JP4568892B2 - 繊維製品の仕上げ加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維用仕上げ剤組成物に関する。更には、スキンケア効果の高い繊維用仕上げ剤に関する。本発明の繊維用仕上げ剤組成物で加工した繊維製品は、着用時、皮膚の保湿性を向上させ、特に、敏感肌、皮膚疾患患者向け衣料品の製造に好適に使用できる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
皮膚、角質は、身体の最表層に位置し、外界から生体内への、種々の刺激や細菌等の進入を防御し、かつ、体内の成分や水分の損失、蒸散を防ぐ等の機能を有している。このような角質の保護効果(バリヤー機能)は、皮膚生理機能を恒常的に保つのに重要である。このバリヤー機能は、種々の内的要因、あるいは、外的刺激等により、その機能が低下し、皮膚に炎症を生じたり、肌荒れや皮膚の老化を助長したり、又、種々の皮膚疾患を引き起こす原因となる。
【0003】
そこで、一般に、これらの皮膚のトラブルを防止あるいは改善し、皮膚の生理機能を恒常的に保つために(以下、スキンケア効果とする)、動・植物油、合成油等の油相成分、及び、保湿剤、抗炎症剤、細胞賦活剤、皮膚栄養剤、活性酸素除去剤等の薬効成分を配合した化粧料や皮膚外用剤が広く使用されている。
【0004】
近年、繊維製品の仕上げ加工において、化粧品に使用される上記成分を主成分とした仕上げ剤で繊維を加工し、着用時、皮膚との摩擦により、それら成分が皮膚に移行することで、化粧料や皮膚外用剤と同様のスキンケア効果を期待した特殊加工法や特殊加工繊維素材が開発されている。具体的には、天然保湿因子であるピロリドンカルボン酸を綿に付与したスキンケア素材、抗炎症作用を有するアロエ抽出物を付与したスキンケア素材(加工技術 Vol.34, No.6, 1999, 353-356)が、開示されている。
【0005】
又、化粧品用の油相成分の応用としては、化粧品に天然油相成分として広く使用されているスクワランを主成分としたスキンケア仕上げ剤(加工技術 Vol.34, No.5, 1999, 322-325)が、又、動・植物抽出物の応用例としては、保湿効果のあるトレメラエキスや、コラーゲン産生促進効果のあるブンエキス、レイシエキスを使用したスキンケア加工剤、及び加工技術が、それぞれ開示されている(加工技術 Vol.34, No.4, 1999, 259-264)。
【0006】
同様に、抗炎症剤であるグリチルリチン酸及びその塩やグリチルレチン酸及びその塩並びにこれらの誘導体を繊維上に定着させる仕上げ加工が(特願平8-288115号)、又、消炎作用及び又は鎮痛作用を有する疎水性生理活性物質を、マイクロカプセル化して、繊維上に定着させる加工が(特願平9-189251号)、それぞれ、開示されている。また、ピロリドンカルボン酸塩や尿素のような保湿成分を配合して肌荒れを改善することや、脂肪酸アマイドやシリコーンのような油性成分を配合して皮膚の水分の蒸散を防止することも行われている。
【0007】
しかしながら、これらの技術によっても肌荒れ改善効果は十分ではなく、その改善が望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、分子中に、1個以上の直鎖及び/又は分岐鎖の長鎖アルキル基又は長鎖アルケニル基と、2個以上の水酸基と、1個以上のアミド基とを有する非イオン系両親媒性物質及び/又はそれらの水酸基にフォスファチジルコリン残基が結合した誘導体〔以下(A)成分という〕を必須成分として含有することを特徴とする繊維用仕上げ剤組成物、並びに該繊維用仕上げ剤組成物を繊維製品に付与することからなる繊維製品の仕上げ加工方法に関する。(A)成分における長鎖アルキル基又はアルケニル基の炭素数は4〜22、特に10〜22が好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
(A)成分
本発明の(A)成分の非イオン系両親媒性物質としては、構造中に親水基を含み、単独では水に分散もしくは溶解しないが、親水基を有するために構造中に水分を保持できるものが好ましい。具体的には、水酸基を2個以上有する長鎖アミノアルコールに脂肪酸がアマイド結合した物質、更に該物質の水酸基にホスファチジルコリン残基が結合した物質が挙げられる。これらには、還元糖末端を有する単糖類及び又は多糖類が、上記の物質の水酸基に結合した糖誘導体も含まれる。上記の物質は、具体的には、天然物としては、人皮膚中に存在し、細胞間脂質の構成成分である、セラミドが挙げられる。これらは、長鎖アミノアルコールであるスフィンゴシンに脂肪酸がアマイド結合したものである。セラミドは、皮膚中においては、皮膚の基底層から角質層に細胞が移行する際に、セレブロシド(糖セラミド、スフィンゴ糖脂質)がセレブロシダーゼにより変性を受け生成され、角質中に蓄積される。セラミドは、細胞間脂質の重要な構成成分で、角質層のバリヤー機能、水分保持機能に関与している。人皮膚中には、セラミドIからVIまでの、6系統の構造の異なるセラミド類の存在が確認されている(Seminars in Dermatology, 11, 106, 1992)。皮膚の老化や皮膚疾患と角質中に存在するセラミドの組成変化の関係については、文献により具体的に示されている。具体的には、皮膚の老化や疾患により、角質中のセラミドの含有量が低下すること(J. Invest. Dermatol., 96, 523, 1991)、角化症、アトピー性皮膚炎において、セラミドIが減少していること(J. Invest. Dermatol., 90, 350, 1988、 Arch. Dermatol. Res., 283, 219, 1991)等が知られている。
【0010】
本発明に使用できるセラミド類としては、酵母を利用して生成したセラミド、植物由来のセラミド等が好適である(フレグランスジャーナル, 23, 1, 81, 1995)これらのうち、酵母による生成法では、人皮膚に存在するセラミドと同一の構造をもつセラミドが得られ、それらセラミドの皮膚の肌荒れ改善効果が、報告されている(Gist-brocades社、商品説明書)。
【0011】
又、セラミドに、フォスファチジルコリン残基が結合した、スフィンゴ脂質、及び又は、還元糖末端を有する単糖、及び又は、多糖類が結合した、スフィンゴ糖脂質、糖セラミドも、好適に使用できる。
【0012】
本発明に好適に供せられるセラミド類は、化学合成によっても得られる。具体的には、長鎖アルキルグリシジルエーテルにモノエタノールアミンを反応させ、長鎖アルキルアミノアルコールを得て、更に、それらのアミノ基に脂肪酸を反応させ、アマイドとすることで得られる(特開平9-278732号、特開平10-168047号)。これら、化学合成により得られた擬似セラミド類も、同様の荒れ肌改善効果が、実証されている(J. Invest. Dermatol., 96, 845, 1991)。
【0013】
又、合成擬似セラミドに、フォスファチジルコリン残基が結合した、合成擬似スフィンゴ脂質、及び又は、還元糖末端を有する単糖、及び又は、多糖類が結合した、合成擬似スフィンゴ糖脂質、合成擬似糖セラミドも、好適に使用できる。
【0014】
本発明の繊維用仕上げ剤組成物は、更に、(B)動物油及び/又は植物油、(C)抗炎症剤、(D)乳化剤、並びに(E)水及び/又は水溶性溶媒を含有することが好ましい。これらの成分について以下に説明する。
【0015】
(B)成分
本発明の(B)成分である、動物油、植物油としては、具体的に、下記のものが挙げられる。
【0016】
動物油としては、スクアレン及びスクアラン等の炭化水素油、牛脂、馬油、ミンク油及び卵黄脂肪油等のエステル油等が挙げられる。これらの中で、特に、スクワレン、スクワランが好適である。スクワレンは、深海サメの肝油中に存在する炭化水素油であり、スクワランとはスクアレンの水素添加物ある。これらは動物由来であるので、生体適合性及び安全性の面で、特に好ましい。又、スクアランは、不飽和油であるスクアレンの水素添加物であるので、酸化安定性に優れる。
【0017】
また植物油としては、アボガド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、トウモロコシ胚芽油、小麦胚芽油、サフラワー油、ダイズ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーム油、ククイナッツ油、マカデミアナッツ油、月見草油等のトリグリセライド、ホホバ油等のロウエステルが挙げられる。同様に、オリーブオイルの不ケン化物中に存在する炭化水素油である、植物起源のオリーブスクワレンおよびオリーブスクワランも、好適に使用できる。
【0018】
さらには、上記した動物油や植物油のうちエステル油を、低級アルコール又は高級アルコールとエステル交換を行い、アルコール脂肪酸エステルとした油も好適に使用できる。具体的には、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイルなどのアルコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0019】
これらの動・植物油のうち構造中に不飽和結合を多く含むもの、具体的には、動物油では、スクワレン、卵黄脂肪油等、植物油では、オリーブスクワレン、ククイナッツ油、マカデミアナッツ油、月見草油、ローズヒップ油等は、酸化に対して不安定であるので、抗酸化剤を添加することで、本発明に、好適に使用できる。好ましい抗酸化剤としては、ビタミンE類、ビタミンA類、ブチルヒドロキシアニソール、p−ヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル等の油溶性抗酸化剤、アスコルビン酸、カテキン類、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム等の水溶性抗酸化剤が挙げられる。これらの抗酸化剤は、仕上げ剤の調製において、動・植物油成分と混合して、あるいは、使用する水に予め溶解しておいて、使用することができる。
【0020】
(C)成分
(C)成分の抗炎症剤としては、具体的に、下記のものが挙げられる。抗炎症剤とは、皮膚に対する外界からの刺激による炎症を防止あるいは鎮静化し、皮膚本来の働きを保つために配合するものであり、アミノカプロン酸、トラネキサム酸等のアミノ酸、グリチルリチン酸及びその塩、β−グリチルレチン酸及びその塩、β−グリチルレチン酸ステアリル、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ハイドロコルチゾン及び副腎皮質ホルモン、ビタミンA、E、ビタミンD等のビタミン類、アラントイン、インドメタシン、γ−オリザノール、アロエエキス、甘草エキス、シソエキス等の植物抽出物、バチルアルコール、キミルアルコール等のアルキルグリセリルエーテル等が、挙げられる。これらの中で、本発明には、アルキルグリセリルエーテルが、特に好ましい。すなわち、アルキルグリセリルエーテルは、天然では、サメ肝油の不けん化物中に存在し、傷の回復促進、保湿効果、特に抗炎症作用を有する(Arch. Intern. Pharmacodyn., 173, 56, 1968)。これらは、化学的に安定で、かつ、油溶性であり、本発明の繊維用仕上げ剤組成物中に簡単に安定的に配合することができる。又、油溶性であるので、洗濯時に、加工された繊維製品からの脱落が少なく、耐久性に優れた加工が可能である。好ましいアルキルグリセリエーテル類としては、モノステアリルグリセリルエーテル(バチルアルコール)、モノセチルグリセリルエーテル(キミルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)、イソステアリルグリセリルエーテル等が、挙げられる。これらのアルキルグリセリルエーテル類は、工業的には、アルキルグリシジルエーテルのエポキシ基を、カセイソーダ等のアルカリで開環させて、製造することができる。
【0021】
(D)成分
(D)成分の乳化剤としては、具体的に、下記のものが挙げられる。本発明には、一般に、繊維用仕上げ剤に使用される乳化剤は、いずれも好適に使用でき、特に制限はない。アニオン性の乳化剤としては、アルキル硫酸エステル及びそれらの塩、アルキルエーテル硫酸エステル及びそれらの塩、アルキルエーテルカルボン酸及びそれらの塩、脂肪酸セッケン類、アルキルスルホン酸及びそれらの塩、アルキルアリルスルホン酸及びそれらの塩、α−スルホメチルエステル及びそれらの塩、アルキルリン酸エステル及びそれらの塩、アルキルエーテルリン酸エステル及びそれらの塩、N−アシルアミノ酸及びそれらの塩等が挙げられる。
【0022】
非イオン性の乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアマイド、脂肪酸アルカノールアマイド、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアマイド等が挙げられる。
【0023】
カチオン性の乳化剤としては、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、アルキルアミン及びそれらの塩、N,N−ジエチルエチレンジアミン脂肪酸アマイド等のアミドアミン類及びそれらの塩もしくは第4級化物、トリエタノールアミン脂肪酸エステル等のアルカノールアミン脂肪酸エステルの第4級化物等が挙げられる。
【0024】
両性の乳化剤としては、N−アルキルアミノ酸類、N−アシルアミノ酸類、アルキル酢酸ベタイン類、アルキルスルホベタイン類、アルキルホスホベタイン類等が挙げられる。
【0025】
(E)成分
(E)成分の水、及び又は、水溶性溶剤のうち、好ましい水溶性溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等のポリオール類、ソルビタール、キシリトール等の糖アルコール類等が挙げられる。
【0026】
(配合比率)
各構成成分(A)〜(E)の好ましい配合比率は、(A)〜(E)の合計を100重量%とした場合、(A)成分は、0.01重量%〜20.0重量%、好ましくは、0.01重量%〜10.0重量%、より好ましくは、0.01重量%〜5.0重量%である。
【0027】
また、(B)成分は、1.0重量%〜50.0重量%、好ましくは、5.0重量%〜50.0重量%、より好ましくは、5.0重量%〜20.0重量%である。
【0028】
また、(C)成分は、0.01重量%〜30.0重量%、好ましくは、0.1重量%〜30.0重量%、より好ましくは、0.1重量%〜20.0重量%である。
【0029】
また、(D)成分は、0.1重量%〜20.0重量%、好ましくは、0.5重量%〜20.0重量%、より好ましくは、0.5重量%〜10.0重量%である。
【0030】
更に(E)成分のうちで、水と水溶性溶剤の混合比率は、特に制限がなく、任意の配合比率でよい。本発明の繊維用仕上げ剤組成物は、(E)成分を配合することで、全体の配合量が100重量%となるように、調製する。
【0031】
この場合、(A)+(B)+(C)+(D)の4成分の合計は、本発明の繊維用仕上げ剤組成物中(100重量%中)に、5.0重量%〜70.0重量%、好ましくは、10.0重量%〜70.0重量%、より好ましくは、20.0重量%〜70.0重量%である。
【0032】
本発明の繊維用仕上げ剤組成物は、公知の乳化方法、乳化機械で調製できる。
好ましい方法は、(A)、(B)、(C)、(D)の4成分を、予め、室温で混合しておき、この混合物を(E)成分へ、ホモミキサー又はパドルミキサー等で撹拌しながら、徐々に添加することで調製できる。又、上記混合物と(E)成分を同時に仕込み、撹拌・混合しても調製できる。その際の温度は、室温〜80℃、好ましくは、室温〜50℃である。
【0033】
又、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の5成分を同時に水相へ添加し、超音波乳化機等の大きい機械力を利用して調製してもよい。
【0034】
調製した乳化物の安定性を更に向上させる目的で、乳化後、高圧ホモジナイザーで処理することもできる。
【0035】
本発明の繊維用仕上げ剤組成物は、乳化粒子径が、1000nm以下、好ましくは、700nm以下、より好ましくは、500nm以下の乳化物の形態であるのが好ましい。この範囲の乳化粒子径であると、乳化状態の経時安定性が良好で、また(A)成分の析出や加工する繊維に対する凝集・付着等の問題もない。
【0036】
本発明の繊維用仕上げ剤組成物は、公知の方法で、繊維、及び又は繊維製品に、仕上げ加工をすることができる。すなわち、吸尽法、パッド・ドライ法、スプレー法、コーティング法等の、公知の加工方法が、好適に使用できる。
【0037】
本発明の繊維用仕上げ剤組成物を繊維製品に付与して加工する際、(A)+(B)+(C)+(D)の4成分の合計量が、加工する繊維重量に対して、0.01重量%〜10.0重量%、好ましくは、0.05重量%〜5.0重量%、より好ましくは、0.1重量%〜5.0重量%の範囲になるように、処理浴を調製する。
【0038】
加工する際の温度は、特に制限がなく、室温〜80℃の範囲で、任意に選択できる。
【0039】
本発明の繊維用仕上げ剤組成物は、繊維製品に加工される際、耐洗濯性を向上させる目的で、種々の樹脂と併用することができる。これらの樹脂は、一般に繊維加工に使用される樹脂ならいずれの樹脂も好適に使用できるが、弾性があり、本発明の仕上げ剤組成物の繊維への接着機能を有し、かつ、皮膚への接触を阻害しないものが好ましい。具体的にはアクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。
【0040】
なお、本発明の繊維用仕上げ剤組成物による加工処理の対象となる繊維としては、天然繊維では、綿、麻等のセルロース繊維、羊毛、カシミヤ、絹等のタンパク繊維等が挙げられる。半合成繊維では、レーヨン、ポリノジック、テンセル等が挙げられる。合成繊維では、ナイロン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン弾性繊維等が挙げられる。これらは単独、混紡、あるいは、混織により使用される。また、繊維製品としては、特に制限はなく、原糸、原綿等の材料、織布、編布等の半製品、及び肌着、靴下、外衣等の完成品等に好適に使用できる。
【0041】
本発明の繊維用仕上げ剤組成物で加工された繊維製品を着用した際の、肌状態の改善度合い(本仕上げ剤のスキンケア効果)は、一般的に、化粧品分野においてスキンケア化粧料の評価を行う方法で評価することができる(日光ケミカルズ株式会社編、化粧品ハンドブック、p611〜p626)。
【0042】
すなわち、1つには、角質の水分量を測定する方法である。これは、高周波伝導度測定装置で、角質層のインピーダンスを測定する。具体的には、恒温・恒湿室で、一定時間、本発明品により加工された繊維製品を着用したときの角質の水分量を測定し、未加工の繊維製品を着用した場合の水分量に対する増加率を、測定・比較する。
【0043】
更には、角質のバリヤー機能を評価する方法として、経表皮水分喪失量(TWL:Transepidermal water loss)が、広く使用されている。これは、角質層から蒸散してくる水蒸気を非接触で直接測定する。測定原理は、空気の対流のない環境では、表皮に近いところ(1cm以内)に水蒸気圧勾配があることに基づいている。この範囲内の2点の水蒸気圧を電気容量センサーで測定し、蒸散する水分量を検出する。具体的には、一定期間(1週間〜2週間)、本発明品により加工された繊維製品を着用した場合の経表皮水分喪失量を、恒温・恒湿室で測定し、未加工の繊維製品を着用した場合の経表皮水分喪失量と、測定・比較する。経表皮水分喪失量の値が小さい方が、角質の水分保持機能が高く、従って、角質のバリヤー機能が高いといえる。
【0044】
【実施例】
実施例1
(1)繊維用仕上げ剤組成物の調製
容量1リッターのガラス製真空乳化機(ホモミキサー及びパドル式攪拌装置、温度計、温度調節器、真空ポンプ、滴下装置が付属した)に、下記表1の処方に示す組成比で、全量が0.5kgになるように原料を仕込み、50mmHgの減圧下、50℃、8000回転/分で30分間攪拌を行い、繊維用仕上げ剤組成物を得た。
【0045】
【表1】
Figure 0004568892
【0046】
(2)繊維製品の加工
上記で得られた繊維用仕上げ剤組成物の、各々、30.0g/lの水溶液を、10.0l調製した。この液に、綿100%フライスニット生地(精錬漂白済み、蛍光染料及び柔軟仕上げ剤は未付着、目付け120g/m)の1.0kgを、25℃±0.5℃の条件で、10分間浸漬し、加圧マングルを用いて、絞り率100%で、脱水処理をした。その後、熱風乾燥機(120℃)で15分間乾燥を行ない、繊維用仕上げ剤組成物で加工された繊維製品を得た。得られた繊維製品は、10.0cm×5.0cmにそれぞれ裁断し、温度23℃、湿度45%の恒温・恒湿室に、24時間放置し、評価用の試料とした。
【0047】
(3)肌に対する保湿効果の測定
女性5名(20〜40才代)の前腕部に、(2)で調製した試料(10.0cm×5.0cmに、それぞれ裁断したもの)を、それぞれ、医療用接着テープを用いて接着させ、温度23℃、湿度45%の恒温・恒湿室で、接着部の皮膚の水分量増加率を、SKICON 200を用いて測定した。次式により、試料接着前の皮膚の水分量に対する試料接着2時間後の皮膚の水分量増加率(%)を算出し、各繊維用仕上げ剤組成物で加工した繊維製品の保湿効果を評価した。結果を表2に示す。
水分量増加率(%)=〔(接着2時間後の皮膚水分量−接着前の皮膚水分量)/接着前の皮膚水分量〕×100
【0048】
【表2】
Figure 0004568892
【0049】
(4)肌に対する経表皮水分喪失量(TWL)回復効果の測定
男性3名(20〜40才代)の前腕部のTWLを、エバポリメーターを用いて、温度23℃、湿度45%の恒温・恒湿室で、それぞれ、測定した。さらに、それぞれの測定部位を、アセトン/ジエチルエーテル(1/1)の混合溶媒で溶剤処理して皮脂等を除去し、肌荒れ状態として、TWLを測定した。その後、(2)で調製した試料(10.0cm×5.0cmに、それぞれ裁断したもの)を、それぞれ、医療用接着テープを用いて、溶剤で処理した部位に接着させ、2時間放置し、放置後のTWLを、上記条件の恒温・恒湿室で、それぞれ、測定した。
【0050】
次式により、試料接着前の溶剤処理で荒れ肌状態となった皮膚のTWLに対する、試料接着2時間後の皮膚のTWLの減少率(%)を算出し、各繊維用仕上げ剤組成物の経表皮水分喪失量(TWL)回復効果を評価した。
TWLの減少率(%)=〔(溶剤処理直後、荒れ肌状態のTWL−接着2時間後のTWL)/溶剤処理直後、荒れ肌状態のTWL〕×100
【0051】
【表3】
Figure 0004568892
【0052】
【発明の効果】
本発明の繊維用仕上げ剤組成物で処理された繊維製品は、着用時の皮膚の保湿性を向上させ、特に、敏感肌、皮膚疾患患者向け衣料品として好適である。

Claims (5)

  1. セラミド及び糖セラミドから選ばれた1種以上〔以下(A)成分という〕を必須成分として含有する乳化物の形態である繊維用仕上げ剤組成物と水とを含む水を含む処理浴により、前記組成物を繊維製品に付与することからなる繊維製品の仕上げ加工方法。
  2. 前記繊維用仕上げ剤組成物が、更に、(B)動物油及び/又は植物油〔以下(B)成分という〕、(C)抗炎症剤〔以下(C)成分という〕、(D)乳化剤〔以下(D)成分という〕、並びに(E)水及び/又は水溶性溶媒〔以下(E)成分という〕を含有する請求項1記載の繊維製品の仕上げ加工方法
  3. (C)の抗炎症剤が、直鎖及び/又は分岐鎖の長鎖アルキル基又は長鎖アルケニル基を有するモノグリセリルエーテルである請求項2記載の繊維製品の仕上げ加工方法
  4. 前記繊維用仕上げ剤組成物が、(A)〜(E)成分の合計100重量%中、(A)成分を0.01重量%〜20.0重量%、(B)成分を1.0重量%〜50.0重量%、(C)成分を0.01重量%〜30.0重量%、(D)成分を0.1重量%〜20.0重量%含有し、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の4成分の合計が、繊維用仕上げ剤組成物中(100重量%中)に5.0重量%〜70.0重量%である、請求項2又は3記載の繊維製品の仕上げ加工方法
  5. 前記繊維用仕上げ剤組成物が、(A)〜(E)成分の合計100重量%中、(A)成分を0.01重量%〜5.0重量%、(B)成分を5.0重量%〜20.0重量%、(C)成分を0.1重量%〜20.0重量%、(D)成分を0.5重量%〜10.0重量%含有し、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の4成分の合計が、繊維用仕上げ剤組成物中(100重量%中)に20.0重量%〜70.0重量%である、請求項2〜4の何れか1項記載の繊維製品の仕上げ加工方法
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