JP2006030975A - 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該導電性支持体上に形成される何れかの層が、下記一般式(1)で表されるアゾ化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
(式中、R1、R2は置換基を有していてもよい炭素数3以下のアルキル基、Ar1はアル
キル基を有するアリーレン基、Ar2は置換基を有していてもよいアリーレン基、Ar3、Ar4は置換基としてアルキル基を有していてもよいフェニル基を表す。)
【選択図】 なし
Description
有機系感光体としてはいくつかの層構成が考案されているが、電荷発生と電荷輸送の機能を分離し電荷発生層、電荷輸送層を積層したいわゆる積層型感光体が、設計の自由度が高いためより高性能な感光体が得られること、また生産性が高いことなどから、精力的に研究・開発されており、現在では中高速の複写機やプリンタにまで使用範囲が広がっている。感光体に対する要求特性としては、光感度が高いこと、十分な帯電特性を有すること、残留電位が小さいこと、応答特性が良いこと、これらの特性の繰り返し使用における安定性が高いこと等の基本的な特性の他に、実用的な観点からも様々な特性が要求されている。その一つに耐光性があげられる。通常、感光体は複写機やレーザプリンタ内部において遮光された状態で使用される。しかしマシン組立時や、使用時に紙詰まりが起こりマシン内から取り出す時、または感光体ユニットが寿命に達し交換をする場合などの機械のメンテナンス時には感光体は必然的に外部光に曝されることになる。
電荷トラップが生じるメカニズムについてはよく判っていないところであるが、例えば電荷輸送材料自身が露光された光を吸収することにより励起され、その励起状態から緩和する際に、元の基底状態には戻らず、途中のエネルギー状態を持つ別の構造に変化してしまい、それが電荷トラップの要因となる場合や、電荷輸送層中の成分(電荷輸送物質単独の場合あるいは電子吸引性物質を含む場合は電荷輸送物質との間で形成される弱い電荷移動錯体など)が直接励起され電荷キャリアペアを生成し、それらが原因となると考えられている。
、酸化防止剤等の様々な物質から構成され、感光体としての特性は数多くの材料のバランスから成り立っており、単に特定波長に吸収を有する化合物を感光層、保護層中に含有させるだけでは、光曝露による感光体の劣化が抑えられるが、染料添加前に成り立っていた材料のバランスが、染料を添加することにより崩れ、通常使用時の残留電位の上昇、繰り返し使用時の安定性が低下してしまい、染料を添加するメリットよりも副作用からくるデメリットの方が大きくなってしまうという欠点があった。
キル基を有するアリーレン基、Ar2は置換基を有していてもよいアリーレン基、Ar3、Ar4は置換基としてアルキル基を有していてもよいフェニル基を表す。)
、Ar6は置換基を有していてもよいアリーレン基、Ar7、Ar8は置換基を有していて
もよいアリール基を表す。)
本発明による感光体は、繰り返し使用しても残留電位の蓄積がほとんどなく、しかも、帯電電位、感度の変動も少なく、安定性が極めて良好であり、耐久性に優れているため、高速の複写機やカラープリンタ等に好適に用いることができる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を有するものであって、該導電性支持体上に形成される何れかの層が、下記一般式(1)または一般式(2)で表されるアゾ化合物を含有する。
キル基を有するアリーレン基、Ar2は置換基を有していてもよいアリーレン基、Ar3、Ar4は置換基としてアルキル基を有していてもよいフェニル基を表す。)
、Ar6は置換基を有していてもよいアリーレン基、Ar7、Ar8は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
本発明の式(1)で表されるアゾ化合物と、式(2)で表されるアゾ化合物は、共に下記式(3)で表されるように、Cで表されるアゾ骨格部分を有し、該骨格部にAで表されるジアルキルアミノ基類部分と、Bで表されるジアリールヒドラゾン基類部分が結合するという点で、共通の構造を有するものである。
式(3)で表されるようなアゾ化合物は、一般的な電子写真感光体に用いられるバインダー樹脂に対する溶解性が乏しい場合が多い。この場合、Aのジアルキルアミノ基類部分の有するアルキル鎖長をより長くすることにより、その溶解性を向上させることが可能である。しかしながら、理由が明白ではないものの、Aのジアルキルアミノ基類部分の有するアルキル鎖長を長くしすぎると、電子写真感光体を繰り返し使用した際の帯電性の低下や、残留電位の上昇が起こり、電子写真感光体の特性に与える悪影響が大きくなってしまうという問題点が発生する。また、該アルキル鎖長を長くしすぎると、有機溶媒に対する溶解性が良くなりすぎ、製造時に目的のアゾ化合物を有機溶媒から分離することが困難となり、取り扱い性が著しく低下し、純度を向上させることができないという問題も発生する。
また、Aで表されるジアルキルアミノ基類部分と、Bで表されるジアリールヒドラゾン基類部分の、Cで表される骨格部分に対する結合位置としては、光曝露に影響する波長領域に吸収を有する電子状態となる理由から、Aで表されるジアルキルアミノ基類部分と、Bで表されるジアリールヒドラゾン基類部分の、距離がより遠くなるような位置であることが好ましく、より具体的には、Arm,Arnで表される置換基を有していてもよいアリーレン基が、置換基を有していてもよいフェニレン基である場合は、ジアゾ基に対して4位の位置に結合することが好ましく、Arm,Arnで表される置換基を有していてもよいアリーレン基が、置換基を有していてもよいナフチレン基である場合には、ジアゾ基がナフタレン環の1位にある場合に、4位の位置に結合することが好ましい。以下、本発明のアゾ化合物について更に詳細に説明する。
<式(1)のアゾ化合物>
本発明に用いられるアゾ化合物は、第一に下記一般式(1)の構造を有するアゾ化合物である。
式(1)中のR1、R2は、互いに同じであっても異なっていてもよく置換基を有していてもよい炭素数3以下のアルキル基であるが、具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の置換基を有さないアルキル基、メトキシメチル基等のアルコキシ基を置換基として有する置換アルキル基などがあげられる。これらのなかでも、製造時のコストや製造の容易さから、置換基を有さない直鎖状のアルキル基が好ましく、アルキル基の炭素数が多いと分子量が多くなり、添加量に対する光曝露に対する効果が薄れるため炭素数2以下のアルキル基がより好ましい。また、R1、R2は互いに結合して環構造を形成し、ピロリジニル基、ピペリジノ基の様な構造を有していてもよい。
基、ナフチレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基等があげられ、アリーレン基の有するアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等があげられる。製造の容易さ、原料の汎用性を考慮すると、アリーレン基としては芳香環が3個以下のものが好ましく、より好ましくはフェニレン基またはナフチレン基が用いられ、特に好ましくはフェニレン基である。有するアルキル基としては、同様に製造の容易さ、原料の汎用性を考慮すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
ェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基等があげられ、有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;ベンジル基等の置換基を有するアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ターシャリーブトキシ基等のアルコキシ基等があげられる。なかでも製造の容易さや、原料の汎用性を考慮すると、アリーレン基としては、フェニレン基またはナフチレン基が好ましく、より好ましくはフェニレン基である。そして、有していてもよい置換基としては、同様に製造の容易さや原料の汎用性を考慮すると、アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基があげられ、更に好ましくは1〜3のアルキル基であって、特に好ましくはメチル基である。Ar1とAr2は、同一でも互いに異なっていてもよい。
<式(2)のアゾ化合物>
本発明に用いられるアゾ化合物は、第二に下記一般式(2)の構造を有するアゾ化合物である。
ニレン基、Ar6は置換基を有していてもよいアリーレン基、Ar7、Ar8は置換基を有
していてもよいアリール基を表す。
式(2)中のR3,R4は、炭素数2以下のアルキル基であり、具体例としてはメチル基、またはエチル基があげられる。R3,R4は互いに結合して環構造を形成し、ピロリジニル基のような構造を有していてもよい。
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等があげられるが、原料の汎用性を考慮すると、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であって、特に好ましくはメチル基である。
Ar6は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、該アリーレン基としては、
フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基等があげられる。該アリーレン基の有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;ベンジル基等の置換基を有するアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ターシャリーブトキシ基等のアルコキシ基があげられる。なかでも原料の汎用性、製造の容易さという観点から、アリーレン基としては芳香環の数が3個以下のものが好ましく、より好ましくはフェニレン基またはナフチレン基であって、特にフェニレン基が好ましい。有していてもよい置換基としては、同様に原料の汎用性、製造の容易さの観点からメチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であって、特に好ましくはメチル基である。
素原子、硫黄原子などの架橋原子を介して結合し、フェノチアジン、フェノキサジン、キサンテンの様な環構造を形成したり、2価の有機残基を介して互いに結合し環構造を形成してもよい。
以下に、本発明のアゾ化合物の構造の具体例を例示するが、これらの例示は本発明のアゾ化合物の代表例を例示するものであって、本発明のアゾ化合物は、本発明の趣旨に反しない限り以下の構造に限定されるものではない。
本発明におけるアゾ化合物は、公知の方法を用いて製造することができる。以下に本発明におけるアゾ化合物の製造方法の具体例をあげる。例えば、アゾベンゼン骨格を有する化合物に、N,N−ジメチルホルムアミドとオキシ塩化リンとを作用させてホルミル化し、ついで、ヒドラジン化合物と縮合反応を行うことより目的化合物であるアゾ化合物を得ることができる。
<電子写真感光体>
電子写真感光体の感光層は、導電性支持体上に設けられ、下引き層を有する場合は下引き層上に設けられる。感光層の型式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された、いわゆる単層型感光体、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二つに機能分離された複層構造の、いわゆる積層型感光体があげられるが、何れの構成であってもよい。また、感光層上に、帯電性の改善や、耐摩耗性改善を目的としてオーバーコート層を設けてもよい。
本発明の電子写真感光体で使用される、式(1)または式(2)で表されるアゾ化合物は、導電性支持体上に形成される何れの層に含有されていても構わないが、外部からの光や酸化性ガス等の曝露に対して耐久性能を奏することを勘案すれば、より外側の層が含有することが好ましい。感光層の上に更にオーバーコート層を有する感光体である場合、オーバーコート層中に含有することによっても、下層に特定波長の光や酸化性ガス等の影響が達するのを防ぎ、耐光、耐酸化性ガス曝露性に高い効果が得られると考えれられることから、感光層上に形成されるオーバーコート層が本発明のアゾ化合物を含有していても構わない。さらに、本発明のアゾ化合物は、光曝露時の光の特定波長を吸収しバインダー樹脂と電荷輸送材料との励起状態で相互に作用するのを抑制する効果により、光曝露時の残留電位の上昇を抑制していることが推測されることから、バインダー樹脂と電荷輸送材料を含有する層、すなわち単層型感光体の感光層、または積層型感光体の電荷輸送層のいずれかの層に含有されるのがより好ましい。特に、光曝露時の残留電位の大きな変動の防止に高い効果が得られることから、順積層型感光層の電荷輸送層中に含有されるのが好ましい。
<導電性支持体>
感光体に用いる導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために。適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定され
るものではない。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、25〜40℃、好ましくは30〜35℃で、また、フッ化ニッケル水溶液のpHは、4.5〜6.5、好ましくは5.5〜6.0の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は80〜100℃、好ましくは90〜98℃で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダ樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダ樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤などの公知のバインダ樹脂があげられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、20μm以下の範囲が好ましい。
<電荷発生物質>
感光層に用いられる電荷発生物質としては、例えばセレンおよびその合金、アモルファスシリコンその他無機系光導電性材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料、スクワリウム顔料などの有機顔料など各種光導電性材料が使用できるが、特に有機顔料、中でもフタロシアニン顔料、アゾ顔料を使用することが望ましい。フタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属またはその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類が使用される。
これらフタロシアニン化合物、アゾ顔料は単独で使用しても良く、また複数のフタロシアニン化合物の混合物、混晶、複数のアゾ顔料の混合物、またはフタロシアニン化合物とアゾ顔料の混合物として用いてもよい。
<電荷輸送物質>
電荷輸送物質としては、公知の物質であればとくに限定されるものではなく、例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖、もしくは側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等があげられる。これらの中で、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。上記物質は単独で、又は2種以上併用して用いることが可能である。
感光層は、蒸着膜であっても構わないが、通常、前記の電荷発生物質や電荷輸送物質などの原料をバインダー樹脂により結着することにより形成される。バインダー樹脂には、通常電子写真感光体に適用可能なものであればどのようなバインダー樹脂も使用可能であるが、積層型感光体の電荷発生層では例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリ塩化ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル共重合体等の各種バインダー樹脂が用いられる。この場合のバインダー樹脂と電荷発生物質の使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して、電荷発生物質30〜500重量部の範囲より使用され、電荷発生層の膜厚は通常0.1μmから2μm、好ましくは0.15μmから1μmが好適である。
なお、感光層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させてもよい。また感光層には必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
<層形成方法>
感光体を構成する各層は、各層を構成する材料を含有する塗布液を、支持体上に公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布・乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成される。
積層型感光体の電荷発生層の場合には、固形分濃度を、通常0.1〜15重量%の範囲で使用されるが、1〜10重量%の範囲で使用することがより好ましい。塗布液の粘度は、通常0.01〜20cpsの範囲で使用されるが、0.1〜10cpsの範囲で使用されることがより好ましい。
塗布液の乾燥は室温における指触乾燥後、30〜200℃の温度範囲で、1分から2時間の間、無風、または送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また加熱温度は一定であっても、乾燥時に変更させながら行ってもよい。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着、IH定着、ベルト定着、IHF定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。などの公知の方法のいずれでも用いることが可能であり、これら定着方式は単独で用いても良く、複数の定着方式を組み合わせた形で使用してもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電手段3、現像手段4及びクリーニング手段6の内、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
<合成例1>
4−アミノベンズアルデヒド9.1部を濃塩酸中で公知の方法でジアゾ化し、N,N−ジエチル−m−トルイジン8.2部とメタノール100部中でカップリング反応させることにより下記式で示される化合物を10.6部を得た。
合成例1中のN,N−ジエチル−m−トルイジン8.2部をN,N−ジ−n−プロピル−m−トルイジン11.0部に変更し、N,N−ジフェニルヒドラジン8.3部をN,N−ジ−p−トリルヒドラジン9.6部に変更した以外は、合成例1と同様の操作を行うことにより、目的物質である下記構造式を有するアゾ物質Bを9.7部得た。
合成例1中のN,N−ジフェニルヒドラジン8.3部をN−フェニル−N−(1−ナフチル)ヒドラジン10.6部に変更した以外は合成例1と同様の操作を行うことにより、目的物質である下記構造式を有するアゾ化合物Cを9.5部得た。
合成例1中のN,N−ジエチル−m−トルイジン8.2部をN,N−ジエチルアニリン7.5部に変更した以外は合成例1と同様の操作を行うことにより、特開平3−55558号公報中の実施例3に記載の下記構造式を有する化合物Dを8.9部得た。該化合物の赤外吸収スペクトルを図3に示す。
合成例1中のN,N−ジエチル−m−トルイジン8.2部をN,N−ジ−n−ブチル−m−トルイジン11.0部に変更した以外は合成例1と同様の操作を行うことにより、特開平3−55558号公報中の製造例に記載の下記構造式を有する化合物Eを9.5部得た。
合成例3中のN,N−ジエチル−m−トルイジン8.2部をN,N−n−ジプロピル−m−トルイジン9.6部に変更した以外は合成例3と同様の操作を行うことにより、特開平3−55558号公報中の実施例5に記載の下記構造式を有する化合物Fを9.1部得た。
(電子写真感光体の作製)
下引き層用分散液は、次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
電荷発生物質として、図4に示すCuKα特性X線に対する粉末X線回折スペクトルパターンを有するチタニウムオキシフタロシアニン20重量部と1,2−ジメトキシエタン280重量部を混合し、サンドグラインドミルで2時間粉砕して微粒化分散処理を行った。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)を1,2−ジメトキシエタン253重量部と、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを85重量部の混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び234重量部の1,2−ジメトキシエタンを混合して分散液を調製した。この分散液を前記下引き層上にバーコーターで塗布して、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように電荷発生層を形成した。
実施例1中のアゾ化合物Aを、合成例2で得られたアゾ化合物Bに変更した以外は実施例1と同様の操作を行うことにより積層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
実施例3
実施例1中のアゾ化合物Aを、合成例3で得られたアゾ化合物Cに変更した以外は実施例1と同様の操作を行うことにより積層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
比較例1
実施例1中のアゾ化合物Aを用いなかった以外は実施例1と同様の操作を行うことにより積層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
比較例2
実施例1中のアゾ化合物Aを、比較合成例1で得られたアゾ化合物Dに変更した以外は実施例1と同様の操作を行うことにより積層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
比較例3
実施例1中のアゾ化合物Aを、比較合成例2で得られたアゾ化合物Eに変更した以外は実施例1と同様の操作を行うことにより積層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
比較例4
実施例1中のアゾ化合物Aを、比較合成例3で得られたアゾ化合物Fに変更した以外は実施例1と同様の操作を行うことにより積層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
実施例1−3、比較例1−4で得られた電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。
の照射エネルギー(半減露光エネルギー)を感度(E1/2)として測定した(μJ/cm2)。また、該露光光を1.2μJ/cm2の強度で照射したときの100ミリ秒後の露光後表面電位(Vl)を測定した。更に、初期表面電位を−700Vにした後、暗所で5秒間放置した後の表面電位を測定し、その差を暗減衰(DD)とした。
表面電位(Vl')を測定し、光曝露前後での初期表面電位変化量(V−V')、および光曝露後表面電位変化量(Vl−Vl')の変化量を算出することにより耐光性を評価し、
結果を表2に示した。
実施例4
表面を陽極酸化処理し、封孔処理を施したアルミニウム製無切削管(外径30mm、長さ340mm、肉厚0.8mm)を、実施例1におけると同様にして調製した電荷発生層用塗布液に浸漬して、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、乾燥させて電荷発生層を形成し、続いて、実施例1におけるのと同様にして調製した電荷輸送層用塗布液に浸漬して、乾燥後の膜厚が25.5μmとなるように塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を有する電子写真感光体ドラムを作成した。
比較例5
電荷輸送層にアゾ化合物を用いなかった以外は、実施例4と同様の操作を行うことにより積層型感光層を有する電子写真感光体ドラムを作成し、同様に評価行ったところ、白色蛍光灯による曝露の影響によりドラム周期で縦20mm、横40mmの黒帯がはっきりと確認でき、光曝露部分の画像濃度上昇が見られ、良好な画像は得られなかった。
比較例6
電荷輸送層に比較合成例2で得られたアゾ化合物を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行うことにより積層型感光層を有する電子写真感光体ドラムを作成し、同様の評価を行ったところ、白色蛍光灯による曝露の影響によりドラム周期で縦20mm、横40mmの黒帯が確認でき、光曝露部分の画像濃度の上昇が見られ、良好な画像は得られなかった。
Claims (5)
- 請求項1または請求項2の何れかに記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする、電子写真カートリッジ。
- 請求項1または請求項2の何れかに記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1もしくは請求項2記載の電子写真感光体、または請求項3記載のカートリッジを用いることを特徴とした画像形成方法。
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