JP2006028598A - 被削性および疲労特性に優れた鋼材並びに鋼製品とそれらの製造方法 - Google Patents

被削性および疲労特性に優れた鋼材並びに鋼製品とそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】疲労強度を確保しつつ、被削性が良好な鋼材および実際に高周波焼入れにより疲労強度を一層向上させた鋼材を提供する。
【解決手段】C:0.3〜0.7mass%、Si:1.1mass%以下、Mn:0.2〜1.1mass%、Mo:0.05〜0.6mass%、S:0.06mass%以下、P:0.025mass%以下、Al:0.25mass%以下およびCr:0.3mass%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成とし、母材組織をフェライト組織およびパーライト組織の合計の組織分率が90%以上のものとし、さらにフェライト組織の最大厚みを30μm以下とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面に高周波焼入れによる硬化層をそなえる、自動車ドライブシャフトおよび等速ジョイントなどに適用して好適な、焼入れ前の素材としての鋼材および焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材、鋼製品ならびにそれらの製造方法に関するものである。なお、本発明において鋼製品とは、ドライブシャフト、等速ジョイント、クランクシャフト、インプットシャフト、アウトプットシャフト、歯車、ハブ等の機械構造用部品で鋼を素材として用いているものを言う。
従来、自動車ドライブシャフトや等速ジョイントなどの機械構造用部材は、熱間圧延棒鋼に、熱間鍛造、さらには切削、冷間鍛造などを施して所定の形状に加工したのち、高周波焼入れ−焼戻しを行うことにより、機械構造用部材としての重要な特性であるねじり疲労強度、曲げ疲労強度、転動疲労強度およびすべり転動疲労強度等の疲労強度を確保しているのが一般的である。
他方、近年、環境問題から自動車用部材に対する軽量化への要求が強く、この観点から自動車用部材における疲労強度の一層の向上が要求されている。
ここに、疲労強度を向上させるためには、例えば高周波焼入れによる焼入れ深さを増加させることが考えられる。しかしながら、焼入れ深さを増加してもある深さで疲労強度は飽和する。
また、疲労強度の向上には、粒界強度の向上も有効であり、この観点からTiCを分散させることによって旧オーステナイト粒径を微細化する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
上記特許文献1に記載された技術では、高周波焼入れ加熱時に微細なTiCを多量に分散させることで、旧オーステナイト粒径の微細化を図るものであり、ある程度のγ粒微細化はするものの、近年の疲労強度に対する要求には十分に応えられないものであった。
さらに、特許文献2には、硬化層深さCDと高周波焼入れ軸物部品の半径Rとの比(CD/R)を0.3〜0.7に制限した上で、このCD/Rと高周波焼入れ後の表面から1mmまでのオーステナイト結晶粒径γf、高周波焼入れままの(CD/R)=0.1までの平均ビッカース硬さHcで規定される値Aを、C量に応じて所定の範囲に制御することによって疲労強度を向上させた機械構造用軸物部品が提案されている。
特開2000−154819号公報(特許請求の範囲、段落〔0008〕) 特開平8−53714号公報(特許請求の範囲)
ところで、ドライブシャフトや等速ジョイント等は、切削加工が施されて製品とするのが一般的であり、これらに用いる鋼材は被削性に優れることも肝要である。しかし、上記の特許文献1および2に開示された鋼では、被削性については何ら考慮がなされておらず、切削加工の際に、切削工具の寿命が短くなることが問題となっていた。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたものであり、十分な疲労強度を有し、かつ被削性が良好な鋼材および実際に高周波焼入れにより疲労強度を一層向上させた鋼材を、それらの有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
さて、発明者らは、被削性を維持しつつ、高周波焼入れ後の疲労強度を効果的に向上させるべく、鋭意検討を行った。
その結果、以下に述べるように、鋼の化学組成並びに組織を最適化することによって、被削性を向上させることができ、かつ焼入れ条件および焼入れ後の硬化層の旧オーステナイト粒径を最適化することにより、優れた疲労強度が得られるとの知見を得た。
(1)フェライト組織とパーライト組織との合計の組織分率を90%以上とし、さらにフェライト組織の最大厚みを30μm以下とした、組織を有する鋼材は、優れた被削性を示すことを知見した。さらに、このような組織を有する鋼材に対して高周波焼入れを施すと、高周波焼入れ後の硬化層の旧オーステナイト粒径が微細となり、優れた疲労強度を有するものとなる。
(2)上記のように、組織を調整した鋼材を使用し、高周波焼入れ条件(加熱温度および時間)を適正に制御することによって、硬化層粒径が顕著に微細化し、粒界強度が向上する。具体的には、加熱温度:800℃〜1000℃、より好ましくは800℃〜950℃で、加熱時間:5秒以下とすることにより、硬化層全厚にわたり粒径:12μm以下の微細粒を安定して得ることができる。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.C:0.3〜0.7mass%、
Si:1.1mass%以下、
Mn:0.2〜1.1mass%、
Mo:0.05〜0.6mass%、
S:0.06mass%以下、
P:0.025mass%以下、
Al:0.25mass%以下および
Cr:0.3mass%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、母材組織がフェライト組織およびパーライト組織を有し、かつこれらフェライト組織とパーライト組織との合計の組織分率が90vol%以上であり、さらにフェライト組織の最大厚みが30μm以下であることを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材。
2.上記1において、前記鋼材が、さらに、
Cu:1.0mass%以下、
Ni:3.5mass%以下、
Co:1.0mass%以下、
Nb:0.1mass%以下、
Ti:0.1mass%以下および
V:0.5mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材。
3.上記1または2において、前記鋼材が、さらに、
Ca:0.005mass%以下、
Mg:0.005mass%以下、
Te:0.005mass%以下、
Bi:0.5mass%以下、
Pb:0.5mass%以下および
Zr:0.01mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材。
4.C:0.3〜0.7mass%、
Si:1.1mass%以下、
Mn:0.2〜1.1mass%、
Mo:0.05〜0.6mass%、
S:0.06mass%以下、
P:0.025mass%以下、
Al:0.25mass%以下および
Cr:0.3mass%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、母材組織がフェライト組織およびパーライト組織を有し、かつこれらフェライト組織とパーライト組織との合計の組織分率が90vol%以上であり、さらにフェライト組織の最大厚みが30μm以下であり、しかも高周波焼入れ後の硬化層の平均旧オーステナイト粒径が12μm以下であることを特徴とする、被削性および疲労特性に優れた鋼製品。
5.上記4において、さらに
Cu:1.0mass%以下、
Ni:3.5mass%以下、
Co:1.0mass%以下、
Nb:0.1mass%以下、
Ti:0.1mass%以下および
V:0.5mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および疲労特性に優れた鋼製品。
6.上記4または5において、さらに、
Ca:0.005mass%以下、
Mg:0.005mass%以下、
Te:0.005mass%以下、
Bi:0.5mass%以下、
Pb:0.5mass%以下および
Zr:0.01mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および疲労特性に優れた鋼製品。
7.C:0.3〜0.7mass%、
Si:1.1mass%以下、
Mn:0.2〜1.1mass%、
Mo:0.05〜0.6mass%、
S:0.06mass%以下、
P:0.025mass%以下、
Al:0.25mass%以下および
Cr:0.3mass%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼素材を、850℃超〜950℃の温度域における総加工率が80%以上となる条件下で熱間加工し、その後500℃までを0.6℃/s未満の速度で冷却することを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材の製造方法。
8.上記7において、前記鋼素材が、さらに、
Cu:1.0mass%以下、
Ni:3.5mass%以下、
Co:1.0mass%以下、
Nb:0.1mass%以下、
Ti:0.1mass%以下および
V:0.5mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材の製造方法。
9.上記7または8において、前記鋼素材が、さらに、
Ca:0.005mass%以下、
Mg:0.005mass%以下、
Te:0.005mass%以下、
Bi:0.5mass%以下、
Pb:0.5mass%以下および
Zr:0.01mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材の製造方法。
10.C:0.3〜0.7mass%、
Si:1.1mass%以下、
Mn:0.2〜1.1mass%、
Mo:0.05〜0.6mass%、
S:0.06mass%以下、
P:0.025mass%以下、
Al:0.25mass%以下および
Cr:0.3mass%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼製品を、850℃超〜950℃の温度域における総加工率が80%以上となる条件下で熱間加工し、その後500℃までを0.6℃/s未満の速度で冷却したのち、焼入れ時の加熱温度:800〜1000℃および加熱時間:5秒以下の条件下で高周波焼入れを行うことを特徴とする、被削性および疲労特性に優れた鋼製品の製造方法。
11.上記10において、前記鋼素材が、さらに、
Cu:1.0mass%以下、
Ni:3.5mass%以下、
Co:1.0mass%以下、
Nb:0.1mass%以下、
Ti:0.1mass%以下および
V:0.5mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼製品の製造方法。
12.上記10または11において、前記鋼素材が、さらに、
Ca:0.005mass%以下、
Mg:0.005mass%以下、
Te:0.005mass%以下、
Bi:0.5mass%以下、
Pb:0.5mass%以下および
Zr:0.01mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および疲労特性に優れた鋼製品の製造方法。
かくして、本発明によれば、優れた被削性を有するとともに、高周波焼入れ後には高い疲労強度を有する鋼材を安定して得ることができ、その結果、とりわけ自動車部材の軽量化の要求に対し偉効を奏する。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、鋼材および鋼製品の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。
C:0.3〜0.7mass%
Cは、焼入れ性への影響が最も大きい元素であり、焼入れ硬化層の硬さおよび深さを高めて強度の向上に有効に寄与する。しかしながら、含有量が0.35mass%に満たないと必要とされる強度を確保するためには焼入れ硬化深さを飛躍的に高めねばならず、その際焼割れの発生が顕著となるため、0.3mass%以上で添加する。一方、0.7mass%を超えて含有させると、粒界強度が低下し、それに伴い疲労強度が低下し、また切削性、冷間鍛造性および耐焼き割れ性も低下する。このため、Cは、0.3〜0.7mass%の範囲に限定した。好ましくは 0.4〜0.6mass%の範囲である。
Si:1.1mass%以下
Siは、焼入れ加熱時にオーステナイトの核生成サイト数を増加させると共に、オーステナイトの粒成長を抑制し、焼入れ硬化層の粒径を微細化する作用を有する。また、炭化物生成を抑制し、炭化物による粒界強度の低下を抑制する作用も有する。このため疲労強度の向上に有効な元素である。しかしながら、Si量が1.1mass%を超えると、フェライトの固溶硬化により硬さが上昇し、切削性および冷間鍛造性の低下を招く。従って、Siは1.1mass%以下に限定した。
なお、疲労強度を向上させるためにはSiは0.3mass%以上とすることが好ましい。一方、Si量の増加に伴い被削性には不利となるため、被削性を優先させるためには、Siは0.3mass%未満とすることが好ましい。
Mn:0.2〜2.0mass%
Mnは、焼入れ性を向上させ、焼入れ時の硬化深さを確保する上で不可欠の成分であり積極的に添加するが、含有量が0.2mass%未満ではその添加効果に乏しいため、0.2mass%以上とした。好ましくは0.3mass%以上、さらに好ましくは0.5mass%以上である。一方、Mn量が2.0mass%を超えると、焼入れ後の残留オーステナイトが増加し、かえって表面硬度が低下し、ひいては疲労強度の低下をまねくため、Mnは2.0mass%以下とした。なお、Mnは含有量が多いと、母材の硬質化を招き、被削性に不利となるきらいがあるため、1.2mass%以下とするのが好適である。さらに好ましくは1.0mass%以下である。
Mo:0.05〜0.6mass%
Moは、本発明において非常に重要な元素である。すなわち、Moは、焼入れ加熱時におけるオーステナイト粒径を微細化し、焼入れ硬化層の粒径を細粒化する作用がある。特にこの効果は、高周波焼入れ時の加熱温度を 800〜1000℃より好ましくは 800〜950 ℃とすることにより、一層顕著となる。さらに、焼入れ性の向上に有用な元素であるため、焼入れ性を調整するために用いられる。加えて、Moは、炭化物の生成を抑制し、炭化物による粒界強度の低下を有効に阻止する元素でもある。
このように、Moは、本発明において非常に重要な元素であり、含有量が0.05mass%に満たないと、硬化層全厚にわたって旧オーステナイト粒径を12μm 以下の微細粒とすることが難しい。一方、0.6mass%を超えると、被削性が劣化するため、上限は0.6mass%とした。さらに好ましくは 0.2〜0.4 mass%の範囲である。
S:0.06mass%以下
Sは、鋼中でMnSを形成し、切削性を向上させる有用元素であるが、0.06mass%を超えて含有させると、粒界に偏析して粒界強度を低下させるため、Sは0.06mass%以下に制限した。好ましくは0.01mass%以上0.06mass%以下である。
P:0.02mass%以下
Pは、オーステナイトの粒界に偏析し、粒界強度を低下させることにより、疲労強度を低下させる。また、焼割れを助長する弊害もある。従って、Pの含有は極力低減することが望ましいが、0.02mass%までは許容される。
Al:0.25mass%以下
Alは、脱酸に有効な元素である。また、焼入れ加熱時におけるオーステナイト粒成長を抑制する作用も有し、焼入れ硬化層の粒径を微細化する上でも有用な元素である。しかしながら、0.25mass%を超えて含有させてもその効果は飽和し、むしろ成分コストの上昇を招く不利が生じるので、Alは0.25mass%以下に限定した。好ましくは、0.01〜0.05mass%である。
Cr:0.3mass%以下
Crは、焼入れ性に有効であり、硬化層深さを深くして疲労強度の向上に寄与する。しかし、過剰に含有されると、炭化物を安定化させて残留炭化物の生成を助長し、粒界強度を低下させて疲労強度を劣化させるため、0.3mass%を上限とする。なお、焼入れ性の向上の観点からは、0.1mass%以上とすることが好ましい。
以上、基本成分について説明したが、本発明ではその他にも、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Cu:1.0mass%以下
Cuは、焼入れ性の向上に有効であり、またフェライト中に固溶し、この固溶強化によって、疲労強度を向上させる。また炭化物の生成を抑制することにより、炭化物による粒界強度の低下を抑制し、疲労強度を向上させる。しかしながら、含有量が1.0mass%を超えると熱間加工時に割れが発生するため、1.0mass%以下の添加とする。なお好ましくは0.03mass%以上0.2mass%以下である。
Ni:3.5mass%以下
Niは、焼入れ性を向上させる元素であるので、焼入れ性を調整する場合に用いる。また、炭化物の生成を抑制し、炭化物による粒界強度の低下を抑制して、疲労強度を向上させる元素でもある。しかしながら、Niは極めて高価な元素であり、3.5mass%を超えて添加すると鋼材のコストが上昇するので、3.5mass%以下の添加とする。なお、0.05mass%未満の添加では焼入れ性の向上効果および粒界強度の低下抑制効果が小さいので、0.05mass%以上含有させることが望ましい。好ましくは0.1〜1.0mass%である。
Co:1.0mass%以下
Coは、炭化物の生成を抑制して、炭化物による粒界強度の低下を抑制し、強度および疲労強度を向上させる元素である。しかしながら、Coは極めて高価な元素であり、1.0mass%を超えて添加すると鋼材のコストが上昇するので、1.0mass%以下の添加とする。なお、0.01mass%未満の添加では、粒界強度の低下抑制効果が小さいので、0.01mass%以上添加することが望ましい。好ましくは0.02〜0.5mass%である。
Nb:0.1mass%以下
Nbは、焼入れ性の向上効果があるだけでなく、鋼中でC,Nと結合し析出強化元素として作用する。また、焼もどし軟化抵抗性を向上させる元素でもあり、これらの効果によって疲労強度を向上させる。しかしながら、0.1mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するので、0.1mass%を上限とする。なお、0.005mass%未満の添加では、析出強化作用および焼もどし軟化抵抗性の向上効果が小さいため、0.005mass%以上添加することが望ましい。好ましくは0.01〜0.05mass%である。
Ti:0.1mass%以下
Tiは、鋼中でC,Nと結合し析出強化元素として作用する。また、焼もどし軟化抵抗性を向上させる元素でもあり、これらの効果により疲労強度を向上させる。しかしながら、0.1mass%を超えて含有させるとTiNが多量に形成される結果、これが疲労破壊の起点となって疲労強度の著しい低下を招くので0.1mass%以下とする。なお、0.01mass%未満の添加では、疲労強度の向上効果が小さいので、0.01mass%以上添加することが望ましい。
V:0.5mass%以下
Vは、鋼中でC,Nと結合し析出強化元素として作用する。また、焼もどし軟化抵抗性を向上させる元素でもあり、これらの効果により疲労強度を向上させる。しかしながら、0.5mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するので、0.5mass%以下とする。なお、0.01mass%未満の添加では、疲労強度の向上効果が小さいので、0.01mass%以上添加することが望ましい。好ましくは0.03〜0.3mass%である。
Ca:0.005mass%以下、
Caは、MnSと共に硫化物を形成し、これがチップブレーカーとして作用することにより被削性を改善するので必要に応じて添加することができる。しかしながら、0.005mass%を超えて含有させても、効果が飽和する上、成分コストの上昇を招くので、0.005mass%以下とした。なお、0.0001mass%未満では、含有されていても被削性改善効果が小さいので、0.0001mass%以上含有させることが好ましい。
Mg:0.005mass%以下、
Mgは、脱酸元素であるだけでなく、応力集中源となって被削性を改善する効果があるので、必要に応じて添加することができる。しかしながら、過剰に添加すると効果が飽和する上、成分コストが上昇するため、0.005mass%以下とした。なお、0.0001mass%未満では、含有されていても被削性改善効果が小さいので、0.0001mass%以上含有させることが好ましい。
Te:0.005mass%以下
Teは、Mnと結合してMnTeを形成し、これがチップブレーカーとして作用することにより被削性を改善する。しかしながら、含有量が0.005mass%を超えると、効果が飽和する上、成分コストの上昇を招くので、0.005mass%以下とした。なお、0.003mass%未満では、含有されていても被削性改善効果が小さいので、0.003mass%以上含有させることが好ましい。
Bi:0.5mass%以下
Biは、切削時の溶融、潤滑および脆化作用により、被削性を向上させるので、この目的で添加することができる。しかしながら、0.5mass%を超えて添加しても効果が飽和するばかりか、成分コストが上昇するため、0.5mass%以下とした。なお、0.01mass%未満では、含有されていても被削性改善効果が小さいので、0.01mass%以上含有させることが好ましい。
Pb:0.5mass%以下
Pbは、切削時の溶融、潤滑および脆化作用により、被削性を向上させるので、この目的で添加することができる。しかしながら、0.5mass%を超えて添加しても効果が飽和するばかりか、成分コストが上昇するため、0.5mass%以下とした。なお、0.01mass%未満では、含有されていても被削性改善効果が小さいので、0.01mass%以上含有させることが好ましい。
Zr:0.01mass%以下
Zrは、MnSと共に硫化物を形成し、これがチップブレーカーとして作用することにより被削性を改善する。しかしながら、0.01mass%を超えて含有させても、効果が飽和する上成分コストの上昇を招くので、0.01mass%以下とした。なお、0.003mass%未満では、含有されていても被削性改善効果が小さいので、0.003mass%以上含有させることが好ましい。
上述した、元素以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、O、N、B等が挙げられるが、それぞれ、O:0.008mass%まで、N:0.02mass%まで、B:0.0003mass%までを許容できる。
特にB含有量が0.0003mass%超えであると、高周波熱処理前の組織中に(Fe、Mo、Mn)23(C、B)が安定析出する傾向にあり、硬化層のγ粒組織も混粒傾向となり、平均旧オーステナイト粒径が小さくなったとしても、粗大な旧オーステナイト粒が混在するようになり、硬化層の旧オーステナイト粒径微細化による疲労強度向上効果が小さくなる。
以上、好適成分組成範囲について説明したが、本発明では、成分組成を上記範囲に限定するだけでは不十分で、母材組織の調整も重要である。
すなわち、本発明においては、母材の組織、すなわち焼入れ前の組織(高周波焼入れ後の硬化層以外の組織に相当)が、フェライト組織およびパーライト組織を有し、かつこれらフェライト組織とパーライト組織との合計の組織分率が90vol%以上であり、さらに、フェライト組織の最大厚み、すなわちパーライト組織を数珠状に取り囲むフェライト組織の最大厚みが、30μm以下である必要がある。
ここで、フェライト組織の最大厚みとは以下のように定義される。
図1に示すように、本発明の鋼材では、フェライト組織がパーライト組織の周りを数珠状に取り囲んだ組織を有している。このフェライト組織の周方向とは直交する方向の幅の最大値をフェライト組織の最大厚みと呼ぶ。なお、その測定は、光学顕微鏡の像をトレースして行った。
まず、フェライト組織とパーライト組織との合計の組織分率が90vol%以上であることが必要な理由は、フェライトあるいはパーライト以外の組織、すなわち、ベイナイト組織やマルテンサイト組織の組織分率が大きくなると、被削性が著しく低下するためである。さらに、フェライト組織とパーライト組織との合計の組織分率が90vol%以上であったとしても、フェライト組織の最大厚みが30μmを超えると、硬質相および軟質相が粗大に分散するため、切削加工時にチップブレーカーとなる硬質相の絶対数が減少して、被削性が十分に確保できない。
さらに、後述するように、高周波焼入れ後の硬化層の旧オ一ステナイト粒径を12μm以下とすることにより、さらに疲労強度が向上するが、ここにパーライト組織に囲まれたフェライト組織の最大厚みを小さくすることは、高周波焼入れ後の硬化層の旧オーステナイト粒を細粒化するために有利である。
これは、加熱時のオ一ステナイトがフェライト−パーライト界面から核生成するため、フェライト粒が小さいほどこの核生成サイトが増加し、生成するγ粒が微細となるためである。したがって、フェライト組織の最大厚みが30μmとすることは、高周波加熱時に微細なオーステナイトを生成させ、もって高周波焼入れ後の硬化層の旧オーステナイト粒径を微細化、すなわち12μm以下とする上でも必要である。
また、本発明では、高周波焼入れ後の硬化層の旧オーステナイト粒径の調整も重要である。すなわち、高周波焼入れ後の硬化層に関し、その平均旧オーステナイト粒径を12μm以下とする必要がある。というのは、焼入れ硬化層の平均旧オーステナイト粒径が12μmを超えると、十分な粒界強度が得られず、満足いくほどの疲労強度の向上が望めないからである。なお、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
ここに、焼入れ硬化層の旧オーステナイト粒径の測定は、次のようにして行う。
高周波焼入れ後の本発明の鋼材では、高周波焼入れした部分の鋼材最表面は面積率で100%のマルテンサイト組織を有する。そして、表面から内部にいくに従い、ある深さまでは100%マルテンサイト組織の領域が続くが、ある深さから急激にマルテンサイト組織の面積率が減少する。
本発明では、高周波焼入れした部分について、鋼材表面から、マルテンサイト組織の面積率が98%に減少するまでの深さ領域を硬化層と定義する。
そして、この硬化層について、表面から硬化層の1/5位置、1/2位置、4/5位置それぞれの位置について同視野数の組織観察を行い、それぞれの平均旧オーステナイト粒径を測定し、これら各位置での平均旧オーステナイト粒径の平均値が12μm以下である場合に、硬化層の平均旧オーステナイト粒径が12μm以下であるとする。
なお、平均旧オーステナイト粒径の測定は、光学顕微鏡により、400倍(1視野の面積:0.25mm×0.225mm)から1000倍(1視野の面積:0.10mm×0.09mm)で、各位置毎に5視野観察し、画像解析装置により平均粒径を測定することにより行う。
さらにまた、本発明において、高周波焼入れによる硬化層厚みは2mm以上とすることが好適である。というのは、所望特性が転動疲労寿命のような極表層付近の組織のみに依存するような場合には、硬化層厚みが1mm程度でもそれなりの効果は得られるが、曲げ疲労強度やねじり疲労強度を問題とする場合には、硬化層厚みは厚いほど好ましいからである。従って、より好ましい硬化層厚みは2.5mm以上、さらに好ましくは3mm以上である。
次に、本発明の製造条件について説明する。
所定の成分組成に調整した鋼材を、棒鋼圧延または熱間鍛造後、必要に応じて冷間圧延や冷間鍛造を施し、ついで切削加工を施して高周波焼入用の素材(本発明の鋼材)とし、これに、さらに高周波焼入れを施して製品(本発明の鋼製品)とする。
本発明では、母材組織を上述したフェライト組織およびパーライト組織を有し、かつこれらフェライト組織とパーライト組織との合計の組織分率が90vol%以上であり、さらにパーライト組織に囲まれたフェライト組織の最大厚みが30μm以下である組織とするために、高周波焼入れを施す前の鋼素材については、圧延・鍛造等の熱間加工の際に、850℃超〜950℃の温度域における総加工率を80%以上とする必要がある。この温度域における総加工率が80%に満たないと、オーステナイトの再結晶が十分でなく、オーステナイトが微細化せず、そこから生成するフェライトは30μmより大きくなり、パーライト組織に囲まれたフェライト組織の最大厚みを30μm以下とすることができなくなる。
また、熱間加工後の冷却速度があまりに速すぎると、マルテンサイトやベイナイトといった低温変態相が生じてフェライト組織とパーライト組織との合計の組織分率を90vol%以上とすることが難しくなる。成分組成によっても異なるが、600℃までの冷却速度を少なくとも0.6℃/s未満とすれば本発明で規定した成分範囲ではフェライト組織とパーライト組織との合計の組織分率を90vol%以上とできる。
次に、本発明では、上述した硬化層を得るために高周波焼入れを施すが、この高周波焼入れ時の加熱温度範囲は800〜1000℃とする必要がある。というのは、加熱温度が800℃未満の場合、オーステナイト組織の生成が不十分となり、上述した硬化層組織の生成が不十分となる結果、十分な静的強度を確保することができず、一方、加熱温度が1000℃超えの場合、オーステナイト粒の成長が促進されて粗大となり、硬化層の粒径が粗大となるため、やはり疲労強度の低下を招くからである。より好ましい加熱温度範囲は800〜950℃である。
なお、上記の効果は、Moを本発明範囲で含有させた鋼において、より顕著に発現する。
図2に、0.5mass%C-0.5mass%Si-0.75mass%Mn鋼をベースとしてこれに、Mo添加した鋼(Mo:0.05〜0.6 mass%)とMo無添加鋼について、高周波焼入れ時の加熱温度と硬化層の旧オーステナイト粒径との関係について調べた結果を示す。ここで、高周波焼入前組織はいずれも本発明の範囲となるように、熱間加工条件、その後の冷却条件を調整した。
同図に示したとおり、Mo添加鋼およびMo無添加鋼いずれにおいても、高周波焼入れ時の加熱温度を低下させることで硬化層の旧オーステナイト粒径を小さくできるが、Mo添加鋼においては、加熱温度を1000℃以下好ましくは 950℃以下とすることにより、特に顕著に硬化層粒径の微細化が達成される。
また、本発明において高周波焼入れは、上記加熱温度範囲における加熱時間を5秒以下とする必要がある。というのは、加熱時間を5秒以下とした場合には、5秒を超える場合に比べて、オーステナイトの粒成長をさらに抑制することができ、粒径12μm以下の非常に微細な硬化層粒径を得ることができるからである。より好ましい加熱時間は、3秒以下である。
さらに、高周波焼入れ時の加熱速度および上記加熱時間で保持した後の降温速度が大きいと、オーステナイトの粒成長が生じ易くなるので、高周波焼入れ時の加熱速度および加熱保持後の降温速度は 200℃/s以上とすることが好ましい。より好ましくは 500℃/s以上である。
表1に示す成分組成になる鋼素材を、転炉により溶製し、連続鋳造により鋳片とした。鋳片サイズは300×400mmであった。この鋳片を、ブレークダウン工程を経て150mm角ビレットに圧延したのち、表2に示す条件に従って24〜60mmφの棒鋼に圧延した。
ついで、この棒鋼から、平行部径8mmφの回転曲げ疲労試験片を採取し、この回転曲げ疲労試験片に、周波数:15kHzの高周波焼入れ装置を用いて、表2に示す条件で焼入れを行った後、加熱炉を用いて170℃×30分の条件で焼もどしを行い、その後、回転曲げ疲労試験を行った。
回転曲げ疲労試験は、小野式回転曲げ試験機を用いて3000rpmの回転速度で応力条件を変えて行い、1×10回の寿命となる応力を疲労強度として評価した。
得られた結果を表2に併記する。
また表2中には、高周波焼入れ前の鋼材中の未固溶炭化物(Fe、Mo、Mn)23(C、B)の有無を示す。未固溶炭化物(Fe、Mo、Mn)23(C、B)の存在の確認は、高周波焼入れ前の鋼材中の析出物を抽出残渣法により抽出した後に、X線回折法により同定した。また、高周波焼入れ後のγ粒の混粒状況を示す。平均粒径よりも3倍以上の粒径のγ粒の面積率が30%以上であるものを混粒と定義した。
さらに、同じ条件で作製した回転曲げ疲労試験片について、鋼材の母材組織、焼入れ後の硬化層厚み、硬化層の平均旧オーステナイト粒径を、光学顕微鏡を用いて測定した。表2には、これらの結果も併記する。
ここで、組織のフェライト最大厚みは、光学顕微鏡による像(写真)をトレースし、パーライトを取り囲むフェライト最大径を測定した。
ここで、フェライト最大径は、10mmの視野の観察を行い、その中でのフェライトの最大径を求めることにより行った。
また、硬化層厚みについては、前述したように、鋼材表面からマルテンサイト組織の面積率が98%に減少するまでの深さとした。さらに、硬化層粒径については、表面から硬化層厚の1/5位置、1/2位置および4/5位置それぞれの位置を各5視野ずつ観察し、全視野にわたる平均旧オーステナイト粒径を測定し、それらの最大値を示した。なお、硬化層粒径の測定は、硬化層の厚さ方向に切断した断面について、水:500gに対しピクリン酸:50gを溶解させたピクリン酸水溶液に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:11g、塩化第1鉄:1gおよびシュウ酸:1.5gを添加したものを腐食液として作用させ、旧オーステナイト粒界を現出させて行った。
さらに、前記の棒鋼から、被削性試験片を採取し、被削性試験を行った。被削性試験は、SKH4.4mmφのドリルを用いて、1500rpmの条件で12mm長さの穴あけを行い、切削不能となるまでの総穴あけ長さ(mm)を工具寿命として評価した。
表2には、この結果も併記する。
Figure 2006028598
Figure 2006028598
表2から明らかなように、本発明で規定した成分組成範囲を満足し、かつ、硬化層の平均旧オーステナイト粒径が12μm以下であり、さらに、母材組織が本発明の条件を満足する発明例は、いずれも高い曲げ疲労強度を示し、また、被削性にも優れていることがわかる。
ここで、鋼材No.1とNo.16、鋼材No.5とNo.20、鋼材No.6とNo.21、鋼材No.7とNo.22、鋼材No.9とNo.24、鋼材No.10とNo.25、鋼材No.11とNo.26とをそれぞれ比較すると、Si含有量を高くすると硬化層粒径を小さくでき、曲げ疲労強度を高くでき、一方、Si含有量を高くすることは、総穴あけ深さを低下させることとなることがわかる。
これら発明例に対し、鋼材No.2および鋼材No.17は、高周波焼入れ時の加熱温度が高いため硬化層粒径が粗大となっており、曲げ疲労強度が低い。
また、鋼材No.3および鋼材No.18は、高周波焼入れ時の加熱温度における保持時間が長いため、硬化層粒径が粗大となり曲げ疲労強度が低い。
鋼材No.4および鋼材No.19は、850℃超〜950℃の温度域における総加工率が小さいため、フェライト最大厚みが大きくなっており、被削性に劣っている。
鋼材No.8、No.12、No.27は、Mo含有量が低いか、あるいはMoを含有していないため硬化層粒径が粗大となり、曲げ疲労強度が低い。
鋼材No.13、No.28は、Mo含有量が高すぎるため、いずれも被削性が劣っている。
鋼材No.14、No.29は、C含有量が低いため、曲げ疲労強度が低く、逆に鋼材No.15、No.30は、C含有量が高すぎるため、被削性に劣っている。
鋼材No.36、No.37は、同No.34、No.35に対してボロンを添加していない発明例である。ボロン添加鋼は、ボロン無添加鋼と同等の旧オーステナイト粒径であるにもかかわらず、旧オーステナイト粒が混粒となり、疲労強度が低い。ボロン添加鋼では、高周波焼入の前組織中に(Fe、Mo、Mn)23(C、B)が安定析出する傾向にあるため、高周波加熱時の逆変態現象が不均一に起こり、硬化層のγ粒組織も混粒傾向となり、平均粒径の割には粗大なオーステナイト粒が存在するため疲労強度が低下したものと推測される。
鋼材No.38〜40は、高周波加熱速度の影響を調べた発明例である。加熱速度が本発明の好ましい範囲で疲労強度が高くなることがわかる。
鋼材No.41、42は、高周波焼入時の加熱温度が高い比較例であるが、旧オーステナイト粒径が粗大化して曲げ疲労強度が低いことがわかる。
以上には、丸棒形状の機会部品として自動車ドライブシャフトや等速ジョイントの特性を取り上げたが、被削性および疲労強度を兼備した鋼材の適用範囲は、他種の部品においても有効に利用し得るものであり、自動車ドライブシャフトや等速ジョイントなどに限定されないことは勿論である。
フェライト組織の厚みを説明するための模式図である。 高周波焼入れ時の加熱温度と旧オーステナイト粒径との関係を示すグラフである。

Claims (12)

  1. C:0.3〜0.7mass%、
    Si:1.1mass%以下、
    Mn:0.2〜1.1mass%、
    Mo:0.05〜0.6mass%、
    S:0.06mass%以下、
    P:0.025mass%以下、
    Al:0.25mass%以下および
    Cr:0.3mass%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、母材組織がフェライト組織およびパーライト組織を有し、かつこれらフェライト組織とパーライト組織との合計の組織分率が90vol%以上であり、さらにフェライト組織の最大厚みが30μm以下であることを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材。
  2. 請求項1において、前記鋼材が、さらに、
    Cu:1.0mass%以下、
    Ni:3.5mass%以下、
    Co:1.0mass%以下、
    Nb:0.1mass%以下、
    Ti:0.1mass%以下および
    V:0.5mass%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材。
  3. 請求項1または2において、前記鋼材が、さらに、
    Ca:0.005mass%以下、
    Mg:0.005mass%以下、
    Te:0.005mass%以下、
    Bi:0.5mass%以下、
    Pb:0.5mass%以下および
    Zr:0.01mass%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材。
  4. C:0.3〜0.7mass%、
    Si:1.1mass%以下、
    Mn:0.2〜1.1mass%、
    Mo:0.05〜0.6mass%、
    S:0.06mass%以下、
    P:0.025mass%以下、
    Al:0.25mass%以下および
    Cr:0.3mass%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、母材組織がフェライト組織およびパーライト組織を有し、かつこれらフェライト組織とパーライト組織との合計の組織分率が90vol%以上であり、さらにフェライト組織の最大厚みが30μm以下であり、しかも高周波焼入れ後の硬化層の平均旧オーステナイト粒径が12μm以下であることを特徴とする、被削性および疲労特性に優れた鋼製品。
  5. 請求項4において、さらに、
    Cu:1.0mass%以下、
    Ni:3.5mass%以下、
    Co:1.0mass%以下、
    Nb:0.1mass%以下、
    Ti:0.1mass%以下および
    V:0.5mass%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および疲労特性に優れた鋼製品。
  6. 請求項4または5において、さらに、
    Ca:0.005mass%以下、
    Mg:0.005mass%以下、
    Te:0.005mass%以下、
    Bi:0.5mass%以下、
    Pb:0.5mass%以下および
    Zr:0.01mass%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および疲労特性に優れた鋼製品。
  7. C:0.3〜0.7mass%、
    Si:1.1mass%以下、
    Mn:0.2〜1.1mass%、
    Mo:0.05〜0.6mass%、
    S:0.06mass%以下、
    P:0.025mass%以下、
    Al:0.25mass%以下および
    Cr:0.3mass%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼素材を、850℃超〜950℃の温度域における総加工率が80%以上となる条件下で熱間加工し、その後500℃までを0.6℃/s未満の速度で冷却することを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材の製造方法。
  8. 請求項7において、前記鋼素材が、さらに、
    Cu:1.0mass%以下、
    Ni:3.5mass%以下、
    Co:1.0mass%以下、
    Nb:0.1mass%以下、
    Ti:0.1mass%以下および
    V:0.5mass%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材の製造方法。
  9. 請求項7または8において、前記鋼素材が、さらに、
    Ca:0.005mass%以下、
    Mg:0.005mass%以下、
    Te:0.005mass%以下、
    Bi:0.5mass%以下、
    Pb:0.5mass%以下および
    Zr:0.01mass%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材の製造方法。
  10. C:0.3〜0.7mass%、
    Si:1.1mass%以下、
    Mn:0.2〜1.1mass%、
    Mo:0.05〜0.6mass%、
    S:0.06mass%以下、
    P:0.025mass%以下、
    Al:0.25mass%以下および
    Cr:0.3mass%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼素材を、850℃超〜950℃の温度域における総加工率が80%以上となる条件下で熱間加工し、その後500℃までを0.6℃/s未満の速度で冷却したのち、焼入れ時の加熱温度:800〜1000℃および加熱時間:5秒以下の条件下で高周波焼入れを行うことを特徴とする、被削性および疲労特性に優れた鋼製品の製造方法。
  11. 請求項10において、前記鋼素材が、さらに、
    Cu:1.0mass%以下、
    Ni:3.5mass%以下、
    Co:1.0mass%以下、
    Nb:0.1mass%以下、
    Ti:0.1mass%以下および
    V:0.5mass%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および高周波焼入れ後の疲労特性に優れた鋼製品の製造方法。
  12. 請求項10または11において、前記鋼素材が、さらに、
    Ca:0.005mass%以下、
    Mg:0.005mass%以下、
    Te:0.005mass%以下、
    Bi:0.5mass%以下、
    Pb:0.5mass%以下および
    Zr:0.01mass%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、被削性および疲労特性に優れた鋼製品の製造方法。
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