JP2006009070A - 耐低温割れ性にすぐれた溶接継手および溶接材料用鋼材 - Google Patents

耐低温割れ性にすぐれた溶接継手および溶接材料用鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】予熱をおこなわなくても低温割れが発生しない溶接継手およびその溶接金属を得るための溶接材料用鋼材の提供。
【解決手段】溶接金属の化学組成が質量%にてC:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、さらに要すれば、少量のCu、Ni、Cr、Mo、V、Ti、Nb、B、Ca、Mg等の1種以上を含み残部が鉄である溶接継手および上記組成の溶接材料用鋼材。
【選択図】なし。

Description

本発明は建築構造物、機械構造物、海洋構造物、圧力容器、タンク等の高強度鋼構造物に適用される耐低温割れ性にすぐれた溶接継手およびその継手を得るための溶接材料用鋼材に関する。
鋼の溶接施工時の重要な課題の一つに低温割れの防止がある。低温割れは溶接後、溶接部の温度が常温付近に低下してから発生する割れで、溶接される鋼材の強度が高くなるほど発生しやすくなり、溶接構造物物への高強度鋼の適用に際し、使用鋼材、溶接材料、施工方法等に十分な配慮が必要になってくる。
低温割れの防止には、(a)溶接部分の硬さの低減、(b)拡散性水素の低減、(c)拘束度の低減(残留応力の低減)が有効であることが知られている。
溶接部は溶融状態から急冷されるので、鋼材の強度を高めるため含有させる焼入れ性向上効果のある元素や析出硬化作用のある元素などの合金成分は、ほとんどが溶接部分を硬化させる作用を有しており、それらの量が増すと溶接部分の硬さが上昇し割れ感受性が高くなる。これに対し、近年、制御圧延法や加速冷却法の発達により合金成分の含有量を低くしてより強度の高い鋼材を得ることが可能になってきている。
また、拡散性水素に対しては、イルミナイト系やセルロース系の溶接棒に替えて水素量を大幅に低減させた、低水素系や極低水素系の溶接棒が開発され実用化されており、TIG溶接やMIG溶接ではより一層の低減も可能である。さらに拘束度の低減は、溶接部の寸法形状の変更もあるが、たとえば特許文献1や特許文献2に開示された発明のように、溶接金属の変態による膨張を利用して残留応力を低減する方法がある。
しかしながら、上記のような手段が採用されるとしても、低温割れの発生を確実に防止するには溶接する鋼材の予熱が極めて有効であり、予熱は鋼材の強度が高くなれば必須作業となってくる。低温割れ防止のための予熱は、強度が600〜800MPaの母材高張力鋼では50〜150℃程度とすれば効果的であるが、強度が高くなればそれだけ予熱温度を高くすることが望ましくなる。この予熱の効果は、溶接後の冷却速度を小さくして硬化を低減し、拡散性水素の逸脱を促進し、あらかじめ溶接母材を膨張させておいて溶接による収縮変形量を軽減するなどの効果があると考えられている。予熱に必要な温度はは、たとえば非特許文献1に紹介されているように、母材の化学組成、拡散性水素量、拘束度などから推測することが可能である。
特開2000−17380号公報 特開2003−33876号公報 日本金属学会編「金属便覧」改訂6版、丸善株式会社、平成12年5月30日、p.1023−1024
鋼の溶接継手の、溶接時の低温割れ発生の確実な防止のためには、母材の予熱をおこなう必要があり、ことに鋼材の強度が高い場合には必須になる。しかしながら、この予熱作業は被溶接物が大きくなってくると、加熱のための手配作業や昇温時間などに多くの工数および時間が費やされ、溶接施工能率を著しく低下させる。
本発明は溶接金属の化学組成を制御することにより、このような予熱をおこなわなくても、低温割れが発生しない溶接継手を提供し、さらにその溶接金属を得るための溶接材料用鋼材を提供するものである。
本発明の要旨は次のとおりである。
(1)溶接金属の化学組成が質量%にてC:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、残部が鉄および不純物であることを特徴とする耐低温割れ性にすぐれた溶接継手。
(2)溶接金属の化学組成が質量%にて、C:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、さらにCu:0.1〜1.2%、Ni:0.1〜10.0%、Cr:0.1〜3.0%、Mo:0.1〜3.0%、V:0.001〜0.2%、Ti:0.003〜0.3%、B:0.0002〜0.008%、およびNb:0.001〜0.05%、のうちの1種以上を含有し、残部が鉄および不純物であることを特徴とする耐低温割れ性にすぐれた溶接継手。
(3)溶接金属の化学組成が質量%にて、C:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、さらにCa:0.0003〜0.005%およびMg:0.0003〜0.005%の1種または2種を含有することを特徴とする耐低温割れ性にすぐれた溶接継手。
(4)溶接金属の化学組成が質量%にて、C:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、さらにCu:0.1〜1.2%、Ni:0.1〜10.0%、Cr:0.1〜3.0%、Mo:0.1〜3.0%、V:0.001〜0.2%、Ti:0.003〜0.3%、B:0.0002〜0.008%およびNb:0.001〜0.05%、のうちの1種以上と、Ca:0.0003〜0.005%およびMg:0.0003〜0.005%の1種または2種を含有し、残部が鉄および不純物であることを特徴とする耐低温割れ性にすぐれた溶接継手。
(5)化学組成が質量%にてC:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、残部が鉄および不純物であることを特徴とする溶接材料用鋼材。
(6)化学組成が質量%にて、C:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、さらにCu:0.1〜1.2%、Ni:0.1〜10.0%、Cr:0.1〜3.0%、Mo:0.1〜3.0%、V:0.001〜0.2%、Ti:0.003〜0.3%、B:0.0002〜0.008%およびNb:0.001〜0.05%、のうちの1種以上を含有し、残部が鉄および不純物であることを特徴とする溶接材料用鋼材。
(7)化学組成が質量%にて、C:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、さらにCa:0.0003〜0.005%およびMg:0.0003〜0.005%の1種または2種を含有することを特徴とする溶接材料用鋼材。
(8)化学組成が質量%にて、C:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、さらにCu:0.1〜1.2%、Ni:0.1〜10.0%、Cr:0.1〜3.0%、Mo:0.1〜3.0%、V:0.001〜0.2%、Ti:0.003〜0.3%、B:0.0002〜0.008%およびNb:0.001〜0.05%、のうちの1種以上と、Ca:0.0003〜0.005%およびMg:0.0003〜0.005%の1種または2種を含有し、残部が鉄および不純物であることを特徴とする溶接材料用鋼材。
本発明の溶接継手は、溶接作業に先立つ母材鋼材の加熱、すなわち予熱を施さなくても、低温割れを防止できるため、溶接作業の能率を大幅に向上させることができる。また本発明の溶接材料用鋼材は、それを用いて被覆アーク溶接棒あるいは溶接ワイヤを作製することにより、上記の溶接継手の溶接金属を容易に形成させることができる。
本発明者らは、より強度の高い鋼材を使用する溶接構造物において、アーク溶接法による溶接継手に生じる低温割れを抑止するための対策について種々調査を行った。低温割れの対策として母材の予熱は極めて効果的であるが、その十分な実施には多大の工数を要し、時には実施困難な場合がある。そこで、予熱なしか、予熱するとしてもできるだけ低温にする手段について検討した結果、溶接金属にCoを含有させることが、顕著な効果をもたらすことを見出した。
Coは、鋼材の強化を目的に含有させる元素が一般にMs点を低下させるのに対し、Ms点を上昇させるので強度向上の効果は小さく、耐熱鋼などで高温強度を向上させる効果から添加される場合もあるが、通常の溶接して用いられる低合金鋼材では、ほとんど顧みられることのない元素である。ところが、溶接金属に含有させることにより、低温割れを抑止でき、予熱をおこなわなくても、予熱したと同等の効果が現れる。
このような効果の現れる理由については必ずしも明らかではないが、Ms点が上昇することにより溶接金属に生成されるマルテンサイト組織中の転位密度が低下し、転位密度の低下は硬さを低下させ変形能を向上させることから、先述の溶接部硬さ低下や残留応力低減をもたらして、割れ発生を抑止するのではないかと思われる。さらに転位密度の低下は金属組織中に吸蔵される水素量を低下させるので、拡散性の水素量を減少させているのではないかと推測される。
ここで、溶接金属とは溶接継手において熱影響部を除く溶接中に溶融凝固した部分をいう。また、溶接金属の成分は、溶接金属の中心部近傍にて分析されたものとする。
本発明ではこの溶接金属中の各元素の質量%で表す含有範囲を、次のように限定する。
C:0.01〜0.15%
Cは、溶接金属の強度を確保するために、0.01%以上とする。一方、Cの多すぎる含有は、溶接部の過剰な硬度上昇を招きその靱性を劣化させるので、上限を0.15%とする。より良好な靱性を得るために望ましくは、0.1%以下とし、できれば0.08%以下とするのがよい。
Si:0.02〜0.8%
Siは、溶接金属の強度を向上させ、脱酸効果を有する元素である。その効果を得るためには、溶接金属中のSi含有量を0.02質量%以上とする。しかし、過剰なSi含有は、溶接金属の靱性低下の原因となるとともに、耐割れ感受性の劣化を生ずるので、その上限は0.8%とする。
Mn:0.6〜3.0%
Mnは、Siと同様、溶接金属の強度を向上させ、また、脱酸効果を有する元素である。その効果を得るためには、下限を0.6%とする。しかし、3.0%を超えると、溶接金属の靱性低下の原因となると共に、耐割れ感受性の劣化を生ずるので、上限を3.0%とする。靱性および耐割れ性をさらに良好にするために望ましくは、2.5%以下とし、できれば1.7%とするのがよい。
P:0.03%以下
Pは原料から混入してくる不純物の一つで、溶接金属中の靱性を劣化させる。顕著な影響を及ぼさない範囲として0.03%以下にする必要があるが、少なければ少ないほどよい。望ましくは0.015%以下である。
S:0.03%以下
Sは原料から混入してくる不純物の一つで、溶接金属中の靱性を劣化させる。顕著な影響を及ぼさない範囲として0.03%以下にする必要があるが、少なければ少ないほどよい。望ましくは0.015%以下である。
Al:0.004〜0.08%
Alは、酸化物を形成し、溶接金属部において粒内フェライト変態を促進させ、靱性の向上に重要な元素であり、その効果を発揮させるためには、含有量の下限を0.004%とする。一方、過剰なAlは、粗大な介在物の生成や硬化組織形成の原因となるので、その上限は0.08%とする。
N:0.015%以下
Nは不純物として混入してくるが、強度を高めるために有効な元素である。さらにTiを含む場合には靱性も改善される。この効果を発揮させるには0.0020%以上含有することが好ましい。一方、Nの含有量が0.015%を超えると、気孔が発生しやすくなり、溶接欠陥が生じる。従って、N量の上限を0.015%までとする必要がある。
Co:0.1〜10.0%
Coは本発明の溶接継手の耐低温割れ性向上に重要な元素である。このような効果を得るためには、溶接金属に0.1%以上の含有を必要とする。しかしながら、10%を超えて含有させても改善効果が飽和し、むだな含有となるため10%までとする。顕著な効果をもたらす好ましい含有量の下限は1%以上であり、さらに望ましくは2%以上である。
Cu:0.1〜1.2%
Cuは含まなくても良い。Cuは、焼入性の向上により強度向上に寄与するので、高強度とする場合には含有させる。含有の効果を得るためには0.1%以上とするのが望ましいが、1.2質量%を超えると、溶接割れを発生しやすくなるので、含有させる場合1.2%下とするのがよい。さらに耐低温割れ性に悪影響をおよぼさないためには、0.8%以下が望ましく、できれば0.6%以下とするのがよい。
Ni:0.1〜10.0%
Niは含有させなくてもよいが、含有させると強度の向上に効果があり、さらに靱性を高める効果が大きいので、より高靱性とする場合には含有させる。含有させる場合には0.1%以上とするが、より十分な効果を得るためには1.0%以上、できれば1.5%以上とすることが望ましい。しかし、10.0%を超えると、溶接時に湯流れが悪くなり、溶接欠陥を生じやすくなるので、含有させる場合10.0%以下とする。
Cr:0.1〜3.0%
Crは含有させなくてもよいが、焼入性向上に有効なので、溶接金属をより高強度にする場合には含有させる。含有させてその効果を得るためには、0.1%以上とするが、より十分な効果を得るには、0.5%以上とすることが望ましい。しかし、3.0%を超えると、低温割れを生じやすくなる傾向があるので、含有させる場合3.0%までとする。
Mo:0.1〜3.0%
Moは含まなくても良いが、焼入性の向上および析出硬化を生じ、強度上昇に有効なので、溶接金属を高強度にする場合には含有させる。含有させその効果を得るためには、0.1%以上とするが、より十分な効果を得るには、0.5%以上とすることが望ましい。しかし、3.0%を超えると、低温割れを発生しやすくなるので、含有させる場合3.0%以下とするのが望ましい。
V:0.001〜0.2%
Vは含まなくても良い。Vは、焼入性を向上させ強度上昇に有効なので、溶接金属をより高強度にしたい場合に0.001%以上含有させる。しかし、0.2%を超えると、低温割れを発生しやすくなるので、含有させる場合、0.2%以下とする。
Ti:0.003〜0.3%
Tiは、含まなくても良い。TiはNと結合して微量のBがBNとなるのを防ぎ、Bの焼き入れ性を確保して溶接金属の強度を増加させるのに有効である。その効果を得るために、含有量の下限は0.003質量%とする。一方、過剰なTiは、TiNの粗大化を招き溶接金属の靱性を著しく劣化させるので、その上限は0.3%までとする。
B:0.0002〜0.008%
Bは、含まなくても良い。Bは、微量で焼入性を著しく上昇させ、溶接金属の高強度化に寄与するので、0.0002%以上含有させるのが望ましい。一方、過剰のB添加は、耐低温割れ性の劣化を生じるので、その上限を0.008%とする。さらに良好な耐溶接割れ性を確保するために望ましくは、0.005%以下とし、できれば0.003%以下とするのがよい。
Nb:0.001〜0.05%
Nbは含まなくてもよい。Nbは、焼入性を向上させ強度上昇に有効なので、溶接金属を高強度にしたい場合には0.001%以上含有させる。しかし、0.05%を超えると、低温割れを発生しやすくなるので、含有させる場合0.05%以下とする。
Ca:0.0003〜0.005%
Caは含有させなくてもよいが、溶接材料を作製する際の伸線性を向上する目的で含有させてもよい。含有させその効果を得るためには0.0003%以上とし、望ましくは0.0005質量%以上とする。しかし、0.005%を超えて含有させると、溶接スラグの剥離性が劣化するため、その上限は0.005%とする必要がある。
Mg:0.0003〜0.005%
Mgは含有させなくてもよいが、Caと同様の効果があり、溶接材料を作製する際の伸線性を向上させたい場合には含有させる。含有させる場合には、0.0003%以上、できれば0.0005質量%以上とすることが望ましい。しかし、0.005%を超えて含有させると、溶接スラグの剥離性が劣化するため、その上限を0.0005%とする必要がある。
溶接金属の化学組成を上述の範囲のもの、とくにCoを含有させた組成とするためには、母材の鋼材中にCoを適量含有させる、被覆アーク溶接棒にて被覆材中にCo成分を混ぜておく、フラックス入り溶接ワイヤのフラックス中にCo成分を混ぜておく、サブマージアーク溶接にてフラックス中にCo成分を混ぜておく等の方法で、アーク溶接中に溶接金属中に混入させればよい。
しかし、最も確実に溶接金属を目的とする化学組成範囲とするには、アーク溶接の溶接材料に用いる鋼材を、上述の化学組成の鋼とすることである。
表1に示す組成の鋼から4mmの鋼棒を製造し、それぞれから被覆アーク溶接棒を作製した。母材としては表2に示す組成の引張強度が780MPa級の厚さ40mmの鋼板を用いた。母材の板厚中心部から採取した試験片による特性を表3に示す。これらの母材から、JIS−Z−3157のU形溶接割れ試験法に基づいて、規定されている形状の試験板を作製し、表4の条件にてシールドメタルアーク溶接(SMAW)をおこなった。
溶接は室温30℃、湿度80%に調整した室内で実施し、試験板の予熱はなしとした。試験板の鋼と溶接棒との同じ組み合わせにて、3回の繰り返しをおこない、割れ発生を調査した。割れの測定は上記JISに規定の方法で実施し、表面割れ率および断面割れ率を求めた。また溶接金属部にて4号試験片を採取し、0℃における衝撃値を求めた。調査結果を表5に示す。表6に溶接金属の化学組成を示すが、これらはいずれもビードの中心部分を分析した結果である。
表5の割れ発生率および表6の溶接金属分析結果の対比からわかるように、溶接金属の組成が所要のCoを含有し、かつ他の元素も本発明にて規定する範囲内にある試験No.1〜9の場合、低温割れの評価試験であるU形溶接割れ試験にて割れが発生しないか、発生しても10%以下である。
これに対してCoを含まない場合、試験No.10〜13に見られるように高い割れ発生率を示している。ただし、溶接金属がCoを含有していても、C、Si、Mn、などの元素が本発明発明にて定める適正量を超える場合、割れ率は低く抑えられてはいるが十分に低減させることはできない。
また、溶接金属の化学組成は、溶接材料に用いた鋼棒にほぼ近い組成となっており、目的とする溶接金属の組成と同じ溶接材料用鋼を用いるのがよいことがわかる。
Figure 2006009070
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Claims (8)

  1. 溶接金属の化学組成が質量%にてC:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、残部が鉄および不純物であることを特徴とする耐低温割れ性にすぐれた溶接継手。
  2. 溶接金属の化学組成が質量%にて、C:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、さらにCu:0.1〜1.2%、Ni:0.1〜10.0%、Cr:0.1〜3.0%、Mo:0.1〜3.0%、V:0.001〜0.2%、Ti:0.003〜0.3%、B:0.0002〜0.008%、およびNb:0.001〜0.05%、のうちの1種以上を含有し、残部が鉄および不純物であることを特徴とする耐低温割れ性にすぐれた溶接継手。
  3. 溶接金属の化学組成が質量%にて、C:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、さらにCa:0.0003〜0.005%およびMg:0.0003〜0.005%の1種または2種を含有することを特徴とする耐低温割れ性にすぐれた溶接継手。
  4. 溶接金属の化学組成が質量%にて、C:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、さらにCu:0.1〜1.2%、Ni:0.1〜10.0%、Cr:0.1〜3.0%、Mo:0.1〜3.0%、V:0.001〜0.2%、Ti:0.003〜0.3%、B:0.0002〜0.008%およびNb:0.001〜0.05%、のうちの1種以上と、Ca:0.0003〜0.005%およびMg:0.0003〜0.005%の1種または2種を含有し、残部が鉄および不純物であることを特徴とする耐低温割れ性にすぐれた溶接継手。
  5. 化学組成が質量%にてC:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、残部が鉄および不純物であることを特徴とする溶接材料用鋼材。
  6. 化学組成が質量%にて、C:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、さらにCu:0.1〜1.2%、Ni:0.1〜10.0%、Cr:0.1〜3.0%、Mo:0.1〜3.0%、V:0.001〜0.2%、Ti:0.003〜0.3%、B:0.0002〜0.008%およびNb:0.001〜0.05%、のうちの1種以上を含有し、残部が鉄および不純物であることを特徴とする溶接材料用鋼材。
  7. 化学組成が質量%にて、C:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、さらにCa:0.0003〜0.005%およびMg:0.0003〜0.005%の1種または2種を含有することを特徴とする溶接材料用鋼材。
  8. 化学組成が質量%にて、C:0.01〜0.15%、Si:0.02〜0.8%、Mn:0.6〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.004〜0.08%、N:0.015%以下、Co:0.1〜10.0%で、さらにCu:0.1〜1.2%、Ni:0.1〜10.0%、Cr:0.1〜3.0%、Mo:0.1〜3.0%、V:0.001〜0.2%、Ti:0.003〜0.3%、B:0.0002〜0.008%およびNb:0.001〜0.05%、のうちの1種以上と、Ca:0.0003〜0.005%およびMg:0.0003〜0.005%の1種または2種を含有し、残部が鉄および不純物であることを特徴とする溶接材料用鋼材。

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