JP2724383B2 - (s)−ベンゾオキサジン誘導体の製法 - Google Patents
(s)−ベンゾオキサジン誘導体の製法Info
- Publication number
- JP2724383B2 JP2724383B2 JP62333340A JP33334087A JP2724383B2 JP 2724383 B2 JP2724383 B2 JP 2724383B2 JP 62333340 A JP62333340 A JP 62333340A JP 33334087 A JP33334087 A JP 33334087A JP 2724383 B2 JP2724383 B2 JP 2724383B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- benzoxazine
- methyl
- derivative
- substituted sulfonyl
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)
- Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
〈産業上の利用分野〉
本発明は(S)−3−アルキル−3,4−ジヒドロ−2H
−[1,4]ベンゾオキサジン誘導体及びその製法に関す
る。 〈従来の技術〉 従来、化合物(I) (式中、X、Y、Zは各々独立して水素原子もしくはハ
ロゲン原子を、R1は炭素数1〜6のアルキル基を意味す
る。)の光学異性体のうちの(S)−体(IS)の製法と
しては式(I)の化合物を4−[プロリル]ベンゾオキ
サジン誘導体に変換し光学分割する方法(欧州特許出願
公開第206283号公報参照)、及び不斉加水分解酵素によ
る方法(特開昭62−87577号公報参照)がある。しかし
ながら前者は、(S)−ベンゾオキサジン誘導体由来の
4−[プロリル]ベンゾオキサジン誘導体の分離精製が
煩雑であり、また後者は酵素を用いるため大量合成法と
しては不適当である。 〈発明によって解決された問題点〉 本発明者らは、化合物(I)と(R)−プロリン誘導
体を反応させると(S)−ベンゾオキサジン誘導体由来
の3S−4−[(R)−プロリル]−3−アルキル−3,4
−ジヒドロベンゾオキサジン誘導体(II)のみが結晶で
得られることに基き、この化合物(II)を再結晶によっ
て分離し、化合物(I)の光学異性体の分離精製を再結
晶だけで可能とし、操作性を向上させ、(S)−3−ア
ルキル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン
誘導体(IS)の大量合成を容易なものとした。 (式中、X、Y、Zは各々独立して水素原子もしくはハ
ロゲン原子を、R1は炭素数1〜6のアルキル基を、R2は
置換スルホニル基、アルコキシカルボニル基又はアラル
キルオキシカルボニル基を意味する。) 〈発明の構成〉 本発明は、(S)−3−アルキル−3,4−ジヒドロ−2
H−[1,4]ベンゾオキサジン誘導体及びその製法に関す
る。 すなわち、式(式中、Xは水素原子を表し、YおよびZはフッ素原子
を表し、R1はメチル基を表し、R2は置換スルホニル基を
表す。) で表わされる化合物、また前記式中、置換スルホニル基
が、パラトルエンスルホニル基である化合物に関する。 さらに本願発明は、式 (式中、Xは水素原子を表し、YおよびZはフッ素原子
を表し、R1はメチル基を表す。) で表される(S)−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−
[1,4]ベンゾオキサジンの製造方法であって、式 (式中、Xは水素原子を表し、YおよびZはフッ素原子
を表し、R1はメチル基を表す。) で表される(±)−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−
[1,4]ベンゾオキサジンに、式 (式中、R2は置換スルホニル基を表し、R3はヒドロキシ
ル、ハロゲン、アルコキシル(活性エステル残基)、酸
無水物残基等のカルボキシル基およびその反応性残基を
意味する。) で表される(R)−N−(置換スルホニル)プロリン誘
導体を反応させて、4−[(R)−N−(置換スルホニ
ル)プロリル]ベンゾオキサジン誘導体のジアステレオ
マーの混合物を得、この混合物より式 (式中、Xは水素原子を表し、YおよびZはフッ素原子
を表し、R1はメチル基を表し、R2は置換スルホニル基を
表す。) で表わされる化合物を単離することを特徴とする方法に
関し、さらに置換スルホニル基が、パラトルエンスルホ
ニル基である前記の方法に関する。 本発明を以下に詳細に説明する。 本明細書中で置換スルホニル基とは、スルホニル基と
以下に示す置換基が結合して生成する置換基を意味す
る。例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の、
炭素数1〜6でハロゲン原子等で置換されていることも
あるアルキル基であり、あるいは炭素数1〜6のアルキ
ル基、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜6のアルコ
キシ基等で置換されていることもあるフェニル基であ
り、さらにフェニル部分が炭素数1〜6のアルキル基、
ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜6のアルコキシ基
等で置換されていることもあるベンジル、フェネチル等
のアラルキル基である。また、アルコキシカルボニル基
のアルキル部分としてはメチル、エチル、プロピル、ブ
チル等の、炭素数1〜6でハロゲン原子等で置換されて
いることもあるアルキル基である。そして、アラルキル
オキシカルボニル基のアラルキル部分としては、フェニ
ル部分が、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、
ニトロ基、炭素数1〜6のアルコキシ基等で置換されて
いることもあるベンジル、フェネチル等のアラルキル基
である。 本発明では、式(I)のベンゾオキサジン誘導体と式
(III)の(R)−プロリン誘導体とをアミド結合形成
反応、例えば、酸クロライド法、活性エステル法、酸無
水物法、DCC法等によって縮合させジアステレオマーの
混合物(IV)を得る。 (式中、X、Y、Zは各々独立して水素原子もしくはハ
ロゲン原子を、R1は炭素数1〜6のアルキル基、R2は置
換スルホニル基、アルコキシカルボニル基またはアラル
キルオキシカルボニル基を意味する。) 化合物(I)より化合物(IV)を生成させる際のアミ
ド結合形成反応に於いては、通常、上で述べたうちの酸
クロライド法によって実施され、化合物(I)と、式
(III)に於いてR3が塩素である酸クロライド誘導体と
を、有機溶媒中にて塩基存在下に反応させることにより
実施される。 酸クロライドは化合物(I)に対して1ないし1.5倍
当量の範囲で使用されるが、通常、1.3倍当量用いるの
がよい。 塩基としては、有機、無機いずれも使用できるが、ピ
リジン、N,N−ジメチルアニリン、トリエチルアミン等
の有機塩基が適当である。 有機溶媒としては反応に不活性であれば特に限定され
ないが、例えば、ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタ
ン等のハロゲン化炭化水素が適当である。溶媒は化合物
(I)に対し5〜50倍量の範囲で使用されるが、好まし
くは5〜10倍量である。 反応は、10〜50℃の温度範囲で実施できるが、20〜40
℃が好ましい。 反応時間は2〜10時間の範囲で、通常は2〜5時間の
範囲である。 生成物のジアステレオマーのうち、(S)−ベンゾオ
キサジン誘導体由来の(S)−4−[(R)−プロリ
ル]−ベンゾオキサジン誘導体は結晶であるが、もう一
方のジアステレオマーの、(R)−ベンゾオキサジン誘
導体由来の(R)−4−[(R)−プロリル]−ベンゾ
オキサジン誘導体は油状物である。そこでこの2種のジ
アステレオマーの性状の違いを利用し、ジアステレオマ
ーの混合物(IV)を、例えば酢酸エチルで分別再結晶
し、析出晶を濾取することによって目的物の(S)−ベ
ンゾオキサジン誘導体由来の3S−4−[(R)−プロリ
ル]−2−アルキル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベン
ゾオキサジン誘導体(II)のみを高い光学純度で分離で
きる。 化合物(II)のプロリン部分の置換基R2は化合物(I
I)の結晶性や溶媒への溶解性等、物性を変化させる。
そこで化合物(II)をそのジアステレオマーの混合物か
ら分別再結晶によって分離する場合、この置換基R2は再
結晶の溶媒と組合せて選択され、この組合せで分別再結
晶の難易度が定まる。この組合せは、例えば、置換基R2
による化合物(II)自体の結晶性の良否、あるいは溶媒
への溶解性の大小といった因子等を基に選択すればよ
い。例えば、置換基R2としてp−トルエンスルホニル
基、再結晶溶媒として酢酸エチルという組合せを挙げる
ことができる。なお、クロマトグラフィーによって分離
を行う場合でも、同様にして適切な組合せを選択するの
がよい。 得られた(II)は、酸もしくは塩基で加水分解してプ
ロリン部分を除去できるが、通常は塩基での加水分解が
よい。加水分解で使用できる塩基としては化合物(IS)
よりも強い塩基であれば特に限定されず、アルカリ金属
の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、アルコキサイド等が使
用できるが、ナトリウム、カリウム等の水酸化物が好ま
しい。 加水分解後、有機溶媒で抽出することによって(S)
−3−アルキル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオ
キサジン誘導体(IS)が容易に得られる。抽出溶媒とし
ては種々の溶媒が使用できるが、1,2−ジクロルエタ
ン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素が適当であ
る。生成物の(S)−3−アルキル−3,4−ジヒドロ−2
H−[1,4]ベンゾオキサジン誘導体の光学純度の定量法
は、特開昭62−87577号公報に示されている高速液体ク
ロマトグラフィー(以下HPLCと略す)を用いる方法が適
用でき、得られた化合物(IS)の光学純度は99%ee.以
上であった。 〈本発明の効果〉 本発明は光学分割剤として(R)−プロリン誘導体
(III)を使用することによって、化合物(I)の光学
異性体のうちの3S−アルキル体の誘導体が結晶性生成物
として得られ、このものが再結晶という簡便な操作によ
って、効率的に、しかも高い光学純度で分離することが
可能であり、(S)−3−アルキル−3,4−ジヒドロ−2
H−[1,4]ベンゾオキサジン誘導体の大量合成法として
極めて有用な方法である。 得られる(S)−ベンゾオキサジン誘導体は強い抗菌
活性を有する化合物、例えば、(S)−(−)−9−フ
ルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジ
ニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,
2,3−de]−[1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸
(特開昭62−252790号公報参照)の製造中間体として有
用である。 以下、本発明の構成と効果を実施例により具体的に説
明するが、本発明はこの実施のみに限定されるものでは
ない。 実施例1:(R)−N−p−トルエンスルホニルプロリン 三頸コルベン(10l)に水酸化ナトリウム水溶液(水
酸化ナトリウム223gと水5.6lとから調製)と(R)−
(+)−プロリン320gを加え溶解させた。溶解後この中
にp−トルエンスルホン酸クロライド530gを攪拌下に、
内温を30℃以下に保ち加えた。この後、25〜30℃で4時
間反応させた。反応後、反応液にクロロホルム800mlを
加えて残存したトルエンスルホン酸クロライドを抽出し
て除去した。本操作をさらに2回反復後、氷冷下、水層
に濃塩酸334mlを加えて酸性とし、酢酸エチル4l、更に3
lを用い抽出して、抽出液を飽和食塩水1.5lで2回洗浄
した。減圧下で溶媒を留去後、残留物に1,2−ジクロロ
エタン2lを加え再度濃縮し残留物として標題化合物を得
た。 融点:67〜70℃ ▲[α]22 D▼+100.5°(C=2.1844,メタノール) 実施例2:(R)−N−p−トルエンスルホニルプロリル
クロライド 三頸コルベン(10l)に(R)−N−p−トルエンス
ルホニルプロリン748.7g、1,2−ジクロロエタン4l、塩
化チオニル620mlを加え4時間加熱還流した。反応後、
過剰の塩化チオニルを常圧、および減圧下で溶媒ととも
に留去し、さらに残留物に1,2−ジクロロエタン3lを加
え、再度減圧濃縮して標題化合物を得た。 実施例3:S−(+)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−4
−[(R)−N−p−トルエンスルホニルプロリル]−
3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン 塩化チオニルと(R)−N−p−トルエンスルホニル
プロリン26.9gより製造した酸クロライドを1,2−ジクロ
ルエタン200mlに溶解した溶液を、(±)−7,8−ジフル
オロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾ
オキサジン13.9gとピリジン12mlを1,2−ジクロルエタン
140mlに溶解した溶液中に室温で攪拌下に徐々に滴下
し、更に室温で4時間攪拌した。反応液を10%塩酸、飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗
浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾
去した。 溶媒を減圧留去して得られた油状残留物を酢酸エチル
70mlに加熱して溶解した後、攪拌下に冷却し、析出した
結晶を濾取し酢酸エチル30mlで洗浄した。これを減圧
下、50〜60℃で乾燥すると3S−(+)−7,8−ジフルオ
ロ−3−メチル−4−[(R)−N−p−トルエンスル
ホニルプロリル]−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾ
オキサジン10.15gが得られた。 融点:189〜191℃ [α]D+272.0°(C=1.01、クロロホルム) 元素分析値 C21H22F2N2O4Sとして 計算値 C57.79 H5.08 N6.42 実測値 C57.71 H5.04 N6.43 実施例4:(S)−(−)−7,8−ジフルオロ−3−メチ
ル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンズオキサジン 実施例3で得た(S)−4−[(R)−プロリル]−
ベンゾオキサジン誘導体7.0gに水酸化ナトリウム3.2gを
メタノール35mlに溶解した溶液を加えて3時間還流し
た。メタノールを減圧留去し、油状残留物に水を加え、
1,2−ジクロロエタン150mlで抽出した。抽出液を飽和食
塩水で洗浄して溶媒を減圧留去した。油状物として
(S)−(−)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−
ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン2.9gが得られ
た。 [α]D−7.2°(C=3.17、クロロホルム) このものはHPLCによる光学純度定量により、99%ee.で
あった。
−[1,4]ベンゾオキサジン誘導体及びその製法に関す
る。 〈従来の技術〉 従来、化合物(I) (式中、X、Y、Zは各々独立して水素原子もしくはハ
ロゲン原子を、R1は炭素数1〜6のアルキル基を意味す
る。)の光学異性体のうちの(S)−体(IS)の製法と
しては式(I)の化合物を4−[プロリル]ベンゾオキ
サジン誘導体に変換し光学分割する方法(欧州特許出願
公開第206283号公報参照)、及び不斉加水分解酵素によ
る方法(特開昭62−87577号公報参照)がある。しかし
ながら前者は、(S)−ベンゾオキサジン誘導体由来の
4−[プロリル]ベンゾオキサジン誘導体の分離精製が
煩雑であり、また後者は酵素を用いるため大量合成法と
しては不適当である。 〈発明によって解決された問題点〉 本発明者らは、化合物(I)と(R)−プロリン誘導
体を反応させると(S)−ベンゾオキサジン誘導体由来
の3S−4−[(R)−プロリル]−3−アルキル−3,4
−ジヒドロベンゾオキサジン誘導体(II)のみが結晶で
得られることに基き、この化合物(II)を再結晶によっ
て分離し、化合物(I)の光学異性体の分離精製を再結
晶だけで可能とし、操作性を向上させ、(S)−3−ア
ルキル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン
誘導体(IS)の大量合成を容易なものとした。 (式中、X、Y、Zは各々独立して水素原子もしくはハ
ロゲン原子を、R1は炭素数1〜6のアルキル基を、R2は
置換スルホニル基、アルコキシカルボニル基又はアラル
キルオキシカルボニル基を意味する。) 〈発明の構成〉 本発明は、(S)−3−アルキル−3,4−ジヒドロ−2
H−[1,4]ベンゾオキサジン誘導体及びその製法に関す
る。 すなわち、式(式中、Xは水素原子を表し、YおよびZはフッ素原子
を表し、R1はメチル基を表し、R2は置換スルホニル基を
表す。) で表わされる化合物、また前記式中、置換スルホニル基
が、パラトルエンスルホニル基である化合物に関する。 さらに本願発明は、式 (式中、Xは水素原子を表し、YおよびZはフッ素原子
を表し、R1はメチル基を表す。) で表される(S)−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−
[1,4]ベンゾオキサジンの製造方法であって、式 (式中、Xは水素原子を表し、YおよびZはフッ素原子
を表し、R1はメチル基を表す。) で表される(±)−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−
[1,4]ベンゾオキサジンに、式 (式中、R2は置換スルホニル基を表し、R3はヒドロキシ
ル、ハロゲン、アルコキシル(活性エステル残基)、酸
無水物残基等のカルボキシル基およびその反応性残基を
意味する。) で表される(R)−N−(置換スルホニル)プロリン誘
導体を反応させて、4−[(R)−N−(置換スルホニ
ル)プロリル]ベンゾオキサジン誘導体のジアステレオ
マーの混合物を得、この混合物より式 (式中、Xは水素原子を表し、YおよびZはフッ素原子
を表し、R1はメチル基を表し、R2は置換スルホニル基を
表す。) で表わされる化合物を単離することを特徴とする方法に
関し、さらに置換スルホニル基が、パラトルエンスルホ
ニル基である前記の方法に関する。 本発明を以下に詳細に説明する。 本明細書中で置換スルホニル基とは、スルホニル基と
以下に示す置換基が結合して生成する置換基を意味す
る。例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の、
炭素数1〜6でハロゲン原子等で置換されていることも
あるアルキル基であり、あるいは炭素数1〜6のアルキ
ル基、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜6のアルコ
キシ基等で置換されていることもあるフェニル基であ
り、さらにフェニル部分が炭素数1〜6のアルキル基、
ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜6のアルコキシ基
等で置換されていることもあるベンジル、フェネチル等
のアラルキル基である。また、アルコキシカルボニル基
のアルキル部分としてはメチル、エチル、プロピル、ブ
チル等の、炭素数1〜6でハロゲン原子等で置換されて
いることもあるアルキル基である。そして、アラルキル
オキシカルボニル基のアラルキル部分としては、フェニ
ル部分が、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、
ニトロ基、炭素数1〜6のアルコキシ基等で置換されて
いることもあるベンジル、フェネチル等のアラルキル基
である。 本発明では、式(I)のベンゾオキサジン誘導体と式
(III)の(R)−プロリン誘導体とをアミド結合形成
反応、例えば、酸クロライド法、活性エステル法、酸無
水物法、DCC法等によって縮合させジアステレオマーの
混合物(IV)を得る。 (式中、X、Y、Zは各々独立して水素原子もしくはハ
ロゲン原子を、R1は炭素数1〜6のアルキル基、R2は置
換スルホニル基、アルコキシカルボニル基またはアラル
キルオキシカルボニル基を意味する。) 化合物(I)より化合物(IV)を生成させる際のアミ
ド結合形成反応に於いては、通常、上で述べたうちの酸
クロライド法によって実施され、化合物(I)と、式
(III)に於いてR3が塩素である酸クロライド誘導体と
を、有機溶媒中にて塩基存在下に反応させることにより
実施される。 酸クロライドは化合物(I)に対して1ないし1.5倍
当量の範囲で使用されるが、通常、1.3倍当量用いるの
がよい。 塩基としては、有機、無機いずれも使用できるが、ピ
リジン、N,N−ジメチルアニリン、トリエチルアミン等
の有機塩基が適当である。 有機溶媒としては反応に不活性であれば特に限定され
ないが、例えば、ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタ
ン等のハロゲン化炭化水素が適当である。溶媒は化合物
(I)に対し5〜50倍量の範囲で使用されるが、好まし
くは5〜10倍量である。 反応は、10〜50℃の温度範囲で実施できるが、20〜40
℃が好ましい。 反応時間は2〜10時間の範囲で、通常は2〜5時間の
範囲である。 生成物のジアステレオマーのうち、(S)−ベンゾオ
キサジン誘導体由来の(S)−4−[(R)−プロリ
ル]−ベンゾオキサジン誘導体は結晶であるが、もう一
方のジアステレオマーの、(R)−ベンゾオキサジン誘
導体由来の(R)−4−[(R)−プロリル]−ベンゾ
オキサジン誘導体は油状物である。そこでこの2種のジ
アステレオマーの性状の違いを利用し、ジアステレオマ
ーの混合物(IV)を、例えば酢酸エチルで分別再結晶
し、析出晶を濾取することによって目的物の(S)−ベ
ンゾオキサジン誘導体由来の3S−4−[(R)−プロリ
ル]−2−アルキル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベン
ゾオキサジン誘導体(II)のみを高い光学純度で分離で
きる。 化合物(II)のプロリン部分の置換基R2は化合物(I
I)の結晶性や溶媒への溶解性等、物性を変化させる。
そこで化合物(II)をそのジアステレオマーの混合物か
ら分別再結晶によって分離する場合、この置換基R2は再
結晶の溶媒と組合せて選択され、この組合せで分別再結
晶の難易度が定まる。この組合せは、例えば、置換基R2
による化合物(II)自体の結晶性の良否、あるいは溶媒
への溶解性の大小といった因子等を基に選択すればよ
い。例えば、置換基R2としてp−トルエンスルホニル
基、再結晶溶媒として酢酸エチルという組合せを挙げる
ことができる。なお、クロマトグラフィーによって分離
を行う場合でも、同様にして適切な組合せを選択するの
がよい。 得られた(II)は、酸もしくは塩基で加水分解してプ
ロリン部分を除去できるが、通常は塩基での加水分解が
よい。加水分解で使用できる塩基としては化合物(IS)
よりも強い塩基であれば特に限定されず、アルカリ金属
の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、アルコキサイド等が使
用できるが、ナトリウム、カリウム等の水酸化物が好ま
しい。 加水分解後、有機溶媒で抽出することによって(S)
−3−アルキル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオ
キサジン誘導体(IS)が容易に得られる。抽出溶媒とし
ては種々の溶媒が使用できるが、1,2−ジクロルエタ
ン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素が適当であ
る。生成物の(S)−3−アルキル−3,4−ジヒドロ−2
H−[1,4]ベンゾオキサジン誘導体の光学純度の定量法
は、特開昭62−87577号公報に示されている高速液体ク
ロマトグラフィー(以下HPLCと略す)を用いる方法が適
用でき、得られた化合物(IS)の光学純度は99%ee.以
上であった。 〈本発明の効果〉 本発明は光学分割剤として(R)−プロリン誘導体
(III)を使用することによって、化合物(I)の光学
異性体のうちの3S−アルキル体の誘導体が結晶性生成物
として得られ、このものが再結晶という簡便な操作によ
って、効率的に、しかも高い光学純度で分離することが
可能であり、(S)−3−アルキル−3,4−ジヒドロ−2
H−[1,4]ベンゾオキサジン誘導体の大量合成法として
極めて有用な方法である。 得られる(S)−ベンゾオキサジン誘導体は強い抗菌
活性を有する化合物、例えば、(S)−(−)−9−フ
ルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジ
ニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,
2,3−de]−[1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸
(特開昭62−252790号公報参照)の製造中間体として有
用である。 以下、本発明の構成と効果を実施例により具体的に説
明するが、本発明はこの実施のみに限定されるものでは
ない。 実施例1:(R)−N−p−トルエンスルホニルプロリン 三頸コルベン(10l)に水酸化ナトリウム水溶液(水
酸化ナトリウム223gと水5.6lとから調製)と(R)−
(+)−プロリン320gを加え溶解させた。溶解後この中
にp−トルエンスルホン酸クロライド530gを攪拌下に、
内温を30℃以下に保ち加えた。この後、25〜30℃で4時
間反応させた。反応後、反応液にクロロホルム800mlを
加えて残存したトルエンスルホン酸クロライドを抽出し
て除去した。本操作をさらに2回反復後、氷冷下、水層
に濃塩酸334mlを加えて酸性とし、酢酸エチル4l、更に3
lを用い抽出して、抽出液を飽和食塩水1.5lで2回洗浄
した。減圧下で溶媒を留去後、残留物に1,2−ジクロロ
エタン2lを加え再度濃縮し残留物として標題化合物を得
た。 融点:67〜70℃ ▲[α]22 D▼+100.5°(C=2.1844,メタノール) 実施例2:(R)−N−p−トルエンスルホニルプロリル
クロライド 三頸コルベン(10l)に(R)−N−p−トルエンス
ルホニルプロリン748.7g、1,2−ジクロロエタン4l、塩
化チオニル620mlを加え4時間加熱還流した。反応後、
過剰の塩化チオニルを常圧、および減圧下で溶媒ととも
に留去し、さらに残留物に1,2−ジクロロエタン3lを加
え、再度減圧濃縮して標題化合物を得た。 実施例3:S−(+)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−4
−[(R)−N−p−トルエンスルホニルプロリル]−
3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン 塩化チオニルと(R)−N−p−トルエンスルホニル
プロリン26.9gより製造した酸クロライドを1,2−ジクロ
ルエタン200mlに溶解した溶液を、(±)−7,8−ジフル
オロ−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾ
オキサジン13.9gとピリジン12mlを1,2−ジクロルエタン
140mlに溶解した溶液中に室温で攪拌下に徐々に滴下
し、更に室温で4時間攪拌した。反応液を10%塩酸、飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗
浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾
去した。 溶媒を減圧留去して得られた油状残留物を酢酸エチル
70mlに加熱して溶解した後、攪拌下に冷却し、析出した
結晶を濾取し酢酸エチル30mlで洗浄した。これを減圧
下、50〜60℃で乾燥すると3S−(+)−7,8−ジフルオ
ロ−3−メチル−4−[(R)−N−p−トルエンスル
ホニルプロリル]−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾ
オキサジン10.15gが得られた。 融点:189〜191℃ [α]D+272.0°(C=1.01、クロロホルム) 元素分析値 C21H22F2N2O4Sとして 計算値 C57.79 H5.08 N6.42 実測値 C57.71 H5.04 N6.43 実施例4:(S)−(−)−7,8−ジフルオロ−3−メチ
ル−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンズオキサジン 実施例3で得た(S)−4−[(R)−プロリル]−
ベンゾオキサジン誘導体7.0gに水酸化ナトリウム3.2gを
メタノール35mlに溶解した溶液を加えて3時間還流し
た。メタノールを減圧留去し、油状残留物に水を加え、
1,2−ジクロロエタン150mlで抽出した。抽出液を飽和食
塩水で洗浄して溶媒を減圧留去した。油状物として
(S)−(−)−7,8−ジフルオロ−3−メチル−3,4−
ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン2.9gが得られ
た。 [α]D−7.2°(C=3.17、クロロホルム) このものはHPLCによる光学純度定量により、99%ee.で
あった。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.式 (式中、Xは水素原子を表し、YおよびZはフッ素原子
を表し、R1はメチル基を表す。) で表される(S)−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−
[1,4]ベンゾオキサジンの製造方法であって、式 (式中、Xは水素原子を表し、YおよびZはフッ素原子
を表し、R1はメチル基を表す。) で表される(±)−3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−
[1,4]ベンゾオキサジンに(R)−N−(置換スルホ
ニル)プロリン誘導体を反応させて、下記式(a)で表
される結晶状の(S)−3−メチル−4−[(R)−N
−(置換スルホニル)プロリル]ベンゾオキサジン誘導
体及び下記式(b)で表される油状の(R)−3−メチ
ル−4−[(R)−N−(置換スルホニル)プロリル]
ベンゾオキサジン誘導体を含むジアステレオマーの混合
物を得(式(a)及び式(b)中、Xは水素原子を表
し、YおよびZはフッ素原子を表し、R1はメチル基を表
し、R2は置換スルホニル基を表す。)、 この混合物を有機溶媒に加熱溶解した後、再結晶して上
記式(a)で表される結晶状の(S)−3−メチル−4
−[(R)−N−(置換スルホニル)プロリル]ベンゾ
オキサジン誘導体を単離する工程を含むことを特徴とす
る方法。 2.置換スルホニル基が、パラトルエンスルホニル基で
ある特許請求の範囲第1項に記載の方法。 3.有機溶媒が単一の有機溶媒である特許請求の範囲第
1項又は第2項に記載の方法。 4.有機溶媒が酢酸エチルである特許請求の範囲第3項
に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62333340A JP2724383B2 (ja) | 1987-12-29 | 1987-12-29 | (s)−ベンゾオキサジン誘導体の製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62333340A JP2724383B2 (ja) | 1987-12-29 | 1987-12-29 | (s)−ベンゾオキサジン誘導体の製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01175975A JPH01175975A (ja) | 1989-07-12 |
JP2724383B2 true JP2724383B2 (ja) | 1998-03-09 |
Family
ID=18265017
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62333340A Expired - Lifetime JP2724383B2 (ja) | 1987-12-29 | 1987-12-29 | (s)−ベンゾオキサジン誘導体の製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2724383B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3201998B2 (ja) * | 1998-12-16 | 2001-08-27 | サムソン ジェネラル ケミカルズ カンパニー リミテッド | (s)−ベンゾオキサジン誘導体の製造方法及び(r)−ベンゾオキサジン誘導体のラセミ化方法 |
US6194607B1 (en) * | 1998-12-22 | 2001-02-27 | Samsung General Chemicals Co., Ltd. | Method of producing aromatic carboxylic acids by oxidizing alkyl aromatic hydrocarbons or partially oxidized intermediates thereof |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ZA864518B (en) * | 1985-06-20 | 1987-03-25 | Daiichi Seiyaku Co | Optically active pyridobenzoxazine derivatives and intermediates thereof |
-
1987
- 1987-12-29 JP JP62333340A patent/JP2724383B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01175975A (ja) | 1989-07-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4985557A (en) | Optically active pyridobenzoxazine derivatives and intermediates thereof | |
JP4358295B2 (ja) | ベンゾオキサジン誘導体の製造法およびその製造中間体 | |
KR100309871B1 (ko) | (-)피리도벤즈옥사진 카르복실산 유도체의 제조방법 | |
JP2876712B2 (ja) | 光学活性ピラノベンゾオキサジアゾール誘導体 | |
JP2724383B2 (ja) | (s)−ベンゾオキサジン誘導体の製法 | |
KR950012563B1 (ko) | 광학 활성 2,3-디하이드로벤즈옥사진 유도체 및 이의 제조방법 | |
KR100880654B1 (ko) | 광호변성 옥사진 화합물의 제조 방법 | |
JP2004099494A (ja) | 光学活性三環式化合物の製造方法 | |
JP2573269B2 (ja) | 光学活性ベンゾオキサジン | |
KR960008243B1 (ko) | 헤테로사이클릭 화합물 | |
KR960016525B1 (ko) | 디히드로피리딘 화합물 또는 그 염류의 제조 방법 | |
JP2752593B2 (ja) | (−)−3(s)−メチルピリドベンズオキサジンカルボン酸誘導体の製造法及びその中間体 | |
KR100451414B1 (ko) | 인돌 유도체 및 그 제조 방법 | |
US5475118A (en) | 1-phenylpyrrolidone derivatives having optical activity, intermediate for the preparation thereof and processes for their preparation | |
KR100355756B1 (ko) | S-오플로삭신의 제조방법 | |
FR2472571A1 (fr) | Procede pour la preparation de derives d'esters halogeno-vincaminiques et halogeno-apovincaminiques | |
JP2918136B2 (ja) | 3−ジアルキルアミノ−2−置換ベンゾイルアクリル酸化合物 | |
RU2258069C2 (ru) | Способ получения производного бензоксазина, способы получения его промежуточного соединения и промежуточные соединения | |
JPH04364185A (ja) | ピリドベンゾオキサジン誘導体 | |
JP2000026408A (ja) | 対掌体的に純粋なピロリジン誘導体、その塩、それらの製造方法 | |
KR100310786B1 (ko) | 광학활성 퀴놀론카르복실산 유도체의 제조방법 | |
NO328110B1 (no) | Fremgangsmate for fremstilling av bisykliske forbindelser og anvendelse av fremgangsmaten til fremstilling av en ICE-inhibitorforbindelse | |
IE64929B1 (en) | Optically active pyridobenzoxazine derivatives and intermediates thereof | |
KR20020043962A (ko) | 광학활성 (s)-벤즈옥사진 유도체 및 그의 제조방법 | |
JPH0714945B2 (ja) | ピリドベンゾオキサジン類 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071205 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081205 Year of fee payment: 11 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081205 Year of fee payment: 11 |