しかしながら、特許文献1に記載のガスこんろによれば、火力が強く設定された場合は、内向きバーナの各炎口から噴出される火炎が大きくなるとともに、火炎の噴出距離が長くなるため、バーナ本体の内側に火炎が密集する。そのため、バーナ本体の内側において、火炎の先端が接触して干渉したり、火炎形成に必要な二次空気を十分供給することができなくなり、依然として大きな燃焼空間を必要としてしまい、熱効率を向上させることができていなかった。さらに、内向きバーナの能力を向上させるために炎口の数を多く設定すると、火炎同士が近接するため、互いに接触して干渉するという問題点もあった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、内向きバーナの炎口の数が多くても、火炎同士の接触を防止でき、かつ火炎に対して、二次空気を効率的に供給することによって、燃焼性能を良好に維持したまま熱効率を向上させることができるガスこんろを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のガスこんろによれば、環状混合気室を備え、当該環状混合気室の内周面の周方向に多数の炎口が列設された環状内向きバーナを備えたガスこんろにおいて、前記炎口は、少なくとも前記環状内向きバーナの上段側に設けられ、燃料ガスを噴出して火炎が形成される第1炎口列と、当該第1炎口列よりも下段側に設けられ、燃料ガスを噴出して火炎が形成される第2炎口列とを形成し、前記第1炎口列の火炎噴出方向と、前記第2炎口列の火炎噴出方向とが異なる方向に形成されることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明のガスこんろによれば、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記第1炎口列と前記第2炎口列とは、上下方向の火炎噴出方向が異なることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明のガスこんろによれば、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記第1炎口列と前記第2炎口列とは、その火炎噴出方向が上向きに傾斜して設けられ、前記第2炎口列の火炎噴出方向は、前記第1炎口列の火炎噴出方向よりも水平方向に対する傾斜角度が小さいことを特徴とする。
また、請求項4に係る発明のガスこんろによれば、請求項3に記載の発明の構成に加え、前記第1炎口列の火炎噴出方向は、前記環状内向きバーナの略上方に向けられ、前記第2炎口列の火炎噴出方向は、前記環状内向きバーナの径方向内側中心に向かって斜め上方に向けられていることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明のガスこんろによれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の構成に加え、前記第1炎口列と前記第2炎口列とは、水平方向の火炎噴出方向が異なることを特徴とする。
また、請求項6に係る発明のガスこんろによれば、請求項1乃至5の何れかに記載の発明の構成に加え、前記第1炎口列と前記第2炎口列との間に設けられ、前記炎口から噴出される火炎に二次空気を供給するリング状の第1の二次空気供給口を備えている。
また、請求項7に係る発明のガスこんろによれば、請求項1乃至6の何れかに記載の発明の構成に加え、所定間隔を空けて列設された前記各炎口間に設けられ、前記炎口から噴出される火炎に二次空気を供給する第2の二次空気供給口を備えている。
また、請求項8に係る発明のガスこんろによれば、請求項6又は7に記載の発明の構成に加え、前記第1および第2の二次空気供給口に二次空気を強制的に供給する二次空気強制供給手段を備えている。
また、請求項9に係る発明のガスこんろによれば、請求項8に記載の発明の構成に加え、前記環状内向きバーナの中心の下方に設けられ、上方に向かって二次空気を送風する中央空気送風口を備え、当該中央空気送風口には、二次空気供給通路を介して、前記二次空気強制供給手段が接続されていることを特徴とする。
また、請求項10に係る発明のガスこんろによれば、請求項9に記載の発明の構成に加え、中空の略円錐状に形成され、開放された底面側を前記中央空気送風口に覆設するように設けられた整流板を備え、当該整流板の軸線方向先端側近傍の外周面には、複数の噴射孔が穿設されていることを特徴とする。
また、請求項11に係る発明のガスこんろによれば、内周面の周方向に多数の炎口が列設された環状内向きバーナを備えたガスこんろにおいて、前記炎口は、左右の隣り合う炎口と上下方向の火炎噴出方向が異なることを特徴とする。
請求項1に係る発明のガスこんろによれば、環状内向きバーナの内周面の上下段に各々炎口列を設けて、炎口の数を多く設定しても、第1炎口列の火炎噴出方向と、第2炎口列の火炎噴出方向とが互いに異なる方向に形成されるため、各炎口列から噴出される火炎の先端同士が接触して干渉することを防止することができる。よって、火炎と二次空気との撹拌接触が促進され、火炎が短くなり、各炎口列における火炎の燃焼状態を良好にすることができる。この結果、燃焼性能を良好に維持したまま燃焼空間を狭くすることが可能となり、無駄な加熱を減らして熱効率を向上させることができる。
また、請求項2に係る発明のガスこんろによれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、第1炎口列の火炎噴出方向と、第2炎口列の火炎噴出方向とが上下方向に異なるため、第1炎口列の火炎の先端と、第2炎口列の火炎の先端とが互いに接触して干渉するのを防止できる。よって、火炎と二次空気との撹拌接触が促進され、火炎が短くなり、各炎口列における火炎の燃焼状態を良好にすることができる。この結果、燃焼性能を良好に維持したまま燃焼空間を狭くすることが可能となり、無駄な加熱を減らして熱効率を向上させることができる。
また、請求項3に係る発明のガスこんろによれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、第2炎口列の火炎噴出方向は、第1炎口列の火炎噴出方向より少なくとも下方向に向けられるので、第1炎口列の火炎の先端と、第2炎口列の火炎の先端とが互いに接触して干渉するのを防止できる。よって、火炎と二次空気との撹拌接触が促進され、火炎が短くなり、各炎口列における火炎の燃焼状態を良好にすることができる。この結果、燃焼性能を良好に維持したまま燃焼空間を狭くすることが可能となり、無駄な加熱を減らして熱効率を向上させることができる。
また、請求項4に係る発明のガスこんろによれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、第1炎口列から噴出される火炎の先端は、環状内向きバーナの略上方に向けられるのに対して、第2炎口列から噴出される火炎の先端は、環状内向きバーナの中心に向けられているので、各炎口から噴出される火炎同士が接触して干渉するのを防止することができる。よって、火炎と二次空気との撹拌接触が促進され、火炎が短くなり、各炎口列における火炎の燃焼状態を良好にすることができる。この結果、燃焼性能を良好に維持したまま燃焼空間を狭くすることが可能となり、無駄な加熱を減らして熱効率を向上させることができる。また、何れの火炎も上方側に向かって形成されるため、第1炎口列および第2炎口列から噴出されるガスにともなって、下方より二次空気を引き上げるドラフト力を利用することができる。
また、請求項5に係る発明のガスこんろによれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の効果に加え、第1炎口列の火炎と第2炎口列の火炎とは水平方向に噴出方向が異なるので、第1炎口列の火炎の先端と第2炎口列の火炎の先端とが互いに接触して干渉するのを防止できる。しかも、水平方向における火炎の噴出方向を変えているため、火炎は旋回するようにねじれ、二次空気との接触が一層良好となる。この結果、燃焼性能を良好に維持したまま燃焼空間を狭くすることが可能となり、無駄な加熱を減らして熱効率を向上させることができる。しかも、火炎は旋回するようにねじれるため、調理容器との接触が良好となり、より一層熱効率を向上させることができる。
また、請求項6に係る発明のガスこんろによれば、請求項1乃至5の何れかに記載の発明の効果に加え、リング状の第1の二次空気供給口から供給される二次空気を、第1炎口列から噴出される火炎と、第2炎口列から噴出される火炎とに対して同時に供給することができる。また、第1の二次空気供給口が、第1炎口列および第2炎口列の形状に合わせたリング形状に形成されていることから、第1炎口列および第2炎口列に対して均等に二次空気を供給することができる。
また、請求項7に係る発明のガスこんろによれば、請求項1乃至6の何れかに記載の発明の効果に加え、各炎口から噴出される火炎と火炎との間に二次空気を供給することができるので、火炎同士が接触して干渉するのを防ぐことができる。また、火炎同士が近接する二次空気の消費されやすい火炎の側面部分に、二次空気を直接供給することができるので、炎口における火炎の燃焼状態を良好にすることができる。
また、請求項8に係る発明のガスこんろによれば、請求項6又は7に記載の発明の効果に加え、例えば、火力が強く設定された場合、各炎口における噴出ガス量が多くても、その噴出ガスの燃焼において不足する二次空気を二次空気強制供給手段によって強制的に供給することができるので、各炎口における火炎の燃焼状態を良好とすることができる。また、炎口における噴出ガス量に対して十分な二次空気を供給することができるので、環状内向きバーナの燃焼性能を向上させることができる。
また、請求項9に係る発明のガスこんろによれば、請求項8に記載の発明の効果に加え、各炎口から噴出される火炎の先端が集中する環状内向きバーナの内側中心に向かって、中央空気送風口から二次空気が送風されるので、火炎が集中する中心付近において不足しやすい二次空気を十分に供給することができ、環状内向きバーナの燃焼性能の低下を防ぐことができる。また、火炎の先端は、送風された二次空気によって上方に押し上げられるので、火炎同士が接触して干渉するのを防止することもできる。
また、請求項10に係る発明のガスこんろによれば、請求項9に記載の発明の効果に加え、中央空気送風口から送風された二次空気は、略円錐状の整流板の内側に流れ込み、複数の噴射孔から環状内向きバーナの内周面に対して均等に供給することができる。よって、第1炎口列および第2炎口列の各炎口に形成される火炎の燃焼状態を均一に揃えることができるので、被加熱物の加熱ムラを生じにくくすることができる。
また、請求項11に係る発明のガスこんろによれば、環状内向きバーナの左右に隣り合う炎口を、互いにその火炎噴出方向を上下方向にずらしているので、隣り合う炎口から各々噴出される火炎の先端を上下方向に互いに離間することができる。したがって、隣り合う火炎同士が接触して干渉するのを防止することができる。
以下、本発明の第1の実施形態であるガスこんろ1について、図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態であるガスこんろ1の斜視図であり、図2は、図1に示すA−A線矢視方向断面図であり、図3は、図2に示す内向きバーナ10の拡大図であり、図4は、内向きバーナ10の内周面の正面図であり、図5は、図4に示すB−B線矢視方向断面図であり、図6は、図4に示すC−C線矢視方向断面図である。なお、図2の左側をガスこんろ1の前方側とし、図1の右側をガスこんろ1の後方側とする。
図2に示すように、第1の実施形態であるガスこんろ1は、環状の内向きバーナ10を内部に備え、内向きバーナ10の内側の上段に形成された上段炎口列40の火炎噴出方向と、内側下段に形成された下段炎口列41の火炎噴出方向とを互いに異なる方向に向けることにより、炎口を多数備えても、火炎同士が接触して干渉するのを避けることができ、内向きバーナ10の燃焼性能を向上させるものである。
はじめに、ガスこんろ1の構造について概略的に説明する。図1に示すように、略直方体の箱型に形成されたガスこんろ1の天面には、トッププレート2が設けられ、当該トッププレート2の左右両側には平面視略円形状の開口部4が各々形成されている。そして、その開口部4の下方には、本発明の特徴である環状の内向きバーナ10が配設されている。また、トッププレート2の開口部4の外周縁近傍には、内向きバーナ10の上部周囲を上方から覆うようにして五徳12が設けられ、その五徳12の上部には、調理鍋29が載置されるようになっている。また、ガスこんろ1の使用者に対向する前面側には、内向きバーナ10の点火動作をおこなう操作スイッチ6と、当該操作スイッチ6の上方に設けられ、内向きバーナ10の火力を手動操作によって調整できる火力調節レバー3とが設けられている。
さらに、図2に示すように、図1に示す操作スイッチ6の後方側には、操作スイッチ6の押圧操作に連動してガス流路の開閉およびガス流量の調整をおこなう制御ユニット5が設けられている。この制御ユニット5には、上述した火力調節レバー3が設けられ、さらに、その火力調節レバー3によって調節された火力に相当するガス量を噴出するノズル13が設けられている。
そして、制御ユニット5のノズル13には、内向きバーナ10に向かって延設された混合管8が接続されている。なお、この混合管8の、ノズル13に接続される一端部には、中空の略円錐状に形成された接続部9が形成されている。そして、この接続部9の底面側には、ノズル13が嵌入して接続される嵌入孔(図示外)が穿設され、当該嵌入孔の周囲には、一次空気が外部から混合管8内に吸引されるための一次空気吸引孔9aが複数穿設されている。よって、ノズル13から混合管8内に向かって燃料ガスが噴出されると、その燃料ガスの噴出の勢いにともなって、一次空気吸引孔9aより一次空気が混合管8内に吸引される。そして、一次空気と燃料ガスとが混合されることにより、混合管8内に混合気体が形成される。また、混合管8の、混合気体が流れる下流側の一端部は、内向きバーナ10に形成された後述する混合気室20の流入口27に接続されている。
次に、本発明の特徴である内向きバーナ10について説明する。図2および図3に示すように、内向きバーナ10は、略環状のバーナ本体31を本体として備えている。そして、バーナ本体31の内側には、下方側に向かって縮径する中央開口部11が形成されている。よって、そのバーナ本体31の内周面は、上段側から下段側に向かって径方向内側に傾斜している。また、バーナ本体31内部の径方向外側には、バーナ本体31の外周面の周方向に沿って、略リング状の混合気室20が設けられている。この混合気室20には、混合管8から流入口27を介して混合気体が流入する。一方、バーナ本体31内部の径方向内側には、バーナ本体31の内周面の周方向に沿って、略リング状の二次空気室21が設けられている。この二次空気室21には、後述する二次空気通路18から流入口28を介して二次空気が流入する。そして、混合気室20と二次空気室21との間には、仕切壁33が立設されている。さらに、このバーナ本体31の内周面の上段側には、火炎を噴出する平面視略リング状の上段炎口列40が設けられ、内周面の下段側にも火炎を噴出する平面視略リング状の下段炎口列41が設けられている。なお、バーナ本体31の内周面の構造については後述する。なお、図3に示す上段炎口列40が、「第1炎口列」に相当し、下段炎口列41が、「第2炎口列」相当する。
一方、図2に示すように、中央開口部11の下方側の開口部には、その開口部を塞ぐようにして底壁26が固定されている。さらに、底壁26の略中央には、中央開口部11の中心に向かって二次空気を送風する中央空気送風口24が穿設されている。そして、中央空気送風口24には、二次空気通路16が接続されている。そして、二次空気通路16の、二次空気が流れる一端側には、二次空気を強制的に送風する強制ファン15が接続されている。この強制ファン15は、ガスこんろ1の前面に設けられたファンスイッチ(図示外)の手動による切替え操作により、強制ファン15の運転・停止が切り替わるものである。また、二次空気通路16の、強制ファン15に接続された一端側近傍には分岐部17が設けられ、当該分岐部17には、二次空気通路18が接続されている。そして、その二次空気通路18の、二次空気が流れる下流側一端側は、内向きバーナ10の内側に形成された二次空気室21の流入口28に接続されている。なお、図2に示す強制ファン15が、「二次空気強制供給手段」に相当する。
さらに、図2および図3に示すように、底壁26の上部には、底面が開放された中空の略円錐形状の整流板25が、中央空気送風口24を覆うようにして覆設されている。また、その整流板25の頂点近傍の外周面には、上段炎口列40および下段炎口列41から噴出される各火炎に対して、中央空気送風口24から送風された二次空気を均等に噴射するための二次空気噴射孔25aが複数穿設されている。
次に、バーナ本体31の内周面の構造について説明する。図3および図4に示すように、バーナ本体31の内周面上段側には、その内周面の周方向に沿って、上段炎口列40が設けられている。また、バーナ本体31の内周面の下段側にも、その内周面の周方向に沿って、下段炎口列41が設けられている。そして、図4に示すように、上段炎口列40には、燃料ガス(詳しくは、器具に供給される燃料ガスと一次空気との混合気体)を噴出して火炎を形成する炎口45が隙間を空けて複数列設されている。さらに、それら炎口45と炎口45との隙間には、二次空気が供給される二次空気隙間供給口67が設けられている。一方、下段炎口列41にも上段炎口列40と同様に、燃料ガス(詳しくは、器具に供給される燃料ガスと一次空気との混合気体)を噴出して火炎を形成する炎口46が隙間を空けて複数列設されている。さらに、それら炎口46と炎口46との隙間には、二次空気が供給される二次空気隙間供給口68が各々設けられている。なお、図3に示す二次空気隙間供給口67,68が、「第2の二次空気供給口」に相当する。
さらに、図4に示すように、上段炎口列40の上側には、上段炎口列40の長手方向に沿って延設され、中央開口部11(図3参照)に向かって二次空気を供給する平面視略リング状の二次空気供給口60が設けられている。また、上段炎口列40および下段炎口列41に挟まれる隙間には、各炎口列の長手方向に沿って延設され、中央開口部11(図3参照)に向かって二次空気を供給する平面視略リング状の二次空気供給口61が設けられている。さらに、下段炎口列41の下側には、下段炎口列41の長手方向に沿って延設され、中央開口部11(図3参照)に向かって二次空気を供給する平面視略リング状の二次空気供給口62が設けられている。こうして、バーナ本体31の内周面において、その上段側から下段側にかけて、二次空気供給口60、上段炎口列40、二次空気供給口61、下段炎口列41および二次空気供給口62の順に配設され、サンドイッチ状に各々積層された状態となっている。なお、図4に示す二次空気供給口61が、「第1の二次空気供給口」に相当する。
次に、バーナ本体31の内部構造について説明する。図5に示すように、二次空気室21の、中央開口部11側(図3参照、図5の左側)の壁部は、その略中段から下段側にかけて内側に傾斜している。さらに、その傾斜する壁面には、中央開口部11と二次空気室21とが互いに挿通する略帯状の挿通口(図示外)が設けられている。さらに、その挿通口の上縁には、中央開口部11の略上方に向かって斜めに延設された平面視略リング状の第1羽根片50が設けられ、その先端はさらに略上方に向かって折り返されている。一方、挿通口の下縁にも、中央開口部11(図3参照)の中心に向かって斜めに延設された平面視略リング状の第6羽根片55が設けられている。そして、第1羽根片50および第6羽根片55との間には、4枚の平面視略リング状の羽根片が棚状に配設され、上方から下方にかけて第2羽根片51、第3羽根片52、第4羽根片53および第5羽根片54の順に配設されている。また、第2羽根片51および第3羽根片52の先端側は、第1羽根片50の折り返し形状と同様に折り返されている。なお、これら第2羽根片51、第3羽根片52、第4羽根片53および第5羽根片54は、二次空気室21の挿通口の上縁および下縁に渡設された複数の固定柱(図示外)に固定されている。
また、図6に示すように、仕切壁33の略中段には、中央開口部11(図3参照)に向かって延設された断面略矩形状の筒体(図4参照)である炎口体70が、仕切壁33の略中段の周方向に沿って間隔を空けて列設されている。さらに、炎口体70の先端側は、第2羽根片51および第3羽根片52の隙間に嵌挿され、その先端部近傍は、第2羽根片51および第3羽根片52の先端の折り返し形状に合わせて略上方に折り返されている。一方、仕切壁33の下段側にも、中央開口部11(図3参照)に向かって延設された断面略矩形状の筒体(図4参照)である炎口体71が、仕切壁33の周方向に沿って間隔を空けて列設されている。さらに、炎口体71の先端側も、第4羽根片53および第5羽根片54の隙間に嵌挿されている。また、これら炎口体70,71は、混合気室20に各々挿通し、中央開口部11に向かって突設された先端側の開口部には、上述した炎口45、46が各々形成されている。
そして、図4に示すように、炎口体70の先端が、第2羽根片51および第3羽根片52の隙間に嵌挿されることによって、炎口45と炎口45との間に隙間が形成され、その隙間に二次空気隙間供給口67が形成される。このようにして、炎口45と二次空気隙間供給口67とが交互に連続して列設されることによって、一本の上段炎口列40が構成されている。一方、炎口体70の下方に位置する炎口体71の先端が、第4羽根片53および第5羽根片54の隙間に嵌挿されることによって、炎口46と炎口46との間に隙間が形成され、その隙間に二次空気隙間供給口68が各々形成される。このようにして、炎口46と二次空気隙間供給口68とが交互に連続して列設されることによって、一本の下段炎口列41が構成されている。また、図4および図5に示すように、第1羽根片50および第2羽根片51に挟まれた隙間には、二次空気供給口60が形成され、第3羽根片52および第4羽根片53に挟まれた隙間には、二次空気供給口61が形成され、第5羽根片54および第6羽根片55に挟まれた隙間には、二次空気供給口62が形成される。これら二次空気供給口60,61および62は、二次空気室21と挿通し、中央開口部11に噴出される火炎に対して二次空気を供給する。
また、図4に示すように、上段炎口列40の各炎口45は、二次空気供給口60、二次空気供給口61および2つの二次空気隙間供給口67,67によって、その外周全周を囲繞されることから、各炎口45から噴出される火炎の外周全周に対して二次空気をムラなく供給できる。一方、下段炎口列41の各炎口46も、二次空気供給口61、二次空気供給口62および2つの二次空気隙間供給口68,68によって、その外周全周を囲繞されることから、各炎口46から噴出される火炎の外周全周に対して二次空気をムラなく供給できる。
次に、上記構成からなるガスこんろ1の動作について説明する。図1に示すように、まず、内向きバーナ10に点火するため、使用者は操作スイッチ6を押下する。すると、操作スイッチ6の押下に連動して、図2に示すように、制御ユニット5のノズル13から混合管8内に向かって燃焼用ガスが噴出する。このとき、ノズル13からのガスの噴出速度にともなって、複数の一次空気吸引孔9aから一次空気が混合管8内に吸引される。そして、混合管8内では、燃料ガスと一次空気とが混合され、混合気体が形成される。次いで、混合管8内の混合気体は、内向きバーナ10に向かって流れ、流入口27から内向きバーナ10の混合気室20内に流入する。
さらに、図6に示すように、混合気室20内に流入した混合気体は、仕切壁33の略中段に列設された各炎口体70と、下段に列設された各炎口体71とにそれぞれ均等に流れ込む。次いで、バーナ本体31の内側下方に配設された点火電極(図示外)が、図1に示す操作スイッチ6の押圧操作に連動してスパークする。すると、下段炎口列41に嵌挿された炎口体71の炎口46から噴出する混合気体に引火される。そして、引火された炎口46から火炎が噴出すると、点火された炎口46の火炎によって、隣接する炎口46に火移りが起こる。こうして、火移りが連続して起こることによって、下段炎口列41の炎口46全てに点火され、下段炎口列41の全ての炎口46から火炎が噴出する。続いて、下段炎口列41から噴出される火炎は、上段炎口列40の各炎口45から噴出する混合気体に引火して火移りが起こる。こうして、上段炎口列40の全ての炎口45に点火され、上段炎口列40の全ての炎口45から火炎が噴出する。こうして、図3に示すように、バーナ本体31の内周面に形成された全ての炎口45,46から火炎が噴出された状態となり、内向きバーナ10全体が燃焼状態となる。
そして、図3に示すように、上段炎口列40の炎口45は、中央開口部11の略上方に向けられているので、各炎口45は火炎を中央開口部11の略上方に向かって噴出する。一方、下段炎口列41の炎口46が向けられる方向は、上段炎口列40の炎口46の火炎噴出方向よりも、水平方向に対する傾斜角度が小さく調整されており、中央開口部11の中心に向かって斜め上方に向けられているため、各炎口46は、火炎を斜め上方に向かって噴出する。このように、上段炎口列40の火炎噴出方向と、下段炎口列41の火炎噴出方向とが上下方向に互いに異なる方向に向けられているので、各炎口列から噴出される火炎が接触して干渉するのを防止することができる。よって、火炎と二次空気との撹拌接触が促進され、火炎が短くなり、各炎口45,46における燃焼状態を良好とすることができる。
また、上段炎口列40によって噴出される各火炎は、中央開口部11の略上方に向かって平面視略リング状に吹き上がる。さらに、下段炎口列41によって噴出される各火炎は、上段炎口列40によって噴出された各火炎よりも、中央開口部11の中心側に向かって火炎を噴出する。したがって、中央開口部11において、各炎口列の各炎口45,46より火炎が互いに干渉することなく均一に噴出されるため、図1に示すガスこんろ1の五徳12上に載置された調理鍋29の底部をムラなく加熱することができる。
そして、例えば、ガスこんろ1の火力調節レバーが弱火力側に設定されている場合は、各炎口45,46から噴出される火炎の噴出距離は短いので、内向きバーナ10の中央開口部11の中心では、各火炎が接触することがない。また、上段炎口列40の炎口45は中央開口部11の略上方に向けられ、下段炎口列41の炎口46も中央開口部11の略中心に向かって斜め上方に向けられているので、各炎口45,46から噴出される混合気体の噴出の勢いにともなって、下方周囲から二次空気が吸い上げられる。したがって、この二次空気を下方から引き上げるドラフト力によって、各炎口45、46から噴出される火炎に対して二次空気が自然に供給される。そして、中央開口部11において、火炎形成に必要な二次空気量を十分確保できるので、強制ファン15を運転させずに、各炎口45,46における火炎の燃焼状態を良好にすることができる。
一方、火力調節レバー3が強火力側に設定されている場合、上段炎口列40および下段炎口列41の炎口45,46から噴出される火炎が大きくなり、炎口45,46から噴出される火炎の噴射距離が長くなる。さらに、炎口45,46における混合気体の噴出速度が速いため、上段炎口列40および下段炎口列41の各炎口45,46における二次空気のドラフト力だけでは、各火炎の利用に供される二次空気を中央開口部11において十分確保することができず、各炎口45,46における火炎の燃焼状態が悪くなる。
そこで、第1の実施形態のガスこんろ1では、図2に示すように、ファンスイッチ(図示外)を押下して、強制ファン15を運転させる。すると、強制ファン15から送風された空気は、内向きバーナ10の燃焼に利用される二次空気として、二次空気通路16、18に各々供給される。そして、二次空気通路18を通過した二次空気は、流入口28を介して、内向きバーナ10の二次空気室21に流入する。さらに、図5に示すように、二次空気室21に流入した二次空気は、二次空気供給口60,61,62および二次空気隙間供給口67,68からそれぞれ噴出する。そして、図4に示すように、二次空気供給口60から供給された二次空気は、炎口45から噴出される火炎の上部に向かって供給され、二次空気供給口61から供給された二次空気は、炎口45から噴出される火炎の下部と、炎口46から噴出される火炎の上部に向かって供給される。さらに、二次空気供給口62から供給された二次空気は、炎口46から噴出される火炎の下部に向かって供給される。また、二次空気隙間供給口67から供給された二次空気は、各炎口45から噴出される各火炎の左右部分に向かって供給され、二次空気隙間供給口68から供給された二次空気は、各炎口46から噴出される各火炎の左右部分に向かって供給される。したがって、各炎口45,46から噴出される火炎を囲繞するようにして二次空気を供給することができるので、火炎全体に不足することなく、二次空気をムラなく供給することができる。さらに、火力が強くても、強制ファン15によって、二次空気を各炎口45,46に強制的に供給することができるので、各炎口45,46における火炎全体の燃焼状態を良好とすることができ、内向きバーナ10の燃焼効率を最大限に向上させることができる。
また、図2に示すように、二次空気通路16を通過した二次空気は、中央空気送風口24から整流板25の内側に向かって送風される。そして、整流板25の内側に送風された二次空気は、整流板25に穿設された二次空気噴射孔25aから、内向きバーナ10の中央開口部11の中心に向かって噴射される。よって、火炎が集中するバーナ本体31の中央開口部11において不足しやすい二次空気を十分に供給することができるので、環状内向きバーナ10の燃焼効率を向上させることができる。また、火炎の先端は、送風された二次空気によって上方に押し上げられるので、火力が強くても火炎同士が接触して干渉するのを防止できる。さらに、中央開口部11の中心において、火炎の先端同士が接触すると、調理鍋29の底部の中心付近の温度が異常に高温となり、底部に温度ムラが生じてしまうが、本実施形態のガスこんろ1では、中央空気送風口24から中央開口部11に向かって二次空気が強制的に送風されることにより、中央開口部11の中心における温度を若干下げることができる。よって、調理鍋29の底部に形成される温度ムラを解消することができる。
そして、ガスこんろ1による調理が終了し、ガスこんろ1の内向きバーナ10を消火するときは、ガスこんろ1の操作スイッチ6を再度押下する。すると、制御ユニット5は、混合管8内に噴射していた燃料ガスの供給を停止する。さらに、混合管8内への燃料ガスの供給が停止されるので、内向きバーナ10への燃料ガスの供給が停止され、混合気室20に混合気体が供給されないので、各炎口45,46が消火され、調理が終了する。
以上説明したように、第1の実施形態であるガスこんろ1によれば、環状の内向きバーナ10の内周面において、上段周方向に列設された上段炎口列40と、下段周方向に列設された下段炎口列41とが設けられている。そして、上段炎口列40の火炎噴出方向は、中央開口部11の略上方に向けられ、下段炎口列41の火炎噴出方向は、上段炎口列40の火炎噴出方向よりも水平方向に対する傾斜角度が小さく調整されている。そのため、上段炎口列40から噴出される火炎の先端と、下段炎口列41から噴出される火炎の先端とが中央開口部11において互いに接触せず干渉しないため、火炎と二次空気との撹拌接触が促進される。したがって、各炎口列の炎口45,46において火炎の燃焼状態を良好とすることができる。この結果、燃焼性能を良好に維持したまま、燃焼空間を狭くすることが可能となり、例えば、調理鍋と内向きバーナとの距離を縮めて、鍋底と火炎との接触面積を広くして熱効率を向上させることができる。また、各炎口45,46から噴出される火炎に対して、その火炎を囲繞するようにして二次空気を供給することができるので、火炎全体に不足することなく均一に二次空気を供給することができる。さらに、火力が強くても、強制ファン15を運転させることにより、二次空気を各炎口45,46に強制的に供給することができるので、各炎口45,46における火炎全体の燃焼状態を良好とすることができ、内向きバーナ10の燃焼性能を最大限に向上させることができる。
次に、第2の実施形態であるガスこんろについて、図7乃至図9を参照して説明する。図7は、第2の実施形態の内向きバーナ100の内周面の正面図であり、図8は、図7に示すD−D線矢視方向断面図であり、図9は、図7に示すE−E線矢視方向断面図である。この第2の実施形態のガスこんろは、第1の実施形態であるガスこんろ1の変形例であり、ガスこんろ1の内部に配設された内向きバーナ10と構造が異なる内向きバーナ100を備えるものである。したがって、内向きバーナ100以外の構造については、第1の実施形態のガスこんろ1と同じ構造であるため、内向きバーナ100の構造の特徴についてのみ説明し、その他の説明については上記説明を援用する。なお、第2の実施形態の内向きバーナ100によれば、内向きバーナ100における上段炎口列400と、下段炎口列410とでは、水平方向の火炎噴出方向が異なる点に特徴を有する。
まず、内向きバーナ100の内周面について説明する。図7に示すように、第2の実施形態である環状の内向きバーナ100は、環状のバーナ本体310を本体として備えている。そして、バーナ本体310の内周面上段側には、その内周面の周方向に沿って、上段炎口列400が設けられている。また、バーナ本体310の内周面の下段側にも、その内周面の周方向に沿って、上段炎口列400と同様の下段炎口列410が設けられている。そして、上段炎口列400には、複数の炎口体700が間隔を空けて嵌挿されることによって、火炎を噴出する炎口450が複数形成されている。さらに、それら炎口450と炎口450との隙間には、二次空気が供給される二次空気隙間供給口670が設けられている。一方、下段炎口列410にも上段炎口列400と同様に、複数の炎口体710が間隔を空けて嵌挿されることによって、火炎を噴出する炎口460が複数形成されている。さらに、それら炎口460と炎口460との隙間には、二次空気が供給される二次空気隙間供給口680が各々設けられている。
さらに、図7に示すように、上段炎口列400の上側には、上段炎口列400の長手方向に沿って延設された平面視略リング状の二次空気供給口600が設けられている。また、上段炎口列400および下段炎口列410に挟まれる隙間には、各炎口列の長手方向に沿って延設された平面視略リング状の二次空気供給口610が設けられている。さらに、下段炎口列410の下側には、下段炎口列410の長手方向に沿って延設された平面視略リング状の二次空気供給口620が設けられている。こうして、バーナ本体310の内周面において、その上段側から下段側にかけて、二次空気供給口600、上段炎口列400、二次空気供給口610、下段炎口列410および二次空気供給口620の順に配設され、各々がサンドイッチ状に積層された状態となっている。
また、バーナ本体310の内部構造においては、第1の実施形態の内向きバーナ10のバーナ本体31の内部構造を基本として構成されている。そして、バーナ本体310のバーナ本体31と異なるところは、上段炎口列400に嵌挿された炎口体700の火炎噴出方向と、下段炎口列410に嵌挿された炎口体710の火炎噴出方向とが水平方向において異なる点である。図8に示すように、バーナ本体310において、混合気室200と二次空気室210とを仕切る仕切壁330の略中段には、中央開口部(図示外)側に向かって延設された炎口体700が設けられている。そして、炎口体700の中央開口部に対向する開口部には炎口450が形成されている。さらに、炎口体700は、炎口450を、中央開口部の中心よりも右側にズレる方向に向けるようにして、上段炎口列400内を斜めに嵌挿されている。一方、図9に示すように、仕切壁330の下段側には、中央開口部側(図示外)に向かって延設された炎口体710が設けられている。そして、炎口体710の中央開口部(図示外)に対向する開口部には炎口460が形成されている。さらに、炎口体710は、炎口460を、中央開口部(図示外)の中心よりも左側にズレる方向に向けるようにして、下段炎口列410内を斜めに嵌挿されている。
したがって、炎口体700の延設方向と、炎口体710の延設方向とは水平方向に互いに異なるため、炎口450の火炎噴出方向と、炎口460の火炎噴出方向とが互いに異なる方向に向けることができる。そして、上段炎口列400の炎口450から噴出する火炎の先端と、その炎口450の下方に位置する下段炎口列410の炎口460から噴出する火炎の先端とは、水平方向において互いに異なる方向に向けられるので、各火炎の先端同士が接触して干渉するのを防止することができる。また、各炎口450,460から噴出する火炎は、上方側に向かって螺旋状に吹き上がることから、火炎と二次空気との撹拌接触を促進させることができる。したがって、各炎口450,460における火炎の燃焼状態を良好にすることができる。
以上説明したように、第2の実施形態であるガスこんろによれば、上段炎口列400の炎口450の火炎噴出方向と、下段炎口列410の炎口460の火炎噴出方向とが、水平方向において異なるため、上下で近接し合う火炎の先端同士が互いに離れるため、各火炎の先端同士が接触して干渉するのを防止することができる。また、各炎口450,460から噴出する火炎が、上方に向かって螺旋状に吹き上がることから、火炎と二次空気との撹拌接触を促進することができるので、各炎口450,460における火炎の燃焼状態を良好にすることができる。この結果、燃焼性能を良好に維持したまま、燃焼空間を狭くすることが可能となり、例えば、調理鍋と内向きバーナとの距離を縮めて、鍋底と火炎との接触面積を広くして熱効率を向上させることができる。
次に、第3の実施形態であるガスこんろについて、図10乃至図13を参照して説明する。図10は、第3の実施形態の内向きバーナ101の断面図であり、図11は、内向きバーナ101の内周面の正面図であり、図12は、図11に示すF−F線矢視方向断面図であり、図13は、図11に示すG−G線矢視方向断面図である。この第3の実施形態のガスこんろは、第1の実施形態であるガスこんろ1の変形例であり、ガスこんろ1の内部に配設された内向きバーナ10と構造が異なる内向きバーナ101を備えるものである。したがって、内向きバーナ101以外の構造については、第1の実施形態のガスこんろ1と同じ構造であるため、内向きバーナ101の構造の特徴についてのみ説明し、その他の説明については上記説明を援用する。なお、第3の実施形態の内向きバーナ101によれば、図10に示すように、その内周面の周方向に1つの複合炎口列401を備え、互いに隙間を介して隣接する炎口451と炎口452とにおいて、火炎を噴出する方向が上下方向に異なる点に特徴を有する。
内向きバーナ101について説明する。図10に示すように、内向きバーナ101は、略環状のバーナ本体311を本体として備えている。そして、バーナ本体311の内側には、下方側に向かって縮径する中央開口部111が形成されている。また、バーナ本体311内部の径方向外側には、バーナ本体311の外周面の周方向に沿って、略リング状の混合気室201が設けられている。一方、混合気室201の径方向内側には、仕切壁331を介して、バーナ本体311の内周面の周方向に沿って、略リング状の二次空気室211が設けられている。そして、このバーナ本体31の内周面の上段側には、火炎を2方向へ噴出する1つの複合炎口列401が設けられている。
さらに、図10に示すように、底壁261の上部には、底面が開放された中空の略円錐形状の整流板251が、中央空気送風口241を覆うようにして覆設されている。また、その整流板251の頂点近傍の外周面には、複合炎口列401から噴出される各火炎に対して、中央空気送風口241から送風される二次空気を均等に供給するための二次空気噴射孔251aが複数穿設されている。
次に、バーナ本体311の内周面の構造について説明する。図11に示すように、バーナ本体311の内周面上段側には、その内周面の周方向に沿って、1つの複合炎口列401が設けられている。そして、複合炎口列401には、中央開口部111(図10参照)の略上方に向かって火炎を噴出する炎口451と、当該炎口451の火炎噴出方向よりも水平方向に対する傾斜角度が小さい方向に火炎を噴出する炎口452とが交互に隙間を空けて列設されている。さらに、それら炎口451と炎口452との隙間には、二次空気が供給される二次空気隙間供給口671が各々設けられている。
さらに、図11に示すように、複合炎口列401の上側には、複合炎口列401の長手方向に沿って延設され、中央開口部111(図10参照)に向かって二次空気を供給する平面視略リング状の二次空気供給口601が設けられている。また、複合炎口列401の下側には、複合炎口列401の長手方向に沿って延設され、中央開口部111に向かって二次空気を供給する平面視略リング状の二次空気供給口611が設けられている。こうして、バーナ本体311の内周面において、その上段側から下段側にかけて、二次空気供給口601、複合炎口列401および二次空気供給口611の順に配設され、サンドイッチ状に各々積層された状態となっている。
次に、バーナ本体311の内部構造について説明する。図12に示すように、二次空気室211の、中央開口部111側(図10参照、図12の左側)の壁部は、その略中段から下段側にかけて中央開口部111側に傾斜している。さらに、その傾斜する壁面の略中段には、中央開口部111と二次空気室211が互いに挿通する略帯状の挿通口(図示外)が設けられている。さらに、その挿通口の上縁には、中央開口部111の略上方に向かって斜めに延設された平面視略リング状の第1羽根片501が設けられ、その先端側はさらに略上方に向かって折り返されている。一方、挿通口の下縁にも、中央開口部111の中心に向かって斜めに延設された平面視略リング状の第4羽根片531が設けられている。そして、第1羽根片501および第4羽根片531との間には、2枚の平面視略リング状の羽根片が棚状に配設され、上方から第2羽根片511および第3羽根片521の順に配設されている。さらに、第2羽根片511の中央開口部111側の縁部近傍には、後述する炎口体701の先端の折り返し形状に合わせて形成された段部511a(図11参照)が、第2羽根片511の周方向に沿って間隔を空けて設けられている。一方、第3羽根片521の、中央開口部111側の縁部近傍にも、炎口体701の先端の折り返し形状に合わせて形成された段部521a(図11参照)が、第3羽根片521の周方向に沿って間隔を空けて列設されている。そして、これら第2羽根片511および第3羽根片521は、二次空気室211の挿通口の上縁および下縁に渡設された複数の固定柱(図示外)に固定されている。
また、仕切壁331の略中段には、中央開口部111(図10参照)に向かって延設された断面略矩形状の筒体である炎口体701と、炎口体702とが、仕切壁331の略中段の周方向に沿って交互に間隔を空けて列設されている。さらに、これら炎口体701および炎口体702の各先端側は、第2羽根片511および第3羽根片521の隙間に嵌挿されている。そして、図12に示すように、炎口体701の先端部は、中央開口部111(図10参照)の略上方に向かって折り返されている。そして、炎口体701の、中央開口部111に向かって対向する開口部には、上述した炎口451が形成されている。さらに、炎口体702の、中央開口部111に向かって対向する開口部には、上述した炎口452が形成されている。
そして、図10に示すように、上記構成からなる内向きバーナ101において、第1の実施形態であるガスこんろ1と同様に、複合炎口列401に点火されると、炎口体701の炎口451と、炎口体702の炎口452とに各々点火される。そして、炎口体701の炎口451は、中央開口部111の略上方に向かって火炎を噴出する。一方、炎口体702の炎口452は、中央開口部111に向かって斜め上方に火炎を噴出する。したがって、二次空気隙間供給口671を介して互いに隣り合う炎口451と炎口452とにおいて、火炎を噴出する方向が互いに上下方向に異なるため、隣り合う火炎の先端同士の接触が避けられ、干渉するのを防止することができる。そして、一本の炎口列でも、互いに隣り合う炎口451および炎口452の火炎噴出方向を変えた複合炎口列401を設けることで、火炎同士の接触を避けることができる。よって、火炎と二次空気との撹拌接触が促進されるため、複合炎口列401から噴出される火炎の燃焼状態を良好とすることができる。
以上説明したように、第3の実施形態であるガスこんろによれば、内向きバーナ101を内部に備え、その内周面には1つの複合炎口列401が、内周面の周方向に沿って設けられている。そして、複合炎口列401には、炎口451と炎口452とが、二次空気隙間供給口671を介して交互に列設されている。さらに、互いに隣り合う炎口451と炎口452とでは、火炎噴出方向が上下方向において互いに異なる方向に向けられている。したがって、隣り合う火炎の先端同士の接触が避けられ、干渉するのを防止することができるため、複合炎口列401から噴出される火炎の燃焼状態を良好とすることができる。
なお、本発明は、以上詳述した上記実施の形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能なことはいうまでもない。
例えば、上記第1の実施形態では、内向きバーナ10は、平面視略円形の環状に形成されているが、多角形状でもよい。
また、上段炎口列40および下段炎口列41に設置する炎口の数は、各ガスこんろに必要とされる火力に相当する程度に調整すればよい。
なお、上記実施の形態で述べた弱火力および強火力とは、必ずしも最大火力と最小火力との平均ガス量を意味しない。