JP2005515183A - ホトクロミックオキサジン化合物およびそれらの製造方法 - Google Patents

ホトクロミックオキサジン化合物およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明はホトクロミックオキサジン化合物およびそれらの製造方法提供する。これらの化合物は有用なホトクロミック化合物である。本発明の化合物はオキサジン部分の2位に芳香族置換基を有する。

Description

本発明はオキサジン化合物に関する。特に、本発明はオキサジン化合物およびそれらの製造方法を提供し、これらの化合物はホトクロミック化合物として有用である。
種々の類のホトクロミック化合物が合成されており、太陽光により可逆的な色変化または暗化が誘発される用途における使用が示唆されている。例えば、スピロオキサジンおよびクロメン化合物は耐疲労性が優れていることが知られている。さらに、例えば米国特許第5,801,243号に開示されているようなホトクロミック2,2−二置換[2H−1,4]−ナフトオキサジン化合物が知られている。これらの化合物はクロメン化合物よりも耐疲労性がよいことが知られているものの、製造法が著しく限定されている点で不利である。従って、公知化合物の欠点を克服したさらなるホトクロミックオキサジン化合物に対する需要が存在する。
好適な実施の形態
本発明はオキサジン部分の2位に芳香族置換基を有するオキサジン化合物およびこれらの化合物の製造方法を提供する。
一実施の形態において、本発明は式I:
Figure 2005515183
(式中、Xは窒素または炭素であり、R1 、R2 、R3 、およびR4 は同一または異なって、かつそれぞれ独立に水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ベンジル、ホルミル、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、アリール、アリール(C1 −C4 )アルキル、アリールオキシ、シクロ(C3 −C6 )アルキル、(C1 −C18)アルコキシ、ハロ(C1 −C6 )アルコキシ、(C1 −C4 )アルコキシカルボニル、または環に5個または6個の炭素を有するヘテロ環窒素−含有置換基、例えば、限定されないが、ピロリジノ、ピペリジノおよびモルホリノであってもよく、n=1または2である)の化合物を含む、から本質的になる、およびからなる化合物を提供する。n=1のとき、フェニル部分またはピリジン部分には1個の置換基があり、R1 またはR2 はフェニル環のオルト、メタまたはパラ位に位置していてもよい。
好適な一実施の形態において、Xは炭素または窒素であり、R1 、R2 、R3 、およびR4 はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ベンジル、ホルミル、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、アリール、アリール(C1 −C4 )アルキル、アリールオキシ、シクロ(C3 −C6 )アルキル、(C1 −C4 )アルコキシ、(C1 −C4 )アルコキシカルボニル、または環に5個または6個の炭素を有するヘテロ環窒素−含有置換基例えば、限定されないが、ピロリジノ、ピペリジノおよびモルホリノであってもよく、n=1または2である。さらに好ましくは、Xは炭素または窒素であり、R1 、R2 、R3 、およびR4 はそれぞれ独立に水素、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ、エトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ピペリジノ、モルホリノ、またはピロリジノであり、かつn=1または2である。
さらに好適な一実施の形態において、本発明は2,2−ジフェニル−フェナンスロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−フェナンスロ(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)−フェナンスロ(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、または2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−フェナンスロ(9,10)−2H−[1,4]−オキサジンである化合物を提供する。
式Iの化合物は下記の反応式A〜反応式Eにより調製することができる。全ての反応について、R1 、R2 および“n”は上記定義と同じである。下式IVにより表されるベンゾフェノン類は市販されているか、または式IIの塩化ベンゾイルと式IIIのベンゼンを用いるフリーデル−クラフツ反応により調製することができる。フリーデル−クラフツ反応はジョージ エイ、オラー「フリーデル−クラフツ反応および関連反応」(第3巻、1964年)(George A., Olah,“Friedel-Crafts and Related Reactions”(Vol.3, 1964))に記載されている。
反応Aにおいて、式IIおよび式IIIにより表される化合物はジクロロメタンに溶解され、限定されないが、塩化アルミニウムを始めとするルイス酸の存在下で反応させて相当する置換ベンゾフェノンを形成する。
Figure 2005515183
式VIにより表される二置換アクリル酸は反応Bおよび反応Cに示す別の反応によって調製してもよい。反応Bにおいて、ベンゾフェノンは過剰量の水酸化ナトリウムの存在下にアセトニトリルと反応されて式Vの2,2−二置換アクリロニトリルを形成する。この方法はジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、第44(25)巻、第4640頁〜4649頁(1979年)(J.Org. Chem., 44(25), 4640〜4649(1979))に記載されている。エチレングリコール中、水酸化ナトリウムで加水分解し、酸性化した後、二置換アクリル酸を得ることができる。
あるいはまた、反応Cにおいて、テトラヘドロン、第52(31)巻、第10455頁〜10472頁(1996年)(Tetrahedron, 52(31)、 10455-10472(1996))に記載されているように、ベンゾフェノンを出発物質としてホーナー−エモンズ(Hornor-Emmons)反応を行ってもよい。得られた式VIIの3,3−二置換アクリル酸エチルエステルを加水分解して式VIにより表される二置換アクリル酸を形成してもよい。R1 、R2 および“n”は上記定義の通りである。
Figure 2005515183
Figure 2005515183
反応Dにおいて、3,3−二置換アクリル酸を塩化チオニルと反応させた後、アジ化ナトリウムと反応させて式VIIIのアジ化3,3−二置換ブト−2−エノイルを形成する。限定されないが、ベンゼンまたはトルエンを始めとする非極性溶媒中で加熱下、アジ化3,3−二置換ブト−2−エノイルは転位して式IXのイソシアネートを形成する。
Figure 2005515183
式Iのホトクロミックオキサジンの合成における重要な工程は反応Eに示されており、この反応Eでは式IXのイソシアネート誘導体が、限定されないが、置換もしくは未置換フェナンスレン−9,10−ジオンおよび式Xの置換もしくは未置換1,10−フェナンスロリン−5,6−ジオンを含む対称キノンと適当な有機溶媒中で触媒量のトリフェニルアルセンオキシドの存在下に穏やかな条件下で一般に約2時間〜約10時間の、反応を完了するのに十分な時間反応させられる。使用できる有機溶媒としては、限定されないが、ベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン(“THF”)、トルエン等およびこれらの組み合わせが挙げられる。反応温度はさまざまであるが、典型的には約40℃〜約120℃の範囲である。好適な一実施の形態では、ベンゼンまたはトルエンのような溶媒を用いて、反応を約50℃〜約110℃で約1時間〜約15時間行う。さらに好ましくは、溶媒はトルエンまたはベンゼンであり、反応は約60℃〜約80℃で約2時間〜約4時間行われる。
Figure 2005515183
あるいはまた、本発明のホトクロミックオキサジン化合物は反応Fおよび反応Gに示すように調製してもよい。これらの反応において、R1 、R2 および“n”は上記定義と同じである。反応Fにおいて、式IVのベンゾフェノンは、ジメチルスルホキシド(“DMSO”)中で沃化トリメチルスルホキシニウムおよびtert−ブトキシ化カリウムで処理することにより式XIの1,1−二置換エポキシドに転換される。この反応はジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、第62(19)巻、第6547頁〜6561頁(1997年)(J.Org. Chem., 62(19), 6547-6561(1997))に記載されている。二置換エポキシドをN,N−ジメチルホルムアミド(“DMF”)中、塩化リチウムの存在下、アジ化ナトリウムで処理すると、式XIIの置換2−アジド−1,1−二置換エチレンが形成される。
ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、第33(6)巻、第2411頁〜2416頁(1968年)(J.Org. Chem., 33(6), 2411-2416(1968))に記載の手順に従うと、2−アジド−1,1−二置換エチレンをピリジン中、塩化チオニルで処理することにより脱水すると式XIIIの2−アジド−1,1−二置換エチレンが得られる。引き続きこの2−アジド−1,1−二置換エチレンをトリフェニルホスフィンで処理することによりシュタウジンガー反応を行うと式XIVにより表されるイリドが形成される。
このイリドを任意の適当な溶媒中、式Xの対称キノンとともに反応を完了するのに十分な時間加熱すると、式Iの所望のオキサジンが得られる。使用する有機溶媒としては、限定されないが、ベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン等およびそれらの組み合わせが挙げられる。反応温度はさまざまであるが、典型的には約60℃〜約120℃の範囲であり、反応時間は約2時間〜約24時間である。好適な一実施の形態では、使用溶媒はベンゼンまたはトルエンであり、反応は約70℃〜約100℃で約5〜約5時間行われる。
Figure 2005515183
Figure 2005515183
本発明のオキサジンは有機ホトクロミック物質が典型的に用いられる任意の用途に使用することができ、これらの用途としては、限定されないが、眼科用レンズ、ウィンドウ、自動車の透明部品、ポリマーフィルム等が挙げられる。本発明のオキサジンは有機溶媒中でまたは有機ポリマーホスト中で用いることができる。有機溶媒は任意の適当な溶媒であってもよく、限定されないが、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、エチレングリコール、キシレン、シクロヘキサン、N−メチルピロリジノン等およびこれらの組み合わせが挙げられる。ホストポリマーはポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネートおよび酢酸セルロースのような透明ポリマーであってもよい。オキサジンの使用量はホトクロミック化合物または化合物の混合物が適用される、または導入される有機ホスト材料が所望の色、例えばフィルターをかけない太陽光で活性化されたときに実質的に中性の色を示すような量である。溶液またはポリマーマトリックス中で使用される光互変性化合物の量は所望の暗化の程度によって決まり、通常はホストポリマーの約0.001重量%〜約20重量%である。
本発明は下記の非限定的な実施例を考慮してさらに詳細に説明される。
工程1
100mlの三口フラスコ内に固体状KOH(3.30g、0.05モル)と25mlのアセトニトリルをアルゴン下で装入し、次いで加熱還流した。アセトニトリル20ml中のベンゾフェノン(9.1g、0.05モル)を撹拌下に続々と添加した。8時間還流した後、熱反応溶液を砕氷100gに注ぎ、ジクロロメタン(3×15ml)で抽出した。結合した有機抽出物を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。溶媒を除去し、残滓をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(エーテル−ヘキサン1:5を溶離液とした)により生成して7.9gの無色の油を得た(収率:77%)。1 HNMRから、生成物は3,3−ジフェニル−アクリロニトリルと一致する構造を有することが判った。
1 HNMR(CDC13 ):δ5.75(s,1H),7.27−7.50(m,10H)
工程2
工程1において生成された3,3−ジフェニル−アクリロニトリル(5.76g、2.81ミリモル)と水酸化ナトリウム(11.2g、280ミリモル)をエチレングリコール180mlと水1mlの混液中で3日間還流した。反応混合物を冷却し、水100mlで希釈し、pHが<1となるまで5M塩酸で酸性化し、吸引濾過し、水で完全に洗浄した。この固体ペーストを酢酸エチルに溶解し、希塩酸で洗浄した。有機層を分離し、水槽を酢酸エチルで2度抽出した。結合した酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。溶媒を全体積が約40mlになるまで真空下で除去した。この溶液を短いシリカゲルカラムを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄した。真空下で溶媒を除去した後、残滓を少量のヘキサン−酢酸エチル(4:1)で滴定し、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶した。無色血漿(5.34g)を得た(収率:84.8%)。1 HNMRから、生成物は3,3−ジフェニル−アクリル酸と一致する構造を有することが判った。
1 HNMR(CDC13 ):
δ6.38(s,1H),7.24−7.35(m,1H),7.40−7.46(m,3H)
工程3
アクリル酸(225mg、1ミリモル)を乾燥ベンゼン(4ml)に懸濁した懸濁液を過剰の塩化チオニル(0.20ml)とともに2時間還流した。減圧下、溶媒と過剰の塩化チオニルを除去すると、必要な3,3−ジフェニル−アクリル酸クロライドが得られた。このアシルクロライドを乾燥THF(2.5ml)中に入れ0℃に冷却し、アジ化ナトリウム(130mg、2ミリモル)の水(2ml)溶液で処理した。混合物を0℃で2時間撹拌してから水(10ml)を添加した。この混合物をエーテル(2×10ml)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
減圧下、溶媒を除去すると黄色油(200mg)が得られた。これを9,10−フェナンスレンキノン(146mg、0.7ミリモル)およびトリフェニルアルセンオキシド(16mg)とともに乾燥トルエン(12ml)中で80℃に一夜加熱した。クロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン−ヘキサン2:1を溶離液とした)とジクロロメタン−ヘキサンからの再結晶により、所望のホトクロミックオキサジン203mgが白色(わずかに淡黄色)結晶として得られた(収率:52.7%)。
工程1
沃化トリメチルスルホキシニウム(1.12g、5ミリモル)とtert−ブトキシ化カリウム(0.59g、5ミリモル)をDMSO(10ml)中、室温で10分間撹拌した。ベンゾフェノン(0.77g、4.2ミリモル)を添加し、混合物を40℃で24時間撹拌した後、冷却し、砕氷と水を添加し、エーテル(3×15ml)で抽出した。結合したエーテル溶液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。溶媒を除去してほとんど1,1−ジフェニルオキシランを含む淡黄色の油が得られた。これを精製せずに工程2で直接用いた。
1 HNMR(CDCl3 ):δ3.29(s,2H),7.30−7.40(m,10H)
工程2
工程1で得られた油をアジ化ナトリウム(0.36g、5.5ミリモル)と塩化リチウム(0.32g、7.5ミリモル)とともにDMF(20ml)中で窒素下80℃で24時間撹拌し、冷却し、水(20ml)を添加し、混合物をエーテル(3×20ml)で抽出した。結合したエーテル溶液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。真空下、溶媒を除去した後、残滓をシリカゲル(ジクロロメタン−ヘキサン1:2を溶離液とした)上クロマトグラフィーにより精製した。無色油(0.64g)が得られた。近赤外スペクトルは2100cm-1に強い吸収を示した。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ2.91(s,2H),4.02(s,2H),7.27−7.45(m,10H)
13CNMR(CDCl3 ):
1 HNMR(CDCl3 ):
δ60.4,78.2,126.3,127.8,128.5,143.8
工程3
工程2で得られた2−アジド−1,1−ジフェニルメタノール(160mg、0.67ミリモル)、塩化チオニル(0.2ml)およびピリジン(2ml)を2時間還流した。冷却後、水(10ml)を氷冷下、反応混合物に注意深く添加し、エーテル(3×5ml)で抽出した。結合したエーテル溶液を4M塩酸、水および食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。溶媒を除去して黄色油(120mg)を得た。近赤外スペクトルは2097cm-1に強い吸収を示した。1 HNMRから、得られた生成物は2−アジド−1,1−ジフェニルエチレンと一致する構造を有することが判った。
1 HNMR(CDCl3 ):δ6.69(s,1H),7.18−7.42(m,10H)
工程4
工程3で得られた2−アジド−1,1−ジフェニルエチレンの乾燥トルエン(5ml)混合物にトリフェニルホスフィン(157mg、0.6ミリモル)を室温窒素下に添加した。0.5時間撹拌した後、9,10−フェナンスレン−9,10−ジオン(104mg、0.5ミリモル)を添加した。混合物を80℃で一夜加熱した。シリカゲル(ジクロロメタン−ヘキサン1:1を溶離液とした)上クロマトグラフィーによりホトクロミック生成物が得られ、ジクロロメタン−ヘキサン/ヘキサンから淡黄色結晶(45mg)として再結晶された。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ7.24-7.29(m,6H),7.46-7.70(m,8H),8.12(s,1H),
8.43-8.52(m,1H),8.53-8.62(m,3H)
13CNMR(CDCl3 ):
δ79.5,122.5,122.7,122.8,123.0,125.1,126.9,126.9,
127.1,127.3,127.6,128.4,128.6,129.8,131.3,128.0,141.4,155.7
工程1
水素化ナトリウム(95%、0.507g、20ミリモル)の撹拌されたTHF(15ml)懸濁液にトリエチルホスホノアセテート(4.48g、20ミリモル)のTHF(20ml)溶液2ml〜3mlを添加した。エタノールの小液滴を添加して反応を開始させ、残りのトリエチルホスホノアセテート溶液を氷−水冷下に40分かけて滴下した。15分間撹拌した後、反応混合物を滴下ロートに移し、4−メトキシベンゾフェノン(4.38g、20ミリモル)のTHF(20ml)沸騰溶液に添加した。24時間還流した後、溶媒のほとんどを除去した。冷却した残滓に塩化ナトリウム飽和溶液(20ml)を添加し、ジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタンを除去して、1 HNMR(CDCl3 )により特徴付けられる、ほとんど(E)−および(Z)−3−p−メトキシフェニル−3−アクリル酸エチルエステルを含む淡黄色油(5.42g)を得た。これを精製せずに工程2において直接使用した。
工程2
工程1で得られた油をKOH(5.07g、メタノール(30ml))溶液中で還流下、1時間加水分解した。冷却した反応混合物を氷−水に注ぎ、希塩酸でpHが<1になるまで酸性化し、酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。結合した有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去し、残滓を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して白色固体を得た。母液をクロマトグラフィーにかけ、再結晶した。所望の生成物が白色固体として合計3.826g得られ、0.677gの未反応ケトンを回収した(収率:75.3%)。1 HNMRから、回収された生成物はほとんど(E)−および(Z)−3−p−メトキシフェニル−アクリル酸の混合物であることが判った。
工程3
3,3−ジフェニルアクリル酸の代わりに3−p−メトキシフェニル−3−アクリル酸(254.5mg、1ミリモル)を用いて9,10−フェナンスレンキノン(44mg、0.21ミリモル)およびトリフェニルアルセンオキシド(5mg)と反応させた以外は実施例1の工程3の手順を繰り返した。精査したところ、所望のホトクロミックオキサジン23.5mgが黄色結晶として得られた(収率:5.66%)。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ3.74(s,3H),6.84(d,2H,J=8.7Hz),7.29-7.42(m,5H),7.50-7.60(m,3H),
7.61-7.66(m,3H),8.07(s,1H),8.42-8.62(m,4H)
13CNMR(CDCl3 ):
δ55.2,79.4,114.0,122.5,122.7,122.8,122.8,122.9,125.1,125.2,126.8,126.9,
127.0,127.5,128.3,128.6,129.8,131.2,133.3,138.0,141.6,155.9.159.7
工程1
アニソール(11.9g、0.11モル)と塩化p−フルオロベンゾイル(97%、16.34g、0.1モル)のジクロロメタン(50ml)中混合物に塩化アルミニウム(14.67g、0.11モル)を氷−水冷下に少量ずつ添加した。添加後、反応混合物を室温で1時間撹拌し、砕氷(400g)と塩酸(20ml)の混合物に注ぎ、橙色が消失するまで撹拌した。この混合物をジクロロメタンで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、短いシリカゲルカラムに通し、ジクロロメタンで洗浄した。溶媒を除去し、残滓をジクロロメタン−ヘキサンから再結晶し、無色結晶21.96gを得た(収率:95.4%)。HNMRから、回収された生成物はp−フルオロフェニル−p−メトキシフェニルケトンのと一致する構造を有することが判った。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ3.89(s,3H),6.97(d,2H,J=8.7Hz),7.13(dd,2H,J=8.7Hz),7.76-7.84(m,4H)
工程2
ベンゾフェノンの代わりにp−フルオロフェニル−p−メトキシフェニルケトン(4.60g、20ミリモル)を使用し、反応時間を48時間とした以外は実施例1の工程1の手順を繰り返した。得られた油はほとんど(E)−および(Z)−3−p−フルオロフェニル−p−メトキシフェニル−アクリル酸エチルエステルの混合物を含んでおり、さらに精製することなく工程3に使用した。
工程3
工程2で得られた油をKOH(5.2g)とメタノール(30ml)の混合物中で80分間加水分解し、冷却し、溶媒を真空下で除去した。水(30ml)を添加し、混合物を吸引濾過し、水で洗浄した。濾液をエーテル(15ml)で抽出し、水層を分離し、4M塩酸でpHが<1となるまで酸性化した。この固体を濾過により集め、ジクロロメタン−ヘキサンから再結晶し、(E)−および(Z)−3−p−フルオロフェニル−p−メトキシフェニル−アクリル酸の混合物と一致する構造を持つ白色結晶4.8gを得た(収率:88.1%)。1 HNMRから、回収された生成物は(E)−および(Z)−3−p−フルオロフェニル−p−メトキシフェニル−アクリル酸と一致する構造を有することが判った。
工程3
3,3−ジフェニルアクリル酸の代わりに3−p−フルオロフェニル−p−メトキシフェニル−3−アクリル酸(272.5mg、1ミリモル)を用いて9,10−フェナンスレンキノン(60mg、28.8ミリモル)およびトリフェニルアルセンオキシド(5mg)と反応させた以外は実施例1の工程3の手順を繰り返した。精査したところ、所望のホトクロミックオキサジン75mgが黄色結晶として得られた(収率:17.3%)。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ3.74(s,3H),6.85(m,2H),7.04(m,2H),7.38(m,2H),7.46-7.60(m,3H),
7.62-7.70(m,3H),8.02(s,1H),8.43-8.47(m,1H),8.54-8.63(m,3H)
13CNMR(CDCl3 ):
δ55.2,79.0,114.0,115.3,115.6,115.6,122.6,122.7,122.8,125.0,125.0,125.1,
126.8,127.3,127.6,128.4,128.8,128.9,129.5,131.1,132.8,137.2,137.2,137.7,
155.4,159.6,164.1
工程1
水素化ナトリウム(0.48g、20ミリモル)の撹拌されたTHF(20ml)懸濁液にトリエチルホスホノアセテート(4.48g、20ミリモル)のTHF(25ml)溶液を窒素下、氷−水浴で冷却しながら滴下した。40分後、溶液を滴下ロートに移し、ビス(p−メトキシフェニル)ケトンの乾燥THF(20ml)還流溶液に20分かけて添加した。反応混合物を48時間還流し、次いで飽和塩化ナトリウム溶液(40ml)で加水分解した。水相をエーテル(3×70ml)で抽出した。結合した有機抽出物を乾燥し、濾過し、濃縮して残滓を得、これをクロマトグラフィーによりメチレンクロライド/ヘキサン(1:2)で溶離することにより精製した。無色油(4.23g)を得た(収率:67.8%)。1 HNMR(CDCl3 )から、回収された生成物は3,3−ビス(p−メトキシフェニル−アクリル酸エチルエステルと一致する構造を有していることが判った。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ1.16(t,3H,J=7.1Hz),3.81(s,3H),3.84(s,3H),4.07(q,2H,J=7.1Hz),6.22(s,1H),
6.84(d,2H,J=9.1Hz),6.90(d,2H,J=9.1Hz),7.15(d,2H,J=9.1Hz),7.24(d,2H,J=9.1Hz)
工程2
工程1で得られた3,3−ビス(p−メトキシフェニル−アクリル酸エチルエステル(4.23g、13.5ミリモル)をメタノール22ml中、水酸化カリウム(3.7g、66ミリモル)の存在下1時間還流下で加水分解した。冷却された反応混合物を氷−水(50ml)に注ぎ、希塩酸でpH<1となるまで酸性化した。得られた固体を濾過し、水で洗浄し、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶した。白色固体(3.6g)を得た(収率:93.78%)。HNMR(CDCl)から、回収された生成物は3,3−ビス(p−メトキシフェニル−アクリル酸と一致する構造を有していることが判った。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ3.82(s,3H),3.85(s,3H),6.22(s,1H),6.85(d,2H,J=9.0Hz),6.91(d,2H,J=8.7Hz),
7.17(d,2H,J=8.7Hz),7.24(d,2H,J=8.7Hz)
工程3
3,3−ジフェニルアクリル酸の代わりに3,3−ビス(p−メトキシフェニル)アクリル酸(284.3mg、1ミリモル)を用いて9,10−フェナンスレンキノン(43mg、0.2ミリモル)およびトリフェニルアルセンオキシド(5mg)と反応させた以外は実施例1の工程3の手順を繰り返した。精査したところ、所望のホトクロミックオキサジン8mgが黄色結晶として得られた(収率:1.8%)。
1 HNMR(CDCl3 ):
δ3.75(s,6H),6.85(d,2H,J=8.7Hz),7.41(d,2H,J=9.1Hz),7.52-7.60(m,1H),
7.62-7.68(m,3H),8.03(s,1H),8.43-8.47(m,1H),8.54-8.63(m,3H)
13CNMR(CDCl3 ):
δ55.2,79.3,113.0,122.5,122.7,122.8,122.9,125.1,126.8,127.3,127.5,128.5,
129.8,131.2,133.5,156.1,159.7
実施例1、実施例3、実施例4、および実施例5で製造されたオキサジン化合物を有機溶媒に溶解し、次いで365nmの紫外線に15秒間暴露した。これらの溶液はそれぞれ強い着色を示し、紫外線が断たれると色が消えた。可視範囲の最大吸収を下表に示す。典型的な吸収は2つのバンドを持つ。450nm〜490nm付近の強い吸収は光互変性化合物の構造と溶媒とによって決まり、弱い吸収はより長い波長で起こり、ほぼ100nm長い。
Figure 2005515183

Claims (11)

  1. 下式で表される化合物
    Figure 2005515183
    (式中、Xは窒素または炭素であり、R1 、R2 、R3 、およびR4 はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ベンジル、ホルミル、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、アリール、アリール(C1 −C4 )アルキル、アリールオキシ、シクロ(C3 −C6 )アルキル、(C1 −C18)アルコキシ、ハロ(C1 −C6 )アルコキシ、(C1 −C4 )アルコキシカルボニルまたは環に5個または6個の炭素を有するヘテロ環窒素−含有置換基であり、n=1または2である)。
  2. Xは炭素または窒素であり、R1 、R2 、R3 、およびR4 はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ベンジル、ホルミル、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、アリール、アリール(C1 −C4 )アルキル、アリールオキシ、シクロ(C3 −C6 )アルキル、(C1 −C4 )アルコキシ、(C1 −C4 )アルコキシカルボニル、または環に5個または6個の炭素を有するヘテロ環窒素−含有置換基であり、n=1または2である請求項1に記載の化合物。
  3. 前記ヘテロ環窒素−含有置換基はピロリジノ、ピペリジン、またはモルホリノである請求項1または請求項2に記載の化合物。
  4. Xは炭素または窒素であり、R1 、R2 、R3 、およびR4 はそれぞれ独立に水素、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ、エトキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ピペリジノ、モルホリノ、またはピロリジノである請求項2に記載の化合物。
  5. 2,2−ジフェニル−フェナンスロ−(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−フェナンスロ(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、2−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)−フェナンスロ(9,10)−2H−[1,4]−オキサジン、および2,2−ビス(4−メトキシフェニル)−フェナンスロ(9,10)−2H−[1,4]−オキサジンよりなる群から選ばれる化合物。
  6. 下式のイソシアネート誘導体
    Figure 2005515183
    を下式の対称キノン
    Figure 2005515183
    (式中、Xは炭素または窒素であり、R1 、R2 、R3 、およびR4 はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ベンジル、ホルミル、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、アリール、アリール(C1 −C4 )アルキル、アリールオキシ、シクロ(C3 −C6 )アルキル、(C1 −C18)アルコキシ、ハロ(C1 −C6 )アルコキシ、(C1 −C4 )アルコキシカルボニル、または環に5個または6個の炭素を有するヘテロ環窒素−含有置換基であり、n=1または2である)とともに加熱し、該加熱を触媒量の酸化トリフェニルアルセンオキシドの存在下で行うことを含む、ホトクロミック化合物の製造方法。
  7. 前記キノンは、置換または未置換9,10−フェナンスレン−9,10−ジオン、または置換または未置換9,10−1,10−フェナンスロリン−5,6−ジオンである請求項6に記載の方法。
  8. 前記加熱は約40℃〜約120℃で約2時間〜約24時間行われる請求項6に記載の方法。
  9. 式XIVのアザ−イリド化合物
    Figure 2005515183
    を下式の対称キノン
    Figure 2005515183
    (式中、Xは炭素または窒素であり、R1 、R2 、R3 、およびR4 はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ベンジル、ホルミル、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、アリール、アリール(C1 −C4 )アルキル、アリールオキシ、シクロ(C3 −C6 )アルキル、(C1 −C18)アルコキシ、ハロ(C1 −C6 )アルコキシ、(C1 −C4 )アルコキシカルボニル、または環に5個または6個の炭素を有するヘテロ環窒素−含有置換基であり、n=1または2である)とともに加熱し、該加熱を触媒量の酸化トリフェニルアルセンオキシドの存在下で行うことを含む、ホトクロミック化合物の製造方法。
  10. 前記キノンは、置換または未置換9,10−フェナンスレン−9,10−ジオン、または置換または未置換9,10−1,10−フェナンスロリン−5,6−ジオンである請求項9に記載の方法。
  11. 前記加熱は約60℃〜約120℃で約4時間〜約24時間行われる請求項9に記載の方法。
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