JP2004099494A - 光学活性三環式化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】入手可能な光学活性単位を使用し、光学活性体の分離工程を経ることなく光学活性三環式化合物を安価でかつ大量に製造する新しい方法を提供すること。
【解決手段】式(II)で表される化合物に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールおよび式(IV)で表される光学活性アミノ置換アルカノールを作用させて、式(V)で表される化合物とし、これを、閉環反応に付すことを特徴とする式(I)で表される光学活性三環式化合物の製造方法。
【化1】
(式中、R1は低級アルキル基、R2は水素原子またはハロゲン原子を、R3はハロゲン原子、置換アミノ基または含窒素複素環基を示し、R’は水素原子または低級アルキル基を示す)
【選択図】 なし
【解決手段】式(II)で表される化合物に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールおよび式(IV)で表される光学活性アミノ置換アルカノールを作用させて、式(V)で表される化合物とし、これを、閉環反応に付すことを特徴とする式(I)で表される光学活性三環式化合物の製造方法。
【化1】
(式中、R1は低級アルキル基、R2は水素原子またはハロゲン原子を、R3はハロゲン原子、置換アミノ基または含窒素複素環基を示し、R’は水素原子または低級アルキル基を示す)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学活性な三環式化合物の製造方法に関し、更に詳細には、工程途中で光学分割や不斉合成を行うことのない光学活性三環式化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下記式(I)で表される光学活性三環式化合物には、薬学的に有用な化合物が含まれている。
【0003】
【化5】
(式中、R1は低級アルキル基を、R2は水素原子またはハロゲン原子を、R3はハロゲン原子、置換アミノ基または含窒素複素環基を示し、R’は水素原子または低級アルキル基を示す)
【0004】
例えば、上記化合物のうち、基R’が水素原子で、基R1が3位のメチル基、R2が9位のフルオロ原子、R3が10位の4−メチルピペラジニル基である化合物(S−(−)−9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−d e][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸)はレボフロキサシンと呼ばれる化合物であり、広範囲抗菌剤として広く使用されている薬物である。
【0005】
従来、式(I)で表される光学活性三環式化合物は、光学活性体の分離工程を含む複雑な方法により製造されていた。例えば、上記のレボフロキサシンは、式(VI)
【化6】
で表される3−メチル−7,8,−ジフルオロ−1,4ベンゾオキサジンと光学活性プロリン誘導体を用い、ジアステレオマー分離工程を経る方法や、中間体である式(VII)
【化7】
の9,10−ジフルオロ−3−ヒドロキシメチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−d e][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸を3−(3,5−ジメチルベンゾイルオキシ)メチル体に導き、これを高速液体クロマトグラフィで2種の光学活性体に分離する工程を経由して、最終物の異性体を得る方法(共に特公平3−27534号)により製造される。
【0006】
特公平3−27534号に記載される上記合成方法によれば、ジアステレオマー分離もしくは光学分割により半分の異性体は捨てられてしまうという問題がある。また、ジアステレオマー分離や高速液体クロマトグラフィシステム自体効率の悪い方法であって、工業的規模の製造には不向きである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、これらの手段を使用せず、入手可能な光学活性単位を使用し、光学活性三環式化合物を安価でかつ大量に製造する新しい方法の提供をその課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、入手可能な光学活性単位を利用する上記光学活性三環式化合物(I)の合成方法について種々検討を行った結果、光学活性単位としてアミノ置換アルカノール化合物を使用することにより上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、次の式(II)
【化8】
(式中、R2は水素原子またはハロゲン原子を、R3はハロゲン原子、置換アミノ基または含窒素複素環基を示し、R’は水素原子または低級アルキル基を示す)で表される化合物にN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールおよび次の式(IV)
【化9】
(式中、R1は低級アルキル基を示す)
で表される光学活性アミノ置換アルカノールを作用させて、次の式(V)
【化10】
(式中、R1、R2、R3およびR’は前記した意味を有する)
で表される化合物とし、これを、閉環反応に付すことを特徴とする次の式(I)
【化11】
(式中、R1、R2、R3およびR’は前記した意味を有する)
で表される光学活性三環式化合物の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の式(I)で表される光学活性三環式化合物において、基R1の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1から4のアルキル基が挙げられる。また、基R2としては、水素原子、フッ素原子等のハロゲン原子等が、また、R3としては、ピペラジニル基、メチルピペラジニル基、ピペリジニル基等の含窒素複素環基や、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の置換アミノ基等が挙げられる。更に基R’としては、水素原子や、メチル基、エチル基等の低級アルキル基が挙げられる。
【0011】
本発明方法を実施するには、まず、下記反応式に従い、化合物(II)に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(III)および光学活性アミノ置換アルカノール(IV)を作用させて化合物(V)を得る。
【0012】
【化12】
(式中、R1、R2、R3およびR’は前記した意味を有する)
【0013】
上記反応は、好ましくは、まず、トルエン、キシレン等の溶媒の存在下、100から120℃程度の温度で化合物(II)にN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(III)を作用させた後、氷冷条件、メタノール、エタノール等の溶媒中で光学活性アミノ置換アルカノール(IV)を作用させることにより行われる。
【0014】
上記反応において使用される化合物(II)のうち、R3が含窒素複素環基や置換アミノ基である化合物(II)’は、例えば、下記反応式に従い、式(VIII)で表されるフェニル誘導体に式(IX)で表される含窒素複素環化合物または置換アミンを作用させることにより製造される。
【0015】
【化13】
(式中、R2およびR’は前記した意味を有し、R3’は含窒素複素環基または置換アミノ基を示す)
【0016】
また、光学活性アミノ置換アルカノール(IV)は、容易に入手できる公知化合物か、公知化合物に準じて調製できる化合物である。
【0017】
上記反応により得られた化合物は、更に、下式に従い、閉環反応に付すことにより光学活性三環式化合物(I)とされる。
【0018】
【化14】
(式中、R1、R2、R3およびR’は前記した意味を有する)
【0019】
上記閉環反応は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン等の溶媒中、140〜165℃程度の温度でフッ化カリウム、t−ブトキシカリウム等を作用させた後、更に、乾燥ジオキサン、DMF等の溶媒中、80〜95℃程度の温度で水素化ナトリウムを作用させることにより行われる。
【0020】
斯くすることにより、光学活性三環式化合物(I)が得られるが、この化合物において、基R’が低級アルキル基である化合物は、更に常法に従い、脱エステル化反応に付すことにより、R’が水素原子である化合物を得ることができる。
【0021】
以上の本発明方法により得られる光学活性三環式化合物(I)は、必要により、適当な精製手段、例えばカラムクロマトグラフィー等に付し、医薬あるいはその原料化合物として使用することができる。
【0022】
【実施例】
以下実施例を挙げ本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。
【0023】
実 施 例 1
エチル 2,3,5−トリフルオロ−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)−ベンゾイル酢酸エステルの合成:
エチル2,3,4,5−テトラフルオロベンゾイル酢酸エステル 238gとN−メチルピペラジン 94.2mLを炭酸水素ナトリウム 76gとともにアセトニトリル中で3時間加熱環流した。反応終了後、減圧濃縮し、更に水を加え、クロロホルムで抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去し、油状物として表題化合物 303.7g(98%)を得た。
【0024】
実 施 例 2
エチル 2−[2,3,5−トリフルオロ−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾイル]−3−(1−ヒドロキシプロピ−2−イルアミノ)アクリル酸エステルの合成:
エチル 2,3,5−トリフルオロ−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾイル酢酸エステル 303.7gとN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール 162mLを、1000mLのトルエン中に加え、100−120℃で1時間加熱攪拌した。反応終了後、減圧濃縮した。
【0025】
次いで、これに氷冷下、S(−)2−アミノプロパノール 108.7gとエタノール 200mLを加え、室温で2時間攪拌した。反応終了後減圧濃縮し、油状物として表題化合物 374.9gを得た。
【0026】
実 施 例 3
S−(−)−9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−d e ][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸(レボフロキサシン)の合成:
エチル 2−[2,3,5−トリフルオロ−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾイル]−3−(1−ヒドロキシプロピ−2−イルアミノ)アクリル酸エステル 31gとフッ化カリウム(KF) 12.9gを、450mLのDMF中に取り、140−165℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、クロロホルムで抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去し、酢酸エチルから再結晶して28.0gの結晶を得た。この結晶を2700mLの乾燥ジオキサンに溶かし、水素化ナトリウム 2.7gを加え、80−95℃にて1時間加熱攪拌してS−(−)−9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸エチルエステルを得た。
【0027】
上記で得たエチルエステル(28.0g)に0.2Nの水酸化ナトリウム溶液 1125mLを加え、さらに0.5時間加熱攪拌した。溶媒を濃縮した後、水を加え希酢酸で中和し、クロロホルムで抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去し、更に酢酸エチルから再結晶して表題化合物 19.6gを得た。
【0028】
融 点 : 225−7℃(分解)
旋 光 度 : −76.9°(0.05N NaOH)
光学純度 : 100%ee
【0029】
【発明の効果】
本発明方法は、不斉源として高純度でかつ安価なものが入手できるS(−)2−アミノプロパノール等の光学活性アミノ置換アルカノールを使用する方法であり、かつ、収率を大幅に低下させる光学分割等の工程を含まないものである。
【0030】
従って、本発明方法は、レボフロキサシン等の光学活性三環式化合物を工業的に有利に製造する方法として利用できるものである。
以 上
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学活性な三環式化合物の製造方法に関し、更に詳細には、工程途中で光学分割や不斉合成を行うことのない光学活性三環式化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下記式(I)で表される光学活性三環式化合物には、薬学的に有用な化合物が含まれている。
【0003】
【化5】
(式中、R1は低級アルキル基を、R2は水素原子またはハロゲン原子を、R3はハロゲン原子、置換アミノ基または含窒素複素環基を示し、R’は水素原子または低級アルキル基を示す)
【0004】
例えば、上記化合物のうち、基R’が水素原子で、基R1が3位のメチル基、R2が9位のフルオロ原子、R3が10位の4−メチルピペラジニル基である化合物(S−(−)−9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−d e][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸)はレボフロキサシンと呼ばれる化合物であり、広範囲抗菌剤として広く使用されている薬物である。
【0005】
従来、式(I)で表される光学活性三環式化合物は、光学活性体の分離工程を含む複雑な方法により製造されていた。例えば、上記のレボフロキサシンは、式(VI)
【化6】
で表される3−メチル−7,8,−ジフルオロ−1,4ベンゾオキサジンと光学活性プロリン誘導体を用い、ジアステレオマー分離工程を経る方法や、中間体である式(VII)
【化7】
の9,10−ジフルオロ−3−ヒドロキシメチル−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−d e][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸を3−(3,5−ジメチルベンゾイルオキシ)メチル体に導き、これを高速液体クロマトグラフィで2種の光学活性体に分離する工程を経由して、最終物の異性体を得る方法(共に特公平3−27534号)により製造される。
【0006】
特公平3−27534号に記載される上記合成方法によれば、ジアステレオマー分離もしくは光学分割により半分の異性体は捨てられてしまうという問題がある。また、ジアステレオマー分離や高速液体クロマトグラフィシステム自体効率の悪い方法であって、工業的規模の製造には不向きである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、これらの手段を使用せず、入手可能な光学活性単位を使用し、光学活性三環式化合物を安価でかつ大量に製造する新しい方法の提供をその課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、入手可能な光学活性単位を利用する上記光学活性三環式化合物(I)の合成方法について種々検討を行った結果、光学活性単位としてアミノ置換アルカノール化合物を使用することにより上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、次の式(II)
【化8】
(式中、R2は水素原子またはハロゲン原子を、R3はハロゲン原子、置換アミノ基または含窒素複素環基を示し、R’は水素原子または低級アルキル基を示す)で表される化合物にN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールおよび次の式(IV)
【化9】
(式中、R1は低級アルキル基を示す)
で表される光学活性アミノ置換アルカノールを作用させて、次の式(V)
【化10】
(式中、R1、R2、R3およびR’は前記した意味を有する)
で表される化合物とし、これを、閉環反応に付すことを特徴とする次の式(I)
【化11】
(式中、R1、R2、R3およびR’は前記した意味を有する)
で表される光学活性三環式化合物の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の式(I)で表される光学活性三環式化合物において、基R1の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1から4のアルキル基が挙げられる。また、基R2としては、水素原子、フッ素原子等のハロゲン原子等が、また、R3としては、ピペラジニル基、メチルピペラジニル基、ピペリジニル基等の含窒素複素環基や、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の置換アミノ基等が挙げられる。更に基R’としては、水素原子や、メチル基、エチル基等の低級アルキル基が挙げられる。
【0011】
本発明方法を実施するには、まず、下記反応式に従い、化合物(II)に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(III)および光学活性アミノ置換アルカノール(IV)を作用させて化合物(V)を得る。
【0012】
【化12】
(式中、R1、R2、R3およびR’は前記した意味を有する)
【0013】
上記反応は、好ましくは、まず、トルエン、キシレン等の溶媒の存在下、100から120℃程度の温度で化合物(II)にN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(III)を作用させた後、氷冷条件、メタノール、エタノール等の溶媒中で光学活性アミノ置換アルカノール(IV)を作用させることにより行われる。
【0014】
上記反応において使用される化合物(II)のうち、R3が含窒素複素環基や置換アミノ基である化合物(II)’は、例えば、下記反応式に従い、式(VIII)で表されるフェニル誘導体に式(IX)で表される含窒素複素環化合物または置換アミンを作用させることにより製造される。
【0015】
【化13】
(式中、R2およびR’は前記した意味を有し、R3’は含窒素複素環基または置換アミノ基を示す)
【0016】
また、光学活性アミノ置換アルカノール(IV)は、容易に入手できる公知化合物か、公知化合物に準じて調製できる化合物である。
【0017】
上記反応により得られた化合物は、更に、下式に従い、閉環反応に付すことにより光学活性三環式化合物(I)とされる。
【0018】
【化14】
(式中、R1、R2、R3およびR’は前記した意味を有する)
【0019】
上記閉環反応は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン等の溶媒中、140〜165℃程度の温度でフッ化カリウム、t−ブトキシカリウム等を作用させた後、更に、乾燥ジオキサン、DMF等の溶媒中、80〜95℃程度の温度で水素化ナトリウムを作用させることにより行われる。
【0020】
斯くすることにより、光学活性三環式化合物(I)が得られるが、この化合物において、基R’が低級アルキル基である化合物は、更に常法に従い、脱エステル化反応に付すことにより、R’が水素原子である化合物を得ることができる。
【0021】
以上の本発明方法により得られる光学活性三環式化合物(I)は、必要により、適当な精製手段、例えばカラムクロマトグラフィー等に付し、医薬あるいはその原料化合物として使用することができる。
【0022】
【実施例】
以下実施例を挙げ本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。
【0023】
実 施 例 1
エチル 2,3,5−トリフルオロ−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)−ベンゾイル酢酸エステルの合成:
エチル2,3,4,5−テトラフルオロベンゾイル酢酸エステル 238gとN−メチルピペラジン 94.2mLを炭酸水素ナトリウム 76gとともにアセトニトリル中で3時間加熱環流した。反応終了後、減圧濃縮し、更に水を加え、クロロホルムで抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去し、油状物として表題化合物 303.7g(98%)を得た。
【0024】
実 施 例 2
エチル 2−[2,3,5−トリフルオロ−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾイル]−3−(1−ヒドロキシプロピ−2−イルアミノ)アクリル酸エステルの合成:
エチル 2,3,5−トリフルオロ−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾイル酢酸エステル 303.7gとN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール 162mLを、1000mLのトルエン中に加え、100−120℃で1時間加熱攪拌した。反応終了後、減圧濃縮した。
【0025】
次いで、これに氷冷下、S(−)2−アミノプロパノール 108.7gとエタノール 200mLを加え、室温で2時間攪拌した。反応終了後減圧濃縮し、油状物として表題化合物 374.9gを得た。
【0026】
実 施 例 3
S−(−)−9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−d e ][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸(レボフロキサシン)の合成:
エチル 2−[2,3,5−トリフルオロ−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾイル]−3−(1−ヒドロキシプロピ−2−イルアミノ)アクリル酸エステル 31gとフッ化カリウム(KF) 12.9gを、450mLのDMF中に取り、140−165℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、クロロホルムで抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去し、酢酸エチルから再結晶して28.0gの結晶を得た。この結晶を2700mLの乾燥ジオキサンに溶かし、水素化ナトリウム 2.7gを加え、80−95℃にて1時間加熱攪拌してS−(−)−9−フルオロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−2,3−ジヒドロ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸エチルエステルを得た。
【0027】
上記で得たエチルエステル(28.0g)に0.2Nの水酸化ナトリウム溶液 1125mLを加え、さらに0.5時間加熱攪拌した。溶媒を濃縮した後、水を加え希酢酸で中和し、クロロホルムで抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去し、更に酢酸エチルから再結晶して表題化合物 19.6gを得た。
【0028】
融 点 : 225−7℃(分解)
旋 光 度 : −76.9°(0.05N NaOH)
光学純度 : 100%ee
【0029】
【発明の効果】
本発明方法は、不斉源として高純度でかつ安価なものが入手できるS(−)2−アミノプロパノール等の光学活性アミノ置換アルカノールを使用する方法であり、かつ、収率を大幅に低下させる光学分割等の工程を含まないものである。
【0030】
従って、本発明方法は、レボフロキサシン等の光学活性三環式化合物を工業的に有利に製造する方法として利用できるものである。
以 上
Claims (2)
- 基R1が3位のメチル基、基R2が9位のフッ素原子、基R3が10位の4−メチルピペラジニル基、基R’が水素原子である請求項第1項記載の光学活性三環式化合物の製造方法。
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JP2002262283A JP2004099494A (ja) | 2002-09-09 | 2002-09-09 | 光学活性三環式化合物の製造方法 |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008507507A (ja) * | 2004-07-21 | 2008-03-13 | ユーハン・コーポレイション | レボフロキサシンまたはその水和物の製造方法 |
EP1939206A1 (en) * | 2006-12-22 | 2008-07-02 | Farmaprojects, S.A. | Process for the preparation of an antibacterial quinolone compound |
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US8877945B2 (en) | 2009-05-15 | 2014-11-04 | Redx Pharma Limited | Redox drug derivatives |
CN112552260A (zh) * | 2019-09-26 | 2021-03-26 | 宜昌东阳光长江药业股份有限公司 | 左氧氟沙星及其中间体的制备方法 |
CN112552261A (zh) * | 2019-09-26 | 2021-03-26 | 宜昌东阳光长江药业股份有限公司 | 左氧氟沙星及其中间体的制备方法 |
-
2002
- 2002-09-09 JP JP2002262283A patent/JP2004099494A/ja active Pending
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