜106の屈折率をnとするとλm/2n(mは0以上の整数)とする。
本実施の形態においては、ゲート絶縁膜104は第2の下地絶縁膜102と同じ材料又は同じ屈折率を有する材料もしくは概略同じ屈折率を有する材料で形成する。本実施の形態においては、第2の下地絶縁膜102を酸化ケイ素を主成分とする膜により形成しているため、ゲート絶縁膜104も酸化ケイ素を主成分とする膜により形成し、光学的に1層とみなせるようにする。
第2の絶縁膜107は、発光素子115の開口率を向上させるため、下層の凹凸を緩和することが可能な自己平坦性を有する塗布膜により形成する。このような絶縁膜としてはアクリルやポリイミド、珪素と酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基として少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)、フルオロ基、又は少なくとも水素を含む有機基及びフロオロ基を有する材料、いわゆるシロキサンなどがある。本実施の形態ではシロキサンにより形成した膜を第2の絶縁膜107として用いる。
発光素子115は第1の電極111と第2の電極114との間に発光積層体113を挟んでなっている。また、第1の電極111と第2の電極114はいずれか一方が陽極、他方が陰極として機能する。発光素子は他の発光素子と土手などと呼ばれる隔壁112により分離されており、隔壁112は少なくとも第1の電極111の端部を覆うように形成され、隔壁112自身の発光素子側の端部は曲率を有し、当該曲率が連続的に変化するテーパー形状をしていることが望ましい。
また、隔壁112は有機材料と無機材料どちらで形成されていても良く、感光性や非感光性のアクリル、ポリイミド、シロキサンや酸化ケイ素を主成分とする膜、窒化ケイ素を主成分とする膜などの材料を用いることができる。
第1の電極111はインジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電物からなることが望ましい。なお、ITO以外に、酸化ケイ素を含有するITOや、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛を含有したIZO(Indium Zinc Oxide)もしくは酸化亜鉛そのもの、酸化亜鉛にガリウムを含有したGZO(Galium Zinc Oxide)等を用いても良い。
また、発光積層体113は発光物質を含み、単層、または多層で構成される。なお、発光積層体113は有機物もしくは無機物のいずれかからなるものであっても良いし、または無機物と有機物の両方を含むものでも良い。
このような構成を有する本実施の形態における表示装置では、発光素子115から射出した光が表示装置の外部に射出するまでに第2の絶縁膜107、第1の絶縁膜106、ゲート絶縁膜104、第2の下地絶縁膜102、第1の下地絶縁膜101及び基板100を通過する。このうち、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101が当該膜を挟んでいる膜との間に大きな屈折率差を有する。そこで本実施の形態では第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の物理的厚さdを、λm/2n(mは0以上の整数)すなわち、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の光学的厚さLをλm/2(mは0以上の整数)とすることで、当該膜の入射側界面での反射光を当該膜の出射側界面での反射光により減衰させることが可能となり、当該膜が存在することにより発生する反射光を著しく低減させることができる。反射光が低減されることで、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生も抑えられ、定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
図12、図13は本実施の形態の構成のように、基板100上に第1の下地絶縁膜101を酸素を含む窒化ケイ素膜で、第2の下地絶縁膜102とゲート絶縁膜104を窒素を含む酸化ケイ素膜で、第1の絶縁膜106を酸素を含む窒化ケイ素膜で形成し、その上に第2の絶縁膜107をシロキサンで、さらにその上に発光素子115を順番に形成した場合、ゲート絶縁膜104と第2の下地絶縁膜102を足しあわせた膜厚と、第1の絶縁膜106の膜厚及び第1の下地絶縁膜101の膜厚を変化させた際、第2の絶縁膜107と第1の絶縁膜106との間の反射率(これは第1の絶縁膜106とゲート絶縁膜104との間の反射光、第2の下地絶縁膜102と第1の下地絶縁膜101との間の反射光、及び第1の下地絶縁膜101と基板100との間の反射光も併せた反射率である)がどのように変化するのかをフレネル係数の方法を用いてシミュレーションを行った結果である。なお、本実施の形態ではゲート絶縁膜104と第2の下地絶縁膜102は同じ材料で形成されている層であるので、光学的に1層であるとみなすことができることから、ゲート絶縁膜104と第2の下地絶縁膜102の膜厚に関しては、それらを足しあわせた膜厚によって議論を行っている。
これらのグラフにおいては、横軸が酸素を含む窒化ケイ素を材料とする膜の物理的厚さ(第1の下地絶縁膜101、第1の絶縁膜106それぞれの膜厚)、縦軸が上記2膜の間に存在する窒素を含む酸化ケイ素を材料とする膜の物理的厚さ(第2の下地絶縁膜102とゲート絶縁膜104の膜厚の和)を表しており、第1の絶縁膜106における反射率の分布が示されている。図12においては単色での反射率の変化を、図13では波長400nmから700nmにおける平均の反射率が示されている。
図12(A)は青色の発光に相当する中心波長λ=450nmの波長の光に対するシミュレーション結果であるが、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の物理的厚さdが光学的厚さL=λ/2に相当する125nm付近において反射率が低くなっているのがわかる。第1の絶縁膜106と第2の絶縁膜107との間における反射は1%以下であれば視野角特性に大きな悪影響を及ぼすことは少ないと考えられ、そのような反射率を示す範囲は図より125nmを中心とした物理的厚さd=115nm〜133nmの範囲であった。この膜厚範囲ではゲート絶縁膜104と第2の下地絶縁膜102を足しあわせた膜厚に関係なく反射率1%以下の構成とすることができ、視野角特性の良好な表示装置を提供することができる。
図12(B)は緑色の発光に相当する中心波長λ=540nmの波長の光に対するシミュレーション結果であるが、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の物理的厚さdが光学的厚さL=λ/2に相当する152nm付近において反射率が低くなっているのがわかる。第1の絶縁膜106と第2の絶縁膜107の界面における反射は1%以下であれば視野角特性に大きな悪影響を及ぼすことは少ないと考えられ、そのような反射率を示す範囲は図より物理的厚さd=138nm〜162nmの範囲であった。この膜厚範囲ではゲート絶縁膜104と第2の下地絶縁膜102を足しあわせた膜厚に関係なく反射率1%以下の構成とすることができ、視野角特性の良好な表示装置を提供することができる。
図12(C)は赤色の発光に相当する中心波長λ=620nmの波長の光に対するシミュレーション結果であるが、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の物理的厚さdが光学的厚さL=λ/2に相当する175nm付近において反射率が低くなっているのがわかる。第1の絶縁膜106と第2の絶縁膜107の界面における反射は1%以下であれば視野角特性に大きな悪影響を及ぼすことは少ないと考えられ、そのような反射率を示す範囲は図より物理的厚さd=160nm〜186nmの範囲であった。この膜厚範囲ではゲート絶縁膜104と第2の下地絶縁膜102を足しあわせた膜厚に関係なく反射率1%以下の構成とすることができ、視野角特性の良好な表示装置を提供することができる。
このように、中心波長が明らかである場合、すなわち、作製する表示装置が単色表示もしくはカラーフィルターを用いた多色表示であり、且つ発光素子から発する光の極大波長が単一もしくは中心波長以外の極大波長の強度が充分に小さい場合は、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の物理的厚さdを概略光学的厚さL=λ/2に相当する膜厚とすることで、第1の絶縁膜106と第2の絶縁膜107の界面の反射を低く抑えることが可能であることがわかる。なお、この場合、ゲート絶縁膜104と第2の下地絶縁膜102の膜厚の和はどのような膜厚であってもかまわない。
また、これらのシミュレーションデータより、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の光学的厚さはλ/2の±6%の膜厚範囲であれば反射率が許容できるほど小さく、良好な視野角特性を有する表示装置を得ることができることがわかる。このことから本明細書中に於いて物理的厚さd、光学的厚さL共に概略と言った場合は±6%のマージンを有することとする。
また、図12(A)〜(C)より、L2(ゲート絶縁膜104と第2の下地絶縁膜102の光学的厚さの和)、L1(第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101各々の光学的厚さ)がL2=−L1+(2m−1)λ/4(ただし、mは1以上の整数)を満たす場合にも反射率は小さくなっており、視野角依存性が改善することが期待される。この場合は、L2、L1両方の膜厚を設定する必要があり、第2の絶縁膜107と第1の絶縁膜106との間で起こった反射は、第2の下地絶縁膜102と第1の下地絶縁膜101の間で起こった反射により相殺され、また、第1の絶縁膜106とゲート絶縁膜104との間で起こった反射は第1の下地絶縁膜101と基板100との間の反射により相殺されることにより反射が低減されると考えられる。
なお、この場合においても算出されたL2、L1に対して、±6%程度の範囲は視野角依存性が許容できる程に反射率が低下しているため、この範囲の条件を満たす膜厚とすることで、視野角依存性の低減された良好な表示を行うことができる表示装置を提供することができる。
図13は400nm〜700nmにおける反射率の平均を取ったものであり、反射率1%以下を満たす膜厚範囲は、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の物理的厚さdが120nm〜162nmの範囲にあり且つゲート絶縁膜104と第2の下地絶縁膜102を足しあわせた物理的厚さdが132nm〜198nmの範囲である。これらの物理的厚さを上記範囲内とすることによって、塗り分けのフルカラー表示装置、白色発光の素子を用いた表示装置などのように、中心波長の異なる複数の種類の発光素子を有する表示装置や、発光素子は一種類であっても当該発光素子の発する光のスペクトルに強度の大きい複数の極大波長を有する表示装置においても良好な視野角特性を得ることが可能となる。
また、中心波長が明らかである場合であっても、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の物理的厚さdを120nm〜162nmであり且つゲート絶縁膜104と第2の下地絶縁膜102を足しあわせた物理的厚さdを132nm〜198nmの範囲とすれば、どのような波長であっても視野角特性の良い表示装置を作製することが可能となる。
なお、各々の膜の膜厚は半導体装置として完成した段階での膜厚がそのような膜厚となるように設定する。実際に半導体装置を作成する場合には半導体層103、ゲート電極104、電極108、109、発光素子の第1の電極111などを形成する為のエッチングによってその下部に位置する膜に膜減りが生じる場合もある。この場合は当該膜減りを考慮して発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分において、規定の膜厚となるように調節する必要があるが、これは実施者が適宜なしえることである。すなわち本発明は、少なくとも発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分における各層の膜厚が上記したような膜厚となっていればよい。
(実施の形態2)
本実施の形態では本発明の他の構成について図2を参照しながら説明する。本実施の形態における表示装置はほぼ実施の形態1の構成と同様であるが、実施の形態1における第1の絶縁膜106が形成されていない。この場合、発光素子115から射出した光が外部に射出するまでの間に通過する屈折率の異なる膜は第1の下地絶縁膜101、1層のみである。
そのため、第1の下地絶縁膜101の光学的厚さLを発光素子115から発する光の中心波長をλとして、概略λ/2の整数倍とすることで、当該膜の入射側界面での反射光を当該膜の出射側界面での反射光により減衰させることが可能となり、当該膜が存在することにより発生する反射光を著しく低減させることができる。反射光が低減されることで、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生も抑えられ、定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
なお、本実施の形態の場合、第2の下地絶縁膜102、ゲート絶縁膜104及び第2の絶縁膜107は概略同じ屈折率を有する材料で形成されていることが肝要である。
その他の構成については実施の形態1と同様であるので、実施の形態1の記載を参照されたい。
なお、各々の膜の膜厚は半導体装置として完成した段階での膜厚がそのような膜厚となるように設定する。実際に半導体装置を作成する場合には半導体層103、ゲート電極104、電極108、109、発光素子の第1の電極111などを形成する為のエッチングによってその下部に位置する膜に膜減りが生じる場合もある。この場合は当該膜減りを考慮して発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分において、規定の膜厚となるように調節する必要があるが、これは実施者が適宜なしえることである。すなわち本発明は、少なくとも発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分における各層の膜厚が上記したような膜厚となっていればよい。
(実施の形態3)
本実施の形態では本発明の他の構成について図3を参照しながら説明する。本実施の形態における表示装置はほぼ実施の形態1の構成と同様であるが、実施の形態1における第2の下地絶縁膜102が形成されておらず、下地絶縁膜は下地絶縁膜116のみとなっている。本実施の形態では下地絶縁膜116を酸素を含む窒化ケイ素により形成した例を示す。この場合、発光素子115から射出した光が外部に射出するまでの間に通過する屈折率の異なる膜は、第1の絶縁膜106と下地絶縁膜116の2層である。
ここで、第1の絶縁膜106及び下地絶縁膜116の光学的厚さLを発光素子115から発する光の中心波長をλとして、概略λ/2の整数倍とすることで、当該膜の入射側界面での反射光を当該膜の出射側界面での反射光により減衰させることが可能となり、当該膜が存在することにより発生する反射光を著しく低減させることができる。反射光が低減されることで、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生も抑えられ、定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
もしくは、第1の絶縁膜106及び下地絶縁膜116の光学的厚さをそれぞれL1、第1の絶縁膜106及び下地絶縁膜116の間のゲート絶縁膜104の光学的厚さをL2として、L2=−L1+(2m−1)λ/4を満たすような、膜厚とする。これにより反射光を著しく低減させることができ、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生も抑えられ、定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
または、第1の絶縁膜106及び下地絶縁膜116の物理的厚さdを120nm〜162nmの範囲とし、ゲート絶縁膜104の物理的厚さdを132nm〜198nmの範囲とする。これにより反射光を著しく低減させることができ、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生も抑えられ、定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
その他の構成については実施の形態1と同様であるので、実施の形態1の記載を参照されたい。
なお、各々の膜の膜厚は半導体装置として完成した段階での膜厚がそのような膜厚となるように設定する。実際に半導体装置を作成する場合には半導体層103、ゲート電極104、電極108、109、発光素子の第1の電極111などを形成する為のエッチングによってその下部に位置する膜に膜減りが生じる場合もある。この場合は当該膜減りを考慮して発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分において、規定の膜厚となるように調節する必要があるが、これは実施者が適宜なしえることである。すなわち本発明は、少なくとも発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分における各層の膜厚が上記したような膜厚となっていればよい。
(実施の形態4)
本実施の形態では本発明の他の構成について図4を参照しながら説明する。本実施の形態における表示装置はほぼ実施の形態1の構成と同様であるが、実施の形態1における第2の下地絶縁膜102及び第1の絶縁膜106が形成されておらず、下地絶縁膜は下地絶縁膜116のみとなっている。本実施の形態では下地絶縁膜116を酸素を含む窒化ケイ素により形成した例を示す。この場合、発光素子115から射出した光が外部に射出するまでの間に通過する屈折率の異なる膜は、下地絶縁膜116の1層である。
ここで、下地絶縁膜116の光学的厚さLを、発光素子115から発する光の中心波長をλとして、概略λ/2の整数倍とすることで、当該膜の入射側界面での反射光を当該膜の出射側界面での反射光により減衰させることが可能となり、当該膜が存在することにより発生する反射光を著しく低減させることができる。反射光が低減されることで、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生も抑えられ、定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
なお、本実施の形態の場合、ゲート絶縁膜104及び第2の絶縁膜107は概略同じ屈折率を有する材料で形成することが肝要である。
その他の構成については実施の形態1と同様であるので、実施の形態1の記載を参照されたい。
なお、各々の膜の膜厚は半導体装置として完成した段階での膜厚がそのような膜厚となるように設定する。実際に半導体装置を作成する場合には半導体層103、ゲート電極104、電極108、109、発光素子の第1の電極111などを形成する為のエッチングによってその下部に位置する膜に膜減りが生じる場合もある。この場合は当該膜減りを考慮して発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分において、規定の膜厚となるように調節する必要があるが、これは実施者が適宜なしえることである。すなわち本発明は、少なくとも発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分における各層の膜厚が上記したような膜厚となっていればよい。
(実施の形態5)
本実施の形態では本発明の他の構成について図5を参照しながら説明する。本実施の形態における表示装置はほぼ実施の形態1の構成と同様であるが、実施の形態1における第1の下地絶縁膜101が形成されておらず、下地絶縁膜は下地絶縁膜117のみとなっている。本実施の形態では下地絶縁膜117を窒素を含む酸化ケイ素により形成した例を示す。この場合、発光素子115から射出した光が外部に射出するまでの間に通過する屈折率の異なる膜は第1の絶縁膜106の1層である。
ここで、第1の絶縁膜106の光学的厚さLを発光素子115から発する光の中心波長をλとして、概略λ/2の整数倍とすることで、当該膜の入射側界面での反射光を当該膜の出射側界面での反射光により減衰させることが可能となり、当該膜が存在することにより発生する反射光を著しく低減させることができる。反射光が低減されることで、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生も抑えられ、定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
その他の構成については実施の形態1と同様であるので、実施の形態1の記載を参照されたい。
なお、各々の膜の膜厚は半導体装置として完成した段階での膜厚がそのような膜厚となるように設定する。実際に半導体装置を作成する場合には半導体層103、ゲート電極104、電極108、109、発光素子の第1の電極111などを形成する為のエッチングによってその下部に位置する膜に膜減りが生じる場合もある。この場合は当該膜減りを考慮して発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分において、規定の膜厚となるように調節する必要があるが、これは実施者が適宜なしえることである。すなわち本発明は、少なくとも発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分における各層の膜厚が上記したような膜厚となっていればよい。
(実施の形態6)
本実施の形態では本発明の他の構成について図15を参照しながら説明する。本実施の形態における表示装置はほぼ実施の形態1の構成と同様であるが、実施の形態1におけるゲート絶縁膜104及びゲート電極105と第1の絶縁膜106との間に第4の絶縁膜120が形成されている構成である。第4の絶縁膜120は第2の下地絶縁膜102及びゲート絶縁膜104と同じ材料または同じ屈折率を有する材料もしくは同様の屈折率を有する材料により形成し、第2の下地絶縁膜102、ゲート絶縁膜104及び第4の絶縁膜120よりなる積層膜が光学的に1層となるようにする。さらに、第2の下地絶縁膜102、ゲート絶縁膜104及び第4の絶縁膜120よりなる光学的に1層である積層膜の物理的厚さdを132nm〜198nmの範囲とし、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の物理的厚さdを120nm〜162nmの範囲とする。
ところで、実施の形態1における図13のシミュレーション結果において、第2の下地絶縁膜102及びゲート絶縁膜104の光学的に1層である積層膜の物理的厚さdは132nm〜198nmの範囲であるのが良いという結果になっている。しかし、ここで、第2の下地絶縁膜102及びゲート絶縁膜104の膜厚には、薄膜トランジスタ110の動作という観点からすると好ましい値が存在することが分かっており、このトランジスタ特性的に好ましい値と、視野角特性を改善することが可能な値とは必ずしも一致しない。そこで、本実施の形態では、第4の絶縁膜120を形成することによって、第2の下地絶縁膜102及びゲート絶縁膜104の膜厚は薄膜トランジスタ110の動作に好ましい膜厚を保ったまま、視野角特性を向上させることができる構造を示した。すなわち、本実施の形態の構成は、第2の下地絶縁膜102及びゲート絶縁膜104の膜厚は薄膜トランジスタの動作に好ましい膜厚とし、第4の絶縁膜120によって足りない分の膜厚を補うことで、薄膜トランジスタの特性と、視野角特性をどちらも良好に保つことができる構成である。
第2の下地絶縁膜102、ゲート絶縁膜104及び第4の絶縁膜120よりなる光学的に1層である積層膜の物理的厚さdを132nm〜198nmの範囲とし、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の物理的厚さdを120nm〜162nmの範囲とすることで、反射光を著しく低減させることができる。反射光が低減されることで、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生も抑えられ、定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
本実施の形態の構成は、形成される絶縁膜が1層増えることになるが、当該絶縁膜(第4の絶縁膜120)が第2の下地絶縁膜102及びゲート絶縁膜104と同じ材料または同じ屈折率を有する材料もしくは同様の屈折率を有する材料により形成されることによって光学的な層の数に変化はない。そのため、実施の形態1における第2の下地絶縁膜102及びゲート絶縁膜104の積層と本実施の形態における第2の下地絶縁膜102、ゲート絶縁膜104及び第4の絶縁膜120の積層は同様に扱うことが可能である。また、当然光学的に1層であればさらに層が増えても同様に扱うことができる。
その他の材料や構成については実施の形態1と同様であるので、実施の形態1の記載を参照されたい。
なお、各々の膜の膜厚は半導体装置として完成した段階での膜厚がそのような膜厚となるように設定する。実際に半導体装置を作成する場合には半導体層103、ゲート電極104、電極108、109、発光素子の第1の電極111などを形成する為のエッチングによってその下部に位置する膜に膜減りが生じる場合もある。この場合は当該膜減りを考慮して発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分において、規定の膜厚となるように調節する必要があるが、これは実施者が適宜なしえることである。すなわち本発明は、少なくとも発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分における各層の膜厚が上記したような膜厚となっていればよい。
(実施の形態7)
本実施の形態では本発明の他の構成について図16(A)を参照しながら説明する。本実施の形態における表示装置はほぼ実施の形態1の構成と同様であるが、実施の形態1において自己平坦性を有する塗布膜で形成されている第2の絶縁膜107が、自己平坦性を有さない他の絶縁材料で形成されている第5の絶縁膜121で形成されている例である。第5の絶縁膜121の材料としては酸化ケイ素や窒素を含む酸化ケイ素などが挙げられる。
このような構成を有する本実施の形態における表示装置では、発光素子115から射出した光が表示装置の外部に射出するまでに第5の絶縁膜121、第1の絶縁膜106、ゲート絶縁膜104、第2の下地絶縁膜102、第1の下地絶縁膜101及び基板100を通過する。このうち、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101が当該膜を挟んでいる膜との間に大きな屈折率差を有する。そこで本実施の形態では第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の物理的厚さdを、λm/2n(mは0以上の整数)すなわち、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の光学的厚さLをλm/2(mは0以上の整数)とすることで、当該膜の入射側界面での反射光を当該膜の出射側界面での反射光により減衰させることが可能となり、当該膜が存在することにより発生する反射光を著しく低減させることができる。反射光が低減されることで、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生も抑えられ、定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
もしくは、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の光学的厚さをそれぞれL1、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の間のゲート絶縁膜104の光学的厚さをL2として、L2=−L1+(2m−1)λ/4を満たすような、膜厚とする。これにより反射光を著しく低減させることができ、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生も抑えられ、定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
または、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の物理的厚さdを120nm〜162nmの範囲とし、第2の下地絶縁膜102及びゲート絶縁膜104よりなる光学的に1層である積層膜の物理的厚さdを132nm〜198nmの範囲とする。これにより反射光を著しく低減させることができ、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生も抑えられ、定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
その他の構成については実施の形態1と同様であるので、実施の形態1の記載を参照されたい。
なお、各々の膜の膜厚は半導体装置として完成した段階での膜厚がそのような膜厚となるように設定する。実際に半導体装置を作成する場合には半導体層103、ゲート電極104、電極108、109、発光素子の第1の電極111などを形成する為のエッチングによってその下部に位置する膜に膜減りが生じる場合もある。この場合は当該膜減りを考慮して発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分において、規定の膜厚となるように調節する必要があるが、これは実施者が適宜なしえることである。すなわち本発明は、少なくとも発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分における各層の膜厚が上記したような膜厚となっていればよい。
(実施の形態8)
本実施の形態では本発明の他の構成について図16(B)を参照しながら説明する。本実施の形態における表示装置はほぼ実施の形態1の構成と同様であるが、実施の形態1において自己平坦性を有する塗布膜で形成されている第2の絶縁膜107が、自己平坦性を有さない他の絶縁材料で形成されている第6の絶縁膜122で形成されており、さらに第1の絶縁膜106が形成されておらず、第7の絶縁膜123が発光素子の第1の電極111に接して設けられている例である。第6の絶縁膜1225の材料としては酸化ケイ素や窒素を含む酸化ケイ素など、第7の絶縁膜123の材料としては窒化ケイ素や酸素を含む窒化ケイ素などが挙げられる。
このような構成を有する本実施の形態における表示装置では、発光素子115から射出した光が表示装置の外部に射出するまでに第7の絶縁膜123、第6の絶縁膜122、ゲート絶縁膜104、第2の下地絶縁膜102、第1の下地絶縁膜101及び基板100を通過する。
この場合、発光素子115から射出した光が外部に射出するまでの間に通過する屈折率の異なる膜は第1の下地絶縁膜101の1層と考えることができる。
ここで、第1の下地絶縁膜101の光学的厚さLを発光素子115から発する光の中心波長をλとして、概略λ/2の整数倍とすることで、当該膜の入射側界面での反射光を当該膜の出射側界面での反射光により減衰させることが可能となり、当該膜が存在することにより発生する反射光を著しく低減させることができる。反射光が低減されることで、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生も抑えられ、定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
その他の構成については実施の形態1と同様であるので、実施の形態1の記載を参照されたい。
なお、各々の膜の膜厚は半導体装置として完成した段階での膜厚がそのような膜厚となるように設定する。実際に半導体装置を作成する場合には半導体層103、ゲート電極104、電極108、109、発光素子の第1の電極111などを形成する為のエッチングによってその下部に位置する膜に膜減りが生じる場合もある。この場合は当該膜減りを考慮して発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分において、規定の膜厚となるように調節する必要があるが、これは実施者が適宜なしえることである。すなわち本発明は、少なくとも発光素子115からの光が表示装置の外部に射出する際の光路に当たる部分における各層の膜厚が上記したような膜厚となっていればよい。
(実施の形態9)
本実施の形態では、実施の形態1に示した構成を有する本発明の発光装置を作製する方法について図6、図7を参照しながら説明する。
基板100上に第1の下地絶縁膜101、第2の下地絶縁膜102を形成した後、さらに半導体膜を第2の下地絶縁膜102上に成膜する。(図6(A))
基板100の材料としては透光性を有するガラス、石英やプラスチック(ポリイミド、アクリル、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルスルホンなど)等を用いることができる。これら基板は必要に応じてCMP等により研磨してから使用しても良い。本実施の形態においてはガラス基板を用いる。
第1の下地絶縁膜101、第2の下地絶縁膜102は基板100中のアルカリ金属やアルカリ土類金属など、半導体膜の特性に悪影響を及ぼすような元素が半導体層中に拡散するのを防ぐ為に設ける。材料としては酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒素を含む酸化ケイ素、酸素を含む窒化ケイ素などを用いることができる。
第1の下地絶縁膜101、第2の下地絶縁膜102は先に述べたように基板100中のアルカリ金属やアルカリ土類金属など、半導体膜の特性に悪影響を及ぼすような不純物元素(イオン)が半導体層中に拡散するのを防ぐ為に設けるが、これら不純物元素(イオン)のブロック効果が大きいのは窒化ケイ素を主成分とする膜であることがわかっている。一方、酸化ケイ素を主成分とする膜は窒化ケイ素を主成分とする膜よりもバンドギャップが広く、絶縁性に優れ、トラップ順位が少ない。
そこで、本実施の形態では、酸素を含む窒化ケイ素で形成した第1の下地絶縁膜101及びその上部に窒素を含む酸化ケイ素により形成された第2の下地絶縁膜102の2層でもって下地絶縁膜を形成する。これにより、高い不純物元素(イオン)のブロッキング効果と薄膜トランジスタの信頼性を同時に得ることができる構造とする。
なお、第1の下地絶縁膜101の光学的厚さL(L=屈折率n×物理的厚さd)は、この後形成する発光素子の発する光の中心波長をλとすると、概略λ/2の整数倍に成膜する。また、塗り分けのフルカラー表示装置、白色発光の素子を用いた表示装置などのように、中心波長の異なる複数の種類の発光素子を有する表示装置や一種類の発光素子であっても当該発光素子の発する光のスペクトルに強度の大きい複数の極大波長を有する表示装置である場合は、第1の下地絶縁膜101の物理的厚さdは120nmから160nmで形成すると良い。
続いて形成される半導体膜118は本実施の形態では非晶質ケイ素膜をレーザ結晶化して得る。第2の下地絶縁膜102上に非晶質ケイ素膜を25〜100nm(好ましくは30〜60nm)の膜厚で形成する。非晶質ケイ素膜は公知の方法、例えばスパッタ法、減圧CVD法またはプラズマCVD法などにより成膜できる。その後、500℃で1時間の加熱処理を行い水素出しをする。
続いてレーザ照射装置を用いて非晶質ケイ素膜を結晶化して結晶質ケイ素膜を形成する。本実施の形態のレーザ結晶化ではエキシマレーザを使用し、発振されたレーザビームを光学系を用いて線状のビームスポットに加工し非晶質ケイ素膜に照射することで結晶質ケイ素膜とし、半導体膜118として用いる。
非晶質ケイ素膜の他の結晶化の方法としては、他に、熱処理のみにより結晶化を行う方法や結晶化を促進する触媒元素を用い加熱処理を行う事によって行う方法もある。結晶化を促進する元素としてはニッケル、鉄、パラジウム、錫、鉛、コバルト、白金、どう、金などが挙げられ、このような元素を用いることによって熱処理のみで結晶化を行った場合に比べ、低温、短時間で結晶化が行われるため、ガラス基板などへのダメージが少ない。熱処理のみにより結晶化をする場合は、基板100を熱に強い石英基板などにしなければいけない。
続いて、必要に応じて半導体膜118にしきい値をコントロールする為に微量の不純物添加、いわゆるチャネルドーピングを行う。要求されるしきい値を得る為にN型もしくはP型を呈する不純物(リン、ボロンなど)をイオンドーピング法などにより添加する。
その後、図6(B)に示すように半導体膜118を所定の形状にパターニングし、半導体層103を得る。パターニングは半導体膜118にフォトレジストを塗布し、所定のマスク形状を露光し、焼成して、半導体層上にレジストマスクを形成し、このマスクを用いてエッチングをすることにより行われる。
続いて半導体層103を覆うようにゲート絶縁膜104を形成する。ゲート絶縁膜104はプラズマCVD法またはスパッタ法を用いて膜厚を40〜150nmとしてケイ素を含む絶縁膜で形成する。本実施の形態ではゲート絶縁膜104は第2の下地絶縁膜102と同じ材料、又は同じ屈折率を有する材料もしくは概略同じ屈折率を有する材料でもって形成するため、ゲート絶縁膜104は第2の下地絶縁膜102は光学的に単一の層とみなすことができる。本実施の形態では第2の下地絶縁膜102と同じ、窒素を含む酸化ケイ素を用いて形成する。
なお、本実施の形態では第1の下地絶縁膜101及び第1の絶縁膜106の光学的厚さLが概略λ/2の整数倍であるため、ゲート絶縁膜104及び第2の下地絶縁膜102の膜厚については、作製する表示装置が単色表示もしくはカラーフィルターを用いた多色表示であり、且つ発光素子から発する光の極大波長が単一もしくは中心波長以外の極大波長の強度が小さい場合にはどのような膜厚であっても視野角依存性に悪影響は及ぼさない。
しかし、塗り分けのフルカラー表示装置、白色発光の素子を用いた表示装置などのように、中心波長の異なる複数の種類の発光素子を有する表示装置や一種類の発光素子であっても当該発光素子の発する光のスペクトルに強度の大きい複数の極大波長を有する表示装置である場合には、第2の下地絶縁膜102とゲート絶縁膜104を足しあわせた膜厚が、130nmから200nmの範囲内にあることが望ましい。
次いで、ゲート絶縁膜104上にゲート電極105を形成する。ゲート電極105はTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶ケイ素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。
また、本実施の形態ではゲート電極105は単層で形成されているが、下層にタングステン、上層にモリブデンなどの2層以上の積層構造でもかまわない。積層構造としてゲート電極を形成する場合であっても前段で述べた材料を使用するとよい。また、その組み合わせも適宜選択すればよい。
ゲート電極105の加工はフォトレジストを用いたマスクを利用し、エッチングをして行う。
続いて、ゲート電極105をマスクとして半導体層103に高濃度の不純物を添加する。
本実施の形態では、レーザ結晶化を使用して結晶化した結晶性シリコン膜を用いたトップゲートの薄膜トランジスタを用いたが、非晶質半導体膜を用いたボトムゲート型の薄膜トランジスタを画素部に用いることも可能である。非晶質半導体はケイ素だけではなくシリコンゲルマニウムも用いることができ、シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。
また非晶質半導体中に0.5nm〜20nmの結晶を粒観察することができる微結晶半導体膜(セミアモルファス半導体)を用いてもよい。また0.5nm〜20nmの結晶を粒観察することができる微結晶はいわゆるマイクロクリスタル(μc)とも呼ばれている。
セミアモルファス半導体であるセミアモルファスシリコン(SASとも表記する)は、珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4であり、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。この珪化物気体を水素、水素とヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して用いることでSASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は10倍〜1000倍の範囲で珪化物気体を希釈することが好ましい。グロー放電分解による被膜の反応生成は0.1Pa〜133Paの範囲の圧力で行えば良い。グロー放電を形成するための電力は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzの高周波電力を供給すれば良い。基板加熱温度は300度以下が好ましく、100〜250度の基板加熱温度が好適である。
このようにして形成されたSASはラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしており、X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)の中和剤として水素またはハロゲンを少なくとも1原子%含ませている。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020cm-1以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下とする。TFTにしたときのμ=1〜10cm2/Vsecとなる。
また、このSASをレーザでさらに結晶化して用いても良い。
続いて、ゲート電極105、ゲート絶縁膜104を覆って第1の絶縁膜106を酸素を含む窒化ケイ素により形成する。(図6(C))第1の絶縁膜106を形成したら480℃で1時間程度加熱を行って、半導体層103にドーピングした不純物元素の活性化を行い、同時に第1の絶縁膜106に含まれている水素によって半導体層103の水素化を行う。
ここで第1の絶縁膜の光学的厚さL(L=屈折率n×物理的厚さd)は、この後形成する発光素子の発する光の中心波長をλとすると、概略λ/2の整数倍に成膜する。また、塗り分けのフルカラー表示装置、白色発光の素子を用いた表示装置などのように、中心波長の異なる複数の種類の発光素子を有する表示装置や一種類の発光素子であっても当該発光素子の発する光のスペクトルに強度の大きい複数の極大波長を有する表示装置である場合には、120nmから160nmで形成すると良い。
続いて、第1の絶縁膜106を覆う第2の絶縁膜107を形成する。第2の絶縁膜107を形成する材料としては自己平坦性を有するアクリル、ポリイミド、シロキサンなどの塗布膜が好適に利用できる。本実施の形態ではシロキサンを第1の層間絶縁膜として形成した。(図6(D))
次に、半導体層103に至るコンタクトホールを開口する。図6(E)コンタクトホールはレジストマスクを用いて、半導体層103が露出するまでエッチングを行うことで形成することができ、ウエットエッチング、ドライエッチングどちらでも形成することができる。なお、条件によって一回でエッチングを行ってしまっても良いし、複数回に分けてエッチングを行っても良い。また、複数回でエッチングする際は、ウエットエッチングとドライエッチングの両方を用いても良い。
そして、当該コンタクトホールや第2の絶縁膜107を覆う導電層を形成し、当該導電層を所望の形状に加工し、電極108、109、及びその他配線などを形成する。この電極及び配線はアルミニウム、銅等の単層でも良いが、本実施の形態では基板側からモリブデン、アルミニウム、モリブデンの積層構造とする。積層配線としては基板側からチタン、アルミニウム、チタンやチタン、窒化チタン、アルミニウム、チタンといった積層構造でも良い(図7(A))。この段階で薄膜トランジスタ110が形成される。
なお、薄膜トランジスタ110の作製工程については特に限定されず、所望の構造のトランジスタを作製できるように適宜変更すればよい。
そして電極108、109、配線及び第2の絶縁膜107を覆って、透光性を有する導電層を形成したのち、当該透光性を有する導電層を加工して、電極109に一部重なる発光素子の第1の電極111を形成する。ここで第1の電極111は電極109と電気的に接触している。第1の電極111の材料としてはインジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)や酸化ケイ素を含有するITO(ITSO)、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛を含有したIZO(Indium Zinc Oxide)もしくは酸化亜鉛そのもの、そして酸化亜鉛にガリウムを含有したGZO(Galium Zinc Oxide)等を用いるとよい。本実施の形態ではITSOを第1の電極111として用いる。(図7(B))
次に第2の絶縁膜107及び第1の電極111を覆って有機材料もしくは無機材料からなる絶縁膜を形成する。続いて当該絶縁膜を第1の電極111の一部が露出するように加工し、隔壁112を形成する。隔壁112の材料としては、感光性を有する有機材料(アクリル、ポリイミドなど)が好適に用いられるが、感光性を有さない有機材料や無機材料で形成してもかまわない。隔壁112の第1の電極111に向かう端面は曲率を有し、当該曲率が連続的に変化するテーパー形状をしていることが望ましい。(図7(C))
次に、隔壁112から露出した第1の電極111を覆う発光積層体113を形成する。発光積層体113は蒸着法やインクジェット法、スピンコート法などいずれの方法を用いて形成してもかまわない。続いて発光積層体113を覆う第2の電極114を形成する。これによって第1の電極111と発光積層体113と第2の電極114とからなる発光素子115を作製することができる(図7(C))。
このような構成を有する本実施の形態における表示装置では、発光素子115から射出した光が表示装置の外部に射出するまでに第2の絶縁膜107、第1の絶縁膜106、ゲート絶縁膜104、第2の下地絶縁膜102、第1の下地絶縁膜101及び基板100を通過する。このうち、第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101が当該膜を挟んでいる膜との間において大きな屈折率差を有する。そこで本実施の形態では第1の絶縁膜106及び第1の下地絶縁膜101の光学的厚さLを発光素子115から発する光の中心波長をλとして、概略λ/2の整数倍とすることで、当該膜の入射側界面での反射光を当該膜の出射側界面での反射光により減衰させることが可能となり、当該膜が存在することにより発生する反射光を著しく低減させることができる。反射光が低減されることで、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生も抑えられ、定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
その後、プラズマCVD法により酸素を含む酸化ケイ素膜を第2のパッシベーション膜として形成しても良い。窒素を含む酸化ケイ素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される膜、またはSiH4、N2Oから作製される膜、あるいはSiH4、N2OをArで希釈したガスから形成される膜を形成すれば良い。
また、第2のパッシベーション膜としてSiH4、N2O、H2から作製される水素化された窒素を含む酸化ケイ素膜を適用しても良い。もちろん、第2のパッシベーション膜は単層構造に限定されるものではなく、他のケイ素を含む絶縁膜を単層構造、もしくは積層構造として用いても良い。また、窒化炭素膜と窒化ケイ素膜の多層膜やスチレンポリマーの多層膜、窒化ケイ素膜やダイヤモンドライクカーボン膜を窒素を含む酸化ケイ素膜の代わりに形成してもよい。
続いて電界発光素子を水などの劣化を促進する物質から保護するために、表示部の封止を行う。対向基板を封止に用いる場合は、絶縁性のシール材により、外部接続部が露出するように貼り合わせる。対向基板と素子基板との間の空間には乾燥した窒素などの不活性気体を充填しても良いし、シール材を画素部全面に塗布しそれにより対向基板を形成しても良い。シール材には紫外線硬化樹脂などを用いると好適である。シール材には乾燥剤やギャップを一定に保つための粒子を混入しておいても良い。続いて外部接続部にフレキシブル配線基板を貼り付けることによって、電界発光装置が完成する。
なお、表示機能を有する本発明の発光表示装置には、アナログのビデオ信号、デジタルのビデオ信号のどちらを用いてもよい。デジタルのビデオ信号を用いる場合はそのビデオ信号が電圧を用いているものと、電流を用いているものとに分けられる。発光素子の発光時において、画素に入力されるビデオ信号は、定電圧のものと、定電流のものがあり、ビデオ信号が定電圧のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。またビデオ信号が定電流のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。この発光素子に印加される電圧が一定のものは定電圧駆動であり、発光素子に流れる電流が一定のものは定電流駆動である。定電流駆動は、発光素子の抵抗変化によらず、一定の電流が流れる。本発明の発光表示装置及びその駆動方法は上記した駆動方法のいずれを用いてもよい。
なお、実施の形態1乃至実施の形態5に示した本発明の他の構成は本実施の形態で示した作製プロセスを適宜変更することで当業者であれば容易に得ることができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一形態に相当する発光装置のパネルの外観について図8を用いて説明する。図8は基板上に形成されたトランジスタおよび発光素子を対向基板4006との間に形成したシール材によって封止したパネルの上面図であり、図8(B)は図8(A)の断面図に相応する。このパネルの画素部の構成は、実施の形態1〜5に示したいずれかの構成を有している。
基板4001上に設けられた画素部4002と信号線駆動回路4003と走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また、画素部4002と信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004の上に対向基板4006が設けられている。よって画素部4002と信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004とは基板4001とシール材4005と対向基板4006とによって充填材4007と共に密封されている。
また、基板4001上に設けられた画素部4002と信号線駆動回路4003と走査線駆動回路4004とは薄膜トランジスタを複数有しており、図8(B)では信号線駆動回路4003に含まれる薄膜トランジスタ4008と、画素部4002に含まれる薄膜トランジスタ4010とを示す。
また、4011は発光素子に相当し、薄膜トランジスタ4010と電気的に接続されている。さらに発光素子の基板4001側には開口部4009が設けられ、その光路上に屈折率の大きく異なる材料が形成されていない状態となっている。開口部4009については実施の形態1乃至6を参照されたい。
また、引き回し配線4014は画素部4002と信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004とに、信号、または電源電圧を層供給するための配線に相当する。引き回し配線4014は、引き回し配線4015を介して接続端子4016と接続されている。接続端子4016はフレキシブルプリントサーキット(FPC)4018が有する端子と異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
なお、充填材4007としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、ポリビニルクロライド、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラル、またはエチレンビニレンアセテートを用いる事ができる。
なお、本発明の表示装置は発光素子を有する画素部が形成されたパネルと、該パネルにICが実装されたモジュールとをその範疇に含む。
本実施の形態で示したパネルやモジュールは、発光素子4011から発した光が表示装置外に射出するまでに、入射光と反射光が干渉して発生する定在波の発生が抑えられるため、この定在波が原因で引き起こされる視野角特性の悪化を抑制することが可能となる。また、視野角特性が改善された表示装置を作製することができる。
(実施の形態11)
実施の形態10にその一例を示したようなモジュールを搭載した本発明の電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図9に示す。
図9(A)は発光表示装置でありテレビ受像器やパーソナルコンピュータのモニターなどがこれに当たる。筐体2001、表示部2003、スピーカー部2004等を含む。本発明の発光表示装置は表示部2003の発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が低減され、また、表示の品質が向上する。画素部にはコントランスを高めるため、偏光板、又は円偏光板を備えるとよい。例えば、封止基板へ1/4λ板、1/2λ板、偏光板の順にフィルムを設けるとよい。さらに偏光板上に反射防止膜を設けてもよい。
図9(B)は携帯電話であり、本体2101、筐体2102、表示部2103、音声入力部2104、音声出力部2105、操作キー2106、アンテナ2108等を含む。本発明の携帯電話は表示部2103の発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が低減され、また、表示の品質が向上する。
図9(C)はコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明のコンピュータは表示部2203の発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が低減され、また、表示の品質が向上する。図9(C)ではノート型のコンピュータを例示したが、ハードディスクと表示部が一体化したデスクトップ型のコンピュータなどにも適用することが可能である。
図9(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明のモバイルコンピュータは表示部2302の発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が低減され、また、表示の品質が向上する。
図9(E)は携帯型のゲーム機であり、筐体2401、表示部2402、スピーカー部2403、操作キー2404、記録媒体挿入部2405等を含む。本発明の携帯型ゲーム機は表示部2402の発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が低減され、表示の品質が向上する。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。
(実施の形態12)
本実施の形態では発光積層体113の構成について詳しく説明する。
発光層は、有機化合物又は無機化合物を含む電荷注入輸送物質及び発光材料で形成し、その分子数から低分子系有機化合物、中分子系有機化合物(昇華性を有さず、且つ分子数が20以下、又は連鎖する分子の長さが10μm以下の有機化合物を指していう)、高分子系有機化合物から選ばれた一種又は複数種の層を含み、電子注入輸送性又は正孔注入輸送性の無機化合物と組み合わせても良い。
電荷注入輸送物質のうち、特に電子輸送性の高い物質としては、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また正孔輸送性の高い物質としては、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物が挙げられる。
また、電荷注入輸送物質のうち、特に電子注入性の高い物質としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物が挙げられる。また、この他、Alq3のような電子輸送性の高い物質とマグネシウム(Mg)のようなアルカリ土類金属との混合物であってもよい。
電荷注入輸送物質のうち、正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等の金属酸化物が挙げられる。また、この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物が挙げられる。
発光層は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成としても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成する。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。フィルター(着色層)を設けることで、従来必要であるとされていた円偏光板などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素部(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減すことができる。
発光材料には様々な材料がある。低分子系有機発光材料では、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−9−ジュロリジル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTB)、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等を用いることができる。また、この他の物質でもよい。
一方、高分子系有機発光材料は低分子系に比べて物理的強度が高く、素子の耐久性が高い。また塗布により成膜することが可能であるので、素子の作製が比較的容易である。高分子系有機発光材料を用いた発光素子の構造は、低分子系有機発光材料を用いたときと基本的には同じであり、半導体層側から陰極、有機発光層、陽極という構造である。しかし、高分子系有機発光材料を用いた発光層を形成する際には、低分子系有機発光材料を用いたときのような積層構造を形成させることは難しく、多くの場合2層構造となる。具体的には、半導体層側から陰極、発光層、正孔輸送層、陽極という構造である。
発光色は、発光層を形成する材料で決まるため、これらを選択することで所望の発光を示す発光素子を形成することができる。発光層の形成に用いることができる高分子系の電界発光材料は、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン系、ポリフルオレン系が挙げられる。
ポリパラフェニレンビニレン系には、ポリ(パラフェニレンビニレン) [PPV] の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン) [RO−PPV]、ポリ(2−(2’−エチル−ヘキソキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン)[MEH−PPV]、ポリ(2−(ジアルコキシフェニル)−1,4−フェニレンビニレン)[ROPh−PPV]等が挙げられる。ポリパラフェニレン系には、ポリパラフェニレン[PPP]の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレン)[RO−PPP]、ポリ(2,5−ジヘキソキシ−1,4−フェニレン)等が挙げられる。ポリチオフェン系には、ポリチオフェン[PT]の誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)[PAT]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)[PHT]、ポリ(3−シクロヘキシルチオフェン)[PCHT]、ポリ(3−シクロヘキシル−4−メチルチオフェン)[PCHMT]、ポリ(3,4−ジシクロヘキシルチオフェン)[PDCHT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−チオフェン][POPT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−2,2ビチオフェン][PTOPT]等が挙げられる。ポリフルオレン系には、ポリフルオレン[PF]の誘導体、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)[PDAF]、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)[PDOF]等が挙げられる。
なお、正孔輸送性の高分子系有機発光材料を、陽極と発光性の高分子系有機発光材料の間に挟んで形成すると、陽極からの正孔注入性を向上させることができる。一般にアクセプター材料と共に水に溶解させたものをスピンコート法などで塗布する。また、有機溶媒には不溶であるため、上述した発光性の有機発光材料との積層が可能である。正孔輸送性の高分子系有機発光材料としては、PEDOTとアクセプター材料としてのショウノウスルホン酸(CSA)の混合物、ポリアニリン[PANI]とアクセプター材料としてのポリスチレンスルホン酸[PSS]の混合物等が挙げられる。
また、発光層は単色又は白色の発光を呈する構成とすることができる。白色発光材料を用いる場合には、画素の光放射側に特定の波長の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成としてカラー表示を可能にすることができる。
白色に発光する発光層を形成するには、例えば、Alq3、部分的に赤色発光色素であるナイルレッドをドープしたAlq3、Alq3、p−EtTAZ、TPD(芳香族ジアミン)を蒸着法により順次積層することで白色を得ることができる。また、スピンコートを用いた塗布法によりELを形成する場合には、塗布した後、真空加熱で焼成することが好ましい。例えば、正孔注入層として作用するポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)を全面に塗布、焼成し、その後、発光層として作用する発光中心色素(1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(TPB)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノ−スチリル)−4H−ピラン(DCM1)、ナイルレッド、クマリン6など)ドープしたポリビニルカルバゾール(PVK)溶液を全面に塗布、焼成すればよい。
発光層は単層で形成することもでき、ホール輸送性のポリビニルカルバゾール(PVK)に電子輸送性の1,3,4−オキサジアゾール誘導体(PBD)を分散させてもよい。また、30wt%のPBDを電子輸送剤として分散し、4種類の色素(TPB、クマリン6、DCM1、ナイルレッド)を適当量分散することで白色発光が得られる。ここで示した白色発光が得られる発光素子の他にも、発光層の材料を適宜選択することによって、赤色発光、緑色発光、または青色発光が得られる発光素子を作製することができる。
なお、正孔輸送性の高分子系有機発光材料を、陽極と発光性の高分子系有機発光材料の間に挟んで形成すると、陽極からの正孔注入性を向上させることができる。一般にアクセプター材料と共に水に溶解させたものをスピンコート法などで塗布する。また、有機溶媒には不溶であるため、上述した発光性の有機発光材料との積層が可能である。正孔輸送性の高分子系有機発光材料としては、PEDOTとアクセプター材料としてのショウノウスルホン酸(CSA)の混合物、ポリアニリン[PANI]とアクセプター材料としてのポリスチレンスルホン酸[PSS]の混合物等が挙げられる。
さらに、発光層は、一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項励起材料を用いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の画素のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光材料で形成し、他を一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用した場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる。低消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光材料で形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、より低消費電力化を図ることができる。
三重項励起発光材料の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金属錯体などが知られている。三重項励起発光材料としては、これらの化合物に限られることはなく、上記構造を有し、且つ中心金属に周期表の8〜10属に属する元素を有する化合物を用いることも可能である。
以上に掲げる発光層を形成する物質は一例であり、正孔注入輸送層、正孔輸送層、電子注入輸送層、電子輸送層、発光層、電子ブロック層、正孔ブロック層などの機能性の各層を適宜積層することで発光素子を形成することができる。また、これらの各層を合わせた混合層又は混合接合を形成しても良い。発光層の層構造は変化しうるものであり、特定の電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、もっぱらこの目的用の電極を備えたり、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において許容されうるものである。
上記のような材料で形成した発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する。発光素子を用いて形成する表示装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくはアクティブマトリクス方式で駆動することができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミングで順方向バイアスを印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態となっている。この非発光時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向上させることができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化や、画素内で非発光領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆方向にバイアスを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ、発光装置の信頼性を向上させることができる。
(実施の形態13)
本実施の形態では、実施の形態10で示したパネル、モジュールが有する画素回路、保護回路及びそれらの動作について説明する。なお、図1〜図7に示してきた断面図は駆動用TFT1403と発光素子1405の断面図となっている。
図10(A)に示す画素は、列方向に信号線1410及び電源線1411、1412、行方向に走査線1414が配置される。また、スイッチング用TFT1401、駆動用TFT1403、電流制御用TFT1404、容量素子1402及び発光素子1405を有する。
図10(C)に示す画素は、駆動用TFT1403のゲート電極が、行方向に配置された電源線1412に接続される点が異なっており、それ以外は図10(A)に示す画素と同じ構成である。つまり、図10(A)(C)に示す両画素は、同じ等価回路図を示す。しかしながら、行方向に電源線1412が配置される場合(図10(A))と、列方向に電源線1412が配置される場合(図10(C))とでは、各電源線は異なるレイヤーの導電膜で形成される。ここでは、駆動用TFT1403のゲート電極が接続される配線に注目し、これらを作製するレイヤーが異なることを表すために、図10(A)(C)として分けて記載する。
図10(A)(C)に示す画素の特徴として、画素内に駆動用TFT1403、電流制御用TFT1404が直列に接続されており、駆動用TFT1403のチャネル長L(1403)、チャネル幅W(1403)、電流制御用TFT1404のチャネル長L(1404)、チャネル幅W(1404)は、L(1403)/W(1403):L(1404)/W(1404)=5〜6000:1を満たすように設定するとよい。
なお、駆動用TFT1403は、飽和領域で動作し発光素子1405に流れる電流値を制御する役目を有し、電流制御用TFT1404は線形領域で動作し発光素子1405に対する電流の供給を制御する役目を有する。両TFTは同じ導電型を有していると作製工程上好ましく、本実施の形態ではnチャネル型TFTとして形成する。また駆動用TFT1403には、エンハンスメント型だけでなく、ディプリーション型のTFTを用いてもよい。上記構成を有する本発明は、電流制御用TFT1404が線形領域で動作するために、電流制御用TFT1404のVgsの僅かな変動は、発光素子1405の電流値に影響を及ぼさない。つまり、発光素子1405の電流値は、飽和領域で動作する駆動用TFT1403により決定することができる。上記構成により、TFTの特性バラツキに起因した発光素子の輝度ムラを改善して、画質を向上させた表示装置を提供することができる。
図10(A)〜(D)に示す画素において、スイッチング用TFT1401は、画素に対するビデオ信号の入力を制御するものであり、スイッチング用TFT1401がオンとなると、画素内にビデオ信号が入力される。すると、容量素子1402にそのビデオ信号の電圧が保持される。なお図10(A)(C)には、容量素子1402を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、ビデオ信号を保持する容量がゲート容量などでまかなうことが可能な場合には、容量素子1402を設けなくてもよい。
図10(B)に示す画素は、TFT1406と走査線1414を追加している以外は、図10(A)に示す画素構成と同じである。同様に、図10(D)に示す画素は、TFT1406と走査線1414を追加している以外は、図10(C)に示す画素構成と同じである。
TFT1406は、新たに配置された走査線1414によりオン又はオフが制御される。TFT1406がオンとなると、容量素子1402に保持された電荷は放電し、電流制御用TFT1404がオフとなる。つまり、TFT1406の配置により、強制的に発光素子1405に電流が流れない状態を作ることができる。そのためTFT1406を消去用TFTと呼ぶことができる。従って、図10(B)(D)の構成は、全ての画素に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができるため、デューティ比を向上することが可能となる。
図10(E)に示す画素は、列方向に信号線1410、電源線1411、行方向に走査線1414が配置される。また、スイッチング用TFT1401、駆動用TFT1403、容量素子1402及び発光素子1405を有する。図10(F)に示す画素は、TFT1406と走査線1415を追加している以外は、図7(E)に示す画素構成と同じである。なお、図10(F)の構成も、TFT1406の配置により、デューティ比を向上することが可能となる。
以上のように、多様な画素回路を採用することができる。特に、非晶質半導体膜から薄膜トランジスタを形成する場合、駆動用TFTの半導体膜を大きくすると好ましい。そのため、上記画素回路において、電界発光層からの光が封止基板側から射出する上面発光型とすると好ましい。
このようなアクティブマトリクス型の発光装置は、画素密度が増えた場合、各画素にTFTが設けられているため低電圧駆動でき、有利であると考えられている。
本実施の形態では、一画素に各TFTが設けられるアクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、一列毎にTFTが設けられるパッシブマトリクス型の発光装置を形成することもできる。パッシブマトリクス型の発光装置は、各画素にTFTが設けられていないため、高開口率となる。発光が電界発光層の両側へ射出する発光装置の場合、パッシブマトリクス型の表示装置を用いる透過率が高まる。
これらのような画素回路をさらに有する本発明の表示装置は、視野角依存性が良好であり、薄膜トランジスタの特性を保つことができる上、各々の特徴を有する表示装置とすることができる。
続いて、図10(E)に示す等価回路を用い、走査線及び信号線に保護回路としてダイオードを設ける場合について説明する。
図11には、画素部1500にスイッチング用TFT1401、1403、容量素子1402、発光素子1405が設けられている。信号線1410には、ダイオード1561と1562が設けられている。ダイオード1561と1562は、スイッチング用TFT1401又は1403と同様に、上記実施の形態に基づき作製され、ゲート電極、半導体層、ソース電極及びドレイン電極等を有する。ダイオード1561と1562は、ゲート電極と、ドレイン電極又はソース電極とを接続することによりダイオードとして動作させている。
ダイオードと接続する共通電位線1554、1555はゲート電極と同じレイヤーで形成している。従って、ダイオードのソース電極又はドレイン電極と接続するには、ゲート絶縁膜にコンタクトホールを形成する必要がある。
走査線1414に設けられるダイオードも同様な構成である。
このように、本発明によれば、入力段に設けられる保護ダイオードを同時に形成することができる。なお、保護ダイオードを形成する位置は、これに限定されず、駆動回路と画素との間に設けることもできる。
このような保護回路を有する本発明の表示装置は、視野角依存性が良好であり、薄膜トランジスタの特性を保つことができる上、表示装置としての信頼性も高めることが可能となる。