JP2005530109A - 歯面バックラッシの自動補償を有する歯車駆動ユニット - Google Patents
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Abstract
回転軸周りで相互に押し付けられた2枚の歯車盤(1,2)からなる歯車と少なくとも1枚の噛合する逆側歯車(4)とを有し、噛合に際して生じる歯面のバックラッシの自動補償を備えており、歯車盤(1,2)は逆止め弁(7)を備えた少なくとも1つのピストン−シリンダユニット(5)によって互いに対向して支持され、そのピストン(6)が第1の歯車盤(1)と共に作用してこれを付勢した際に他方の第2の歯車盤(2)をその回転方向に見て後方の歯面によって逆側歯車(4)と接合させ、回転方向と逆向きのトルクの作用下におけるピストン(6)の逆方向動作を逆止め弁(7)によって防止する歯車駆動機構である。ここで、少なくとも1つの液圧式ピストン−シリンダユニット(5)が第1の歯車盤(1)と一体式に形成されている。
Description
この発明は、回転軸周りで相互に押し付けられた2枚の歯車盤からなる歯車と少なくとも1枚の噛合する逆側歯車とからなり、歯車の嵌合に際して生じる歯面バックラッシの自動補償を有する歯車駆動機構に関する。
歯車駆動機構は、歯面のバックラッシが過度に大きくあるいは小さくならないように設計する必要があり、これはそうでないと歯車の引っ掛かりあるいは騒音が生じる危険性があるためである。このことは、特に例えば内燃エンジンのクランク軸等の可変トルクによって負荷がかかる歯車駆動機構において該当し、この場合歯面バックラッシが過度に大きいと認識可能な高周波振動によって騒音が発生する。
この問題は、歯車駆動機構を製造する際にしばしば使用される種々の異なった材料の熱膨張によってさらに大きなものとなる。従って、内燃エンジンの暖機運転中において既に熱よって発生する歯面のバックラッシのために騒音が発生する。この騒音による不快感以外にも、歯面のバックラッシが過度に大きい歯車駆動機構においてより大きな磨耗が発生し、これによって内燃エンジンの寿命が著しい影響を受ける。
歯面のバックラッシを削減または補償することができる歯車駆動機構も知られている。例えばこのために、両方の歯車盤の間に設けられたバネ部材によって余荷重をかけた2枚の歯車盤からなる歯車が使用される。この種の歯車が他の歯車と噛合すると、歯車盤の歯が共に他の歯車の歯溝に到達し、バネ余荷重によって歯面のバックラッシが補償される。逆方向の回転トルクが存在する場合、歯面のバックラッシを伴わずにバネ余荷重された歯車部分によって伝達される。
しかしながら、この種の歯車駆動機構の問題点は、特に強い逆方向トルクが発生する場合に歯車盤を押し付けているバネのバネ定数が大きい必要がある点である。大きなバネ定数は高い歯車盤の摩擦作用をもたらし、従ってこの種の歯車駆動機構の寿命が磨耗によって短縮することが考えられる。いずれにしても、歯面のバックラッシを伴わずに伝達される逆転性トルクは大きさが限られたものとなる。例えば不規則回転または衝撃の形の大きな逆方向トルクが発生すると、歯面のバックラッシ補償は一般的に保持されない。
別の既知の解決方式において、互いに噛合する歯車の歯は間在するゴム層によって分離される。この種の歯車駆動機構も前述した歯車駆動機構と同様の問題点を有し、すなわち限られた逆転性トルクにもかかわらず高い摩擦作用が生じ、従って高い磨耗によって寿命が短縮する。
従って、極めて大きな逆方向トルクが生じた際においても歯面のバックラッシを補償することができ、歯車伝達機構の摩擦作用が高められることによって大きな磨耗が生じることも無い歯車駆動機構を提供することが望まれている。
ドイツ国特許出願公開第3901076号明細書(特許文献1)には互いに噛合する2枚の歯車の歯面のバックラッシの補償装置が記載されており、これによれば歯車のうちの一方に平行な歯車盤が接続しており、液圧式調節要素によって逆側歯車の駆動力を伝達していない歯面に着合するまで液圧によって支持されることを特徴としている。逆止め弁によって逆方向トルクが受容される。この装置において、歯のバックラッシを補償するために液圧式の調節要素は歯車盤と共に作用する歯車に外部で固定されている。
米国特許第4739670号明細書(特許文献2)には、他の歯車と噛合する歯車が円周方向に配置された3つのバネによって歯面バックラッシを補償するために相互に余荷重をかけられた2枚の歯車盤から形成される歯面バックラッシの補償装置が示されている。
本発明によれば、回転軸周りで相互に押し付けて取り付けられた2枚の歯車盤からなる歯車と少なくとも1枚の噛合する逆側歯車とを有し、噛合に際して生じる歯面のバックラッシの自動補償を備えており、歯車盤は逆止め弁を備えた少なくとも1つのピストン−シリンダユニットによって互いに対向して支持され、そのピストンが第1の歯車盤と共に作用してこれを付勢した際に他方の第2の歯車盤を回転方向に見て後方の歯面によって逆側歯車と接合させる歯車駆動機構において、少なくとも1つの液圧式ピストン−シリンダユニットが第1の歯車盤と一体式に形成されていることを特徴とする。この場合、回転方向と逆向きに作用するトルクによって生じるピストンの逆方向動作が逆止め弁によって防止される。
この2枚の歯車盤からなる歯車が逆側歯車と噛合すると、歯車盤の少なくとも1本の歯が逆側歯車の歯溝に係合する。押し付けによって生じる両方の歯車盤間の互いに逆行する回転は、両方の歯車盤の歯が歯溝の側面に対して応力をもって着合するまでの間のみ行われる。両方の歯車盤の押し付けは、ピストン−シリンダユニットの液体圧力媒体を介して付勢されるピストンのピストン圧力によって達成される。逆方向トルクが生じると、これに伴ったピストンの逆行動作が逆止め弁によって防止され、逆方向トルクは押し付けて取り付けられた歯車盤によって歯面のバックラッシを伴わずに伝達される。
この際に特に好適な点は、本発明に係る歯車駆動機構によって歯面バックラッシを伴わずに伝達される逆方向トルクの大きさが逆止め弁によってのみ制限されることである。加えて、歯車盤の歯面が逆側歯車の歯溝の側面に対して逆向きの面接触を形成するために充分な応力をもって接合すれば充分である。従って、従来の技術とは異なって、それぞれの歯面が歯面バックラッシを伴わずに大きな逆方向トルクを伝達するために充分な応力をもって接合する必要はない。加えて、ピストン圧力は液体圧力媒体を介して制御することができる。
本発明によれば、存在している歯面のバックラッシの自動補償を両方の歯車盤の押し付けによって達成することが特に好適である。このことは、例えば熱膨張または磨耗による縮小等によって歯面バックラッシが時間変化する際にも特に有効である。
本発明によれば、1つの歯車盤(“主輪”)歯車の軸方向において特定されている歯幅が他方の歯車盤(“補償輪”)のものよりも大きくなれば特に好適である。ここで主輪は駆動あるいは被駆動歯車として機能する。補償輪は歯面バックラッシの補償および歯面バックラッシを伴わない逆方向トルクの伝達を行うよう機能する。
次に、本発明の実施例につき添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
まず、図1および図2を参照する。図1には相互に押し付けて軸上に取り付けられた2枚の歯車盤を有する歯車の半径方向断が示されており;図2にはその軸方向断面が示されている。歯車は2つの歯車盤1,2から構成されている。1枚の歯車盤1(“主輪”)のみが軸3上に固定的に取り付けられており、他方の歯車盤2(“補償輪”)は軸3上に固定されている歯車盤1の切欠き部内に取り付けられている。歯車盤1と歯車盤2とは相互に回転させることができる。
主輪1はその外側周囲部上に歯10を備えており、補償輪2はその外側周囲部上に歯11を備えている。歯車盤1,2の歯10,11が合わさって歯車の歯が形成されている。
軸3に固定的に取り付けられている主輪1の各切欠き部内に均等な間隔で3つのピストン−シリンダユニット5が設けられている。ピストン−シリンダユニット5の各ピストン6は、それを付勢した際に補償輪2が回転方向に見て後方の歯面をもって逆側歯車に着合するように作用する。
ピストン6の付勢は液体圧力媒体を介して行われる。逆方向の歯面接触において作用する応力は液圧式ピストン−シリンダユニット5のピストン圧力に従ったものとなる。これは、ピストン6を付勢する液体圧力媒体を介して制御することができる。
歯車駆動機構内において、主駆動または被駆動トルクは軸3上に固定式に取り付けられた主輪1とその歯10を介して直接的に逆側歯車10に伝達される。逆側歯車の歯溝内における主輪1と補償輪2の間の押し付けによって逆方向トルクも歯面バックラッシを伴わずに伝達される。逆方向トルクの発生下における押し付けて取り付けられた歯車盤1,2のロッキングは逆止め弁7によって達成される。ピストン6の逆転動作は逆方向トルクの大きさに関係なく防止される。歯面バックラッシを伴わずに伝達される逆方向トルクの大きさは逆止め弁の強度によってのみ制約される。
液体圧力媒体によるピストン−シリンダユニット5の作動のために、軸3は外部供給管8を備えており、これは歯車部材1の高さにおいて環状溝9内に流入している。この環状溝9は歯車部材1内に設けられた供給管12と通流を可能にするように結合され、これによって液体圧力媒体がピストン−シリンダユニット5に供給される。
次に図3を参照すると、主輪1と補償輪2(図中において左側)とからなる歯車と逆側歯車4とを有する歯車駆動機構が示されている。下側の図は半径方向断面、上側の図は軸方向断面を示している。図示された実施例によれば、歯車の軸方向において主輪1の歯10と補償輪2の歯11の歯幅はその比率が約3:1となるように選択される。通常の歯車駆動機構の使用において生じる主トルクは軸上に固定的に取り付けられた主輪1とそのより幅広の歯10を介して逆側歯車4に伝達される。逆方向トルクが発生すると、これはより幅の狭い歯11を有する補償輪を介して歯面バックラッシを伴わずに伝達される。
最後に、図4には、締2枚の付けられた歯車盤を中間輪として有し、2枚の逆側歯車4,4′と噛合する歯車の適用が示されている。主輪1の歯10と補償輪2の歯11の歯幅は略等しいものとなる。これらの10,11の歯幅が略等しいため、図4に示された歯車駆動機構は回転方向が変化する逆転性トルクの伝達に適している。
以上、平歯の歯車駆動機構に関して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、平歯、はす歯、やま歯、またはかさ歯、ならびにラック歯車を有する歯車駆動機構に適用可能であり、一般的に歯刻みされた要素のうちの1つが固定式に軸上に取り付けられた歯車駆動機構に適用することができる。
本発明に係る歯車駆動機構において押し付けて取り付けられた2枚の歯車盤からなる歯車は駆動または被駆動輪として使用することができる。駆動輪としては、例えば内燃エンジンのクランク軸上に取り付けられる。さらに、負荷がかからずに回転する遊び車として適用することもできる。
本発明に係る歯車駆動機構は、例えば内燃エンジンのオイルポンプまたは弁を駆動するために使用することができる。
Claims (1)
- 回転軸周りで相互に押し付けられた2枚の歯車盤(1,2)からなる歯車と少なくとも1枚の噛合する逆側歯車(4)とを有し、噛合に際して生じる歯面のバックラッシの自動補償を備えており、歯車盤(1,2)は逆止め弁(7)を備えた少なくとも1つのピストン−シリンダユニット(5)によって互いに対向して支持され、そのピストン(6)が第1の歯車盤(1)と共に作用してこれを付勢した際に他方の第2の歯車盤(2)をその回転方向に見て後方の歯面によって逆側歯車(4)と接合させ、回転方向と逆向きのトルクの作用下におけるピストン(6)の逆方向動作を逆止め弁(7)によって防止する歯車駆動機構において、少なくとも1つの液圧式ピストン−シリンダユニット(5)が第1の歯車盤(1)と一体式に形成されていることを特徴とする歯車駆動機構。
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