JP2009197314A - 機械構造用部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】残留オーステナイトによる疲労特性の向上を実現するための方途を具体的に与える。
【解決手段】C:0.3〜0.7mass%、Si:0.80mass%以下、Mn:1.0〜3.0mass%、Al:0.25mass%以下、Ti:0.005〜0.1mass%、Mo:0.05〜0.6mass%、B:0.0003〜0.006mass%、S:0.06mass%以下、P:0.020mass%以下、Cu:1.0mass%以下およびNi:3.5mass%以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の成分組成とし、焼入れを施した硬化層における旧オーステナイト粒の平均径を10μm以下、かつ該硬化層における残留オーステナイト量を7〜22%とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも部分的に高周波焼入れによる硬化層をそなえる、機械構造用部品に関するものである。ここで、機械構造用部品としては、自動車用のドライブシャフト、インプットシャフト、アウトプットシャフト、クランクシャフト、等速ジョイントの内輪および外輪、ハブ、そしてギア等を挙げることができる。
従来、例えば自動車用ドライブシャフトや等速ジョイントなどの機械構造用部品は、熱間圧延棒鋼に、熱間鍛造、さらには切削、冷間鍛造などを施して所定の形状に加工したのち、高周波焼入れ−焼戻しを行うことにより、機械構造用部品としての重要な特性である、ねじり疲労強度、曲げ疲労強度、転動疲労強度およびすべり転動疲労強度等の疲労強度を確保しているのが一般的である。他方、近年、環境問題から自動車用部品に対する軽量化への要求が強く、この観点から自動車用部品における疲労強度の一層の向上が要求されている。
ここで、疲労強度に関して、非特許文献1には、残留オーステナイトが疲労強度に良い影響を与えることが記載されている。すなわち、オーステンパー処理により0.2mass%Cまたは0.4mass%C鋼において、残留オーステナイト量が0.3%から14.9%の鋼を製造し、その疲労特性を調査した結果が記載されている。その結果、残留オーステナイトが局所的に応力集中を緩和し、亀裂の発生を抑制するとともに、亀裂発生後もその進展を抑制するために、高い疲労限が得られた可能性のあることが示唆されている。
しかしながら、残留オーステナイト量と疲労強度との関係が必ずしも明確ではなく、疲労強度が一層向上した機械構造用部品を得るには更なる検討が必要である。また、具体的にはオーステンパー処理が必須であることから、コストの増大を招くことが考えられ、工業的規模の製品化に適用するのは難しい。
鶴田ら:日本材料学会学術講演会論文集、54(2005).第233頁
本発明は、上記の事情に鑑み開発されたものであり、残留オーステナイトによる疲労特性の向上を実現するための方途を具体的に与えることによって、従来に比し曲げ疲労強度および転動疲労強度の高い機械構造用部品について提供することを目的とする。
さて、発明者らは、前記したような疲労強度を向上させるべく、特に残留オーステナイト量と疲労および成分の関係について鋭意検討を行った。その結果、焼入れ部の(焼戻しをする場合は焼戻し後の)残留オーステナイト量が7%から22%の範囲になる場合に、前記した疲労強度が特に向上することを見出した。
すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)C:0.3〜0.7mass%、Si:0.80mass%以下、Mn:1.0〜3.0mass%、Al:0.25mass%以下、Ti:0.005〜0.1mass%、Mo:0.05〜0.6mass%、B:0.0003〜0.006mass%、S:0.06mass%以下、P:0.020mass%以下、Cu:1.0mass%以下およびNi:3.5mass%以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の成分組成になり、焼入れを施した硬化層をそなえ、該硬化層における旧オーステナイト粒の平均径が10μm以下であり、かつ該硬化層における残留オーステナイト量が7〜22%であることを特徴とする機械構造用部品。
(2)前記(1)において、前記成分組成として、さらにCr:2.5mass%以下、Co:1.0mass%以下、Nb:0.1mass%以下、V:0.5mass%以下およびW:1.0mass%以下1種または2種以上を含有する機械構造用部品。
(3)前記(1)または(2)において、前記成分組成として、さらにZr:0.1mass%以下、Ta:0.5mass%以下、Hf:0.5mass%以下およびSb:0.1mass%以下の1種または2種以上を含有する機械構造用部品。
(4)前記(1)、(2)または(3)において、前記鋼材が、さらにPb:0.1mass%以下、Bi:0.1mass%以下、Se:0.1mass%以下、Te:0.1mass%以下、Ca:0.01mass%以下、Mg:0.01mass%以下およびREM:0.1mass%以下の1種または2種以上を含有する機械構造用部品。
(5)前記(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記鋼材のミクロ組織中に残留オーステナイトが均一に分散し、かつ該残留オーステナイトが存在しない領域の面積率が全体の40%以下である機械構造用部品。
本発明によれば、ねじり疲労特性をはじめとして、曲げ疲労特性、転動疲労特性およびすべり転動疲労特性等の全ての疲労特性に優れた機械構造用部品を安定して得ることができ、その結果、自動車用部品の軽量化等の要求に対し偉功を奏する。
以下、本発明を具体的に説明する。本発明の機械構造用部品は、自動車用のドライブシャフト、インプットシャフト、アウトプットシャフト、クランクシャフト、等速ジョイントの内輪および外輪、ハブ、そしてギア等、部品毎に様々な形状並びに構造に成るが、いずれにおいても、残留オーステナイト量が7〜22%である組織を有することが肝要である。
図1に、鋼材における残留オーステナイト量と疲労限との関係を示すように、残留オーステナイト量が7〜22%の範囲にあれば、残留オーステナイトを効果的に利用できる目安である、760MPa以上の疲労限が確保できることがわかる。
すなわち、残留オーステナイト量が7%より少ないと、残留オーステナイトによる特異な疲労強度向上作用が十分に発揮できない。ここに、残留オーステナイトによる特異な疲労強度向上作用とは、外的応力により残留オーステナイトがマルテンサイトに変態して硬化することおよびマルテンサイト変態にともなう膨張で残留圧縮応力が発生することにより疲労強度が飛躍的に向上すること、を言う。一方、残留オーステナイト量が22%を超えると、焼入れ部の硬さが低下することおよび、残留オーステナイトが安定化し、マルテンサイト変態しにくくなることから、疲労強度は低下する。より好ましい残留オーステナイト量は、7%以上17%以下である。
なお、図1に結果を示した実験は、焼入れ後の組織について、残留オーステナイト量を種々変化させた材料より回転曲げ疲労試験片を、各7本づつ採取し、S−N曲線を作成し、疲労限を求めたものである。
さらに、本発明の機械構造用部品では、特に疲労強度が要求される部分または全部に焼入れを施して硬化層を形成する。そして、この硬化層において旧オーステナイト粒の平均径が10μm以下であることも、疲労強度を向上する上で重要である。なぜなら、焼入れ硬化層の旧オーステナイト粒の平均径が10μmを超えると、十分な粒界強度が得られず、疲労特性の向上が難しいからである。
ここで、高周波焼入れ前組織に関しては、ベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織が存在するとよい。焼入れ前組織にベイナイト組織あるいはマルテンサイト組織が多いと、ベイナイト組織あるいはマルテンサイト組織は炭化物が微細に分散した組織であるため、焼入れ加熱時にオーステナイトの核生成サイトであるフェライト/炭化物界面の面積が増加し、生成したオーステナイトは微細化するため、焼入れ硬化層の旧オーステナイト粒径を微細化するのに有効に寄与する。
次に、本発明の機械構造用部品が有する成分組成について、成分毎に限定理由を説明する。
C:0.30〜0.7mass%
Cは、焼入れ性への影響が最も大きい元素であり、焼入れ硬化層の硬さおよび深さを高め、かつ残留オーステナイトを生成しやすくすることにより疲労強度の向上に有効に寄与する。しかしながら、含有量が0.30mass%に満たないと、必要とされる疲労強度を確保するために焼入れ硬化層深さを飛躍的に高めねばならず、その際焼割れの発生が顕著となり、またベイナイト組織も生成し難くなるため、0.3mass%以上を添加する。一方、0.7mass%を超えて含有させると、粒界強度が低下し、それに伴い疲労強度も低下し、また切削性、冷間鍛造性および耐焼割れ性も低下する。このため、Cは0.3〜0.7mass%の範囲に限定した。好ましくは、0.45〜0.6mass%の範囲である。
Si:0.80mass%以下
Siは、脱酸剤として作用するだけでなく、強度の向上にも有効に寄与するが、含有量が0.8mass%を超えると、被削性および鍛造性の低下を招くため、Si量は0.8mass%以下にすることが必要である。なお、強度向上のためには0.05mass%以上とすることが好ましい。
Mn:1.0〜3.0mass%
Mnは、焼入れ性を向上させ、焼入れ時の硬化層深さを確保して疲労強度を向上させるために非常に重要な成分であり、さらに残留オーステナイトを増加させるためにも必要である。含有量が1.0mass%未満では、添加効果に乏しいため、1.0mass%以上必要である。一方、Mn量が3.0mass%を超えると、焼入れ後の残留オーステナイトが増加し過ぎ、かえって表面硬度が低下し、ひいては疲労強度の低下を招くため、Mnは3.0mass%以下にすることが必要である。Mnのさらなる好適範囲は、1.0〜2.0mass%である。
Al:0.25mass%以下
Alは、脱酸に有効な元素である。また、焼入れ加熱時におけるオーステナイト粒成長を抑制することによって焼入れ硬化層の粒径を微細化する上でも有用な元素である。しかしながら、0.25mass%を超えて含有させてもその効果は飽和し、むしろ成分コストの上昇を招く不利が生じるため、Alは0.25mass%以下の範囲で含有させる必要がある。好ましくは、0.01〜0.10mass%の範囲である。なお、MnSの形態制御には、0.005mass%未満とするのが有効となる場合がある。
Ti:0.005〜0.1mass%
Tiは、不可避不純物として混入するNと結合することによって、BがBNとなってBの焼入れ性向上効果が焼失するのを防止し、Bの焼入れ性向上効果を十分に発揮させる作用を有する。この効果を得るためには、0.005mass%以上で添加する必要がある。一方、0.1mass%を超えて含有されると、TiNが多量に形成される結果、これが疲労破壊の起点となって疲労強度の著しい低下を招くため、Tiは0.1mass%以下とする。好ましくは、0.01〜0.07mass%の範囲である。
Mo:0.05〜0.6mass%
Moは、オーステナイト粒の成長を抑制し、旧オーステナイト粒を微細化する上で有用な元素であり、そのためには0.05mass%以上で添加する必要がある。一方、0.6mass%を超えて添加すると、被削性の劣化を招くため、Moは0.6mass%以下とすることが好ましい。
B:0.0003〜0.006mass%
Bは、粒界強化により疲労特性を改善するだけでなく、強度を向上させる有用な元素であり、0.0003mass%以上添加するが、0.006mass%を超えて添加しても、その効果は飽和するため、0.006mass%以下に限定した。
S:0.06mass%以下
Sは、鋼中でMnSを形成し、切削性を向上させる有用な元素であるが、0.06mass%を超えて含有させると粒界に偏析して粒界強度を低下させるため、Sは0.06mass%以下に制限した。好ましくは、0.04mass%以下である。
P:0.020mass%以下
Pは、不純物元素として粒界に偏析し、粒界強度を低下させるために0.020mass%以下にする必要がある。
以上の成分組成において、上記したように硬化層の残留オーステナイト量を7〜22%の範囲にするためには、C、Mn、CuおよびNi量は、次式(A)を満足することが好ましい。
7≦1831C−1887C+5.804Mn+2577Cu+1331Ni+482≦22・・・(A)
上式(A)は、残留オーステナイト量とC、Mn、CuおよびNiの4成分との関係を実験的に求めた式であり、当該式が上記した残留オーステナイト量の範囲を満足するように、Mn、CuおよびNi量を調整することが好ましい。
なお、CuおよびNiは、その含有量がそれぞれ1.0mass%および3.5mass%を超えると、コストの上昇につながるため、それぞれ1.0mass%以下および3.5mass%以下に制限する。
以上、基本成分について説明したが、本発明ではその他にも、以下に述べる9成分のうちの1種または2種以上を適宜含有させることができる。
Cr:2.5mass%以下
Crは、焼入れ性の向上に有効であり、硬化深さを碓保する上で有用な元素である。しかし、過度に含有されると、炭化物を安定化させて残留炭化物の生成を助長し、粒界強度を低下させて疲労強度を劣化させる。従って、Crの含有は極力低減することが望ましいが、2.5mass%までは許容できる。好ましくは、1.5mass%以下である。
Co:1.0mass%以下
Coは、炭化物の生成を抑制して、炭化物による粒界強度の低下を抑制し、疲労強度を向上させる元素である。しかしながら、Coは極めて高価な元素であり、1.0mass%を超えて添加すると鋼材のコストが上昇するため、1.0mass%以下の添加とする。なお、0.01mass%未満の添加では、粒界強度の低下抑制効果が小さいため、0.01mass%以上で添加することが望ましい。好ましくは、0.02〜0.5mass%である。
Nb:0.1mass%以下
Nbは、焼入れ性の向上効果があるだけでなく、鋼中でC,Nと結合し析出強化元素として作用する。また、焼もどし軟化抵抗性を向上させる元素でもあり、これらの効果によって疲労強度を向上させる。しかしながら、0.1mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するため、0.1mass%以下とすることが好ましい。なお、0.005mass%未満の添加では、析出強化作用および焼もどし軟化抵抗性の向上効果が小さいため、0.005mass%以上で添加することが望ましい。さらに好ましくは、0.01〜0.05mass%である。
V:0.5mass%以下
Vは、鋼中でC,Nと結合し析出強化元素として作用する。また、焼もどし軟化抵抗性を向上させる元素であり、これらの効果により疲労強度を向上させる。しかしながら、0.5mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するため、0.5mass%以下とすることが好ましい。なお、0.01mass%未満の添加では、疲労強度の向上効果が小さいため、0.01mass%以上で添加することが望ましい。さらに好ましくは、0.03〜0.3mass%である。
W:1.0mass%以下
Wは、オーステナイト粒の成長を抑制する上で有用な元素であり、そのためには0.005mass%以上で含有することが好ましいが、1.0mass%を超えて添加すると、被削性の劣化を招くため、Wは1.0mass%以下とすることが好ましい。
Zr:0.1mass%以下
Zrは、焼入れ性の向上効果があるだけでなく、鋼中でC,Nと結合し析出強化元素として作用する。また、焼もどし軟化抵抗性を向上させる元素であり、これらの効果によって疲労強度を向上させる。しかしながら、0.1mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するため、0.1mass%以下とすることが好ましい。なお、0.005mass%未満の添加では、析出強化作用および焼もどし軟化抵抗性の向上効果が小さいため、0.005mass%以上添加することが望ましい。さらに好ましくは、0.01〜0.05mass%である。
Ta:0.5mass%以下
Taは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労の劣化を防止する効果があるので、添加してもよい。しかし、その含有量が0.5mass%を超えても、それ以上の強度向上に寄与しないため、0.5mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.02mass%以上とすることが好ましい。
Hf:0.5mass%以下
Hfは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労の劣化を防止する効果があるため、添加してもよい。しかし、その含有量が0.5mass%を超えても、それ以上の強度向上に寄与しないため、0.5mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.02mass%以上とすることが好ましい。
Sb:0.01mass%以下Sbは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労の劣化を防止する効果があるため、添加してもよい。しかし、その含有量が0.01mass%を超えると靭性が劣化するので、0.01mass%以下とする。疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.005mass%以上とすることが好ましい。
さらにまた、本発明では、Pb:0.1mass%以下、Bi:0.1mass%以下、Se:0.1mass%以下、Te:0.1mass%以下、Ca:0.01mass%以下、Mg:0.01mass%以下およびREM:0.1mass%以下の1種または2種以上を含有させることができる。
Pb:0.1mass%以下
Bi:0.1mass%以下
PbおよびBiはいずれも、切削時の溶融、潤滑および脆化作用により、被削性を向上させるので、この目的で添加することができる。しかしながら、Pb:0.1mass%、Bi:0.1mass%を超えて添加しても効果が飽和するばかりか、成分コストが上昇するため、それぞれ上記の範囲で含有させるものとした。なお、被削性の改善のためには、Pbは0.01mass%以上、Biは0.01mass%以上含有させることが好ましい。
Se:0.1mass%以下
Te:0.1mass%以下
SeおよびTeはそれぞれ、Mnと結合してMnSeおよびNnTeを形成し、これがチップブレーカーとして作用することにより被削性を改善する。しかしながら、含有量が0.1mass%を超えると、効果が飽和する上、成分コストの上昇を招くので、いずれも0.1mass%以下で含有させるものとした。また、披削性の改善のためには、Seの場合は0.003mass%以上およびTeの場合は0.003mass%以上で含有させることが好ましい。
Ca:0.01mass%以下
REM:0.1mass%以下
CaおよびREMはそれぞれ、MnSと共に硫化物を形成し、これがチップブレーカーとして作用することにより被削性を改善する。しかしながら、CaおよびREMをそれぞれ、0.01mass%および0.1mass%を超えて含有させても、効果が飽和する上、成分コストの上昇を招くので、それぞれ上記の範囲で含有させるものとした。なお、被削性の改善のためには、Caは0.0001mass%以上およびREMは0.0001mass%以上で含有させることが好ましい。
Mg:0.01mass%以下
Mgは、脱酸元素であるだけでなく、応力集中源となって披削性を改善する効果があるので、必要に応じて添加することができる。しかしながら、過剰に添加すると効果が飽和する上、成分コストが上昇するため、0.01mass%以下で含有させるものとした。なお、被削性の改善のためには、Mgは0.0001mass%以上で含有させることが好ましい。
以上説明した元素以外の残部はFeおよび不可避不純物であり、不可避不純物としてはOおよびNが挙げられ、それぞれ、N:0.015mass%、O:0.008mass%までをそれぞれ許容できる。
次に、本発明の製造方法について説明する。上記した所定の成分組成に調整した鋼材を、棒鋼圧延後に部品形状に切削または鍛造する。このようにして得られた部品素材の一部または全部に高周波焼入れを行い、必要に応じて焼戻し処理を行う。最終的に必要に応じて切削や研磨等の処理を行い、機械構造用部品を製造する。
特に、上記工程中の高周波焼入れは1000℃以下で行うことが、短時間側の疲労強度を上昇させることができるために有効となる。すなわち、1000℃以下の焼入れおよびMo添加の成分設計により旧オーステナイト粒径が微細化し、短時間側の疲労強度が上昇するのである。ただし、焼入れが不十分な温度まで焼入温度を低下させると、疲労強度は極端に低下するため焼入れはAc点以上である必要がある。
旧オーステナイト粒の微細化と残留オーステナイト量の最適化により相乗効果による疲労強度の向上が見られる。すなわち、組織の微細化により短時間側の疲労寿命を延ばすことが可能であり、これに残留オーステナイト量を最適化することで疲労限も向上させることができる。
上記の旧オーステナイト粒の微細化は、残留オーステナイト量の均一分布にも役立つ。ここで、本発明方法に従って製造した機械構造部品における残留オーステナイトの分布状態について、反射電子菊地線回折(EBSP法)にて分析した結果を、図2に示す。同図に示すように、残留オーステナイトが組織中に均一に分布していることがわかる。しかし、一部で残留オーステナイトが全く存在しない領域も存在する。図2に示した材料例では、0.5μm四方以上の領域にわたって残留オーステナイトが全く存在しない領域の面積率は30%であった。
図中には、別途、直径3.5μmの円を示している。この円は、850MPaの曲げ疲労応力が負荷されている状態で20μmの長さの疲労亀裂が発生したことを想定した場合、亀裂先端の残留オーステナイトがどれほどの範囲にわたってマルテンサイトに変態するかを算出した結果を示している。ここで、0.5μm四方以上の残留オーステナイトが全く存在しない領域は、この円の面積の2.5%以上に相当し、組織的に不均一であると認識される範囲である。
残留オーステナイトがマルテンサイトに変態可能な、円内に十分な残留オーステナイトが存在しない場合には、残留オーステナイトのマルテンサイト化が起こらず亀裂は伸展して、低寿命の破壊につながる。一方、図2に示すように、どこをとっても均一にマルテンサイトが分布している場合には、亀裂先端の残留オーステナイトがマルテンサイトに変態するために亀裂の伸展が抑制され、寿命が長くなって疲労限が高くなる。
以上の知見から、0.5μm四方以上の残留オーステナイトが全く存在しない領域の面積率を40%以下にすることが好ましい。より好ましくは、20%以下である。なぜなら、前記面積率を40%以下にまで低減することによって、亀裂先端の高応力領域が残留オーステナイト存在領域と重なる確率が上昇し、残留オーステナイトをマルテンサイトに変態し易くするためである。
なお、0.5μm四方以上の残留オーステナイトが全く存在しない領域の面積率を40%以下にするには、例えば高周波焼入れの最高加熱温度を950℃から850℃に設定するなどの方法が考えられる。
表1に示す成分の鋼を100kg溶製し、60mmφの棒に1000℃で鍛造したのち空冷した。その棒材から回転曲げ疲労試験片およびスラスト試験片を採取した。回転曲げ疲労試験片は平行部全体が焼入れられるように、スラスト試験片はボールの転送面が焼入れられるように、表2に示すように高周波焼入れ条件を変化させて、150℃で30分間の焼戻しを行った。
ここで、焼戻し後の鋼組織は、旧オーステナイト粒が現出するようにエッチングした後、光学顕微鏡により観察し、旧オーステナイト粒の平均径を求めた。また、残留オーステナイト量は、X線回折により体心立方格子(BCC)および面心立方格子(FCC)のそれぞれのピーク積分強度を調査して算出した。さらに、回転曲げ疲労試験片における残留オーステナイトの分布状態について、EBSP法にて分析した。すなわち、回転曲げ疲労試験片について、回転曲げ疲労試験を行うことなく、試験片の平行部中央を軸と直交する面で切断し、この切断面を埋め込み研磨したものを、EBSP法にて観察した。
上記の各試験片を、最終加工(研磨)し、それぞれの試験に供した。表2には、焼入れ条件と回転曲げ疲労特性およびスラスト試験により得られたLl0寿命を示す。なお、スラスト試験の条件は、周波数1800CPN、Hertz最大応力570kgf/mmである。
表2に示すように、本発明例では回転曲げ疲労限も転動疲労寿命も、残留オーステナイト量が発明範囲から外れている比較例よりも高い。また、Mo,Ti,Bがそれぞれ添加されていない場合はやはり、回転曲げ疲労隈も転動疲労寿命も低い。また、高周波焼入れ温度が高い場合には、短時間側の疲労寿命が低下している。さらに、No.9〜11の試験片の結果を比較するとわかるように、残留オーステナイトが全く存在しない領域の割合が小さいと、発明例の中でもさらに疲労強度が向上することがわかる。
残留オーステナイト量と疲労特性との関係を示す図である。 機械構造部品における残留オーステナイトの分布状態について、EBSP法にて分析した結果を示す図である。

Claims (5)

  1. C:0.3〜0.7mass%、
    Si:0.80mass%以下、
    Mn:1.0〜3.0mass%、
    Al:0.25mass%以下、
    Ti:0.005〜0.1mass%、
    Mo:0.05〜0.6mass%、
    B:0.0003〜0.006mass%、
    S:0.06mass%以下、
    P:0.020mass%以下、
    Cu:1.0mass%以下および
    Ni:3.5mass%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の成分組成になり、焼入れを施した硬化層をそなえ、該硬化層における旧オーステナイト粒の平均径が10μm以下であり、かつ該硬化層における残留オーステナイト量が7〜22%であることを特徴とする機械構造用部品。
  2. 請求項1において、前記成分組成として、さらに
    Cr:2.5mass%以下、
    Co:1.0mass%以下、
    Nb:0.1mass%以下、
    V:0.5mass%以下および
    W:1.0mass%以下
    の1種または2種以上を含有する機械構造用部品。
  3. 請求項1または2において、前記成分組成として、さらに
    Zr:0.1mass%以下、
    Ta:0.5mass%以下、
    Hf:0.5mass%以下および
    Sb:0.1mass%以下
    の1種または2種以上を含有する機械構造用部品。
  4. 請求項1、2または3において、前記鋼材が、さらに
    Pb:0.1mass%以下、
    Bi:0.1mass%以下、
    Se:0.1mass%以下、
    Te:0.1mass%以下、
    Ca:0.01mass%以下、
    Mg:0.01mass%以下および
    REM:0.1mass%以下
    の1種または2種以上を含有する機械構造用部品。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記鋼材のミクロ組織中に残留オーステナイトが均一に分散し、かつ該残留オーステナイトが存在しない領域の面積率が全体の40%以下である機械構造用部品。
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