JP2005516177A - 排ガス熱伝達体 - Google Patents

Abstract

【課題】排ガス用の熱伝達体を温度に基づく応力を簡単な措置で補償し、すなわち材料の許容できない応力が回避されるように改良する。
【解決手段】ガス状の媒体によって貫流され、かつ液状の冷媒が回りを流れ、そのパイプのパイプ端部がパイプ底内に収容されて、材料結合によってそのパイプ底と結合されている、パイプ束と、パイプ束を包囲するハウジングジャケットを有し、前記ハウジングジャケットは端部側においてパイプ底と材料結合で結合されており、かつ冷媒によって貫流され、その場合にパイプ（５）、パイプ底（３、７）およびハウジングジャケット（２）は、熱と腐食に強い金属合金から形成されている、熱伝達体、たとえば自動車のための排ガス熱伝達体において、ハウジングジャケット（２）は、少なくとも１つの一周する伸張ビード（４）を有している。

Description

本発明は、熱伝達体、特に自動車のための排ガス熱伝達体、たとえばガス状の媒体によって貫流され、かつ液状の冷媒が回りを流れ、そのパイプのパイプ端部がパイプ底内に収容されて、材料結合によってそのパイプ底と結合されている、パイプ束と、パイプ束を包囲するハウジングジャケットとを有し、前記ハウジングジャケットは端部側においてパイプ底と材料結合で結合されており、かつ冷媒によって貫流され、その場合にパイプ、パイプ底およびハウジングジャケットは、熱と腐食に強い金属合金から形成されている、熱伝達体、特に自動車のための排ガス熱伝達体に関する。さらに、本発明は、排ガス熱伝達体のハウジングジャケットを形成する方法に関する。

ＤＥ−Ａ１９９０７１６３によって知られた排ガス熱伝達体においては、パイプ束は自動車の内燃機関の排ガスによって貫流され、外側においては、内燃機関の冷媒循環から取り出される冷媒によって冷却される。排ガスクーラーと称される、この種の排ガス熱伝達体は、現在では排ガスを冷却するための排ガス還流（ＡＧＲ）において使用される。既知の排ガスクーラーにおいては、パイプ束のパイプ端部はそれぞれパイプ底内へ溶接され、すなわち固定的かつ密にこれらパイプ底と結合されている。パイプ底自体も、パイプ束を包囲するハウジングジャケットと溶接されている。ハウジングジャケットは、冷媒流入開口部と冷媒流出開口部を有し、かつ冷媒によって貫流される。この種の排ガスクーラーを駆動する場合に、排ガスパイプは内側において熱い排ガスによって貫流され、外側には冷媒が流れる。この冷媒は、ハウジングジャケットの内側にも流れる。従って排ガスパイプは、ハウジングジャケットよりもずっと高い温度に達し、それによって排ガスパイプとハウジングジャケットの間には異なる伸張が生じる。それが熱応力をもたらし、すなわちパイプ内の圧応力とハウジングジャケット内の引張り応力をもたらす。パイプは、パイプ底を押し、パイプ／底結合またはパイプ底／ハウジング結合の変形をもたらし、すなわち排ガスクーラーが密でなくなる可能性がある。

従ってすでにＥＰ−Ａ０９３０４２９の同様な排ガスクーラーにおいて、いわゆるスライドシートが提案され、すなわちパイプの束は固定軸受と可動軸受を有する排ガスクーラーのハウジング内に配置されており、すなわちパイプはパイプ底がハウジング内に滑り移動するように軸承されていることにより、阻止されずに伸張することができる。それによって熱応力は回避されるが、もちろんこの種のスライドシートのためには構造的コストの増大が必要である。さらにスライドシートのシールが十分でない場合には冷媒が排ガス内へ、あるいは排ガスが冷媒内へ達する危険がある。
ドイツ公開公報ＤＥ−Ａ１９９０７１６３ 欧州特許公開公報ＥＰ−Ａ０９３０４２９

本発明の課題は、冒頭で挙げた種類の熱伝達体、すなわち「ガス状の媒体によって貫流され、かつ液状の冷媒が回りを流れ、そのパイプのパイプ端部がパイプ底内に収容されて、材料結合によってそのパイプ底と結合されている、パイプ束と、パイプ束を包囲するハウジングジャケットとを有し、前記ハウジングジャケットは端部側においてパイプ底と材料結合で結合されており、かつ冷媒によって貫流され、その場合にパイプ、パイプ底およびハウジングジャケットは、熱と腐食に強い金属合金から形成されている、熱伝達体、たとえば自動車のための排ガス熱伝達体」を、温度に基づく応力を簡単な措置で補償し、すなわち材料の許容できない応力が回避されるように改良することである。

この課題の解決は、この分野の熱伝達体について請求項１に記載の特徴から得られる。ハウジングジャケットには少なくとも１つの一周する伸張ビードが設けられている。このビードは、ハウジングジャケットにパイプの長手方向に十分な弾性を与えるので、ハウジングジャケットは弾性的な伸張によって排ガスパイプのより強い伸張に追従することができ、その場合にパイプと底および底とハウジングの間に許容できない変形または損傷がもたらされることはない。伸張ビードは、さらに簡単に、すなわち本質的に大きいコストなしで形成することができ、かつシールの問題をもたらすことはない。また、−弾性を増加させ、ないしはばね変位距離を増大させるために−じゃばらの形式に従って多数の伸張ビードを設けることも可能である。

本発明の好ましい形態によれば、ハウジングジャケットは一体的に、たとえば溶接されたパイプから形成され、その場合にこのパイプは非円形の断面、たとえば矩形の断面を有することもできる。

本発明の他の好ましい形態によれば、伸張ビードは、ハウジングジャケットのいわゆる内部高圧変形（ＩＨＵ）によって形成される。ハイドロフォーミングとも称される、ＩＨＵは、それ自体知られた方法であって、その方法においては閉鎖されたハウジング部分が液状の圧力媒体（水）によって「ふくらまされる」。変形すべきハウジングは、適切な輪郭の工具型内へ挿入されて、その後内側から圧力液によって、ハウジングの材料が工具の輪郭に添接するように、圧力を供給される。

本発明の他の好ましい形態によれば、伸張ビードはさらに、すなわち第１段階でＩＨＵによって前成形されたビードが形成された後に、軸方向の圧縮によって形成される。

本発明の他の好ましい形態においては、ハウジングジャケットのための寸法、特にその材厚と伸張ビードの寸法が記載され、それらの寸法は特に効果的であり、かつ応力が発生した場合にハウジングジャケットの所望の弾性をもたらす。その場合に、ハウジングジャケットの材料は、伸張ビードを形成する際に過度に伸張せず、予め定められた強度が達成されることも保証される。

そして、本発明の好ましい形態によれば、排ガス熱伝達体のハウジングジャケット内に伸張ビードを簡単かつコスト的に好ましく形成することを可能にする方法が設けられている。伸張ビードは、この方法によれば、２つのステップにおいて形成され、すなわちまず、内部高圧変形によって、まだ最終的な形状、特にまだ最終的な高さ（外側寸法）を持たない、前成形されたビードが形成される。第２の処理ステップにおいては、ハウジングジャケットが軸方向に圧縮され、それによって前成形されたビードの材料がさらに外側へ流れ、伸張ビードは今度はその最終的な形状を得る。この２段階の処理によって、材料の過剰応力が回避され、同時に所定の弾性を有する伸張ビードの定められた輪郭が得られる。この方法は、ハウジングジャケットのために特に簡単に使用可能であって、排ガス熱伝達体の構造の変化をもたらさない。

発明を実施するための形態

本発明の実施例を図面に示し、以下で詳細に説明する。

図１は、自動車のためのディーゼルエンジンにおいて排ガス還流のために排ガスクーラーとして使用されるような、排ガス熱伝達体１の一部を斜視図で示している。前方の半分だけ示されている、排ガス熱伝達体１は、ハウジングジャケット２とパイプ底３を有しており、その中には図示されていない排ガスパイプが収容されている。斜めにカットされた角部を備えたほぼ矩形の横断面を有する、ハウジングジャケット２の前方領域内に、一周する伸張ビード４が配置されている。この排ガス熱伝達体１を以下で詳細に説明し、その場合に同一の部分には同一の参照符号が使用される。

図２は、排ガス熱伝達体１を縦断面で概略的に示している。ハウジングジャケット２は、特殊鋼からなる、閉鎖された、すなわち溶接されたパイプから形成されている。このハウジングジャケット２の内部に、多数の排ガスパイプ５からなる、パイプ束が配置されている。これら排ガスパイプ５は、同様に、特に熱に強くかつ耐腐食性の特殊鋼合金から形成されている。排ガスパイプ５の横断面は、−図１のパイプ底３の形成に基づいて明らかなように−好ましくは矩形である。排ガスパイプ５は互いに対して、間に等間隔の間隙６が残されて、その間隙を通して液状の冷媒、すなわち図示されていない内燃機関の冷却循環の冷媒が流れるように、配置されている。排ガスパイプ５の端部５ａ、５ｂは、パイプ底３と他のパイプ底７内に収容されており、かつこれらパイプ底３、７と密に溶接されている。パイプ底３、７自体は、その周面領域３ａ、７ａにおいてハウジングジャケット２と溶接されている。従ってハウジングジャケット２、パイプ底３、７および排ガスパイプ５によって、冷媒を流すために定められた空間が画成される。ハウジングジャケット２は、その端面側の領域２ａと２ｂにおいてその横断面に関してやや拡幅されているので、ハウジングジャケットはそこでパイプ束の回りにそれぞれ環状通路８と９を形成している。この領域内で冷媒は図示されていない冷媒入口を通って流入し、排ガスパイプ５の間の等間隔の間隙６を貫流し、第２の環状空間９へ達し、そこから冷媒は図示されていない冷媒出口を通って排ガス熱伝達体を出て行く。その限りにおいて、この排ガス熱伝達体は、たとえば冒頭で挙げた共同出願人の公報によって、知られている。この公報からは、さらに、ここには図示されていないディフューザないし流出スリーブを介しての排ガスの供給および排出が明らかにされる。

本発明によれば、ハウジングジャケット２に伸張ビード４が配置されている。図１においても全周面を一周するビードとして認識できる、この伸張ビード４は、それ自体ほとんど弾性的でないハウジングジャケット２に排ガスパイプ５の長手方向における弾性を与え、それがハウジングジャケットに、排ガスパイプ５のより強い伸張に追従することを許す。その内側を熱い排ガスによって貫流される、排ガスパイプ５は、駆動の間、冷媒によって洗われるハウジングジャケット２よりも高い温度を吸収し、従ってハウジングジャケットよりも強く「成長」する。従って排ガスパイプ５内には圧応力が発生し、その圧応力はパイプ底３、７へ進み、これらから溶接継ぎ目を介してハウジングジャケット２へ伝達されて、そのハウジングジャケット内でその後引張り応力が構築される。この引張り応力は、伸張ビード４の弾性によって吸収されるので、許容できない変形または損傷がもたらされることはない。

図３は、ハウジングジャケット２の横断面を、すなわちパイプ束の表示なしで、示している。ハウジングジャケット２は、それぞれ２つの平行な比較的長い側面１０と１１および幾分短い対向する側面１２と１３を備えた、ほぼ矩形の横断面を有している。隣接する短い側面と長い側面１２／１０、１０／１３、１３／１１、１１／１２の移行領域には、断面全体を補強するために長手ビード１５、１６、１７、１８が形成されている。これらビードの１つは、図１においても−そこでは符号１４で示されている−はっきりと見られる。伸張ビード４は、図面平面の後方へ幾分変位しており、ハウジングジャケット４の断面全体を包囲し、すなわち一周して形成されている。

この伸張ビード４の横断面と寸法は、図４に示されている。ハウジングの材厚は、符号ｓで示されており、ｓ≒１．５ｍｍである。ビード４は、ｂ≒６ｍｍの幅を有し、かつｈ≒６ｍｍの高さを有している。ビードは、さらに、２つの移行半径Ｒ１とＲ２によって特徴づけられ、それら移行半径はほぼ材厚に相当し、従って１．５ｍｍの領域にある。ビードの最も外側の部分は、Ｒ３≒１．５ｍｍの内側半径、従ってほぼ材厚ｓによって特徴づけられている。これらの半径によって、形成する場合にも、駆動の場合にも、許容できない伸張または応力ピークが発生しないことが保証される。

図５は、ハウジングジャケット２に伸張ビード４を形成するための第１の処理ステップを示している。ハウジングジャケット２は、ここでは部分２０によって示されている。ハウジングジャケット２０は、２つの工具ハーフ２１と２２内へ挿入され、それら工具ハーフ間には中空室２３が設けられており、その中空室は好ましくは挿入工具２３’によって外側へ向かって閉鎖されている。ハウジングジャケット２０は、矢印ｐで示すように、内側からハイドロフォーミングによって、ないしはＩＨＵによって圧力を供給されるので、ハウジングジャケット２０は中空室２３の領域において高さｈ１まで外側へ変形し、ビード形状の前形状２４をとる。この予備的に成形されたビード２４は、２つの工具ハーフ２１と２２の間の中空室２３に従って、幅ｂ１を有している。

図６は、伸張ビード４を形成するための第２の処理ステップを示しており、−そこではハウジングジャケット２０は軸方向に移動可能な工具２５と２６の間に配置されている。ハウジングジャケット２０は、図５に示すハイドロフォーミングの後に、工具２５と２６により軸方向に、すなわち矢印Ｆに示すように圧縮されるので、ビードの幅がｂ１（図５）からｂに減少して、高さｈ１（図５）がｈへ増大する。軸方向に圧縮するこの処理ステップの後に、ビードはその高さと幅に関して最終的な形状を得、すなわちビードは２つの互いに連続する、異なった処理ステップにおいて形成される。

２つの処理ステップは、工具内で実施することができ、その場合に挿入工具で加工する限りにおいて、第２の処理ステップのために、この種の挿入工具２３’を取り出さなければならない。しかし、２つの処理ステップを多数の工具内で、あるいは１つの連続工具内で実施することも可能である。

排ガス熱伝達体の一部を示す斜視図である。 排ガス熱伝達体の縦断面図である。 排ガス熱伝達体のハウジングジャケットを示す横断面図である。 ハウジングジャケットの伸張ビードの詳細を示している。 伸張ビードを形成する第１の処理ステップを説明している。 伸張ビードを形成する第２の処理ステップを説明している。

符号の説明

１ 排ガス熱伝導体
２、２０ ハウジングジャケット
３、７ パイプ底
４ 伸張ビード
５ 排ガスパイプ
６ 間隙
８、９ 環状通路
２１、２２ 工具ハーフ
２３ 中空室
２４ ビードの前形状
２５、２６ 工具

Claims (13)

1. ガス状の媒体によって貫流され、かつ液状の冷媒が回りを流れ、そのパイプのパイプ端部がパイプ底内に収容されて、材料結合によってそのパイプ底と結合されている、パイプ束と、
   パイプ束を包囲するハウジングジャケットと、
   を有し、前記ハウジングジャケットは端部側においてパイプ底と材料結合で結合されており、かつ冷媒によって貫流され、その場合にパイプ（５）、パイプ底（３、７）およびハウジングジャケット（２）は、熱と腐食に強い金属合金から形成されている、熱伝達体、たとえば自動車のための排ガス熱伝達体において、
   ハウジングジャケット（２）は、少なくとも１つの一周する伸張ビード（４）を有していることを特徴とする熱伝達体。
2. ハウジングジャケット（２）は、一体的に形成されていることを特徴とする請求項１に記載の熱伝達体。
3. ハウジングジャケット（２）は、溶接されたパイプから形成されていることを特徴とする請求項１または２に記載の熱伝達体。
4. ハウジングジャケットは、非円形の断面（１０、１１、１２、１３）を有していることを特徴とする請求項１、２または３に記載の熱伝達体。
5. 伸張ビード（４）は、ハウジングジャケット（２）の内部高圧変形（ＩＨＵ）によって形成されていることを特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載の熱伝達体。
6. 伸張ビード（４）は、ハウジングジャケット（２）を軸方向に圧縮することによって形成されていることを特徴とする請求項１から５のいずれか１項に記載の熱伝達体。
7. ハウジングジャケット（２）は、０．５≦ｓ≦２．５ｍｍ、好ましくはｓ≒１．５ｍｍの材厚を有していることを特徴とする請求項１から６のいずれか１項に記載の熱伝達体。
8. 伸張ビード（４）は、２≦ｈ≦１０ｍｍ、特にｈ≒６ｍｍの高さを有していることを特徴とする請求項７に記載の熱伝達体。
9. 伸張ビード（４）は、４≦ｂ≦８ｍｍ、特にｂ≒６ｍｍの幅を有していることを特徴とする請求項７または８に記載の熱伝達体。
10. 高さに対する幅の比は、ｂ：ｈ≒１であることを特徴とする請求項７、８または９に記載の熱伝達体。
11. ビード（４）は、Ｒ３≒ｓの曲げ半径を有していることを特徴とする請求項７から１０のいずれか１項に記載の熱伝達体。
12. 特に非円形の断面を有する、パイプ形状のハウジングジャケット（２）内に伸張ビード（４）を形成する方法において、次の処理ステップ：
    −寸法にカットされたハウジングジャケット（２、２０）を用意し、
    −ハウジングジャケット（２、２０）をＩＨＵ工具（２１、２２、２３）内へ挿入して、工具を閉鎖し、
    −工具とハウジングジャケット（２、２０）に液状の圧力媒体を充填し、
    −内部高圧の構築によってハウジングジャケット（２、２０）を変形させて、ビードの前形状（２４）を形成し（第１の処理ステップ）、
    −内部高圧を崩壊させ、かつ
    −第２の処理ステップにおいてハウジングジャケット（２、２０）を軸方向に圧縮することにより、伸張ビード（４）の最終形状を形成する、
    ことを特徴とする方法。
13. −ビードの前形状（２４）を形成する、第１の処理ステップと、
    −ハウジングジャケット（２、２０）を軸方向に圧縮する、第２の処理ステップが、
    １つの工具内で実施されることを特徴とする請求項１２に記載の方法。
    
    

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