以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の発光装置について図1を参照しながら説明する。基板50上には第1の下地絶縁層51a及び第2の下地絶縁層51bが設けられている。第2の下地絶縁層51bの上には、半導体層52とゲート絶縁層53とゲート電極54とを有する薄膜トランジスタ70が設けられている。また、薄膜トランジスタ70は絶縁膜(水素化膜)59と第1の層間絶縁層60に覆われている。第1の層間絶縁層60上には薄膜トランジスタ70のソース電極とドレイン電極も兼ねる接続部(配線)61aと配線61bが形成されている。そして、それら一部が絶縁膜(水素化膜)59、第1の層間絶縁層60及びゲート絶縁層53を貫通するコンタクトホールを介して半導体層52に電気的に接続している。また、接続部(配線)61a、配線61bと第1の層間絶縁層60を覆って第2の層間絶縁層63が形成されており、第2の層間絶縁層上には発光素子93が形成されている。
ここで、基板50はガラスや石英などの透光性を有するものを用いる。また、プラスチックなどの可撓性を有するものを基板50として用いても良い。このほか、透光性を有し、薄膜トランジスタ70や発光素子93を支える為の支持体としての機能を有するものであれば基板50として用いることができる。
第1の下地絶縁層51a及び第2の下地絶縁層51bは基板50中のアルカリ金属やアルカリ土類金属など、半導体膜の特性に悪影響を及ぼすような不純物元素(イオン)が半導体層中に拡散するのを防ぐ為に設ける。これら不純物元素(イオン)のブロック効果が大きいのは窒化ケイ素を主成分とする膜であることがわかっている。一方、酸化ケイ素を主成分とする膜は窒化ケイ素を主成分とする膜よりもバンドギャップが広く、絶縁性に優れ、トラップ準位も少ないという長所がある。
そこで、本実施の形態では、第1の下地絶縁層51a及びその上部に形成された第2の下地絶縁層51bの2層でもって下地絶縁層とする。ここで第1の下地絶縁層51aは窒化ケイ素を主成分とする膜、第2の下地絶縁層51bは酸化ケイ素を主成分とする膜であることが望ましいことは上述した通りである。なお本実施の形態は、第1の下地絶縁層51aは酸素を含む窒化ケイ素を50nm、第2の下地絶縁層51bは窒素を含む酸化ケイ素を100nm形成する。これにより、高い不純物元素(イオン)のブロッキング効果と薄膜トランジスタの信頼性を同時に得ることができる構造となっている。
ゲート絶縁層53はプラズマCVD法またはスパッタ法を用いてケイ素を含む絶縁層で形成する。膜厚は40〜150nmとすればよい。本実施の形態では、窒素を含む酸化ケイ素を100nm成膜することでゲート絶縁層53とする。
また、本実施の形態において、ゲート絶縁層53は単層で形成されているが、2以上の複数層から形成されていてもかまわない。その際の積層材料については適宜選択すれば良いが、ゲート電極の材料によっては、酸化膜に接して形成することによって劣化してしまう材料(Mo等)もある。そのような材料でゲート電極を形成した場合は、ゲート電極に接する方のゲート絶縁層を窒化ケイ素を主成分とする膜にすることによってゲート電極を安定に動作させることができる。
薄膜トランジスタ70の上部に形成されている絶縁膜(水素化膜)59は窒化ケイ素などケイ素を含む絶縁材料により形成し、絶縁膜(水素化膜)59は薄膜トランジスタ70を悪影響を及ぼすような異物から守るパッシベーション膜として働く。また、窒化ケイ素を主成分とする材料によって絶縁膜(水素化膜)59を形成後、加熱を行うことで半導体層52のダングリングボンドを絶縁膜(水素化膜)59に含まれる水素によって終端することができる。なお、絶縁膜(水素化膜)59は必須の構成ではなく、設けなくてもかまわない。
発光素子93は第1の電極64と第2の電極67との間に発光層66を挟んでなっている。また、第1の電極64と第2の電極67はいずれか一方が陽極、他方が陰極として機能する。発光素子は他の発光素子と土手などと呼ばれる隔壁65により分離されており、隔壁65は第1の電極64の端部を覆うように形成され、隔壁65自身の発光素子側の端部は曲率を有し、当該曲率が連続的に変化するテーパー形状をしていることが望ましい。
また、隔壁65は有機材料と無機材料どちらで形成されていても良く、感光性や非感光性のアクリル、ポリイミド、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒素を含む酸化ケイ素などの材料を用いることができる。また、シロキサンを用いても良く、シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造で構成され、置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)を有する。シロキサンが有する置換基としては、フッ素を有していてもよく、水素を含む基とフッ素の両方を有していてもよい。
第1の電極64はインジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電物からなることが望ましい。なお、ITO以外に、酸化ケイ素を含有するITOや、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛を含有したIZO(Indium Zinc Oxide)もしくは酸化亜鉛そのもの、酸化亜鉛にガリウムを含有したGZO(Galium Zinc Oxide)等を用いても良い。
また、発光層66は発光物質を含み、単層、または多層で構成される。なお、発光層66は有機物もしくは無機物のいずれからなるものであっても良いし、または無機物と有機物の両方を含むものでも良い。
薄膜トランジスタ70と発光素子93は、第2の層間絶縁層63上に形成された第1の電極64が第2の層間絶縁層63を貫通するコンタクトホールを介して接続部(配線)61aと電気的に接触することにより、接続している。
また、発光素子93に対応した位置、すなわち発光素子93からの発光が外部に射出する際の光路に対応して、発光素子93と第1の下地絶縁層51aとの間に第2の下地絶縁層51b、ゲート絶縁層53、絶縁膜(水素化膜)59及び第1の層間絶縁層60は形成されておらず、開口部71が設けられている。すなわち、第1の層間絶縁層60、絶縁膜(水素化膜)59、ゲート絶縁層53及び第2の下地絶縁層51bを貫通して開口部71が形成されている。
開口部71の底面には第1の下地絶縁層51aが露出しており、また、開口部71による段差は第2の層間絶縁層63により満たされ、平坦化されている。言い換えると、開口部71において第2の層間絶縁層63と第1の下地絶縁層51aとは接触している。
また、開口部71の側面は本実施の形態では第1の層間絶縁層60、絶縁膜(水素化膜)59、ゲート絶縁層53及び第2の下地絶縁層51bが露出しているが、開口部71を形成する条件によってエッチング速度の違いから当該側面の形状は凹凸を有することもある。
第2の層間絶縁層63は自己平坦性を有する材料(例えばアクリル、ポリイミド、シロキサンなどの塗布膜など)で形成することで第2の下地絶縁層51b、ゲート絶縁層53及び絶縁膜(水素化膜)59を除去した事により大きくなった下部の凹凸を緩和することができる。
ところで、発光素子93からの発光は、発光装置内の様々な層を通過して発光装置外に射出される。ここで、光が通過する層の屈折率が異なると界面における反射や屈折の影響によって多重干渉が発生する。これにより定在波が起こると、発光装置の発光面を角度を変えて見た際に色調が変化してしまう、いわゆる視野角依存が発生してしまう。これは発光装置の表示の品質を著しく低下させる原因となっていた。
そこでこのように、開口部71を発光素子93の光が射出する光路に対応して形成することによって、発光素子93で発光した光が発光装置外へ射出するまでに通過する膜の数が減る。これにより、発光素子93からの発光の多重干渉により定在波が発生する確率を大きく減少させることが可能となる。これにより、見る角度によって発光スペクトルが変化してしまうことを低減することが可能となる。すなわち、視野角依存による色ズレを低減させることができる。
本発明では、下地絶縁層を、基板からの不純物のブロッキング効果が高い窒化ケイ素を主成分とする材料で形成した第1の下地絶縁層51aとバンドギャップが広く、絶縁性に優れ、トラップ準位も少ない酸化ケイ素を主成分とする材料で形成した第2の下地絶縁層51bの2層で形成する。そして、酸化ケイ素を主成分とする材料で形成された第2の下地絶縁層51bに接して薄膜トランジスタの活性層となる半導体層52を形成する。且つ、発光素子93が発光装置外に射出する光路上にあたる部分の第1の層間絶縁層60、絶縁膜(水素化膜)59、ゲート絶縁層53及び第2の下地絶縁層51bを除去し、開口部71を形成する。開口部71は発光素子93が発光装置外に発光を射出する際の光路に対応して設ける。
これにより、発光素子93からの発光が発光装置外部に射出する際の光路上に存在する膜の数や界面の数が減少するため、膜の界面での反射が減少し、多重干渉による定在波発生の確率を減少させることが可能となり、発光装置の視野角依存性が減少する。また、基板からの不純物のブロッキング効果が高い窒化ケイ素を主成分とする材料で形成した第1の下地絶縁層51aが開口部71においても残存しているので、基板からの不純物の侵入を効果的にブロックし、薄膜トランジスタの特性を保つことができる。
従来の構成である図14(A)のような構成であると、第2の下地絶縁層51b、ゲート絶縁層53、絶縁膜(水素化膜)59及び第1の層間絶縁層60が発光素子93から発する光が射出する光路上にも設けられている。
このように、多くの層が発光素子93からの発光が射出される光路上に存在すると、光が多く反射され定在波が発生してしまう確率が高くなり、発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が大きく現れてしまう可能性が高くなる。
このため、図1で示した形態においては、発光素子93下部におけるこれらの膜を除去する構成となっている。また、開口部71を形成した後、第2の層間絶縁層63を自己平坦性を有する絶縁材料を用いて形成することで、開口部71を設けたことにより発生する凹凸を緩和することができ、開口率の向上に寄与する。
(実施の形態2)
図2に本発明の他の実施の形態について示した。本実施の形態に示した構成は実施の形態1に記載の構造と同様の効果を発揮するものである。各々の構成の特徴について以下に述べる。なお、図1と同じものには符号を付さず、その説明を省略したものもある。図1及び実施の形態1の記載を参照されたい。
図2(A)に示したように、第2の層間絶縁層63上に第2の層間絶縁層63とは異なる材料で形成された絶縁層86を形成しても良い。絶縁層86は発光素子の第1の電極64をエッチングする際、第2の層間絶縁層63までエッチングされてしまうことを防ぐ役割や、第2の層間絶縁層63から発光素子93に悪影響を及ぼす水などが侵入する事を防ぐ役割があり、窒化ケイ素膜などの材料からなる。もちろん、それらが気にならないのなら、絶縁層86を設ける必要は無い。
図2(B)は第1の層間絶縁層60が接続部(配線)61aや配線61bのエッチングによって共にエッチングされてしまうような材料で形成した場合の対策を示す一例である。第1の層間絶縁層60と接続部(配線)61a、配線61bとの間に第1の層間絶縁層とは異なる材料の絶縁層95が形成されており絶縁層95は窒化ケイ素などの材料で形成する。絶縁層95は第1の層間絶縁層60を形成した後、それを覆う用に基板全面に形成するが、接続部(配線)61a及び配線61b等のエッチングの際、エッチングされて無くなる程度の膜厚に形成しておけば第1の層間絶縁層60の膜減りを防ぎつつ、開口部71上に絶縁層95が残存することを防止することができる。なお、図2(B)は図2(A)に示した絶縁層86が形成されている図となっているが、もちろん絶縁層86はなくてもかまわない。
図2(C)の絶縁層87は図2(A)における絶縁層86を発光素子93から発した光が発光装置外に射出する際の光路に当たる部分で除去した構成である。このようにすることで、エッチングストッパーとしての役割を残しつつ、光路上によけいな膜を増やさない構成とすることができる。この構成は図2(B)の絶縁層95に適用することも可能である。すなわち、第1の層間絶縁層60上に絶縁層95を形成した後、第2の層間絶縁層63を形成する前のいずれかの段階で発光素子93から発した光が発光装置外に射出する際の光路に当たる部分における絶縁層95を除去する。
本実施の形態のような構成を採ることによって、発光素子93からの発光が発光装置外部に射出する際の光路上に存在する膜の数、すなわち界面の数が減少するため、膜の界面での反射が減少し、多重干渉による定在波発生の確率を減少させることが可能となり、発光装置の視野角依存性が減少する。また、基板からの不純物のブロッキング効果が高い窒化ケイ素を主成分とする材料で形成した第1の下地絶縁層51aが開口部においても残存しているので、基板からの不純物の侵入を効果的にブロックし、薄膜トランジスタの特性を保つことができる。
なお、これら図2における3つの形態は互いに組み合わせる事が可能であり、実施の形態1と組み合わせる事も可能である。
(実施の形態3)
図3に本発明の他の実施の形態について示した。本実施の形態に示した構成は実施の形態1に記載の構造と同様の効果を発揮するものである。各々の構成の特徴について以下に述べる。なお、図1と同じものには符号を付さず、その説明を省略したものもある。図1及び実施の形態1の記載を参照されたい。
図3は接続部(配線)61aと配線61b上に絶縁層80、82、84を形成した場合の形態について説明する。これらの絶縁層は薄膜トランジスタの活性層を不純物から守る為のパッシベーション膜として用いられる。その為、パッシベーション能力の高い窒化ケイ素を主成分とする膜が好適に用いられるが、他の材料で形成されていても良い。
これら、絶縁層80、82、84を形成した場合、その屈折率が開口部71において隣接する層と類似の屈折率を有するのであれば、そのまま残存させても重大な影響は及ぼさないが、屈折率が大きく異なる材料で形成された場合には絶縁層80、82、84を除去するなど対策を講じると良い。
図3(A)は接続部(配線)61a及び配線61b及び第1の層間絶縁層60、開口部81を覆って絶縁層80が形成されている構成である。第1の下地絶縁層51aと絶縁層80の屈折率が近いようであればこのような構成であってもかまわない。
図3(B)は接続部(配線)61a及び配線61b及び第1の層間絶縁層60を覆って絶縁層82が形成されており、発光素子93から発した光が発光装置外に射出する際の光路に当たる開口部83の端部より外側で絶縁層82が除去されている構成である。この構成であると、絶縁層82を設けたことによる開口率の低下は起きない。
図3(B)は接続部(配線)61a及び配線61b及び第1の層間絶縁層60を覆って絶縁層84が形成されており、開口部85の内側において絶縁層80が除去されている構成である。この構成であると、開口部85の端部も絶縁層84でカバーされているため、パッシベーションの効果は高い。
本実施の形態のような構成を採ることによって、発光素子93からの発光が発光装置外部に射出する際の光路上に存在する膜の数(界面の数)が減少するため、膜の界面での反射が減少し、多重干渉による定在波発生の確率を減少させることが可能となり、発光装置の視野角依存性が減少する。また、基板からの不純物のブロッキング効果が高い窒化ケイ素を主成分とする材料で形成した第1の下地絶縁層51aが開口部においても残存しているので、基板からの不純物の侵入を効果的にブロックし、薄膜トランジスタの特性を保つことができる。
本実施の形態は実施の形態1、実施の形態2と組み合わせて使用することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では本発明の他の実施の形態について図4、図5を参照しながら説明する。本実施の形態に示した構成は実施の形態1に記載の構造と同様の効果を発揮するものである。各々の構成の特徴について以下に述べる。なお、図1と同じものには符号を付さず、その説明を省略したものもある。図1及び実施の形態1の記載を参照されたい。
図4(A)は開口部100が絶縁膜(水素化膜)59、ゲート絶縁層53及び第2の下地絶縁層51bを貫通して設けられており、第1の層間絶縁層96は絶縁膜(水素化膜)59及び開口部100を覆って形成されている。第1の層間絶縁層96、絶縁膜(水素化膜)59及びゲート絶縁層53に形成されたコンタクトホールを介して半導体層52に電気的に接する接続部(配線)61aと配線61bが形成されており、第1の層間絶縁層96、接続部(配線)61a及び配線61bを覆って第2の層間絶縁層63が形成されている。
第1の層間絶縁層96を第2の層間絶縁層63もしくは第1の下地絶縁層51aと屈折率が近い材料で形成すれば、このような構成であっても図1の構成と同様の効果を得ることができる。
図4(B)はゲート絶縁層を1層目のゲート絶縁層97、2層目のゲート絶縁層98の2層で形成した構成である。1層目のゲート絶縁層97と2層目のゲート絶縁層98はケイ素を含むお互いに異なる材料で形成すればよいが、半導体層52に接して形成される1層目のゲート絶縁層97を酸化ケイ素を主成分とする材料で形成し、ゲート電極99に接して形成される2層目のゲート絶縁層98を窒化ケイ素を主成分とする材料で形成すると良い。このような材料の組み合わせにより2層のゲート絶縁層を形成し、絶縁膜(水素化膜)59を窒化ケイ素を主成分とする膜により形成すると、ゲート電極99が窒化ケイ素を主成分とする膜で周辺を囲まれており、酸化ケイ素を主成分とする膜に接していないため、ゲート電極99がモリブデンなど酸化しやすい材料であっても安定に用いることが可能となる。また、半導体層52に接している1層目のゲート絶縁層97は酸化ケイ素を主成分とする材料で形成されている為、トラップ準位も少なく、作製された薄膜トランジスタは安定した動作を得ることができる。
また、図4(B)においてゲート電極99の形状は断面形状が台形となっている例を示したが、ゲート電極の断面形状はこのような形でなくてもかまわない。
図5(A)(B)は第1の電極と薄膜トランジスタを接続する構成が図4(A)(B)とは異なっており、接続部(配線)61aと発光素子の第1の電極64が直接接するのではなく、配線を介している構成である。図5(A)は接続部(配線)61aに第2の層間絶縁層63上に形成された配線200がコンタクトホールを介して接続されており、その配線200に発光素子93の第1の電極201が接続されている。図5(B)は図5(A)とほぼ同様の構成であるが、第2の層間絶縁層63を形成した後、配線301を形成する前に発光素子の第1の電極300を形成した場合の構成である。
なお、図5においてはゲート絶縁層53、ゲート電極54上には第1の層間絶縁層60が形成され、絶縁膜(水素化膜)59は形成されていない構成である。本発明は図5のように絶縁膜(水素化膜)59が形成されていなくてもかまわない。これは他の実施の形態においても同様である。また、図5において絶縁膜(水素化膜)59を設けてもかまわないことはもちろんである。
本実施の形態のような構成を採ることによって、発光素子93からの発光が発光装置外部に射出する際の光路上に存在する膜の数(界面の数)が減少するため、膜の界面での反射が減少し、多重干渉による定在波発生の確率を減少させることが可能となり、発光装置の視野角依存性が減少する。また、基板からの不純物のブロッキング効果が高い窒化ケイ素を主成分とする材料で形成した第1の下地絶縁層51aが開口部においても残存しているので、基板からの不純物の侵入を効果的にブロックし、薄膜トランジスタの特性を保つことができる。
本実施の形態は実施の形態1乃至実施の形態3と組み合わせて使用することが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では本発明の他の実施の形態について図6を参照しながら説明する。本実施の形態に示した構成は実施の形態1に記載の構造と同様の効果を発揮するものである。各々の構成の特徴について以下に述べる。なお、図1と同じものには符号を付さず、その説明を省略したものもある。図1及び実施の形態1の記載を参照されたい。
図6(A)(B)に示した本実施の形態における構成では、接続部(配線)61a、配線61bと発光素子93の第1の電極410を同じ層間絶縁層409上に形成した例でを示す。本実施の形態では、ゲート絶縁層53とゲート電極54を覆って層間絶縁層409が形成されており、層間絶縁層409上にコンタクトホールを介して半導体層52に達する接続部(配線)61a及び配線61bが形成されている。
また、接続部(配線)61aと一部重なって発光素子93の第1の電極410が形成されており、層間絶縁層409に接して発光素子93が形成されている。発光素子93は第1の電極410と第2の電極413との間に発光層412を挟んでなっている。発光素子は他の発光素子と土手などと呼ばれる隔壁411により分離されている。
層間絶縁層409は自己平坦性を有する絶縁材料により形成することが望ましく、下部に形成された薄膜トランジスタや開口部による凹凸を緩和し、発光装置の開口率を向上させることが可能になる。
図6(A)と図6(B)は接続部(配線)61aと発光素子の第1の電極410の配置のみ異なっている。図6(A)は接続部(配線)61aを形成してから第1の電極410を形成するため、接続部(配線)61aの上に第1の電極410が位置している。また、図6(B)では第1の電極410を形成してから接続部(配線)61aを形成する為、第1の電極410の上に接続部(配線)61aが位置している。
図6(C)は図6(A)と同様の構成であり、絶縁膜(水素化膜)72を形成する前に開口部71を形成し、その後、絶縁膜(水素化膜)72をゲート絶縁層53、ゲート電極54、開口部71の上に形成した構成であるが、大きく異なるのは、絶縁膜(水素化膜)72により開口部が覆われている点である。絶縁膜(水素化膜)72の材料を層間絶縁層409もしくは第1の下地絶縁層51aと同じ材料、もしくは同様の屈折率を有する材料で形成すれば、絶縁膜(水素化膜)72と層間絶縁層409もしくは第1の下地絶縁層51aとの界面で反射がほとんど起こらず、光学的に同じ1層としてみなせるため、図6(A)と同様の効果を得ることができる。
本実施の形態のような構成を採ることによって、発光素子93からの発光が発光装置外部に射出する際の光路上に存在する膜の数(界面の数)が減少する。このため膜の界面での反射が減少し、多重干渉による定在波発生の確率を減少させることが可能となり、発光装置の視野角依存性が減少する。また、基板からの不純物のブロッキング効果が高い窒化ケイ素を主成分とする材料で形成した第1の下地絶縁層51aが開口部においても残存しているので、基板からの不純物の侵入を効果的にブロックし、薄膜トランジスタの特性を保つことができる。
なお、従来の構成である図14(B)のような構成であると、第2の下地絶縁層51b、ゲート絶縁層53、絶縁膜(水素化膜)59及び層間絶縁層409が発光素子93から発する光が射出する光路上にも設けられている。
このように、多くの層が発光素子93からの発光が射出される光路上に存在すると、光が多く反射され定在波が発生してしまう確率が高くなり、発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が大きく現れてしまう可能性が高くなる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態1に示した構成を有する本発明の発光装置を作製する方法について図7、図8を参照しながら説明する。
基板50上に第1の下地絶縁層51a、第2の下地絶縁層51bを形成した後、さらに半導体層を第2の下地絶縁層51b上に形成する。(図7(A))
基板50の材料としては透光性を有するガラス、石英やプラスチック(ポリイミド、アクリル、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルスルホンなど)等を用いることができる。これら基板は必要に応じてCMP等により研磨してから使用しても良い。本実施の形態においてはガラス基板を用いる。
第1の下地絶縁層51a、第2の下地絶縁層51bは基板50中のアルカリ金属やアルカリ土類金属など、半導体膜の特性に悪影響を及ぼすような元素が半導体層中に拡散するのを防ぐ為に設ける。材料としては酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒素を含む酸化ケイ素、酸素を含む窒化ケイ素などを用いることができる。
第1の下地絶縁層51a、第2の下地絶縁層51bは先に述べたように基板50中のアルカリ金属やアルカリ土類金属など、半導体膜の特性に悪影響を及ぼすような不純物元素(イオン)が半導体層中に拡散するのを防ぐ為に設けるが、これら不純物元素(イオン)のブロック効果が大きいのは窒化ケイ素を主成分とする膜であることがわかっている。しかし、窒化ケイ素を主成分とする膜は窒化ケイ素の含有量が多くなるにつれてトラップ準位が増加し、また内部応力が大きくなるので、その上に直接薄膜トランジスタの活性層を形成することは適さない。一方、酸化ケイ素を主成分とする膜は窒化ケイ素を主成分とする膜よりもバンドギャップが広く、絶縁性に優れ、トラップ準位も少ない長所があるが、窒化ケイ素を主成分とする膜と比較して吸湿性がある、不純物元素(イオン)のブロッキング効果が低いなどという短所も有している。
そこで、本実施の形態では、第1の下地絶縁層51a及びその上部に形成された第2の下地絶縁層51bの2層でもって下地絶縁層を形成する。なお、第1の下地絶縁層51aは酸素を含む窒化ケイ素を50nm、第2の下地絶縁層51bは窒素を含む酸化ケイ素を100nm成膜することで形成し、高い不純物元素(イオン)のブロッキング効果と薄膜トランジスタの信頼性を同時に得ることができる構造とする。
続いて形成される半導体層は本実施の形態では非晶質ケイ素膜をレーザ結晶化して得る。第2の下地絶縁層51b上に非晶質ケイ素膜を25〜100nm(好ましくは30〜60nm)の膜厚で形成する。作製方法としては公知の方法、例えばスパッタ法、減圧CVD法またはプラズマCVD法などが使用できる。その後、500℃で1時間の加熱処理を行い水素出しをする。
続いてレーザ照射装置を用いて非晶質ケイ素膜を結晶化して結晶質ケイ素膜を形成する。本実施の形態のレーザ結晶化ではエキシマレーザを使用し、発振されたレーザビームを光学系を用いて線状のビームスポットに加工し非晶質ケイ素膜に照射することで結晶質ケイ素膜とし、半導体層として用いる。
非晶質ケイ素膜の他の結晶化の方法としては、他に、熱処理のみにより結晶化を行う方法や結晶化を促進する触媒元素を用い加熱処理を行う事によって行う方法もある。結晶化を促進する元素としてはニッケル、鉄、パラジウム、錫、鉛、コバルト、白金、銅、金などが挙げられ、このような元素を用いることによって熱処理のみで結晶化を行った場合に比べ、低温、短時間で結晶化が行われるため、ガラス基板などへのダメージが少ない。熱処理のみにより結晶化をする場合は、基板50を熱に強い石英基板などにしなければいけない。
続いて、必要に応じて半導体層にしきい値をコントロールする為に微量の不純物添加、いわゆるチャネルドーピングを行う。要求されるしきい値を得る為にN型もしくはP型を呈する不純物(リン、ボロンなど)をイオンドーピング法などにより添加する。
その後、図7(A)に示すように半導体層を所定の形状にパターニングし、島状の半導体層52を得る。パターニングは半導体層にフォトレジストを塗布し、所定のマスク形状を露光し、焼成して、半導体層上にレジストマスクを形成し、このマスクを用いてエッチングをすることにより行われる。
続いて半導体層52を覆うようにゲート絶縁層53を形成する。ゲート絶縁層53はプラズマCVD法またはスパッタ法を用いて膜厚を40〜150nmとしてケイ素を含む絶縁層でゲート絶縁層53を形成する。本実施の形態では酸化ケイ素を用いて形成する。
次いで、ゲート絶縁層53上にゲート電極54を形成する。ゲート電極54はTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶ケイ素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。
また、本実施の形態ではゲート電極54は単層で形成されているが、下層にタングステン、上層にモリブデンなどの2層以上の積層構造でもかまわない。積層構造としてゲート電極を形成する場合であっても前段で述べた材料を使用するとよい。また、その組み合わせも適宜選択すればよい。
ゲート電極54の加工はフォトレジストを用いたマスクを利用し、エッチングをして行う。
続いて、ゲート電極54をマスクとして半導体層52に高濃度の不純物を添加する。これによって半導体層52、ゲート絶縁層53、及びゲート電極54を含む薄膜トランジスタ70が形成される。
なお、薄膜トランジスタの作製工程については特に限定されず、所望の構造のトランジスタを作製できるように適宜変更すればよい。
本実施の形態では、レーザ結晶化を使用して結晶化した結晶性質ケイ素膜を用いたトップゲートの薄膜トランジスタを画素部に用いたが、非晶質半導体膜を用いたボトムゲート型の薄膜トランジスタを画素部に用いることも可能である。非晶質半導体はケイ素だけではなくシリコンゲルマニウムも用いることができ、シリコンゲルマニウムを用いる場合、非晶質半導体層中のゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。
また非晶質半導体中に0.5nm〜20nmの結晶を粒観察することができる微結晶半導体膜(セミアモルファス半導体)を用いてもよい。また0.5nm〜20nmの結晶を粒観察することができる微結晶はいわゆるマイクロクリスタル(μc)とも呼ばれている。
セミアモルファス半導体であるセミアモルファスシリコン(SASとも表記する)は、珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4であり、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。この珪化物気体を水素、水素とヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して用いることでSASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は10倍〜1000倍の範囲で珪化物気体を希釈することが好ましい。グロー放電分解による被膜の反応生成は0.1Pa〜133Paの範囲の圧力で行えば良い。グロー放電を形成するための電力は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzの高周波電力を供給すれば良い。基板加熱温度は300度以下が好ましく、100〜250度の基板加熱温度が好適である。
このようにして形成されたSASはラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしており、X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)の中和剤として水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020cm-1以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下とする。TFTにしたときのμ=1〜10cm2/Vsecとなる。
また、このSASをレーザでさらに結晶化して用いても良い。
続いて、ゲート電極54、ゲート絶縁層53を覆って絶縁膜(水素化膜)59を窒化ケイ素により形成する。絶縁膜(水素化膜)59を形成したら480℃で1時間程度加熱を行って、不純物元素の活性化及び半導体層52の水素化を行う。
続いて、絶縁膜(水素化膜)59を覆う第1の層間絶縁層60を形成する。第1の層間絶縁層60を形成する材料としては酸化ケイ素、アクリル、ポリイミドやシロキサン、Low−k材料等をもちいるとよい。本実施の形態では酸化ケイ素膜を第1の層間絶縁層60として形成した。(図7(B))
次に、半導体層52に至るコンタクトホールを開口すると同時に、第2の下地絶縁層51b、絶縁膜(水素化膜)59、ゲート絶縁層53及び第1の層間絶縁層60に、開口部71を形成する。コンタクトホール及び開口部71はレジストマスクを用いて、コンタクトホールでは半導体層52、開口部では第1の下地絶縁層51aが露出するまでエッチングを行うことで形成することができ、ウエットエッチング、ドライエッチングどちらでも形成することができる。この際、半導体層52及び第1の下地絶縁層51aを形成する材料に対してエッチングレートが小さいエッチング条件を選ぶことが肝要である。なお、条件によって一回でエッチングを行ってしまっても良いし、複数回に分けてエッチングを行っても良い。また、複数回でエッチングする際は、ウエットエッチングとドライエッチングの両方を用いても良い。例えばフッ酸を用いた薬液(0.5%希フッ酸)でウエットエッチング等により形成すればよい。(図7(C))
そして、当該コンタクトホールや第1の層間絶縁層60を覆う導電層を形成する。当該導電層を所望の形状に加工し、接続部(配線)61a、配線61bなどが形成される。この配線はアルミニウム、銅等の単層でも良いが、本実施の形態では基板側からモリブデン、アルミニウム、モリブデンの積層構造とする。積層配線としては基板側からチタン、アルミニウム、チタンやチタン、窒化チタン、アルミニウム、チタンといった構造でも良い。(図7(D))
その後、接続部(配線)61a、配線61b、第1の層間絶縁層60及び開口部71を覆って第2の層間絶縁層63を形成する。第2の層間絶縁層63の材料としては自己平坦性を有するアクリル、ポリイミド、シロキサンなどの塗布膜が好適に利用できる。本実施の形態ではシロキサンを第2の層間絶縁層63として用いる。(図7(E))
続いて第2の層間絶縁層63上に窒化ケイ素などで絶縁層を形成してもよい。これは後の画素電極のエッチングにおいて、第2の層間絶縁層63が必要以上にエッチングされてしまうのを防ぐ為に形成する。そのため、画素電極と第2の層間絶縁層のエッチングレートの比が大きい場合には特に設けなくとも良い。続いて、第2の層間絶縁層63を貫通して接続部(配線)61aに至るコンタクトホールを形成する。
そして当該コンタクトホールと第2の層間絶縁層63(もしくは絶縁層)を覆って、透光性を有する導電層を形成したのち、当該透光性を有する導電層を加工して第1の電極64を形成する。ここで第1の電極64は接続部(配線)61aと電気的に接触しており、また、開口部71を覆うように形成されている。第1の電極64の材料としてはインジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)や酸化ケイ素を含有するITO(ITSO)、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛を含有したIZO(Indium Zinc Oxide)もしくは酸化亜鉛そのもの、そして酸化亜鉛にガリウムを含有したGZO(Galium Zinc Oxide)等を用いるとよい。本実施の形態ではITSOを第1の電極64として用いた。(図8(A))
次に第2の層間絶縁層63(もしくは絶縁層)及び第1の電極64を覆って有機材料もしくは無機材料からなる絶縁層を形成する。続いて当該絶縁層は第1の電極の一部が露出するように加工し、隔壁65を形成する。隔壁65の材料としては、感光性を有する有機材料(アクリル、ポリイミドなど)が好適に用いられるが、感光性を有さない有機材料や無機材料で形成してもかまわない。第1の電極の端部を覆う隔壁65の端面は曲率を有し、当該曲率が連続的に変化するテーパー形状をしていることが望ましい。(図8(B))
次に、隔壁65から露出した第1の電極64を覆う発光層66を形成する。発光層66は蒸着法やインクジェット法、スピンコート法などいずれの方法を用いて形成してもかまわない。(図8(C))
続いて発光層66を覆う第2の電極67を形成する。これによって第1の電極64と発光層66と第2の電極67とからなる発光素子93を作製することができる。
このように、開口部71を発光素子93の光が射出する光路上に当たる部分に形成することによって、発光素子93で発光した光が発光装置外へ射出するまでに通過する膜の数が減る。これにより、発光素子93からの発光の多重干渉により定在波が発生する確率を大きく減少させることが可能となる。
本発明では、下地絶縁層を、基板からの不純物のブロッキング効果が高い窒化ケイ素を主成分とする材料で形成した第1の下地絶縁層51aとバンドギャップが広く、絶縁性に優れ、トラップ準位も少ない酸化ケイ素を主成分とする材料で形成した第2の下地絶縁層51bの2層で形成する。そして、酸化ケイ素を主成分とする材料で形成された第2の下地絶縁層51bに接して薄膜トランジスタの活性層となる半導体層52を形成する。且つ、多重干渉による定在波の発生を防ぐ為に発光素子93から発した光が発光装置外に射出する際の光路上に形成する開口部71は、第1の層間絶縁層60、絶縁膜(水素化膜)59、ゲート絶縁層53、及び第2の下地絶縁層51bを除去し、基板からの不純物のブロッキング効果が高い窒化ケイ素を主成分とする材料で形成した第1の下地絶縁層51aは基板上に残して形成される。これにより、定在波の発生確率が減少し、視野角依存性が低減された発光装置においても基板からの不純物の侵入を効果的にブロックし、薄膜トランジスタの特性を保つことができる。
その後、プラズマCVD法により窒素を含む酸化ケイ素膜をパッシベーション膜として形成する。窒素を含む酸化ケイ素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化ケイ素膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化ケイ素膜、あるいはSiH4、N2OをArで希釈したガスから形成される酸化窒化ケイ素膜を形成すれば良い。
また、パッシベーション膜としてSiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化ケイ素膜を適用しても良い。もちろん、パッシベーション膜は単層構造に限定されるものではなく、他のケイ素を含む絶縁層を単層構造、もしくは積層構造として用いても良い。また、窒化炭素膜と窒化ケイ素膜の多層膜やスチレンポリマーの多層膜、窒化ケイ素膜やダイヤモンドライクカーボン膜を窒素を含む酸化ケイ素膜の代わりに形成してもよい。
続いて発光素子を水などの劣化を促進する物質から保護するために、表示部の封止を行う。対向基板を封止に用いる場合は、絶縁性のシール材により、外部接続部が露出するように貼り合わせる。対向基板と素子基板との間の空間には乾燥した窒素などの不活性気体を充填しても良いし、シール材を画素部全面に塗布しそれにより対向基板を形成しても良い。シール材には紫外線硬化樹脂などを用いると好適である。シール材には乾燥剤やギャップを一定に保つための粒子を混入しておいても良い。続いて外部接続部にフレキシブル配線基板を貼り付けることによって、発光装置が完成する。
なお、表示機能を有する本発明の発光装置には、アナログのビデオ信号、デジタルのビデオ信号のどちらを用いてもよい。デジタルのビデオ信号を用いる場合はそのビデオ信号の電圧を用いているものと、電流を用いているものとに分けられる。発光素子の発光時において、画素に入力されるビデオ信号は、定電圧のものと、定電流のものがあり、ビデオ信号が定電圧のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。またビデオ信号が定電流のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。この発光素子に印加される電圧が一定のものは定電圧駆動であり、発光素子に流れる電流が一定のものは定電流駆動である。定電流駆動は、発光素子の抵抗変化によらず、一定の電流が流れる。本発明の発光装置及びその駆動方法には、ビデオ信号の電圧を用いても、ビデオ信号の電流を用いてもどちらを用いてもよく、また定電圧駆動、定電流駆動のどちらを用いてもよい。
本実施の形態のような方法で形成された発光装置は、発光素子93からの発光が発光装置外部に射出する際の光路上に存在する膜の数(界面の数)が減少するため、膜の界面での反射が減少し、多重干渉による定在波発生の確率を減少させることが可能となり、発光装置の視野角依存性が減少する。また、基板からの不純物のブロッキング効果が高い窒化ケイ素を主成分とする材料で形成した第1の下地絶縁層51aが開口部においても残存しているので、基板からの不純物の侵入を効果的にブロックし、薄膜トランジスタの特性を保つことができる。
なお、図1乃至図6に示した本発明の他の構成は本実施の形態で示した作製プロセスを適宜変更することで当業者であれば容易に得ることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一形態に相当する発光装置のパネルの外観について図12を用いて説明する。図12は基板4001上に形成されたトランジスタおよび発光素子を対向基板4006との間に形成したシール材によって封止したパネルの上面図であり、図12(B)は図12(A)の断面図に相応する。
基板4001上に設けられた画素部4002と信号線駆動回路4003と走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また、画素部4002と信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004の上に対向基板4006が設けられている。よって画素部4002と信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004とは基板4001とシール材4005と対向基板4006とによって充填材4007と共に密封されている。
また、基板4001上に設けられた画素部4002と信号線駆動回路4003と走査線駆動回路4004とは薄膜トランジスタを複数有しており、図12(B)では信号線駆動回路4003に含まれる薄膜トランジスタ4008と、画素部4002に含まれる薄膜トランジスタ4010とを示す。
また、4011は発光素子に相当し、薄膜トランジスタ4010と電気的に接続されている。さらに発光素子と基板4001との間には開口部4009が設けられ、発光素子から発した光が発光装置外に射出する際の光路上に屈折率の大きく異なる材料が形成されていない状態となっている。開口部4009については実施の形態1乃至6を参照されたい。
また、引き回し配線4014は画素部4002と信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004とに、信号、または電源電圧を供給するための配線に相当する。引き回し配線4014は、引き回し配線4015a及び引き回し配線4015bを介して接続端子4016と接続されている。接続端子4016はフレキシブルプリントサーキット(FPC)4018が有する端子と異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
なお、充填材4007としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、ポリビニルクロライド、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラル、またはエチレンビニレンアセテートを用いる事ができる。
なお、本発明の発光装置は発光素子を有する画素部が形成されたパネルと、該パネルにICが実装されたモジュールとをその範疇に含む。
本実施の形態のような構成のパネル、及びモジュールは、発光素子93からの発光が発光装置外部に射出する際の光路上に存在する膜の数(界面の数)が減少するため、膜の界面での反射が減少し、多重干渉による定在波発生の確率を減少させることが可能となり、視野角依存性が良好である。また、基板からの不純物のブロッキング効果が高い窒化ケイ素を主成分とする材料で形成した第1の下地絶縁層51aが開口部においても残存しているので、基板からの不純物の侵入を効果的にブロックし、薄膜トランジスタの特性を保つことができる。
(実施の形態8)
実施の形態7にその一例を示したようなモジュールを搭載した本発明の電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図13に示す。
図13(A)は発光装置でありテレビ受像器やパーソナルコンピュータのモニターなどがこれに当たる。筐体2001、表示部2003、スピーカー部2004等を含む。本発明の発光装置は表示部2003の発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が低減され、また、表示の品質が向上する。画素部にはコントランスを高めるため、偏光板、又は円偏光板を備えるとよい。例えば、封止基板へ1/4λ板、1/2λ板、偏光板の順にフィルムを設けるとよい。さらに偏光板上に反射防止膜を設けてもよい。
図13(B)は携帯電話であり、本体2101、筐体2102、表示部2103、音声入力部2104、音声出力部2105、操作キー2106、アンテナ2108等を含む。本発明の携帯電話は表示部2103の発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が低減され、また、表示の品質が向上する。
図13(C)はコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明のコンピュータは表示部2203の発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が低減され、また、表示の品質が向上する。図13(C)ではノート型のコンピュータを例示したが、ハードディスクと表示部が一体化したデスクトップ型のコンピュータなどにも適用することが可能である。
図13(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明のモバイルコンピュータは表示部2302の発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が低減され、また、表示の品質が向上する。
図13(E)は携帯型のゲーム機であり、筐体2401、表示部2402、スピーカー部2403、操作キー2404、記録媒体挿入部2405等を含む。本発明の携帯型ゲーム機は表示部2402の発光取り出し面を見る角度に依存した発光スペクトルの変化が低減され、表示の品質が向上する。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。
(実施の形態9)
本実施の形態では発光層66の構成について詳しく説明する。
発光層は、有機化合物又は無機化合物を含む電荷注入輸送物質及び発光材料で形成し、その分子数から低分子有機化合物、中分子有機化合物(昇華性を有さず、且つ分子数が20以下、又は連鎖する分子の長さが10μm以下の有機化合物を指していう)、高分子有機化合物から選ばれた一種又は複数種の層を含み、電子注入輸送性又は正孔注入輸送性の無機化合物と組み合わせても良い。
電荷注入輸送物質のうち、特に電子輸送性の高い物質としては、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また正孔輸送性の高い物質としては、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物が挙げられる。
また、電荷注入輸送物質のうち、特に電子注入性の高い物質としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物が挙げられる。また、この他、Alq3のような電子輸送性の高い物質とマグネシウム(Mg)のようなアルカリ土類金属との混合物であってもよい。
電荷注入輸送物質のうち、正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等の金属酸化物が挙げられる。また、この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物が挙げられる。
発光層は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成としても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成する。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。フィルター(着色層)を設けることで、従来必要であるとされていた円偏光板などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素部(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減すことができる。
発光材料には様々な材料がある。低分子有機発光材料では、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTB)、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリン−9−イル)エニル]ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等を用いることができる。また、この他の物質でもよい。
一方、高分子有機発光材料は低分子に比べて物理的強度が高く、素子の耐久性が高い。また塗布により成膜することが可能であるので、素子の作製が比較的容易である。高分子有機発光材料を用いた発光素子の構造は、低分子有機発光材料を用いたときと基本的には同じであり、その積層構造は基板側から陰極、有機発光層、陽極となる。しかし、高分子有機発光材料を用いた発光層を形成する際には、低分子有機発光材料を用いたときのような積層構造を形成させることは難しく、多くの場合、2層構造となる。具体的には、基板側から陰極、発光層、正孔輸送層、陽極という構造である。
発光色は、発光層を形成する材料で決まるため、これらを選択することで所望の発光を示す発光素子を形成することができる。発光層の形成に用いることができる高分子の発光材料は、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン系、ポリフルオレン系が挙げられる。
ポリパラフェニレンビニレン系には、ポリ(パラフェニレンビニレン) [PPV] の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン) [RO−PPV]、ポリ(2−(2’−エチル−ヘキソキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン)[MEH−PPV]、ポリ(2−(ジアルコキシフェニル)−1,4−フェニレンビニレン)[ROPh−PPV]等が挙げられる。ポリパラフェニレン系には、ポリパラフェニレン[PPP]の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレン)[RO−PPP]、ポリ(2,5−ジヘキソキシ−1,4−フェニレン)等が挙げられる。ポリチオフェン系には、ポリチオフェン[PT]の誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)[PAT]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)[PHT]、ポリ(3−シクロヘキシルチオフェン)[PCHT]、ポリ(3−シクロヘキシル−4−メチルチオフェン)[PCHMT]、ポリ(3,4−ジシクロヘキシルチオフェン)[PDCHT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−チオフェン][POPT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−2,2ビチオフェン][PTOPT]等が挙げられる。ポリフルオレン系には、ポリフルオレン[PF]の誘導体、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)[PDAF]、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)[PDOF]等が挙げられる。
また、発光層は単色又は白色の発光を呈する構成とすることができる。白色発光材料を用いる場合には、画素の光放射側に特定の波長の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成としてカラー表示を可能にすることができる。
白色に発光する発光層を形成するには、例えば、Alq3、部分的に赤色発光色素であるナイルレッドをドープしたAlq3、Alq3、p−EtTAZ、TPD(芳香族ジアミン)を蒸着法により順次積層することで白色を得ることができる。また、スピンコートを用いた塗布法により発光素子を形成する場合には、塗布により成膜した後、真空加熱で焼成することが好ましい。例えば、正孔注入層として作用するポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)を全面に塗布、焼成し、その後、発光層として作用する発光中心色素(1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(TPB)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノ−スチリル)−4H−ピラン(DCM1)、ナイルレッド、クマリン6など)ドープしたポリビニルカルバゾール(PVK)溶液を全面に塗布、焼成すればよい。
発光層は単層で形成することもでき、ホール輸送性のポリビニルカルバゾール(PVK)に電子輸送性の1,3,4−オキサジアゾール誘導体(PBD)を分散させてもよい。また、30wt%のPBDを電子輸送剤として分散し、4種類の色素(TPB、クマリン6、DCM1、ナイルレッド)を適当量分散することで白色発光が得られる。ここで示した白色発光が得られる発光素子の他にも、発光層の材料を適宜選択することによって、赤色発光、緑色発光、または青色発光が得られる発光素子を作製することができる。
なお、正孔輸送性の高分子有機発光材料を、陽極と発光性の高分子有機発光材料の間に挟んで形成すると、陽極からの正孔注入性を向上させることができる。一般にアクセプター材料と正孔輸送性の高分子有機発光材料を共に水に溶解させたものをスピンコート法などで塗布することで成膜する。また、有機溶媒には不溶であるため、上述した発光性の有機発光材料との積層が可能である。正孔輸送性の高分子有機発光材料としては、PEDOTとアクセプター材料としてのショウノウスルホン酸(CSA)の混合物、ポリアニリン[PANI]とアクセプター材料としてのポリスチレンスルホン酸[PSS]の混合物等が挙げられる。
さらに、発光層は、一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項励起材料を用いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の画素のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光材料で形成し、他を一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用した場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる。低消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光材料で形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、より低消費電力化を図ることができる。
三重項励起発光材料の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金属錯体などが知られている。三重項励起発光材料としては、これらの化合物に限られることはなく、上記構造を有し、且つ中心金属に周期表の8〜10属に属する元素を有する化合物を用いることも可能である。
以上に掲げる発光層を形成する物質は一例であり、正孔注入輸送層、正孔輸送層、電子注入輸送層、電子輸送層、発光層、電子ブロック層、正孔ブロック層などの機能性の各層を適宜積層することで発光素子を形成することができる。また、これらの各層を合わせた混合層又は混合接合を形成しても良い。発光層の層構造は変化しうるものであり、特定の電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、もっぱらこの目的用の電極を備えたり、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において許容されうるものである。
上記のような材料で形成した発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する。発光素子を用いて形成する発光装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくはアクティブマトリクス方式で駆動することができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミングで順方向バイアスを印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態となっている。この非発光時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向上させることができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化モードや、画素内で非発光領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆方向にバイアスを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ、発光装置の信頼性を向上させることができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では本発明を利用した発光装置の構成の1例を、図9を参照しながら説明する。なお、形が異なっていても同様の機能を示す部分には同じ符号を付し、その説明を省略する部分もある。本実施の形態では、LDD構造を有する薄膜トランジスタ70が接続部(配線)61aを介して発光素子93に接続している。もちろん実施の形態1から実施の形態3に示したようなそれぞれの構成であっても適用することが可能である。
図9(A)は第1の電極64が透光性を有する導電膜により形成されており、基板50側に発光層66より発せられた光が取り出される構造である。なお94は対向基板であり、発光素子93が形成された後、シール材などを用い、基板50に固着される。対向基板94と発光素子93との間に透光性を有する樹脂88等を充填し、封止することによって発光素子93が水分により劣化することを防ぐ事ができる。また、樹脂88が吸湿性を有していることが望ましい。さらに樹脂88中に透光性の高い乾燥剤89を分散させるとさらに水分の影響を抑えることが可能になるためさらに望ましい形態である。
図9(B)は第1の電極64と第2の電極92両方が透光性を有する導電膜により形成されており、基板50及び対向基板94の両方に光を取り出すことが可能な構成となっている。また、この構成では基板50と対向基板94の外側に偏光板90を設けることによって画面が透けてしまうことを防ぐことができ、視認性が向上する。偏光板90の外側には保護フィルム91を設けると良い。
本発明では、本実施の形態のような構成の発光層66を有する発光素子93からの発光が発光装置外部に射出する際の光路上に存在する膜の数(界面の数)が減少するため、膜の界面での反射が減少し、多重干渉による定在波発生の確率を減少させることが可能となり、視野角依存性を減少させることができる。
(実施の形態11)
本実施の形態では、実施の形態7で示したパネル、モジュールが有する画素回路、保護回路及びそれらの動作について説明する。なお、図1〜図9に示してきた断面図は駆動用TFT1403と発光素子1405の断面図となっている。
図10(A)に示す画素は、列方向に信号線1410及び電源線1411、1412、行方向に走査線1414が配置される。また、スイッチング用TFT1401、駆動用TFT1403、電流制御用TFT1404、容量素子1402及び発光素子1405を有する。
図10(C)に示す画素は、駆動用TFT1403のゲート電極が、行方向に配置された電源線1412に接続される点が異なっており、それ以外は図10(A)に示す画素と同じ構成である。つまり、図10(A)(C)に示す両画素は、同じ等価回路図を示す。しかしながら、列方向に電源線1412が配置される場合(図10(A))と、行方向に電源線1412が配置される場合(図10(C))とでは、各電源線は異なるレイヤーの導電膜で形成される。ここでは、駆動用TFT1403のゲート電極が接続される配線に注目し、これらを作製するレイヤーが異なることを表すために、図10(A)(C)として分けて記載する。
図10(A)(C)に示す画素の特徴として、画素内に駆動用TFT1403、電流制御用TFT1404が直列に接続されており、駆動用TFT1403のチャネル長L(1403)、チャネル幅W(1403)、電流制御用TFT1404のチャネル長L(1404)、チャネル幅W(1404)は、L(1403)/W(1403):L(1404)/W(1404)=5〜6000:1を満たすように設定するとよい。
なお、駆動用TFT1403は、飽和領域で動作し発光素子1405に流れる電流値を制御する役目を有し、電流制御用TFT1404は線形領域で動作し発光素子1405に対する電流の供給を制御する役目を有する。両TFTは同じ導電型を有していると作製工程上好ましく、本実施の形態ではnチャネル型TFTとして形成する。また駆動用TFT1403には、エンハンスメント型だけでなく、ディプリーション型のTFTを用いてもよい。上記構成を有する本発明は、電流制御用TFT1404が線形領域で動作するために、電流制御用TFT1404のVgsの僅かな変動は、発光素子1405の電流値に影響を及ぼさない。つまり、発光素子1405の電流値は、飽和領域で動作する駆動用TFT1403により決定することができる。上記構成により、TFTの特性バラツキに起因した発光素子の輝度ムラを改善して、画質を向上させた発光装置を提供することができる。
図10(A)〜(C)に示す画素において、スイッチング用TFT1401は、画素に対するビデオ信号の入力を制御するものであり、スイッチング用TFT1401がオンとなると、画素内にビデオ信号が入力される。すると、容量素子1402にそのビデオ信号の電圧が保持される。なお図10(A)(C)には、容量素子1402を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、ビデオ信号を保持する容量がゲート容量などでまかなうことが可能な場合には、容量素子1402を設けなくてもよい。
図10(B)に示す画素は、TFT1406と走査線1414を追加している以外は、図10(A)に示す画素構成と同じである。同様に、図10(D)に示す画素は、TFT1406と走査線1414を追加している以外は、図10(C)に示す画素構成と同じである。
TFT1406は、新たに配置された走査線1414によりオン又はオフが制御される。TFT1406がオンとなると、容量素子1402に保持された電荷は放電し、電流制御用TFT1404がオフとなる。つまり、TFT1406の配置により、強制的に発光素子1405に電流が流れない状態を作ることができる。そのためTFT1406を消去用TFTと呼ぶことができる。従って、図10(B)(D)の構成は、全ての画素に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができるため、デューティ比を向上することが可能となる。
図10(E)に示す画素は、列方向に信号線1410、電源線1411、行方向に走査線1414が配置される。また、スイッチング用TFT1401、駆動用TFT1403、容量素子1402及び発光素子1405を有する。図10(F)に示す画素は、TFT1406と走査線1415を追加している以外は、図10(E)に示す画素構成と同じである。なお、図10(F)の構成も、TFT1406の配置により、デューティ比を向上することが可能となる。
以上のように、多様な画素回路を採用することができる。特に、非晶質半導体膜から薄膜トランジスタを形成する場合、駆動用TFTの半導体膜を大きくすると好ましい。そのため、上記画素回路において、発光層からの光が対向基板側から射出する上面発光型とすると好ましい。
このようなアクティブマトリクス型の発光装置は、画素密度が増えた場合、各画素にTFTが設けられているため低電圧駆動でき、有利であると考えられている。
本実施の形態では、一画素に各TFTが設けられるアクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、一列毎にTFTが設けられるパッシブマトリクス型の発光装置を形成することもできる。パッシブマトリクス型の発光装置は、各画素にTFTが設けられていないため、高開口率となる。発光が発光層の両側へ射出する発光装置の場合、パッシブマトリクス型の発光装置を用いると透過率が高まる。
これらのような画素回路をさらに有する本発明の発光装置は、視野角依存性が良好であり、薄膜トランジスタの特性を保つことができる上、各々の特徴を有する発光装置とすることができる。
続いて、図10(E)に示す等価回路を用い、走査線及び信号線に保護回路としてダイオードを設ける場合について説明する。
図11には、画素部1500にスイッチング用TFT1401、駆動用TFT1403、容量素子1402、発光素子1405が設けられている。信号線1410には、ダイオード1561と1562が設けられている。ダイオード1561と1562は、スイッチング用TFT1401又は駆動用TFT1403と同様に、上記実施の形態に基づき作製され、ゲート電極、半導体層、ソース電極及びドレイン電極等を有する。ダイオード1561と1562は、ゲート電極と、ドレイン電極又はソース電極とを接続することによりダイオードとして動作させている。
ダイオードと接続する共通電位線1554、1555はゲート電極と同じレイヤーで形成している。従って、ダイオードのソース電極又はドレイン電極と接続するには、ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成する必要がある。
走査線1414に設けられるダイオードも同様な構成である。
このように、本発明によれば、入力段に設けられる保護ダイオードのようなダイオードを同時に形成することができる。なお、保護ダイオードを形成する位置は、これに限定されず、駆動回路と画素との間に設けることもできる。
このような保護回路を有する本発明の発光装置は、視野角依存性が良好であり、薄膜トランジスタの特性を保つことができる上、発光装置としての信頼性も高めることが可能となる。