JP2006000922A - ハイドロフォーム成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重ね合わせた2枚の金属板2を上型11と下型12とによって挟み込んで型締めした後、2枚の金属板2の間に高圧水を注入することにより内圧を付与し、金属板2を上型11及び下型12にそれぞれ形成されたキャビティ13に沿った形状に成形するハイドロフォーム成形方法。上型11及び下型12は、それぞれ、キャビティ13の周囲に2枚の金属板2を挟持する挟持面14を有すると共に、挟持面14から突出した突起部15をキャビティ13の全周にわたって連続形成してなる。型締めの際に、突起部15を金属板2に食い込ませてロックビード25を形成する。ロックビード25よりも外側の金属材料が、内圧付与時にキャビティ13側へ流入しないよう金属板2をロックする。
【選択図】図1
Description
該ハイドロフォーム成形方法においては、2枚の外壁板2の間に注入した高圧水が漏れないようにする必要がある。そこで、図18〜図20に示すごとく、金属板2の周縁部をレーザ溶接等によって接合することによりシールした上で、上型91と下型92とにより型締めし、高圧水の注入を行う方法がある(特許文献1参照)。図18〜図20において、符号27が溶接部であり、符号7はレーザ溶接機である。
また、図10〜図13に示すごとく、上下の金属板2の変形量が異なる場合、予め溶接した金属板2をハイドロフォーム成形すると、金属板2に皺が発生するおそれがある(後述する比較例参照)。
ところが、上記ビード28を形成すると、金属板2のビード部分は製品に使用することができない。換言すると、製品として使用しないビード28を凹凸状に成形するためだけに金属板2の大きさを余分に確保する必要がある。そのため、材料の歩留まりが低下するという問題がある。
また、上記ビード部分を、他の部品との接続用のフランジ部として残しておいても、上記ビードは凹凸状に形成されているため、スポット溶接などを行うことが困難である。
しかし、この方法においても、ハイドロフォーム成形の前に溶接工程が必要となり、生産性の向上は困難である。
上記上型及び上記下型は、それぞれ、上記キャビティの周囲に上記2枚の金属板を挟持する挟持面を有し、
上記上型及び上記下型の少なくとも一方は、上記挟持面から突出した突起部を上記キャビティの全周にわたって連続形成してなり、
上記型締めの際に、上記突起部を上記金属板に食い込ませてロックビードを形成し、
該ロックビードよりも外側の金属材料が、上記内圧付与時に上記キャビティ側へ流入しないよう上記金属板をロックすることを特徴とするハイドロフォーム成形方法にある(請求項1)。
上記ハイドロフォーム成形方法においては、上記突起部を上記金属板に食い込ませることにより、上記ロックビードを形成する。それ故、キャビティによる成形部分以外の部分において、金属板を大きく変形させることがなく、ビード部分に金属材料を多く必要としないため、材料歩留まりを向上させることができる。
また、上記ロックビードは、上記型締めの際に形成するため、特にロックビードの形成工程を新たに設ける必要がない。それ故、生産性を向上させることができる。
また、2枚の金属板を接合する必要が特にないため、各金属板を別部品として成形することも可能となる。
また、上記突起部は、上記上型及び下型の一方にのみ形成してもよいし、双方に形成してもよい。
この場合には、上記金属板をより確実にロックすることができる。
上記突起部の高さが金属板の厚みの0.3倍未満の場合には、金属板を充分にロックすることが困難となるおそれがある。一方、上記突起部の高さが金属板の厚みの0.5倍を超える場合には、上記ロックビードにおいて、上記金属板が破断するおそれがある。
なお、上記突起部の高さと金属板の厚みとの比較は、互いに食い込み、食い込まれる関係にある突起部と金属板との間で行う。
この場合には、上記突起部が金属板に食い込みやすくなり、金属板のロックを容易かつ確実に行うことができる。
上記頂角が30°未満の場合には、上記突起部の幅が小さくなりすぎ、突起部の破損等のおそれがある。一方、上記頂角が120°を超える場合には、突起部が金属板に食い込みにくくなると共に、金属板のロックを確実に行うことが困難となるおそれがある。
上記角度が105°未満の場合には、突起部が金属板に食い込みにくくなるおそれがある。一方、上記角度が150°を超える場合には、金属板のロックを確実に行うことが困難となるおそれがある。
この場合には、より確実に金属板のロックを行うことができる。
この場合には、上型の突起部と下型の突起部の双方を、容易に金属板に食込ませることができると共に、金属板を確実にロックすることができる。
本発明の実施例にかかる、ハイドロフォーム成形方法につき、図1〜図8を用いて説明する。
本例のハイドロフォーム成形方法は、図1、図2に示すごとく、重ね合わせた2枚の金属板2を上型11と下型12とによって挟み込んで型締めした後、上記2枚の金属板2の間に高圧水3を注入することにより内圧を付与する。これにより、図3に示すごとく、金属板2を上型11及び下型12にそれぞれ形成されたキャビティ13に沿った形状に成形する。
そして、上記型締めの際に、上記突起部15を金属板2に食い込ませてロックビード25を形成する。
該ロックビード25よりも外側の金属材料が、上記内圧付与時にキャビティ13側へ流入しないよう金属板2をロックする。
また、突起部15は、図6、図7に示すごとく、断面略三角形状を有し、その頂角αが30〜120°である。また、突起部15のキャビティ13とは反対側の斜面151と、上記挟持面14との角度βは、105〜150°である。
例えば、上記突起部15の形状を断面二等辺三角形とし、その頂角αを90°とすることができる。この場合、上記角度βは135°となる。
また、図6に示すごとく、上型11に形成された突起部15と、下型12に形成された突起部15とは、型締め時に互いに対向しない位置に形成してある。
まず、図4に示すごとく、2枚の金属板2を重ね合わせる。このうちの一方の金属板2は、高圧水3を注入するための注水孔21を有する。
そして、図1に示すごとく、重ね合わせた2枚の金属板2を、下型12と上型11との間に配置し、型締めする。このときの型締め力によって、図6に示すごとく、上型11と下型12とに形成された突起部15をそれぞれ金属板2に食い込ませてロックビード25を形成すると共に、挟持面14において金属板2を挟持する。
更に内圧の付与を続けると、図3に示すごとく、金属板2は、上型11及び下型12にそれぞれ形成されたキャビティ13に沿うように変形する。
上記ハイドロフォーム成形方法においては、図6に示すごとく、上記突起部15を金属板2に食い込ませることにより、上記ロックビード25を形成する。それ故、キャビティ13による成形部分以外の部分において、金属板2を大きく変形させることがなく、ビード部分に金属材料を多く必要としないため、材料歩留まりを向上させることができる。
また、上記ロックビード25は、上記型締めの際に形成するため、特にロックビード25の形成工程を新たに設ける必要がない。それ故、生産性を向上させることができる。
また、2枚の金属板2を接合する必要が特にないため、各金属板2を別部品として成形することも可能となる。
また、上記突起部15は、断面略三角形状を有し、その頂角αが30〜120°であるため、突起部15が金属板2に食い込みやすくなり、金属板2のロックを容易かつ確実に行うことができる。
また、上記突起部15の斜面151と挟持面14とのなす角度βが105〜150°であるため、金属板2のロックを確実に行うことができる。
本例は、表1に示すごとく、上記実施例1において示した突起部15とロックビード25とのロック状態(ロックの可否)を、型締め力との関係において確認した例である。
本例において用いた上型及び下型の突起部15は、頂角αが90°、角度βが135°、高さhが0.4mである(図6、図7参照)。また、上型及び下型にそれぞれ形成した突起部15の配設ピッチは、それぞれ10mmである。
そして、金属板の厚みtは、いずれも1mmである。
また、型締め力を0.375〜3.750kgf/mm2まで段階的に変化させた。
また、上下併せた突起部、ロックビードの形成個数も、2本、3本、5本と変化させて評価した。
この結果を、表1に示す。
この結果から分かるように、型締め力が1.250kgf/mm2以上あれば、金属板のロックが確実に行われる。この1.250kgf/mm2という型締め力は、通常のハイドロフォーム成形における型締め力(例えば2〜10kgf/mm2)よりも小さい。そのため、本発明によれば、通常のハイドロフォーム成形方法における型締め力にて充分に金属板をロックすることができる。
本例は、図9に示すごとく、上下2枚の金属板2を、異なる深さに成形する場合のハイドロフォーム成形方法の例である。
該ハイドロフォーム成形方法において用いる上型11と下型12とは、上型11のキャビティ13が比較的深く、下型12のキャビティ13が比較的浅い。
このような上型11と下型12とを用いて、2枚の金属板2をハイドロフォーム成形する。
その他は、実施例1と同様である。
そのため、下記の比較例に示すような金属材料の過剰な流入を防止して、成形品20に皺が入ることを防ぐことができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例は、図10〜図13に示すごとく、上記実施例2と同様に、上下2枚の金属板2を、異なる深さに成形する場合のハイドロフォーム成形方法の例であるが、上型81及び下型82に突起部(図6、図7の符号15参照)を設けない例である。
また、この場合、2枚の金属板2は、互いに全周を溶接する必要があり(図19、図20参照)、溶接部27を設ける。
また、本例のハイドロフォーム成形方法においては、内圧付与時における金属材料のキャビティ83への流入をある程度許容する。
また、上型81のキャビティ83が比較的深く、下型82のキャビティ83が比較的浅い。
次いで、図11に示すごとく、2枚の金属板2の間に、高圧水3を注入して内圧をかけ、2枚の金属板2を変形させる。このとき、2枚の金属板2はパスカルの原理に従って、同様の形状に変形する。また、上型11と下型12とによって挟持された金属板2の周縁部は、図10〜図13に示すごとく、徐々にキャビティ13側へ引き込まれる。
そして、図13に示すごとく、上側の金属板2も、上型81のキャビティ83に沿うように成形される。
その結果、図13に示すごとく、下側の金属板2に、皺29が発生する場合がある。
これに対し、本発明のハイドロフォーム成形方法によれば、上記実施例2に示したごとく、成形品への皺の発生を防止することができる。
また、本比較例においては、ハイドロフォーム成形の前に2枚の金属板2を互いに溶接したが、本発明のハイドロフォーム成形方法によれば、上述したごとく、特に溶接の必要がなく、生産性を向上させることができる。
本例は、図14〜図17に示すごとく、上記比較例と同様に、2枚の金属板2の全周を互いに溶接した後に、実施例1、2と同様の突起部15を有する上型11及び下型12によってハイドロフォーム成形を行う例である。
また、上型11のキャビティ13が比較的深く、下型12のキャビティ13が比較的浅い。
次いで、図15に示すごとく、2枚の金属板2の間に、高圧水3を注入して内圧をかけ、2枚の金属板2を変形させる。このとき、2枚の金属板2はパスカルの原理に従って、同様の形状に変形する。ただし、上型11と下型12とによって挟持された金属板2の周縁部は、図14〜図17に示すごとく、上型11及び下型12の突起部15によってロックされ、キャビティ13へ引き込まれることはない。
そして、図17に示すごとく、上側の金属板2も、上型11のキャビティ13に沿うように成形される。
その結果、図17に示すごとく、下側の金属板2に、比較例の場合のような皺(図13の符号29参照)が発生することはない。
また、上記溶接部27が線溶接の状態にあるため、得られる製品の高強度化を図ることができ、製品の機能を向上させることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
12 下型
13 キャビティ
14 挟持面
15 突起部
2 金属板
25 ロックビード
3 高圧水
Claims (5)
- 重ね合わせた2枚の金属板を上型と下型とによって挟み込んで型締めした後、上記2枚の金属板の間に高圧水を注入することにより内圧を付与し、上記金属板を上記上型及び上記下型にそれぞれ形成されたキャビティに沿った形状に成形するハイドロフォーム成形方法であって、
上記上型及び上記下型は、それぞれ、上記キャビティの周囲に上記2枚の金属板を挟持する挟持面を有し、
上記上型及び上記下型の少なくとも一方は、上記挟持面から突出した突起部を上記キャビティの全周にわたって連続形成してなり、
上記型締めの際に、上記突起部を上記金属板に食い込ませてロックビードを形成し、
該ロックビードよりも外側の金属材料が、上記内圧付与時に上記キャビティ側へ流入しないよう上記金属板をロックすることを特徴とするハイドロフォーム成形方法。 - 請求項1において、上記突起部は、上記金属板の厚みの0.3〜0.5倍の高さを有することを特徴とするハイドロフォーム成形方法。
- 請求項1又は2において、上記突起部は、断面略三角形状を有し、その頂角が30〜120°であることを特徴とするハイドロフォーム成形方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記上型及び上記下型の少なくとも一方には、上記突起部が複数個形成してあることを特徴とするハイドロフォーム成形方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項において、上記上型に形成された上記突起部と、上記下型に形成された上記突起部とは、上記型締め時に互いに対向しない位置に形成してあることを特徴とするハイドロフォーム成形方法。
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