JP2005530871A - ハロゲン化ポリマーを調製する為のラジカル重合方法及びハロゲン化ポリマー - Google Patents

ハロゲン化ポリマーを調製する為のラジカル重合方法及びハロゲン化ポリマー Download PDF

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Abstract

一種以上のエチレン系不飽和モノマーであって、少なくとも一種がハロゲン化モノマーから選ばれるモノマーと、ジアゾ化合物、過酸化物及びジアルキルジフェニルアルカンから選ばれる一種以上のラジカル発生剤を使用してハロゲン化ポリマーを調製する為のラジカル重合方法。
上記の方法により調製されたハロゲン化ポリマーを使用して、少なくとも一種のブロックがハロゲン化ポリマーブロックであるブロックコポリマーを調製する為のラジカル重合方法。
1.0×104を超える数平均分子量(Mn)と1.65未満のMz/Mw比を有するハロゲン化ポリマー。
ブロックコポリマーであって、少なくとも一種のブロックが、上記のハロゲン化ポリマーと同じハロゲン化ポリマーのブロックであるコポリマー。
1.5×104を超える数平均分子量(Mn)と1.60未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、少なくとも一種のハロゲン化ポリマーブロックを含むブロックコポリマー。

Description

本発明は、ハロゲン化ポリマーを調製する為のラジカル重合方法及びポリマー、対象の重合方法が特に良く適合されるそのポリマーの調製に関する。
ハロゲン化ポリマーは、通常、ハロゲン化モノマーと、ラジカルを発生してポリマー鎖の生長を開始する試薬の関与によって「通常」のラジカル重合方法により調製される。この方法によれば、ポリマー鎖を生長させてその最終のサイズにまで達する為に必要な時間が極めて短時間で、大体1秒未満である。又、重合の期間を通して、新たな鎖が生まれ、生長し、そして、再結合、不均化またはラジカル移動によって殆ど直ぐに死んでしまう。この「死」は、統計的でランダムな性質を有し、特に、重合温度及び媒体の粘性に依存する。この様に、重合の最後では、ランダムに間隔を開けた分子量分布と、多分散性指数(Mw/Mn)及びMz/Mw比が通常少なくとも2の値を有するハロゲン化ポリマーが得られる。その様な方法は、狭くて且つ調節された分子量分布を持つポリマーを合成する事ができない。それは、又ブロックコポリマーを製造する事もできない。
確かに、ハロゲン化ポリマーは、幾つかの有利な性質、特に、アルカリ及びアルコールに対する高い化学的抵抗性と高い難燃性を示す点で価値がある。更に、上述の方法によって調製された塩化ビニルポリマーは、必要ならば、模造皮革の様な柔軟性のある製品を製造する為に可塑剤とブレンドして柔軟性を与える事ができる点で価値がある。
然しながら、それらは多くの弱点を示し、その主たる弱点の一つは、分子量に依存するこれらのポリマーの多くの性質が分子規模で不均一である事であり、これは、これらの性質が、分子量それ自身と同様に一つのポリマー鎖から別のポリマー鎖へと変動する為である。特に、従来のハロゲン化ポリマー内の極めて低い分子量のポリマー鎖の存在はその熱安定性を相当に減少させ、又、それから作られた製品の機械的性質、特にそれらの引張り強度、耐摩耗性及び引掻き抵抗性を相当に損なう。逆に、同じハロゲン化ポリマー内の極めて高い分子量のポリマー鎖の存在は、それらの加工を更に難しくする(高い熔融粘度)。又、ゲル化不足(ハロゲン化ポリマーと可塑剤との分子レベルでの不完全なブレンド)により、後者から出発して製造される可塑化製品の機械的性質及びこれらの製品のその他の性質、例えば、透明性及び表面仕上げを相当に損なう。
特許出願EP617057Aに開示されている重合方法を開発する事によって、上述の「通常」のラジカル重合方法及びこの方法により調製されるハロゲン化樹脂の弱点を解消する為の試みが既に行われている。この方法は、従来の方法に含まれるハロゲン化モノマーとラジカル発生剤に加えて、第1級炭素原子に結合した少なくとも一個のヨウ素原子を含むヨウ素化有機移動剤、例えば、1−クロロ−1−ヨードエタンを含む。それは、この特許出願において使用される実際の用語により、上述の特許出願の実施例4で示される様に、この方法によって合成されるハロゲン化ポリマーの数平均(又は重量平均)分子量が、ハロゲン化ポリマーが重合するにつれて増加するという意味において「理想的な」リビングラジカル重合方法に喩えられる。然しながら、この方法により合成されたハロゲン化ポリマーの多分散性指数とMz/Mw比は、通常の方法で調製されたハロゲン化ポリマーのそれらよりも低いけれども、依然として高く(例えば、塩化ビニルホモポリマーに対しては1.70以上の多分散性指数)、これは、当該方法が、従来の方法同様に、ポリマー鎖の生長を妨害又は中止させる移動及び/又は不均化及び/又は再結合反応による副反応に強い影響を受ける事を示している。従来のこの方法のその他の欠点は、一般的に高価で、ハロゲン化ポリマーの原価を増加させるヨウ素化有機移動剤を使用する必要性の存在である。
従来の方法よりも有効な、ハロゲン化モノマーのラジカル重合方法の開発は、ハロゲン化モノマー、特に、塩化ビニル、弗化ビニル、塩化ビニリデン及び弗化ビニリデンが、生長するポリマー鎖のラジカル活性をそれ自身に(モノマーへの移動の為の反応)及び/又は停止したポリマー鎖に(ポリマーへの移動の為の反応)本質的に移動する傾向があると考えられているが故に、特に困難な問題である事は当業者にとって明らかな事である。
従って、本発明の対象は、先ず第1に、その利点を維持しながら従来の方法の欠点を示さないハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法である。
この目的を達成する為に、本発明は、ハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法であって、
(A)一種以上のエチレン系不飽和モノマーであって、その内の少なくとも一種はハロゲン化モノマーから選ばれるモノマー、
(B)ヨウ素分子、及び
(C)ジアゾ化合物、過酸化物及びジアルキルジフェニルアルカンから選ばれる一種以上のラジカル発生剤を使用する方法において、
(1)化合物(A)、(B)及び(C)のそれぞれの少なくとも一画分が反応器に導入される工程、次いで、
(2)化合物(A)、(B)及び(C)のそれぞれの任意の残部を反応器に導入して反応器の内容物を反応させる工程を含む方法に係るものである。
「ハロゲン化ポリマー」と言う用語は、ハロゲン化モノマーのホモポリマー及び、ハロゲン化モノマーが、別のハロゲン化モノマーと、又は、非ハロゲン化モノマーと一緒に形成するコポリマーを意味するものと理解される。これらのコポリマーは、特に、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーである事ができる。
「ハロゲン化モノマー」と言う用語は、少なくとも一種のハロゲン原子を含むエチレン系不飽和モノマーを意味するものと理解される。ハロゲン化モノマーの例としては、ハロゲン化ビニルモノマー、4−ブロモスチレンの様なハロゲン化スチレンモノマー、トリフルオロエチルアクリレートの様なハロゲン化(メチル)アクリル酸モノマー、及びクロロプレンの様なハロゲン化共役ジエンが挙げられる。
有利には、(A)の少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも75モル%は、ハロゲン化モノマーから選ばれる一種以上のエチレン系不飽和モノマーで構成される。
ハロゲン化モノマーは、好ましくはハロゲン化ビニルモノマーである。「ハロゲン化ビニルモノマー」と言う用語は、脂肪族であって、唯一のヘテロ原子として一種以上のハロゲン原子を有するモノエチレン系不飽和ハロゲン化モノマーを意味するものと理解される。ハロゲン化ビニルモノマーの例としては、臭化ビニルの様な臭素化ビニルモノマー、フッ素化ビニルモノマー及び塩素化ビニルモノマーが挙げられる。
ハロゲン化モノマーは、特に、塩素化ビニルモノマー及びフッ素化ビニルモノマーから選ばれるのが好ましい。
「塩素化ビニルモノマー」と言う用語は、脂肪族であって、唯一のヘテロ原子として一つ以上の塩素原子を有するモノエチレン系不飽和塩素化モノマーを意味するものと理解される。塩素化ビニルモノマーの例としては、塩素原子の数が1である塩素化ビニルモノマー、塩素原子の数が2である塩素化ビニルモノマー、トリクロロエチレン、1,1,3−トリクロロプロペン及びテトラクロロエチレンが挙げられる。
第1の好ましい塩素化ビニルモノマーの群は、塩素原子の数が1の塩素化ビニルモノマーで構成される。塩素原子の数が1の塩素化ビニルモノマーの例としては、塩化アリル、塩化クロチル及び、特に塩化ビニルが挙げられる。
第2の好ましい塩素化ビニルモノマーの群は、塩素原子の数が2の塩素化ビニルモノマーで構成される。塩素原子の数が2の塩素化ビニルモノマーの例としては、1.1−ジクロロプロペン、1,3−ジクロロプロペン、2,3−ジクロロプロペン及び、特に、塩化ビニリデンが挙げられる。
「フッ素化ビニルモノマー」と言う用語は、脂肪族であって、唯一のヘテロ原子として一つ以上のフッ素原子と、任意に、更に、一つ以上の塩素原子を有するモノエチレン系不飽和フッ素化モノマーを意味するものと理解される。フッ素化ビニルモノマーの例としては、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンの様なペルフルオロビニルモノマー、塩素原子を欠く、フッ素原子の数が1であるフッ素化ビニルモノマー及び塩素原子を欠く、フッ素原子の数が2であるフッ素化ビニルモノマーが挙げられる。
第1の好ましいフッ素化ビニルモノマーの群は、塩素原子を欠く、フッ素原子の数が1であるフッ素化ビニルモノマーで構成される。その様なモノマーの例としては、弗化アリル及び特に弗化ビニルが挙げられる。
第2の好ましいフッ素化ビニルモノマーの群は、塩素原子を欠く、フッ素原子の数が2であるフッ素化ビニルモノマーで構成される。その様なモノマーの例としては、3,3,3−トリフルオロプロペン及び、特に、弗化ビニリデンが挙げられる。
本発明のハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法の第1の好ましい選択的形態によれば(選択的形態(i))、(A)は、ハロゲン化モノマーである単独のエチレン系不飽和モノマーで構成される。
選択的形態(i)によれば、有利には、少なくとも50モル%の(A)が、好ましくは100モル%の(A)が工程(1)において反応器に導入される。
本発明のハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法の第2の好ましい選択的形態によれば(選択的形態(ii))、(A)は、その少なくとも一種はハロゲン化モノマーから選択される数種のエチレン系不飽和モノマーで構成される。
選択的形態(ii)によれば、(A)は、任意に、更に、一種以上の非ハロゲン化モノマーを含む事ができる。
適切な場合、非ハロゲン化モノマーは、好ましくは、スチレンの様なスチレンモノマー、n−ブチルアクリレート及びメチルメタクリレートの様な(メタ)アクリル酸モノマー、酢酸ビニルの様なビニルエステル、及びエチレン、プロピレン及びブタジエンの様なオレフィン系モノマーから選ばれる。
選択的形態(ii)によれば、有利には、少なくとも25モル%の(A)が、好ましくは少なくとも50モル%の(A)が、工程(1)で反応器に導入される。有利には、工程(1)で反応器に導入される画分(A)の少なくとも25モル%、好ましくは100モル%は一種以上のハロゲン化モノマーで構成される。
選択的形態(ii)によれば、工程(1)及び工程(2)で(A)を構成する種々のエチレン系不飽和モノマーを反応器に導入する為のそれぞれのやり方は、反応によって生成されるハロゲン化ポリマーの繰返し単位の組織に影響を及ぼす。
選択的形態(ii)の第1の好ましい選択的補助形態(ii.a)によれば、(A)を構成するエチレン系不飽和モノマーは、同じ導入のやり方で反応器に導入される。
選択的補助形態(ii.a)で調製されるハロゲン化ポリマーは、有利には、ランダムコポリマーである。
選択的形態(ii)の第2の好ましい選択的補助形態(ii.b)によれば、(A)を構成するエチレン系不飽和モノマーの一種は工程(1)で反応器に導入され、(A)を構成する別種のエチレン系不飽和モノマーは、(A)を構成するエチレン系不飽和モノマーの数−1の数だけ何度でも、交互に、工程(2)で反応器に導入され、工程(2)における反応器へのエチレン系不飽和モノマーのそれぞれの新たな導入は、反応器に既に導入されたエチレン系不飽和モノマーが少なくとも50モル%まで、特に好ましくは少なくとも70モル%、最も好ましくは少なくとも90モル%が互いに反応した後にのみ行われる。
選択的補助形態(ii.b)で調製されるハロゲン化ポリマーは、有利にはコポリマーであり、その分子構造は、理想的なブロックコポリマーを示す(即ち、ブロックの相互浸透が全くない)分子構造に似ているがそれとは異なるものである。
選択的形態(ii)の第3の好ましい選択的補助形態(選択的補助形態ii.c))によれば、(A)を構成するエチレン系不飽和モノマーの一種(モノマー(M1))は、工程(1)で反応器に導入され、(A)を構成する別種のエチレン系不飽和モノマー(モノマー(M2))の全部又は一画分は、工程(2)で反応器に徐々に導入される。
工程(2)で反応器に徐々に導入されなかったモノマー(M2)の任意の画分は、有利には、工程(1)で反応器に導入される。
選択的補助形態(ii.c)によれば、モノマー(M2)又は、幾つかのモノマーが存在する場合はモノマー(M2)のそれぞれは、有利には、モノマー(M1)よりも大きな反応性、即ち、モノマー(M2)又はモノマー(M2)のそれぞれが、反応によって消費される際の全体の速度が、モノマー(M1)が消費される際の速度よりも大きい反応性を有する。更に、モノマー(M2)又は、幾つかのモノマーが存在する場合はモノマー(M2)のそれぞれの反応器への導入速度は、この又はこれらのモノマーの反応性が増加するにつれて有利に増加する。
選択的補助形態(ii.c)により調製されるハロゲン化ポリマーは、有利にはコポリマーであり、その分子構造は、理想的な均質のコポリマーが示す分子構造に似ている(即ち、その全てのポリマー鎖が、共重合されたモノマーのそれぞれの結果として得られる構造的繰返し単位の同じ分子画分を正確に含む)。
本発明のハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法では、ヨウ素分子(B)は、そのままで、又は、反応器中で反応してヨウ素分子を遊離する前駆体の形態で反応器に導入する事ができる。その様な前駆体の例としては、反応器が、過酸化水素水溶液又は水溶性有機過酸化物を含む酸性pHの水性相を含む事を条件として、ヨウ化カリウムの様なアルカリ金属ヨウ化物が挙げられる。好ましくは、(B)はそのままで導入される。
(A)のモル数に関わる(B)のモル数は、有利には、少なくとも2.5×10-5、好ましくは少なくとも5×10-5、特に好ましくは少なくとも10-4の値を有する。更に、(A)のモル数に関わる(B)のモル数は、有利には、多くて10-1、好ましくは多くて10-2の値を有する。
有利には、少なくとも50モル%の(B)、更に有利には、100モル%の(B)が、工程(2)の期間が2時間に到達する前に、好ましくは工程(2)の期間が1時間に到達する前に、特に好ましくは工程(1)で反応器に導入される。
(C)として選ばれるジアゾ化合物、過酸化物及びジアルキルジフェニルアルカンは従来のものである事ができる。
ジアゾ化合物の例としては、4,4′−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(水溶性ジアゾ化合物)及びアゾビスイソブチロニトリル(油溶性ジアゾ化合物)が挙げられる。
過酸化物の例としては、水溶性過酸化物の例では、過硫酸アンモニウム過酸化物水溶液が挙げられ、油溶性過酸化物の例では、ジアルキルペルオキシド、ジアルキルペルオキシジカーボネート及びペルエステルが挙げられる。
(C)は好ましくは油溶性である。
(B)のモル数に関わる(C)のモル数は、有利には、好くなくとも1の値を有する。更に、有利には、多くて10、好ましくは多くて5の値を有する。
有利には、少なくとも50モル%の(C)、好ましくは100モル%の(C)が工程(1)で反応器に導入される。
本発明のハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法では、任意に、更に、工程(1)及び/又は工程(2)において、
(D)遷移金属、ランタニド、アクチニド及びIIIa族の金属から選ばれる、0の酸化状態又は完全に正の酸化状態にある金属及びこの金属のリガンドの一種以上の錯体、
を反応器に導入する事が可能である。
本発明のハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法の第1の実施態様(実施態様(I))によれば、次のものが、更に、工程(1)及び/又は工程(2)で、反応器に導入される:
(D)遷移金属、ランタニド、アクチニド及びIIIa族の金属から選ばれる、0の酸化状態又は完全に正の酸化状態にある金属及びこの金属のリガンドの一種以上の錯体。
0の酸化状態の金属の例としては、Al(0)、Cr(0)、Cu(0)、Fe(0)、Mg(0)、Mo(0)、Ni(0)、Pb(0)、Pd(0)、Sm(0)、W(0)及びZn(0)が挙げられる。
完全に正の酸化状態の金属の例としては、Ce(III)、Cu(I)、Cu(II)、Fe(II)、Fe(III)、Ni(I)、Rh(III)、Rh(IV)、Ru(III)、Ru(IV)及びTi(IV)が挙げられる。完全に正の酸化状態の金属は、有利には、塩の形態で、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物又はテルル化物の形態で導入される。
好ましい金属は、Cu(0)、Cu(I)、Cu(II)及びTi(IV)である。
上述の金属のリガンドの例としては、ビピリジン(Bpy)及び1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミンの様なアミノリガンド、トリフェニルホスフィン(P(Ph)3)の様な燐含有リガンド及び、その他のリガンドとして、インデニル、シクロペンタジエニル(Cp)、トリス[2−アミノエチル]アミン(TREN)、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン(Me6TREN)及び、アセチルアセトネートとブトキシド(OBu)-アニオン(ここで、Buは、n−ブチル基を意味する)が挙げられる。
好ましいリガンドは、(OBu)-、Cp、Bpy、TREN及びMe6TRENである。
特に、錯体の例としては、Cu(0)/Bpy、Cu(I)Cl/Bpy、Cu(I)Br/Bpy、Cu(I)I/Bpy、Cu(I)Cl/TREN、Cu(I)Cl/Me6TREN、Cu(II)Te/Bpy、Ti(IV)Cp2Cl2及びTi(IV)(OBu)4が挙げられる。上述の錯体は極めて良好な結果を与えた。
実施態様(I)によれば、(B)のモル数に関わる(D)のモル数は、有利には、少なくとも10-2、好ましくは少なくとも10-1の値を有する。更に、有利には、多くて102、好ましくは多くて101の値を有する。
実施態様(I)によれば、(B)のモル数に関わる(C)のモル数は、有利には、多くて1.4、好ましくは多くて1.2の値を有する。
本発明のハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合反応の第2の好ましい実施態様〈実施態様(II))によれば、工程(1)及び工程(2)における反応器の内容物は、遷移金属、ランタニド、アクチニド及びIIIa族金属から選ばれる0の酸化状態又は完全に正の酸化状態の金属及びこの金属のリガンドの錯体を欠いている。
実施態様(II)によれば、(B)のモル数に関わる(C)のモル数は、有利には、少なくとも1.2、好ましくは少なくとも1.4の値を有する。
本発明のハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法は、特に、溶液、溶液/バルク、懸濁、ミクロ懸濁又はエマルション重合方法である事ができる。従って、本発明のハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法では、任意に、工程(1)及び/又は工程(2)で、(A)、(B)、(C)及び(D)に加えて、(A)の質量当り1000質量%までの、ハロゲン化モノマーを重合する為に通常使用される一種以上の成分、例えば、水、超臨界のCO2、イソプロパノールの様な液体有機分散剤、ベンゼン、テトラヒドロフラン及びシクロヘキサノンの様な有機溶剤、ポリビニルアルコールの様な分散剤、又はミリスチン酸アンモニウム(成分(U))の様な乳化剤を反応器に導入する事が可能である。
工程(2)で反応器の内容物の反応を引起す為に、ラジカルが反応器内で発生する様な手段が使用される。この目的の為に、内容物は、特に、加熱する事もできれば、強烈な光に暴露する事もできる。
反応器の内容物が反応する温度は、有利には、少なくとも30℃、好ましくは少なくとも40℃の値を有する。更に、有利には、高くても200℃、好ましくは高くても120℃の値を有する。
有利には、工程(2)は、一方のハロゲン化モノマーと他方の非ハロゲン化モノマーが或制限内で反応を終えるまで行われる。
従って、一方で、工程(2)は、好ましくは、反応器に導入されたハロゲン化モノマーの少なくとも10モル%が反応を終えるまで行われる。更に、工程(2)は、(i)反応器に導入されるエチレン系不飽和モノマーが専ら塩素化ビニルモノマーである場合は、好ましくは反応器に導入されるハロゲン化モノマーの多くて70モル%が、特に好ましくは多くて35モル%が反応を終えるまで、(ii)反応器に導入されるエチレン系不飽和モノマーが専ら塩素化ビニルモノマー以外のハロゲン化モノマーである場合は、好ましくは反応器に導入されるハロゲン化モノマーの多くて85モル%が、特に好ましくは多くて70モル%が反応を終えるまで、そして(iii)反応器に導入される少なくとも一種のエチレンン系不飽和モノマーが非ハロゲン化モノマーである場合は、好ましくは反応器に導入されるハロゲン化モノマーの多くて95モル%が反応を終えるまで行われる。
一方、工程(2)は、好ましくは、反応器に導入される任意の非ハロゲン化モノマーの少なくとも50モル%が反応を終えるまで行われる。更に、工程(2)は、好ましくは、反応器に導入される任意の非ハロゲン化モノマーの多くて95モル%が反応を終えるまで行われる。
工程(2)を終了させる為には、例えば、反応器の内容物を冷却し及び/又は反応器内に強力な重合禁止剤を導入し及び/又は反応していない(A)の画分を反応器から抽出する事が可能である。これらの操作は、反応器内で又は反応器の外で同時に又は連続して行なう事が可能である。
好ましくは、工程(2)は、反応器の内容物から反応していない(A)の画分を抽出する事によって(脱モノマー化処理)、任意には、反応器の内容物を冷却し及び/又は反応器の中に強力な重合禁止剤を導入した後に中止される。
反応していない(A)の画分が十分な揮発性を有する場合は、それは、有利には、反応器を真空下に置いて反応器の内容物から抽出される。
本発明のハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法は、更に、任意に、先の工程の後に、ハロゲン化ポリマーが反応器の内容物から単離される工程(工程(3))を含む。
反応器の内容物からハロゲン化ポリマーを単離する方法としては、既に上で検討された脱モノマー処理に加えて、当該技術分野において当業者に公知の分離方法、特に、沈殿(特に、ハロゲン化ポリマーが溶液又は溶液/バルク方法で製造された場合)、濾過及び流動床での乾燥(特に、ハロゲン化ポリマーが懸濁法で製造された場合)、及びアトマイザー又は凝集による乾燥(特に、ハロゲン化ポリマーがエマルション又はミクロ懸濁法によって製造された場合)が挙げられる。これらの操作は、有利には、反応器の外で行われる。
本発明のハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法は、有利には、本発明のハロゲン化ポリマーを調製する為に行われる。
引き続いて、本発明の対象は、少なくとも一つのブロックがハロゲン化ポリマーブロックであるブロックコポリマーの調製の為のラジカル重合方法である。
この目的を達成する為に、本発明は、少なくとも一つのブロックがハロゲン化ポリマーブロックであるブロックコポリマーの調製の為のラジカル重合方法であって、
(A′)一種以上のエチレン系不飽和モノマー、及び
(B′)上述の方法によって調製されたポリマーと、この場の方法の準備工程で調製されるポリマーとから選ばれる一種以上のハロゲン化ポリマーを使用する方法において、
(1′)(A′)の少なくとも一画分と、(B′)の少なくとも一画分とが反応器に導入され、次いで、(2′)反応器に、(A′)の任意の残部と(B′)の任意の残部を導入しながら反応器の内容物を反応させる工程を含む方法に係るものである。
本発明のブロックコポリマーを調製する為のラジカル重合方法は、反対の指示以外は、或いは別にその特定がされている場合を除いて、ハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法に関する上述のそれと同じ特徴と優先度に一致する。
(A′)を構成するエチレン系不飽和モノマーの数は任意の値を取る事ができる。好ましくは、それは多くても2の値を有する。
(A′)を構成するエチレン系不飽和モノマーは、ハロゲン化モノマー及び非ハロゲン化モンマーから区別なく選択することができる。
(B′)は、どの様な形態ででも反応器に導入する事ができ、特に、粉末、分散体、エマルション又は溶液の形態で、前以って調製が行われた反応器の内容物から単離された後又は単離されないままに導入する事ができる。
(B′)を構成するハロゲン化ポリマーの数は、好ましくは1の値を有する。
好ましくは、(B′)の全てが工程(1′)で反応器に導入される。
(A′)の質量に関する(B′)の質量は、有利には、少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.5の値を有する。更に、それは、有利には、多くても4の値を有する。
本発明のラジカル重合方法では、過酸化物、ジアゾ化合物及びジアルキルジフェニルアルカンから選ばれる一種以上のラジカル発生剤(C′)が、更に、反応器に、工程(1′)及び/又は工程(2′)で有利に導入される。
(C′)は、(C)と同じ特徴及び優先度に一致し、これは優先度の程度がどの様な場合でも一致する。
本発明のブロックコポリマーの調製の為のラジカル重合方法は、有利には、本発明のブロックコポリマーを調製する為に実施される。
本発明のブロックコポリマーの調製の為のラジカル重合方法では、遷移金属、ランタニド、アクチニド及びIIIa族金属から選ばれる0の酸化状態又は完全に正の酸化状態の金属、及びこの金属のリガンドの一種以上の錯体(D′)が、更に、任意に、反応器に、工程(1′)及び/又は工程(2′)で導入できる。
(D′)は、(D)と同じ特徴及び優先度に一致し、これは優先度の程度がどの様な場合でも一致する。
次に、本発明の対象は、従来のハロゲン化ポリマーの欠点を示さずにその利点を維持し、特に、上述のハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法によって得る事のできるハロゲン化ポリマーである。
この目的の達成の為に、本発明は、1.0×104を超える数平均分子量(Mn)と1.65未満のMz/Mw比を有するハロゲン化ポリマーに係るものである。
本発明のハロゲン化ポリマーの分子量分布は、本発明の実施例1で明らかにされる様に、排除クロマトグラフィーによって通常決定される。
この様にして得られた分子量分布から、
数平均分子量Mn=ΣNii/ΣNi(ここで、Niは、分子量Miのポリマーのモル数である)、
重量平均分子量Mw=ΣNii 2/ΣNii
高次平均分子量Mz=ΣNii 3/ΣNii 2
多分散性指数Mw/Mn
z/Mw比、
を計算する事が可能である。
本発明のハロゲン化ポリマーは、好ましくは1.0×104を超える、特に好ましくは1.8×104を超える数平均分子量(Mn)を有する。
本発明のハロゲン化ポリマーは、好ましくは1.60未満のMz/Mw比を有する。
更に、本発明のハロゲン化ポリマーは、2.00未満の多分散性指数Mw/Mnを有する。
本発明のハロゲン化ポリマーは、ハロゲン化ポリマーと別のハロゲン化ポリマー又は非ハロゲン化ポリマーとで形成されるコポリマーと同様に、ハロゲン化ポリマーのホモポリマーである事ができる。それらは、好ましくは、少なくとも50モル%、特に好ましくは少なくとも80モル%、最も好ましくは100モル%のハロゲン化モノマーで形成される。
更に、それらは、好ましくは、ハロゲン化ビニルモノマーのポリマーである。特に好ましくは、それらは、塩素化ビニルモノマーのポリマー及びフッ素化ビニルモノマーのポリマーから選ばれる。
塩素化ビニルモノマーのポリマーの例としては、塩素原子の数が1の塩素化ビニルモノマーのポリマー、塩素原子の数が2の塩素化ビニルモノマーのポリマー、トリクロロエチレンポリマー、1,1,3−トリクロロプロペンポリマー及びテトラクロロエチレンポリマーが挙げられる。
塩素化ビニルモノマーの第1の好ましい群は、塩素原子の数が1である塩素化ビニルモノマーのポリマーで構成される。その様なポリマーの例としては、塩化アリルポリマー、塩化クロチルポリマー及び、特に塩化ビニルポリマーが挙げられる。
好ましい塩化ビニルポリマーは、1.60未満、好ましくは1.50未満、特に好ましくは1.45未満の多分散性指数Mw/Mnを有する。更に、それらは、好ましくは1.50未満のMz/Mw比を有する。
塩素化ビニルモノマーの第2の好ましい群は、塩素原子の数が2である塩素化ビニルモノマーのポリマーで構成される。その様なポリマーの例としては、1,1−ジクロロプロペンポリマー、1,3−ジクロロプロペンポリマー、2,3−ジクロロプロペンポリマー及び、特に塩化ビニリデンポリマーが挙げられる。
フッ素化ビニルモノマーのポリマーの例としては、クロロトリフルオロエチレンポリマー、トリフルオロエチレンポリマー、テトラフルオロエチレンポリマー及びヘキサフルオロプロピレンポリマーの様なペルフルオロビニルモノマーのポリマー、フッ素原子の数が1であって塩素原子を欠くフッ素化ビニルモノマーのポリマー、及びフッ素原子の数が2であって塩素原子を欠くフッ素化ビニルモノマーのポリマーが挙げられる。
フッ素化ビニルモノマーのポリマーの第1の好ましい群は、フッ素原子の数が1であって塩素原子を欠くフッ素化ビニルモノマーのポリマーで構成される。その様なポリマーの例としては、弗化アリルポリマー及び、特に、弗化ビニルポリマーが挙げられる。
フッ素化ビニルモノマーのポリマーの第2の好ましい群は、フッ素原子の数が2であって塩素原子を欠くフッ素化ビニルモノマーのポリマーで構成される。その様なポリマーの例としては、3,3,3−トリフルオロプロペンポリマー及び、特に、弗化ビニリデンポリマーが挙げられる。
好ましい弗化ビニリデンポリマーは、1.85未満、好ましくは1.75未満の多分散性指数Mw/Mnを有する。
本発明のハロゲン化ポリマーは、液体又は粉末の形態である事ができる。好ましくは、それらは粉末形態にある。
本発明のハロゲン化ポリマーは、ミノルタCR200色度計で測定して、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%の白色度を有する。本発明のハロゲン化ポリマーの白色度についてのミノルタCR200色度計による測定は、本発明の実施例1で明示される様に行われる。
次に、本発明の最後の対象は、従って、ブロックコポリマーであり、その内の少なくとも一種のブロックがハロゲン化ポリマーブロックであるブロックコポリマーで、多くの利点を示し、特に、上述のブロックコポリマーの調製の為のラジカル重合方法により得る事のできるものである。
この目的を達成する為に、本発明は、少なくとも一種のブロックが上述のハロゲン化ポリマーと同じハロゲン化ポリマーのブロックであるブロックコポリマー((CB1)ブロックコポリマー)に関するものである。
又、少なくとも一種のブロックがハロゲン化ポリマーブロックであり、1.5×104を超える、特に好ましくは1.8×104を超える数平均分子量(Mn)と1.60未満の多分散性指数Mw/Mnを有するブロックコポリマー((CB2)ブロックコポリマー)に関するものである。
本発明の(CB1)ブロックコポリマーと(CB2)ブロックコポリマーは共に、ハロゲン化ポリマーブロックの質量は、本発明のブロックコポリマーの質量の少なくとも1/10、好ましくは少なくとも1/3の値を有する。更に、本発明のCB1)と(CB2)ブロックコポリマーの質量の多くても4/5の値を有する。
本発明の(CB1)と(CB2)ブロックコポリマーは、任意に、非ハロゲン化ポリマーの一種以上のブロックを含む事ができる。その様なブロックの例としては、スチレンホモポリマーブロック、スチレンとアクリロニトリルのランダムコポリマーブロックが挙げられる。好ましくは、非ハロゲン化ポリマーのブロックはホモポリマーのブロックである。
本発明のブロックコポリマーの例としては、本発明の実施例7により製造される様な塩化ビニリデンとアクリル酸メチルとのランダムコポリマーのブロックと、スチレンのブロックとから構成されるジブロックコポリマーが挙げられる。
次に本発明の対象は、従来のハロゲン化ポリマーで作られた製品の欠点を示さずにその利点を維持する、ハロゲン化ポリマーで作られた製品に関するものである。
この目的を達成する為に、本発明は、上述の方法によって調製されたポリマー及び上述のポリマーから選ばれる一種以上のポリマーを使用して製造される製品に関する。
その様な製品の例としては、緻密層、フィルム、シート、パネル及びプロファイル、管及びパイプ、マスチック及び細胞層が挙げられる。
これらの製品は、公知の処理方法、例えば、カレンダー、押出し、射出成形、コーティング、噴霧、浸漬及び金型成形によって普通一般的に製造される。
本発明のラジカル重合方法には多くの利点が存在する。
それらは、生長するポリマー鎖のラジカル活性をそれ自身に(モノマーへの移動の反応)及び/又は死んだポリマー鎖に(ポリマーへの移動の反応)移動させる本質的な傾向があると考えられている、塩化ビニル、塩化ビニリデン、弗化ビニル及び弗化ビニリデンの様なハロゲン化モノマーを使用するにも拘らず、十分に証明されているリビング性を有する。
驚くべき事に、本発明のラジカル重合方法では、多数のポリマー鎖は重合の開始時に生まれ(再生し)、移動及び/又は不均化及び/又は再結合と言った副反応による中断又は中止無しに、重合を通して生長する。この様に、本発明の方法は、反応メカニズムに関して、公知のラジカル重合方法と区別される。
巨視的観点から、この事は、本発明のラジカル重合方法は、反応中に、ポリマーの数平均(又は重量平均)分子量が、反応を終えたハロゲン化モノマーの画分が増加すると絶えず増加する様な方法であるのに対して、「従来の」ラジカル重合全体を通してそれは実質的に不変であると言う事実に反映される。
上記に係る本発明のラジカル重合方法のその他の利点は、これらの方法によって調製されるハロゲン化ポリマーのポリマー鎖の生長が再度開始されて、重合媒体から単離された後でも、既に重合しているものと同じか異なるエチレン系不飽和モノマーとポリマーの更なる反応を引起す点にある。この方法では、少なくとも一種のハロゲン化ポリマーブロックを含むブロックコポリマーを調製する事が可能である。反対に、「従来の」ラジカル重合方法によるその様なコポリマーの合成は通常不可能である。
本発明のラジカル重合方法の最後の利点は、それらが、ヨウ素化有機移動剤の様な通常高価な出発物質を使用する必要がない点にある。
本発明のポリマーは、従来のハロゲン化ポリマーの有利な特性の全てを保持し、特に、アルカリ及びアルコールに対する高い化学抵抗性及び高い難燃性を保持する。
それらは、従来のポリマーに関して実質的に低減された多分散性指数Mw/MnとMz/Mw比を有する。
更に、それらは、その低い多分散性指数に関わるその他の多数の利点を示す。その主たる利点は、分子量に依存するこれらのポリマーの多くの性質が、分子量規模で、従来のハロゲン化ポリマーに関して改善された均質性を示す点である。
それらは極めて低い分子量のポリマー鎖を欠くので、本発明のハロゲン化ポリマーは、従来のハロゲン化ポリマーよりも高い熱安定性を有する。更に、これらのポリマーで作られた製品は、従来のハロゲン化ポリマーで作られた製品よりも良好な機械的性質、特に、良好な引張り強度、耐摩耗性及び引掻き抵抗性を有する。
それらは極めて高い分子量のポリマー鎖を欠くので、本発明のハロゲン化ポリマーは、従来のハロゲン化ポリマーよりも一層簡単に熔融状態で使用される。同じ理由で、これらのポリマーで作られた可塑化製品は良くゲル化され、従って、従来のハロゲン化ポリマーで作られた製品よりも良好な機械的性質、透明性及び表面仕上げを有する。
以下の実施例は本発明を例示するものであって、その範囲を限定するものではない。
実施例1(本発明による)
2000gの脱塩水と、6gのポリ(ビニルアルコール)(分散剤)と、1.5gのヨウ素分子及び1.5gのジエチルペルオキシジカーボネート(ラジカル発生剤)を、先ず初めに、攪拌機を備えた3.5リットルのジャケット付き反応器に導入した。反応器を密閉し、次いで、攪拌を開始した。反応器には真空が適用された。
1000gの塩化ビニルをこの反応器に導入した。
反応器の内容物を60℃とした。反応器の内容物の温度が60℃に達した時をt0とした。反応が生起した。
0+3時間30分で、反応器の内容物をできる限り素早く周囲温度まで冷却して反応を停止した。
未反応塩化ビニルからスラリーを精製した。濾過と流動床での乾燥によってそれから水を続いて除去した。この様にして、ポリ(塩化ビニル)粉末が得られた。
反応した塩化ビニルの画分(転化の程度(f))は、%で表示され、重量測定によって決められたスラリーそれ自身の乾燥物含有量から計算された。
ポリ(塩化ビニル)のK値は、ISOの1628−2により決定された。
ポリ(塩化ビニル)の分子量分布は、又、排除クロマトグラフィーによって決められ、ポリ(塩化ビニル)の白色度は、ミノルタCR200色度計(以下で明らかにされる)で決定された。
ポリマーの分子量分布の決定
ポリマーの分子量分布は、Shodex RIを備えたWaters Alliance 2692クロマトグラフ(モデル2410)、検出器及び一連のWaters Styragel HR4、HR3及びHR2カラムを使用して、溶出剤として、LiBrを付加したジメチルホルムアミドを0.1mol/lの濃度で使用して、1m/分の流速及び40℃の温度で決定された。クロマトグラフは、事前にポリ(メチルメタクリレート)標準物質を使用して較正された。Mark−Houwinkファクターは、α=0.770とk=9.45×105である。
ポリマーの白色度の決定
キセノンアークランプを備えたミノルタCR200色度計にスイッチを入れ、この装置を安定化させた。この装置は、光源としてC光源を持ち、カラー、複数測定、チャンネル00形式で構成されている。チャンネル00が、酸化アルミニウム標準タイルを使用して引き続いて較正された。ポリマーを、この目的の為に用意された測定容器に、容器が僅かに溢れるまで注ぎ入れ、次いで、Matobelガラス板をその上に置き、僅かに圧力をかけて、ガラス板を容器の縁に接触させた。色度計の測定ヘッドを、続いて、ガラス板の上に置き、CIE Lab 1931スペースのY、x、yの座標の3点測定(3回の光閃光)を連続して行った。その平均値が決定され、次いで、三色成分Z=x×Y2/y2−Yと樹脂Bの白色度=a×Z−bが計算された(aは、0.9の値を有し、bは、1.085の値を有し、aとbは、現在の測定方法で得られた結果と、Photovolt model670の反射率計で得られた結果とを合わせて予め実験的に決められた実験的係数である)。
実施例2(本発明による)
反応をt0+4時間(t0+3時間30分に代えて)で停止した以外は、実施例1と同様にして調製を行った。
実施例3(本発明による)
反応をt0+5時間(t0+3時間30分に代えて)で停止した以外は、実施例1と同様にして調製を行った。
実施例1〜3の様々な測定結果は、表1で示される。
表1
Figure 2005530871
n.m=測定せず。
実施例4(比較例)
市販の塩化ビニルホモポリマーの分子量分布を、実施例1〜3で適用されたものと正確に同じ条件下で、Waters Alliance 2692クロマトグラフを使用して決定した。実施例4の測定結果は表2で示される。
表2
Figure 2005530871
実施例5(本発明による)
2429gの脱塩水と、100gのモノマー当り0.04gの割合のメチルヒドロキシプロピルセルロース分散剤と、4.1g(0.016モル)のヨウ素分子とを、連続して、880回転/分で回転するタービン型の攪拌機を備えたジャケット付き反応器に導入した。真空が適用された。13.4gのt−アミルペルピバレートを導入した。5分間待った後、609g(4.06モル)のヘキサフルオロプロピレンと644g(10.06モル)の弗化ビニリデンを連続して反応器に入れた。反応器の内容物を徐々に加熱して60℃の定常温度とした。614g(9.59モル)の弗化ビニリデンを反応器に徐々に注入して、反応器内の一定圧力を120バールの値に保った。続いて、反応器内の圧力を徐々に落として100バールとした。次いで、反応器の内容物を65℃まで加熱した。反応器内の圧力が60バールに達したら、即ち、60℃の定常温度に到達後597分で水性懸濁液を(圧力を大気圧まで低下させる事によって)脱気した。濾過によってコポリマーを連続的に収集し、次いで、それを、攪拌しながら容器内の清潔な水の中で再度懸濁させた。洗浄サイクル後に、ポリマーを、オーブン中で一定質量になるまで乾燥した。
反応によって全体的に消費されたヘキサフルオロプロピレンと弗化ビニリデンの質量割合が決定された。これは67%であった。
更に、この様にして調製されたコポリマーの分子量分布を、実施例1〜3で適用されたものと正確に同じ条件下で、Waters Alliance 2692クロマトグラフを使用して決定した。以下の結果が得られた。
n=7.7×104、Mw=13.0×104、Mz=20.6×104、Mw/Mn=1.69及びMz/Mw=1.58。
実施例6(比較例)
ヨウ素が反応器に導入されなかった以外は、実施例5と同様にして調製が行われた。
反応器の圧力は60℃の定常温度に到達後、261分で60バールに達した。
反応によって全体的に消費されたヘキサフルオロプロピレンと弗化ビニリデンの質量割合が決定された。これは73%であった。
更に、この様にして調製されたコポリマーの分子量分布を、実施例5で適用されたものと正確に同じ条件下で、Waters Alliance 2692クロマトグラフを使用して決定した。以下の結果が得られた。
n=9.5×104、Mw=20.9×104、Mz=41.4×104、Mw/Mn=2.20及びMz/Mw=1.98。
実施例7(本発明による)
300mlのガラス反応器に真空を適用した。64.8gの塩化ビニリデンと、14.4gのアクリル酸メチルと、1.006gのヨウ素分子及び88gのベンゼンとから成る第1の溶液を続いて反応器に導入し、次いで、0.975gのアゾビスイソブチロニトリルと10gのベンゼンとから成る第2の溶液を続いて反応器に導入した。反応器に第2の溶液を導入した後直ぐに、反応器を、70℃にサーモスタット制御された浴に置いた。反応器の内容物の温度が70℃に達した時をt0とした。反応が生起した。
0+30時間で、反応器の内容物をできる限り素早く周囲温度まで冷却して反応を停止した(中間溶液(S1))。
(S1)は、本質的に、ベンゼン溶液中に、塩化ビニリデンとアクリル酸メチルのコポリマー(中間体ポリマー(P1))と、未反応の塩化ビニリデンとアクリル酸メチルとを含んでいた。中間溶液(S1)に含まれるポリマー(P1)を、凡そ72時間掛けてメタノールから沈殿させ、次いで、濾過し、真空オーブン中で乾燥した(中間体ポリマー(P′1))。
6.01gのスチレンと、2.43gのポリマー(P′1)を、25mlのガラス反応器に導入した。真空が適用された。
反応器は、引き続き、110℃にサーモスタット制御された浴中に置かれた。反応器の内容物の温度が110℃に達した時をt1とした。反応が生起した。
1+5時間45分で、反応器の内容物をできる限り素早く周囲温度まで冷却して反応を停止した(最終溶液/バルク(S2))。
(S2)は、本質的に、塩化ビニリデンとアクリル酸メチルのコポリマーのブロックとスチレンブロックを含むブロックコポリマー(ブロックコポリマー(P2))と未反応スチレンを含んでいた。
(S2)のサンプルを使用して、ブロックコポリマー(P2)の分子量分布を、排除クロマトグラフィーによって決定した。
(P2)の分子量分布に関して次の結果が得られた。Mn=2.0×104、Mz=4.3×104及びMw/Mn=1.58。

Claims (23)

  1. ハロゲン化ポリマーの調製の為のラジカル重合方法であって、
    (A)一種以上のエチレン系不飽和モノマーであって、その内の少なくとも一種はハロゲン化モノマーから選ばれるモノマー、
    (B)ヨウ素分子、及び
    (C)ジアゾ化合物、過酸化物及びジアルキルジフェニルアルカンから選ばれる一種以上のラジカル発生剤を使用する方法において、
    (1)化合物(A)、(B)及び(C)のそれぞれの少なくとも一画分が反応器に導入される工程、次いで、
    (2)化合物(A)、(B)及び(C)のそれぞれの任意の残部を反応器に導入して、
    反応器に導入されるエチレン系不飽和モノマーが専ら塩素化ビニルモノマーである場合は、反応器に導入されたハロゲン化モノマーの多くて70モル%が反応するまで、
    反応器に導入されるエチレン系不飽和モノマーが専ら塩素化ビニルモノマー以外のハロゲン化モノマーである場合は、反応器に導入されたハロゲン化モノマーの多くて85モル%が反応するまで、そして、
    反応器に導入される少なくとも一種のエチレン系不飽和モノマーが非ハロゲン化モノマーである場合は、反応器に導入されたハロゲン化モノマーの多くて95モル%が反応するまで反応器の内容物を反応させる工程、次いで、
    (2b)反応を終わらせる工程、
    を含む事を特徴とする方法。
  2. (A)の少なくとも50モル%が、ハロゲン化モノマーから選ばれる一種以上のエチレン系不飽和モノマーで構成される、請求項1記載の方法。
  3. エチレン系不飽和モノマー又はエチレン系不飽和モノマーの一種が塩化ビニルである、請求項1又は2記載の方法。
  4. エチレン系不飽和モノマー又はエチレン系不飽和モノマーの一種が塩化ビニリデンである、請求項1又は2記載の方法。
  5. エチレン系不飽和モノマー又はエチレン系不飽和モノマーの一種が弗化ビニリデンである、請求項1又は2記載の方法。
  6. (A)が、ハロゲン化モノマーである単独のエチレン系不飽和モノマーで構成され、少なくとも50モル%の(A)が工程(1)で反応器に導入される、請求項1記載の方法。
  7. (A)が、幾つかのエチレン系不飽和モノマーで構成され、(A)を構成するエチレン系不飽和モノマーの数−1だけ何度でも、交互に、(A)を構成するエチレン系不飽和モノマーの一種が工程(1)で反応器に導入され、(A)を構成するエチレン系不飽和モノマーの別の種類が工程(2)で反応器に導入され、工程(2)における反応器へのエチレン系不飽和モノマーのそれぞれの新たな導入は、反応器に既に導入されたエチレン系不飽和モノマーが、少なくとも50モル%まで互いに反応した後にのみ行われる、請求項1記載の方法。
  8. (A)が、幾つかのエチレン系不飽和モノマーで構成され、(A)を構成するエチレン系不飽和モノマーの一種が工程(1)で反応器に導入され、A)を構成するエチレン系不飽和モノマーの別の種類の全部又は一画分が工程(2)で反応器に徐々に導入される、請求項1記載の方法。
  9. (A)のモル数に関わる(B)のモル数が、少なくとも2.5×10-5の値を有する、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 少なくとも50モル%の(B)が、工程(1)で反応器に導入される、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. (B)のモル数に関わる(C)のモル数が、少なくとも1の値を有する、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 次のものが、工程(1)及び/又は工程(2)で反応器に更に導入される、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法:
    (D)遷移金属、ランタニド、アクチニド及びIIIa族の金属から選ばれる、0の酸化状態又は完全に正の酸化状態にある金属及びこの金属のリガンドの一種以上の錯体。
  13. 反応器の内容物が、工程(1)及び工程(2)では、遷移金属、ランタニド、アクチニド及びIIIa族の金属から選ばれる、0の酸化状態又は完全に正の酸化状態にある金属及びこの金属のリガンドの錯体を欠く、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  14. 少なくとも一種のブロックがハロゲン化ポリマーブロックであるブロックコポリマーを調製する為のラジカル重合方法であって、
    (A′)少なくとも一種のエチレン系不飽和モノマーと、
    (B′)請求項1〜13のいずれか1項記載の方法で調製されたポリマーと、この請求項14記載の方法による準備工程で調製されるポリマーとから選ばれる一種以上のハロゲン化ポリマーを使用する方法において、
    (1′)(A′)の少なくとも一画分と(B′)の少なくとも一画分が反応器に導入される工程、次いで、
    (2′)(A′)の任意の残部と(B′)の任意の残部を反応器に導入しながら反応器の内容物を反応させる工程、を含む事を特徴とする方法。
  15. 1.0×104を超える数平均分子量(Mn)と1.65未満のMz/Mw比を有する事を特徴とするハロゲン化ポリマー。
  16. ハロゲン化ポリマーが塩化ビニルポリマーであり、1.60未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、請求項15記載のハロゲン化ポリマー。
  17. ハロゲン化ポリマーが弗化ビニリデンポリマーであり、1.85未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、請求項15記載のハロゲン化ポリマー。
  18. ハロゲン化ポリマーが、ミノルタCR200色度計で測定して少なくとも80%の値の白色度を有する、請求項15〜16のいずれか1項記載のハロゲン化ポリマー。
  19. 請求項15〜18のいずれか1項記載のハロゲン化ポリマーの少なくとも一種のブロックを含む事を特徴とするブロックコポリマー。
  20. 1.5×104を超える数平均分子量(Mn)と1.60未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、少なくとも一種のハロゲン化ポリマーブロックを含む事を特徴とするブロックコポリマー。
  21. 請求項1〜14のいずれか1項記載の方法により調製されるポリマーと、請求項15〜20のいずれか1項記載のポリマーから選ばれる一種以上のポリマーを使用して製造される製品。
  22. 一種以上のエチレン系不飽和モノマーであって、少なくとも一種がハロゲン化モノマーから選ばれるモノマーと、ジアゾ化合物、過酸化物及びジアルキルジフェニルアルカンから選ばれる一種以上のラジカル発生剤を使用してハロゲン化ポリマーを調製する為のラジカル重合方法におけるヨウ素分子の使用であって、ラジカル重合方法が次の工程:
    ヨウ素分子の少なくとも一画分、エチレン系不飽和モノマーの少なくとも一画分及びラジカル発生剤の少なくとも一画分が反応器に導入される工程、次いで、
    ヨウ素分子、エチレン系不飽和モノマー及びラジカル発生剤の任意の残部を反応器に導入しながら反応器の内容物を反応させる工程を含み、前記ラジカル重合方法にリビング性を与える事を特徴とする使用。
  23. 一種以上のエチレン系不飽和モノマーであって、少なくとも一種がハロゲン化モノマーから選ばれるモノマーと、ジアゾ化合物、過酸化物及びジアルキルジフェニルアルカンから選ばれる一種以上のラジカル発生剤を使用してハロゲン化ポリマーを調製する為のラジカル重合方法におけるヨウ素分子の使用であって、ハロゲン化ポリマーを調製する為のラジカル重合方法が次の工程:
    ヨウ素分子の少なくとも一画分、エチレン系不飽和モノマーの少なくとも一画分及びラジカル発生剤の少なくとも一画分が反応器に導入される工程、次いで、
    ヨウ素分子、エチレン系不飽和モノマー及びラジカル発生剤の任意の残部を反応器に導入しながら反応器の内容物を反応させる工程を含み、ハロゲン化ポリマーのポリマー鎖の生長が再開でき、それらの重合媒体から単離された後にこれらのポリマーが、既に重合を終えたモノマーと同じか異なるエチレン系不飽和モノマーと再び任意に反応する事を特徴とする使用。
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