JP2005515183A - ホトクロミックオキサジン化合物およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
100mlの三口フラスコ内に固体状KOH(3.30g、0.05モル)と25mlのアセトニトリルをアルゴン下で装入し、次いで加熱還流した。アセトニトリル20ml中のベンゾフェノン(9.1g、0.05モル)を撹拌下に続々と添加した。8時間還流した後、熱反応溶液を砕氷100gに注ぎ、ジクロロメタン(3×15ml)で抽出した。結合した有機抽出物を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。溶媒を除去し、残滓をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(エーテル−ヘキサン1:5を溶離液とした)により生成して7.9gの無色の油を得た(収率:77%)。1 HNMRから、生成物は3,3−ジフェニル−アクリロニトリルと一致する構造を有することが判った。
1 HNMR(CDC13 ):δ5.75(s,1H),7.27−7.50(m,10H)
工程1において生成された3,3−ジフェニル−アクリロニトリル(5.76g、2.81ミリモル)と水酸化ナトリウム(11.2g、280ミリモル)をエチレングリコール180mlと水1mlの混液中で3日間還流した。反応混合物を冷却し、水100mlで希釈し、pHが<1となるまで5M塩酸で酸性化し、吸引濾過し、水で完全に洗浄した。この固体ペーストを酢酸エチルに溶解し、希塩酸で洗浄した。有機層を分離し、水槽を酢酸エチルで2度抽出した。結合した酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。溶媒を全体積が約40mlになるまで真空下で除去した。この溶液を短いシリカゲルカラムを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄した。真空下で溶媒を除去した後、残滓を少量のヘキサン−酢酸エチル(4:1)で滴定し、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶した。無色血漿(5.34g)を得た(収率:84.8%)。1 HNMRから、生成物は3,3−ジフェニル−アクリル酸と一致する構造を有することが判った。
1 HNMR(CDC13 ):
δ6.38(s,1H),7.24−7.35(m,1H),7.40−7.46(m,3H)
アクリル酸(225mg、1ミリモル)を乾燥ベンゼン(4ml)に懸濁した懸濁液を過剰の塩化チオニル(0.20ml)とともに2時間還流した。減圧下、溶媒と過剰の塩化チオニルを除去すると、必要な3,3−ジフェニル−アクリル酸クロライドが得られた。このアシルクロライドを乾燥THF(2.5ml)中に入れ0℃に冷却し、アジ化ナトリウム(130mg、2ミリモル)の水(2ml)溶液で処理した。混合物を0℃で2時間撹拌してから水(10ml)を添加した。この混合物をエーテル(2×10ml)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
沃化トリメチルスルホキシニウム(1.12g、5ミリモル)とtert−ブトキシ化カリウム(0.59g、5ミリモル)をDMSO(10ml)中、室温で10分間撹拌した。ベンゾフェノン(0.77g、4.2ミリモル)を添加し、混合物を40℃で24時間撹拌した後、冷却し、砕氷と水を添加し、エーテル(3×15ml)で抽出した。結合したエーテル溶液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。溶媒を除去してほとんど1,1−ジフェニルオキシランを含む淡黄色の油が得られた。これを精製せずに工程2で直接用いた。
1 HNMR(CDCl3 ):δ3.29(s,2H),7.30−7.40(m,10H)
工程1で得られた油をアジ化ナトリウム(0.36g、5.5ミリモル)と塩化リチウム(0.32g、7.5ミリモル)とともにDMF(20ml)中で窒素下80℃で24時間撹拌し、冷却し、水(20ml)を添加し、混合物をエーテル(3×20ml)で抽出した。結合したエーテル溶液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。真空下、溶媒を除去した後、残滓をシリカゲル(ジクロロメタン−ヘキサン1:2を溶離液とした)上クロマトグラフィーにより精製した。無色油(0.64g)が得られた。近赤外スペクトルは2100cm-1に強い吸収を示した。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ2.91(s,2H),4.02(s,2H),7.27−7.45(m,10H)
13CNMR(CDCl3 ):
1 HNMR(CDCl3 ):
δ60.4,78.2,126.3,127.8,128.5,143.8
工程2で得られた2−アジド−1,1−ジフェニルメタノール(160mg、0.67ミリモル)、塩化チオニル(0.2ml)およびピリジン(2ml)を2時間還流した。冷却後、水(10ml)を氷冷下、反応混合物に注意深く添加し、エーテル(3×5ml)で抽出した。結合したエーテル溶液を4M塩酸、水および食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。溶媒を除去して黄色油(120mg)を得た。近赤外スペクトルは2097cm-1に強い吸収を示した。1 HNMRから、得られた生成物は2−アジド−1,1−ジフェニルエチレンと一致する構造を有することが判った。
1 HNMR(CDCl3 ):δ6.69(s,1H),7.18−7.42(m,10H)
工程3で得られた2−アジド−1,1−ジフェニルエチレンの乾燥トルエン(5ml)混合物にトリフェニルホスフィン(157mg、0.6ミリモル)を室温窒素下に添加した。0.5時間撹拌した後、9,10−フェナンスレン−9,10−ジオン(104mg、0.5ミリモル)を添加した。混合物を80℃で一夜加熱した。シリカゲル(ジクロロメタン−ヘキサン1:1を溶離液とした)上クロマトグラフィーによりホトクロミック生成物が得られ、ジクロロメタン−ヘキサン/ヘキサンから淡黄色結晶(45mg)として再結晶された。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ7.24-7.29(m,6H),7.46-7.70(m,8H),8.12(s,1H),
8.43-8.52(m,1H),8.53-8.62(m,3H)
13CNMR(CDCl3 ):
δ79.5,122.5,122.7,122.8,123.0,125.1,126.9,126.9,
127.1,127.3,127.6,128.4,128.6,129.8,131.3,128.0,141.4,155.7
水素化ナトリウム(95%、0.507g、20ミリモル)の撹拌されたTHF(15ml)懸濁液にトリエチルホスホノアセテート(4.48g、20ミリモル)のTHF(20ml)溶液2ml〜3mlを添加した。エタノールの小液滴を添加して反応を開始させ、残りのトリエチルホスホノアセテート溶液を氷−水冷下に40分かけて滴下した。15分間撹拌した後、反応混合物を滴下ロートに移し、4−メトキシベンゾフェノン(4.38g、20ミリモル)のTHF(20ml)沸騰溶液に添加した。24時間還流した後、溶媒のほとんどを除去した。冷却した残滓に塩化ナトリウム飽和溶液(20ml)を添加し、ジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタンを除去して、1 HNMR(CDCl3 )により特徴付けられる、ほとんど(E)−および(Z)−3−p−メトキシフェニル−3−アクリル酸エチルエステルを含む淡黄色油(5.42g)を得た。これを精製せずに工程2において直接使用した。
工程1で得られた油をKOH(5.07g、メタノール(30ml))溶液中で還流下、1時間加水分解した。冷却した反応混合物を氷−水に注ぎ、希塩酸でpHが<1になるまで酸性化し、酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。結合した有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去し、残滓を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して白色固体を得た。母液をクロマトグラフィーにかけ、再結晶した。所望の生成物が白色固体として合計3.826g得られ、0.677gの未反応ケトンを回収した(収率:75.3%)。1 HNMRから、回収された生成物はほとんど(E)−および(Z)−3−p−メトキシフェニル−アクリル酸の混合物であることが判った。
3,3−ジフェニルアクリル酸の代わりに3−p−メトキシフェニル−3−アクリル酸(254.5mg、1ミリモル)を用いて9,10−フェナンスレンキノン(44mg、0.21ミリモル)およびトリフェニルアルセンオキシド(5mg)と反応させた以外は実施例1の工程3の手順を繰り返した。精査したところ、所望のホトクロミックオキサジン23.5mgが黄色結晶として得られた(収率:5.66%)。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ3.74(s,3H),6.84(d,2H,J=8.7Hz),7.29-7.42(m,5H),7.50-7.60(m,3H),
7.61-7.66(m,3H),8.07(s,1H),8.42-8.62(m,4H)
13CNMR(CDCl3 ):
δ55.2,79.4,114.0,122.5,122.7,122.8,122.8,122.9,125.1,125.2,126.8,126.9,
127.0,127.5,128.3,128.6,129.8,131.2,133.3,138.0,141.6,155.9.159.7
アニソール(11.9g、0.11モル)と塩化p−フルオロベンゾイル(97%、16.34g、0.1モル)のジクロロメタン(50ml)中混合物に塩化アルミニウム(14.67g、0.11モル)を氷−水冷下に少量ずつ添加した。添加後、反応混合物を室温で1時間撹拌し、砕氷(400g)と塩酸(20ml)の混合物に注ぎ、橙色が消失するまで撹拌した。この混合物をジクロロメタンで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、短いシリカゲルカラムに通し、ジクロロメタンで洗浄した。溶媒を除去し、残滓をジクロロメタン−ヘキサンから再結晶し、無色結晶21.96gを得た(収率:95.4%)。1 HNMRから、回収された生成物はp−フルオロフェニル−p−メトキシフェニルケトンのと一致する構造を有することが判った。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ3.89(s,3H),6.97(d,2H,J=8.7Hz),7.13(dd,2H,J=8.7Hz),7.76-7.84(m,4H)
ベンゾフェノンの代わりにp−フルオロフェニル−p−メトキシフェニルケトン(4.60g、20ミリモル)を使用し、反応時間を48時間とした以外は実施例1の工程1の手順を繰り返した。得られた油はほとんど(E)−および(Z)−3−p−フルオロフェニル−p−メトキシフェニル−アクリル酸エチルエステルの混合物を含んでおり、さらに精製することなく工程3に使用した。
工程2で得られた油をKOH(5.2g)とメタノール(30ml)の混合物中で80分間加水分解し、冷却し、溶媒を真空下で除去した。水(30ml)を添加し、混合物を吸引濾過し、水で洗浄した。濾液をエーテル(15ml)で抽出し、水層を分離し、4M塩酸でpHが<1となるまで酸性化した。この固体を濾過により集め、ジクロロメタン−ヘキサンから再結晶し、(E)−および(Z)−3−p−フルオロフェニル−p−メトキシフェニル−アクリル酸の混合物と一致する構造を持つ白色結晶4.8gを得た(収率:88.1%)。1 HNMRから、回収された生成物は(E)−および(Z)−3−p−フルオロフェニル−p−メトキシフェニル−アクリル酸と一致する構造を有することが判った。
3,3−ジフェニルアクリル酸の代わりに3−p−フルオロフェニル−p−メトキシフェニル−3−アクリル酸(272.5mg、1ミリモル)を用いて9,10−フェナンスレンキノン(60mg、28.8ミリモル)およびトリフェニルアルセンオキシド(5mg)と反応させた以外は実施例1の工程3の手順を繰り返した。精査したところ、所望のホトクロミックオキサジン75mgが黄色結晶として得られた(収率:17.3%)。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ3.74(s,3H),6.85(m,2H),7.04(m,2H),7.38(m,2H),7.46-7.60(m,3H),
7.62-7.70(m,3H),8.02(s,1H),8.43-8.47(m,1H),8.54-8.63(m,3H)
13CNMR(CDCl3 ):
δ55.2,79.0,114.0,115.3,115.6,115.6,122.6,122.7,122.8,125.0,125.0,125.1,
126.8,127.3,127.6,128.4,128.8,128.9,129.5,131.1,132.8,137.2,137.2,137.7,
155.4,159.6,164.1
水素化ナトリウム(0.48g、20ミリモル)の撹拌されたTHF(20ml)懸濁液にトリエチルホスホノアセテート(4.48g、20ミリモル)のTHF(25ml)溶液を窒素下、氷−水浴で冷却しながら滴下した。40分後、溶液を滴下ロートに移し、ビス(p−メトキシフェニル)ケトンの乾燥THF(20ml)還流溶液に20分かけて添加した。反応混合物を48時間還流し、次いで飽和塩化ナトリウム溶液(40ml)で加水分解した。水相をエーテル(3×70ml)で抽出した。結合した有機抽出物を乾燥し、濾過し、濃縮して残滓を得、これをクロマトグラフィーによりメチレンクロライド/ヘキサン(1:2)で溶離することにより精製した。無色油(4.23g)を得た(収率:67.8%)。1 HNMR(CDCl3 )から、回収された生成物は3,3−ビス(p−メトキシフェニル−アクリル酸エチルエステルと一致する構造を有していることが判った。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ1.16(t,3H,J=7.1Hz),3.81(s,3H),3.84(s,3H),4.07(q,2H,J=7.1Hz),6.22(s,1H),
6.84(d,2H,J=9.1Hz),6.90(d,2H,J=9.1Hz),7.15(d,2H,J=9.1Hz),7.24(d,2H,J=9.1Hz)
工程1で得られた3,3−ビス(p−メトキシフェニル−アクリル酸エチルエステル(4.23g、13.5ミリモル)をメタノール22ml中、水酸化カリウム(3.7g、66ミリモル)の存在下1時間還流下で加水分解した。冷却された反応混合物を氷−水(50ml)に注ぎ、希塩酸でpH<1となるまで酸性化した。得られた固体を濾過し、水で洗浄し、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶した。白色固体(3.6g)を得た(収率:93.78%)。1 HNMR(CDCl3 )から、回収された生成物は3,3−ビス(p−メトキシフェニル−アクリル酸と一致する構造を有していることが判った。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ3.82(s,3H),3.85(s,3H),6.22(s,1H),6.85(d,2H,J=9.0Hz),6.91(d,2H,J=8.7Hz),
7.17(d,2H,J=8.7Hz),7.24(d,2H,J=8.7Hz)
3,3−ジフェニルアクリル酸の代わりに3,3−ビス(p−メトキシフェニル)アクリル酸(284.3mg、1ミリモル)を用いて9,10−フェナンスレンキノン(43mg、0.2ミリモル)およびトリフェニルアルセンオキシド(5mg)と反応させた以外は実施例1の工程3の手順を繰り返した。精査したところ、所望のホトクロミックオキサジン8mgが黄色結晶として得られた(収率:1.8%)。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ3.75(s,6H),6.85(d,2H,J=8.7Hz),7.41(d,2H,J=9.1Hz),7.52-7.60(m,1H),
7.62-7.68(m,3H),8.03(s,1H),8.43-8.47(m,1H),8.54-8.63(m,3H)
13CNMR(CDCl3 ):
δ55.2,79.3,113.0,122.5,122.7,122.8,122.9,125.1,126.8,127.3,127.5,128.5,
129.8,131.2,133.5,156.1,159.7
Claims (11)
- Xは炭素または窒素であり、R1 、R2 、R3 、およびR4 はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ベンジル、ホルミル、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、アリール、アリール(C1 −C4 )アルキル、アリールオキシ、シクロ(C3 −C6 )アルキル、(C1 −C4 )アルコキシ、(C1 −C4 )アルコキシカルボニル、または環に5個または6個の炭素を有するヘテロ環窒素−含有置換基であり、n=1または2である請求項1に記載の化合物。
- 前記ヘテロ環窒素−含有置換基はピロリジノ、ピペリジン、またはモルホリノである請求項1または請求項2に記載の化合物。
- Xは炭素または窒素であり、R1 、R2 、R3 、およびR4 はそれぞれ独立に水素、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ、エトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ピペリジノ、モルホリノ、またはピロリジノである請求項2に記載の化合物。
- 2,2−ジフェニル−フェナンスロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−フェナンスロ(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)−フェナンスロ(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、および2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−フェナンスロ(9,10)−2H−[1,4]−オキサジンよりなる群から選ばれる化合物。
- 下式のイソシアネート誘導体
- 前記キノンは、置換または未置換9,10−フェナンスレン−9,10−ジオン、または置換または未置換9,10−1,10−フェナンスロリン−5,6−ジオンである請求項6に記載の方法。
- 前記加熱は約40℃〜約120℃で約2時間〜約24時間行われる請求項6に記載の方法。
- 式XIVのアザ−イリド化合物
- 前記キノンは、置換または未置換9,10−フェナンスレン−9,10−ジオン、または置換または未置換9,10−1,10−フェナンスロリン−5,6−ジオンである請求項9に記載の方法。
- 前記加熱は約60℃〜約120℃で約4時間〜約24時間行われる請求項9に記載の方法。
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