JP2006025578A - エレクトレットアクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】安定した駆動が可能で信頼性の高いエレクトレットアクチュエータを提供すること。
【解決手段】複数の相からなる駆動電極11を配した固定基板10と、上記固定基板10上に配置され、上記駆動電極11に対向する部位で所定のピッチで同極性にエレクトレット化されたエレクトレット領域21を持つ可動子20と、上記可動子20を上記固定基板10に対し相対的に移動させるために各段階ごとに設定された複数の相の駆動電圧パターンと、上記可動子20を上記固定基板10から浮上させる複数の相の浮上電圧パターンとを生成して、上記駆動電極11へ印加する駆動制御部30とにより構成し、上記駆動制御部30から出力される上記浮上電圧パターンを、上記可動子20の上記エレクトレット領域21の帯電極性と同極性の電圧とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、固定基板と可動子との間に作用する静電気力により可動子を移動させる静電アクチュエータに係り、特に、可動子にエレクトレットを用いるエレクトレットアクチュエータに関する。
従来、アクチュエータとしては、電磁力を利用した電磁式アクチュエータが多く用いられている。しかしながら、そのような電磁式アクチュエータは、電磁コイルや永久磁石で構成されているため、構造が複雑になるだけでなく、駆動時の消費電力も大きくなる。
それに比べ、静電アクチュエータは、構成が簡単にできるだけでなく、低消費電力での駆動が可能なため、小型化に適したアクチュエータとして注目されている。
静電アクチュエータは、図3に示すように、固定基板100に設置された駆動電極101と可動子200との間に働く静電気力の水平方向成分(駆動力)で可動子200を搬送するものである。しかし、その駆動において、静電気力を大きくすれば駆動力も増大するが、同時に可動子200を固定基板100に密着させる吸着力も増大するため摩擦力が大きくなり、固定基板100に対する可動子200の相対移動を妨げるため駆動効率を向上する対策が必要となる。なお、図3において、参照番号102は基材であり、103は絶縁体である。
可動子200の吸着を解除するものとして、特許文献1に示す搬送装置がある。該搬送装置は、図4(A)に示すように、帯状の駆動電極101を備えた固定基板100と抵抗体を備えた可動子200とからなっている。ここで、帯状の駆動電極101は3相の電極部101Ai,101Bi,101Ci(但し、i=1,2,…,n)からなり、各電極部は等ピッチで配置されている。
図4(B)に、この搬送装置の動作原理を示す。まず、初期分極工程において、動作開始位置にある可動子200に対して各電極部101Ai,101Bi,101Ciに初期分極パターン(N(−),P(+),P(+))を印加する(ステップS101)。そうすると、初期分極パターンと可動子200が静電分極し、可動子200が初期分極パターンとは逆のパターン(P(+),N(−),N(−))で帯電する。次に、各電極部101Ai,101Bi,101Ciに駆動パターンを印加して(ステップS102,S103,S104)、可動子200に帯電した上記帯電パターンとそれら電極部101Ai,101Bi,101Ciに印加した駆動パターンとによって発生する静電気力の吸引力と反発力によって、可動子200は固定基板100に対して相対的に移動する。
この場合、ステップS101において初期分極した際、各電極部101Ai,101Bi,101Ciの初期分極パターンと帯電パターンとで吸着力が働き、次のステップS102において駆動パターンを与えても動作しない。そこで、上記特許文献1では、ステップS101の初期分極工程の後に分離工程を設けて、吸着を回避する駆動方法を提案している。
図5(A)に、この駆動方法の原理図を示す。駆動電極101の各電極部101Ai,101Bi,101Ciへ初期分極パターンを印加して可動子200に帯電パターンを形成させた状態において、可動子200と固定基板100との密着を解除するため、初期分極パターン(−,+,+)とは逆の極性の分離パターン(+,−,−)を各電極部101Ai,101Bi,101Ciへ印加し、可動子200を浮上させた後、駆動パターンを各電極部101Ai,101Bi,101Ciに印加すれば動作し易くなる。そして、図5(B)に示すように、この分離パターンを各駆動パターンの前に挿入することにより(ステップS201,S202,S203,S204)、吸着を低減した安定な駆動が可能になる。
特開平11−215853号公報
しかしがら、上記特許文献1に開示の駆動方法では、図5(A)に破線で示すように、吸着しようとする力の成分は残っているため、吸着を完全に無くすことはできず、吸着力が大きい場合は動作しない可能性もある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、安定した駆動が可能で信頼性の高いエレクトレットアクチュエータを提供することを目的とする。
本発明のエレクトレットアクチュエータの一態様は、
複数の相からなる駆動電極を配した固定基板と、
上記固定基板上に配置され、上記駆動電極に対向する部位で所定のピッチで同極性にエレクトレット化された可動子と、
上記可動子を上記固定基板に対し相対的に移動させるために各段階ごとに設定された複数の相の駆動電圧パターンと、上記可動子を上記固定基板から浮上させる複数の相の浮上電圧パターンとを生成して、上記駆動電極へ印加する駆動制御手段と、
を具備し、
上記駆動制御手段から出力される上記浮上電圧パターンは、上記可動子の上記エレクトレット化された帯電極性と同極性の電圧であることを特徴とする。
本発明によれば、安定した駆動が可能で信頼性の高いエレクトレットアクチュエータを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1(A)は、本発明の第1実施形態に係るエレクトレットアクチュエータの構成を示す図である。
このエレクトレットアクチュエータは、複数の駆動電極11を設置した固定基板10と、その上に配置され、上記駆動電極11に対向した面に所定のピッチでエレクトレット化(永久帯電処理)された可動子20(図1(A)において可動子20は負の極性にエレクトレット化されている)と、各駆動電極11に電圧パターンを印加する駆動制御部30とにより構成されている。なお、同図において、参照番号12は基材であり、13は絶縁体である。また、参照番号21はエレクトレット化された領域(以下、エレクトレット領域と記す)を示している。
上記駆動制御部30は、各駆動電極11に印加した電圧と可動子20に帯電したエレクトレット領域21との間に生じる吸引力と反発力とによって、可動子20を固定基板10に対して相対移動させる駆動電圧パターンと、可動子20を固定基板10から浮上させるための浮上電圧パターンとを生成し、各駆動電極11へ印加するものである。
次に、このような構成のエレクトレットアクチュエータの動作原理を、図1(B)乃至(C)を参照して説明する。なお、図1(B)は駆動制御部30の動作フローチャートを示す図、図1(C)は駆動制御部30の出力波形を示す図であり、図1(D)は各段階における各駆動電極11への印加電圧と可動子20の状態を示す図である。
まず、段階I.として、各駆動電極11に対しすべて負の電圧である浮上電圧パターンを印加している(ステップS10)。これは、可動子20のエレクトレット領域21の極性に対して同極性である。したがって、反発力が生じ、可動子20は固定基板10に対して浮上することになる。しかも、すべての駆動電極11に同一の極性の電圧を印加しているので、固定基板10に吸着するような方向の力は働かないため、確実に可動子20を浮上させることが可能である。
このような駆動電極11に上記の浮上電圧パターンを印加した後に、今度は段階II.として、可動子20を固定基板10に対して相対移動させるための駆動電圧パターンを印加する(ステップS11)。このようにすれば、可動子20は吸着力を受けずに移動できるため、摩擦力を受けない効率的な駆動が可能になる。
以下、同様に、浮上電極パターンと駆動パターンを交互に印加することで(ステップS12〜S15)、可動子20が浮上と移動を繰り返していく。
しかも、本駆動方式では、駆動電圧パターンを印加する前の浮上電圧パターンは常にエレクトレット領域21に対して同極性であれば良い。すなわち、駆動電圧パターンは、各段階ごとに設定することが必要であるが、浮上電圧パターンは、各段階ごとに設定しなくても良い。したがって、図1(D)に示すように、各段階ごとに印加される駆動電圧パターンの間に浮上パターンを挿入するだけである。
また、本実施形態では、エレクトレット領域21を負の極性としているが、これに限らず、正極性のエレクトレット化処理を可動子20に施しても良い。この場合は、各駆動電極11に印加する浮上電圧パターンは、エレクトレット領域と同極性の正極性の電圧をすべての駆動電極11に印加するパターンとなる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。上記第1実施形態は、3相駆動の場合であるが、本実施形態は4相駆動の例である。
この場合には、図2(A)乃至(C)に示すように、まず、段階I.として、各駆動電極11に対しすべて負の電圧である浮上電圧パターンを印加して(ステップS20)、可動子20を固定基板10に対して浮上させる。次に、段階II.として、可動子20を固定基板10に対して相対移動させるための駆動電圧パターンを印加して(ステップS21)、可動子20を移動させる。以下、同様に、浮上電極パターンと駆動パターンを交互に印加することで(ステップS22〜S27)、可動子20が浮上と移動を繰り返していく。
このように、4相駆動の場合においても、上記第1実施形態の3相駆動における駆動電圧パターンと同様に、移動のための4相の駆動電圧パターンの前に、常にエレクトレット領域21に対して同極性の浮上電圧パターンを挿入するだけで、効率的で安定した駆動が可能で信頼性の高いエレクトレットアクチュエータを提供できる。
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
(付記)
前記の具体的実施形態から、以下のような構成の発明を抽出することができる。
(1) 複数の相からなる駆動電極を配した固定基板と、
上記固定基板上に配置され、上記駆動電極に対向する部位で所定のピッチで同極性にエレクトレット化された可動子と、
上記可動子を上記固定基板に対し相対的に移動させるために各段階ごとに設定された複数の相の駆動電圧パターンと、上記可動子を上記固定基板から浮上させる複数の相の浮上電圧パターンとを生成して、上記駆動電極へ印加する駆動制御手段と、
を具備し、
上記駆動制御手段から出力される上記浮上電圧パターンは、上記可動子の上記エレクトレット化された帯電極性と同極性の電圧であることを特徴とするエレクトレットアクチュエータ。
(対応する実施形態)
この(1)に記載の静電アクチュエータに関する実施形態は、第1及び第2実施形態が対応する。ここで、それらの実施形態において、例えば、上記駆動電極は駆動電極11が対応し、上記固定基板は固定基板10が対応し、上記エレクトレット化された部位はエレクトレット領域21が対応し、上記可動子は可動子20が対応し、上記駆動制御手段は駆動制御部30が対応する。
(作用効果)
この(1)に記載のエレクトレットアクチュエータによれば、エレクトレット化部位に対して同極性の浮上パターンを印加するので、確実な浮上力が得られ、よって、安定した駆動が可能で信頼性の高いエレクトレットアクチュエータを提供することが可能となる。
(2) 上記駆動制御手段は、上記浮上電圧パターンを、上記駆動パターンが上記駆動電極に印加される前に、印加することを特徴とする(1)に記載のエレクトレットアクチュエータ。
(対応する実施形態)
この(2)に記載の静電アクチュエータに関する実施形態は、第1及び第2実施形態が対応する。
(作用効果)
この(2)に記載のエレクトレットアクチュエータによれば、エレクトレット化された帯電極性と同極性の電圧としたので、駆動電圧パターンによらず駆動パターンの前に挿入できる。
(A)は本発明の第1実施形態に係るエレクトレットアクチュエータの構成を示す図、(B)は駆動制御部の動作フローチャートを示す図、(C)は駆動制御部の出力波形を示す図であり、(D)は各段階における各駆動電極への印加電圧と可動子の状態を示す図である。 (A)は本発明の第2実施形態に係るエレクトレットアクチュエータの駆動制御部の動作フローチャートを示す図、(B)は駆動制御部の出力波形を示す図であり、(C)は各段階における各駆動電極への印加電圧と可動子の状態を示す図である。 静電アクチュエータの構成及び動作原理を示す図である。 (A)は特許文献1に開示の搬送装置の構成を示す図であり、(B)はその動作原理を説明するためのフローチャートを示す図である。 (A)は特許文献1に開示された吸着を回避する駆動方法の原理を説明するための図であり、(B)はその駆動方法のフローチャートを示す図である。
符号の説明
10…固定基板、 11…駆動電極、 20…可動子、 21…エレクトレット領域、 30…駆動制御部。

Claims (2)

  1. 複数の相からなる駆動電極を配した固定基板と、
    上記固定基板上に配置され、上記駆動電極に対向する部位で所定のピッチで同極性にエレクトレット化された可動子と、
    上記可動子を上記固定基板に対し相対的に移動させるために各段階ごとに設定された複数の相の駆動電圧パターンと、上記可動子を上記固定基板から浮上させる複数の相の浮上電圧パターンとを生成して、上記駆動電極へ印加する駆動制御手段と、
    を具備し、
    上記駆動制御手段から出力される上記浮上電圧パターンは、上記可動子の上記エレクトレット化された帯電極性と同極性の電圧であることを特徴とするエレクトレットアクチュエータ。
  2. 上記駆動制御手段は、上記浮上電圧パターンを、上記駆動パターンが上記駆動電極に印加される前に、印加することを特徴とする請求項1に記載のエレクトレットアクチュエータ。
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