JP2006038628A - クロマトグラフ質量分析装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 解析対象イオンの検出されない時刻のスペクトルをバックグラウンドスペクトルとして指定するバックグラウンドスペクトル指定手段と、スペクトルライブラリの中から夾雑成分として予想される化合物のスペクトルを指定するライブラリスペクトル指定手段と、解析対象スペクトルに含まれる不要なピークを指定するスペクトルピーク指定手段とを設け、上記いずれかの手段で指定されたスペクトル又はピークを解析対象スペクトルから減算・除去し、得られた精製スペクトルに対して、上記のいずれかによるスペクトル精製を繰り返し行ったり、スペクトル類似度検索によって該精製スペクトル中に存在するスペクトルをライブラリから検索したりすることで段階的な精製を行う。
【選択図】 図2
Description
試料中の各成分がクロマトグラフカラムを通過する時間(保持時間)は成分により異なるため、カラムを通過した移動相中において試料の各成分は時間的に分離される。カラムから溶出した各試料成分は質量分析部に送り込まれ、所定の時間間隔で分離・検出が行われる。
なお、本発明において単に「クロマトグラム」と記載した場合には、これらのクロマトグラムを含むものとする。
本発明が解決しようとする課題は、測定データからバックグラウンドノイズ由来のスペクトルを十分に除去し、正確なマススペクトル及びクロマトグラムを得ることのできるクロマトグラフ質量分析装置を提供することである。
本実施例のクロマトグラム質量分析装置は、大きく分けて、試料の分離・検出を行うGC/MS部11と、GC/MS部11によって得られた検出信号の解析を行うデータ処理部12から成る。GC/MS部11はガスクロマトグラフ部(GC部)13と質量分析部(MS部)14から成り、MS部14にはイオンを検出するためのイオン検出器15が設けられている。データ処理部12は、解析処理部16、減算処理部17、レポート作成部18、測定データ記憶部19、ライブラリ記憶部20、履歴記憶部21、及び各部を制御するための制御部22を備えており、更にキーボードやマウスから成り制御部22に操作者の指示を入力するための入力部23と、測定によって得られたマススペクトルやクロマトグラム、その他解析結果等を表示するための表示部24、及び解析結果のレポート等を出力するためのプリンタ25が設けられている。なお、図1では、測定データ記憶部19、ライブラリ記憶部20、及び履歴記憶部21がそれぞれ独立に配置されているが、もちろん、これらの記憶部は単一の記憶装置(HDD等)を論理的に分割して構成することも可能である。
操作者が所定の操作を行うことにより、以下のいずれかの方法によるスペクトル精製処理が開始される。
試料中に含まれる夾雑成分が予め予想されている場合には、ライブラリ記憶部20に記憶されている各種化合物のマススペクトルの中から該夾雑成分として予想される化合物のマススペクトルを呼び出して解析対象スペクトルから減算する。
ライブラリには、様々な既知化合物についての情報、すなわち、所定のイオン化法(例えば電子衝撃法)を用いて質量分析を行った時に得られるマススペクトルのデータの他、化合物名などの情報が含まれており、該夾雑成分として予想される化合物名を操作者が表示部24に表示された一覧の中から選択、又はキーボードで入力することによって減算に用いるライブラリスペクトルを指定する(ステップS1)。これによりライブラリ記憶部20に記憶されている各種化合物のマススペクトルの中から、指定されたスペクトルが読み出され、解析対象スペクトル(図3(b))と共に減算処理部17に読み出される。該ライブラリスペクトルは解析対象スペクトルのベースピークに合わせて正規化(ステップS4)された後、解析対象スペクトルから減算される(ステップS5)。また、減算に使用したスペクトルの情報が履歴記憶部21に記憶される(ステップS7)。
夾雑成分が予想されない場合などには、表示部24にトータルイオンクロマトグラム(又は、SIM測定等によるクロマトグラム)を表示させ、該クロマトグラム上で分析対象イオンが検出されていない時刻、例えば、図3(a)の保持時間t0のような解析開始直後の未だ試料成分がカラムから溶出されていない時刻を操作者がマウス等を用いて指定することにより、その時刻におけるマススペクトルをバックグラウンドスペクトルとして指定する(ステップS2)。上記保持時間t0では、まだ質量分析装置に流入する移動相に試料の分離成分が含まれていないため、保持時間tOにおけるマススペクトル(図4(a))は、夾雑物や移動相に用いられる物質に起因する非分析対象イオン群のマススペクトルである。バックグラウンドとして指定された保持時間t0におけるマススペクトルは測定データ記憶部19から読み出され、解析対象スペクトル(図3(b))と共に減算処理部17に送られ、解析対象スペクトルから減算される(ステップS5)。
以上により、解析対象スペクトル(図3(b))から非分析対象イオン群のマススペクトル(図4(a))が除去され、分析対象となるイオンのみが現れた精製スペクトル(図4(b))を得ることができる。また、上記バックグラウンドスペクトルの減算処理と同時に、減算に使用したマススペクトルの情報(例えば該マススペクトルの取得された時刻(保持時間)やスキャン番号)が履歴記憶部21に記憶される(ステップS7)。
解析対象スペクトル中に明らかに夾雑成分由来であると判断できる不要なピーク(図5(a)の矢印で示したピーク)が存在する場合には、操作者がマウスのクリック操作などによって該ピークを直接指定し(ステップS3)、所定の除去指示操作を行うことにより、減算処理部17によって該スペクトル上から指定されたピークが除去され(ステップS6、図5(b))、削除されたピークの情報(質量数など)が履歴記憶部21に記憶される(ステップS7)。
これにより、該精製スペクトルとライブラリ記憶手段に記憶された多数の化合物のマススペクトルとが解析処理部16によって比較されて類似度が算出され、類似度の高いスペクトルが精製スペクトル中に存在する可能性の高いスペクトルとして表示部24に表示される。測定者はその結果を基に、更に減算・除去を行うかどうかを判断する(ステップS10)。更に精製処理を行う必要があると判断した場合には、所定の操作により上記ステップS1に戻り、減算に用いるライブラリスペクトルを指定し(ここでは上記類似度検索により精製スペクトル中に存在する可能性が高いとされた化合物の中からも選択できる)、減算処理部17によって上記精製スペクトルから減算する。
12…データ処理部
13…GC部
14…MS部
15…イオン検出器
16…解析処理部
17…減算処理部
18…レポート作成部
19…測定データ記憶部
20…ライブラリ記憶部
21…履歴記憶部
22…制御部
23…入力部
24…表示部
25…プリンタ
Claims (3)
- a)測定によって得られたクロマトグラム上で分析対象イオンの検出されない時刻におけるマススペクトルをバックグラウンドスペクトルとして指定するバックグラウンドスペクトル指定手段と、
b)複数の化合物のマススペクトルを含むスペクトルライブラリを記憶したライブラリ記憶手段と、
c)夾雑成分として予想される化合物のスペクトルを上記スペクトルライブラリの中から指定するライブラリスペクトル指定手段と、
d)解析対象スペクトルの中から不要なピークを指定するスペクトルピーク指定手段と、
e)前記バックグラウンドスペクトル指定手段、ライブラリスペクトル指定手段、及びスペクトルピーク指定手段のいずれかによって指定されたマススペクトル又はスペクトルピークを解析対象スペクトルから減算・除去する減算・除去手段と、
f)前記減算・除去手段によって減算・除去処理を施された解析対象スペクトルに対し、更に前記各手段によるマススペクトル又はスペクトルピークの指定、及び減算・除去処理を実行するか否かを決定する再処理決定手段と、
を備えることを特徴とするクロマトグラフ質量分析装置。 - 更に、
g)前記スペクトルライブラリに含まれる複数の化合物のマススペクトルと、解析対象スペクトルとを比較し、該スペクトルライブラリの中から該解析対象スペクトルに存在するマススペクトルと類似度の高いマススペクトルを検索するスペクトル類似度検索手段と、
h)解析対象スペクトルに対し、前記ライブラリスペクトル指定手段によるマススペクトルの指定、及び前記減算・除去手段によるマススペクトルの減算を実行するか否かを決定する減算処理決定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフ質量分析装置。 - 更に、
i)前記減算・除去手段によって行われた処理の履歴を記憶する履歴記憶手段
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のクロマトグラフ質量分析装置。
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