JP2006000398A - 薬液用軟質プラスチックバッグ及びその製造方法 - Google Patents

薬液用軟質プラスチックバッグ及びその製造方法 Download PDF

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真邦 中島
Kenji Mukai
健二 向井
Katsumi Morita
勝美 森田
Shogo Yanagida
正吾 柳田
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Abstract

【課題】本発明では、上下端部が溶着され、かつ左右側端部も溶着された薬液バッグにおいて、薬液をいっぱいまで入れて誤って落袋した場合等に、側端部の溶着部の内側にピンホールが発生するあるいは破袋するという問題点があり、この問題点を解決する薬液バッグを提供することを目的とする。
【解決手段】 プラスチック製のシートの上下及び左右を溶着して上部溶着部12、下部溶着部13、右側溶着部及14び左側溶着部15を形成したバッグ本体11とバッグ本体11の上端部に装着される口部16とから構成された薬液用軟質プラスチックバッグ10であって、右側溶着部14及び左側溶着部15の少なくとも一方の溶着部の少なくとも内側に衝撃緩和用の溶着領域30を設けている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、薬液を収納してなる薬液用軟質プラスチックバッグに関する。さらに詳しくは、上下及び左右をヒートシールで溶着してなる薬液用軟質プラスチックバッグを誤って落袋して急激に内圧が掛かった場合にでも、左右溶着部に破袋的な応力集中が発生し、破袋するのを防止する左右溶着部構造に関するものである。
医療用プラスチックバッグとしては、筒状のプラスチックフイルムの上下端部を溶着したタイプのものと、2枚のプラスチックフイルムを重ねて用意し、上下端部及び左右端部からなる全周を溶着したタイプがある。
前者のタイプのものでは、上下端部を溶着したものが知られている(例えば特許文献1)。
この特許文献1のものは、シート素材として直鎖状低密度ポリエチレンや、ポリプロピレンなどの結晶性樹脂を用いており、ヒートシールする上下のシール部は融点以上に過熱されるので結晶化が進み、密度が高くなって硬くなる。また、バッグに薬液を充填する際に、バッグの膨らみによって、図4のバッグ41のようにバッグ本体44のコーナー部のシール境界端部46が、図5に示した尖り部48のように尖った形状になる傾向があった。
コーナー部のシール境界端部46は溶着による結晶化が進んだことにより硬くなった上、薬液充填で尖った形状になるので、誤って落袋させてバッグのコーナー部に衝撃が加わった場合に、衝撃がシール境界端部46に集中してピンホールが起きることがあった。
この対策として、シール境界端部46に面しているコーナー部が、衝撃の集中で破損することを防止するために、コーナー部分に島状シール部を設けている。
また、前者のタイプであって、バッグ本体の内部が剥離可能な弱シール部が形成されて複数の室に区画され、使用時にこの弱シール部を剥離させて1つの室として薬液を混合させるタイプのものが知られている。(例えば特許文献2)。
特許文献2に示す薬液バッグは、バッグ本体の内部が剥離可能な弱シール部及びその両端に続く強シール部によってシールされ、複数の室が形成された構成である。この強シール部は弱シール部の連続的延長線上にあるため、弱シール部分との境界は尖鋭な突起形状になっており、薬液混合のために弱シール部を剥離又は破壊した後、誤って落袋させると、この突起形状の境界に瞬間的引張伸長応力が集中し易く、当該部分に破壊とかピンホールが発生し易い欠点を有する。
そのために、強シール部の内側に衝撃緩和用の溶着領域を設け、誤って落袋し、上記強シール部に衝撃力が作用した場合に、この衝撃緩和用の溶着領域が剥離することによって、応力集中を緩和し、結果としてピンホールの発生防止及び破袋を防止するようにしている。
また、後者のタイプとしては、即ちバッグの上下端部及び左右端部を溶着して袋形状を形成するものも知られている。(例えば、特許文献3及び4)
特許文献3のものは、図6に示すように、容易に剥離し得る弱シール部52で区画された複数の収容室53a、53bを有するいわゆる複室容器51である。この弱シール部52は、周縁部56よりも弱く熱融着することにより形成され、所定の押圧を加えると始めて剥離し得るような素材を選択して使用したり、融着条件をコントロールして剥離強度を適宜調整して形成されていた。さらにこの複室容器51は、弱シール部52が使用時以外に誤って剥離するのを防止するため、当該弱シール部52で容器を2つ折りにし、その状態で外装袋に収容した形態が採られている。
ところが、実際の医療現場等では、複室容器51を外装袋から取り出して、広げた状態で放置または運搬することがしばしば行われる。その際、複室容器51を誤って落下させてしまうことがあり、左右側周縁部56が下になって落下した場合には、収容室53a、53bに押圧をかけなくても弱シール部52が剥離してしまう問題が生じる。
そのために、弱シール部52が中央部とその両側の側部との少なくとも3つの部分52a、52b、52cからなり、弱シール部52の側部52a,52cの剥離強度を弱シール部中央部52bの剥離強度よりも大きくし、たとえ容器の左右の周縁部56が下になって落下しても弱シール部52が誤って剥離することを防止するようにしている。
特許文献4のものは、周縁部が熱シールされており、特に両側端は略同幅で上下方向にわたってシールされており、さらにバッグ本体の略中央部が弱シールされて2つの室に区画されたものである。
特に、バッグを水平方向を基準にして二ツ折りした際に、折曲部分の両側端部が角ばらずしかもシールされて硬直した部分とならないように、折曲部分の両側隅部となる位置を非融着部として残し、しかもこの非融着部より内方の弱シール部は、角ばらない曲線外形に形成したものである。非融着部が外袋に当触したり折れ込んだりしても輸液バッグによる外袋への当触を柔らげることになり、外袋の開孔や破袋は確実に防止されることを狙いとするものである。
実開平07−028552号公報 特開平06−039018号公報 特開2000−7050公報 特開平10−314272号公報
特許文献1や2に示す薬液バッグは、落下時の破袋防止やピンホール発生防止に関するものであるが、筒状のプラスチックフイルムの上下端部を溶着し、側端部には溶着部がないタイプのものであって、上下溶着部のコーナー部の破袋対策や、複数室に区画する弱シール部の両端部での破袋対策に関して開示されているだけである。
いずれの特許文献も、側端部は溶着ではなく、プラスチックフイルムが連続してあるので、バッグ本体の落下時に側端部に応力集中することはなく、この部分の損傷については全く考慮されてない。
特許文献3の薬液バッグは、側端部が溶着されたタイプの薬液バッグであり、中央の弱シール部で折り返した状態にて、不慮の事項で左右の側端部が下になって落下した場合に、弱シール部が剥離するあるいは破損するのを防止する技術に関するものであって、溶着した側端部の破損に関しては全く考慮されてない。
特許文献4の薬液バッグは、側端部が溶着されたタイプの薬液バッグであり、落下時の弱シール部の剥離防止、特に弱シール部の両端部の開孔や破袋を防止するものであって、溶着した側端部の破損に関しては全く考慮されてない。
両側端部を溶着したタイプの薬液バッグでは、側端部の溶着幅は嵩張らないように非常に小さく形成されている。そのため、溶着強度が弱いとちょっとした圧力が加わっただけでも溶着部が剥がれる可能性があり、この部分は上下端部の強シールと同様に強力な溶着が施されている。
そして、薬液バッグには、薬液を導入した状態で、不慮の事故で落袋した際に、薬液バッグ内部の圧力が側端部や上下端部の溶着部や複室タイプの薬液バッグの区切り用の弱シール部等に作用して、これらの部分が破袋やピンホール発生が生じる可能性がある。この対策としては、一般的に、薬液をバッグ本体に対して70〜80パーセントしか導入せずに、バッグ本体に空気層を残し、この空気層で落袋時の衝撃を緩和している。
しかし、近年、薬液バッグのコンパクト化等の理由で、薬液バッグ一杯に薬液を導入することが行われつつある。このような薬液バッグでは、不慮の事故で薬液バッグを落袋した場合や左右側端部に何らかの強い衝撃が加わった場合に、バッグの側端部に孔が開いたり、破袋する問題点が発生することが判った。
特に、落袋のテストを繰り返した結果、落袋時に破袋するのは両側端部であって、上下端部の溶着部はほとんど破袋しなかった。このことは、上下の溶着部に対して、両側端部の溶着部の溶着幅が少なく、外部の衝撃が側端部の溶着を介して溶着部の内側に伝わるためと思われる。
しかし、両側端部の溶着部の溶着幅を上下の溶着部と同様な溶着幅にすると、バッグ本体が大きくなり取り扱いも不便となり、材料コストが上昇し、使用後のゴミ容量のアップになるので、溶着幅を拡大することはできない。
本発明では、上下端部が溶着され、かつ左右側端部も溶着された薬液バッグにおいて、誤って落袋した場合等に、側端部の溶着部の内側にピンホールが発生するあるいは破袋するという、新たな問題点を見出し、この対策について各種構造について鋭気研究を重ねていった。
両側端部の溶着部に破袋的な応力集中が発生する恐れがなく、従ってこの部分における破袋、ピンホール発生を防止でき、特にそれを構成する両側端部の好ましい溶着構造を提供することを目的として発明したものである。
具体的には、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、側端部の溶着幅を拡大することなく現状のままで、両側端の溶着部の内側に衝撃で剥離する衝撃緩和用の溶着領域を設けると良いことを見出したものである。その際、溶着領域は、溶着部に隣接しているものが望ましい。
特に、各種落袋テストを繰り返した結果から、現状の狭幅の溶着部に衝撃緩和用の溶着領域を設けることにしたものである。この溶着幅を管理することが肝心であり、側端部の全容着幅に対して、衝撃緩和用の溶着領域をいくらの範囲にするか、また、側端部の全容着幅全体を衝撃緩和用の溶着領域と同じ溶着強度とする場合には、全溶着幅をいくらにするかという点を突き詰めて、好ましい範囲を見出したものである。
請求項1の発明は、プラスチック製のシートの上下及び左右を溶着して上部溶着部、下部溶着部、左側溶着部及び右側溶着部を形成したバッグ本体とバッグ本体の上端部に装着される口部とから構成された薬液用軟質プラスチックバッグにおいて、該左側溶着部及び該右側溶着部の少なくとも一方の溶着部部の少なくとも内側に衝撃緩和用の溶着領域を有する構成である。
上記構成をさらに説明すると、人の力により容易に折れ曲がるプラスチックのほぼ同形状の2枚のシートを重ね合わせ、全周囲を溶着させて作成された薬液用プラスチックバッグであって、薬液を充填する充填口(口部)を有している。このプラスチックバッグは略矩形であり、その4辺が溶着されており、充填口を備えている辺に隣接する2辺の溶着部分の少なくとも一方のうち、少なくとも薬液を入れる空間に隣接する側に衝撃緩和用の溶着領域を有している。衝撃緩和用の溶着領域とは、薬液を充填したこのプラスチックバッグを80cmの高さから落下させたときに落下の衝撃により一部剥離が生じうる領域のことであり、一般の封止のための溶着部分よりも接着強度が低い部分である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の薬液用軟質プラスチックバッグにおいて、衝撃緩和用の溶着領域を設けた溶着部の全幅は3.5〜6.5mmであって、上記衝撃緩和用の溶着領域は全溶着幅の60〜20%とする構成である。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の薬液用軟質プラスチックバッグにおいて、上記衝撃緩和用の溶着領域の溶着強度が、該溶着領域以外の上記溶着部の強度の40〜75%とする構成である。溶着強度とは溶着した2枚のプラスチックシートを剥がす際の剥離強度(接着強度)のことである。
請求4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の薬液用軟質プラスチックバッグにおいて、上記衝撃緩和用の溶着領域の強度が20〜40N/cmであり、該溶着領域以外の上記溶着部の強度が30〜70N/cmであることを特徴とする。ここでいう強度とは、剥離強度(接着強度)のことである。また、溶着領域の強度が20〜40N/cmであり、該溶着領域以外の上記溶着部の強度が41〜70N/cmであることが好ましい。
請求項5に発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の薬液用軟質プラスチックバッグにおいて、衝撃緩和用の溶着領域は、左右の溶着部の全長にわたって形成されている構成である。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の薬液用軟質プラスチックバッグにおいて、上記プラスチックバッグ本体を複数室に区画する弱シールがさらに設けられ、上記上部溶着部及び下部溶着部は強シール部として形成され、上記左右の溶着部はややや強シール部として形成されている構成である。ここでやや強シール部というのは、上記衝撃緩和用の溶着領域のことであり、強シール部というのは上記溶着領域以外の溶着領域である。
請求項7の発明は、プラスチック製のシートの上下及び左右を溶着して上部溶着部、下部溶着部、左側溶着部及び右側溶着部を形成したバッグ本体とバッグ本体の上端部に装着される口部とから構成された薬液用軟質プラスチックバッグの製造方法において、該左側溶着部及び該右側溶着部が5秒〜7秒で、145〜155℃の条件で溶着されている構成である。
請求項1の発明では、側端部に衝撃が加わった場合でも、側端部に形成した衝撃緩和用の溶着領域が剥がれることによって衝撃が一点に集中することなく、側端部の長さ方向に分散するのでピンホールの発生が大きく減少する。特に、衝撃による圧力で溶着部が剥がれる場合に、剥がれにくい幅方向(奥に進む方向)よりも剥がれやすい方向(即ち溶着部の長さ方向)に力が作用するので、剥離が幅方向の進むことが防止され、剥離が溶着部の全幅に及ぶことが防止でき、側端部の破袋やピンホール発生を防止できる。
請求項2の発明では、側端部の溶着部において、外側部分の溶着層は強シールとし、内側部分を衝撃緩和用の溶着領域とするものであって、その場合の溶着部の全幅と衝撃緩和用の溶着領域の幅を特定したので、落袋などによってバッグが衝撃を受けた際に、衝撃力で側端部でのピンホールや破袋の発生が防止できる。特に、衝撃で溶着部が剥離する際に、剥離方向が幅方向に進行せずに、長さ方向に進行するので、溶着層全体が剥離することが確実に防止でき、かつ衝撃が1点に集中することを防止できる。
請求項3の発明では、側端部の溶着部において、外側部分の溶着層は強シールとし、内側部分を衝撃緩和用の溶着領域とするものであって、その場合の溶着領域の強度を強シール部の強度に対して弱い所定範囲に特定したので、落袋などによってバッグが衝撃を受けて溶着部が剥離する際に、剥離方向が強シールの方向に進行せずに、溶着領域内で進行するようにでき、溶着層全体が剥離することが確実に防止でき、かつ衝撃が1点に集中することを防止できる。
請求項4の発明では、溶着領域及び溶着領域以外の溶着部の強度を特定したので、落袋などによってバッグが衝撃を受けた際に、上記溶着領域が剥離する際に、剥離方向が強シールの方向に進行せずに、溶着領域内で進行するようにでき、溶着層全体が剥離することが確実に防止でき、かつ衝撃が1点に集中することを防止できる。
請求項5の発明では、どちらの側端部を下にして落袋した際でも、衝撃を緩和でき、側端部の破袋やピンホール発生を確実に防止できる。
請求項6の発明では、複室タイプの薬液バッグに対しても、側端部の溶着部の破袋やピンホール発生を効果的に防止できる。
請求項7の発明では、両側の溶着部に適正な衝撃緩和用の溶着領域が簡単に形成できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に関わる医療用の薬液用軟質プラスチックバッグ(以下、薬液バッグと称す)10の概略図を示している。バッグ10は、重ね合わせた2枚のフィルの全周囲、即ち上部、下部、左右側部をヒートシールすることによって、上部溶着部12、下部溶着部13、右側溶着部14、左側溶着部15を形成したバッグ本体11とバッグ本体11の上部溶着部12及び下部溶着部13に装着される口部16及び17とからなり、側部溶着部14、15の途中にバッグ本体11内部へと延びる区画用の仕切り溶着部21,21が設けられ、この仕切り溶着部21,21間に弱シール部20が設けられている。口部16,17は薬液の充填および薬液を取り出すのに用いられる。
本実施形態では、両側の溶着部14、15の全幅が、図2に示すように、衝撃緩和用溶着領域30として形成されている。つまり、このバッグ10に薬液を入れて床に落下させたときに、右及び左側の溶着部14,15は全幅に亘って、部分的に剥離しうる領域となっている。
これまでは、薬液バッグ10を誤って落袋した際に、両側溶着部14及び15の内側の一部が部分的に剥離することで、応力集中を無くしピンホール発生や破袋を防止できるものであり、このようにするためには両側溶着部14及び15の外側に今までの強溶着部を設け、その内側に強溶着部よりも剥離強度が小さい衝撃緩和用溶着領域を設けることが必須と考えていた。しかし、この場合には、外側と内側とで溶着条件を異ならせる必要があり、金型に工夫が必要である。そこで、本願発明者らは金型に工夫をせずに、ピンホール発生や破袋を防ぐことを目指し、両側溶着部14及び15の全幅を衝撃緩和用溶着領域を形成する条件で溶着を行ない、その落袋実験を行なった。その結果を表1に示す。このようなバッグでも、溶着条件を的確に設定すれば、ピンホール発生や破袋を防止することが可能であることが解かった。
このことは、落下等による衝撃で溶着部分が剥離する場合に、剥離が進行していくのは幅方向よりも幅方向と直角な長さ方向のほうが進行しやすいので、衝撃を受けた際に剥離しやすい長さ方向に剥離が生じて、幅方向の剥離の進行が抑制されるのではないかと予測している。そのために、全幅を衝撃緩和用の溶着領域として形成しても良い結果が得られたものと思われる。
以下に落袋実験の条件を示す。
薬液バッグ
容 量 :30リットル
形 状 :図1に示す形状
左右溶着部の各溶着幅:5.0mm
溶着条件
時 間 : 4秒〜9秒
温 度 : 140〜165℃
溶着圧力 : 0.31メガパスカル
なお、上下溶着部も左右溶着部も上記溶着条件で溶着した。
落袋試験
液 量 : 3リットルの水
落 差 : 0.8メートル
Figure 2006000398
表1において、1/30と示されているのは、30個落袋テストして、1個に孔開きや破袋などが生じたことを示す。×は、手で軽く押さえて側部溶着部の剥離が生じたもので、溶着強度が弱すぎるため敢えて落袋試験をしなかったものを示す。
溶着温度が158℃以上になると、強溶着部の溶着強度とあまり差のない溶着強度となり、破袋するものやピンホール発生するものがでる。ただ、溶着時間が4秒と短ければ、溶着温度が158℃でも衝撃緩和用の溶着領域として適する溶着となる。
溶着温度が158℃より低くても時間が8秒以上になると、強溶着部の溶着強度とあまり差のない溶着強度となり、破袋するものやピンホール発生するものがでる。即ち溶着温度が高すぎても溶着時間が長すぎても、溶着強度が強くなり過ぎるためよくない。
溶着温度が140℃より低いと、溶着強度が不足し、軽く手で圧力を加えただけで剥離が生じる。(×印)また、溶着時間が4秒以下であると、同じように溶着強度が不足する。溶着温度が145℃より低いと、破袋するものがある。
表1に示すように、衝撃緩和用の溶着領域を形成する溶着条件(好ましい条件)は、溶着時間が5〜7秒で、溶着溶着温度が145〜155℃である。
尚、上記の溶着条件では、溶着圧力は0.31メガパスカルであったが、この圧力値に限られるものではなく、0.1〜0.7メガパスカルの範囲で使用することが好ましい。
この第1実施形態のように、全溶着域を同じ溶着条件(温度・強度)で溶着する場合には、溶着域の幅は3.0〜7.0mmにして、溶着強度(接着強度)は25〜45N/cmとすることが好ましい。上記の落袋実験で得られた好ましい条件で溶着すると、結果的に衝撃時に、シールが維持される溶着部の内側に、同じく衝撃時にシールの開放される溶着領域が形成され、この時溶着強度は25〜45N/cmである。
このように、製造工程の簡略化のためには、溶着される領域の全てを同じ溶着条件で溶着を行い、しかもこの溶着領域が衝撃緩和用の溶着領域であることが好ましい。
(第2の実施形態)
図3は第2実施形態に係る薬液バッグの右及び左側の溶着部14,15の一部を拡大して示した図である。本実施形態は、右及び左側の溶着部14,15の構造が第1実施形態異なっており残りの部分は同じであるので、第1実施形態と異なる部分のみを以下に説明する。
本実施形態は、両側溶着部14、15の外側(外部側)が強溶着部31で、内側(薬液を入れる空間側)に衝撃吸収用の溶着領域30を設けている。本実施形態では、両側溶着部14,15の全幅は5.0mmであって、上記衝撃緩和用の溶着領域30は2.0mmで全溶着幅の40%である。
両側溶着部の全幅は3.5〜6.5mmであることが好ましく、両側溶着部の全幅が広いほど、上記衝撃緩和用の溶着領域を広くすることが可能であり、全幅の60%までなら実用可能である。下限は20%であり、これよりも少なくなると衝撃緩和も効果がない。従って、衝撃緩和用の溶着領域30の幅は、それが設けられている溶着部の全幅の60〜20%の範囲が好ましい。更に、全幅の50%〜30%とすると、衝撃緩和をより確実にできて、より好ましい。
また、溶着領域の溶着強度は、20〜40N/cmで、この溶着領域を除く溶着部、即ち強溶着部の溶着強度は30〜70N/cmとすることが好ましい。溶着領域の溶着強度は、20〜40N/cmで、この溶着領域を除く溶着部の溶着強度は41〜70N/cmとすることがより好ましい。
第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、袋を製作し、落袋試験を行った。
落袋試験では、第1実施形態と同様なテスト結果が得られたので、詳細な説明は省略する。
本実施形態の強溶着部31と衝撃緩和用溶着領域30との製造方法としては、例えば、両側溶着部の全幅を衝撃緩和用溶着領域を形成する温度条件及び時間で熱溶着し、その後、別工程で外側の強溶着部31の幅分だけ、更に強溶着する温度条件及び時間で熱溶着する方法を挙げることができる。この別工程で、上下の強溶着部も熱溶着する方法が可能である。2工程になるが、確実に強溶着部と衝撃緩和用溶着部を製造できる。
また、金型を工夫することで、両側溶着部の外側の強溶着部に相当する部分の温度が高くなり、内側の衝撃緩和用溶着領域に相当する部分の温度が低くなるように設定し、更に加熱時間も別々に制御できるようにし、両方の加熱温度及び加熱時間を変更するようにして、一度に強溶着部と衝撃緩和用溶着領域を製造するようにしても良い。この場合には、金型コストが上がるが、工程は一度で出来る。
本実施形態では、外側が強溶着部で、その内側に衝撃緩和用溶着部を設けた2重構造としたが、内側が剥離しやすく、外側が剥離しにくい状態になるように幅方向において徐々に溶着強度が変化しているものであっても良い。
また、第1の実施形態において上下端部の溶着部は、サイドの溶着部と同様に衝撃緩和用溶着条件で溶着しても良いし、従来どおりの強溶着条件で溶着したものでも良い。第2の実施形態において上下端部の溶着部は、衝撃緩和用溶着条件で溶着しても良いし、従来どおりの強溶着条件で溶着したものでも良い。
本発明の薬液バッグは、上下端部と左右端部とを溶着して袋形状にするものであれば、1室タイプのバッグでも折り返してある2室タイプのバッグでも、また他の薬液バッグでも適用可能であり、そのタイプは問わない。
以上説明したように、本発明に係る薬液用軟質プラスチックバッグは、落袋時などの衝撃によるピンホール発生及び破袋を防止し、医療用等の薬液を入れるバッグとして有用である。
本発明の第1実施形態に関わる医療用の薬液用軟質プラスチックバッグの概略図である。 図1の要部拡大図を示す。 本発明の第2実施形態の薬液バッグの一部拡大図である。 従来技術の薬液バッグを示す図である。 図4の別例を示す図である。 別の従来技術の薬液バッグを示す図である。
符号の説明
10 薬液バッグ
11 バッグ本体
12 上部溶着部
13 下部溶着部
14 右側溶着部
15 左側溶着部
16 口部
17 口部
20 弱シール
21 仕切り溶着部
30 衝撃吸収用溶着領域
31 強溶着部

Claims (7)

  1. プラスチック製のシートの上下及び左右を溶着して上部溶着部、下部溶着部、左側溶着部及び右側溶着部を形成したバッグ本体とバッグ本体の上端部に装着される口部とから構成された薬液用軟質プラスチックバッグにおいて、
    該左側溶着部及び該右側溶着部の少なくとも一方の溶着部の少なくとも内側に衝撃緩和用の溶着領域を有することを特徴とする。
  2. 請求項1に記載の薬液用軟質プラスチックバッグにおいて、
    衝撃緩和用の溶着領域を設けた溶着部の全幅は3.5〜6.5mmであって、上記衝撃緩和用の溶着領域は全溶着幅の60〜20%であることを特徴とする。
  3. 請求項1又は2に記載の薬液用軟質プラスチックバッグにおいて、上記衝撃緩和用の溶着領域の溶着強度が、該溶着領域以外の上記溶着部の強度の40〜75%であることを特徴とする。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の薬液用軟質プラスチックバッグにおいて、上記衝撃緩和用の溶着領域の強度が20〜40N/cmであり、該溶着領域以外の上記溶着部の強度が30〜70N/cmであることを特徴とする。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の薬液用軟質プラスチックバッグにおいて、上記衝撃緩和用の溶着領域は、左右の溶着部の全長にわたって形成されていることを特徴とする。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の薬液用軟質プラスチックバッグにおいて、上記プラスチックバッグ本体を複数室に区画する弱シールがさらに設けられ、上記上部溶着部及び上記下部溶着部は強シール部として形成され、上記左右の溶着部はやや強シール部として形成されていることを特徴とする。
  7. プラスチック製のシートの上下及び左右を溶着して上部溶着部、下部溶着部、左側溶着部及び右側溶着部を形成したバッグ本体とバッグ本体の上端部に装着される口部とから構成された薬液用軟質プラスチックバッグの製造方法において、
    該左側溶着部及び該右側溶着部が5秒〜7秒で、145〜155℃の条件で溶着されていることを特徴とする。
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