JP2005232515A - 大入熱溶接継手靭性に優れた厚鋼板 - Google Patents

大入熱溶接継手靭性に優れた厚鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】 大入熱溶接を施した場合でも−40℃レベルの低温における溶接継手靭性に優れ、かつ船舶、海洋構造物、橋梁、建築構造物などの溶接構造物用として求められる強度の要求も満たす厚鋼板を提供する。
【解決手段】 本発明に係る大入熱溶接継手靭性に優れた厚鋼板とは、C:0.01〜0.15%(「質量%」の意味。以下同じ。)、Si:0.80%以下(0%を含まない)、Mn:1.2〜2.40%、Ti:0.013〜0.10%、B:0.0015〜0.005%、N:0.0040〜0.0100%、O:0.0010〜0.005%、Al:0.010%未満(0%を含まない)、を満たし、残部が実質的に鉄および不可避不純物からなる鋼であり、金属組織の60面積%以上がベイナイトである。

Description

本発明は、溶接継手靭性に優れた厚鋼板に関するものであり、特に、大入熱溶接によって得られた溶接継手であっても−40℃レベルの低温で優れた靭性を発揮する高強度の厚鋼板に関するものである。なお、本発明において高強度とは490MPa以上を指す。
厚鋼板は、船舶や海洋構造物、橋梁、建築構造物などの溶接構造物等の素材として用いられており、従来から溶接継手における熱影響部の靭性(以下、「HAZ靭性」と称する場合がある)を確保するため、Ti含有酸化物を母材中に分散させることによって、HAZ部の冷却時に粒内からフェライトを生成させて組織を微細化することが試みられてきた。
例えば特許文献1には、Ti酸化物、あるいはTi酸化物とTi窒化物との複合体のいずれか1種あるいは2種を析出させることによって、HAZ部の粗粒化域における冷却時のγ→α変態を制御して粒内フェライトを生成させ、HAZ靭性を向上させることが記載されている。
また特許文献2には、適正な合金設計を行なった鋼について、所定の寸法、分布のTi酸化物とTi窒化物+MnSの複合体の両者を併存させることによって、溶接後の冷却時における粒内フェライトの生成を促進してHAZの低温靭性を改善することが記載されている。
しかし近年では、生産効率を高めるべく溶接時の入熱量を一段と大きくすることが求められているが、上記技術では大入熱溶接を適用場合のHAZ靭性は尚不充分である。
また上述した様な溶接構造物は、その用途から低温に曝されることが多く、−40℃レベルの低温でも確実に良好なHAZ靭性を有する厚鋼板が望まれている。
特公平7-824号公報([特許請求の範囲]、第5欄参照) 特公平5-77740号公報([特許請求の範囲]、第7欄参照)
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、大入熱溶接を施した場合でも−40℃レベルの低温における溶接継手靭性に優れ、かつ船舶、海洋構造物、橋梁、建築構造物などの溶接構造物用として求められる強度の要求も満たす厚鋼板を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る大入熱溶接継手靭性に優れた厚鋼板とは、C:0.01〜0.15%(「質量%」の意味。以下同じ。)、Si:0.80%以下(0%を含まない)、Mn:1.2〜2.40%、Ti:0.013〜0.10%、B:0.0015〜0.005%、N:0.0040〜0.0100%、O:0.0010〜0.005%、Al:0.010%未満(0%を含まない)、を満たし、残部が実質的に鉄および不可避不純物からなる鋼であり、金属組織の60面積%以上がベイナイトである点に要旨を有する。
上記鋼の固溶B量は、5ppm以上であるものが好ましい。
更に他の元素として、
(1)Ni:3.0%以下(0%を含まない)、Cu:3.0%以下(0%を含まない)、Cr:2%以下(0%を含まない)およびMo:1.5%以下(0%を含まない)、よりなる群から選択される1種以上、
(2)Nb:0.10%以下(0%を含まない)および/またはV:0.10%以下(0%を含まない)、
(3)Ca:0.005%以下(0%を含まない)、Mg:0.005%以下(0%を含まない)、Zr:0.05%以下(0%を含まない)およびREM:0.02%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上、
等を含むものが好ましい。
鋼中に含まれる介在物のうち、平均粒径が0.05〜1μmのTi系介在物が、倍率1000倍で観察したときに10000個/cm2以上であるとともに、平均粒径が2μm以上の介在物が、倍率200倍で観察したときに2000個/cm2以下であるものが好ましい。
本発明によれば、強度が490MPa以上であり、しかも大入熱溶接を施した場合でも−40℃レベルの低温で良好な溶接継手靭性を有する厚鋼板を提供できる。
本発明に係る厚鋼板を大入熱溶接して得られる溶接継手は、低温でも優れた靭性を発揮するため、例えば、船舶や海洋構造物、橋梁、建築構造物などの溶接構造物等の素材として好適に用いることができる。
本発明者らは、大入熱溶接を行った場合でも低温における溶接継手靭性に優れた厚鋼板を得るべく鋭意研究を行った。その結果、(1)上記従来技術の如く、溶接後の冷却時に粒内フェライトのみを成長させるのではなく、粒内フェライトと共に粒内ベイナイト(望ましくは全面粒内ベイナイト)を形成させるのがよいこと、(2)そのためには、厚鋼板に含まれるBとNの濃度を高めてやればよいこと、(3)更に厚鋼板の金属組織をベイナイト主体としてやれば、ベイナイト変態時に生成するMA組織(島状マルテンサイト組織)にNを固溶させることができるため、母材靭性を一段と高めることができること、を見出し、本発明を完成した。
こうしたことに加えて、(4)鋼板中における粗大な介在物の生成を抑制すると共に、微細なTi系介在物を多数生成させてやれば、上記粒内ベイナイトをより多数確実に生成させることができ、低温における大入熱溶接継手靭性を一段と高めることができることもつきとめた。以下、本発明の作用効果について詳細に説明する。
本発明の厚鋼板は、溶接後のHAZ部が冷却される際に、粒界フェライトの生成を抑制すると共に、粒内フェライトと共に粒内ベイナイトを形成させることが重要であり、そのためには、厚鋼板に含まれるBとNの濃度を高める必要がある。
即ち、従来では、鋼板中にTi含有酸化物を生成させることによって、溶接後の冷却時に粒内からフェライトを生成させ、金属組織を微細化することが試みられていた。しかしこうした技術では、近年要求されているレベル(例えば、入熱量:50kJ/mm以上)の大入熱溶接で得られるHAZの低温靭性は、満足できるものではなかった。大入熱溶接ではHAZにおける冷却速度が小さくなるため、鋼板中にTi含有酸化物を生成させたとしても、粒界フェライトの生成が優先し、粒内フェライトの核生成が抑制されるからと考えられる。
そこで本発明者らは、溶接後の冷却時における粒界フェライトの生成を抑制し、粒内フェライトの生成を促進させる方策について検討を重ねた。その結果、粒内フェライトと共に粒内ベイナイトを生成させてやれば、大入熱溶接を施した場合でも低温において優れた溶接継手靭性を有する厚鋼板が得られることを知った。そして粒内フェライトと共に粒内ベイナイトを生成させるためには、厚鋼板に含まれるBとNの濃度を相対的に高めてやれば良いことをつきとめた。また、Ti酸化物の形態を制御してやれば、粒内ベイナイト分率が向上し、HAZ靭性が向上することを見出した。
なお、本発明の鋼板は、溶接後の冷却時においてHAZ部で、粒内ベイナイトが生成することが好ましいが、図1の(a)や(b)に示す顕微鏡写真(図面代用写真)の如く粒界から若干であればベイナイトやフェライトが生成しても構わない。
まず、上記内容も含めて、本発明に係る厚鋼板に含まれる化学成分について説明する。
本発明の厚鋼板は、基本成分として、質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:0.80%以下(0%を含まない)、Mn:1.2〜2.40%、Ti:0.013〜0.10%、B:0.0015〜0.005%、N:0.0040〜0.0100%、O:0.0010〜0.005%、Al:0.010%未満(0%を含まない)、を含むものである。以下、各元素量を規定した理由について詳述する。
C:0.01〜0.15%
Cは、母材の強度を確保するのに必要な元素であり、0.01%以上含有する必要がある。好ましくは0.03%以上であり、0.03%以上であれば溶接後の冷却時において粒内ベイナイトの生成を促進する効果も高まる。さらに好ましくは0.05%以上である。しかしC量が過剰になると、耐溶接割れ性やHAZ靭性が劣化するため、C量は0.15%以下に抑える必要がある。HAZ靭性をより高めるには、C量を0.13%以下に抑えることが好ましい。より好ましくは0.11%以下である。
Si:0.80%以下(0%を含まない)
Siは、予備脱酸剤として有用な元素であるが、過剰に含まれると母材靭性とHAZ靭性がともに低下する。よってSi量の上限は0.80%とする。好ましくは0.50%以下であり、より好ましくは0.30%以下である。
Mn:1.2〜2.40%
Mnは、焼入れ性を改善する作用を有すると共に、溶接後の冷却時においてHAZ部での粒内ベイナイトの生成を促進し、HAZ靭性を向上させる効果も有している。この様な効果を有効に発揮させるには、Mnを1.2%以上含有させる必要があり、好ましくは1.3%以上、より好ましくは1.5%以上である。しかし過剰に含有するとHAZ靭性が却って劣化するため、Mn量は2.40%以下に抑える必要がある。好ましくは2.0%以下であり、より好ましくは1.8%以下である。
Ti:0.013〜0.10%
Tiは、鋼板中に酸化物や窒化物(以下、「Ti系介在物」と総称する)を形成し、溶接後の冷却時においてHAZ部で粒内フェライトや粒内ベイナイトの生成を促進し、HAZ靭性を大幅に改善する効果を有する重要な元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、少なくとも0.013%含有させる必要がある。Ti含有量が高いと、Ti酸化物中に占めるTi含有量が高くなると共に、Ti窒化物の生成量も増えるため、粒内ベイナイトの生成がより促進されるため好ましく、こうした観点から0.015%以上含有させるのがよい。より好ましくは0.018%以上である。しかしTi量が過剰になると、HAZ靭性と母材靭性がともに劣化するので、0.10%以下に抑える必要がある。好ましくは0.050%以下、より好ましくは0.030%以下である。
B:0.0015〜0.005%
Bは、鋼中に固溶して焼入れ性を高め、強度を確保するうえで有用な元素である。また溶接後の冷却時におけるHAZ部では、固溶B(フリーB)が粒界からのフェライト生成を抑制してHAZ靭性を改善する作用を有する。さらにHAZ部が冷却される際には、Bは鋼中に存在するフリーNと結合して窒化物を生成し、上記Ti酸化物と併せて複合析出することで、粒内フェライトと粒内ベイナイトの生成を飛躍的に促進する。こうした効果を有効に発揮させるには、0.0015%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.0020%以上、さらに好ましくは0.025%以上である。しかしB量が過多で固溶B量が多くなると、却って焼入れ性が低下すると共に、母材靭性やHAZ靭性も劣化する。よってB量は0.005%以下に抑える必要がある。好ましくは0.0050%以下、より好ましくは0.0040%以下、さらに好ましくは0.0035%以下である。
N:0.0040〜0.0100%
Nは、TiやBと結合して窒化物を形成し、溶接後の冷却時においてHAZ部で粒内フェライトや粒内ベイナイトの生成を促進し、HAZ靭性を改善するのに有効な元素である。この様な効果を有効に発揮させるには、0.0040%以上含有させる必要がある。好ましくは0.0040%を超えて含有させることが望ましく、より好ましくは0.0045%以上、さらに好ましくは0.0050%以上である。しかしN量が過剰になると、母材靭性とHAZ靭性がともに劣化するので、N量は0.0100%以下に抑える必要がある。好ましくは0.0040%以下であり、より好ましくは0.0035%以下である。
O:0.0010〜0.005%
O(酸素)は、Ti酸化物を形成して溶接後の冷却時におけるHAZ部において、粒内ベイナイトの生成を促進するのに有効な元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、酸素を0.0010%以上含有させる必要があり、好ましくは0.0015%以上、より好ましくは0.0020%以上である。しかし酸素含有量が過剰になると、粗大な酸化物が生成し易くなり、却ってHAZ靭性を劣化させるので、0.005%以下に抑えなければならない。好ましくは0.0038%以下、より好ましくは0.0030%以下である。
Al:0.010%未満(0%を含まない)
Alは、強力な脱酸元素であり、Alが過剰に含まれていると酸化物中に占めるAlの割合が増大し、溶接後の冷却時におけるHAZ部において、粒内ベイナイトの生成を阻害するため、本発明の厚鋼板ではAl量は極力低減するのがよい。こうしたことから本発明ではAl含有量を0.010%未満に抑える。好ましくは0.007%以下であり、より好ましくは0.004%以下である。尚、上記「0%を含まない」とは、不純物として不可避的に混入することを意味し、Alを積極的に添加することを意味するものではなく、0.010%未満であれば許容できるという意味である。
本発明に係る厚鋼板は上記化学成分を含むものであり、残部は、実質的に鉄および不可避不純物からなる鋼であるが、不可避不純物として含まれるPやSは、P:0.02%以下(0%を含まない)および/またはS:0.01%以下(0%を含まない)を満たすものが好ましい。
P:0.02%以下(0%を含まない)および/またはS:0.01%以下(0%を含まない)
P(リン)やS(硫黄)は、鋼板中に不可避不純物として存在する元素であり、溶接性や母材靭性を低下させる等の悪影響を及ぼすのでできるだけ低減することが好ましい。よってPは0.02%以下に抑えることが好ましく、より好ましくは0.020%以下、さらに好ましくは0.010%以下である。また、Sは、0.01%以下に抑えることが好ましく、より好ましくは0.010%以下、さらに好ましくは0.005%以下である。尚、上記「0%を含まない」とは、不純物として不可避的に混入することを意味し、PやSを積極的に添加することを意味するものではなく、夫々の上限までであれば許容できることを意味する。
本発明に係る厚鋼板は、上記元素に加えて、更に他の元素として、
(a)Ni:3.0%以下(0%を含まない)、Cu:3.0%以下(0%を含まない)、Cr:2%以下(0%を含まない)およびMo:1.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上、
(b)Nb:0.10%以下(0%を含まない)および/またはV:0.10%以下(0%を含まない)、
(c)Ca:0.005%以下(0%を含まない)、Mg:0.005%以下(0%を含まない)、Zr:0.05%以下(0%を含まない)およびREM:0.02%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上、
等を含むものであってもよい。この様な範囲を規定した理由は下記に示す通りである。
Ni:3.0%以下(0%を含まない)、Cu:3.0%以下(0%を含まない)、Cr:2%以下(0%を含まない)およびMo:1.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上
Ni,Cu,CrおよびMoは、何れも焼入れ性を向上させる有用な元素である。
Niは、焼入れ性を高めて母材強度を向上させると共に、マトリックスを強靭化して母材靭性とHAZ靭性の向上に寄与する元素である。しかしNiを過剰に含有させると、却ってHAZ靭性を劣化させるため、Ni量は3.0%以下に抑えるのがよく、より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。なお、Niは、少量の添加でその効果を発揮するが、より有効にその効果を発揮させるには0.2%以上含有させることが望ましい。
Cuは、焼入れ性を向上させると共に、固溶強化および析出強化により母材強度を向上させる元素である。しかしCuを過剰に含有させると、却ってHAZ靭性が低下するので、3.0%以下に抑えるのがよい。より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。
なお、Cuは、少量の添加でその効果を発揮するが、より有効にその効果を発揮させるには0.2%以上含有させることが望ましい。また0.5%を超えるCuを添加する場合には、圧延中の熱間割れを防止するためにCuと併せてNiを併用添加することが好ましく、このときNi含有量(質量%)は、Cu含有量(質量%)の半分程度以上とすることが好ましい。より好ましくは化学当量以上のNiを添加することが推奨される。
Crは、焼入れ性を高めて母材強度を向上させる作用を有する元素である。しかし過剰に含有させると、MA(島状マルテンサイト)の生成量が増加し却ってHAZ靭性が劣化する。よってCr量は、2%以下の範囲内で添加することが好ましい。より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1.0%以下である。なお、Crは少量の添加でその効果を発揮するが、より有効にその効果を発揮させるには0.2%以上含有させることが好ましい。
Moは、焼入れ性を高めて母材強度の向上に寄与する元素である。しかしMo量が過剰になると、HAZ靭性が大幅に劣化するので、1.5%以下の範囲内で添加することが好ましい。より好ましくは1.0%以下であり、さらに好ましくは0.6%以下である。なお、Moは少量の添加でその効果を発揮するが、より有効にその効果を発揮させるには、0.05%以上含有させることが好ましい。
Nb:0.10%以下(0%を含まない)および/またはV:0.10%以下(0%を含まない)
Nbは、焼入れ性と焼き戻し軟化抵抗を効果的に高める元素である。しかしNb量が過剰になると、母材靭性とHAZ靭性がともに低下する。特に、NbはTi酸化物の周囲に偏析し易いため、溶接後の冷却時におけるHAZ部では、Ti酸化物を核とする粒内ベイナイトの生成を抑制するため、HAZ靭性を劣化させる原因となる。よってNbは、0.10%以下の範囲内で添加することが好ましい。より好ましくは0.050%以下であり、さらに好ましくは0.030%以下、特に好ましくは0.010%以下である。なお、Nbは少量の添加でその効果を発揮するが、より有効にその効果を発揮させるには0.003%以上含有させることが望ましい。
Vは、上記Nbと同様に、焼入れ性や焼き戻し軟化抵抗を効果的に高める元素である。しかしVが過剰になると、上記Nbと同様に、母材靭性とHAZ靭性がともに低下する。VもTi酸化物の周囲に偏析し易いため、溶接後の冷却時におけるHAZ部において、Ti酸化物を核とする粒内ベイナイトの生成を抑制し、HAZ靭性を劣化させる要因となる。よってVは、0.10%以下の範囲内で含有させることが好ましい。より好ましくは0.050%以下、さらに好ましくは0.030%以下に抑えるのがよい。なお、Vも少量の添加でその効果を発揮するが、より有効にその効果を発揮させるには0.003%以上含有させるのがよい。
Ca:0.005%以下(0%を含まない)、Mg:0.005%以下(0%を含まない)、Zr:0.05%以下(0%を含まない)およびREM:0.02%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上
Ca:0.005%以下(0%を含まない)
Caは、MnS等の硫化物を球状化して介在物の異方性を低減し、HAZ靭性を向上させる効果を有する。しかしCaを過剰に添加すると、母材靭性とHAZ靭性が却って低下するので、上限は0.005%とすることが望ましい。より好ましくは0.0050%以下、さらに好ましくは0.003%以下である。なお、Caは、少量の添加でその効果を発揮するが、より有効にその効果を発揮させるには0.0005%以上含有させるのが好ましい。
Mg:0.005%以下(0%を含まない)
Mgは、介在物を微細化して母材靭性やHAZ靭性を改善する効果を有する。しかし過剰に添加すると、母材靭性やHAZ靭性が却って劣化するので、0.005%以下の範囲内で添加するのが好ましい。より好ましくは0.0050%以下、さらに好ましくは0.003%以下である。なお、Mgは、少量の添加でその効果を発揮するが、より有効にその効果を発揮させるには、0.0002%以上含有させるのが好ましい。
Zr:0.05%以下(0%を含まない)
Zrは、HAZ靭性を改善する効果を有するが、過剰に添加すると母材靭性やHAZ靭性が却って劣化するので、0.05%以下の範囲内で添加するのが好ましい。より好ましくは0.050%以下であり、さらに好ましくは0.03%以下である。なお、Zrは、少量の添加でその効果を発揮するが、より有効にその効果を発揮させるには0.005%以上含有させることが好ましい。
REM:0.02%以下(0%を含まない)
REM(希土類元素)は、HAZ靭性を改善する効果を有するが、過剰に添加すると母材靭性やHAZ靭性が却って劣化するので、0.02%以下の範囲内で添加することが好ましい。より好ましくは0.020%以下であり、さらに好ましくは0.03%以下である。なお、REMは、少量の添加でその効果を発揮するが、より有効にその効果を発揮させるには0.001%以上含有させるのが好ましい。
Ca,Mg,ZrおよびREMは、単独添加でその効果を発揮するが、2種以上を併用添加する場合は、合計量を0.06%以下とすることが好ましい。
次に、本発明に係る厚鋼板の金属組織について説明する。
本発明における厚鋼板の金属組織は、ベイナイトを主体とするものであり、具体的には、金属組織に占めるベイナイトの割合が、面積率で60%以上である。ベイナイト変態時に生成するMA組織(島状マルテンサイト組織)は、フェライトよりも多くのNを固溶させるため、ベイナイト分率が60%未満ではフェライト分率が高くなり、MA組織中のN固溶量が少なくなって母材靭性を劣化させる。これに対しベイナイト分率が60面積%以上であれば、ベイナイト変態時に生成するMA組織にNを固溶させることができ、母材靭性を高めることができる。金属組織に占めるベイナイト分率は、70面積%以上であることが好ましく、より好ましくは75面積%以上、さらに好ましくは80面積%以上、特に好ましくは85面積%以上、極めて好ましくは90面積%以上である。最も好ましくは、実質的にベイナイトからなる厚鋼板である。
金属組織におけるベイナイト以外の残部組織は、基本的にはフェライトであるが、微量であればパーライトやマルテンサイトなどの組織が生成していてもよい。
金属組織に占めるベイナイト分率(面積率)は、厚板方向の1/4位置において、圧延方向に平行な断面から試験片を採取し、この試験片の表面を鏡面研磨した後、ナイタール2%液によりエッチングし、200×150μmの範囲を光学顕微鏡を用いて400倍で10箇所撮影し、画像解析装置によりベイナイト分率を測定した。
本発明に係る厚鋼板は、固溶B量が5ppm以上であるものが好ましい。鋼板中に固溶しているB量が多いほど母材のベイナイト分率が高くなり、母材靭性が向上する。鋼板中の固溶B量は微量でもその効果を発揮するが、より有効にその効果を発揮させるには、5ppm以上であることが好ましい。より好ましくは8ppm以上、さらに好ましくは10ppm以上である。
鋼板中に存在する固溶Bは、次に示す手順で測定した。即ち、板厚方向の1/4位置から採取した試験片を電界抽出した残渣に対してクルクミン吸光度法を用いてB量を測定し、このB量をトータルB量から引いた差の値を固溶B量とする。電解抽出条件は、電界液として10%アセチルアセトンと1%テトラメチルアンモニウムクロリドを含むメタノール溶液を用い、200A/m2以下の電流下で行なった。抽出後の濾別には、粗さが0.1μmのフィルターを用いた。
なお、鋼板中に存在させる固溶B量を5ppm以上とするには、後述する様に、例えば、加熱温度や850〜950℃での圧下率、500〜700℃での冷却速度などを調整することが有効である。
本発明に係る厚鋼板は、鋼中に含まれる介在物のうち、平均粒径が0.05〜1μmのTi系介在物が、倍率1000倍で観察したときに10000個/cm2以上であるとともに、平均粒径が2μm以上の介在物が、倍率200倍で観察したときに2000個/cm2以下であることが好ましい。
鋼中に平均粒径が0.05〜1μmのTi系介在物(以下、「微細なTi系介在物」と称することがある。)が多数存在することにより、溶接後の冷却時におけるHAZ部において、粒内からのベイナイトの生成を促進できる。更に、平均粒径が2μm以上の介在物(以下、「粗大な介在物」と称することがある。)は、フェライトの生成核として作用するので、これを少なく抑えることで、ベイナイトの生成を促進できる。また粗大な介在物は、微細なベイナイト組織においては破壊の起点となりやすいため、粗大な介在物を低減することによって微細なベイナイト組織による効果を十分に発揮させることができる。
鋼板中に存在する平均粒径が0.05〜1μmのTi系介在物は、その数が多いほど粒内ベイナイトの生成を促進するため望ましく、より好ましくは20000個/cm2以上、さらに好ましくは40000個/cm2以上である。作用効果の観点からすると、上記微細なTi系介在物の個数に上限はないが、析出可能な介在物の個数はおおよそ1×108個/cm2程度が上限と考えられる。なお、本発明において、Ti系介在物の平均粒径とは、Ti系介在物の粒径を円相当粒径として換算した値を指す。
微細なTi系介在物としては、Ti含有酸化物が好ましく、Ti含有酸化物は析出させ易い。但し、Ti含有窒化物もTi含有酸化物と同様の効果を奏するので、Ti含有窒化物を析出させてもよい。前記Ti含有酸化物としては、Ti以外の合金元素としてSiやCa,Mg等が含まれていてもよく、Tiと共に含まれる元素としては特にMnが好適である。より好ましくは、酸化物を構成する全合金元素に占めるTi+Mnの割合が、60質量%以上(さらに好ましくは70質量%以上)のものがよい。
Ti系介在物を観察する際の観察倍率は1000倍とし、例えば、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて観察すればよい。
一方、平均粒径が2μm以上の介在物は、倍率200倍で観察したときに1000個/cm2以下であることがより好ましく、さらに好ましくは500個/cm2以下である。なお、本発明において、介在物の平均粒径とは、介在物の粒径を円相当径として換算した値を指す。
粗大な介在物としては、各種合金元素からなる酸化物や硫化物、窒化物などが含まれる。
介在物を観察する際の観察倍率は200倍とし、例えば、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)、EPMA(electron probe microanalyzer)装置を用いて観察すればよい。
上述した様に、粗大な介在物の生成を抑えた上で、微細なTi系介在物(特に、Ti含有酸化物)を多数生成させれば、溶接後の冷却時におけるHAZ部において、粒内ベイナイトが生成し易くなり、HAZ靭性を大幅に改善できる。
Ti系介在物や介在物の数を上記範囲に制御するには、後述する様に、Tiを添加する前の溶鋼中に溶存している酸素量やTiを添加してから鋳込むまでの保持時間などを調整することが有効である。
本発明に係る厚鋼板は、上記要件を満足するものであればその製法は特に限定されるものではないが、以下に示す製法を採用すれば確実に製造できる。
微細なTi系介在物の数を増大させつつ、粗大な介在物を低減するには、溶製段階において、Ti添加前の溶鋼に溶存している酸素量と、Ti添加後から鋳造するまでの保持時間を厳密に管理することが有効である。
具体的には、溶製段階において、溶存している酸素量を20〜100ppmの範囲内に調整した溶鋼に対してTiを添加する。Tiを添加する直前の溶鋼に溶存している酸素量を調整することで、上述した微細なTi系介在物(特に、微細なTi酸化物)を多数生成させることができるからである。微細なTi酸化物をより多く生成させるには、溶鋼中の溶存酸素量を20ppm以上に調整しておくことが好ましく、より好ましくは25ppm以上である。しかしTi添加前の溶鋼中に溶存している酸素量が過剰であると、Ti酸化物が粗大化したり、Ti以外の酸化物が生成しやすくなるので好ましくない。よってTiを添加する前の溶鋼は、溶存酸素量を100ppm以下に抑えておくことが好ましい。より好ましくは溶鋼中の溶存酸素量を70ppm以下に抑えてからTiを添加する。
溶製段階において、Tiを添加する直前の溶鋼に溶存している酸素量を制御するには、例えば、Mnを添加することによる脱酸、真空C(カーボン)脱酸、Siを添加することによる脱酸、等の手段を単独で、もしくは任意に組み合わせて行えばよい。
次に、Tiを添加した後は、鋼板の最終成分に調整するためCやSi,Mn等を添加してから鋳込むが、本発明の厚鋼板を確実に得るには、Tiを添加した後、鋳込むまでの間、溶鋼をある程度の時間静止状態で保持することが有効である。
具体的には、Ti添加後、10〜50分間程度静止状態で保持する。Ti添加後に、10分間以上静止状態で保持してやれば、その間に上記粗大な介在物が浮上分離し、平均粒径が2μm以上の介在物の数を低減できるからである。より好ましくは15分間以上、さらに好ましくは20分間以上である。しかしTi添加後の保持時間が長過ぎると、溶鋼内に分散している微細なTi系介在物が互いに凝集して粗大化し、粒内ベイナイトの生成核として有効に作用する好適なサイズのTi系介在物量を確保できなくなるので、上記保持時間は50分間以下とする。より好ましくは40分間以下である。
なお、Ti添加後の保持は、通常の溶製で行われている通り、約1550〜1650℃の間で行なえばよい。また、実操業においては、Tiと併せてSiやMn,Cを最終成分量となるよう同時添加するのが一般的であるので、こうした元素を全て添加してから鋳込むまでの時間を上記の範囲に調整して操業すればよい。
一方、鋼板の金属組織の60面積%以上をベイナイトとするには、鋼板中にBを固溶させておくことが有効である。そのためには、加熱温度を1000〜1250℃程度とし、850〜950℃での圧下率を40%以下とし、圧延終了後の500〜700℃の冷却速度を5℃/sec以上とすることが推奨される。
加熱温度が1000℃未満ではBが鋼中に充分に固溶せず、一方1250℃を超えると加熱過多となってγ粒径が大きくなり過ぎると共にTiNが分解して固溶Nを増加させる。その結果、固溶Bが低減するためにベイナイト分率が低下し、靭性を劣化させる。より好ましくは加熱温度を1050℃以上、1200℃以下とする。
加熱後の圧延では、850〜950℃の範囲でBが析出するために、この温度域では極力圧下しない様に操業することが好ましい。即ち、この温度域での圧下率が40%を超えると、析出するBが多くなって殆ど鋼中に固溶せず、ベイナイトが生成し難くなる。より好ましくは圧下率を30%以下に抑えるのがよい。
圧延終了後は、500〜700℃の範囲の冷却速度を5℃/sec以上とすることが好ましい。この温度域の冷却速度が5℃/sec未満では、ベイナイトが生成し難いからである。より好ましくは10℃/sec以上である。
製造工程における上記以外の条件については特に限定されず、通常行われている製造条件を採用すればよい。また、下記実施例に示す如く母材の強度や靭性を調整するため必要に応じて熱処理を施してもよい。
なお、本発明に係る厚鋼板の板厚は特に限定されないが、50〜100mm程度の厚さであっても、高強度で、しかも低温における溶接継手靭性にも優れたものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
表1または2に示す化学成分組成の鋼を、表3に示す方法で溶製し、鋳造してスラブを得た。得られたスラブを、表3に示す加熱温度に加熱した後、表3に示す圧延条件で圧下して板厚50mmの鋼板を得た。尚、母材の強度や靭性を調整するため、必要に応じて500〜650℃までの焼戻し処理を施した。
得られた鋼板から試料を採取し、固溶B量、金属組織(ベイナイト分率)、母材に存在する介在物のサイズと個数、母材特性およびHAZ靭性を測定した。各測定項目の測定手順等は次の通りである。
[固溶B量]
得られた鋼板から採取した試料を用い、上述した手順で固溶B量を算出した。算出結果を下記表3に示す。
[金属組織(ベイナイト分率)]
得られた鋼板から採取した試料を用い、上述した手順でベイナイト分率を測定した。測定結果を下記表4に示す。
なお、残りの金属組織は、フェライトやパーライト、マルテンサイトであった。
[介在物のサイズと個数の測定]
母材中に存在する介在物のサイズと個数は、以下の手法で測定した。
<測定位置(試料の採取位置)>
板厚の1/4の位置から、圧延方向に平行な断面が観察できるように試料を採取した。得られた試料を用いて、下記の通り、平均粒径が2μm以上の介在物と平均粒径が0.05〜1μmのTi系介在物の個数を測定した。ここで、平均粒径とは、粒径を円相当粒径に換算した値を意味する。
<平均粒径が2μm以上の介在物の個数測定>
EPMA装置を用いて100mm2(即ち、10mm×10mm)の領域を倍率200倍で観察し、平均粒径が2μm以上の介在物の個数を測定した。尚、介在物のサイズは、円相当粒径を求めて平均粒径値とした(以下同じ)。
<平均粒径が0.05〜1μmのTi系介在物の個数測定>
FE−SEM/EDX装置を用いて、平均粒径が0.05〜1μmの介在物20個について組成分析を行い、介在物20個のうちTi含有量が10質量%以上である介在物の割合を求めた。次に、0.1mm2の領域において、1000倍の反射電子像を用いて0.01mm2の任意の10視野を撮影し、画像解析装置により、平均粒径が0.05〜1μmの介在物の個数を測定し、該10視野の合計個数に前記Ti含有介在物の割合を乗し、更に1000倍することで1cm2あたりの平均粒径0.05〜1μmのTi系介在物の数を求めた。結果を下記表4に示す。
[母材特性]
鋼板から、JIS4号試験片を採取して鋼板の引張強度とvE-40を測定した。引張強度が490MPa以上で、かつvE-40が47J以上であるものを、優れた母材特性を有していると評価し、この様に優れた母材特性が確保されているものについて、下記の通り、溶接継手靭性の評価を行った。結果を下記表4に示す。
[溶接継手靭性]
鋼板から切り出した試験片(サイズ:12.5mm×32mm×55mm)を1400℃に加熱し、この温度で5秒間保持した後、800℃から500℃までを500秒間で冷却する熱サイクル(60kJ/mmの入熱でSAW溶接したときのHAZの熱履歴に相当)を施し、各試験片からシャルピー試験片を採取してvE-40を測定した。そしてvE-40が47J以上の場合を溶接継手靭性に優れていると評価した。結果を下記表4に示す。
Figure 2005232515
Figure 2005232515
Figure 2005232515
Figure 2005232515
表1〜4から次の様に考察できる。
No.1〜17は、本発明で規定する要件を満たすものであり、大入熱溶接であっても低温における溶接継手靭性に優れた高強度厚鋼板が得られている。
これに対して、No.21〜32,No.38〜41は、本発明で規定する何れかの要件を満たさないため、母材特性が不十分であるか、低温における溶接継手靭性(HAZ靭性)に劣る結果となった。即ち、No.21は、ベイナイト分率が低いため、母材靭性が劣る。No.22は、加熱温度が高いためベイナイト分率が低くなり、母材靭性が劣る。No.23は、500〜700℃での冷却速度が小さいためベイナイト分率が低くなり、母材靭性が劣る。No.24は、C量が多いため、HAZ靭性に劣る。No.25は、Si量が多いため、母材靭性とHAZ靭性が共に劣る。No.26は、Mn量が不足するため、母材強度を確保できない。No.27は、Mn量が多いため、HAZ靭性を確保できなかった。No.28は、酸素量が不足するため、HAZ靭性に劣る結果となった。No.29は、酸素量が多いため、十分なHAZ靭性を確保できなかった。No.30は、窒素量が少なすぎるため、HAZ靭性に劣っている。No.31は、窒素量が多いため、HAZ靭性に劣っている。No.32は、Al量が多いため、HAZ靭性に劣る結果となった。No.38は、B量が多いため、HAZ靭性に劣る。No.39は、B量が不足するため、HAZ靭性に劣る結果となった。No.40は、Ti量が不足するため、HAZ靭性に劣る結果となった。No.41は、Ti量が多いため、HAZ靭性に劣る。
なお、No.33〜37は参考例であり、No.33〜35から、HAZ靭性を確保するためには、NiやCu,Cr,Moを規定の範囲内で添加するのがよいことがわかる。また、No.36〜37から、HAZ靭性を確保するためには、NbやVを規定の範囲内で添加するのがよいことがわかる。
鋼板組織の一例を示す顕微鏡写真(図面代用写真)である。

Claims (6)

  1. C :0.01〜0.15%(「質量%」の意味。以下同じ。)、
    Si:0.80%以下(0%を含まない)、
    Mn:1.2〜2.40%、
    Ti:0.013〜0.10%、
    B :0.0015〜0.005%、
    N :0.0040〜0.0100%、
    O :0.0010〜0.005%、
    Al:0.010%未満(0%を含まない)、
    を満たし、残部が実質的に鉄および不可避不純物からなる鋼であり、金属組織の60面積%以上がベイナイトであることを特徴とする大入熱溶接継手靭性に優れた厚鋼板。
  2. 固溶B量が5ppm以上である請求項1に記載の厚鋼板。
  3. 更に他の元素として、
    Ni:3.0%以下(0%を含まない)、
    Cu:3.0%以下(0%を含まない)、
    Cr:2%以下(0%を含まない)、および、
    Mo:1.5%以下(0%を含まない)、
    よりなる群から選択される1種以上を含む請求項1または2に記載の厚鋼板。
  4. 更に他の元素として、Nb:0.10%以下(0%を含まない)、および/または、V:0.10%以下(0%を含まない)、を含む請求項1〜3のいずれかに記載の厚鋼板。
  5. 更に他の元素として、
    Ca :0.005%以下(0%を含まない)、
    Mg :0.005%以下(0%を含まない)、
    Zr :0.05%以下(0%を含まない)、および、
    REM:0.02%以下(0%を含まない)、
    よりなる群から選択される1種以上を含む請求項1〜4のいずれかに記載の厚鋼板。
  6. 鋼中に含まれる介在物のうち、
    平均粒径が0.05〜1μmのTi系介在物が、倍率1000倍で観察したときに10000個/cm2以上であるとともに、
    平均粒径が2μm以上の介在物が、倍率200倍で観察したときに2000個/cm2以下である請求項1〜5のいずれかに記載の厚鋼板。
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