JP2006026989A - 真空積層装置及び積層方法 - Google Patents

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【課題】 基材に対するフィルム状樹脂層の追従密着性、積層体の表面平滑性が優れ、1万回以上の繰り返し使用でもフィルム状樹脂層の追従性、密着性に優れた積層装置及び方法を提供する。
【解決手段】 凹凸を有する基材1にフィルム状樹脂層2から積層体[A]を形成するため、可撓性シート3を付設した下部プレート5及び上部プレート6を設置、下部プレート5の可撓性シート3と上部プレート6の可撓性シート4の間に狭持される、凹凸を有する基材1とフィルム状樹脂層2からなる仮積層体を載置、下部プレート5を持ち上げて上部プレート6と密封係合状態にし、上部プレート6と可撓性シート3の間の空間部を真空状態にした後、空隙部に大気又は圧縮空気を入れて可撓性シート3を膨張させ、仮積層体を可撓性シート3と可撓性シート4の間で圧締めする真空積層装置であって、可撓性シート3が繊維層を有する真空積層装置及びそれを用いた積層方法。
【選択図】 図7

Description

本発明は、プリント回路基板の製造において、凹凸を有する基板にフィルム状樹脂層を積層する真空積層装置及びそれを用いた積層方法に関するものであり、更に詳しくは、1万回以上もの繰り返しの使用においてもフィルム状樹脂層の追従性がよく、積層後の樹脂の密着性にも優れ、ビルドアップ工法に有用な真空積層装置及び積層方法に関するものである。
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴いプリント回路基板の高密度化、多層化が進行している。かかるプリント回路基板の多層化においては、熱硬化型樹脂組成物又は感光性樹脂組成物を絶縁層として使用し、予め形成した内層回路の上に該熱硬化型樹脂組成物又は感光性樹脂組成物からなるフィルム状樹脂を積層する。かかるフィルム状樹脂の片面には、通常銅箔や支持体フィルム(セパレーターフィルム)が積層されており、銅箔の場合はそれをハーフエッチング又は全面エッチングし、支持体フィルムの場合はそれを剥離して、ついで、レーザー又は紫外線により穴あけ後に、銅メッキを施した後、再度フォトレジストフィルムを用いて光によるパターニングを行い、回路を形成する方法、いわゆるビルドアップ工法が用いられている。
一方、真空状態で基板にフィルムを貼る従来の方法として、コンベア式真空アプリケータを用いる方法があり、かかる方法に用いる装置は、平箱状の真空チャンバーを2分割にした構造の真空装置になっており、その平箱状の真空チャンバー内に付設した可撓性シートで、真空チャンバー内を二つの部屋に分け、両方の部屋を真空にした後、一方の部屋に大気を入れて予め真空チャンバー内に内蔵した平面ヒーターで加熱された可撓性シートを膨張させて基板とフィルムを挟持して加熱・加圧して積層するといった方法である(例えば、特許文献1参照。)。
このような構造の装置の場合、大気圧で可撓性シートを膨張させるだけではファインパターンの基板に対して加圧力が不足して基板とフィルムの間にマイクロボイドを生じないように密着することが困難であった。
そこで、本出願人は、可撓性シートを膨張させる際に圧搾空気を使用することにより大気圧で膨張させるよりも基板とフィルムを更に強く加圧する(以下、単に加圧ラミネーションと称することがある)ことでファインパターンの基板にマイクロボイドを発生させることなくフィルムを密着できることを提案した(例えば、特許文献2参照。)。
特開平5−200880号公報 特開2001−252936号公報
しかしながら、上記特許文献2に開示の技術では、圧搾空気で可撓性シートを膨張させると大気圧で可撓性シートを膨張させる場合に比べて、可撓性シートの耐久性が問題となり、可撓性シートの繰り返しの使用においては、頻繁に可撓性シートの交換作業が必要となり、生産性の低下及び消耗品コストの増大を招く恐れがあった。又、可撓性シートの繰り返しの使用において、フィルム状樹脂層の追従性が低下したり、積層後の樹脂の密着性が低下するなどの問題が生じる恐れもあった。
近年、パターンのファイン化が進んで可撓性シートに対する加圧力を増大させることが要求され、可撓性シートを更に高い圧力で膨張させることが望まれている現状においては、より強い加圧力に耐えうる可撓性シートが求められており、高圧力での1万回以上もの繰り返しの使用においてもフィルム状樹脂層の追従性がよく、積層後の樹脂の密着性に優れた積層装置及び積層方法が求められている。
即ち、従来用いられていた積層装置では、可撓性シートが、図6に示すように、押さえ金具9でパッキン層18を介して下部プレート5に取り付けられた構造になっているもので、耐久性には問題が残るものであった。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、凹凸を有する基材1にフィルム状樹脂層2を積層して積層体[A]を形成するに当たり、可撓性シート3を付設した下部プレート5及び可撓性シート4を付設した上部プレート6が設置され、下部プレート5の可撓性シート3と上部プレート6の可撓性シート4の間に狭持されるように、凹凸を有する基材1とフィルム状樹脂層2からなる仮積層体を載置し、下部プレート5を持ち上げて上部プレート6と密封係合状態にして、上部プレート6と可撓性シート3の間に形成される空間部7を真空状態にした後、下部プレート5と可撓性シート3の間に形成される空隙部8に大気もしくは圧縮空気を入れて可撓性シート3を膨張させ、基材1とフィルム状樹脂層2からなる仮積層体を可撓性シート3と可撓性シート4の間で圧締めする真空積層装置であって、可撓性シート3が繊維層17を有する真空積層装置、及びそれを用いた積層方法が上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
本発明の真空積層装置は、基材に対するフィルム状樹脂層のファインパターンへの追従密着性がよく、積層体の表面平滑性にも優れ、更に、1万回以上もの繰り返しの使用においても基材に対するフィルム状樹脂層の追従性、密着性に優れた効果を有するものであり、多層回路基板を製造するためのビルドアップ工法に非常に有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の真空積層装置の構成は、図1に示すように、可撓性シート3を付設した下部プレート5及び可撓性シート4を付設した上部プレート6が配置され、下側可撓性シート3は、その四辺が押さえ金具9によりネジ止めされている。下部プレート5と上部プレート6の間の空間は、下側可撓性シート3によって2つの空間に仕切られ、下部プレート5と下側可撓性シート3の間に形成される空隙部8(以下単に空隙部8と称することがある)と上部プレート6と下側可撓性シート3の間に形成される空間部7(以下単に空間部7と称することがある)が形成される。又、下部プレート5には、下部プレート5内を通過する開口部12(以下単に開口部12と称することがある)が配置され、かかる開口部12により、空隙部8の圧力が調整される。開口部12から大気や圧縮空気を空隙部8に導入すると、下側可撓性シート3が風船のように膨らみ、仮積層体が下側可撓性シート3と上側可撓性シート4の間で圧締される構造となっている。上部プレート6には、可撓性シート4が付設され、下部プレート5と上部プレート6を密封契合して真空チャンバーを形成した時に、開口部13より、下側可撓性シート3、上側可撓性シート4の間に形成される空間部7の空気を減圧し真空状態にすることが出来るようになっており、その際に空間部7の気密性を高めるためにシール14が上部プレート6の下面に配置される構造になっている。シール14の配置場所は、上記以外に押さえ金具9の上面に配置しても同様に空間部7の気密性を高める事が出来る。
次に真空積層工程を各工程順に説明する。
まず、真空引き工程を実施する。図1において、凹凸を有する基材1にフィルム状樹脂層2をオートシートカットラミネータ等により仮付けした仮積層体を可撓性シート3の上に載置する。
仮積層体を可撓性シート3の上に載置する装置の例として図7と図8の装置を示す。図7の装置は、オートシートカットラミネータ等により仮付けした仮積層体を投入コンベア21で受け取り搬送フィルム20によって可撓性シート3の上に載置する装置である。図8の装置は、下部プレート5がステッピングモータ及びタイミングベルト等の手段により水平に移動可能でありオートシートカットラミネータ等により仮付けした仮積層体を作業員やロボット、基板受け取り投入装置等が受け取り図8の1.に示す様に可撓性シート3の上に載置する装置である。
次に、下部プレート5を油圧もしくはエアシリンダー15を作動し下部プレート5を上昇させ、押さえ金具9をシール14に密着させて真空チャンバーを形成する。
真空引き工程は、開口部12,13より真空ポンプで減圧する。真空チャンバー内の空間部7、8の圧力は、20秒以内に200Pa以下の真空状態にすることが好ましく、特には2〜8秒間で、100Pa以下の真空状態にすることが好ましい。真空引き開始時より20秒以内に空間部7の圧力が、200Pa以下にできない時は、凹凸を有する基材1とフィルム状樹脂層2の間にマイクロボイドが残存して、積層後のフィルム状樹脂層2が基材1に密着追従出来なくなり好ましくない。なお、予め空間部8を先に200Pa以下の真空状態に減圧しておいて仮積層体を可撓性シート3の上に載置してから空間部8を200Pa以下の真空状態に減圧しても良い。
かかる真空状態を実現させるための方法としては、排気量の大きい真空ポンプを複数台並べて運転する方法、あらかじめ、高真空にしてある容積の大きいタンクを利用して、一気に、真空度を上げる方法、真空チャンバー内の空間をできるだけ少なくしておく方法、予めエジェクター等を用いて真空ポンプの排気側の圧力を下げておく方法あるいはこれらを組み合わせて行う方法などが挙げられる。なお、空間部7を真空引きする時に空隙部8も同時に真空引きを行う。
真空引きする際には、下側可撓性シート3、上側可撓性シート4の温度を40℃〜185℃にすることが好ましく、より好ましくは70〜135℃である。かかる温度が40℃未満では凹凸を有する基材1にフィルム状樹脂層2を充填することが出来ずに追従性が悪くマイクロボイドが残存することとなり、185℃を越えるとフィルム状樹脂層2が熱分解硬化を起し分解ガスによる追従性が低下してマイクロボイドが発生することとなり好ましくない。かかる温度のコントロール方法としては特に限定されないが、下部プレート5と上部プレート6に内蔵される面ヒーターやカートリッジヒーター、蒸気パイプ等で調整される。
次に、空間部7と空隙部8の圧力差により、下側可撓性シート3を上方向に膨らませて凹凸を有する基材1とフィルム状樹脂層2からなる仮積層体を貼り合わせるラミネートスラップダウン工程を行う。
かかる圧力差の調整は、具体的には、空間部7を減圧したまま空隙部8の圧力を常圧に戻せばよく、かかる圧力差により下側可撓性シート3が空間部7の方向へ膨らみ、凹凸を有する基材1とフィルム状樹脂層2からなる仮積層体を押さえつけて、基材1とフィルム状樹脂層2を圧締するのである。
引続いて、空隙部8の圧力を高めるラミネート増圧工程を行う。
この工程では、空隙部8に圧縮空気を導入して圧力を高めて、下側可撓性シート3を更に強く膨らませ、基材1とフィルム状樹脂層2を強く圧締するのである。
上記のラミネートスラップダウン工程にて、凹凸を有する基材1とフィルム樹脂層2との間が密着し、ラミネート増圧工程によりフィルム樹脂層2の密着性がより確実になる。
ラミネート増圧工程が終了した後に、開口部12、13を使用して、空間部7の真空状態と空隙部8の加圧状態を解放して常圧に戻し、下部プレート5を下方に移動させ、基材1とフィルム状樹脂層2の積層が完了するのである。
上記の積層工程において、用いられる可撓性シート3及び可撓性シート4としては、その材質が、耐熱性のバイトンゴムや、シリコンゴムであるものが工業的に使用されるが、本発明においては、かかる可撓性シート3の構造に特徴を有するものである。
本発明においては、可撓性シート3は繊維層17を有するもので、かかる繊維層17を有することにより可撓性シート3の耐久性を向上させることができ、高温下において加圧ラミネーションを繰り返し行っても可撓性シート3の伸張変形を抑制することができ、基板1に対するフィルム状樹脂層2の追従性や密着性に優れた効果を発揮する。繊維層17を有しない従来の可撓性シートでは高温下で加圧ラミネーションを繰り返すと容易に可撓性シートが伸張変形して弛みを生じ、弛みが生じた箇所はシワとなりその箇所にある仮積層体は充分に押圧されずフィルム状樹脂層2が密着せず不良となる。
可撓性シート3に付加される繊維層17としては、特に限定されないが、化学繊維やガラス繊維を布状に織ったものを、可撓性シート3の表面或いは内面に設けて一体化させたもの、或いは可撓性シート3の表面に積層したもの等が好ましい。かかる繊維の素材としてはガラス繊維や、ポリエステルやその他の極性硬質素材、ポリエチレン等の非極性硬質素材、或いは、ポリエステル系及びナイロン系等の極性軟質素材とオレフィン系等の無極性軟質素材等がラバーゴムとの接着が容易である点から好ましく、特にはポリエステルやナイロンの布が強度及び耐熱性に優れている点から好ましい。
尚、本発明で用いられる繊維層17を有する可撓性シート3の一例を図3〜5に示す。
本発明では更に、凹凸を有する基材1とフィルム状樹脂層2からなる仮積層体に接する下側可撓性シート3、及び上側可撓性シート4の表面がそれぞれ粗面化されていることが好ましい(図2参照。図2は押さえ金具9、可撓性シート3及びパッキン層18の例である。)。かかる粗面化に当たっては、フィルム状樹脂層2との接触面積が少なくなるように加工され、特に粗度(Rz)が20μm以上であることが好ましい。粗度(Rz)が20μm未満では、可撓性シートのフィルム状樹脂層2からの剥離性が低下し好ましくない。粗面化はエンボス加工や梨地加工等で行われ、具体的には可撓性シートの成型を布の上で行い成形後に布を剥離して可撓性シート表面へ布の凹凸を転写することで形成できる。転写に使用する布の糸の番手を変更することにより可撓性シートの表面粗度をコントロールすることができる。
可撓性シート3の硬度については、表面ゴムのデュロメータ硬度(HDD)で15〜90であることが好ましく、15未満では剥離性が悪く、90を越えるとマイクロボイドが残存することもあり好ましくない。
又、可撓性シート3の硬度は、引き裂き強度と剥離性に大きく影響するものであり、可撓性シート3には、相反する強い引き裂き強度と高い剥離性が求められる。
即ち、下側可撓性シート3において、加圧ラミネーションに耐える強い引き裂き強度を獲得するためには可撓性シートの硬度を低くすることが望ましく、硬度が低いと可撓性シートは良く伸張し引き裂かれ難くなる。一方、剥離性に関しては、可撓性シートの硬度が低いと表面が粘着性を呈し、先に述べた通り表面をエンボス加工により粗面化しても引き裂き強度を重視した低い硬度にすると充分な剥離性が得られず、積層体が可撓性シートから剥がれにくくなる等の不具合を生ずる。
従って、本発明では、図4に示すように、繊維層17を有し、かつ、硬度の異なる2つの樹脂層を積層することにより可撓性シート3を形成することが好ましく、上部プレート6側の第1の樹脂層のデュロメータ硬度(HDD)が40以上、好ましくは50〜90、下部プレート5側の第2の樹脂層の硬度が40未満、好ましくは15〜35であることが剥離性と引き裂き強度が両立でき特に好ましい。第1の樹脂層の硬度が40未満では剥離性が低下し、第2の樹脂層の硬度が40以上では引き裂き強度が低下し好ましくない。
又、加圧ラミネーション時には、空隙部8には0.1〜1.0MPaの強い加圧力が作用する。その際、図5、6に示すようなパッキン層18では下側可撓性シート3に接着され、更に押さえ金具9によってネジ止めにされて固定されているものの、接着面積が不足し圧縮空気の強い加圧力に抗しきれず押さえ金具9の外側にパッキン層18が押し出され可撓性シート3と下部プレート5の間の機密性を維持することが困難となる場合がある。
そこで、図3及び4に示すように、下側可撓性シート3を全面に渡ってパッキン層18を設けることが好ましく、圧縮空気の加圧力によりパッキンが押さえ金具9の外側に押し出されて機密性が低下することを防止することができる。
かかるパッキン層18については、特にその上面の全部或いは一部が粗面化されていることが剥離性の点から好ましく、更にはかかる一部が押さえ金具9で押さえられる部分以外であることが好ましい(図2参照。)。粗面化については、上記の可撓性シートの粗面化と同様、エンボス加工や梨地加工等で行われる。
かくして本発明の真空積層装置が得られるが、更に本発明では、図7に示すように下側の可撓性シート3の上側及び上側の可撓性シート4の下側に、それぞれ基材1とフィルム状樹脂層2からなる仮積層体を挟持して搬送するための搬送フィルム20を設けることが好ましい。かかる搬送フィルム20を設けることで、フィルム状樹脂層2から滲み出た樹脂が可撓性シート3及び可撓性シート4に付着し、付着した樹脂が後続の製品に付着することを防止することができる。搬送フィルム20は特には連続走行可能なフィルムとすることが好ましい。
かかる搬送フィルム20は、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリスチレンフィルム、フッ素化オレフィンフィルムのいずれかであることが好ましい。膜厚については10〜100μmが好ましく、更には20〜50μmが好ましい。かかる搬送フィルム20の進行方向に垂直な幅は、可撓性シートの幅よりも狭くし、フィルム状樹脂層2の幅の0.5〜4cm程度広くするのが、真空引きを効率よく行う点で好ましい。又これらの表面は、本発明の効果を損わない限り、プレーンなもの、マット加工(ヘイズ加工)したもの、離型剤処理したもの、コロナ放電処理したもの、静電気防止処理したもの等いずれでもよく、特に限定されるものではない。
次に、本発明の真空積層装置を用いた積層方法について説明する。
まず、搬送フィルム20の間に、凹凸を有する基材1及びフィルム状樹脂層2からなる仮積層体を挟みこんで設置する。かかる設置の方法は、基材1の片面にフィルム状樹脂2を仮どめしたものであっても、基材1の両面にフィルム状樹脂層2を仮付けしたものであってもどちらでもよい。かかる後に、仮積層体を搬送フィルム20に挟んだまま、真空チャンバー内に送り込み、その後、下部プレート5を持ち上げて、上部プレート6と密封契合する。その後、前記で述べたように、真空引き工程、ラミネートスラップダウン工程、ラミネート増圧工程を実施した後、凹凸を有する基材1とフィルム状樹脂層2からなる積層体は搬送フィルム20に挟まれたまま、真空チャンバーから送り出される。そして真空チャンバーから送り出されると同時に、搬送フィルム20に配置された次の凹凸を有する基材1とフィルム状樹脂層2からなる仮積層体が真空チャンバーに送り込まれ、先と同様に処理されるのである。
上記搬送フィルム20は、使用後に巻き取られるが、必要に応じて、使用後に汚染部分を取り除き再利用することもできるし、又、汚染部分を取り除く付帯装置を設け、回転式に連続的に供給して再利用することもできる。
又、上記真空積層装置を用いて、基材1とフィルム状樹脂層2を積層した後に、上記搬送フィルム20により、次工程に搬送することができる。次工程としては、例えば、ラミネーターロールや平面プレス装置の更なる加圧処理工程や、ベーキング炉等の更なる加熱キュアリング処理工程等が挙げられ、中でも平面プレス装置がフィルム状樹脂層2の膜厚を均一に加工でき、かつ表面を平滑に出来る点で特に好ましい。
本発明の真空積層方法で使用される凹凸を有する基材1としては、特に限定されないが、銅等のパターンを施したプリント基板が好ましく、又、ビルドアップ積層に用いられる多積層基板でも良い。
本発明の積層方法で使用されるフィルム状樹脂層2は、樹脂組成物と、支持体フィルム(セパレーターフィルム)あるいは銅箔から構成されることが好ましい。かかる樹脂組成物は、粘着性や接着性、ホットメルト性を持つものや、ガラス転移温度以上で軟化する樹脂であれば、特には制限されないが、特に絶縁材料である時に有用であり、かかる樹脂組成物としては、主にエポキシ樹脂からなる熱硬化型樹脂組成物、又は、樹脂、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤からなる感光性樹脂組成物が挙げられる。
かかる支持体フィルム(セパレーターフィルム)としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムや、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム等が挙げられる。銅箔としては特に限定されないがエッチングで溶解可能なものが好ましい。
かかるフィルム状樹脂層2の市販品としては、特に限定されないが、例えば、日立化成工業社製の「BFシリーズ」、「BLシリーズ」、「ASシリーズ」、「MCFシリーズ」、シプレー社製の「MULTIPOSIT−9500シリーズ」、日本ペイント社製の「プロピコートシリーズ」、チバスペシャリティ社製の「Plobelecシリーズ」、デュポン社製の「Valuxシリーズ」、太陽インク社製の「PVIシリーズ」、「HBIシリーズ」、旭電化社製の「BURシリーズ」、味の素社製の「ABFシリーズ」、東京応化社製の「SB−Rシリーズ」、三井金属社製の「MRシリーズ」、松下電工社製の「Rシリーズ」、住友ベークライト社製の「APLシリーズ」、ニッカン社製の「CADシリーズ」、旭化成社製の「PCCシリーズ」、三菱ガス化学社製の「CBRシリーズ」、「CCLシリーズ」、「GMPシリーズ」等、が挙げられる。又、他の樹脂としても、ドライフィルムソルダーマスク用樹脂、コンフォーマスクフィルム用樹脂、ドライフィルムフォトレジストフィルム用樹脂等にも有効であり特には限定されない。
かくして本発明の真空積層装置及び積層方法は、フィルム状樹脂層2のファインパターンへの追従密着性がよく、更に積層体の表面平滑性に優れ、更に、1万回以上もの繰り返しの使用においても基材に対するフィルム状樹脂層の追従性、密着性に優れた効果を有するものであるため、多層回路基板を製造するためのビルドアップ工法に非常に有用な積層装置及び積層方法である。
尚、本発明の真空積層装置及び積層方法は、プリント基板以外の他用途にも有用で、例えば、LCD基板、PDP基板の上に、粘着剤付偏光板や、粘着剤付位相差板、その他基材を貼り合わす時や、各種電子基板にダイシングテープを貼り合わす時やICカード、太陽電池パネルの製造時に、大変有効な手段である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
実施例1
まず、基材1〔ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μmの支持体フィルム)〕とフィルム状樹脂層2〔エポキシ樹脂からなる熱硬化型樹脂組成物層(厚さ40μm)〕を、真空積層装置に搬入される前に、オートシートカットラミネータで仮止めして仮積層体(フィルム状樹脂2/基材1/フィルム状樹脂2の層構成)とした。
次に、図1に示すような真空積層装置を用いて積層を実施した。かかる装置において、使用した下側可撓性シート3は、図4に示す構成を有し、第1の樹脂層(厚み1mm)が硬度80、第2の樹脂層(厚み1mm)が硬度30のフッ素系シリコンゴムシートよりなり、パッキン層18(厚み1mm)には硬度60のフッ素系シリコンゴムシートを用い、繊維層17にはポリエチレン製の帆布を使用した。又、第1の樹脂層とパッキン層18の表面は図2に示すように、表面粗度(Rz)が500μmのエンボス加工及び鏡面フラット仕上げされたものを用いた。
空間部7の温度を、下部プレート5、上部プレート6にそれぞれ内蔵する面ヒーターでコントロールすることにより、100℃に保ちながら、搬送フィルム20の間に、上記積層体を挟み込み、しかる後に下部プレート5を持ち上げ、上部プレート6とシール14を介して密封契合し、以下の工程を順次実施した。
1.真空引き工程
真空ポンプで、開口部12、13より50秒間真空引きを継続し、空間部7と空隙部8の圧力を100Paにした。
2.ラミネートスラップダウン工程
空間部7の真空引きを継続しつつ空隙部8の圧力を常圧に戻して、下側可撓性シート3を空間部7の側に膨らませ20秒間、仮積層体を圧締した。
3.ラミネート増圧工程
更に、空隙部8に0.5MPaの圧縮空気を導入して圧締を40秒間行った。その後開口部12、13を解放し、空間部7と空隙部8を大気圧にして、基材1とフィルム状樹脂2の積層を完了した。
上記の工程を、得られた積層体において基材1に対するフィルム状樹脂層2の密着追従性が得られなくなるまで繰り返し行い、以下の通り評価した。
◎:20000回以上の繰り返しでも密着追従性が良好であった。
○:10000〜20000回未満の繰り返しで密着追従性が不良になった。
△:5000〜10000回未満の繰り返しで密着追従性が不良になった。
×:5000回未満の繰り返しで密着追従性が不良になった。
尚、密着追従性の評価として、凹凸を有する基材1に対するフィルム状樹脂層2の追従性を50倍顕微鏡で確認して、凹凸を有する基材1の凹部にフィルム状樹脂層2が完全に充填されている場合を良好、凹凸を有する基材1の凹部にフィルム状樹脂層2が完全には充填されておらず基材1の凹面に気泡が残存している場合を不良とした。
実施例2
図3に示すように、実施例1において使用した下側可撓性シート3から第2の樹脂層を省き、第1の樹脂層の厚さを1mmから2mmに変更した以外は実施例1と同様に行い、評価した。
比較例1
実施例1において使用した下側可撓性シート3から繊維層17を省いた以外は実施例1と同様に行い、評価した。
比較例2
実施例2において使用した下側可撓性シート3から繊維層17を省いた以外は実施例1と同様に行い、評価した。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
[表1]
評価結果
実施例1 ◎
〃 2 ○
比較例1 ×
〃 2 ×
本発明は、凹凸を有する基材1にフィルム状樹脂層2を積層して積層体[A]を形成するに当たり、可撓性シート3を付設した下部プレート5及び可撓性シート4を付設した上部プレート6が設置され、下部プレート5の可撓性シート3と上部プレート6の可撓性シート4の間に狭持されるように、凹凸を有する基材1とフィルム状樹脂層2からなる仮積層体を載置し、下部プレート5を持ち上げて上部プレート6と密封係合状態にして、上部プレート6と可撓性シート3の間に形成される空間部7を真空状態にした後、下部プレート5と可撓性シート3の間に形成される空隙部8に大気もしくは圧縮空気を入れて可撓性シート3を膨張させ、基材1とフィルム状樹脂層2からなる仮積層体を可撓性シート3と可撓性シート4の間で圧締めする真空積層装置であって、可撓性シート3が繊維層17を有する真空積層装置及びそれを用いた積層方法であるため、基材に対するフィルム状樹脂層のファインパターンへの追従密着性がよく、積層体の表面平滑性にも優れ、更に、1万回以上もの繰り返しの使用においても基材に対するフィルム状樹脂層の追従性、密着性に優れた効果を有するものであり、多層回路基板を製造するためのビルドアップ工法に非常に有用である。
本発明を実施するために使用される真空積層装置の一形態を示す断面図であ る。 本発明を実施するために使用される押さえ金具9、可撓性シート3及びパッ キン層18を組み合わせた表面及び裏面の平面図である。 本発明を実施するために使用される可撓性シート3の一形態を示すA−A間 の断面図である。 本発明を実施するために使用される可撓性シート3の一形態を示すA−A間 の断面図である。 本発明を実施するために使用される可撓性シート3の一形態を示すA−A間 の断面図である。 従来、使用されていた可撓性シート3の断面図である。 本発明を実施するために使用される真空積層装置の一形態を示す断面図であ る。 本発明を実施するために使用される真空積層装置の一形態を示す断面図及び 工程図である。
符号の説明
1・・・凹凸を有する基材
2・・・フィルム状樹脂層
3・・・下側可撓性シート
4・・・上側可撓性シート
5・・・下部プレート
6・・・上部プレート
7・・・上部プレート6と下側可撓性シート3の間に形成される空間部
8・・・下部プレート5と下側可撓性シート3の間に形成される空隙部
9・・・押さえ金具
10・・・下側可撓性シート3固定ネジ
11・・・カラー
12・・・下部プレート5内を通過する開口部
13・・・上部プレート6内を通過する開口部
14・・・シール
15・・・油圧シリンダーもしくはエアシリンダー
16・・・第1の樹脂層
17・・・繊維層
18・・・パッキン層
19・・・第2の樹脂層
20・・・搬送フィルム
21・・・基板搬入コンベア
22・・・真空ポンプ

Claims (9)

  1. 凹凸を有する基材1にフィルム状樹脂層2を積層して積層体[A]を形成するに当たり、可撓性シート3を付設した下部プレート5及び可撓性シート4を付設した上部プレート6が設置され、下部プレート5の可撓性シート3と上部プレート6の可撓性シート4の間に狭持されるように、凹凸を有する基材1とフィルム状樹脂層2からなる仮積層体を載置し、下部プレート5を持ち上げて上部プレート6と密封係合状態にして、上部プレート6と可撓性シート3の間に形成される空間部7を真空状態にした後、下部プレート5と可撓性シート3の間に形成される空隙部8に大気もしくは圧縮空気を入れて可撓性シート3を膨張させ、基材1とフィルム状樹脂層2からなる仮積層体を可撓性シート3と可撓性シート4の間で圧締めする真空積層装置であって、可撓性シート3が繊維層17を有することを特徴とする真空積層装置。
  2. 可撓性シート3の積層体[A]との接触面と可撓性シート4の積層体[A]との接触面が粗面化されていることを特徴とする請求項1記載の真空積層装置。
  3. 可撓性シート3が、繊維層17を有し、かつ、硬度の異なる2つの樹脂層よりなり、上部プレート6側の第1の樹脂層の硬度が40以上、下部プレート5側の第2の樹脂層の硬度が40未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の真空積層装置。
  4. 可撓性シート3の下部プレート5側の全面にパッキン層18を設けることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の真空積層装置。
  5. パッキン層18の上面の全部或いは一部が粗面化されていることを特徴とする請求項4記載の真空積層装置。
  6. 積層体[A]を搬送する搬送フィルム20を設けたことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の真空積層装置。
  7. 請求項1〜6いずれか記載の真空積層装置の後工程に平面プレス装置を設けたことを特徴とする真空積層装置。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の真空積層装置を用いて、凹凸を有する基材1にフィルム状樹脂層2を積層して積層体[A]を形成することを特徴とする積層方法。
  9. フィルム状樹脂層2が電気絶縁材料であることを特徴とする請求項8記載の積層方法。
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