JP5153366B2 - 発光素子の評価方法及び評価装置 - Google Patents

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Description

有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子などの発光素子の評価に関する。
EL素子などの自発光素子は、高輝度発光が可能であると共に、低消費電力化、装置薄型化等であり、次世代表示装置、光源装置として注目されている。EL素子の一種である有機EL素子では、有機材料を発光材料に利用しており、発光色の自由度が高いことからも盛んに研究開発が行われている。しかし、耐久性などに課題も多く、素子の研究開発には、素子特性を評価するための効率的な測定が要求される。
EL素子は、その発光輝度が、電流、電圧に依存性を持つことから、素子の評価には、輝度−電流−電圧特性を測定することが一般的に行われている。一例として、定電流印加時における発光輝度測定、発光時における電圧測定などが該当する。
また、発光スペクトルの角度依存性の測定も標準的な評価法として採用され、画素評価としては、画素への定電流印加時の点灯試験などが行われている。
特許文献1には、効率的な評価を目指し、電流−電圧特性から係数を求めて、素子の劣化を電気的に評価する手法が示されている。
特開2000−348861号公報
上記EL素子の輝度−電流−電圧特性の測定により、数値上、異常を発見することができるが、測定時、既に、有機ELディスプレイには、一般的に配線や回路が組み込まれた状態になっている。したがって、異常の原因が素子そのものにあるのか、配線や回路異常によるものなのか、判別することができない。同様な理由から、定電流印加時における点灯試験も、異常発生時において、その原因を正確に突き止めることが難しい。
発光スペクトルの角度依存性の測定については、同一試料内、同一時点での比較による依存性は評価されている。しかし、劣化などの異常との相関については明らかでなく、発光スペクトルによる劣化評価等は行われていなかった。
特許文献1の手法によれば、測定開始から迅速に評価を終えることができるが、材料そのものの特性が大きく変わっていなければ評価の基礎となる電流、電圧値に変化がない。よって、ある程度材料の劣化が進行してからでないと判別することができない。
そこで、本発明では、迅速かつ精度良く発光素子の異常発生を評価する。
本発明は、電子注入電極とホール注入電極との間に少なくとも発光層を備える発光素子の評価方法であって、前記発光素子を駆動して得られる発光スペクトルを所定の観察角度にて測定し、該観察角度と同一の観察角度における基準スペクトルと、前記測定したスペクトルとの差分スペクトルに基づいて、前記発光素子の特性異常の有無を判定する。
そして、本発明では、上記評価方法において、前記測定した発光スペクトル及び前記基準スペクトルは、それぞれ規格化され、規格化された該2つのスペクトルの差分スペクトルを複数の前記観察角度についてそれぞれ求め、該差分スペクトルの絶対値の最大値と所定値と比較結果に基づいて、前記発光素子の特性異常の有無を判定する。
本発明の他の態様では、上記評価方法において、前記発光素子の特性異常として、少なくとも、素子初期特性の異常、素子劣化異常、又は膜厚異常のいずれかが判定される。
本発明の他の態様では、電子注入電極とホール注入電極との間に、少なくとも発光層を有する発光素子と、該素子を駆動するための駆動配線、駆動回路素子、又は集積回路の少なくともいずれかとが組み込まれて構成された発光ディスプレイにおける前記発光素子の評価装置であって、評価部が、所定条件で前記発光素子を発光駆動して得られる発光スペクトルと、基準スペクトルとの差分スペクトルを求める差分演算部と、前記差分スペクトルを所定値と比較する比較部と、前記比較部において前記差分スペクトルが前記所定値より大きいと、前記発光素子の異常発生と検出する異常判定部と、を備え、前記発光スペクトル及び前記基準スペクトルは、それぞれ規格化され、前記差分演算部は、規格化された該2つのスペクトルの差分スペクトルを複数の観察角度についてそれぞれ求め、前記比較部は、該差分スペクトルの絶対値の最大値と所定値とを比較し、前記異常判定部は、該差分スペクトルの絶対値の最大値が前記所定値より大きいと、特性異常の有りと判定する
本発明の他の態様では、前記観察角度は、少なくとも前記差分の波長依存特性が互いに異なる複数の観察角度である。
本発明の他の態様では、上記方法又は装置において、前記発光素子は、エレクトロルミネッセンス素子であり、例えば、少なくとも発光層に有機発光材料を含む有機エレクトロルミネッセンス素子である。
本発明に係る特性評価では、発光素子を駆動して測定した発光スペクトルを用いて基準スペクトルと比較するため、電圧・電流変化等の間接検知方法とは異なり、発光素子にとって重要な発光状態に生ずる変化を、直接、感度良く検出することができる。このため、例えば素子劣化の程度が余り進展していないような初期異常や、膜厚異常、或いは発光分布などを迅速かつ正確に評価することができる。
有機EL素子等の発光素子は、発光層における発光を外部に取り出すことにより自発光素子として利用されているが、その素子構造は、複数の異なった屈折率の材料の積層体である。よって、外部に取り出されるまでには光学的な界面多重反射による光学干渉がおこり、外部に取り出される発光のスペクトルは発光層本来で起こっている発光とは異なったものとなる。本出願人の研究の結果、発光層本来で起こっている発光のスペクトルは同じでも、素子構造内での欠陥等による異常や、素子構成層の厚さ、発光面に垂直な方向での発光分布が異なれば外部に取り出される発光スペクトルに差異が生ずることが判明した。また、その差異には波長依存性があり、さらに、角度依存性が存在することも判明した。
本発明では、この現象を利用して、発光スペクトルを測定し、基準スペクトルと比較することで、構成材料の異常、膜厚異常、発光面に垂直な方向での発光分布異常等を感度良く評価でき、それらの評価に基づいて初期異常・劣化の有無等の判定も非破壊で行うことができる。
なお、発光スペクトルと基準スペクトルの差異は、観察角度に対する依存性があるため、複数の観察角度におけるスペクトルの差異を考慮することで、評価感度を向上させることができる。
また、ディスプレイに組み込まれている場合、発光素子自体に異常が無くても、素子を駆動するための配線や駆動回路に異常がある可能性もあるが、本発明によれば、素子に起因した異常のみを識別できる。
以下、図面を用いてこの発明の最良の実施の形態(以下実施形態という)について説明する。
(全体構成)
図1は、本実施形態の評価対象に係るエレクトロルミネッセンス素子の例として採用した有機EL素子100の概略構成を示す。EL素子100は、ガラスなどの透明基板10の上に、ホール注入電極(陽極)としてITOなどの透明電極12、発光層を含む1層以上の有機層20、電子注入電極(陰極)として金属電極14がこの順に積層されて構成されている。有機層20は、有機層に採用される材料特性などに応じて、単層、多層構造が採用され、少なくとも上記発光層を備える単層構造の他、2層以上の多層構造を採用することができる。図1の例では、有機層20は、ホール注入電極12側からホール注入層22、ホール輸送層24、発光層26、電子輸送層28、電子注入層30が積層された多層構造となっている。また、例えば電子注入層やホール注入層のない構造など、様々な構成の有機EL素子100を採用することができる。
本実施形態に係るEL素子の特性評価は、図2に示されるような評価装置200を用い、図1に例示されるような構成のEL素子100の評価を行うことができる。なお、EL素子100は、ELディスプレイ中に、駆動配線や駆動回路等と共に、既に組み込まれた状態において、評価装置200によって評価できる。
評価装置200は、試料であるEL素子100の発光スペクトルを測定するスペクトル測定部210、EL素子100を所定条件で駆動して発光させるための試料駆動部220を有する(ELディスプレイ中に駆動部が既に組み込まれている場合には、この駆動部に対し評価に必要な制御信号を供給する)。また、暗箱260内に配置されるEL素子100を、これを搭載した基台ごと回転させ、スペクトル測定部210におけるスペクトルの観察角度を調整するための回転モータ230と、この回転モータ230を制御するモータ制御部240、評価部300を備える。
評価部300は、図2に例示されるようにコンピュータによって構成することができ、内部に各種演算部を備え、スペクトル測定部210での測定結果からEL素子100の特性判定を実行する判定部を少なくとも備える。本実施形態では、測定されたスペクトルと基準スペクトルとの差分演算部、異常又は発光分布の判定部、基準試料データベースなどを備えている。また、この評価部300は、図示するように、上記試料駆動部220及びモータ制御部240の動作をそれぞれ制御するための制御部を備えていても良い。
以上のような評価装置200を用い、本実施形態では、EL素子100に所定電流(例えば20mA/cm2)を流したときのEL素子100の発光スペクトルをスペクトル測定部210で測定する。
EL素子などの発光素子では、上記のように複数の層を備えて構成されており、構成材料層の劣化や欠陥、膜厚ばらつき、発光面に垂直な方向における発光分布に応じた発光スペクトルを有することが判明した。特に基準スペクトルと発光スペクトルとの差分スペクトルは、波長依存性があり、その差分スペクトルを評価することで特性及びその変化を精度良く検出することができる。さらに、この差分スペクトルは、観察角度の依存性があり、異なる観察角度で差分スペクトルを評価することにより、評価精度を高めることができる。
なお、これら発光スペクトルの波長依存性、特にその観察角度依存性の変化の因子は、初期特性(欠陥、ばらつき等)や、駆動による特性劣化に関係しているので、初期性能や劣化の評価に利用することも可能である。
(評価方式1)
測定方式1では、EL素子100の特性劣化を複数の観察角度からのスペクトル測定によって評価する。以下、更に図3、図4及び図5を参照してこの測定方式1について説明する。
まず、測定対象であるEL素子100を評価装置200の基台にセットする。次に、回転サーボモータ240を制御し、EL素子100を基板ごと搭載する基台の法線方向(EL素子100の法線方向)がスペクトル測定器210の法線方向(図2の一点鎖線方向)に対して所定第1角度となるように設定し測定角度を制御し、試料駆動回路220によりEL素子100を発光駆動する(S1)。
スペクトル測定器210は、この第1角度でのEL素子100の発光スペクトルIを測定する(S2)。評価部300は、予め特性劣化の生じていない基準EL素子(基準試料)から測定して得られた結果を格納する基準試料データベースを参照し、このデータベースから、基準EL素子の発光スペクトルデータ(基準スペクトルデータ)I0を読み出し、測定されたスペクトルIとの差分スペクトル(I−I0)を演算する(S3)。
基準試料データベースには、上記基準スペクトルI0の他、予め測定した複数の基準スペクトルの最大値と最小値の差(基準最大差)σImaxを格納しておく。但しσImaxはこれに限定されるものではなく、素子に求められる精度により、任意に変更することができる。評価部300は、この基準最大差σImaxと、上記演算した差分スペクトルの絶対値|I−I0|とを比較する(S4)。
なお、この基準スペクトルデータI0は、後述するように所定時間駆動した後の特性劣化を測定する場合、劣化前のEL素子100を駆動して得られた発光スペクトルをその最大強度で規格化した発光スペクトル(I0)である。基準最大差σImaxは、上記劣化前のEL素子の規格化した発光スペクトル(I0)から求めた基準最大差σImaxである。
初期状態における劣化(ばらつき)有無を判定する場合には、基準スペクトルは、上記の通り、予め求められた基準EL素子の最大強度で規格化した発光スペクトルと基準最大差σImaxを用いる。
ステップS4における比較の結果、差分スペクトルの絶対値|I−I0|が基準最大差σImax以上の場合(No)、測定対象のEL素子100の発光スペクトルが、基準スペクトルの測定誤差範囲を超えるとして、EL素子100に異常有りと判断し(S5)、スペクトル測定による評価を終了する。
一方、比較の結果、差分スペクトルの絶対値|I−I0|が基準最大差σImax以下であれば(Yes)、該当する観察角度(第1観察角度)測定において、EL素子100に異常なしと判断し、更に別の観察角度での測定が設定されていれば観察角度の変更を決定する(S6,Yes)。この場合、ステップS1に戻りサーボモータ制御部230の制御によって観察角度を第2観察角度に変更し、発光スペクトルの測定(S2)、差分スペクトルの計算及び評価(S3,S4)を実行する。
第2観察角度における差分スペクトルの絶対値が基準最大差σImax以上の場合には、更に観察角度を変更して発光スペクトルの測定をするかどうか判断し(S6)、設定した全観察角度について測定が終了していれば角度の変更は行わず(No)、EL素子100について異常なしとの評価結果を出して測定を終了する(S7)。
図4は、観察角度として0°と60°を採用し、EL素子の劣化前後で測定した各観察角度での原スペクトルを示している。この例では、測定したEL素子100に、電流を20mA/cm2流している。測定に用いたEL素子100としては(図1参照)、ホール注入電極12としてITO(Indium Tin Oxide)、ホール注入層22として銅フタロシアニン(CuPc)、ホール輸送層24としてトリフェニルアミン4量体(TPTE)、発光層26のホスト材料としては、電子輸送機能を備えたキノリノールアルミ錯体(Alq3)、発光層ドーパントとしてメチル化キナクリドン(MeQd)、電子輸送層28としては、キノリノールアルミ錯体(Alq3)、電子注入層30としてフッ化リチウム(LiF)、電子注入電極14としてアルミニウム(Al)を用いた。
なお、本方式の例では、発光層26と電子輸送層28とは、発光層では発光ドーパントが含まれる点を除いて共通の電子輸送材料が用いられており、発光層は発光機能と電子輸送機能を備えている。
各層の成膜は、ITO以外は、真空蒸着法によりin−situで行った。なお、ITOは基板として市販されているものを用いた。また、各層の膜厚はITO(ホール注入電極):150nm、銅フタロシアニン(ホール注入層):10nm、トリフェニルアミン4量体(ホール輸送層):50nm、メチル化キナクリドンドープキノリノールアルミ錯体(発光層兼電子輸送層):40nm、キノリノールアルミ錯体(電子輸送層):20nm、フッ化リチウム(電子注入層):0.5nm、Al(電子注入電極):100nmとし、この順に積層した。
また、図4に示されるスペクトルの測定には、発光スペクトル測定部210として、浜松フォトニクス製マルチチャンネル光検出器PMA−11を用いた。測定距離は限定されるものではないが、10cm以上1m以下が望ましく、ここでは30cmとした。
ここで、図4中の実線が、観察角度0°における劣化前(初期状態)のEL素子100の発光スペクトルと、初期状態における発光輝度を100%とした場合に、その発光輝度が初期状態の70%になるまで劣化した場合のEL素子100素子の発光スペクトルである。また、図4の点線が、観察角度60°における、初期状態のEL素子100の発光スペクトルと、劣化後のEL素子100の発光スペクトルである。
図4からは、観察角度0°と60°とで、発光強度の波長依存性が異なることがわかる。なお、劣化前後での各観察角度における差は、大きく現れておらず、原スペクトルではEL素子特性の測定は難しい。
一方、図5は、上述のように、基準試料データ(劣化前素子の最大強度で規格化した発光スペクトル)I0と、劣化後のEL素子の最大強度で規格化した発光スペクトル(I)と、の差分スペクトル(I−I0)を示している。
図5から明らかなように、差分スペクトルの発光強度には波長依存性が存在しており、EL素子の駆動による劣化が判定可能であることがわかる。
また、図5に示されているように、差分スペクトルは観察角度によってその強度特性が異なっている。図5の例では、観察角度0°の強度特性の波長依存性が最も高く、観察角度が大きくなるにつれその依存性が変化している。この例では、波長依存性は、0°と比較すると低下する。
したがって、上述のように例えば観察角度0°、60°というように、差分スペクトルの波長依存性(感度)の違いが大きい複数の観察角度を採用し、その角度における差分スペクトルに基づいてEL素子の特性を測定することで、測定感度を向上させることができる。
さらに、EL素子の発光強度が小さく、S/N比が悪い場合には、最大感度が得られるように複数の観察角度において差分スペクトルを比較することが好適である。なお、図5の素子例では、観察角度0゜が高感度であるが、素子構成によっては観察角度0゜の感度が小さく、他の観察角度で最大となる場合もあり、条件に応じて高感度となる第1観察角度と、感度(又は波長依存性)の異なる第2観察角度を採用することが好適である。
以上のように発光スペクトルを測定し、基準との差分スペクトルを求めることにより、測定対象であるEL素子の特性変化(ばらつき・劣化)の有無や、経時劣化を、非破壊にて精度良く、そして迅速に評価することが可能となる。
(評価方式2)
次に、EL素子100の膜厚異常の検出方式について、図6及び図7を更に参照して説明する。感度の異なる複数の観察角度においてEL素子100の発光スペクトルを測定し、差分スペクトルを求める点は上記測定方式1と共通するため説明を省略する。
図1に示すような構成のEL素子100において(素子の具体構成は、上記方式1の素子と同じとした)、膜厚異常があった例として、電子輸送層28の膜厚を、20nmから30nmに変更したEL素子を用意した。図6は、この膜厚変更素子の最大強度で規格化した発光スペクトル(I)と、膜厚変更無しの基準素子(電子輸送層28の厚さ20nm)の最大強度で規格化した発光スペクトル(I0)との差分スペクトル(I−I0)を示している。
また、図1に示す様なEL素子100において(素子の具体構成は、上記方式1の素子と同じ)、膜厚異常があった例として、ホール輸送層24の膜厚を、50nmから60nmに変更したEL素子を用意した。図7は、膜厚変更素子の最大強度で規格化した発光スペクトル(I)と、膜厚変更無しの基準素子(ホール輸送層24の厚さ50nm)の最大強度で規格化した発光スペクトル(I0)との差分スペクトル(I−I0)を示している。
図6及び図7において、上述の図5との対比からも理解できるように、膜厚が基準素子から変化することにより、差分スペクトルの最大波長及び波形が変化し、また、その波長、波形は観察角度の依存性もある。よって、測定対象であるEL素子100に膜厚異常が発生した場合には、異常の有無及び異常の箇所、そして異常の程度を差分スペクトルの波長依存性及び観察角度依存性から推定できることが理解できる。
さらに、上述の測定方式1において示した特性劣化の発生時における差分スペクトルと、本方式2における膜厚異常の発生時における差分スペクトルとは、それぞれピーク波長や波形が異なり、かつ該当素子のこの差分スペクトルには観察角度依存性がある。よって、差分スペクトルの観察角度依存性の違いから、異常原因(劣化による異常、膜厚異常等)を推定することができる。つまり、複数の観察角度においてEL素子の発光スペクトルを測定した結果から、異常の様々な原因を推定することができる。
また、上記方式1及び方式2によれば、EL素子100に発生した特性異常(例えば発光異常)が、この素子を駆動する駆動回路の異常に起因しているのかどうかの判断が難しい場合であっても、発光スペクトルの測定結果に基づいて素子劣化の有無を選択的に判断できるため、EL素子が設計通りに作製できているかどうかを非破壊で評価することができる。
(評価方式3)
さらに、EL素子の発光面に垂直な方向(法線方向)における発光分布の評価方式を評価することもでき、これについて説明する。この評価方式では、発光面に垂直な方向での発光分布をパラメータにした光学干渉モデルによる理論的フィッティングを行うことで実現される。
本方式3では、上記方式1にて説明したEL素子の各観察角度における発光スペクトルに、志賀らがSID2003 DIGEST,Vol.34, p.547(2003)にて報告した多重干渉・多光束干渉モデルを用いたシミュレーションにより、発光分布をパラメータにした理論的フィッティングを行った。なお、このシミュレーションは、図2に示す評価部300にシミュレーション部を配置する(外部処理装置として配しても良い)において実行することができる。
図8は、発光分布パラメータの決定手順を示している。発光スペクトルの実測は、方式1と同様にして実行すればよく、上述の図2において、回転サーボモータ240の駆動によって測定対象であるEL素子100の観察角度を決め、このEL素子100を発光駆動する(S11)。スペクトル測定部210は、このときのEL素子100の発光スペクトルを測定する(S12)。得られた実測データIは、評価部300の差分データ演算部に供給され(S13)、後述する差分データ演算(S24)に用いられる。
観察角度が複数設定されている場合には(S14,Yes)、ステップS11に戻り、次の観察角度となるようにサーボモータ240が制御され、EL素子100が発光駆動され、スペクトル測定(S12)が行われ、実測データIを得る(S13)。全ての観察角度について実測データIを得た場合(S14,No)、スペクトル測定を終了する(S15)。
評価部300には、キーボード等の入力手段から、該当するEL素子100の基準発光スペクトルの発光分布パラメータ情報が供給される(S21)。評価部300は、一例として「OptDesigner」と称される光学シミュレーションを備える。この「OptDesigner」光学シミュレーションは、上記多重干渉・多光束干渉モデルを用いたシミュレーションであり、一例として、EL素子を発光層の上下2つの境界面に挟まれたモデルと仮定し、スペクトルのピーク位置、スペクトルの半値幅等を利用して、2つの境界面の間の反射と透過とを、フレネル係数の循環的な演算によって演算する。このシミュレーションを用いた計算により、EL素子構造に応じた発光スペクトルを各観察角度毎に高精度に求めることができる。
本方式では、このシミュレーションにおいて、シミュレーション対象であるEL素子の各層の厚さ、光学特性(屈折率)、発光スペクトルのピーク波長、強度など既知であり、これらの既知条件は固定値として用い、発光層内の発光面に垂直な方向(発光面の法線方向)、つまり、発光層の層厚さ方向において、発光ピーク位置と、その発光領域の半値幅(発光強度が最大の半分になるまでの幅)を、可変値(入力パラメータ)とする。
OptDesignerによる計算により(S22)、所定観察角度における測定対象のEL素子100の基準データ(計算データ)I0が求められると(S23)、評価部300は、方式1において説明したように、同じ観察角度での実測データIと求められた基準データI0との差分データ(I−I0)を演算する。さらに、差分データ(I−I0)の絶対値と基準値とを比較し、基準値以上の場合(S24,Yes)には、入力パラメータを変更し(S25,S21)、OptDesignerは新しいパラメータで再び計算を行い(S22)し、新たな計算データI0を得る(S23)。
この計算データI0と実測データIとの差分データが基準値未満、つまり計算データI0が実測データIに所定レベルまで近くなるまで、シミュレーションを発光分布パラメータを変更しながら繰り返す。所定レベルまで近づいた条件で(S24,No)、発光分布パラメータを決定する(S26)。決定された発光分布パラメータが、本方式3において目的とする発光層内における発光ピーク位置や、半値幅である。
図9は、このような実測データIとシミュレーションによる計算データI0を利用した方法によって求めたEL素子100の発光面の法線方向における層内発光分布を示している。図中の実線が初期EL素子の発光分布であり、点線は劣化後(例えば、発光強度が初期の70%)のEL素子の発光分布を示す。図9に示す例では、発光層内における発光が、正孔(ホール)輸送層との界面にピークを有する分布を持ち、EL素子の特性劣化により、ピーク位置は変化しないが、発光強度の半値幅(発光領域幅)が小さくなることが理解できる。このように、本方式3によれば、これまで得ることが不可能であった発光面に垂直な方向での発光分布を求めることも可能となる。
なお、本実施形態において、EL素子の構成材料の特性異常、膜厚異常、発光分布測定対象となるEL素子としては、素子駆動によって発光層での内部発光スペクトル(発光層での本来の発光スペクトル)が変化しない素子が好適であり、このような変化しないEL素子については、特性劣化による発光位置や発光領域幅等の発生の有無を精度良く評価することができる。
また、本実施形態に係る各方式1〜3では、発光スペクトル自体を用いて評価を実行する。このため、複数の発光ピーク波長を備え、例えば複数の異なる色の光を発する発光領域(発光層)を備え、それらの発光色の加色によって白色発光するEL素子などにおいても、素子の外部発光スペクトルにおいて完全に重なっていない限り、素子の特性劣化、膜厚異常、発光分布などを評価することができる。
本発明の実施形態に係る評価対象であるEL素子の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る評価装置の構成例を示す図である。 本発明の実施形態に係る評価方式1の手順の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る評価方式1において測定する原スペクトルの例を示す図である。 本発明の実施形態に係る評価方式1で用いる差分スペクトルの観察角度依存性を示す図である。 本発明の実施形態に係る評価方式2で用いる電子輸送層の膜厚異常に応じた差分スペクトルの角度依存性を示す図である。 本発明の実施形態に係る評価方式2で用いるホール輸送層の膜厚異常に応じた差分スペクトルの角度依存性を示す図である。 本発明の実施形態に係る評価方式3の手順の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る評価方式3で得られる発光層の層厚方向における発光分布を示す図である。
符号の説明
10 基板、12 ホール注入電極、14 電子注入電極、20 有機層、22 ホール注入層、24 ホール輸送層、26 発光層、28 電子輸送層、30 電子注入層、100 試料(EL素子)、200 測定装置、210 スペクトル測定部、220 試料駆動部、230 モータ制御部、240 回転サーボモータ、260 暗箱、300 評価部(制御・判定用PC)。

Claims (7)

  1. 電子注入電極とホール注入電極との間に少なくとも発光層を備える発光素子と、該素子を駆動するための駆動配線、駆動回路素子、又は集積回路の少なくともいずれかとが組み込まれて構成された発光ディスプレイにおける前記発光素子の評価方法であって、
    発光ディスプレイに対し、前記発光素子を発光駆動して得られる発光スペクトルを所定の観察角度にて測定し、該観察角度と同一の観察角度における基準スペクトルと、前記測定したスペクトルとの差分スペクトルに基づいて、前記発光素子の特性異常の有無を判定するものであり、
    前記測定した発光スペクトル及び前記基準スペクトルは、それぞれ規格化され、
    規格化された該2つのスペクトルの差分スペクトルを複数の前記観察角度についてそれぞれ求め、
    該差分スペクトルの絶対値の最大値と所定値との比較結果に基づいて、該差分スペクトルの絶対値の最大値が前記所定値より大きいと、特性異常の有りと判定することを特徴とする発光素子の評価方法。
  2. 請求項1に記載の評価方法において、
    前記発光素子の特性異常として、少なくとも、素子初期特性の異常、素子劣化異常、又は膜厚異常のいずれかが判定されることを特徴とする発光素子の評価方法。
  3. 請求項1または2に記載の評価方法において、
    前記観察角度は、少なくとも前記差分スペクトルの波長依存特性が互いに異なる複数の観察角度であることを特徴とする発光素子の評価方法。
  4. 電子注入電極とホール注入電極との間に、少なくとも発光層を有する発光素子と、該素子を駆動するための駆動配線、駆動回路素子、又は集積回路の少なくともいずれかとが組み込まれて構成された発光ディスプレイにおける前記発光素子の評価装置であって、
    評価部が、
    所定条件で前記発光素子を発光駆動して得られる発光スペクトルと、基準スペクトルとの差分スペクトルを求める差分演算部と、
    前記差分スペクトルを所定値と比較する比較部と、
    前記比較部において前記差分スペクトルが前記所定値より大きいと、前記発光素子の異常発生と検出する異常判定部と、
    を備え
    前記発光スペクトル及び前記基準スペクトルは、それぞれ規格化され、
    前記差分演算部は、規格化された該2つのスペクトルの差分スペクトルを複数の観察角度についてそれぞれ求め、
    前記比較部は、該差分スペクトルの絶対値の最大値と所定値とを比較し、
    前記異常判定部は、該差分スペクトルの絶対値の最大値が前記所定値より大きいと、特性異常の有りと判定することを特徴とする発光素子の評価装置。
  5. 請求項に記載の評価装置において、
    更に、測定対象である前記発光素子の発光スペクトルを測定するスペクトル測定部と、
    前記発光素子を前記スペクトル測定部に対して所定観察角度に調整するための観察角度制御部と、
    を備えることを特徴とする発光素子の評価装置。
  6. 記発光素子は、エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光素子の評価方法又は請求項4または5に記載の発光素子の評価装置。
  7. 記エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも発光層に有機発光材料を含む有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項を引用する請求項6記載の発光素子の評価方法又は請求項4または5を引用する請求項6に記載の発光素子の評価装置。
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