JP2005533191A - 固体再生ビスコース繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は,固体状再生ビスコース繊維の製造方法に関し,再生溶液への紡糸孔を含む紡糸口金を通してビスコース紡糸原液を紡糸して,フィラメントを形成し;前記ビスコース紡糸原液は,紡糸直前のアルカリ比が0.7〜1.0,好ましくは0.8〜0.9であり;前記紡糸孔の少なくとも一部は,円形の開口部を有しており;前記再生溶液は,70〜120g/l,好ましくは90〜110g/lの硫酸と,240〜380g/l,好ましくは330〜370g/lの硫酸ナトリウムと,20〜50g/l,好ましくは25〜35g/lの硫酸亜鉛とを含み;前記再生溶液は,45〜55℃の温度,好ましくは48〜50℃の温度を有し;前記再生溶液から取り出した後,第2の溶液及び/又は空気中において,上記で定義される最大ストレッチング比の70%〜90%,好ましくは80%〜90%のストレッチング比で前記フィラメントを引き延ばし;前記フィラメントを脂肪酸エステルで処理する;工程を含む。

Description

本発明は,固体状再生ビスコース繊維の製造方法,その製造方法により得られる繊維,およびその繊維を含む吸水性の製品,特にタンポンに関する。
本発明の目的に対して,「ビスコース繊維」という用語は,例えば,標準のビスコース繊維,モダル(Modal)繊維,ポリノジック繊維などの全てのタイプの再生ビスコース繊維を含むことを意味する。
タンポンの製造に一般的に使用される最先端の繊維の材料は,標準のビスコース繊維,いわゆるトリローバル(trilobal)ビスコース繊維と綿である。以下で説明するLenzing Synginaテストによるこれらの繊維の特定の吸水性は,綿では約4.5g/g,標準ビスコースでは約6.5g/g,トリローバルビスコース繊維では6.5g/gである。
タンポン製造者の目的は,最小限の量の繊維材料とコストを備える吸水性のレベルを得ることである。
綿は,吸水性が不十分であるため,タンポンに利用される繊維の材料として段階的に廃止されることが予想される。一方,トリローバル繊維は,製造のコストが非常に高く,通常のビスコースと比べ,タンポンに加工するのが非常に困難である。
セルロース系繊維の吸水性を高めるために,以下のような多くの異なるアプローチが報告されている。
1.セルロース系繊維にモノマーをグラフトさせることによる化学修飾
2.セルロース系繊維マトリクス中にカルボキシルメチルセルロース,キトサン,セルロースカルバメート(cellulose carbamate),アルギネートまたはグアラン(guaran)のような吸水性ポリマーを取り込むことによる化学修飾
3.例えばUS−A4,129,679で知られているように,中空繊維または潰れた中空繊維のような繊維の物理修飾,または
4.例えば,EP−A1 0 301 874で知られているように,2:1〜10:1のアスペクト比を有する少なくとも3つのリム(limb)を備える複数リムを有する(multilimbed)押出し孔を伴う紡糸口金を使用することにより得られる複数リムを有する繊維(いわゆるトリローバル繊維)
セルロース系繊維の化学修飾の欠点は,タンポンのような非常に敏感な医学的な応用のためには,高価かつ手間を要する毒物学的かつ生理学的な試験の手順が必要であること,また,化学的に安全であったとしても,Toxic Shock Syndrom(TSS)の発生により,タンポン製造者が化学修飾された繊維材料を利用することが妨げられる。
複数リムを有する押出し孔を備える紡糸口金から紡糸された複数リムを有する繊維の欠点は,このような紡糸口金の製造には非常にコストがかかること,このような紡糸口金は目詰まりに対して非常に敏感であり,頻繁に交換する必要があるため,紡糸ラインの生産性が低下すること,また,繊維のもろいリムが,カーディング工程中に繊維屑の生成下,分解してしまうこと,である。
本発明の目的は,再生セルロース系繊維,特にビスコース繊維の製造方法を提供することである。かかる繊維は,固体状であり(すなわち,中空でないか,あるいは潰れた中空でない),EP−A1 0 301 874で公知の繊維のように複数のリムを有するものではなく,吸水性が改善されたものである。上記方法は,適度な製造コストのみを伴うべきである。
本発明のさらなる目的は,再生されたセルロース系繊維を提供することである。かかる繊維は,固体状であり,複数のリムを有していないが,このような事実にもかかわらず,吸水性が完全されている。
最終的に,本発明の目的は,上記新規な繊維を含む吸水性の製品,特にタンポンを提供することである。
本発明に係る固体状再生ビスコース繊維の製造方法は,再生溶液への紡糸孔を含む紡糸口金を通してビスコース紡糸原液を紡糸して,フィラメントを形成し;前記ビスコース紡糸原液は,紡糸直前のアルカリ比が0.7〜1.0,好ましくは0.8〜0.9であり;前記紡糸孔の少なくとも一部は,円形の開口部(orifice)を有しており;前記再生溶液は,70〜120g/l,好ましくは90〜110g/lの硫酸と,240〜380g/l,好ましくは330〜370g/lの硫酸ナトリウムと,20〜50g/1,好ましくは25〜35g/lの硫酸亜鉛とを含み;前記再生溶液は,45〜55℃の温度,好ましくは48〜50℃の温度を有し;前記再生溶液から取り出した後,第2の溶液及び/又は空気中において,上記で定義される最大ストレッチング比(stretching
ratio)の70%〜90%,好ましくは80%〜90%のストレッチング比で前記フィラメントを引き延ばし;前記フィラメントを脂肪酸エステルで処理する;工程を含む。
驚くべきことに,より遅い再生速度を認める条件下で円形の孔を有する紡糸口金からビスコース繊維を紡糸することにより,また,高い引き延ばしの適用により,その繊維は,通常のビスコース繊維よりも非常に優れたSyngina吸水性を示すことがわかった。その程度は,トリローバル紡糸口金から防止されたトリローバルビスコース繊維と同程度であった。さらに,その繊維は,その化学的縮み(chemical crimp)や特別な表面構造のため,カーディングやタンポンの製造に対して顕著な利点を有する。
フィラメントの引き延ばしは,最大ストレッチング比の70%〜90%,好ましくは80%〜90%のストレッチング比で行われるべきである。
最大ストレッチング比は,例えば,フィラメントの再生度,紡糸速度,紡糸口金の大きさ及び/又は製造ラインにおける紡糸部分の数などの様々なパラメータに依存している。また,最大ストレッチング比は,前もって,張力計によりそれぞれの場合で定義されてもよい。
ビスコース原液から防止され,また,同一の条件下かつその条件と同一の設備をもって再生溶液中で再生されたビスコースフィラメントのトウ(tow)は,空気中及び/又は異なる速度の2つのゴデット(godet)の間に配置された加熱された第2の溶液中で引き延ばされる。ここで,上記設備は,所望の繊維の製造に適用/使用されるように意図されている。張力計は,第2のゴデットの前に直接トウの張力を測定する。
引き延ばしの低い程度から始めて,第1のゴデットの速度が徐々に低下する。それゆえ,ストレッチング比は増加する。ストレッチング比の増加により,トウの張力もまた最大張力まで増加する。このようにして,ストレッチング比が得られる。この点を越えると,ここのフィラメントが分解し始め,トウの張力が低下する。最大ストレッチングレベルのストレッチング比は記録されており,それがいわゆる最大ストレッチング比である。本発明によれば,全てのレベルのストレッチングは,最大ストレッチング比の70%〜90%,好ましくは80%〜90%のストレッチング比で行われなければならない。2段階のストレッチングの場合には,「ストレッチング比」との用語は,2段階のストレッチングに適用される合計量のストレッチングに言及している。
アルカリ比は,ビスコース紡糸原液中の全アルカリ濃度(w/w)をビスコース紡糸原液中の全セルロース濃度(w/w)で除することにより計算される。全アルカリ濃度は,ビスコース原液中のアルカリ水酸化物,アルカリ炭酸塩およびアルカリ硫化物の量により与えられ,また,"CHEMIEFASERN nach dem Viskoseverfahren" (K. GOTZE, 3RD edition, Springer-
Verlag 1967)に記載されたようなJentgenによる分析方法により決定される。
本発明に係る製造方法の好ましい実施形態においては,前記アルカリ比は,紡糸直前の前記ビスコース紡糸原液に好適な量のアルカリを混合することにより得られる。これは,例えば注入により得られる。
好ましくは,フィラメントの処理に使用される脂肪酸エステルは,例えば,TWEEN(登録商標)20(ICI
Surfactants社から入手可能)のようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。
上記繊維の処理は,最先端のビスコースの製造方法として公知の最終工程及び後処理工程のうちのいずれの段階,特に,繊維の乾燥前の最終処理段階で行われてもよい。さらに,上記繊維の処理は,当該分野で公知の例えばスプレー仕上げ(spray finishing)のような方法により,例えばカーディングのような繊維のさらなる製造の様々な工程の間に行われる。
好ましくは,上記繊維は,0.03〜0.7%(セルロース基準でW/Wで計算される値),好ましくは0.3〜0.4%の量の前記脂肪酸エステルで処理される。
好ましくは,上記第2の溶液は,昇温状態(elevated temperature)である。以下に示すように,フィラメントの引き延ばし(ストレッチング)は,第2の溶液中で,空気中または双方の代替(alternative)を含む2段階の手順の中で行われてもよい。
さらに好ましい実施形態においては,フィラメントは,ステープル繊維を形成するために切断される。
好ましくは,紡糸口金の全ての紡糸孔は,円形の開口部(orifice)を有している。しかしながら,円形の開口部を有する双方の孔と複数のリムを有する開口部のような異なる開口部を有する孔とを含む紡糸口金からフィラメント押し出すこともまた可能である。
本発明による再生された固体状ビスコース繊維は,本発明による製造方法により得ることができる。本発明による繊維は,好ましくは,ステープル繊維の形態で存在する。上記繊維の力価(titre)は,0.5dtex〜6.0dtex,好ましくは2.5dtex〜4dtexの範囲内であってもよい。
本発明による繊維は,以下の特徴を有している。
上記繊維は固体状であり,中空でもなく,潰れた構造でもない。
上記繊維の断面には,不規則なリムが示されている。特定の理論により結び付けられることを望むことなく,これらの不規則なリムは,紡糸中の緩やかな再生と強い放射状の収縮により得られると信じられている。この断面は,繊維の剛性を高め,より高い特定の表面を提供する。
上記繊維は,固体状の繊維であって,EP−A1 0 301 874に開示されたような2:1以上のアスペクト比を有するリムを持たないが,その繊維は,優れた吸水特性を示す。
・下記に開示されたテスト方法による6.0g/g以上の特定のSingina吸水性
・ビスコースしん糸の吸水性のためのテスト方法,すなわち,European
Pharmacopoeia 4 01/2002 : 0034に記載されたAbsorbentの方法により測定された,23g/g以上の,好ましくは25g/g以上の水分保持量
・DIN 53814により,Wt計算方法を使用して測定された,70〜110%以上の,好ましくは80〜90%以上の保水率
さらに,本発明による繊維は,カーディング中に,高レベルのクリンプ(crimp),提供バルク(provideing
bulk)および卓越した加工性を示す。
本発明による繊維は,タンポンのような吸水性の製品に申し分なく好適である。それゆえ,本発明はまた,ステープルの形態の本発明による繊維を含むタンポンのような吸水性の製品を提供する。
(実施例)
(テスト方法)
(Syngina試験)
Syngina試験は,タンポン中の繊維の吸水性を評価する。以下に記載された試験は,EDANA試験方法ERT 350.0−02を簡略化したものである。
図6は,上記試験方法の実施に使用される装置を示している。ここで,
1 測定セルを示す
2 供給容器を示す
3 排水路(overflow
line)を示す
4 排水口(run out)を示す
5 コンドームを示す
6,7,11および13 それぞれ,ゴム製のリングを示す
8 タンポン又はタンポンの形状のプラグを示す
9 チューブを示す
10 充填チューブを示す
12 排水口を示す
14 メンシャー(mensur)を示す
A,B バルブを示す
上記試験方法の原理は,コンドームにより形成された柔軟性のメンブレン中のタンポンに常圧を加えることにより,実験室内で膣内の環境をシミュレートすることである。タンポンの液体漏れが生じる量まで流体を導入することにより,保水量,液体吸収量,および水置換(water displacement)をも測定することができる。タンポンの重量は,試験前(乾燥状態)および試験後(湿潤状態)に,吸収された流体の重量を計算するために必要とされる。
(試薬)
Singina流体としては,蒸留水又は脱イオン水が使用される。
(試料の調製)
8〜11%の湿度を有する2.75gのステープル繊維を秤量し,カーディング装置,USTER MDTA3型に,ロータリング3とともに供給する。コンバインローラの速度は,1390rpmである。それぞれ75秒間稼動させる。約90cmの長さの得られたカードスライバー(card sliver)は,30cmの長さの帯を形成するために,三重にされる。このカードスライバーは,2つのローラの間で圧力が加えられるか,あるいはカレンダー上で小型化される。カードスライバーの小型化中に非常に高い圧力を加えることにより,剛体,すなわち避けるべき材料のようなカードボードの形成に導いてもよい。
小型化されたスライバーの受領は,2.70gに調整され,ワインディングによりシリンダを形成するための媒体に入れられる。この手順の間,ロールは150gの計数管シリンダにより,押し下げられる。
次いで,試料は,プラグのための機械的圧縮にかけられる。これは,機械的装置であり,タンポンの形状をしたプラグを形成することができる。上記プラグは,一般的な指状のタンポンと同じ体積,質量及び繊維の配向度を有しており,シリンダーの側面に沿って8つの溝を含んでいる。上記プラグは,80N・mで10分間加圧され,試験直前の過剰な状態のために,再び秤量される。
図7〜11には,Singina試験を行うためにタンポンの形状にプレスされたものを製造することによるプレスの様子が描かれている。
図7は,Syngina試験方法のための試験用試料を調製するために使用される機械的プレス機を示している。
図8は,図7の機械的プレス機のある部品のA−A線による断面図である。
図9は,図7の機械的プレス機の別の部品のB−B線による断面図である。
図10は,図8の領域Yの拡大断面図である。
図11は,図9の領域Zの拡大断面図である。
図7を参照すると,プレス41は,基盤プレート42上に配置され,また,下側ブランシング(lower brancing)43を含み,下側ブランシング43には,下側グリッピング装置44が配置される。また,上側ブランシング45は,水平方向および垂直方向に回転可能であり,昇降装置47により置換可能であり,昇降手段47には,上側グリッピング装置46が連結されている。
図8は,図7のA−A線による上側グリッピング装置46の断面を示している。この上側グリッピング装置は,4つの上側グリッピングジョー461〜464を含む。
図9は,図7のB−B線による下側グリッピング装置44の断面を示している。この下側グリッピング装置は,4つの下側グリッピングジョー441〜444を含む。
図10は,図8における領域Yの拡大断面を示している。4つの上側グリッピングジョー461〜464の正確な寸法は,図10(mmで)における寸法に起因する。下側グリッピングジョー442は1点鎖線により描かれている。
図11は,図9の領域Zの拡大断面を示している。4つの下側グリッピングジョー441〜444の正確な寸法は,図11(mmで)における寸法に起因する。上側グリッピングジョー463は1点鎖線により描かれている。
サンプルを調製するために,予め調整された,圧縮されコイル状にされたカードスライバー(重量=2.7g)が,垂直方向に下側グリッピングジョー441〜444の間の開口部に挿入され,ダイナモメトリックキーで補助しながら,下側グリッピングジョーにわずかな圧力を加えることにより固定される。次に,図10および11に示されているように,上側グリッピング装置46を回転させて,上側グリッピングジョー461〜464と下側グリッピングジョー441〜444とが互いに同じ高さになるまで,上側グリッピング装置46を下降させる。最終的には,上側グリッピングジョー461〜464と下側グリッピングジョー441〜444とは,互いに隣接して交互に位置するようになる。コイル状のカードスライバーは,このとき,空間48(図10および11を参照)に位置している。この空間48は,それぞれ,グリッピングジョー441〜444,461〜464により予め定められている。そして次に,カードスライバーは,グリッピングジョーの締め付けによりプレスされる。そのような目的のため,ダイナモメトリックキー(dynamometric key)は,下側ブランシング43に供給される矩形のネック(square neck)に入れられ,110N・mのトルクがかけられて,非常に強く締め付けられる。上記プレス操作は,10分間続けられる。このようにして,プレスされた物は,8つの溝を有する特徴的な形状にされる。
このプラグは,さらなる変更を加えることなく,Syngina試験に使用され得る。プラグの長さは約53mmであり,その直径は14〜15mmである。上記プラグの縦方向または半径方向の寸法は,少なくとも7日間変化しない。
タンポンが試料として使用される場合には,包装またはアプリケータは除去されなければならない。上記試料は,試験直前に包装を外すべきであり,取り外し用の紐は切断されるべきである。試験ごとの試料の数は3つである。
(コンドームの装着および交換)
試験用メンブレンとしては,張力が17MPaと30MPaの間にある,真っ直ぐで無潤滑のコンドームが使用される。上記コンドームは,開封され,解かれた状態になっている。上記コンドームは,開放端から20mmと160mmの長さのところにマークされる。
上記コンドームは,ロッドで支持された試験装置のチャンバ1を通して,160mmのマークが,チャンバ1のより小さい方の開口部(チャンバ1の底側)の縁に位置するように,挿入される。コンドームの先端部は切断され,ゴム製のバンドで固定される。このとき,160mmのマークは,チャンバ1のより小さい方の開口部の縁にある状態で維持される。上記コンドームは,チャンバ1の大きな開口部を通して,20mmのマークが開口部の縁に位置するように引き出され,ゴム製のバンドで固定される。試験用コンドームは,(a)漏れが生じた場合に,(b)1か月ごと,のいずれかが最初に生じた時点で交換される。
(手順)
タンポン,または上記(試料の調製)の項で調製されたプレスされたプラグは,なるべく正確に0.01g秤量される。この重量は記録される。
図6に示したように,試験装置のチャンバ1が空の間は,タンポン8は,コンドーム5内に置かれる。このとき,タンポン8の中心はチャンバー1の中心にあり,底側の端部(取り出し用のひもが取り付けられている方の端部)は,チャンバ1の底に向かって位置している。このセルの中心にプラグを載置に際には,ピンセットを使用するのが便利である。
この後,バルブAが開かれ,チャンバ1に水が充填される。小さなチューブ9がチャンバ1に挿入され,タンポン/プラグ8の上端部と接触する。その後,バルブAが再び閉じられる。
次いで,圧力を均等にするために,バルブBが開かれる(図6に示されているように,170mmの水のカラムと等しい圧力になるように設定されている)。充填チューブ10がゴム製リングとともに挿入され,11.25mlの試験用液体がチューブ10に充填される。このときストップウォッチをスタートさせる。
3分後に,バルブBが閉じられる(ただし,排水口4を通して交換される水があるうちは除く)。いくらかの液体が充填チューブ10および小さなチューブ9からあふれている場合には,Socorexピペットを使用してあふれた液体を吸引する。次に,充填チューブ10を取り除き,測定用セルを上昇させる。
次いで,チューブ9を取り除き,バルブAが開かれ,上記コンドームが解かれる。このとき,ピンセットを使用して,タンポン/プラグ8を取り除くと簡単である。その後,バルブAが閉じられ,チャンバ1が固定される。
取り除かれたタンポン/プラグ8は,直ぐに,なるべく正確に0.01g秤量される。その湿潤状態での重量が記録される。残留している水は,チャンバ1から排水される。
上記試験は,同じ繊維のサンプルからの新しいプラグを使用して3回繰り返されるべきである。
上記テストのために,チャンバ1は泡を全く含まないように充填されるべきである。
(結果の計算と表示)
それぞれの試料タンポン/プラグの吸水性は,以下のようにして計算される。
A=B−C
ここで,
A=グラム当たりの(in grams)タンポン/プラグの吸水性
B=飽和状態(湿潤状態)のタンポン/プラグのグラム当たりの重量
C=乾燥状態のタンポン/プラグのグラム当たりの重量
その結果は,小数点1桁目に表されている。全ての数の試料の平均吸水性が計算される。
g試験用液体/g繊維における特定のSyngina吸水性は,平均吸水性(A)を乾燥状態タンポン/プラグのグラム当たりの平均重量(C)で除することにより計算される。
(保水性)
上記繊維の保水性は,DIN53814に記載された試験方法により,Wt計算方法を使用して測定される。
(水分保持量)
上記繊維の水分保持量は,ビスコースしん糸の吸水性のためのテスト方法,すなわち,European
Pharmacopoeia 4 01/2002 : 0034に記載されたAbsorbentの方法により測定される。
(クリンプ)
クリンプは,クリンプ試験機「Vibrotex 400型」(Lenzing Technik GmbH & COKG社から入手可能)を使用して測定された。
(実施例1)
8.25%のセルロース,7.15%のアルカリ(その結果,0.87のアルカリ比を有する)及び2.3%の硫黄の組成と,20℃で35sのballfall粘度と,13.5°HOTTENROTHの熟成指数と,を有するビスコースを,800個の90μmの直径の円形の孔を備える紡糸口金を通して紡糸した。紡糸溶液は,49℃の温度において,98g/lの硫酸と,345g/lの硫酸ナトリウムと,30g/lの硫酸亜鉛とを含む組成であった。紡糸速度は,55m/minであった。最大ストレッチング比は,107%に定めた。フィラメントは,90℃に加熱した第2溶液中で,90%のストレッチング比(これは,最大ストレッチング比の84%に当たる)で引き延ばされた。上記第2溶液は,17g/lの硫酸を含んでいた。次いで,フィラメントは40mmの長さのステープルに切断され,洗浄され,脱硫され,再び洗浄され,最後に,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ICI Surfactants社から入手可能なTween(登録商標)20)を10g/l含む仕上げ溶液を使用して仕上げをした後,乾燥させた。
上記繊維は,2.65dtexの滴定濃度,条件付けられた状態で28.7CN/texの引っ張り強さ(tenacity),15.0%の伸び率,および6.3g/gのSyngina吸水性を有していた。上記繊維の保水性は90%であり,その水分保持量は27.8g/gであった。上記繊維は,16.2%の除去クリンピングと,9.0%の回復クリンプを有していた。
抽出および次のHPLC分析により決定される上記繊維の仕上げの程度は,0.21%であった。
上記繊維の断面は,特に,その不規則なリムを有する構造は,図1に示されている。2:1以下,典型的に1:1のアスペクト比を有するために,上記リムは,最新技術であるトリローバル繊維よりも非常に壊れやすい。このことは,カーディングやタンポンの製造中における繊維の機械的安定性に肯定的な影響を有している。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのSyngina吸水性への肯定的な影響は,実施例1および2の比較により裏付けることができる。
(実施例2)
実施例1に記載された条件と同じ条件下で製造された繊維を,0.3g/lのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの代わりに,0.3g/lの脂肪酸ポリグリコールエステルを含む仕上げ溶液を使用して仕上げした。エタノール抽出および次のHPLC分析により決定されるこの繊維の仕上げの程度は,0.09%であった。この繊維は,6.1g/gのSingina吸水性を有していた。
高いSingina吸水性を得るためには,紡糸中の最大ストレッチの程度が本質的であり,実施例1および3の比較により,このことを裏付けることができる。
(実施例3)
ビスコース繊維を,ストレッチング比を除いて,実施例1に記載された条件と同じ条件下で製造した。最大ストレッチング比は,104%に定めた。繊維の紡糸中において,わずか55%(これは,最大ストレッチング比の53%に当たる)で繊維が引き延ばされた。この繊維を,0.3g/lの脂肪酸ポリグリコールエステルを含む仕上げ溶液を使用して仕上げした。エタノール抽出および次のHPLC分析により決定されるこの繊維の仕上げの程度は,0.09%であった。
(実施例4)
実施例4は,たとえ,高いレベルのストレッチが適用されたとしても,高い亜鉛濃度を有する紡糸溶液中での0.59のアルカリ比を有する通常のビスコースの紡糸によっては,Syngina吸水性は改善されない,ということを示している。
8.60%のセルロース,5.09%の水酸化ナトリウム,及び2.26%の硫黄の組成と,20℃で52sのballfall粘度と,14.5°HOTTENROTHの熟成指数と,を有するビスコースを,800個の90μmの直径の円形の孔を備える紡糸口金を通して紡糸した。紡糸溶液は,49℃の温度において,100g/lの硫酸と,345g/lの硫酸ナトリウムと,30g/lの硫酸亜鉛とを含む組成であった。紡糸速度は,55m/minであった。フィラメントは,90℃に加熱した第2溶液中で,87%のストレッチング比(これは,最大ストレッチング比の85%に当たる)で引き延ばされた。上記第2溶液は,17g/lの硫酸を含んでいた。次いで,フィラメントは40mmの長さのステープルに切断され,洗浄され,脱硫され,再び洗浄され,最後に,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを10g/l含む仕上げ溶液を使用して仕上げをした後,乾燥させた。
上記繊維は,3.23dtexの滴定濃度,条件付けられた状態で27.3CN/texの引っ張り強さ(tenacity),15.5%の伸び率,および5.6g/gのSyngina吸水性を有していた。上記繊維の保水性は79.5%であり,その水分保持量は19.0g/gであった。上記繊維の除去クリンプは8.5%,回復クリンプは4.9%であった。エタノール抽出および次のHPLC分析により決定されるこの繊維の仕上げの程度は,0.33%であった。
この繊維の断面を図2に示した。
(実施例5:アルカリ注入)
8.58%のセルロース及び5.19%の水酸化ナトリウムの組成と,60sのballfall粘度と,13.3°HOTTENROTHの熟成指数と,を有するビスコース流動体(flow)を,5.03g/minの流量の50%苛性ソーダ混合し,800個の孔を有する紡糸口金によって紡糸溶液中で紡糸した。この孔のそれぞれは,90μmの直径を有していた。混合物の組成は,8.25%のセルロース,7.13%の水酸化ナトリウム(アルカリ比=0.86),及び2.3%の硫黄であった。また,ballfall粘度は36sであった。
紡糸溶液は,49℃の温度において,101g/lの硫酸と,350g/lの硫酸ナトリウムと,31.7g/lの硫酸亜鉛とを含んでいた。55m/minの紡糸速度で,104%の最大ストレッチング比が得られた。フィラメントは,加熱した第2溶液中で88%のストレッチング比(これは,最大ストレッチング比の85%に当たる)で引き延ばされた。また,フィラメントは,実施例1に記載された条件と同じ条件で処理された。
上記繊維は,2.79dtexの滴定濃度,条件付けられた状態で28.5CN/texの引っ張り強さ(tenacity),15.6%の伸び率,および6.3g/gのSyngina吸水性を有していた。上記繊維は,83%の保水性と,25.4g/gの水分保持量を有していた。
上記繊維の除去クリンプは16.0%,回復クリンプは8.6%であった。エタノール抽出および次のHPLC分析により決定されるこの繊維の仕上げの程度は,0.29%であった。
この繊維の断面は,図3に示されたように,不規則な構造を示している。
(実施例6:従来技術による固体状のビスコース繊維)
8.63%のセルロース,5.22%のアルカリ(アルカリ比=0.6),及び2.37%の硫黄の組成と,58sのballfall粘度と,14.3°HOTTENROTHの熟成指数と,を有するビスコースを,53℃の温度で,90μmの直径の円形の孔を備える紡糸口金によって,紡糸速度50m/minで,紡糸溶液中で紡糸した。このとき,上記紡糸溶液は,88g/lの硫酸と,267g/lの硫酸ナトリウムと,10g/lのを含んでいた。
フィラメントは,初めに,空気中で40%のストレッチング比で引き延ばされ,次いで,過熱された第2溶液中で13%のストレッチング比で引き延ばされた。そして,フィラメントを,切断,洗浄,脱硫および漂白した。この繊維を,10g/lのTween(登録商標)20(ICI Surfactants社から入手可能)を含む仕上げ溶液を使用して仕上げした。
上記繊維は,3.53dtexの滴定濃度,条件付けられた状態で,23.2CN/texの引っ張り強さ(tenacity)と21.3%の伸び率を有していた。この繊維のSyngina吸水性は,5.5g/gであった。
この繊維の断面を図4に示した。
(実施例7:トリローバルビスコース繊維)
8.57%のセルロース,5.2%の水酸化ナトリウム,及び2.15%の硫黄からなり,20℃で70sのballfall粘度と,15.3°HOTTENROTHの熟成指数とを有するビスコースを,Y字型の孔を有する防止口金を通して紡糸した。このときのリムの長さと幅との比は72μm:33μmであった。
紡糸溶液の組成は,49℃の温度において,130g/lの硫酸,365g/lの硫酸ナトリウム,及び10.3g/lの硫酸亜鉛であった。フィラメントは,空気中で17%のストレッチング比で引き延ばされた後,90℃に加熱した第2溶液中で,36%のストレッチング比で引き延ばされた。上記第2溶液は,20g/lの硫酸を含んでいた。次いで,フィラメントは40mmの長さのステープルに切断され,洗浄,脱硫,再洗浄され,最後に,1.6g/lの脂肪酸ポリグリコールエステルで仕上げをした後,乾燥させた。このときの紡糸速度は53m/minであった。
上記繊維は,3.44dtexの滴定濃度,条件付けられた状態で,20.6CN/texの引っ張り強さ(tenacity)と17.5%の伸び率を有していた。また,この繊維の保水率は88%であり,水分保持量は25.2g/gであった。エタノール抽出による仕上げレベルは,0.06%であった。
上記繊維のSyngina吸水性は,6.4g/gであった。この繊維の断面の形状を図5に示した。
実施例1に係る繊維の断面図,特に,その不規則なリムを有する構造を示す図である。 実施例4に係る繊維の断面図である。 実施例5に係る繊維の断面図である。 実施例6に係る繊維の断面図である。 実施例7に係る繊維の断面図である。 Syngina試験を行うための装置の全体構成を示す説明図である。 Syngina試験方法のための試験用試料を調製するために使用される機械的プレス機を示す正面図である。 機械的プレス機のある部品のA−A線による断面図である。 図7の機械的プレス機の別の部品のB−B線による断面図である。 図8の領域Yの拡大断面図である。 図9の領域Zの拡大断面図である。

Claims (13)

  1. 再生溶液への紡糸孔を含む紡糸口金を通してビスコース紡糸原液を紡糸して,フィラメントを形成し;
    前記ビスコース紡糸原液は,紡糸直前のアルカリ比が0.7〜1.0,好ましくは0.8〜0.9であり;
    前記紡糸孔の少なくとも一部は,円形の開口部(orifice)を有しており;
    前記再生溶液は,70〜120g/l,好ましくは90〜110g/lの硫酸と,240〜380g/l,好ましくは330〜370g/lの硫酸ナトリウムと,20〜50g/1,好ましくは25〜35g/lの硫酸亜鉛とを含み;
    前記再生溶液は,45〜55℃の温度,好ましくは48〜50℃の温度を有し;
    前記再生溶液から取り出した後,第2の溶液及び/又は空気中において,上記で定義される最大ストレッチング比(stretching ratio)の70%〜90%,好ましくは80%〜90%のストレッチング比で前記フィラメントを引き延ばし;
    前記フィラメントを脂肪酸エステルで処理する;
    工程を含む,固体状再生ビスコース繊維の製造方法。
  2. 前記アルカリ比は,紡糸直前の前記ビスコース紡糸原液に好適な量のアルカリを混合することにより得られることを特徴とする,請求項1に記載の方法。
  3. 前記脂肪酸エステルは,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであることを特徴とする,請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記フィラメントは,0.03〜0.7%(セルロース基準でW/Wで計算される値),好ましくは0.3〜0.4%の量の前記脂肪酸エステルで処理されることを特徴とする,請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記第2の溶液は,昇温状態(elevated temperature)であることを特徴とする,請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記フィラメントを切断して,ステープル(staple fibre)を形成する工程をさらに含む,請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. すべての前記紡糸孔が,円形の開口部を有することを特徴とする,請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により得られる,再生固体状ビスコース繊維。
  9. ステープルの形態である,請求項8に記載の繊維。
  10. 上記で定義された6.0g/g以上のSyngina吸水性を有する,請求項8または9に記載の繊維。
  11. DIN 53814により測定される保水率が,70〜110%,好ましくは80〜90%である,請求項8〜10のいずれか1項に記載の繊維。
  12. ビスコースしん糸(Viscose waddings)の吸水性,すなわち,European Pharmacopoeia 4
    01/2002 : 0034に記載された吸水性のテスト方法により測定される保水量が,23g/g以上,好ましくは25g/g以上である,請求項8〜11のいずれか1項に記載の繊維。
  13. ステープルの形態である請求項6〜12のいずれか1項に記載の繊維を含む,タンポンのような吸水性の製品。

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