JP2006008993A - 一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スチレンに基づく重合単位およびクロロメチルスチレンに基づく重合単位を含有する共重合体からなり、スルホン酸基を有する陽イオン交換膜の表面に、カチオン性基を有する重合体を含有する溶液を接触させ、50℃以上に加熱することを特徴とする一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜の製造方法。
【選択図】なし
Description
(2)陽イオン交換膜の表面にイオン交換基を含まない電気的に中性の薄層を形成する方法、
(3)陽イオン交換膜の表面に陰イオン交換性の薄層(以下、反対電電荷層という。)を形成する方法、
(4)(1)〜(3)の2以上を併せ用いる方法。
平均分子量(平均式量)が5000以上である高分子電解質が好ましい。このカチオン性基を有する重合体は、陽イオン交換膜の少なくとも片面に接触させればよい。
また、カチオン性基を有する重合体を含有する溶液における、カチオン性基を有する重合体の濃度は、陽イオン交換膜と接触させる時間や温度により異なるが、通常、0.01〜200000ppmとするのが好ましい。
カチオン性基を有する重合体を含有する溶液における溶媒は、特に限定されないが、通常は水溶液を用いるのが好ましい。
酸素酸陰イオンを生じる化合物としては、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、ピロ硫酸、炭酸、リン酸、ケイ酸、塩素酸、クロム酸、アンチモン酸、マンガン酸、またはそれら塩から形成されるものが例示される。なかでも硝酸、亜硝酸、硫酸、ピロ硫酸、炭酸、リン酸、ケイ酸またはそれらの塩から形成されるものは特に好ましい。これらの酸の塩としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩が例示される。
[例1]
クロロメチルスチレン10質量%とスチレン90質量%とを混合してなる、単量体の混合物100質量部と、熱可塑性重合体であるニトリルゴム(ニトリル含有量:36質量%)7質量部と、重合開始剤であるベンゾイルパーオキサイド(日本油脂社製、商品名:ナイパーBO)4重量部とを混合し、2000Pa・sの粘調な溶液を得た。
単量体の混合物として、スチレン80質量%、クロロメチルスチレン10質量%、アクリロニトリル10質量%とを混合してなるものを用いた以外は例1と同様にして陽イオン交換膜2を得、次いで例1と同様にして一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜2Sを得た。なお、例1と同様にして測定した陽イオン交換膜2の膜抵抗は1.4Ω・cm2であった。
単量体の混合物として、スチレン70質量%、クロロメチルスチレン10質量%、アクリロニトリル20質量%とを混合してなるものを用いた以外は例1と同様にして陽イオン交換膜3を得、次いで一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜3Sを得た。なお、例1と同様にして測定した陽イオン交換膜3の膜抵抗は1.3Ω・cm2であった。
単量体の混合物として、スチレン65質量%、クロロメチルスチレン10質量%、アクリロニトリル25質量%とを混合してなるものを用いた以外は例1と同様にして陽イオン交換膜4を得、次いで一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜4Sを得た。なお、例1と同様にして測定した陽イオン交換膜4の膜抵抗は1.1Ω・cm2であった。
単量体の混合物として、スチレン80質量%、アクリロニトリル20質量%とを混合してなるものを用いた以外は例1と同様にして陽イオン交換膜5を得、次いで一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜5Sを得た。なお、例1と同様にして測定した陽イオン交換膜5の膜抵抗は0.9Ω・cm2であった。
単量体の混合物として、スチレン77質量%、クロロメチルスチレン10質量%、アクリロニトリル10質量%、ジビニルベンゼン3質量%からなるものを用いた以外は例1と同様にして陽イオン交換膜6を得、次いで一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜6Sを得た。なお、例1と同様にして測定した陽イオン交換膜6の膜抵抗は1.5Ω・cm2であった。
単量体の混合物として、スチレン74質量%、クロロメチルスチレン10質量%、アクリロニトリル10質量%、ジビニルベンゼン6質量%からなるものを用いた以外は例1と同様にして陽イオン交換膜7を得、次いで一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜7Sを得た。なお、例1と同様にして測定した陽イオン交換膜7の膜抵抗は1.7Ω・cm2であった。
単量体の混合物として、スチレン70質量%、クロロメチルスチレン10質量%、アクリロニトリル10質量%、ジビニルベンゼン10質量%からなるものを用いた以外は例1と同様にして陽イオン交換膜8を得、次いで一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜8Sを得た。なお、例1と同様にして測定した陽イオン交換膜8の膜抵抗は2.0Ω・cm2であった。
陽極側より、一価陰イオン選択透過陰イオン交換膜、一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜、一価陰イオン選択透過陰イオン交換膜の順に配置して区画した、有効通電面積が4×2.5cm2の陽極室、希釈室、濃縮室、陰極室からなる4室型回分式電気透析セルを準備した。陽極としては銀−塩化銀電極を用い、一価陰イオン選択透過陰イオン交換膜としては、セレミオンASV(旭硝子社製品名)を用いた。一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜としては、例1〜8にて作成した各々の一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜を用い、ポリアリルアミン処理面が希釈室側となるように配置した。
・・・式1
式1において、[Cl]は濃縮室における塩化物イオン濃度を、[Mg]は濃縮室におけるマグネシウムイオン濃度を、[Ca]は濃縮室におけるカルシウムイオン濃度を示す。また、末尾の−2.5は、経験的に求められた海水イオン中のカリウムイオンの補正係数である。上記簡易純塩率においては、カリウムイオンの濃度を測定せず、この経験値を引くことによりカリウムイオンの含有量を補正する。
上記簡易純塩率の測定を行った後、一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜を電気透析セルから抜き出し、該陽イオン交換膜を60℃のイオン交換水に7日間、30日間または120日間浸漬した後、上記電気透析セルに組込み、再度上記と同様にして簡易純塩率の測定を行った。なお、30日間または120日間浸漬させた場合は、週1回イオン交換水を交換した。例1〜5の評価結果を表1に示す。例6〜8の評価結果を表2に示す。
スチレン60質量部、クロロメチルスチレン20質量部、ブチルアクリレート20質量部、ジオクチルフタレート3質量部の混合モノマー溶液を使用した以外、例1と同様に陽イオン交換膜9を得、次いで一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜9Sを得た。なお、例1と同様にして測定した陽イオン交換膜8の膜抵抗は2.8Ω・cm2であった。
陽イオン交換膜として、スチレン−ジビニルベンゼン系陽イオン交換膜であるセレミオンCMV(旭硝子社製品名、クロロメチルスチレンに基づく重合単位を有しない。)を用いた以外は例1と同様にして一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜10Sを得た。なお、例1と同様にして測定したセレミオンCMVの膜抵抗は2.1Ω・cm2であった。
本実施例(例2、例4、例6、例7、例8)で作成した一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜と、陰イオン交換膜セレミオンASV(旭硝子社製品名)を旭硝子社製の電気透析装置0(ゼロ)型(有効通電面積2.1dm2)に組み込んだ。この電気透析装置の希釈室に海水を流速7cm/sec、温度25℃で通水し、2.5A/dm2の電流密度で100日間運転を行った。平衡濃度に達した、濃縮室から留出する濃縮液を分析し、簡易純塩率(1日後および100日後)、塩化物濃縮濃度、電流効率を求めた。
この他、本発明の製造方法で得られる一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜は、メタノール燃料電池や2次電池用の隔膜としても有用である。
Claims (7)
- スチレンに基づく重合単位およびクロロメチルスチレンに基づく重合単位を含有する共重合体をスルホン化して得られた、スルホン酸基を有する陽イオン交換膜の表面に、カチオン性基を有する重合体を含有する溶液を接触させ、50℃以上に加熱することを特徴とする一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜の製造方法。
- 上記共重合体におけるクロロメチルスチレンに基づく重合単位の含有割合が、5〜80質量%である請求項1に記載の一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜の製造方法。
- 上記共重合体が、さらにジビニルベンゼンに基づく重合単位、およびアクリロニトリルに基づく重合単位を含有する4元共重合体である請求項1または2に記載の一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜の製造方法。
- カチオン性基を有する重合体が、分子量が5000以上のアリルアミンの単独重合体または共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜の製造方法。
- 上記陽イオン交換膜の表面にカチオン性基を有する重合体を含有する溶液を接触させた後、60〜120℃の温度範囲内で加熱する請求項1〜4のいずれかに記載の一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜の製造方法。
- 上記陽イオン交換膜を、酸素酸陰イオンまたは有機スルホン酸イオンと接触させる請求項1〜5のいずれかに記載の一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜の製造方法。
- スチレンに基づく重合単位およびクロロメチルスチレンに基づく重合単位を含有する共重合体をスルホン化して得られた、スルホン酸基を有する陽イオン交換膜の表面に、カチオン性基を有する重合体からなる一価陽イオン選択透過層が形成されてなる一価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜。
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