JP2006006121A - 魚骨軟化処理方法および魚骨軟化処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 魚の骨を、容易に導入・実施可能な、簡易な手段により軟化加工することのできる、魚骨軟化処理方法を提供すること。
【解決手段】 処理対象魚体Rを酸性水に漬け込む酸性水浸漬工程S2と、酸性水浸漬工程S2についで魚体をアルカリ性水に漬け込むアルカリ性水浸漬工程S3とを、主たる構成とする。酸性水浸漬工程S2の前には、魚体Rを塩水につけ込む塩水浸漬工程S1を設けることができる。Sp1は解凍や三枚おろしなどの準備工程、Sa3は本調味などの最終仕上げ工程を示す。
【選択図】 図1
【解決手段】 処理対象魚体Rを酸性水に漬け込む酸性水浸漬工程S2と、酸性水浸漬工程S2についで魚体をアルカリ性水に漬け込むアルカリ性水浸漬工程S3とを、主たる構成とする。酸性水浸漬工程S2の前には、魚体Rを塩水につけ込む塩水浸漬工程S1を設けることができる。Sp1は解凍や三枚おろしなどの準備工程、Sa3は本調味などの最終仕上げ工程を示す。
【選択図】 図1
Description
本発明は魚骨軟化処理方法および魚骨軟化処理システムに係り、特に、ニシン・イワシ等の小骨の多い魚の骨を簡易な手段により軟化加工することを可能とする、魚骨軟化処理方法および魚骨軟化処理システムに関する。
ニシン・イワシ等を始めとして、魚は良質のタンパク質や高度不飽和脂肪酸等の良質の脂質、その他の機能性成分を豊富に含有するものであり、人間が健康な食生活を営む上で高い価値を有する食品である。しかしながら、特に例示した魚を始めとして、その小骨の多さが摂食時に煩わしい場合があり、また特に、幼児・高齢者などは身体条件上摂食をしにくい場合がある。したがって、小骨等を気にすることなく摂食できれば、これらの者も気軽にかつ安心して魚を食すことができ、魚やその加工品の需要を拡大することにもつながる。
そのためには、骨を除去すること、骨を除去しないまでも摂食に支障のないように軟化すること、が考えられる。従来、魚の骨を軟化させる技術としては、後記各特許文献に開示されているように、加圧下において加熱処理することが一般的である。なお、これらの文献は、下記条件にて検索し得たものである。
使用データベース:PATOLIS((株)パトリス)
使用検索メニュー:特許実用新案フリーキーワード検索
検索条件:魚*骨*軟化*処理
対象情報:特許、実用新案の各公開情報
検索日:平成16年3月18日
使用検索メニュー:特許実用新案フリーキーワード検索
検索条件:魚*骨*軟化*処理
対象情報:特許、実用新案の各公開情報
検索日:平成16年3月18日
しかしながら、これら特許文献に開示されたものはいずれも、上述の通り加圧と加熱を用いて行うものであり、それ相当の設備とエネルギーを要するものである。そのような設備を有さない、あるいは導入が困難な事業者であっても容易に導入・実施できるような、より簡易な骨軟化技術が求められる。
そのような技術を提供できれば、幼児・高齢者等身体条件上摂食に支障のあるような者を始めとして、骨を気にせずに魚を摂食することが可能となる。またそれ以外の消費者にとっても、骨を除去するのが煩わしい故に魚を敬遠するという嗜好傾向の改善を期待することができ、カルシウム不足の現代人の食生活改善に大いに寄与することができるとともに、欧米風の畜肉からのタンパク質摂取中心の食生活の普及とともに問題となってきている肥満・成人病の低年齢化など、食生活に起因する健康上の弊害を改善することができる。さらに、消費現象傾向の否めない魚食の地位回復にも寄与でき、水産業・水産加工業を始めとした関連産業の活性化にもつなげられることが期待できる。
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を踏まえ、特に、ニシン・イワシ等の小骨の多い魚など、魚の骨を、小規模の事業者であっても容易に導入・実施可能な、簡易な手段により軟化加工することのできる、魚骨軟化処理方法および魚骨軟化処理システムを提供することである。
本願発明者は上記課題について検討した結果、酸処理および中和処理を用いることによって上記課題の解決が可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明は、以下のとおりである。
(1) 処理対象魚体を酸性水に漬け込む酸性水浸漬工程と、該酸性水浸漬工程についで該魚体をアルカリ性水に漬け込むアルカリ性水浸漬工程とを経ることにより、該魚体中の魚骨を軟化させることを特徴とする、魚骨軟化処理方法。
(2) 前記酸性水浸漬工程の前に前記魚体を塩水につけ込む塩水浸漬工程を設けることを特徴とする、(1)に記載の魚骨軟化処理方法。
(3) 前記酸性水に用いる酸は、醸造酢または酢酸等、pHを下げることができる食品または食品添加物であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の魚骨軟化処理方法。
(4) 前記アルカリ性水に用いる塩基は、炭酸ナトリウム、あるいは炭酸カリウム等の炭酸塩等、pHを上げることができる食品または食品添加物であることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載の魚骨軟化処理方法。
(2) 前記酸性水浸漬工程の前に前記魚体を塩水につけ込む塩水浸漬工程を設けることを特徴とする、(1)に記載の魚骨軟化処理方法。
(3) 前記酸性水に用いる酸は、醸造酢または酢酸等、pHを下げることができる食品または食品添加物であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の魚骨軟化処理方法。
(4) 前記アルカリ性水に用いる塩基は、炭酸ナトリウム、あるいは炭酸カリウム等の炭酸塩等、pHを上げることができる食品または食品添加物であることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載の魚骨軟化処理方法。
(5) 処理対象魚体を漬け込むための塩水槽と、該塩水槽にて処理された該魚体を漬け込むことのできる酸性水槽と、該酸性水で処理された該魚体を漬け込むことのできるアルカリ性水槽とを備えてなり、該処理対象魚体をこれらの各槽にて順に浸漬処理することにより該魚体中の魚骨が軟化された、酸およびアルカリによる魚骨軟化処理魚が得られることを特徴とする、魚骨軟化処理システム。
(6) 前記酸性水槽では前記処理対象魚体浸漬用の酸性水として醸造酢または酢酸を用い、前記アルカリ性水槽では該魚体浸漬用のアルカリ性水として炭酸ナトリウムあるいは炭酸カリウム等の炭酸塩が用いられることを特徴とする、(5)に記載の魚骨軟化処理システム。
(6) 前記酸性水槽では前記処理対象魚体浸漬用の酸性水として醸造酢または酢酸を用い、前記アルカリ性水槽では該魚体浸漬用のアルカリ性水として炭酸ナトリウムあるいは炭酸カリウム等の炭酸塩が用いられることを特徴とする、(5)に記載の魚骨軟化処理システム。
本発明において「処理対象魚体」とは、本発明方法または本発明システムを適用する対象となるもので、その形状は、切断等によって変形がなされているか否かは問わない。また、生鮮品か冷凍かといった状態も問わない。したがって、たとえば実施例に述べるフィレなども、本発明にいう処理対象魚体に該当する。同様に、本発明において「魚骨軟化処理魚」とは、本発明方法または本発明システムを適用して得られる成果物であって、その形状は、切断等によって変形がなされているか否かは問わない。 したがって、たとえば実施例に述べるフィレなどに本発明を適用して得られた成果物も、本発明にいう魚骨軟化処理魚に該当する。
本発明の魚骨軟化処理方法および魚骨軟化処理システムは上述のように構成されるため、これによれば、小骨の多い魚など魚の骨を、小規模の事業者であっても容易に導入・実施可能な、簡易な手段により軟化加工することができる。
また、本発明方法等によれば、従来技術のような相当の設備とエネルギーを要しないため、製造コスト削減、エネルギー資源浪費防止効果を得ることができる。
さらに、本発明技術を用いることによって、幼児・高齢者等身体条件上摂食に支障のあるような者を始めとして、骨を気にせずに魚を摂食することが可能となる。もとより消費者一般にとっても、骨を除去するのが煩わしい故に魚を敬遠するという嗜好傾向の改善、カルシウム不足の現代人の食生活改善に大いに寄与することができる。加えて、欧米風食生活のもたらす肥満・成人病の低年齢化等弊害の防止、消費現象傾向の否めない魚食の地位回復にも寄与でき、水産業・水産加工業を始めとした関連産業の活性化にもつなげられることが期待できる。
以下、本発明を図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の魚骨軟化処理方法の構成を示すフロー図である。図示するように本方法は、処理対象魚体Rを酸性水に漬け込む酸性水浸漬工程S2と、該酸性水浸漬工程S2についで該魚体をアルカリ性水に漬け込むアルカリ性水浸漬工程S3とを有してなることを、主たる構成とする(上記(1)の発明)。
図1は、本発明の魚骨軟化処理方法の構成を示すフロー図である。図示するように本方法は、処理対象魚体Rを酸性水に漬け込む酸性水浸漬工程S2と、該酸性水浸漬工程S2についで該魚体をアルカリ性水に漬け込むアルカリ性水浸漬工程S3とを有してなることを、主たる構成とする(上記(1)の発明)。
また、図において本方法では、前記酸性水浸漬工程S2の前には、前記魚体Rを塩水につけ込む塩水浸漬工程S1を設けることとすることができる(上記(2)の発明)。図中、Sp1は、冷凍魚の解凍や三枚おろしなどの準備工程を示す。また、Sa3は、本調味などの最終仕上げ工程を示す。
本発明の魚骨軟化処理方法はこのように構成されるため、処理対象魚体Rは、該酸性水浸漬工程S2において、酸性水に浸漬されることによってその骨が軟化し、骨が軟化処理される過程(S2)で酸性水により酸が付着した該処理対象魚体Rは、その後に設けられる該アルカリ性水浸漬工程S3において、アルカリ性水に浸漬されて該酸が中和され、食用に供することのできる魚骨軟化処理魚Pが得られる。
該酸性水浸漬工程S2の前に該塩水浸漬工程S1を設けることにより、該処理対象魚体Rはまず、該工程S1において塩水に浸漬されて前処理され、その後上述の各工程S2、S2に供される。ここで、該塩水浸漬工程S1に替えて、食塩を用いたあんじょうを行ってもよい。ここで、あんじょうとは、製造工程中において一定時間ねかせることをさす。たとえば、所定量の食塩をかけた原料をその状態で冷暗所に所定時間置いておくことである。これにより、醸成・調味の均一化を図るものである。
本発明魚骨軟化処理方法では、前記酸性水に用いる酸として、醸造酢または酢酸等、pHを下げることができる食品または食品添加物を用いることができる(上記(3)の発明)。また同様に、前記アルカリ性水に用いる塩基として、炭酸ナトリウム、あるいは炭酸カリウム等の炭酸塩等、pHを上げることができる食品または食品添加物を用いることができる(上記(4)の発明)。
図2は、本発明の魚骨軟化処理システムの構成を示す概念図である。図示するように本システム50は、処理対象魚体Rを漬け込むための塩水槽10と、該塩水槽10にて処理された該魚体を漬け込むことのできる酸性水槽20と、該酸性水で処理された該魚体を漬け込むことのできるアルカリ性水槽30とを備えることを、主たる構成とする(上記(5)の発明)。
図において本システム50は上述のように構成されるため、処理対象魚体Rは、該塩水槽10にて塩水に浸漬され、ついで該酸性水槽20にて酸性水に浸漬されて酸による魚骨軟化処理がなされ、ついで該アルカリ性水槽30にてアルカリ性水に浸漬されて付着した酸が中和され、これらの各槽における順次の浸漬処理を経て、該魚体中の魚骨が軟化された、酸およびアルカリによる魚骨軟化処理魚Pが得られる。
図において本発明システム50では、前記酸性水槽20では前記処理対象魚体浸漬用の酸性水として醸造酢または酢酸を用い、前記アルカリ性水槽30では該魚体浸漬用のアルカリ性水として炭酸ナトリウムあるいは炭酸カリウム等の炭酸塩を用いることができる(上記(6)の発明)。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明がこれら実施例のみに限定されるものではない。各実施例において用いた食品および添加物の由来は、次の通りである。
炭酸カリウム(青葉化成(株))
アルカリ性配合調味料(商品名:ミールアップSE 青葉化成(株))
砂糖(フジ日本精糖)
食塩(讃岐塩業)
トレハロース(林原商事)
醸造酢(酸度10% 商品名:DV−100 内堀醸造)
酢酸(酸度90% 電気化学工業)
炭酸カリウム(青葉化成(株))
アルカリ性配合調味料(商品名:ミールアップSE 青葉化成(株))
砂糖(フジ日本精糖)
食塩(讃岐塩業)
トレハロース(林原商事)
醸造酢(酸度10% 商品名:DV−100 内堀醸造)
酢酸(酸度90% 電気化学工業)
なお、アルカリ性配合調味料(商品名:ミールアップSE)の組成詳細は以下の通りである。
炭酸ナトリウム50.00%、
炭酸カリウム(無水)10.00%、
DL−リンゴ酸ナトリウム7.50%、
酢酸ナトリウム5.00%、
L−グルタミン酸ナトリウム2.80%、
グリシン2.00%、
DL−アラニン1.70%、
トレハロース13.50%、
食品素材7.50%
炭酸ナトリウム50.00%、
炭酸カリウム(無水)10.00%、
DL−リンゴ酸ナトリウム7.50%、
酢酸ナトリウム5.00%、
L−グルタミン酸ナトリウム2.80%、
グリシン2.00%、
DL−アラニン1.70%、
トレハロース13.50%、
食品素材7.50%
<実施例1 ニシン>
ニシンを原料魚として本発明を適用し、魚骨軟化処理ニシンを製造した。製造条件は次の通りである。
(A)準備工程
冷凍の原料魚を解凍し、三枚におろして皮付きフィレとし、流水にて洗浄し、処理対象魚体とした。
(B)塩水浸漬工程
準備工程で準備された処理対象魚体を塩水浸漬処理した。
使用塩水 19%(重量 以下も同じ)食塩水
使用液量 処理対象魚体:塩水=1:1(重量 以下も同じ)
処理時間 6時間
水温 常温 ただし15℃以下
ニシンを原料魚として本発明を適用し、魚骨軟化処理ニシンを製造した。製造条件は次の通りである。
(A)準備工程
冷凍の原料魚を解凍し、三枚におろして皮付きフィレとし、流水にて洗浄し、処理対象魚体とした。
(B)塩水浸漬工程
準備工程で準備された処理対象魚体を塩水浸漬処理した。
使用塩水 19%(重量 以下も同じ)食塩水
使用液量 処理対象魚体:塩水=1:1(重量 以下も同じ)
処理時間 6時間
水温 常温 ただし15℃以下
(C)酸性水浸漬工程
塩水浸漬処理後の処理対象魚体の骨を軟化するために、これを酸性水浸漬処理した。
使用酸 酢酸2%、醸造酢4%の水溶液
酸度 2.2
pH 2.60以下
使用液量 処理対象魚体:酸性水=1:1
処理時間 一昼夜(16〜20時間)
水温 常温 ただし15℃以下
塩水浸漬処理後の処理対象魚体の骨を軟化するために、これを酸性水浸漬処理した。
使用酸 酢酸2%、醸造酢4%の水溶液
酸度 2.2
pH 2.60以下
使用液量 処理対象魚体:酸性水=1:1
処理時間 一昼夜(16〜20時間)
水温 常温 ただし15℃以下
(D)アルカリ性水浸漬工程
酸性水浸漬処理後の処理対象魚体に付着した酸を中和するために、これをアルカリ性水浸漬処理した。
使用アルカリ アルカリ性配合調味料0.3%水溶液
pH 11.50以上
なお、該アルカリ0.3%水溶液は、これに食塩2%、砂糖3%、トレハロース6%を同時に溶解して処理液(アルカリ性水)とした。
使用液量 処理対象魚体:アルカリ性水=1:1
処理時間 8時間
水温 常温 ただし15℃以下
酸性水浸漬処理後の処理対象魚体に付着した酸を中和するために、これをアルカリ性水浸漬処理した。
使用アルカリ アルカリ性配合調味料0.3%水溶液
pH 11.50以上
なお、該アルカリ0.3%水溶液は、これに食塩2%、砂糖3%、トレハロース6%を同時に溶解して処理液(アルカリ性水)とした。
使用液量 処理対象魚体:アルカリ性水=1:1
処理時間 8時間
水温 常温 ただし15℃以下
(E)本調味浸漬工程
魚骨軟化処理および中和処理を終えた処理対象魚体に対する最終的な調味は、適宜の調味料組成からなる調味液を用いて、処理対象魚鯛をこれに浸漬して行った。
使用液量 処理対象魚体:調味液=1:0.8
処理時間 一昼夜(16〜20時間)
魚骨軟化処理および中和処理を終えた処理対象魚体に対する最終的な調味は、適宜の調味料組成からなる調味液を用いて、処理対象魚鯛をこれに浸漬して行った。
使用液量 処理対象魚体:調味液=1:0.8
処理時間 一昼夜(16〜20時間)
(F)評価
最終製品である魚骨軟化処理魚について、骨の軟化の程度、味、食感等において評価した。骨の軟化の程度については、腹骨・小骨・肋骨ともに充分に軟化しており、魚肉部部分との対比において、そのまま摂食することに何ら問題がなかった。酸・アルカリ処理による酸味や苦味は、特に異味を感じさせることがない程度のものであり、食品として特に問題がなかった。浸漬工程を複数経ることによる食感の変化も、特に生じなかった。以上より、低設備かつ簡易な工程により、食味・食感に特に影響を与えることなく、容易に処理対象魚体の魚骨を軟化することができた。
最終製品である魚骨軟化処理魚について、骨の軟化の程度、味、食感等において評価した。骨の軟化の程度については、腹骨・小骨・肋骨ともに充分に軟化しており、魚肉部部分との対比において、そのまま摂食することに何ら問題がなかった。酸・アルカリ処理による酸味や苦味は、特に異味を感じさせることがない程度のものであり、食品として特に問題がなかった。浸漬工程を複数経ることによる食感の変化も、特に生じなかった。以上より、低設備かつ簡易な工程により、食味・食感に特に影響を与えることなく、容易に処理対象魚体の魚骨を軟化することができた。
上記各製造条件は、最良なものの一例であり、各条件は適宜変更して行うことももちろん可能である。たとえば、塩水浸漬工程においては、塩水濃度を13%程度とした場合でも、良い結果を得ることができた。また、酸性水浸漬工程においては、使用する酸性水は、酸度を2.1〜2.4となるように酢酸および醸造酢により調整しても、良い結果を得ることができた。また、アルカリ性水浸漬工程においては、使用するアルカリ性水は、0.1%以下の炭酸ナトリウム水溶液を用いた場合でも、ある程度良い結果を得ることができた。また、処理対象魚体のサイズにもよるが、処理時間を8時間あるいは16時間以下としても、良い結果を得ることができた。また、アルカリ性水浸漬工程では、処理対象魚体のサイズにより処理時間を3〜24時間程度の範囲の中で、適宜変更することが望ましいと考えられた。
<実施例2 サバ>
サバを原料魚として本発明を適用し、魚骨軟化処理サバを製造した。製造条件始め、実施概要は実施例1に準じて行った。ただし、アルカリ性水浸漬工程は、処理対象魚体サイズに応じて、処理時間を8〜20時間程度とした。得られた魚骨軟化処理サバは、胸骨が、充分に軟化しており、魚肉部部分との対比において、そのまま摂食することに何ら問題がなく、本発明の効果が確認された。
サバを原料魚として本発明を適用し、魚骨軟化処理サバを製造した。製造条件始め、実施概要は実施例1に準じて行った。ただし、アルカリ性水浸漬工程は、処理対象魚体サイズに応じて、処理時間を8〜20時間程度とした。得られた魚骨軟化処理サバは、胸骨が、充分に軟化しており、魚肉部部分との対比において、そのまま摂食することに何ら問題がなく、本発明の効果が確認された。
上記各製造条件は、最良なものの一例であり、各条件は適宜変更して行うことももちろん可能である。たとえば、塩水浸漬工程においては、塩水濃度を15%程度とした場合でも、あるいはまた17〜19%程度とした場合でも、良い結果を得ることができた。また、酸性水浸漬工程においては、使用する酸性水は、酸度を2.3となるように酢酸および醸造酢により調整しても、良い結果を得ることができた。また、アルカリ性水浸漬工程においては、使用するアルカリ性水は、0.2%以下の炭酸ナトリウム水溶液を用いた場合でも、ある程度良い結果を得ることができた。
<実施例3 イワシ>
イワシを原料魚として本発明を適用し、魚骨軟化処理イワシを製造した。製造条件始め、実施概要は実施例1に準じて行った。ただし、アルカリ性水浸漬工程は、処理対象魚体サイズが上記2例と比較して小さいことから、処理時間を8〜20時間程度とした。得られた魚骨軟化処理イワシは、腹骨・小骨とも充分に軟化しており、魚肉部部分との対比において、そのまま摂食することに何ら問題がなく、本発明の効果が確認された。
イワシを原料魚として本発明を適用し、魚骨軟化処理イワシを製造した。製造条件始め、実施概要は実施例1に準じて行った。ただし、アルカリ性水浸漬工程は、処理対象魚体サイズが上記2例と比較して小さいことから、処理時間を8〜20時間程度とした。得られた魚骨軟化処理イワシは、腹骨・小骨とも充分に軟化しており、魚肉部部分との対比において、そのまま摂食することに何ら問題がなく、本発明の効果が確認された。
上記各製造条件は、最良なものの一例であり、各条件は適宜変更して行うことももちろん可能である。たとえば、塩水浸漬工程においては、塩水濃度を17〜19%程度とした場合でも、良い結果を得ることができた。また、酸性水浸漬工程においては、使用する酸性水は、酸度を2.1となるように酢酸および醸造酢により調整しても、良い結果を得ることができた。また、アルカリ性水浸漬工程においては、使用するアルカリ性水は、0.15%以下の炭酸ナトリウム水溶液を用いた場合でも、ある程度良い結果を得ることができた。
上記各実施例では、本調味浸漬工程は最終段階に設けて行ったが、これに限定されず、たとえば塩水浸漬工程と酸性水浸漬工程の間で、調味工程を入れてもよい。また、製品としては、調味済み未加熱のもの、調味済みかつ加熱済みのもの、調味程度を種々に変えたもの、調味されないものなど、特に限定せず種々の形態のものを最終製品とすることができる。したがって、本調味浸漬工程は、本発明の必須要素ではない。
本発明の魚骨軟化処理方法および魚骨軟化処理システムによれば、小骨の多い魚など魚の骨を、小規模の事業者であっても容易に導入・実施可能な、簡易な手段により軟化加工することができる。また、製造コスト削減、エネルギー資源浪費防止効果を得ることもできる。
本発明により得られる魚骨軟化処理魚を用いて、焼き魚、煮魚、干物等の製品、唐揚げ・フライ用の食材など、広範な商品展開を行うことも可能である。消費者の健康改善・増進効果、それと相俟った魚食嗜好の増加・回復に寄与でき、水産業・水産加工業を始めとした関連産業の活性化への貢献が大いに期待できる。したがって、産業上利用価値が高い発明である。
10…塩水槽
20…酸性水槽
30…アルカリ性水槽
50…魚骨軟化処理システム
Sp1…準備工程
S1…塩水浸漬工程
S2…酸性水浸漬工程
S3…アルカリ性水浸漬工程
Sa3…最終仕上げ工程
P…魚骨軟化処理魚
R…処理対象魚体
20…酸性水槽
30…アルカリ性水槽
50…魚骨軟化処理システム
Sp1…準備工程
S1…塩水浸漬工程
S2…酸性水浸漬工程
S3…アルカリ性水浸漬工程
Sa3…最終仕上げ工程
P…魚骨軟化処理魚
R…処理対象魚体
Claims (6)
- 処理対象魚体を酸性水に漬け込む酸性水浸漬工程と、該酸性水浸漬工程についで該魚体をアルカリ性水に漬け込むアルカリ性水浸漬工程とを経ることにより、該魚体中の魚骨を軟化させることを特徴とする、魚骨軟化処理方法。
- 前記酸性水浸漬工程の前に前記魚体を塩水につけ込む塩水浸漬工程を設けることを特徴とする、請求項1に記載の魚骨軟化処理方法。
- 前記酸性水に用いる酸は、醸造酢または酢酸等、pHを下げることができる食品または食品添加物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の魚骨軟化処理方法。
- 前記アルカリ性水に用いる塩基は、炭酸ナトリウム、あるいは炭酸カリウム等の炭酸塩等、pHを上げることができる食品または食品添加物であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の魚骨軟化処理方法。
- 処理対象魚体を漬け込むための塩水槽と、該塩水槽にて処理された該魚体を漬け込むことのできる酸性水槽と、該酸性水で処理された該魚体を漬け込むことのできるアルカリ性水槽とを備えてなり、該処理対象魚体をこれらの各槽にて順に浸漬処理することにより該魚体中の魚骨が軟化された、酸およびアルカリによる魚骨軟化処理魚が得られることを特徴とする、魚骨軟化処理システム。
- 前記酸性水槽では前記処理対象魚体浸漬用の酸性水として醸造酢または酢酸を用い、前記アルカリ性水槽では該魚体浸漬用のアルカリ性水として炭酸ナトリウムあるいは炭酸カリウム等の炭酸塩が用いられることを特徴とする、請求項5に記載の魚骨軟化処理システム。
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JP2012205533A (ja) * | 2011-03-29 | 2012-10-25 | Kyowa:Kk | マイクロ波照射による魚骨の軟化方法 |
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2004
- 2004-06-22 JP JP2004183748A patent/JP2006006121A/ja active Pending
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