JP2019023323A - 鋼板および鋼板の製造方法 - Google Patents
鋼板および鋼板の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019023323A JP2019023323A JP2017142199A JP2017142199A JP2019023323A JP 2019023323 A JP2019023323 A JP 2019023323A JP 2017142199 A JP2017142199 A JP 2017142199A JP 2017142199 A JP2017142199 A JP 2017142199A JP 2019023323 A JP2019023323 A JP 2019023323A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rolling
- oxide
- steel
- mass
- temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/10—Reduction of greenhouse gas [GHG] emissions
- Y02P10/143—Reduction of greenhouse gas [GHG] emissions of methane [CH4]
Landscapes
- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
Description
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、溶接を行った際のHAZにおいて優れた靱性を有し、かつ、HAZと溶接金属部以外の部分である母材において優れた機械的特性を有する鋼板の提供を課題とするものである。
質量%で、
C:0.01%〜0.20%、
Si:0.02%〜0.50%、
Mn:0.30%〜2.50%、
Ti:0.003%〜0.024%、
B:0.0005%〜0.0030%、
N:0.0010%〜0.0090%、
O:0.0010%〜0.0050%、
Zr:0.0005%〜0.0100%、
Sol.Zr:0%〜0.0020%、
Cu:0.1%〜1.5%、
Ni:0.1%〜3.0%、
Al:0%〜0.0050%、
P:0.050%以下、
S:0.0080%以下、
Nb:0%〜0.035%
Cr:0%〜1.0%、
Mo:0%〜1.00%、
V :0%〜0.10%
Mg:0%〜0.0005%
Ca+REM:0%〜0.0005%、並びに、
残部:Fe及び不純物からなる化学組成を有し、
下記式(1)で表されるBFが0.0005%〜0.0030%であり、
下記式(2)で表されるBasBNが0%以下であり、
下記式(3)で表される炭素当量Ceq.が0.45%〜0.55%であり、
圧延方向に垂直な断面の電子線後方散乱回折法(EBSD)を用いた結晶方位解析において、鋼板表側から板厚方向の5mmの位置と板厚方向の1/2位置から鋼板表面に向かって5mmの位置との間の領域での有効結晶粒径の平均値が30μm以下であり、
前記領域での板厚方向の各測定位置における有効結晶粒径の平均値が、前記領域全体での有効結晶粒径の平均値−15μm〜前記領域全体での有効結晶粒径の平均値+15μmの範囲を満足し、
前記領域全体でのミクロ組織が、面積率の平均値にして、ベイナイト分率が80.0%〜100.0%、フェライト分率が0%〜20.0%、パーライト分率が0%〜1.0%、MA分率が0%〜1.0%以下であり、
前記領域での板厚方向の各測定位置におけるベイナイト分率が、前記領域全体でのベイナイト分率の平均値−15%〜前記領域全体でのベイナイト分率の平均値+15%の範囲を満足し、
板厚方向の1/4位置で解析される酸化物は、酸化物中のO量、Ti量、Zr量、およびAl量の測定値から求められる、Ti、Zr、およびAlの元素による単独酸化物と仮定したときの前記Ti、前記Zr、および前記Alの各元素の酸化物の質量換算値の合計に対する、Al酸化物の質量換算値の含有割合が20%以下、Zr酸化物の質量換算値が5%以上、およびZr酸化物とTi酸化物の質量換算値の合計が80%以上を満足し、円相当径が0.5μm〜10μmの個数密度が10個/mm2以上の酸化物である鋼板。
ただし、式中のC、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、鋼板に含まれる各元素の含有量(質量%)である。
板厚が50mm以上であり、溶接熱影響部および溶接金属部以外の部分である、母材の降伏応力が550MPa以上であり、かつアレスト靱性値Kcaが6000N/mm1.5になる温度が−10℃以下であり、入熱4.5kJ/mm〜6.0kJ/mmで溶接を行ったときに発生する溶接熱影響部を、試験温度−10℃で行う亀裂開口変位試験で、破壊直前の亀裂開口量が0.15mm以上である(1)に記載の鋼板。
(1)又は(2)に記載の鋼板を製造する方法であって、
減圧雰囲気の二次精錬において、溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%に調整した溶鋼へ、Ti添加後Zrの順に添加、Zr添加後Tiの順に添加、または、TiとZrとを同時に添加、のいずれか一つの添加順序で、TiとZrとを添加した後、Ti及びZr添加後の溶鋼を鋳造して、鋳片を得る鋳造工程と、
前記鋳造工程後の鋼片を、1000℃〜1150℃の温度域で加熱する加熱工程と、
前記加熱工程後の鋼片を、650℃〜850℃の温度域で圧延を開始し、累積圧下率が50%以上、仕上圧延完了から1sec後の温度が圧延開始温度−80℃〜圧延開始温度+80℃となる圧延を実施する圧延工程と、
前記圧延工程後の鋼板を、650℃〜850℃の温度域であるときに水冷を開始し、表面温度が500℃以下の温度域で水冷を停止する冷却工程と、
を有する鋼板の製造方法。
(1)又は(2)に記載の鋼板を製造する方法であって、
減圧雰囲気の二次精錬において、溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%に調整した溶鋼へTiを添加し、Ti添加後の溶鋼中の溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%に調整した後、Zrを添加し、Ti及びZr添加後の溶鋼を鋳造して、鋳片を得る鋳造工程と、
前記鋳造工程後の鋼片を、1000℃〜1150℃の温度域で加熱する加熱工程と、
前記加熱工程後の鋼片を、650℃〜850℃の温度域で圧延を開始し、累積圧下率が50%以上、仕上圧延完了から1sec後の温度が圧延開始温度−80℃〜圧延開始温度+80℃となる圧延を実施する圧延工程と、
前記圧延工程後の鋼板を、650℃〜850℃の温度域であるときに水冷を開始し、表面温度が500℃以下の温度域で水冷を停止する冷却工程と、
を有する鋼板の製造方法。
(1)又は(2)に記載の鋼板を製造する方法であって、
減圧雰囲気の二次精錬において、溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%に調整した溶鋼へZrを添加し、Zr添加後の溶鋼中の溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%に調整した後、Tiを添加し、Ti及びZr添加後の溶鋼を鋳造して、鋳片を得る鋳造工程と、
前記鋳造工程後の鋼片を、1000℃〜1150℃の温度域で加熱する加熱工程と、
前記加熱工程後の鋼片を、650℃〜850℃の温度域で圧延を開始し、累積圧下率が50%以上、仕上圧延完了から1sec後の温度が圧延開始温度−80℃〜圧延開始温度+80℃となる圧延を実施する圧延工程と、
前記圧延工程後の鋼板を、650℃〜850℃の温度域であるときに水冷を開始し、表面温度が500℃以下の温度域で水冷を停止する冷却工程と、
を有する鋼板の製造方法。
さらに、前記冷却工程後の鋼板を、400℃〜600℃の温度に再加熱する熱処理工程を有する(3)〜(5)のいずれか1項に記載の鋼板の製造方法。
なお、本明細書中において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
しかし、Zrは一般的に鋼板に添加される元素ではなく、Zrが添加された鋼板として、過去に行われた研究が非常に限られたものであった。これまでに、Zrを含有する酸化物(特にZrとTiとを含有する酸化物)を鋼板に分散させた場合、固溶BがHAZ靱性向上に及ぼす効果について検討されたことはない。
以下、これらの新知見について説明する。
本発明者らは、Zrを添加した鋼板を実際に製造し、粒内フェライトの核となる酸化物について、個々の酸化物を詳細に調査し、HAZ靱性向上に及ぼす効果について調査検討を行った。
その結果、Ti酸化物、Zr酸化物、Al酸化物の質量換算値の合計に対して、Al酸化物の質量換算値の含有割合が20%以下、Zr酸化物の質量換算値が5%以上、かつZr酸化物とTi酸化物の質量換算値の含有割合の合計が80%以上、を含有する酸化物の円相当径(円形と仮定したときの円の直径に相当するもの)が、0.5μm〜10μmである酸化物を10個/mm2以上の個数密度で含有すると、組織の微細化を通じてHAZ靱性を改善することが明らかとなった。
なお、Zr酸化物の質量換算値が5%以上と限定する理由は、後述の「(C):固溶B(BF)」で述べる。
Zr酸化物とTi酸化物の質量換算値の含有割合の合計は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。Zr酸化物とTi酸化物の質量換算値の含有割合の合計は、100%でもよい。なお、Zr酸化物の質量換算値が5%以上であるが、Zr酸化物の質量換算値の含有割合の上限としては、特に限定されないが、例えば、98%以下であることがよい。
円相当径が0.5μm〜10μmである前記の組成を有する酸化物の個数密度は、好ましくは20個/mm2以上、より好ましくは30個/mm2以上、さらに好ましくは50個/mm2以上、最も好ましくは60個/mm2以上である。なお、酸化物の個数密度の上限は特に限定されるものではないが、例えば、200個/mm2以下が挙げられる。
本実施形態に係る鋼板に含まれるAl、Ti、及びZrのいずれか(TiとZrとは両方を含有する場合も含む)を含有する酸化物の円相当径、個数密度、および組成は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた解析により決定する。具体的には、鋼板の幅中央、板厚方向の1/4の位置で、板厚方向12mm×板幅方向12mm×圧延方向70mmの熱サイクル試験片を採取する。この試験片を1400℃に23秒間加熱保持した後、冷速1℃/secの条件で冷却し、圧延方向と垂直な方向に切断し、得られた断面を、SEM/EDX(走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法)で観察し、観察視野内に認められる介在物を定量分析して測定する。SEM/EDX解析は、例えば、加速電圧15kV、電流を89μA〜91μAとし、観察面積にして25mm2(5mm×5mm)以上(好ましくは、観察面積にして100mm2(10mm×10mm))とする。
ここで、試験片を1400℃に加熱する熱処理は、実施しても、実施しなくても、酸化物の大きさ、個数、組成に影響しない。1400℃に加熱すると、TiNなど酸化物以外の析出物が固溶するため、観察したい酸化物が見やすくなり、解析に要する時間を減らすことができる。
例えば、SEM/EDX解析を、加速電圧15kV、電流を89μA〜91μAで測定した場合について述べる。O含有量、Ti含有量、Zr含有量、及びAl含有量の質量%の合計を求めて、その合計に対して、O含有量が1.0質量%以上である場合、この介在物を酸化物とした。そして、この酸化物について、下記式(5)〜下記式(7)を用いて各元素の質量%から、これらの元素による単独酸化物を仮定したときの各元素の酸化物の質量換算値を算出する。
Ti2O3=Ti×3.003・・・(5)
ZrO2=Zr×1.351・・・(6)
Al2O3=Al×3.779・・・(7)
式(5)〜式(7)から求めたTi2O3、ZrO2、Al2O3、の質量換算値の合計を求め、その合計に対する各元素の酸化物の質量換算値の割合を、酸化物に含まれる各元素の酸化物の含有割合(%)とした。
Ti2O3の含有割合(%)=Ti2O3/(Ti2O3+ZrO2+Al2O3)・・・(8)
ZrO2の含有割合(%)=ZrO2/(Ti2O3+ZrO2+Al2O3)・・・(9)
Al2O3の含有割合(%)=Al2O3/(Ti2O3+ZrO2+Al2O3)・・・(10)
酸化物を形成せず鋼板に残存するZr(固溶Zr(Sol.Zr))は、HAZのみならず鋼板自体の靱性を著しく劣化させるため、鋼板におけるSol.Zrを低減する必要がある。Sol.Zrが少ないほど靱性は改善する傾向にあり、HAZ靱性に優れる鋼板を得るためには、Sol.Zrは0.0020質量%以下に制限することが重要である。
より一層のHAZ靱性改善のためには0.0010質量%以下(より好ましくは0.0005質量%以下)に制限することが好ましい。ここで、Sol.Zrは酸可溶性Zrであって、電解抽出残渣分析法などで測定可能な、鋼板に固溶しているZrに相当する。なお、酸不溶性Zrは、Insol.Zr(式(2)中のInsol.Zr)であり、酸可溶性Zrと酸不溶性Zrの合計が、鋼板中のZr量である。
鋼板の固溶Bは、旧オーステナイト粒界に偏析して粒界フェライトの生成を抑制し、母材強度を改善する。Zr酸化物、及びZr酸化物とTi酸化物との合計が一定量以上含有させた鋼板では、固溶Bが増加することを見出した。この効果を得るためには、Zr酸化物の質量換算値が5%以上必要となることを知見した。固溶Bの質量%(BF)は、鋼板に含まれるBの含有量からB窒化物となるBの質量%を引くことで求められる。すなわち、BFは下記式(1)で表される。この値が0.0005%以上(好ましくは0.0010%以上)であると、固溶Bによる母材強度向上効果が得られる。BFが過剰になると、母材靱性とHAZ靱性が劣化する懸念がある。そのため、BFの上限は0.0030%以下とする。より好ましくは0.0025%以下、さらに好ましくは0.0020%以下である。
式(1)中のBは鋼板に含まれるBの含有量(質量%)であり、BasBNはB窒化物となるBの質量%である。
なお、Sol.Zrは、酸可溶性Zrであって、電解抽出残渣分析法などで測定する鋼板に固溶しているZr含有量(質量%)である。Insol.Zrは、酸不溶性Zrの含有量(質量%)であり、Zr含有量からSol.Zr含有量を引いたものである。また、0≦Insol.Zr≦Zrを満たす。
酸化物粒子は溶鋼を脱酸する際に生成する。これを一次酸化物と称する。さらに、鋳造、及び凝固中に溶鋼温度の低下と共に、Ti酸化物、Zr酸化物、およびTiとZrとを含有する酸化物を生成する。これを二次酸化物と称する。本実施形態では、一次酸化物と二次酸化物のどちらを用いてもかまわない。ただし、鋳造、及び凝固中に溶鋼温度の低下と共に生成する酸化物の方が、溶鋼温度が高温時に生成する一次酸化物よりも微細な粒子が得られるので、二次酸化物を用いることが好ましい。
鋳片の製造過程:転炉→取鍋→二次精錬→連続鋳造の過程において、鋳片に残留する酸化物系介在物は、特に、二次精錬における脱酸開始前の溶鋼中の溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%(好ましい上限は0.0040%以下、より好ましい上限は0.0030%以下)に制御し、かつ脱酸元素であるTiとZrを添加することで、酸化物の平均粒径が顕著に微細化し個数が増大することを知見した。
脱酸元素であるTiとZrとの添加順序は、Ti、Zrの順、Zr、Tiの順、又はTi,Zrの同時添加のいずれでもよい。
Zr、Tiの順で別々に添加する場合、0.0005%〜0.0050%(好ましい上限は0.0040%以下、より好ましい上限0.0030%以下)に制御した後、Zrを添加する。そして、該溶鋼中の溶存酸素量を0.0005%〜0.0050%(好ましい上限は0.0040%以下、より好ましい上限は0.0030%以下、さらに好ましい上限は0.0020%以下)にした後、Tiを添加するとよい。
TiとZrを同時に添加する場合、溶鋼中の溶存酸素量を0.0005%〜0.0050%(好ましい上限は0.0040%以下、より好ましい上限0.0030%以下)に制御した後、TiとZrを同時に添加するとよい。
ここで、二次精錬は、転炉精錬後に真空精錬装置、不活性ガス中での精錬装置などによって行われる工程を示す。ZrおよびTiは単独金属または合金のいずれの形態で添加してもよい。
Alは、鋼板において強脱酸元素として作用するため、多量に鋼板に含有すると、ZrおよびTiの酸化物生成を阻害する。溶鋼中の溶存酸素量を確保し、ZrとTiとを含有する複合酸化物を鋼板に生成させるため、Alの含有量は0.0050質量%以下に制限することが重要である。
本実施形態に係る鋼板はHAZ靱性に優れることに加え、母材靱性、母材強度、およびアレスト性に優れた鋼板を対象としている。
ここで、本明細書中において母材と称する場合、母材は、HAZと溶接金属部以外の部分を示す。
さらに、レペラー腐食を実施し、表下5mm部からt/2−5mm部の間の領域を板厚方向に5mmごとに、光学顕微鏡を用いて500倍で4視野撮影し、各視野のMA分率を測定し、その平均値を板厚方向の各測定位置でのMA分率とする。
フェライトは、先のEBSD法により測定した測定点同士が第一近接する場合のKAM(Kernel Average Misorientation)値が1°以下の部分とした。このフェライトの面積分率を、板厚方向の各測定位置で求めた。ベイナイト分率は、パーライト分率とフェライト分率とMA分率との残部とした。つまり、ベイナイト分率と、パーライト分率と、フェライト分率との合計は、面積率で100%である。
なお、板厚方向に5mmごとの測定位置として、鋼板表側から板厚方向の1/4位置(以下、「t/4部」と称する場合がある。)が含まれない場合、t/4部も別途、上記と同様に測定する。すなわち、表下5mm部からt/2−5mm部の間の領域は、t/4部を含む、表下5mm部からt/2−5mm部の間の領域であることを示す。
鏡面研磨面を、表下5mm部からt/2−5mm部の間の領域を板厚方向に5mmごとに、圧延方向に垂直な方向の断面に対し、EBSD法により、500μm×500μmの領域を1μmピッチで測定する。t/4部が含まれない場合、t/4部も別途同様に、測定する。
隣接粒との結晶方位差が15°以上の境界を結晶粒界と定義し、結晶粒界に囲まれた領域の円相当径(直径)の加重平均を、t/4部を含む表下5mm部からt/2−5mm部の間の領域全体の有効結晶粒径とした。なお、加重平均は以下の方法で求めた。1つの視野にN個の結晶粒があるとし、各粒の面積がA1、A2、A3、・・・Ai、・・・ANがあり、各粒の円相当径(直径)がD1、D2、D3、・・・Di、・・・DNであるとする。その場合、有効結晶粒径(Deff)は下記式(11)により求められる。
表下5mm部からt/2−5mm部の間の領域の全体における有効結晶粒径(平均値)の好ましい上限は、25μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。表下5mm部からt/2−5mm部の間の領域の全体における有効結晶粒径の平均値は、小さければ小さいほうがよく、下限値としては、特に限定されないが、例えば、5μm以上が挙げられ、さらに1μm以上が挙げられる。
一方、ベイナイト分率が80.0%未満では、この領域での母材強度が低下した。ベイナイト分率は、好ましくは85.0%以上、さらに好ましくは90.0%以上、より好ましくは95.0%以上である。ベイナイト分率は100%でもよい。ベイナイト分率増加に伴い、強度が向上し、靱性は劣化するが、この領域全体での有効結晶粒径の平均値を30μm以下にすれば、母材靱性も確保し得る。
そこで、ミクロ組織のバラつきについて調査した。
その結果、表下5mm部からt/2−5mm部の間の領域(t/4部を含む)において、板厚方向の各測定位置の少なくとも一部で、有効結晶粒径およびベイナイト分率のバラつきが大きいと、TKca6000が高温化する場合があることがわかった。
さらに、板厚方向の各測定位置でのベイナイト分率(平均値)は、表下5mm部からt/2−5mm部の間の領域(t/4部を含む)全体でのベイナイト分率の平均値−15%〜ベイナイト分率の平均値+15%の範囲にする必要があることを知見した。好ましくは前記領域全体でのベイナイト分率の平均値−10%〜ベイナイト分率の平均値+10%の範囲であり、より好ましくは前記領域全体でのベイナイト分率の平均値−5%〜ベイナイト分率の平均値+5%の範囲である。これは、局所的に、有効結晶粒径およびベイナイト分率のバラつきが大きい領域(特に高い領域)があると、その領域が破壊の起点となるためである。
上記のミクロ組織を形成するために、鋼板を製造するプロセスを検討した。
スラブの加熱温度は1000℃〜1150℃とする。仕上圧延は、仕上圧延の1sec前の鋼板表面温度(以下、「圧延開始温度」と称する場合がある。)が650℃〜850℃の温度域で圧延を開始し、累積圧下率50%以上で実施する。そして、圧延完了から1sec後の温度(以下、「仕上温度」と称する場合がある。)を圧延開始温度−80℃〜圧延開始温度+80℃の範囲とする。その後、圧延後の鋼板を、650℃〜850℃の温度から水冷を開始し、表面温度が500℃以下にて水冷を停止する。これらの工程により、前述のミクロ組織が有効に得られた。
また、冷却工程の後の鋼板に、必要に応じて、さらに、400℃〜600℃の温度に再加熱してもよい。400℃〜600℃の温度に再加熱する工程を実施すると、靱性が向上する場合があるので好ましい。
なお、鋼板の特性(HAZ靱性、母材靱性、母材強度、およびアレスト性)を安定して確保するには、圧延開始温度を700℃〜800℃、仕上温度を圧延開始温度−50℃〜圧延開始温度+50℃の範囲、冷却開始温度を700℃〜800℃とすることがよい。
また、炭素当量Ceqが低い(例えば、0.45%〜0.50%)場合、スラブの加熱温度を高すぎないように抑え、さらに圧延開始温度を高めの温度とすることがよい。また、熱処理(テンパー)を施す場合は、熱処理の温度(テンパー温度)は低く抑えるか、又は熱処理をしないこと(テンパーレス)がよい。例えば、具体的には、スラブの加熱温度を1000℃〜1100℃とし、圧延開始温度を700℃〜850℃とし、熱処理をする場合は、テンパー温度を560℃以下にするとよい。
一方、加熱温度が1150℃超、及び圧延開始温度が850℃超では、板厚方向の各測定位置(板厚方向に5mmごとに測定した位置)の有効結晶粒径が30μm超となり、母材靱性とアレスト性が不足した。
また、仕上温度が圧延開始温度−80℃〜圧延開始温度+80℃の範囲を満たさないと、ミクロ組織の板内バラつきが大きくなり、アレスト性を安定して確保することが出来なかった。
冷却工程の後に、再加熱を実施する場合、再加熱温度が400℃未満だと母材靱性の向上が認められず、600℃超だと母材強度が低下し、母材強度を確保し難くなった。
Cは、強度を確保するために必要な元素である。C量が0.01%未満では必要とする強度を確保することができない。しかし、C量が0.20%を超えると、母材、及びHAZ共に靱性を確保することが難しくなる。C量の好ましい下限は0.03%以上、より好ましくは0.05%以上である。好ましい上限は0.15%以下、より好ましくは0.10%以下である。
Siは、鋼板の焼入れ性を高め、鋼板の強度上昇に寄与する。この効果を得るためには0.02%以上のSiを含有させる必要がある。好ましくはSi量を0.05%以上とする。一方で、Siは酸素との反応性も高く脱酸作用を有するため、ZrとTiを含有する複合酸化物の形成に影響を及ぼす。0.50%を超えてSiを含有させた場合、酸化物の組成が変化し、HAZ組織の微細化が達成されず、HAZ靱性の低下をもたらす。より好ましいSi量の上限は0.40%以下、更に好ましい上限は0.30%以下である。
Mnは、鋼板の焼入れ性を高める効果があり、強度及び靱性の確保に有効な成分である。Mn量が0.30%未満では、焼入れ性の不足によって強度及び靱性が得られない。しかし、2.50%を超えてMnを含有させると、凝固時のMn偏析により中心偏析部の靱性を低下させるとともに、焼入れ性が高まりすぎて母材、HAZともに硬さの増大を招き靱性が劣化する。Mn量の好ましい下限は0.60%以上、好ましい上限は2.00%以上である。
Tiは、Zrと共に複合酸化物を形成し、この複合酸化物がHAZにおける粒内フェライト生成核として機能して、HAZ組織の微細化に寄与する。この効果を得るためには、Tiを0.003%以上含有させる必要がある。一方で、Tiは窒化物を生成するが、Ti窒化物が多量に生成するとB窒化物の生成が抑制され、本実施形態に係る鋼板で所望する効果が得られなくなる。更に、過剰なTiはTiCを形成し、母材及びHAZの靱性を劣化させる。よって、Ti量の上限を0.024%以下とする必要がある。Ti量の好ましい下限は0.005%以上、好ましい上限は0.020%以下である。
Bは、鋼板において窒素と結合し、ZrとTiとを含有する複合酸化物の周囲にフィルム状のB窒化物を生成する。B量を0.0005%以上にすることにより、HAZにおける粒内フェライト生成能を高め、組織の微細化を通じて靱性の改善に寄与する。また、固溶Bはオーステナイト粒界に偏析することで、粒界フェライト生成を抑制し、母材強度の向上に寄与する。母材強度を確保するためには、B量は0.0010%以上が好ましい。一方、B量が過剰な場合、強度を高める効果が飽和し、母材、HAZともに靱性劣化の傾向が著しくなる。したがって、B量を0.0030%以下とする。B量の好ましい上限は0.0025%以下、より好ましくは0.0020%以下である。
Nは、鋼板においてBと結合し、B窒化物を形成させるために必要な元素であり、このためには0.0010%以上のNを含有させる必要がある。一方、N量が過剰な場合、母材及びHAZの靱性劣化を招くため、上限を0.0090%以下とする。N量の好ましい下限は0.0020%以上、好ましい上限は0.0060%以下である。
O(酸素)は、ZrとTiとを含有する複合酸化物の生成に不可欠な元素であり、0.0010%以上のOを含有させる必要がある。しかし、O量が過剰な場合、酸化物が過剰に生成し、鋼板の清浄性を劣化させ母材靱性及び伸び絞り等の延性に悪影響を及ぼす。このためO量の上限を0.0050%以下とする。O量の好ましい下限は0.0015%以上、好ましい上限は0.0040%以下である。
Zrは酸化物の微細分散、固溶Bの増加に不可欠な元素であり、0.0005%以上含有させる必要がある。Zr酸化物、ZrとTiとの複合酸化物はHAZにおける粒内フェライト生成核として機能し、HAZ組織の微細化に寄与する。この効果を得るためには、Zrを0.0005%以上にする必要がある。好ましくは0.0010%以上、さらに好ましくは0.0015%以上とする。一方、Zrが過剰な場合、鋳造時にノズル閉塞が発生する可能性があるため、上限を0.0100%以下とする。好ましい上限は0.0050%以下、より好ましくは0.0030%以下である。
Sol.Zrは酸可溶性Zrの意で、鋼板に固溶しているZrを表わす。Sol.Zrの含有量が増えると、HAZ靱性を著しく劣化させるため、その上限を0.0020%以下に制限する必要がある。Sol.Zrの好ましい上限は0.0010質量%以下、より好ましい上限は0.0005質量%以下である。Sol.Zrは少ないほど好ましいため下限は特に規定せず、0%でもよい。Sol.Zrは、電解抽出残渣分析法によって測定することができる。電解抽出残渣分析法は、鋼板を非水溶媒中での電解によって母相を溶解させて、残渣(析出物および介在物)を孔径0.1μm〜0.2μmのフィルターで抽出し、分離する方法である。分離後、溶液に含まれるZrの量がSol.Zrである。なお、Insol.Zrは酸不溶性Zrであり、Insol.ZrとSol.Zrを足したものがZrである。
Cuは、鋼の強度の確保に有効な元素である。Cuを含有する効果を得るためには、Cuを0.1%以上含有させる。好ましくはCu量の下限を0.2%以上とする。一方、1.5%を超えてCuを含有させても、合金コスト上昇に見合った性能の改善が見られず、鋼板表面割れの原因となる場合がある。好ましくはCu量を1.0%以下、より好ましくは0.5%以下とする。
Niは、固溶状態において鋼のマトリックス(生地)の靱性を高めるのに有効な元素である。Niを含有する効果を得るためには、Niを0.1%以上含有させる。一方、3.0%を超えてNiを含有させても、合金コストの上昇に見合った特性の向上が得られない。好ましくはNi量を2.0%以下、より好ましくは1.5%以下とする。
Pは、不純物として鋼板に不可避的に存在する。しかし、P量が0.050%を超えるとオーステナイト粒界に偏析して靱性を低下させるのみならず、溶接時に高温割れを招く原因となる。P量の好ましい上限は0.030%以下、より好ましくは0.010%以下である。P量は少ないほど好ましいため下限は特に規定しないが、製造コストの観点から、0.001%以上であってもよい。
Sは、不純物として鋼板に不可避的に存在するが、含有量が多すぎると中心偏析部において延伸したMnSが多量に生成するため、母材及びHAZにおける靱性および延性が劣化する。このためS量の上限を0.0080%以下とする。S量の好ましい上限は0.0050%以下、より好ましくは0.0040%以下、さらに好ましくは0.0030%以下である。S量は少ないほど好ましいため下限は特に規定しないが、製造コストの観点から、0.0001%以上であってもよい。
Alは、一般的には、脱酸元素として、積極的に添加される元素である。しかし、Alは優先的に酸素と反応しやすいため、その含有量が過剰な場合には、所望するZrとTiを含有する複合酸化物の形成が不十分となり、HAZにおける有効なフェライト生成核が減少する。更に過剰なAl添加は、粗大なクラスター状のアルミナ(Al2O3)系介在物の形成を助長するため、母材及びHAZの靱性を劣化させる。よって、Alの含有量はできる限り低減することが好ましい。許容できるAl量の上限値は0.0050%である。好ましくは0.0040%以下、さらに好ましくは0.0030%以下である。Alは少ないほど好ましいため下限は特に規定せず、0%でもよい。
Nbは、細粒化と炭化物析出により母材の強度及び靱性を向上させるので、必要に応じて、鋼板に含有させてよい。Nbを含有する効果を有効に得るためには、Nbを0.005%以上含有させることが好ましい。一方、0.035%を超えてNbを含有させると、効果が飽和するとともに、HAZの靱性を損なう場合がある。より好ましくはNb量を0.025%以下、さらに好ましくは0.015%以下とする。
Crは、耐食性を高めるとともに、焼入性を高めることで強度の向上に有用であるので、必要に応じて、鋼板に含有させてもよい。Crを含有する効果を有効に得るためには、Crを0.1%以上含有させることが好ましい。一方、1.0%を超えてCrを含有させても、耐食性を向上させる効果が飽和し、また、HAZが硬化して靱性を劣化させる場合がある。好ましくはCr量を0.5%以下とする。
Moは、母材の強度と靱性を向上させる効果があるので、必要に応じて、鋼板に含有させてよい。Moを含有する効果を有効に得るためには、Moを0.01%以上含有させることが好ましい。一方、1.00%を超えてMoを含有させると、特にHAZの硬度が高まり、靱性を劣化させる場合がある。好ましくはMo量を0.50%以下、より好ましくは0.30%以下とする。
Vは、主に焼戻し時の炭窒化物析出により母材の強度を向上させる効果があるので、必要に応じて、鋼板に含有させてもよい。Vを含有する効果を有効に得るためには、Vを0.01%以上含有させることが好ましい。一方、0.10%を超えてVを含有させると、効果が飽和するとともに、硬度が高まり、靱性劣化を招く場合がある。好ましくはV量を0.05%以下とする。
Ca及びREMは、Alよりも更に優先的に酸素と反応しやすい元素である。Ca及びREMは鋼板において強脱酸元素として作用し、ZrおよびTiの酸化物生成を阻害するため、意図的に含有させず、可能な限り低減することが必要である。所望するZrとTiとを含有する複合酸化物を形成させるために、Ca及びREMの含有量の合計(Ca+REM)を0.0005%以下に制限する。より好ましくはCaが0.0003%未満、かつREMが0.0003%未満で、その含有量の合計が0.0005%以下である。CaとREMは少ないほど好ましいため下限は特に規定せず、0%でもよい。
ここで、「REM」とはSc、Y、及びランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量はREMのうちの1種または2種以上の元素の合計含有量を指す。
Mgは、優先的に酸素と反応しやすいため、その含有量が過剰な場合には、所望するZrとTiを含有する複合酸化物の形成が不十分となる。そして、HAZにおける有効なフェライト生成核が減少し、HAZの靱性を劣化させる。よって、Mgの含有量は0.0005%以下に制限する。Mgは少ないほど好ましいため下限は特に規定せず、0%でもよい。
本実施形態に係る鋼板は、下記式(3)により求められる炭素当量Ceq.を、0.45%〜0.55%とする。
Ceq.=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(3)
ここで、各成分は鋼板中に含有されている各成分の質量%である。無添加の元素(含有量が0質量%の元素)は、式(3)中の該当する元素の含有量としてゼロ(0質量%)を代入して計算する。
降伏応力が550MPa以上(例えば、550MPa〜750MPa)である。
入熱4.5kJ/mm〜6.0kJ/mmの溶接継手(例えば、多層盛溶接継手)において、レ型開先のストレート側の溶融線(以下、「FL」と称する場合がある)にノッチを導入した、試験温度−10℃で行う亀裂開口変位試験(以下、「CTOD試験」と称する場合がある。(CTOD;Crack Tip Opening Displacement))で、破壊直前の亀裂開口量(以下、「CTOD値」と称する場合がある)が0.15mm以上である。
母材の脆性延性遷移温度(vTrs)が−60℃以下である。
アレスト靱性値Kcaが6000N/mm1.5になる温度(以下、「TKca6000」と称する場合がある)が−10℃以下である。
減圧雰囲気の二次精錬において、溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%に調整した溶鋼へ、Ti添加後Zrの順に添加、Zr添加後Tiの順に添加、または、TiとZrとを同時に添加、のいずれか一つの添加順序で、TiとZrとを添加した後、Ti及びZr添加後の溶鋼を鋳造して、鋳片を得る鋳造工程と、
前記鋳造工程後の鋼片を、1000℃〜1150℃の温度域で加熱する加熱工程と、
前記加熱工程後の鋼片を、650℃〜850℃の温度域で圧延を開始し、累積圧下率が50%以上、仕上圧延完了から1sec後の温度が圧延開始温度−80℃〜圧延開始温度+80℃となる圧延を実施する圧延工程と、
前記圧延工程後の鋼板を、650℃〜850℃の温度域であるときに水冷を開始し、表面温度が500℃以下の温度域で水冷を停止する冷却工程と、
を有する。なお、鋳片(鋼片)は、前述の化学組成を有する。
以下、各工程について説明する。
本実施形態に係る鋼板を得るには、前述のように、脱酸開始前の溶存酸素量を制御する。
具体的には、減圧雰囲気の二次精錬において、溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%に調整した溶鋼に、TiとZrとを添加する。TiとZrとを添加する順序は特に限定されない。
また、TiとZrとを添加する順序が、Zr添加後Tiを添加する順序の場合、溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%に調整した溶鋼へZrを添加し、Zr添加後の溶鋼中の溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%以下に調整した後、Tiを添加する。
さらに、TiとZrとを添加する順序が、TiとZrとを同時に添加する順序の場合、溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%調整した溶鋼に、TiとZrを同時に添加する。
なお、二次精錬を行う方法は、特に限定されないが、例えば、RH(Ruhrstahl−Heraeus)による方法が挙げられる。
例えば、転炉精錬後に、真空精錬装置または不活性ガス中での精錬装置によって行われる減圧雰囲気下の二次精錬において、溶鋼の溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%の範囲に調整する。その後、TiとZrとを所定の順序で添加し、前述の化学組成となるように溶鋼を調整する。そして、連続鋳造等により鋳片(鋼片)を得る。
なお、前述の各元素の添加方法については、化学組成が上記条件を満足するように鋼板に含有できる方法であれば、特に限定されるものではない。
まず、上記に説明した所定の化学組成を有する鋼片を1000℃〜1150℃で加熱し、その加熱温度で一定時間保持する。保持時間は微量合金元素(例えば、Nbを含む場合はNb)を均一に固溶すればよく、特に規定はしないが、例えば、30分〜500分の間で行うことがよい。なお、保持時間とは設定した炉温に対して、20℃低い温度に達してから抽出するまでの時間とする。また、加熱温度とはその間の平均温度と定義する。
なお、炭素当量Ceqが上記範囲の中でも低い(例えば、0.45%〜0.50%)場合、スラブの加熱温度を、例えば1000℃〜1100℃の範囲とすることで、アレスト性が安定して確保し得る。
次に、加熱工程を経た後の鋼片に圧延を行う。まず、加熱で生成したγ粒(オーステナイト粒)を再結晶により効果的に微細化するため、鋼片に粗圧延を行う。粗圧延は、900℃以上の温度域で圧延を行うとよい。
なお、炭素当量Ceqが上記範囲の中でも低い場合(例えば、0.45%〜0.50%)、圧延開始温度の温度域を高めの範囲(好ましくは、700℃〜850℃)を選択すると、本実施形態に係る鋼板が得られ易くなる。
なお、圧延工程における圧下率は、仕上圧延における累積圧下率を表す。累積圧下率とは、所定の温度範囲にある複数パスにおいて、(最初のパスの入側板厚−最後のパスの出側板厚)/最初のパスの入側板厚)×100(%)で表される。
仕上圧延完了後は、板表面温度が650℃〜850℃の温度から水冷を開始し、表面温度が500℃以下にて水冷を停止する。
冷却開始温度が650℃以上であると母材強度が確保しやすくなる。仕上圧延を行う温度(仕上圧延温度)が850℃以下であると、仕上圧延温度が高くなりすぎず、母材靱性を確保しやすくなる。
以上の製造方法により、本実施形態に係る鋼板が得られる。
本実施形態に係る鋼板の好ましい製造方法は、さらに、冷却工程後の鋼板に、400℃〜600℃の温度で再加熱する熱処理工程を有していてもよい。
熱処理工程は、鋼板の強度および靱性を調整するために、冷却工程を経た鋼板に対して、再加熱(焼戻し熱処理)を行う工程である。再加熱温度が400℃以上であると、延性および靱性が改善されやすくなり、600℃以下であると、アレスト性の低下が抑制され得る。なお、炭素当量Ceqが上記範囲の中でも低い場合(例えば、0.45%〜0.50%)、熱処理を行う場合は、熱処理温度(テンパー温度)を低めの範囲(例えば、560℃以下)を選択すると、本実施形態に係る鋼板が得られ易くなる。また、この場合、熱処理を行わなくても、本実施形態に係る鋼板が得られ易くなる。
なお、表3、表4中、「Ti、Zr添加順序欄」において、Ti、Zrは、Tiの次にZrを添加した場合、Zr、Tiは、Zrの次にTiを添加した場合、同時添加は、ZrとTiを同時に添加した場合を示している。
また、Al酸化物の質量換算値の割合が20%以下、Zr酸化物の質量換算値の割合が5%以上、及びZr酸化物とTi酸化物の質量換算値の割合の合計が80%以上を満足する、円相当径が0.5μm〜10μmの酸化物の個数密度を示す。
そして、母材靱性、母材強度、溶接条件(入熱)、およびHAZ靱性を示す。
表5、表6中、「表下5mm部からt/2−5mm部の間の領域」は、鋼板表側から板厚方向の5mmの位置と板厚方向の1/2位置から鋼板表面に向かって5mmの位置との間の領域を示す。
図1に観察結果の一例を示す。図1中、12は観察した介在物である。表7に、介在物を分析した際の対象元素毎の質量%を示す。なお、O、Ti、Zr、Alの質量%を合計すると100%となる。ここで、Oの質量%が1.0質量%以上の介在物を酸化物とした。そして、これらの元素による単独酸化物、Ti2O3、ZrO2、Al2O3、を仮定したときの各元素の酸化物の質量換算値を下記式(5)〜下記式(7)から算出する。
Ti2O3=Ti×3.003・・・(5)
ZrO2=Zr×1.351・・・(6)
Al2O3=Al×3.779・・・(7)
Ti2O3の含有割合(%)=Ti2O3/(Ti2O3+ZrO2+Al2O3)・・・(8)
ZrO2の含有割合(%)=ZrO2/(Ti2O3+ZrO2+Al2O3)・・・(9)
Al2O3の含有割合(%)=Al2O3/(Ti2O3+ZrO2+Al2O3)・・・(10)
この計算結果を、表8に示す。
一方、比較例の鋼21〜鋼48は、本実施形態に係る鋼板で規定される範囲を外れるものであるため、HAZ靱性が劣位であった。また、優れたHAZ靱性を有しているものでも、HAZと溶接金属部以外の部分である母材における機械的特性が劣位であった。
Claims (6)
- 質量%で、
C:0.01%〜0.20%、
Si:0.02%〜0.50%、
Mn:0.30%〜2.50%、
Ti:0.003%〜0.024%、
B:0.0005%〜0.0030%、
N:0.0010%〜0.0090%、
O:0.0010%〜0.0050%、
Zr:0.0005%〜0.0100%、
Sol.Zr:0%〜0.0020%、
Cu:0.1%〜1.5%、
Ni:0.1%〜3.0%、
Al:0%〜0.0050%、
P:0.050%以下、
S:0.0080%以下、
Nb:0%〜0.035%
Cr:0%〜1.0%、
Mo:0%〜1.00%、
V :0%〜0.10%
Mg:0%〜0.0005%
Ca+REM:0%〜0.0005%、並びに、
残部:Fe及び不純物からなる化学組成を有し、
下記式(1)で表されるBFが0.0005%〜0.0030%であり、
下記式(2)で表されるBasBNが0%以下であり、
下記式(3)で表されるの炭素当量Ceq.が0.45%〜0.55%であり、
圧延方向に垂直な断面の電子線後方散乱回折法(EBSD)を用いた結晶方位解析において、鋼板表側から板厚方向の5mmの位置と板厚方向の1/2位置から鋼板表面に向かって5mmの位置との間の領域全体での有効結晶粒径の平均値が30μm以下であり、
前記領域での板厚方向の各測定位置における有効結晶粒径の平均値が、前記領域全体での有効結晶粒径の平均値−15μm〜前記領域全体での有効結晶粒径の平均値+15μmの範囲を満足し、
前記領域全体でのミクロ組織が、面積率の平均値にして、ベイナイト分率が80.0%〜100.0%、フェライト分率が0%〜20.0%、パーライト分率が0%〜1.0%、MA分率が0%〜1.0%以下であり、
前記領域での板厚方向の各測定位置におけるベイナイト分率が、前記領域全体でのベイナイト分率の平均値−15%〜前記領域全体でのベイナイト分率の平均値+15%の範囲を満足し、
板厚方向の1/4位置で解析される酸化物は、酸化物中のO量、Ti量、Zr量、およびAl量の測定値から求められる、Ti、Zr、およびAlの元素による単独酸化物と仮定したときの前記Ti、前記Zr、および前記Alの各元素の酸化物の質量換算値の合計に対する、Al酸化物の質量換算値の含有割合が20%以下、Zr酸化物の質量換算値が5%以上、およびZr酸化物とTi酸化物の質量換算値の合計が80%以上を満足し、円相当径が0.5μm〜10μmの個数密度が10個/mm2以上の酸化物である鋼板。
(ただし、式(1)中、BasBNは下記式(2)で表わされる。また、Bは、鋼板に含まれる前記B元素の含有量(質量%)であり0≦BF≦Bの関係を満たす。)
(ただし、式(2)中、0≦BasBN≦B(BasBN<0の場合、BasBN=0とする)、0≦Insol.Zrの関係を満たし、N、Ti、O、及びAlは、鋼板に含まれる各元素の含有量(質量%)であり、Insol.Zrは、酸不溶性Zrの含有量(質量%)であることを示す。)
Ceq.=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(3)
ただし、式中のC、Mn、Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、鋼板に含まれる各元素の含有量(質量%)である。 - 板厚が50mm以上であり、溶接熱影響部および溶接金属部以外の部分である、母材の降伏応力が550MPa以上であり、かつアレスト靱性値Kcaが6000N/mm1.5になる温度が−10℃以下であり、入熱4.5kJ/mm〜6.0kJ/mmで溶接を行ったときに発生する溶接熱影響部を、試験温度−10℃で行う亀裂開口変位試験で、破壊直前の亀裂開口量が0.15mm以上である請求項1に記載の鋼板。
- 請求項1又は請求項2に記載の鋼板を製造する方法であって、
減圧雰囲気の二次精錬において、溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%に調整した溶鋼へ、Ti添加後Zrの順に添加、Zr添加後Tiの順に添加、または、TiとZrとを同時に添加、のいずれか一つの添加順序で、TiとZrとを添加した後、Ti及びZr添加後の溶鋼を鋳造して、鋳片を得る鋳造工程と、
前記鋳造工程後の鋼片を、1000℃〜1150℃の温度域で加熱する加熱工程と、
前記加熱工程後の鋼片を、650℃〜850℃の温度域で圧延を開始し、累積圧下率が50%以上、仕上圧延完了から1sec後の温度が圧延開始温度−80℃〜圧延開始温度+80℃となる圧延を実施する圧延工程と、
前記圧延工程後の鋼板を、650℃〜850℃の温度域であるときに水冷を開始し、表面温度が500℃以下の温度域で水冷を停止する冷却工程と、
を有する鋼板の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の鋼板を製造する方法であって、
減圧雰囲気の二次精錬において、溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%に調整した溶鋼へTiを添加し、Ti添加後の溶鋼中の溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%に調整した後、Zrを添加し、Ti及びZr添加後の溶鋼を鋳造して、鋳片を得る鋳造工程と、
前記鋳造工程後の鋼片を、1000℃〜1150℃の温度域で加熱する加熱工程と、
前記加熱工程後の鋼片を、650℃〜850℃の温度域で圧延を開始し、累積圧下率が50%以上、仕上圧延完了から1sec後の温度が圧延開始温度−80℃〜圧延開始温度+80℃となる圧延を実施する圧延工程と、
前記圧延工程後の鋼板を、650℃〜850℃の温度域であるときに水冷を開始し、表面温度が500℃以下の温度域で水冷を停止する冷却工程と、
を有する鋼板の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の鋼板を製造する方法であって、
減圧雰囲気の二次精錬において、溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%に調整した溶鋼へZrを添加し、Zr添加後の溶鋼中の溶存酸素量を質量%で、0.0005%〜0.0050%に調整した後、Tiを添加し、Ti及びZr添加後の溶鋼を鋳造して、鋳片を得る鋳造工程と、
前記鋳造工程後の鋼片を、1000℃〜1150℃の温度域で加熱する加熱工程と、
前記加熱工程後の鋼片を、650℃〜850℃の温度域で圧延を開始し、累積圧下率が50%以上、仕上圧延完了から1sec後の温度が圧延開始温度−80℃〜圧延開始温度+80℃となる圧延を実施する圧延工程と、
前記圧延工程後の鋼板を、650℃〜850℃の温度域であるときに水冷を開始し、表面温度が500℃以下の温度域で水冷を停止する冷却工程と、
を有する鋼板の製造方法。 - さらに、前記冷却工程後の鋼板を、400℃〜600℃の温度に再加熱する熱処理工程を有する請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017142199A JP6926773B2 (ja) | 2017-07-21 | 2017-07-21 | 鋼板および鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017142199A JP6926773B2 (ja) | 2017-07-21 | 2017-07-21 | 鋼板および鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019023323A true JP2019023323A (ja) | 2019-02-14 |
JP6926773B2 JP6926773B2 (ja) | 2021-08-25 |
Family
ID=65368892
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017142199A Active JP6926773B2 (ja) | 2017-07-21 | 2017-07-21 | 鋼板および鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6926773B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022045349A1 (ja) * | 2020-08-31 | 2022-03-03 | 日本製鉄株式会社 | 鋼板およびその製造方法 |
CN114672733A (zh) * | 2022-03-30 | 2022-06-28 | 江苏省沙钢钢铁研究院有限公司 | 可大热输入焊接的690MPa级钢板及其生产方法 |
KR20220145393A (ko) | 2020-08-31 | 2022-10-28 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 강판 및 그 제조 방법 |
KR20220146638A (ko) | 2020-08-31 | 2022-11-01 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 강판 및 그 제조 방법 |
KR20220147126A (ko) | 2020-08-31 | 2022-11-02 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 강판 및 그 제조 방법 |
KR20220147125A (ko) | 2020-08-31 | 2022-11-02 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 강판 및 그 제조 방법 |
Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03202422A (ja) * | 1989-12-29 | 1991-09-04 | Nippon Steel Corp | 溶接熱影響部靱性の優れた高張力厚鋼板の製造法 |
JPH05105983A (ja) * | 1991-10-16 | 1993-04-27 | Kobe Steel Ltd | 溶接部の靱性の優れた溶接構造用鋼の製造方法 |
JP2001323336A (ja) * | 2000-05-16 | 2001-11-22 | Nippon Steel Corp | 溶接熱影響部の低温靭性に優れた高強度鋼板 |
JP2005232515A (ja) * | 2004-02-18 | 2005-09-02 | Kobe Steel Ltd | 大入熱溶接継手靭性に優れた厚鋼板 |
JP2008163456A (ja) * | 2006-12-04 | 2008-07-17 | Nippon Steel Corp | 低温靱性に優れた高強度厚肉ラインパイプ用溶接鋼管及びその製造方法 |
JP2010106310A (ja) * | 2008-10-29 | 2010-05-13 | Kobe Steel Ltd | 脆性亀裂伝播停止特性に優れた厚鋼板 |
JP2012092422A (ja) * | 2010-09-29 | 2012-05-17 | Kobe Steel Ltd | 溶接熱影響部の靭性に優れた厚鋼板 |
JP2012136748A (ja) * | 2010-12-27 | 2012-07-19 | Kobe Steel Ltd | 二次精錬方法 |
WO2016157863A1 (ja) * | 2015-03-31 | 2016-10-06 | Jfeスチール株式会社 | 高強度・高靭性鋼板およびその製造方法 |
-
2017
- 2017-07-21 JP JP2017142199A patent/JP6926773B2/ja active Active
Patent Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03202422A (ja) * | 1989-12-29 | 1991-09-04 | Nippon Steel Corp | 溶接熱影響部靱性の優れた高張力厚鋼板の製造法 |
JPH05105983A (ja) * | 1991-10-16 | 1993-04-27 | Kobe Steel Ltd | 溶接部の靱性の優れた溶接構造用鋼の製造方法 |
JP2001323336A (ja) * | 2000-05-16 | 2001-11-22 | Nippon Steel Corp | 溶接熱影響部の低温靭性に優れた高強度鋼板 |
JP2005232515A (ja) * | 2004-02-18 | 2005-09-02 | Kobe Steel Ltd | 大入熱溶接継手靭性に優れた厚鋼板 |
JP2008163456A (ja) * | 2006-12-04 | 2008-07-17 | Nippon Steel Corp | 低温靱性に優れた高強度厚肉ラインパイプ用溶接鋼管及びその製造方法 |
JP2010106310A (ja) * | 2008-10-29 | 2010-05-13 | Kobe Steel Ltd | 脆性亀裂伝播停止特性に優れた厚鋼板 |
JP2012092422A (ja) * | 2010-09-29 | 2012-05-17 | Kobe Steel Ltd | 溶接熱影響部の靭性に優れた厚鋼板 |
JP2012136748A (ja) * | 2010-12-27 | 2012-07-19 | Kobe Steel Ltd | 二次精錬方法 |
WO2016157863A1 (ja) * | 2015-03-31 | 2016-10-06 | Jfeスチール株式会社 | 高強度・高靭性鋼板およびその製造方法 |
Cited By (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115349027A (zh) * | 2020-08-31 | 2022-11-15 | 日本制铁株式会社 | 钢板及其制造方法 |
KR20220147125A (ko) | 2020-08-31 | 2022-11-02 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 강판 및 그 제조 방법 |
JP7099656B1 (ja) * | 2020-08-31 | 2022-07-12 | 日本製鉄株式会社 | 鋼板およびその製造方法 |
KR20220145393A (ko) | 2020-08-31 | 2022-10-28 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 강판 및 그 제조 방법 |
WO2022045349A1 (ja) * | 2020-08-31 | 2022-03-03 | 日本製鉄株式会社 | 鋼板およびその製造方法 |
KR20220147126A (ko) | 2020-08-31 | 2022-11-02 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 강판 및 그 제조 방법 |
CN115362274B (zh) * | 2020-08-31 | 2023-12-22 | 日本制铁株式会社 | 钢板及其制造方法 |
KR20220147130A (ko) | 2020-08-31 | 2022-11-02 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 강판 및 그 제조 방법 |
KR20220146638A (ko) | 2020-08-31 | 2022-11-01 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 강판 및 그 제조 방법 |
CN115362274A (zh) * | 2020-08-31 | 2022-11-18 | 日本制铁株式会社 | 钢板及其制造方法 |
CN115398018A (zh) * | 2020-08-31 | 2022-11-25 | 日本制铁株式会社 | 钢板及其制造方法 |
CN115398019A (zh) * | 2020-08-31 | 2022-11-25 | 日本制铁株式会社 | 钢板及其制造方法 |
CN115398019B (zh) * | 2020-08-31 | 2023-07-07 | 日本制铁株式会社 | 钢板及其制造方法 |
CN115398018B (zh) * | 2020-08-31 | 2023-07-21 | 日本制铁株式会社 | 钢板及其制造方法 |
CN115349027B (zh) * | 2020-08-31 | 2023-08-04 | 日本制铁株式会社 | 钢板及其制造方法 |
CN114672733A (zh) * | 2022-03-30 | 2022-06-28 | 江苏省沙钢钢铁研究院有限公司 | 可大热输入焊接的690MPa级钢板及其生产方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6926773B2 (ja) | 2021-08-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6926772B2 (ja) | 鋼板 | |
JP6828638B2 (ja) | 鋼板および鋼板の製造方法 | |
JP6536761B1 (ja) | 鋼板および鋼板の製造方法 | |
JP6926774B2 (ja) | 鋼板および鋼板の製造方法 | |
KR102648171B1 (ko) | 강재 및 그 제조 방법 | |
JP6926773B2 (ja) | 鋼板および鋼板の製造方法 | |
EP2434027A1 (en) | Steel material for high heat input welding | |
JP4515430B2 (ja) | 溶接熱影響部の靭性および母材靭性に優れた鋼材およびその製法 | |
WO2014103629A1 (ja) | 降伏強度670~870N/mm2、及び引張強さ780~940N/mm2を有する鋼板 | |
JP6409598B2 (ja) | 靭性に優れた高強度極厚h形鋼及びその製造方法 | |
EP3133181B1 (en) | H-section steel and method of producing | |
JP4950529B2 (ja) | 溶接熱影響部の靭性および母材靭性に優れた鋼材およびその製法 | |
JP2017193759A (ja) | 厚鋼板およびその製造方法 | |
JP2017133081A (ja) | 溶接熱影響部靱性に優れた厚板鋼材 | |
WO2016059997A1 (ja) | 溶接熱影響部の靭性に優れたタンク用厚鋼板 | |
JP4276576B2 (ja) | 大入熱溶接熱影響部靭性に優れた厚手高強度鋼板 | |
JP2010121200A (ja) | 溶接熱影響部の靭性に優れた低降伏比鋼材、およびその製造方法 | |
JP6187270B2 (ja) | 溶接熱影響部靱性に優れた鋼材 | |
JP2021161507A (ja) | 鋼材及びその製造方法 | |
JP5213517B2 (ja) | 溶接熱影響部靭性に優れた鋼材 | |
JP6447253B2 (ja) | 溶接用高張力鋼 | |
JP7127751B2 (ja) | 鋼板およびその製造方法 | |
JP7205618B2 (ja) | 鋼材 | |
JP7207250B2 (ja) | 鋼材及びその製造方法 | |
JP7469632B2 (ja) | 鋼材及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200304 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20201117 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20201215 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210209 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210706 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210719 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6926773 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |