JP2006035186A - 電極触媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 担体表面に大環状金属錯体が高度に分散された電極触媒体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明に係る電極触媒体は、炭素材料からなる担体と、担体表面に担持された、窒素を含む大環状分子に金属イオンが配位した大環状金属錯体とを備え、金属イオンの広域X線吸収微細構造(EXAFS)スペクトルに、金属イオン−N結合に起因するピークが認められることを特徴とする。このような電極触媒体は、大環状金属錯体を溶解可能な第1の溶媒と、第1の溶媒と相溶性を有し、大環状金属錯体の溶解度が第1の溶媒より小さく、かつ、その沸点が第1の溶媒より高い第2の溶媒とを含む混合溶媒に、大環状金属錯体及び担体を溶解・分散させ、第1の溶媒及び第2の溶媒を揮発させることにより担体表面に大環状金属錯体を吸着させ、担体を不活性雰囲気下において500℃以上700℃以下の温度で熱処理することにより得られる。
【選択図】図8

Description

本発明は、電極触媒体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスの電極に用いられる電極触媒体及びその製造方法に関する。
固体高分子型燃料電池や水電解装置などの各種電気化学デバイスにおいて、固体高分子電解質は、膜状に成形され、その両面に電極を接合した膜電極接合体(MEA)の状態で使用される。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボン繊維、カーボンペーパー等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、電極触媒と固体高分子電解質との複合体からなる。
このような各種電気化学デバイスに用いられる電極触媒には、従来、Ptなどの貴金属の微粒子(Ptブラックなど)、カーボンブラックなどの炭素質担体上にPtなどの貴金属の微粒子を担持したもの、電解質膜の表面にメッキやスパッタなどの方法で形成された貴金属の薄膜等が用いられている。
しかしながら、Pt等の貴金属は、高い触媒活性と高い触媒活性の安定性を示すが、高価であり、資源的にも限られている。そのため、電極触媒が各種電気化学デバイスのコストを高くする一因となっている。特に、燃料電池は、所定の出力を得るために多数のMEAが積層された状態で使用されるので、燃料電池1個当たりの電極触媒の使用量も多く、これが燃料電池の普及を妨げている。
例えば、燃料電池の電極における一般的なPt使用量は、1平方センチメートル当たり0.1mg〜1mg程度といわれているが、普及に妥当な燃料電池価格を達成するためには、少なくともこの貴金属使用量を1/50〜1/100程度まで低減させなくてはならないと言う試算もある。これは、触媒活性の改善や触媒利用率の向上など、単なる使用量低減の努力では達成困難である。
そこでこの問題を解決するために、貴金属に代わる代替材料に関し、従来から種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、白金テトラアンミン錯体、コバルトモノキノリルフェニレンジアミン錯体及びグラファイト粒子との混合物をエタノールに溶解させて十分に混合し、混合物を空気中80℃で乾燥させ、これをアルゴンガス雰囲気中において600℃で2時間熱処理することにより得られる燃料電池用電極触媒が開示されている。同文献には、担体上に白金系の触媒と有機金属錯体とを混在させると、触媒の耐CO被毒性が向上する点が記載されている。
また、特許文献2には、N,N’−ジメチルフォルムアミドに遷移金属の大環状金属錯体を溶解させた溶液に、比表面積500m/g以上であるカーボンブラックに白金を担持させたもの(Pt−C)を加えて分散させ、これに蒸留水を加えてPt−C上に大環状金属錯体を定着させ、分離採取した触媒を100℃で真空乾燥させ、さらにこれを非酸化雰囲気中で700℃から1100℃で熱処理することにより得られる酸素極用電極が開示されている。同文献には、遷移金属の大環状金属錯体と貴金属とを共存させると、単独で用いた場合に比べて触媒活性が向上する点が記載されている。
さらに、特許文献3には、硫酸に白金フタロシアニンを溶解させた溶液に黒鉛化シャウイングカーボン及びアセチレンブラックカーボンを加えて攪拌し、これに水を滴下し、濾過した触媒前駆体を105℃で乾燥させることにより得られる触媒材料が開示されている。同文献には、触媒材料に含まれる貴金属の酸化状態をゼロにすると、質量活性が向上する点が記載されている。
特開2002−329500号公報 特開2003−109614号公報 特開平5−129023号公報
大環状金属錯体は、貴金属触媒に比べて安価である。しかしながら、大環状金属錯体は、一分子そのものがPt等の微粒子に比べて非常に大きく、しかも、反応サイトは、中心となる金属イオンのみである。従って、大環状金属錯体を用いた電極触媒体において、高い触媒活性を得るためには、担体表面に大環状金属錯体を高度に分散させる必要がある。
しかしながら、大環状金属錯体と担体とを単一の溶媒中に分散させ、溶媒を除去する従来の方法では、大環状金属錯体を担体表面に高度に分散させるには限界がある。そのため、従来の方法では、相対的に少量の担持量で高い触媒活性を示す電極触媒体は得られない。
本発明が解決しようとする課題は、担体表面に大環状金属錯体が高度に分散された電極触媒体及びその製造方法を提供することにある。また、本発明が解決しようとする他の課題は、大環状金属錯体の担持量が相対的に少量であっても高い触媒活性を示す電極触媒体及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る電極触媒体は、炭素材料からなる担体と、該担体表面に担持された、窒素を含む大環状分子に金属イオンが配位した大環状金属錯体又は該大環状金属錯体の熱変性物とを備え、前記金属イオンの広域X線吸収微細構造(EXAFS)スペクトルに、金属イオン−N結合に起因するピークが認められることを要旨とする。この場合、電極触媒体は、さらに、前記金属イオンのK吸収端のX線吸収端近傍構造(XANES)スペクトルに、1s→4pz遷移に帰属される吸収ピークの高エネルギー側シフトが認められるものが好ましい。
また、本発明に係る電極触媒体の製造方法は、窒素を含む大環状分子に金属イオンが配位した大環状金属錯体を溶解可能な第1の溶媒と、前記第1の溶媒と相溶性を有し、前記大環状金属錯体の溶解度が前記第1の溶媒より小さく、かつ、その沸点が前記第1の溶媒より高い第2の溶媒とを含む混合溶媒に、前記大環状金属錯体を溶解させ、かつ、炭素材料からなる担体を分散させる溶解工程と、前記第1の溶媒及び前記第2の溶媒を揮発させることにより、前記担体表面に前記大環状金属錯体を吸着させる吸着工程と、前記担体を、不活性雰囲気下において、500℃以上700℃以下の温度で熱処理する熱処理工程とを備えていることを要旨とする。
大環状金属錯体及び担体を溶解・分散させる溶媒として、所定の条件を満たす第1の溶媒及び第2の溶媒からなる混合溶媒を用いると、高い触媒活性を示す電極触媒が得られる。これは、触媒調製時にこのような混合溶媒を用いると、平面状の大環状金属錯体が担体表面に対して平行に吸着する割合が高くなり、担体表面に存在する反応サイトの数が実質的に増加するためと考えられる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る電極触媒体は、炭素材料からなる担体と、担体表面に担持された、窒素を含む大環状分子に金属イオンが配位した大環状金属錯体又は大環状金属錯体の熱変性物とを備えている。
「大環状分子」とは、9又はそれ以上の原子(すべてが異原子である場合を含む)、及び、3又はそれ以上の結合原子を有する化合物と定義されている(Coordination Chemistry of Macrocyclic Compounds, G.A.Melson, Plenum Press, New York & London, 1979)。本発明において、「窒素を含む大環状分子」とは、基本骨格の中に4個の窒素原子が平面上に並んだ「N4構造」を有するものをいい、フタロシアニン類、ポルフィリン類、テトラアザアヌレン類などを指す。
大環状分子としては、具体的には、ポルフィリン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、テトラアザアンヌレン、又は、これらの構造を分子内に含む有機分子が挙げられる。これらの大環状分子は、それぞれ、単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
「大環状金属錯体」とは、このような大環状分子に含まれるN4構造の中心に金属イオンが配位した「M−N4構造」を備えた錯体をいう。図1に、本発明において使用可能な大環状金属錯体の一例を示す。図1(a)は、ポルフィリンの中心に金属イオンMが配位した大環状金属錯体(M−ポルフィリン)の分子構造である。図1(b)は、フタロシアニンの中心に金属イオンMが配位した大環状金属錯体(M−フタロシアニン)の分子構造である。図1(c)は、ナフタロシアニンの中心に金属イオンが配位した大環状金属錯体(M−ナフタロシアニン)の分子構造である。さらに、図1(d)は、テトラアザアヌレンの中心に金属イオンMが配位した大環状金属錯体(M−テトラアザアヌレン)の分子構造である。また、「大環状金属錯体の熱変性物」とは、M−N4構造が分解する温度未満の温度で熱処理することにより得られるものをいう。
大環状分子の中心に配位する金属イオンMとしては、具体的には、Fe、Ni、Co、Mn、Cu、Zn、Ti、V、Cr等が挙げられる。これらの中でも、Co及びFeは、高い触媒活性が得られるので、金属イオンMとして特に好適である。
本発明に係る電極触媒体は、いずれか1種の大環状分子にいずれか1種の金属イオンMが配位した単一の大環状金属錯体を含むものであってもよく、あるいは、同種又は異種の大環状分子に同種又は異種の金属イオンMが配位した2種以上の大環状金属錯体を含むものであっても良い。
大環状金属錯体を担持する担体には、導電性を有する炭素材料が用いられる。担体としては、具体的には、カーボンブラック、活性炭、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等が挙げられる。担体の粒径、比表面積等は、特に限定されるものではなく、電極触媒体の用途、要求される特性等に応じて、最適なものを選択する。一般に、粒径が小さくなるほど、及び/又は、比表面積が大きくなるほど、触媒活性に優れた電極触媒体が得られる。
また、本発明に係る電極触媒体は、以下のような特徴を持っている。
第1に、本発明に係る電極触媒体は、担体表面に大環状金属錯体のM−N4構造が乱れたり分解したりせずに保持されていることを特徴とする。担体表面にM−N4構造が保持されているか否かは、以下の方法により確認することができる。
M−N4構造を確認する第1の方法は、広域X線吸収微細構造(EXAFS)スペクトルに、金属イオン−N結合に起因するピークが認められるか否かを評価する方法である。
周知のように、EXAFS信号をフーリエ変換(FT)すると、動径構造関数(RSF)が得られる。この動径構造関数の最大ピークの位置から、中心原子と最近接原子との距離がわかる。また、最大ピークの面積は、その距離で結合する原子の数(配位数)を表す。
例えば、中心にCoイオンが配位した大環状金属錯体の場合、試料内にCo−N結合が存在していると、約1.60Å(0.16nm)の位置にピークが現れる。また、非加熱の試料に現れるこのピークの面積と、加熱後の試料に現れるこのピークの面積とを比較することにより、配位数の変化を知ることができる。
M−N4構造を確認する第2の方法は、
(1)金属イオンのK吸収端のX線吸収端近傍構造(XANES)のスペクトルに、1s−4pz遷移に帰属される吸収ピークが観測されるか否か、及び、
(2)1s−3d遷移に帰属される吸収ピークの出現にともなって生じる、吸収の立ち上がりエネルギーの低エネルギー側シフトが認められないか否か、
を評価する方法である。
図2(a)に、大環状金属錯体の中心に配位したCoイオン周辺の電子構造の模式図を示す。Coイオンの3個の4p軌道は、互いに等価であるため、本来、1s軌道から各4p軌道への遷移エネルギーに差はない。しかしながら、Coイオンが大環状分子に配位すると、4px軌道及び4py軌道の方向にはN原子の電子雲が存在し、他方4pz軌道の方向には配位子が全く存在しない状態である。その結果、N原子(マイナスの電荷を持つ)による干渉を受ける4px軌道及び4py軌道に比べて、4pz軌道のエネルギー準位が下がり、4pz軌道には、より低いエネルギーで遷移が起こると考えられる。すなわち、1s−4pz遷移に帰属される吸収ピークが観測されることは、図2(a)に示すような平面構造(M−N4構造)が維持されていることを示している。
また、必要以上に高い温度で熱処理すると、M−N4構造が乱れたり、分解し、周囲の還元雰囲気によって、大環状分子の中心に配位していた金属イオンが凝集し、価数がゼロの金属微粒子となる。金属微粒子が生成すると、1s軌道から、p軌道が混成した3d軌道への励起に帰属されるピークが現れる。このピークは、金属粒子に特徴的なものであり、X線の吸収が起こり始めるエネルギーが低エネルギー側にシフトする。これは、大環状分子の中心に配位している金属イオン(プラスの電荷を持つ)に比べて、価数がゼロの金属微粒子の方が電子の束縛力が弱いので、より低いエネルギーで電子を励起させることができるためと考えられる。すなわち、1s−3d遷移に帰属される吸収ピークの出現に伴って生じる、吸収の立ち上がりエネルギーの低エネルギー側シフトが認められないことは、M−N4構造が維持されていることを示している。
第2に、本発明に係る電極触媒体は、触媒成分と担体表面との間に相互作用があることを特徴とする。「相互作用」とは、担体表面元素(C)と金属イオンMとの相互作用である。この相互作用の有無及びその程度は、以下のような方法により評価することができる。
相互作用を評価する第1の方法は、金属イオンのK吸収端のX線吸収端近傍構造(XANES)スペクトルに、1s−4pz遷移に帰属される吸収ピークの高エネルギー側シフトが認められるか否かを評価する方法である。
図2(b)に、担体表面に担持された大環状金属錯体の中心に配位したCoイオン周辺の電子構造の模式図を示す。大環状金属錯体は、平面状の分子である。そのため、担体表面に対して平行に大環状金属錯体を吸着させ、所定の温度に加熱すると、担体表面のC原子の電子軌道と、大環状金属錯体の中心に配位しているCoイオンの4pz軌道との間に相互作用が生じる。C原子とCoイオンの4pz軌道との間に相互作用が生じると、C原子(マイナスの電荷を持つ)による干渉によって4pz軌道のエネルギー準位が上がる。そのため、電子の励起に、より大きなエネルギーが必要となり、1s−4pz遷移に帰属される吸収ピークが高エネルギー側にシフトする。
電極反応では、物質/触媒成分間、及び、触媒成分/導電性担体間の電荷の伝達が反応速度のかぎを握る。そのため、触媒成分/導電性担体間の相互作用が大きくなるほど、触媒成分/導電性担体間の電荷の伝達が容易になり、高い反応速度が得られる。本発明に係る電極触媒体は、その詳細は不明であるが、担体表面に大環状金属錯体を吸着させる際に混合溶媒を用いているので、従来の方法に比べて、触媒成分/導電性担体間の相互作用が大きくなる。その結果、触媒活性に優れた電極触媒体が得られる。
担体表面元素と中心金属イオンとの相互作用の大きさは、電極触媒体の触媒活性、あるいは、これを用いた燃料電池の出力電位との間に相関があり、一般に、相互作用が大きくなるほど高い触媒活性が得られる。従って、予め、XANESスペクトルの1s−4pz遷移に帰属される吸収ピークのシフト量(非加熱試料と加熱試料とのピーク位置の差)と、触媒活性又は出力電位との相関を求めておくと、未知の電極触媒体の吸収ピークのシフト量を測定することによって、未知の電極触媒体の触媒活性又はこれを用いた燃料電池の出力電位を評価することができる。
相互作用を評価する第2の方法は、EXAFSスペクトルにおいて、金属イオン−N原子間結合に帰属されるピークが短い方向にシフトしているか否かを評価する方法である。
上述したように、加熱後の電極触媒体にM−N4構造が維持されている場合には、EXAFSスペクトルに、金属イオン−N原子間結合に帰属されるピークが観測される。このピークの位置は、金属イオンと担体表面原子との間に相互作用が生じると、短い方向にシフトする。すなわち、金属イオン−N原子間結合に帰属されるピークは、その詳細は不明であるが、金属イオンMと担体表面原子(C)との間に生じる相互作用の大きさを間接的に表す指標となる。
金属イオン−N原子間結合に帰属されるピークのシフト量(非加熱試料と加熱試料とのピーク位置の差)と、触媒活性又はこれを用いた燃料電池の出力電位との間には相関があり、一般に、ピークのシフト量が大きくなるほど高い触媒活性が得られる。従って、予め両者の相関を求めておくと、未知の電極触媒体の金属イオン−N原子間結合に帰属されるピークのシフト量を測定することによって、未知の電極触媒体の触媒活性又はこれを用いた燃料電池の出力電位を評価することができる。
次に、本発明に係る電極触媒体の製造方法について説明する。本発明に係る電極触媒体は、種々の方法により製造することができるが、以下のような方法が特に好適である。すなわち、本発明に係る電極触媒体の製造方法は、溶解工程と、吸着工程と、熱処理工程とを備えている。
溶解工程は、窒素を含む大環状分子に金属イオンが配位した大環状金属錯体を溶解可能な第1の溶液と、第1の溶液と相溶性を有し、大環状金属錯体の溶解度が第1の溶媒より小さく、かつ、その沸点が第1の溶媒より高い第2の溶媒とを含む混合溶媒に、大環状金属錯体を溶解させ、かつ、炭素材料からなる担体を分散させる工程である。
溶解工程においては、上述した大環状金属錯体及び担体を第1の溶媒及び第2の溶媒を含む混合溶媒に溶解・分散させる。触媒活性に優れた電極触媒体を得るためには、第1の溶媒及び第2の溶媒は、以下のような条件を備えている必要がある。
第1に、第1の溶媒及び第2の溶媒は、いずれも、炭素材料からなる担体を分散させることが可能なものである必要がある。そのためには、第1の溶媒及び第2の溶媒は、疎水性の有機溶媒が好ましい。炭素材料は疎水性であるので、第1の溶媒及び第2の溶媒として疎水性の有機溶媒を用いると、炭素材料からなる担体を均一に分散させることができる。
第2に、第1の溶媒及び第2の溶媒は、相溶性を有しているものである必要がある。触媒活性に優れた電極触媒体を得るためには、第1の溶媒及び第2の溶媒は、任意の比率で完全に溶解するものが好ましい。
第3に、第1の溶媒は、大環状金属錯体の溶解度が相対的に高く、かつ、第2の溶媒は、大環状金属錯体の溶解度が第1の溶媒より小さいものである必要がある。
触媒活性に優れた電極触媒体を得るためには、第1の溶媒は、室温において1mgの大環状金属錯体を完全に溶解させるのに必要な量が1ml以下であるものが好ましい。また、第2の溶媒は、室温において1mgの大環状金属錯体を完全に溶解させるのに必要な量が10ml以上であるものが好ましい。
第4に、第2の溶媒の沸点は、第1の溶媒の沸点より高いことが好ましい。触媒活性に優れた電極触媒体を得るためには、第2の溶媒の沸点(B(℃))と第1の溶媒の沸点(B(℃))の差ΔB(=B−B)は、5℃以上が好ましい。
但し、沸点の差ΔBが大きくなりすぎると、作業性が低下したり、あるいは、第1の溶媒が揮発した後に大環状金属錯体の凝縮が起こる場合があるので好ましくない。従って、沸点の差ΔBは、最大でも100℃以下が好ましく、さらに好ましくは、50℃以下である。
上述のような条件を満たす第1の溶媒としては、具体的には、ジメチルスルホキシド(DMSO、沸点=189℃)、ピリジン(沸点=115℃)、トルエン(沸点=110℃)等がある。
また、上述のような条件を満たす第2の溶媒としては、具体的には、エチレングリコール(EG、沸点=197℃)等がある。
混合溶媒は、上述したいずれか1種の第1の溶媒と、いずれか1種の第2の溶媒との混合物であってもよく、あるいは、1種又は2種以上の第1の溶媒と、1種又は2種以上の第2の溶媒との混合物であっても良い。第1の溶媒と第2の溶媒の組み合わせは、大環状金属錯体及び炭素材料の種類、電極触媒体の用途、要求される特性等に応じて、最適なものを選択する。
これらの中でも、ジメチルスルホキシド(DMSO)とエチレングリコール(EG)からなる混合溶媒は、大環状金属錯体及び担体を溶解させる溶媒として特に好適である。
混合溶媒中の第1の溶媒及び第2の溶媒の量は、それぞれ、大環状金属錯体、第1の溶媒及び第2の溶媒の種類に応じて最適な量を選択する。一般に、いずれか一方の量が少なくなりすぎると、優れた触媒活性を有する電極触媒体は得られない。
混合溶媒中に含まれる第1の溶媒の量は、具体的には、少なくとも第1の溶媒単独で、大環状金属錯体を十分に溶解させることができ、かつ、担体を十分に分散させることができる量以上が好ましい。第1の溶媒の量が少なすぎると、大環状金属錯体が均一に分散した溶液が得られない。一般に、混合溶媒中の第1の溶媒の量が多くなるほど均一な溶液を得るのが容易化するが、必要以上の添加は実益がなく、むしろ作業性を低下させる。従って、混合溶媒中の第1の溶媒の量は、作業性を低下させない量以下とするのが好ましい。
また、混合溶媒中に含まれる第2の溶媒の量は、具体的には、少なくとも第2の溶媒単独で、担体を十分に分散させることができる量以上が好ましい。第2の溶媒の量が少なすぎると、担体が溶媒中に分散せずに溶液外に取り残され、担持に使われなくなるものが増加する。その結果、担体表面に大環状金属錯体を均一に吸着させるのが困難となる。一般に、混合溶媒中の第2の溶媒の量が多くなるほど、大環状金属錯体の吸着過程において担体が高度に分散した状態を維持するのが容易化するが、必要以上の添加は実益がなく、むしろ作業性を低下させる。従って、混合溶媒中の第2の溶媒の量は、作業性を低下させない量以下とするのが好ましい。
混合溶媒中に分散させる担体の量は、混合溶媒中の所定量の第1又は第2の溶媒に十分に分散させることができる量以下である限り、任意に選択することができる。具体的な溶解量は、担体の種類、大環状金属錯体の種類、大環状金属錯体の溶解量、混合溶媒の組成等に応じて最適な量を選択する。一般に、混合溶媒に溶解させる担体の量が相対的に少なくなるほど、担体1粒子当たりの大環状金属錯体の担持量を多くすることができる。
混合溶媒中に溶解させる大環状金属錯体の量は、混合溶媒に含まれる所定量の第1の溶媒に十分に溶解させることができる量以下である限り、任意に選択することができる。一般に、混合溶媒中に溶解させる大環状金属錯体の量が相対的に多くなるほど、担体1粒子当たりの大環状金属錯体の担持量を多くすることができる。但し、必要以上に大環状金属錯体を溶解させても、実質的に触媒として機能しない大環状金属錯体の割合が増加するので実益がない。また、必要以上の担持は、電極触媒体の高コスト化を招く。
理想的な担持状態は、平面状の大環状金属錯体が互いに重なり合うことなく、担体表面に対して平行に吸着している状態と考えられる。従って、混合溶媒に溶解させる大環状金属錯体の最大量は、担体の有効表面積(吸着させる大環状金属錯体より大きなサイズを有する細孔より求められる表面積)、担体の量、及び、大環状金属錯体1分子が占める面積によって決まる。
例えば、担体として有効表面積が500m/gであるカーボン1gを用いた場合、1gの担体の総表面積は、500mである。従って、大環状金属錯体1分子の面積が、例えば、1nmである場合、互いに重なり合うことなく吸着させることが可能な大環状金属錯体の最大量は、約0.08モルとなる。
所定の組成を有する混合溶媒に所定量の大環状金属錯体及び担体を加え、これらを完全に溶解・分散させる。この場合、溶解・分散は、室温において行ってもよく、あるいは、適宜加温して行っても良い。
吸着工程は、溶解工程で得られた溶液から第1の溶媒及び第2の溶媒を揮発させ、担体表面に大環状金属錯体を吸着させる工程である。
第1の溶媒及び第2の溶媒の揮発は、溶液を適当な温度に加熱することにより行う。溶媒を揮発させる際の温度は、特に限定されるものではないが、まず第1の溶媒の沸点まで加熱し、次いで第2の溶媒の沸点まで加熱するのが好ましい。この場合、第1の溶媒の沸点での保持時間は、短い方が好ましい。第1の溶媒の沸点における不必要な保持は、大環状金属錯体自身の凝縮を招くおそれがある。なお、溶媒の揮発は、大気圧下で行っても良く、あるいは、減圧下で行っても良い。
溶液から第1の溶媒及び第2の溶媒が揮発除去されると、その表面に大環状金属錯体が吸着した担体(以下、これを「電極触媒体前駆体」という)が得られる。得られた電極触媒体前駆体は、溶媒を完全に除去するために、目視での液体の蒸発を確認した後、さらに第2の溶媒を揮発させるために設定した温度より50〜100℃高い温度で3〜5時間乾燥させる。乾燥後、必要に応じて、電極触媒体前駆体を粉砕し、所定の粒度に整える。
熱処理工程は、電極触媒体前駆体を不活性雰囲気下において、500℃以上700℃以下の温度で熱処理する工程である。
熱処理は、担体及び大環状金属錯体の酸化を防ぐために、Ar、Nなどの不活性雰囲気下で行う。
熱処理温度は、500℃以上700℃以下が好ましい。熱処理温度が500℃未満であると、大環状金属錯体の中心にある金属イオンMと担体表面元素(C)との間に相互作用が生ぜず、優れた触媒活性を有する電極触媒体は得られない。一方、熱処理温度が700℃を超えると、M−N4構造が乱れ、あるいは、分解するので好ましくない。熱処理温度は、さらに好ましくは、600℃以上650℃以下である。
熱処理時間は、金属イオンMと担体表面元素(C)との間に相互作用が生じるのに十分な時間であれば良い。但し、熱処理時間が長くなりすぎると、M−N4構造が乱れ、あるいは、分解するので好ましくない。熱処理時間は、具体的には、1時間以上4時間以下が好ましく、さらに好ましくは、2時間以上3時間以下である。
次に、本発明に係る電極触媒体及びその製造方法の作用について説明する。電極触媒体を製造する場合において、大環状金属錯体及び担体を溶解(分散)させる溶媒として、所定の条件を満たす第1の溶媒及び第2の溶媒を含む混合溶媒を用いると、優れた触媒活性を有する電極触媒体が得られる。その理由の詳細は、不明であるが、以下のような理由によると考えられる。
すなわち、含窒素大環状分子と金属イオンとの錯体を電極触媒とする場合、触媒活性点(実際に反応が進行する場所)は、金属イオンと窒素で構成されるM−N4構造である。電極反応は、電極と物質との間の電荷(電子)のやりとりが特徴であり、この過程の速度が、反応速度全体を決めている。電子は、触媒成分及び電子導電性担体を介して、物質と電極との間でやりとりされる。従って、物質/触媒成分間、及び、触媒成分/導電性担体間の電子の伝達が、反応速度のかぎを握る。
ここで、平面状の大環状金属錯体が担体表面に対して垂直に固定された場合、活性点であるM−N4構造と担体表面との間の距離が長くなり、触媒成分/導電性担体間の電子の伝達速度が遅くなる。また、大環状金属錯体が担体表面に対して平行に固定された場合であっても、大環状金属錯体の分散が不十分であると、複数層の大環状金属錯体が担体表面に平行に積層された状態となる。この場合、活性点となるのは、最上層にあるM−N4構造と考えられるので、活性点−担体表面間の距離が長くなり、電子の伝達速度が遅くなる。また、中間に位置する大環状金属錯体は、触媒として機能しないと考えられるので、高い触媒活性を得るには、大環状金属錯体の担持量を多くする必要がある。
図3(a)に、単一の溶媒を用いた大環状金属錯体の吸着工程の概念図を示す。また、図3(b)に、混合溶媒を用いた大環状金属錯体の吸着工程の概念図を示す。
図3(a)に示すように、単一溶媒に大環状金属錯体の一種であるコバルトテトラフェニルポルフィリン(CoTPP)及び担体(たとえば、カーボン)を溶解・分散させ、単一溶媒を徐々に揮発させていくと、担体の一部は溶液外に取り残される。揮発の初期段階においては、溶液中のCoTPP濃度が相対的に低いので、溶液外に取り残された担体表面に担持されるCoTPP量も相対的に少ない。
一方、溶媒の揮発が進行するに伴い、溶液中のCoTPP濃度が徐々に高くなる。そのため、揮発の中期段階で溶液外に取り残された担体表面には、初期段階に比べて相対的に多量のCoTPP量が担持される。さらに、揮発の後期段階では、溶媒がさらに少なくなり、CoTPP量が残存する溶媒の溶解度を越えるので、CoTPP同士の凝縮・析出が起こる。その結果、平面状の大環状金属錯体が担体表面に対して非平行に担持され、あるいは、複数層の大環状金属錯体が積層した状態で担体表面に固定される割合が高くなると考えられる。
これに対し、図3(b)に示すように、大環状金属錯体(例えば、CoTPP)の溶解度及び沸点の異なる第1の溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO))及び第2の溶媒(例えば、エチレングリコール(EG))を含む混合溶媒に大環状金属錯体及び担体(例えば、カーボン)を溶解させ、この溶液を所定の温度に加熱すると、まず、沸点の低い第1の溶媒(DMSO)が優先的に揮発し、次いで沸点の高い第2の溶媒(EG)が揮発する。
混合溶媒に含まれる第1の溶媒の割合が徐々に低下すると、混合溶媒に安定に溶解していた大環状金属錯体は、次第に不安定となり、担体表面に徐々に吸着する。しかも、溶媒が多量に残っている状態、すなわち、大環状金属錯体及び担体が混合溶媒中において高度に分散した状態を維持しながら吸着が進行するので、大環状金属錯体同士の凝縮・析出が抑制され、これによって、平面状の大環状金属錯体が担体表面に対して平行に、かつ、単層の状態で吸着する割合が多くなると考えられる。
大環状金属錯体の分散の程度は目視によっても確認することができ、大環状金属錯体の分散が良好であるほど、光沢の少ない電極触媒体前駆体となる。
次に、得られた電極触媒体前駆体を所定の温度で加熱すると、M−N4構造を維持したまま、大環状金属錯体が担体表面に固定される。また、これと同時に、担体表面に対して平行に吸着している大環状金属錯体の金属イオンMと担体表面原子(C)との間に相互作用が生じる。その結果、活性点−担体表面間の距離が最短となり、電子の伝達速度が速くなる。また、本発明に係る方法によれば、単層の状態で吸着している大環状金属錯体の割合が高くなるので、大環状金属錯体の担持量が相対的に少ない場合であっても、担体表面に存在する高活性の反応サイトの数が実質的に増加し、高い触媒活性が得られる。
さらに、触媒成分と担体表面との間に生ずる相互作用は、触媒活性との間に相関があり、相互作用が大きくなるほど、触媒成分/担体間の電子の授受が容易となり、高い反応速度が得られる。そのため、XANESスペクトルの1s−4pz遷移に帰属される吸収ピークのシフト量を測定すれば、電極触媒体の触媒活性あるいはこれを用いた燃料電池の出力電位を評価することができる。
また、EXAFSスペクトルから得られる金属イオン−N原子間結合に帰属されるピークは、触媒成分と担体表面との間に生ずる相互作用との間に相関があり、金属イオン−N原子間結合に帰属するピークが短い方にシフトするほど、高い反応速度が得られる。そのため、EXAFSスペクトルの金属イオン−N原子間結合に帰属するピークのシフト量を測定すれば、電極触媒体の触媒活性あるいはこれを用いた燃料電池の出力電位を評価することができる。
(実施例1)
以下の手順に従い、電極触媒体を作製した。
まず、カーボンブラック(Vulcan XC−72R)を秤量し、なすフラスコに移した。次いで、ジメチルスルホキシド(DMSO)とエチレングリコール(EG)との混合溶媒にコバルトテトラフェニルポルフィリン(CoTPP)を溶解させ、濃度2.9mg/Lの溶液とした。この溶液を、カーボンブラック1g当たり400mLとなるようになすフラスコに投入した。
カーボンブラックが完全に溶解したところで、なすフラスコを減圧操作下、湯浴でまず120℃に加熱し、その後195℃に上昇させた。溶媒の蒸発を目視で確認してから、230℃に再び昇温して3時間保持した。得られた内容物を、100℃で一晩乾燥させ、粉砕した。さらに、粉砕物を、Ar気流中において、500℃〜1000℃で2時間熱処理し、電極触媒体を得た。
熱処理前の電極触媒体(試料A)、500℃(試料B)、600℃(試料C)、700℃(試料D)、800℃(試料E)又は1000℃(試料F)で熱処理した電極触媒体、並びに、カーボンブラックに担持していないCoTPP(試料G)及び金属コバルト(試料H)について、Co周囲の局所構造とCoの電子状態についての知見を得るために、コバルトK吸収端のX線吸収微細構造(XAFS)測定を行った。
測定は、二つのSi(111)結晶で単色化したX線をサンプルに導入して行った。サンプル直前の入射X線強度(I)をイオンチェンバで計測し、サンプル透過後のX線の強度(I)を別のイオンチェンバで計測する。そして、両者から吸光度ln(I/I)を求め、X線エネルギーに対してプロットしてスペクトルを得た。
図4に、試料A、C、E〜HのコバルトK吸収端のX線吸収端近傍構造(XANES)を示す。図4に示すように、コバルトK吸収端のXANESには、7705eVより高エネルギー側に4つの特徴的な吸収ピークが観測されている。これらは、既往の研究(例えば、(1)M.C.M.Alves, J.P.Dodelet, D.Guay, M.Ladouceur, and G.Tourillon, J.Chem.Phys., 96, 10898(1992)、(2)宇田川康夫、「X線吸収微構造〜XAFSの測定と解析〜」、学会出版センタ、1999、(3)太田利明他、「X線吸収分光法〜XAFSとその応用〜」、アイピーシー、2002、等参照)より、以下の4種類の電子遷移に相当する吸収と考えられている。
(a)7709eV: これは、1s→3d遷移に帰属するとされている。電子が遷移するためには、方位量子数の変化分がΔl=±1でなければならない(s→dの遷移は禁制)が、対称中心がない分子では、d軌道にp軌道が若干混ざることによって、1s→3d遷移も許されると考えられている。
(b)7712eV: これは、1s→4pz遷移に帰属される。
(c)7725eVと(d)7731eV: これらは、1s→4px、4py遷移に帰属される。(b)と(c)(d)とで遷移エネルギーに差があるのは、4pz軌道には配位子が存在していないため、4px軌道や4py軌道と比べてエネルギー準位が下がり、より低いエネルギーで遷移が許されるためと考えられている。
(b)のピークは、CoTPP分子のZ軸方向に配位子が存在しないために現れたピークであり、平面分子に特徴的なピークである。すなわち、(b)のピークの存在は、平面構造(Co−N4構造)の存在を意味している。図4では、非担持・非熱処理のCoTPP(試料G)、カーボン担持・非熱処理のCoTPP(試料A)、及び、カーボン担持・600℃熱処理のCoTPP(試料C)に(b)のピークが認められており、これらの試料では、Co−N4構造が保持されていることがわかる。
さらに、600℃熱処理試料(試料C)の(b)のピークは、試料G、試料Aに比べ、高エネルギー側にシフトしている。これは、Co−N4平面に垂直なz軸を向いた4pz軌道のエネルギー準位が高くなったこと、すなわち、Coがz軸方向にある担体表面の炭素と相互作用を持つようになったことを示している。図示はしないが、試料B(500℃処理)及び試料D(700℃処理)は、試料Cとほぼ同様のスペクトルを示した。
一方、試料E(800℃処理)及び試料F(1000℃処理)では、(b)のピークは、消失しており、Co−N4の平面構造が壊れたことを示唆している。さらに、試料Fでは、試料Hに見られるような金属Coに特徴的な(a)のピークが現れており、また、これに伴い、X線の吸収が起こり始めるエネルギー(吸収の立ち上がりエネルギー)が低エネルギー側にシフトしていることがわかる。これは、熱処理によりCo−N4構造が崩壊し、Coがメタルとして凝集していることを示している。
また、図5に、試料A、C、E〜Hの広域X線吸収微細構造(EXAFS)を示す。EXAFSスペクトルにおいて、ピークの位置は、CoとCoの周りの近接原子との距離を示す。また、ピークの面積は、その距離で結合する原子の数(配位数)を示す。非担持・非熱処理のCoTPP(試料G)に見られる1.60Å(0.16nm)のピークは、Coに最近接の原子Nとの結合距離を示している。このピークの位置及び面積は、カーボンブラック担持(試料A)によっても変化しない。
このピークは、600℃で熱処理した試料Cにおいても確認され、かつ、ピーク面積に変化はなく、Co−N結合が維持されていることがわかる。しかしながら、ピーク位置が僅か(0.1Å(0.01nm)程度)であるが短い方向にシフトしており、Co−N間距離が僅かに短くなっていることがわかる。図示はしないが、試料B(500℃処理)及び試料D(700℃)は、試料Cとほぼ同様のスペクトルを示した。
800℃処理試料(試料E)及び1000℃処理試料(試料F)では、このCo−N結合に帰属されるピークが消失し、金属Co(試料H)に見られるのと同じ位置のピーク(2.18Å(0.218nm))が出現しいる。これは、これらの試料において、Co−N4平面構造が崩壊して、金属Coとして凝集していることを示している。
以上のように、試料Aでは、Co−N4平面構造は存在するが、Coと炭素担体と間に特段の相互作用はない。また、試料B、C、Dは、Co−N4平面構造が存在し、Coと炭素担体との間にEXAFSの1s→4pzピークのシフトで表される相互作用が認められた。さらに、試料Eは、Co−N4平面構造が一部崩壊し始め、試料Fでは、それがさらに進んで、Coが金属として凝集し出していることがわかった。
(実施例2)
実施例1で得られた試料A〜Fをグラッシーカーボン上に分散させた電極を用いて、酸素還元反応のモデル実験を行った。実験方法は、以下の通りである。
(1) モデル実験のセルの構成
作用極は、以下の手順で作製した。
すなわち、まず、回転電極(GC電極の見かけの表面積は、0.20cm)のGC面を鏡面に研磨した。また、試料A〜F60mgと超純水10mLとを混合し、超音波で3分間分散処理を行った。得られた懸濁液15μLをGC電極に滴下し、空気中80℃にて10分間乾燥させた
次に、GC電極にナフィオン(登録商標、デュポン社製)/エタノール水溶液を滴下し、室温で15分間乾燥させた後、さらに80℃にて30分間真空乾燥させ、作用極を得た。この時、ナフィオン(登録商標)塗布量は、乾燥ポリマ重量で3.2μg程度とした。
得られた作用極を炉外で自然放冷後、装置に取り付けた。なお、対極には、Pt板を用い、参照極には、RHE(可逆水素電極)を用いた。
(2) モデル実験手順
作用極、対極及び参照極が取り付けられた電解槽に電解液(0.05M硫酸水溶液)を入れ、この電解槽を25℃で一定とした水槽に浸した。
次に、電解液中にArでバブリングを20分間行い、溶存酸素を除去した後、Arのバブリングを継続しながら、掃引速度:10mV/s、掃引範囲:50mV〜1000mV、電極回転数:1000rpmの条件で、ボルタモグラムがほぼ一定の形になるまで、電位サイクルを行った。安定後、Ar中でのボルタモグラムを記録した。
次に、バブリングガスを酸素に切り替え、Arバブリングと同一条件下で、電位掃引を行った。ボルタモグラムが安定後、波形を記録した。これを初期特性とした。さらに、初期特性記録後も電位サイクルを続け、30分後、60分後、3時間後、及び、6時間後のボルタモグラムも記録した。
図6(a)及び図6(b)に、初期特性のボルタモグラムを示す。酸素導入により、還元方向の電流増加が観測され、酸素還元反応の進行が確認された。酸素還元電流が流れ始める電位は、各試料の電極反応触媒活性を示しており、より貴(+側の)電位で酸素還元電流が流れ始めるものほど、高活性であることを示している。図6中、試料Cが最も高い活性を示した。
図7に、熱処理温度と、Ar雰囲気中での電流値と酸素雰囲気中での電流値の差が0.2mA/cmとなる電位(以下、これを「立ち上がり電位」という)の初期値との関係を示す。図7より、500℃以上700℃以下で熱処理が施された試料B、C、Dは、立ち上がり電位の初期値が高く、高活性であることがわかる。
また、図8に、電位掃引の経過時間と、立ち上がり電位との関係を示す。図8より、加熱試料B〜Fは、非加熱試料Aと比べて、立ち上がり電位の初期値が高く、かつ、時間の経過による立ち上がり電位の低下が格段に抑制されていることがわかる。さらに、試料B、C、Dは、試料E、Fに比べて、6時間経過後も高活性であることがわかる。
以上の結果から、Co−N4平面構造が存在し、かつ、Coと担体炭素との間にXANESの1s→4pzピークのシフトで表される相互作用が認められる電極触媒体は、電極触媒活性及び特性安定性に優れていることがわかった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る電極触媒体及びその製造方法は、燃料電池、水電解装置等の各種電気化学デバイスに用いられる電極触媒体及びその製造方法として使用することができる。また、本発明に係る電極触媒体及びその製造方法は、空気極用の電極触媒体だけではなく、燃料極用の電極触媒体としても使用することができる。
大環状金属錯体の分子構造の一例を示す図である。 図2(a)は、大環状金属錯体の中心に配位したCoイオン周辺の電子構造の模式図であり、図2(b)は、担体表面に担持された大環状金属錯体の中心に配位したCoイオン周辺の電子構造の模式図である。 図3(a)は、単一溶媒を用いた大環状金属錯体の吸着工程の模式図であり、図3(b)は、混合溶媒を用いた大環状金属錯体の吸着工程の模式図である。 実施例1で得られた試料A、C、E〜HのK吸収端のX線吸収端微構造(XANES)を示す図である。 実施例1で得られた試料A、C、E〜Hの広域X線吸収微構造(EXAFS)を示す図である。 図6(a)は、試料A、C、E、Fのボルタモグラムであり、図6(b)は、酸素還元電流の立ち上がり電位付近の拡大図である。 試料A〜Fの熱処理温度と酸素還元電流が0.2mA/cmとなる電位との関係を示す図である。 試料A〜Fの掃引経過時間と酸素還元電流が0.2mA/cmとなる電位との関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 炭素材料からなる担体と、
    該担体表面に担持された、窒素を含む大環状分子に金属イオンが配位した大環状金属錯体又は該大環状金属錯体の熱変性物とを備え、
    前記金属イオンの広域X線吸収微細構造(EXAFS)スペクトルに、金属イオン−N結合に起因するピークが認められる電極触媒体。
  2. 前記金属イオンのK吸収端のX線吸収端近傍構造(XANES)スペクトルに、1s→4pz遷移に帰属される吸収ピークの高エネルギー側シフトが認められる請求項1に記載の電極触媒体。
  3. 前記大環状金属錯体を溶解可能な第1の溶媒と、前記第1の溶媒と相溶性を有し、前記大環状金属錯体の溶解度が前記第1の溶媒より小さく、かつ、その沸点が前記第1の溶媒より高い第2の溶媒とを含む混合溶媒に、前記大環状金属錯体を溶解させ、かつ前記担体を分散させ、
    前記第1の溶媒及び前記第2の溶媒を揮発させることにより、前記担体表面に前記大環状金属錯体を吸着させ、
    前記担体を、不活性雰囲気下において、500℃以上700℃以下の温度で熱処理することにより得られる請求項1又は2に記載の電極触媒体。
  4. 前記大環状分子は、ポルフィリン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、テトラアザアヌレン、又は、これらの構造を分子内に含む有機分子である請求項1から3までのいずれかに記載の電極触媒体。
  5. 前記金属イオンは、Fe、Ni、Co、Mn、Cu、Zn、Ti、V、及び、Crから選ばれる少なくとも1つである請求項1から4までのいずれかに記載の電極触媒体。
  6. 窒素を含む大環状分子に金属イオンが配位した大環状金属錯体を溶解可能な第1の溶媒と、前記第1の溶媒と相溶性を有し、前記大環状金属錯体の溶解度が前記第1の溶媒より小さく、かつ、その沸点が前記第1の溶媒より高い第2の溶媒とを含む混合溶媒に、前記大環状金属錯体を溶解させ、かつ、炭素材料からなる担体を分散させる溶解工程と、
    前記第1の溶媒及び前記第2の溶媒を揮発させることにより、前記担体表面に前記大環状金属錯体を吸着させる吸着工程と、
    前記担体を、不活性雰囲気下において、500℃以上700℃以下の温度で熱処理する熱処理工程とを備えた電極触媒体の製造方法。
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