関連出願
本出願は米国仮特許出願第60/315,745号(2001年8月30日出願)及び米国仮特許出願第60/334,059号(2001年11月30日出願)の優先権を主張する(これらはともにその全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。
本発明は、増大した血清安定性又は血清半減期を有する治療タンパク質又は治療ペプチドに関し、詳細には、グリコシル化、鉄の結合及び/もしくはトランスフェリン受容体の結合を低下させるか、又は阻害するように改変されたトランスフェリン分子に融合又は挿入された治療タンパク質又は治療ペプチドに関する。
治療タンパク質又は治療ペプチドは、典型的には、その天然の状態において、又は組換え製造されたとき、短期間の血清安定性又は短い血清半減期を示す不安定な分子である。また、これらの分子は、配合されたとき、特に、診断目的及び治療目的のために水溶液で配合されたときには極めて不安定であることが多い。
タンパク質性治療分子のインビボ又はインビトロでの安定性を長くするか、又は促進するための実用的な溶液はほとんど存在していない。ポリエチレングリコール(PEG)は、タンパク質に結合させることができ、その結果、タンパク質のより長く作用する持続した活性をもたらす物質である。タンパク質の活性がPEGへの結合によって長くなる場合、そのタンパク質を投与しなければならない頻度が減少する。しかしながら、PEGの結合は、多くの場合、タンパク質の治療活性を低下させるか、又は破壊する。
治療タンパク質又は治療ペプチドはまた、治療タンパク質の血清半減期を延ばすことができる異種タンパク質への融合によって安定化されてきている。例えば、アルブミン及び抗体フラグメントに融合された治療タンパク質は、非融合状態の治療タンパク質と比較したとき、延長された血清半減期を示すことがある。米国特許第5,876,969号及び同第5,766,88号を参照のこと。
別の血清タンパク質であるグリコシル化されたヒトトランスフェリン(Tf)もまた、治療タンパク質との融合体を作製して、細胞内への標的送達を行うために、又は血液脳関門を越えて異種の薬剤を運ぶために使用されている。グリコシル化されたヒトTfを含むこれらの融合タンパク質は、全長型Tfをいずれかの薬剤に融合することによって神経増殖因子(NGF)又は毛様体神経栄養因子(CNTF)を血液脳関門を越えて標的化するために使用されている。米国特許第5,672,683号及び同第5,977,307号を参照のこと。これらの融合タンパク質では、分子のTf部分がグリコシル化され、2原子の鉄(これは、Tfが細胞表面のその受容体に結合するために要求される)に結合し、そして、これらの特許の発明者に従って、血液脳関門を越えたNGF成分又はCNTF成分の送達の標的化が行われる。トランスフェリン融合タンパク質はまた、Tf受容体を介した細胞の内部への標的化された送達のための別のTf融合形態を製造することができる能力を調べるために、HIV−1プロテアーゼ配列をグリコシル化トランスフェリンの表面露出ループの中に挿入することによって製造されている(Ali等(1999)、J.Biol.Chem.、274(34):24066〜24073)。
血清トンラスフェリン(Tf)は、循環において鉄と結合し、トランスフェリン受容体(TfR)を介して鉄を様々な組織に輸送する、分子量が80,000ダルトンであるモノマー糖タンパク質である(Aisen等(1980)、Ann.Rev.Biochem.、49:357〜393;MacGillivay等(1981)、J.Biol.Chem.、258:3543〜3553;米国特許第5,026,651号)。Tfは、非常に一般的な血清分子の1つであり、総血清タンパク質の約5%〜10%までを構成している。炭水化物が欠けているトランスフェリンがアルコール中毒患者の血液中に上昇したレベルで存在し、これは、グリコシル化されたトランスフェリンの半減期(約7日〜10日)よりも長い半減期(約14日〜17日)を示す。van Eijk等(1983)、Clin.Chim.Acta、132:167〜171;Stibler(1991)、Clin.Chem.、37:2029〜2037(1991);Arndt(2001)、Clin.Chem.、47(1):13〜27及びStibler等、“Carbohydrate−deficient consumption”、Advances in the Biosciences(Nordmann等編集)、Pergamon、1988年、第71巻、353頁〜357頁を参照のこと。
Tfの構造は十分に特徴づけられており、受容体結合、鉄の結合及び放出、並びに炭酸イオン結合の機構が解明されている(米国特許第5,026,651号、同第5,986,067号、及びMacGillivay等(1983)、J.Biol.Chem.、258(6):3543〜3546)。
トランスフェリン及びトランスフェリン受容体と結合する抗体もまた、ガン治療として毒性薬剤を腫瘍細胞に送達又は運搬するために使用されており(Baselga及びMendelson、1994)、そしてトランスフェリンは、DNAを細胞に送達するためのビヒクルに対する非ウイルス性遺伝子治療ベクターとして使用されている(Frank等、1994;Wagner等、1992)。トランスフェリン受容体を進入点として使用してタンパク質を中枢神経系(CNS)に送達することができることが、CD4(Walus等、1996)、脳由来神経栄養因子(Pardridge等、1994)、グリア由来神経栄養因子(Albeck等)、血管腸ペプチドアナログ(Bickel等、1993)、βアミロイドペプチド(Saito等、1995)及びアンチセンスオリゴヌクレオチド(Pardridge等、1995)を含むいくつかのタンパク質及びペプチドを用いて明らかにされている。
しかしながら、トランスフェリン融合タンパク質は、Tf成分のグリコシル化を低下させるか、又は阻害することによって、治療タンパク質又は治療ペプチドの血清半減期を延ばすか、又は生物利用性を増大させるために、或いは、鉄及び/又はTf受容体の結合を低下させるか、又は妨げるために改変又は操作されていない。
より詳細には下記に記載されるように、本発明は、少なくとも1つの治療用のタンパク質実体、ポリペプチド実体又はペプチド実体を含む改変されたTf融合タンパク質で、分子の血清半減期又は生物利用性を延ばすためにTf部分が操作されているTf融合タンパク質を包含する。本発明はまた、そのような融合タンパク質を含む薬学的配合物及び薬学的組成物、改変されたトランスフェリンへの融合によって治療タンパク質の血清安定性及び血清半減期及び生物利用性を延ばす方法、改変されたTf融合タンパク質をコードする核酸分子等を包含する。本発明の別の態様は、改変されたTf融合タンパク質を用いて患者を処置する方法に関する。
好ましい実施形態において、改変されたTf融合タンパク質は、グリコシル化並びに/又は鉄結合及び受容体結合を低下させるか、又は妨げるために操作されているヒトトランスフェリンTf成分を含む。
一般的な記載
治療タンパク質(例えば、ポリペプチド、抗体もしくはペプチド、又はそれらのフラグメント及び変化体)が、治療用のタンパク質、ポリペプチド又はペプチドを、血清中のその半減期を延ばすために十分な改変されたトランスフェリンの全体又は一部に遺伝子的に融合又は化学的にコンジュゲート化することによってインビボで長期間にわたって血清半減期を延ばし、且つ/又は治療タンパク質の活性を保持するために安定化され得ることが発見されている。改変されたトランスフェリン融合タンパク質は、治療タンパク質又は治療ペプチドに共有結合的に連結されたトランスフェリンタンパク質又はトランスフェリンドメインを含み、この場合、トランスフェリン部分が、野生型のトランスフェリン配列と比較したとき、1つ以上のアミノ酸置換、アミノ酸挿入又はアミノ酸欠失を含有するように改変されている。1つの実施形態において、Tf融合タンパク質は、Tf内又はTfドメイン内のグリコシル化を低下させ、又は妨げるために操作される。他の実施形態において、Tfタンパク質又はTfドメイン(1つ又は複数)は、鉄又は炭酸イオンへの低下した結合を示すか、或いは鉄又は炭酸イオンへの結合を示さないか、或いはTf受容体(TfR)に対する低下した親和性を有するか、又はTf受容体(TfR)に結合しないように改変される。
従って、本発明は、トランスフェリン融合タンパク質、該融合タンパク質を含む治療組成物、及び該融合タンパク質を投与することによって疾患又は障害を処置、防止又は改善する方法を包含する。本発明のトランスフェリン融合タンパク質は、少なくとも治療タンパク質のフラグメント又は変化体と、少なくとも改変されたトランスフェリンのフラグメント又は変化体とを含み、それらは、好ましくは遺伝子融合(すなわち、治療タンパク質の全体又は一部をコードするポリヌクレオチドが、改変されたトランスフェリンの全体又は一部をコードするポリヌクレオチドと読み枠を合わせて連結されている核酸の翻訳によって、トランスフェリン融合タンパク質が生じる)によって、或いは相互の化学的コンジュゲート化によって相互に結合される。治療タンパク質及びトランスフェリンタンパク質は、トランスフェリン融合タンパク質の一部となったとき、トランスフェリン融合タンパク質の「部分」、「領域」又は「成分」(例えば、「治療タンパク質部分」又は「トランスフェリンタンパク質部分」)と呼ばれることがある。
1つの実施形態において、本発明は、治療タンパク質及び改変された血清トランスフェリンタンパク質を含むトランスフェリン融合タンパク質、或いは治療タンパク質及び改変された血清トランスフェリンタンパク質からなるトランスフェリン融合タンパク質を提供する。別の実施形態において、本発明は、治療タンパク質の生物学的に活性なフラグメント及び/又は治療活性なフラグメントと、改変された血清トランスフェリンタンパク質とを含むトランスフェリン融合タンパク質、或いは治療タンパク質の生物学的に活性なフラグメント及び/又は治療活性なフラグメントと、改変された血清トランスフェリンタンパク質とからなるトランスフェリン融合タンパク質を提供する。他の実施形態において、本発明は、治療タンパク質の生物学的に活性な変化体及び/又は治療活性な変化体と、改変された血清トランスフェリンタンパク質とを含むトランスフェリン融合タンパク質、或いは治療タンパク質の生物学的に活性な変化体及び/又は治療活性な変化体と、改変された血清トランスフェリンタンパク質とからなるトランスフェリン融合タンパク質を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、治療タンパク質と、改変されたトランスフェリンの生物学的に活性なフラグメント及び/又は治療活性なフラグメントとを含むトランスフェリン融合タンパク質、或いは治療タンパク質と、改変されたトランスフェリンの生物学的に活性なフラグメント及び/又は治療活性なフラグメントとからなるトランスフェリン融合タンパク質を提供する。別の実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質の治療タンパク質部分は治療タンパク質の活性な形態である。
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法及び物質に類似するか、又は同等な方法及び物質はどれも、本発明を実施又は試験において使用することができるが、好ましい方法及び物質が記載される。
定義
本明細書中で使用される用語「生物学的活性」は、生物学的環境において(すなわち、生物又はそのインビトロ複製体において)治療用の分子、タンパク質又はペプチドによって発揮される1つの機能又は一組の機能を示す。生物学的活性には、請求項に記載される融合タンパク質の治療分子部分の機能(これに限定されない)を挙げることができ、例えば、応答し得る細胞系統からの細胞外マトリックス分泌の誘導、ホルモン分泌の誘導、走化性の誘導、有糸分裂誘発の誘導、分化の誘導、又は応答し得る細胞の細胞分裂の誘導等を挙げることができるが、これらに限定されない。本発明の融合タンパク質又は融合ペプチドは、治療タンパク質のその天然の対応体の生物学的活性の1つ以上を示すならば、生物学的に活性であると見なされる。
本明細書中で使用される場合、トランスフェリン配列における「に対応するアミノ酸」又は「等価なアミノ酸」は、第1のトランスフェリン配列と少なくとも第2のトランスフェリン配列との間における同一性又は類似性を最大にするためのアラインメントによって同定される。第2のトランスフェリン配列における等価なアミノ酸を同定するために使用される数は、第1のトランスフェリン配列における対応するアミノ酸を同定するために使用される数に基づく。場合により、これらの表現は、ウサギの血清トランスフェリンにおける特定の残基と比較して、ヒトトランスフェリンにおけるアミノ酸残基を記載するために使用されることがある。
本明細書中で使用される用語「Tfタンパク質のフラグメント」、用語「Tfタンパク質」又は用語「Tfタンパク質の一部」は、天然に存在するTfタンパク質又はその変異体の少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%を含むアミノ酸配列を示す。
本明細書中で使用される用語「遺伝子」は、生物学的機能に関連する任意のDNAセグメントを示す。従って、遺伝子には、コード配列、及び/又はその発現のために要求される調節配列が含まれるが、これらに限定されない。遺伝子はまた、例えば、他のタンパク質に対する認識配列を形成する発現されないDNAセグメントを含むことができる。遺伝子は、目的とする供給源からクローン化すること、又は既知の配列情報もしくは予測される配列情報から合成することを含むが、様々な供給源から得ることができ、そして所望するパラメーターを有するように設計された配列を含むことができる。
本明細書中で使用される「異種のポリヌクレオチド」、「異種の核酸」、「異種の遺伝子」、「異種の配列」又は「外因性DNAセグメント」は、特定の宿主細胞に対して外来である供給源に由来するポリヌクレオチド、核酸又はDNAセグメントを示し、或いは、同じ供給源に由来する場合、その元の形態から改変されている。宿主細胞における異種の遺伝子には、特定の宿主細胞に対して内因性であるが、改変されている遺伝子が含まれる。従って、これらの用語は、細胞に対して外来もしくは異種であるDNAセグメント、又はエレメントが通常的には見出されない宿主細胞核酸における位置においてだけ細胞に対して相同的であるDNAセグメントを示す。一例として、酵母細胞に対して生来的であるが、ヒトTf配列に結合しているシグナル配列は異種である。
本明細書中で使用される「単離された」核酸配列は、他の核酸配列を本質的には含まない核酸配列、例えば、アガロースゲル電気泳動によって測定されたとき、少なくとも約20%純粋である(好ましくは少なくとも約40%純粋、より好ましくは約60%純粋、さらにより好ましくは約80%純粋、最も好ましくは約90%純粋、さらに最も好ましくは約95%純粋である)核酸配列を示す。例えば、単離された核酸配列は、核酸配列を、その天然の存在位置から、その核酸配列が再生産される異なる部位に再配置するための遺伝子工学において使用される標準的なクローニング手法によって得ることができる。クローニング手法では、ポリペプチドをコードする核酸配列を含む所望する核酸フラグメントの切り出し及び単離、ベクター分子へのフラグメントの挿入、並びに核酸配列の多数のコピー又はクローンが複製される宿主細胞内への組換えベクターの取り込みが伴い得る。核酸配列は、ゲノム起源、cDNA起源、RNA起源、半合成起源、合成起源、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
本明細書中で使用される場合、2つ以上のDNAコード配列は、それらのDNAコード配列の間における読み枠を合わせた融合の結果として、DNAコード配列がポリペプチド融合体に翻訳されるときに「連結」又は「融合」されていると言われる。Tf融合体に関する用語「融合」には、少なくとも1つの治療用のタンパク質、ポリペプチド又はペプチドをTfのN末端に結合すること、TfのC末端に結合すること、及び/又はTf内において任意の2つのアミノ酸の間に挿入することが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される「改変されたトランスフェリン」は、野生型のトランスフェリンと比較して、そのアミノ酸配列の少なくとも1つの改変を示すトランスフェリン分子を示す。
本明細書中で使用される「改変されたトランスフェリン融合タンパク質」は、改変されたトランスフェリンの少なくとも1つの分子(又はそのフラグメントもしくは変化体)を、治療タンパク質の少なくとも1つの分子(又はそのフラグメントもしくは変化体)に融合することによって形成されるタンパク質を示す。
本明細書中で使用される用語「核酸」又は用語「ポリヌクレオチド」は、一本鎖形態又は二本鎖形態のいずれかで、デキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド及びそれらのポリマーを示す。具体的に限定されない限り、これらの用語は、参照核酸として類似する結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドと類似する様式で代謝される、天然ヌクレオチドのアナログを含有する核酸を包含する。別途示されない限り、ある特定の核酸配列はまた、言うまでもなく、その保存的に改変された変化体(例えば、縮重コドンの置換)、及び相補的配列を、明示的に示される配列と同様に包含する。具体的には、縮重コドンの置換は、1つ以上の選択されたコドン(又はすべてのコドン)の3番目の位置が混合塩基残基及び/又はデオキシイノシン残基で置換される配列を作製することにより達成され得る(Batzer等(1991)、Nucleic Acid Res.、19:5081;Ohtsuka等(1985)、J.Biol.Chem.、260:2605〜2608;Cassol等(1992);Rossolini等(1994)、Mol.Cell.Probes、8:91〜98)。核酸の用語は、遺伝子、cDNA、及び遺伝子によってコードされるmRNAと交換可能に使用される。
本明細書中で使用される場合、DNAセグメントは、別のDNAセグメントとの機能的な関係に置かれているとき、「機能的に連結されている」として示される。例えば、シグナル配列に対するDNAは、融合タンパク質の分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、本発明の融合タンパク質をコードするDNAに機能的に連結されている。プロモーター又はエンハンサーは、プロモーター又はエンハンサーにより配列の転写が刺激される場合、コード配列に機能的に連結されている。一般に、機能的に連結されているDNA配列は連続しており、そしてシグナル配列又は融合タンパク質の場合には、連続し、且つ読み取り相が一致している。しかし、エンハンサーは、その転写がエンハンサーによって制御されるコード配列と連続している必要はない。これに関連して、連結は、都合のよい制限部位において、又はその代わりに挿入されているアダプターもしくはリンカーにおいて連結することによって達成される。
本明細書中で使用される用語「プロモーター」は、RNAポリメラーゼと結合して、転写を開始させることに関与するDNA領域を示す。
本明細書中で使用される用語「組換え」は、組換えDNAによる形質転換を受けている細胞、組織又は生物を示す。
本明細書中で使用される場合、標的化実体、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドは、特定の細胞タイプ[正常(例えば、リンパ球)又は異常、例えば(ガン細胞)]に特異的に結合するそのような分子を示し、従って、Tf融合タンパク質又は化合物(薬物又は細胞傷害性薬剤)をその細胞タイプに特異的に標的化するために使用することができる。
本明細書中で使用される「治療タンパク質」は、1つ以上の治療活性及び/又は生物学的活性を有する、タンパク質、ポリペプチド、抗体、ペプチド、又はそれらのフラグメントもしくは変化体を示す。本発明によって包含される治療タンパク質には、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体及び生物製剤が含まれるが、これらに限定されない。ペプチド、タンパク質及びポリペプチドのこれらの用語は本明細書中では交換可能に使用される。また、用語「治療タンパク質」は、治療タンパク質の内因性相関体又は天然に存在する相関体を示す場合がある。「治療活性」を示すポリペプチド、又は「治療的に活性」であるタンパク質により、治療タンパク質に関連する1つ以上の知られている生物学的活性及び/又は治療活性を有するポリペプチド、例えば、本明細書中に記載されるか、又はそうでなければこの分野で知られている治療タンパク質の1つ以上が意味される。非限定的な例として、「治療タンパク質」は、疾患、状態又は障害を処置、防止又は改善するために有用であるタンパク質である。そのような疾患、状態又は障害はヒト又は非ヒト動物(例えば、獣医学的使用)に存在し得る。
本明細書中で使用される用語「形質転換」は、細胞内への核酸(すなわち、ヌクレオチドポリマー)の移入を示す。本明細書中で使用される用語「遺伝的形質転換」は、細胞内へのDNA(特に、組換えDNA)の移入及び取り込みを示す。
本明細書中で使用される用語「形質転換体」は、形質転換を受けている細胞、組織又は生物を示す。
本明細書中で使用される用語「導入遺伝子」は、その機能を保証する様式で生物、宿主細胞又はベクターに挿入される核酸を示す。
本明細書中で使用される用語「遺伝子導入(された)」は、形質転換の様々な方法のいずれかによって、外来遺伝子又は改変された遺伝子、具体的には、改変されたTf融合タンパク質をコードする遺伝子を受け取っている細胞、細胞培養物、生物、細菌、菌類、動物、植物、及び前記のいずれかの子孫を示す。この場合、外来遺伝子又は改変された遺伝子は、外来遺伝子又は改変された遺伝子を受け取っている生物の種と同じ種又は異なる種に由来する。
「変化体又は変化型」は、参照の核酸又はポリヌクレオチドとは異なるが、その本質的な性質を保持しているポリヌクレオチド又は核酸を示す。一般に、変化体は、全体的に非常に類似しており、多くの領域において、参照の核酸又はポリヌクレオチドと同一である。本明細書中で使用される「変化体」は、天然の治療タンパク質とは配列が異なるが、本明細書中のどこかに記載されるか、又はそうでない場合にはこの分野で知られている少なくとも1つの機能的性質及び/又は治療的性質を保持している本発明のトランスフェリン融合タンパク質の治療タンパク質部分を示す。
本明細書中で使用される「ベクター」は、広義には、外因性核酸をコードする任意のプラスミド、ファージミド又はウイルスを示す。この用語はまた、ビリオン内又は細胞内への核酸の移入を容易にする非プラスミド化合物、非ファージミド化合物及び非ウイルス化合物、例えば、ポリリシン化合物等を含むように解釈される。ベクターは、核酸又はその変異体を細胞に送達するための送達ビヒクルとして好適であるウイルスベクターであり得るか、或いは、ベクターは、同じ目的のために好適である非ウイルスベクターであり得る。DNAを細胞及び組織に送達するためのウイルスベクター及び非ウイルスベクターの様々な例が、この分野では十分に知られており、例えば、Ma等(1997、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、94:12744〜12746)に記載される。ウイルスベクターの例には、限定されないが、組換えワクシニアウイルス、組換えアデノウイルス、組換えレトロウイルス、組換えアデノ関連ウイルス、組換え鳥痘ウイルス等が含まれる(Cranage等、1986、EMBO J.、5:3057〜3063;国際特許出願公開WO94/17810号(1994年8月18日公開);国際特許出願公開WO94/23744号(1994年10月27日公開)。非ウイルスベクターの例には、リポソーム、DNAのポリアミン誘導体等が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される用語「野生型」は、天然に存在するポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列を示す。
トランスフェリン及びトランスフェリン改変体
任意のトランスフェリンを、本発明の改変されたTf融合タンパク質を作製するために使用することができる。野生型ヒトTf(Tf)は、約75kDa(グリコシル化を含まない)である679アミノ酸のタンパク質であり、Nドメイン(約330アミノ酸)及びCドメイン(約340アミノ酸)の、遺伝子重複に由来すると考えられる2つの主要なドメインを有する。GenBankアクセション番号NM001063、同XM002793、同M12530、同XM039845、同XM039847及び同S95936(www.ncbi.nlm.nih.gov/)(これらはすべて、その全体が参考として本明細書中に組み込まれる)、並びに配列番号1、配列番号2及び配列番号3を参照のこと。これらの2つのドメインは、時間とともに異なってきているが、大きな程度の同一性/類似性を保持している(図1)。
Nドメイン及びCドメインはそれぞれが、さらに2つのサブドメインに、すなわち、N1及びN2に、そしてC1及びC2に分けられる。Tfの機能は、鉄を身体の細胞に輸送することである。このプロセスは、すべての細胞(特に、活発に増殖している細胞)で発現するTf受容体(TfR)によって媒介される。TfRはTfの鉄結合型形態(その内の2つが1つの受容体に結合する)を認識し、その後、エンドサイトーシスが起こり、それにより、TfR/Tf複合体がエンドソームに輸送され、エンドソームにおいて、pHの局所的低下により、結合している鉄の放出が生じ、そして細胞表面へのTfR/Tf複合体の再循環、及び(その鉄非結合型形態でのアポTfとして知られている)Tfの放出がもたらされる。受容体の結合はTfのCドメインを介して生じる。グリコシル化されていない鉄結合型Tfは受容体と結合するので、Cドメインにおける2つのグリコシル化部位は、受容体結合に関与していないようである。
各Tf分子は2原子の鉄を運搬することができる。これらは、N1及びN2のサブドメインの間の空間において、そしてC1及びC2のサブドメインの間の空間において複合体化され、分子の立体配座的変化をもたらしている。Tfは、Tf受容体を介して血液脳関門(BBB)を越える。
ヒトトランスフェリンにおいて、鉄結合部位が、少なくとも、Asp63(本来のTfシグナル配列を含む配列番号2のAsp82)、Asp392(配列番号2のAsp411)、Tyr95(配列番号2のTyr114)、Tyr426(配列番号2のTyr445)、Tyr188(配列番号2のTyr207)、Tyr514又はTyr517(配列番号2のTyr533又はTyr536)、His249(配列番号2のHis268)、His585(配列番号2のHis604)のアミノ酸から構成され、ヒンジ領域が、少なくとも、Nドメインのアミノ酸残基94〜96、アミノ酸残基245〜247及び/又はアミノ酸残基316〜318、並びにCドメインのアミノ酸残基425〜427、アミノ酸残基581〜582及び/又はアミノ酸残基652〜658から構成され、炭酸塩結合部位が、少なくとも、Thr120(配列番号2のThr139)、Thr452(配列番号2のThr471)、Arg124(配列番号2のArg143)、Arg456(配列番号2のArg475)、Ala126(配列番号2のAla145)、Ala458(配列番号2のAla477)、Gly127(配列番号2のGly146)、Gly459(配列番号2のGly478)のアミノ酸から構成される。
本発明の1つの実施形態において、改変されたトランスフェリン融合タンパク質は、改変されたヒトトランスフェリンを含むが、任意の動物のTf分子を、本発明の融合タンパク質を製造するために使用することができ、これには、ヒトTf変化体、ウシ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ウサギ、ラット、マウス、ハムスター、ハリモグラ、カモノハシ、ニワトリ、カエル、イモムシ、サル、並びに、他のウシ亜科種、イヌ類種及び鳥類種が含まれる(Tf配列の代表的な集団については図2を参照のこと)。これらのTf配列はすべてが、GenBank及び他の公開されているデータベースにおいて容易に得ることができる。ヒトTfのヌクレオチド配列を得ることができ(配列番号1、2及び3を参照のこと。上記に記載されたアクセション番号はwww.ncbi.nlm.nih.gov/において利用することができる)、そして、Tf又はTfのドメインと選ばれた治療分子との遺伝子融合体を作製するために使用することができる。融合体はまた、ラクトトランスフェリン(ラクトフェリン)(GenBank Acc:NM_002343)等の関連する分子からも作製することができる。
ラクトフェリン(Lf)は、天然の鉄結合性防御タンパク質であり、抗菌活性、抗真菌活性、抗ウイルス活性、抗新生物活性及び抗炎症活性を有することが見出されている。このタンパク質は、正常なフローラに一般にはさらされる外分泌性分泌物、すなわち、乳汁、涙、鼻腔浸出液、唾液、気管支粘液、胃腸液、頸膣粘液及び精液に存在する。また、Lfは、循環している多形核好中球(PMN)の二次的な特異的顆粒の主要な構成成分である。アポタンパク質が、敗血症領域におけるPMNの脱顆粒化のときに放出される。Lfの主要な機能は、体液及び炎症領域における遊離鉄を除去し、その結果、フリーラジカルにより媒介される損傷を抑制し、侵入中の微生物細胞及び新生物細胞に対する金属の利用性を低下させるという機能である。成体における125I−Lfの代謝回転速度を調べた研究において、LFが肝臓及び脾臓によって迅速に取り込まれ、そして放射能が肝臓及び脾臓に数週間にわたって持続したことが示された(Bennett等(1979)、Clin.Sci.(Lond.)、57:453〜460)。
別の実施形態において、本発明のトランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分はトランスフェリンのスプライス変化体を含む。一例において、トランスフェリンのスプライス変化体はヒトトランスフェリンのスプライス変化体であり得る。1つの具体的な実施形態において、ヒトトランスフェリンのスプライス変化体はGenBankアクセションAAA61140のスプライス変化体であり得る。別の実施形態において、本発明のトランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分はラクトフェリンのスプライス変化体を含む。一例において、ヒト血清ラクトフェリンのスプライス変化体は好中球ラクトフェリンの新規なスプライス変化体であり得る。1つの具体的な実施形態において、好中球ラクトフェリンのスプライス変化体はGenBankアクセションAAA59479のスプライス変化体であり得る。別の具体的な実施形態において、好中球ラクトフェリンのスプライス変化体は、新規なスプライス−バリアンス領域を含む下記のアミノ酸配列EDCIALKGEADA(配列番号8)を含むことができる。
改変されたTf融合体は、任意のTfタンパク質、フラグメント、ドメイン、又は操作されたドメインを用いて作製することができる。例えば、融合タンパク質は、全長のTf配列を使用して製造することができ、これは天然のTfシグナル配列を有してもよく、又は有しなくてもよい。Tf融合タンパク質はまた、1つだけのTfドメインを使用して、例えば、個々のNドメイン又はCドメイン等を使用して作製することができる。いくつかの実施形態において、1つだけのNドメインの使用は、Tfのグリコシル化部位がCドメインに存在し、そしてNドメインは単独では鉄又はTf受容体と結合しないので好都合である。他の実施形態において、1つだけのCドメインに対する治療タンパク質の融合体を製造することができ、この場合、Cドメインは、グリコシル化、鉄結合及び/又はTf受容体結合を低下、阻害又は防止するために変化している。
いくつかの実施形態において、Tf又はTf部分は、非融合状態の治療タンパク質の血清安定性(半減期)、インビトロ安定性又は生物利用性と比較して、治療タンパク質の血清安定性、インビトロ溶液安定性又は生物利用性を増大させるために十分な長さである。安定性、血清半減期又は生物利用性のそのような増大は、融合されていない治療タンパク質を上回る、約30%、50%、70%、80%、90%又はそれ以上の増大であり得る。場合により、改変されたトランスフェリン融合タンパク質は、約10日〜20日もしくはそれ以上、約12日〜18日又は約14日〜17日の血清半減期を示す。
TfのCドメインが融合タンパク質の一部であるとき、2つのN結合型グリコシル化部位(配列番号3のN413及びN611に対応するアミノ酸残基)を、(アシアロ−Tf、又は場合によりモノシアロ−Tfもしくはジシアロ−Tfを製造するために)グリコシル化又は過マンノシル化を妨げ、融合タンパク質及び/又は治療タンパク質の血清半減期を延ばすために、酵母システムにおける発現のために変異させることができる。N413及びN611に対応するTfアミノ酸に加えて、変異を、グリコシル化を妨げるか、又は実質的に低下させるために、N−X−S/Tグリコシル化部位内の隣接残基に対して行うことができる。米国特許第5,986,067号(Funk等)を参照のこと。ピキア・パストリス(Pichia pastoris)で発現させたTfのNドメインは、S32において単一のヘキソースによるO結合型グリコシル化を受けることもまた報告されており、この部位もまた、そのようなグリコシル化を妨げるために変異又は改変することができる。
従って、本発明の1つの実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質は、トランスフェリンが、低下したグリコシル化を示す改変されたトランスフェリン分子を含み、このような分子には、Tfのアシアロ形態、モノシアロ形態及びジシアロ形態が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、グリコシル化を妨げるために変異させられている組換えトランスフェリン変異体を含む。別の実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、完全にグリコシル化されている組換えトランスフェリン変異体を含む。さらなる実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、グリコシル化を妨げるために変異させられている組換えヒト血清トランスフェリン変異体を含み、この場合、配列番号3のAsn413及びAsn611の少なくとも1つが、グリコシル化されないアミノ酸に変異させられている。別の実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、グリコシル化を実質的に妨げるか、又は実質的に低下させるために変異させられている組換えヒト血清トランスフェリン変異体を含み、この場合、変異が、N−X−S/Tグリコシル化部位内の隣接残基に対して行われ得る。
より詳細には下記に記載されるように、本発明の改変されたTf融合タンパク質はまた、鉄と結合しないように、且つ/又はTf受容体と結合しないように操作することができる。本発明の他の実施形態において、鉄の結合は保持され、Tfの鉄結合能を2つの方法で使用することができる。1つは、治療タンパク質又は治療ペプチド(1つ又は複数)を細胞の内部に送達し、且つ/又はBBBを越えて送達するためである。鉄及び/又はTf受容体と結合するこれらの実施形態では、多くの場合、治療タンパク質の血清半減期を延ばすために、グリコシル化が低下するように、又はグリコシル化が妨げられるように操作され得る。Nドメインは単独では、鉄で装填されたとき、TfRに結合せず、鉄と結合したCドメインが、完全な分子と同じ親和性ではないが、TfRと結合する。
別の実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、変異を有する組換えトランスフェリン変異体を含み、この場合、変異体は、金属と結合する能力を保持していない。代わりの実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、変異を有する組換えトランスフェリン変異体を含み、この場合、変異体は、野生型の血清トランスフェリンよりも弱い、金属に対する結合力を有する。代わりの実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、変異を有する組換えトランスフェリン変異体を含み、この場合、変異体は、野生型の血清トランスフェリンよりも強い、金属に対する結合力を有する。
別の実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、変異を有する組換えトランスフェリン変異体を含み、この場合、変異体は、トランスフェリン受容体に結合する能力を保持していない。代わりの実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、変異を有する組換えトランスフェリン変異体を含み、この場合、変異体は、野生型の血清トランスフェリンよりも弱い、トランスフェリン受容体に対する結合力を有する。代わりの実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、変異を有する組換えトランスフェリン変異体を含み、この場合、変異体は、野生型の血清トランスフェリンよりも強い、トランスフェリン受容体に対する結合力を有する。
別の実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、変異を有する組換えトランスフェリン変異体を含み、この場合、変異体は、炭酸塩に結合する能力を保持していない。代わりの実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、変異を有する組換えトランスフェリン変異体を含み、この場合、変異体は、野生型の血清トランスフェリンよりも弱い、炭酸塩に対する結合力を有する。代わりの実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、変異を有する組換えトランスフェリン変異体を含み、この場合、変異体は、野生型の血清トランスフェリンよりも強い、炭酸塩に対する結合力を有する。
別の実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、配列番号3のAsp63、Gly65、Tyr95、Tyr188、His249、Asp392、Tyr426、Tyr514、Tyr517及びHis585からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基に変異を有する組換えヒト血清トランスフェリン変異体を含み、この場合、変異体は、金属と結合する能力を保持している。代わりの実施形態において、配列番号3のAsp63、Gly65、Tyr95、Tyr188、His249、Asp392、Tyr426、Tyr517及びHis585からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基に変異を有する組換えヒト血清トランスフェリン変異体であり、この場合、変異体は、金属と結合する能力が低下している。別の実施形態において、配列番号3のAsp63、Gly65、Tyr95、Tyr188、His249、Asp392、Tyr426、Tyr514、Tyr517及びHis585からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基に変異を有する組換えヒト血清トランスフェリン変異体であり、この場合、変異体は、金属と結合する能力を保持していない。
別の実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、配列番号3のLys206又はHis207に変異を有する組換えヒト血清トランスフェリン変異体を含み、この場合、変異体は、野生型のヒト血清トランスフェリンよりも強い、金属に対する結合力を有する(米国特許第5,986,067号を参照のこと。これはその全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。代わりの実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、配列番号3のLys206又はHis207に変異を有する組換えヒト血清トランスフェリン変異体を含み、この場合、変異体は、野生型のヒト血清トランスフェリンよりも弱い、金属に対する結合力を有する。さらなる実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分は、配列番号3のLys206又はHis207に変異を有する組換えヒト血清トランスフェリン変異体を含み、この場合、変異体は金属と結合しない。
任意の利用可能な技術を、本発明の融合タンパク質を作製するために使用することができ、これには、一般に利用可能な様々な分子技術、例えば、Sambrook等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989年)に開示される技術が含まれるが、これに限定されない。部位特異的変異誘発法を達成するためのこの分野で広く知られている技術を使用してヌクレオチド置換を行うとき、コードされるアミノ酸の変化は、好ましくは、影響が大きくないものであり、すなわち、保存的なアミノ酸置換である。しかし、非保存的な他の置換もまた、特に、Tf融合タンパク質の改変されたトランスフェリン部分を製造するとき、例えば、低下したグリコシル化、低下した鉄結合等を示す改変されたTf融合タンパク質を製造するときには考えられる。特に考えられるのは、典型的には、1アミノ酸〜約30アミノ酸のアミノ酸置換、小さい欠失又は挿入;トランスフェリンドメイン間における挿入;小さいアミノ末端伸長もしくはカルボキシル末端伸長、例えば、アミノ末端のメチオニン残基、或いは、トランスフェリンドメイン間に存在するか、又はトランスフェリンタンパク質及び治療タンパク質もしくは治療ペプチドを連結する、50残基未満、40残基未満、30残基未満、20残基未満又は10残基未満の小さいリンカーペプチド等;或いは、精製を容易にする小さい伸長(例えば、ポリヒスチジン部分、抗原性エピトープ又は結合性ドメイン等)である。
保存的アミノ酸置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン、ヒスチジン等)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸等)、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン等)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン等)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン等)及び小型アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、メチオニン等)のグループ内等の同じグループ内で行われる置換である。
非保存的な置換には、1つのグループのアミノ酸を別のグループのアミノ酸で置換することによる置換が包含される。例えば、非保存的な置換には、極性アミノ酸の疎水性アミノ酸への置換が含まれる。ヌクレオチド置換の一般的な記載については、例えば、Ford等(1991)、Prot.Exp.Pur.、2:95〜107を参照のこと。非保存的置換及び欠失及び挿入は、鉄の結合を示さないか、もしくは鉄の低下した結合を示し、且つ/又はTf受容体に対する融合タンパク質の結合を示さないか、もしくはTf受容体に対する融合タンパク質の低下した結合を示し、且つ/又はグリコシル化を示さないか、もしくは低下したグリコシル化を示す本発明のTF融合タンパク質を製造するために特に有用である。
本発明のポリペプチド及びタンパク質において、下記の系が、下記の慣例的なリストに従ってアミノ酸を表すために従われる。
アミノ酸表
鉄結合及び/又は受容体結合は、TfのNドメイン残基(Asp63、Tyr95、Tyr188、His249)及び/又はCドメイン残基(Asp392、Tyr426、Tyr514及び/又はHis585)の1つ以上に対応するアミノ酸残基の欠失、又はそのようなアミノ酸残基の置換、又はそのようなアミノ酸残基への挿入を含む変異によって低下又は破壊することができる。鉄結合はまた、Lys206、Hys207又はArg632のアミノ酸に対する変異によって影響を受け得る。炭酸塩結合は、TfのNドメイン残基(Thr120、Arg124、Ala126、Gly127)及び/又はCドメイン残基(Thr452、Arg456、Ala458及び/又はGly459)の1つ以上に対応するアミノ酸残基の欠失、又はそのようなアミノ酸残基の置換、又はそのようなアミノ酸残基への挿入を含む変異によって低下又は破壊することができる。酸酸塩結合の低下又は破壊は鉄結合及び/又は受容体結合に対して悪影響を及ぼし得る。
Tf受容体に対する結合は、鉄結合について上記に記載されるTfのNドメイン残基の1つ以上に対応するアミノ酸残基の欠失、又はそのようなアミノ酸残基の置換、又はそのようなアミノ酸残基への挿入を含む変異によって低下又は破壊することができる。
上記で議論されたように、グルコシル化を、Cドメイン残基(N413及び/又はN611)に対応するN−X−S/T部位付近のTfのCドメイン残基の1つ以上に対応するアミノ酸残基の欠失、又はそのようなアミノ酸残基の置換、又はそのようなアミノ酸残基への挿入を含む変異によって低下又は破壊することができる(米国特許第5,986,067号を参照のこと)。例えば、N413及び/又はN611をGlu残基に変異させることができる。
本発明のTf融合タンパク質が、グリコシル化、鉄結合、炭酸塩結合及び/又は受容体結合を妨げるために改変されていない場合、グリコシル化、鉄イオン及び/又は炭酸イオンを融合タンパク質から取り去ることができ、又は融合タンパク質から取り除くことができる。例えば、入手可能なデグリコシラーゼを、融合タンパク質からグリコシル化残基(特に、Tf部分に結合している糖残基)を切断するために使用することができ、且つ/又はグリコシル化酵素欠損酵母を、グリコシル化を防止するために使用することができ、且つ/又は組換え細胞を、グリコシル化を妨げる薬剤(例えば、ツニカマイシン)の存在下で増殖させることができる。
さらなる変異、例えば、鉄結合及び受容体認識のために必要とされるTfの折り畳みを妨げるためのヒンジ領域に対する改変等を、TFの三次元構造を変化させるためにTfに関して行うことができる。例えば、変異を、Nドメインのアミノ酸残基94〜96、アミノ酸残基245〜247及び/又はアミノ酸残基316〜318、並びにCドメインのアミノ酸残基425〜427、アミノ酸残基581〜582及び/又はアミノ酸残基652〜658において、或いはそれらの近くにおいて行うことができる。また、変異を、Tfの構造及び機能を変化させるためにこれらの部位の隣接領域又はその近くにおいて行うことができる。
本発明の1つの態様において、トランスフェリン融合タンパク質は、治療タンパク質の半減期又は生物利用性を延ばすためのキャリアタンパク質として、並びに、場合により、細胞の内部に、且つ/又は血液脳関門を越えて治療タンパク質を送達するキャリアタンパク質として機能し得る。代わりの実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質は、血液脳関門を越える能力をトランスフェリンが保持していない改変されたトランスフェリン分子を含む。
別の実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質は、改変されたトランスフェリン分子を含み、この場合、トランスフェリン分子は、トランスフェリン受容体に結合し、且つ治療ペプチドを細胞の内部に輸送する能力を保持している。代わりの実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質は、改変されたトランスフェリン分子を含み、この場合、トランスフェリン分子は、トランスフェリン受容体に結合し、且つ治療ペプチドを細胞の内部に輸送する能力を保持していない。
さらなる実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質は、改変されたトランスフェリン分子を含み、この場合、トランスフェリン分子は、トランスフェリン受容体に結合し、且つ治療ペプチドを細胞の内部に輸送する能力を保持しているが、血液脳関門を越える能力を保持していない。代わりの実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質は、改変されたトランスフェリン分子を含み、この場合、トランスフェリン分子は、血液脳関門を越える能力を保持しているが、トランスフェリン受容体に結合し、且つ治療ペプチドを細胞の内部に輸送する能力を保持していない。
改変されたトランスフェリン融合タンパク質
本発明のタンパク質融合体は、Tfタンパク質のN末端及び/又はC末端に結合した1コピー以上の治療タンパク質を含有することができる。いくつかの実施形態において、治療タンパク質はTfタンパク質のN末端及びC末端の両方に結合させられ、融合タンパク質は治療タンパク質の1つ以上の等価体をいずれかの末端又は両端に含有することができる。他の実施形態において、治療タンパク質又は治療ポリペプチドが、Tfタンパク質の知られているドメインの中に、例えば、Tfのループ(Ali等(1999)、J.Biolog.Chem.274(34):24066〜24073を参照のこと)の1つ以上の中に挿入される。他の実施形態において、治療タンパク質又は治療ペプチドがTfのNドメインとCドメインとの間に挿入される。
一般に、本発明のトランスフェリン融合タンパク質は、1つの改変されたトランスフェリン由来領域と、1つの治療タンパク質由来領域とを有し得る。しかし、それぞれのタンパク質の多数の領域を、本発明のトランスフェリン融合タンパク質を作製するために使用することができる。同様に、2つ以上の治療タンパク質を、本発明の本発明のトランスフェリン融合タンパク質を作製するために使用することができ、それにより、多機能性の改変されたTf融合タンパク質が製造される。
1つの実施形態において、本発明のトランスフェリン融合タンパク質は、トランスフェリン分子又はその一部に融合された治療タンパク質又はその一部を含有する。別の実施形態において、本発明のトランスフェリン融合タンパク質は、トランスフェリン分子のN末端に融合された治療タンパク質を含有する。代わりの実施形態において、本発明のトランスフェリン融合タンパク質は、トランスフェリン分子のC末端に融合された治療タンパク質を含有する。さらなる実施形態において、本発明のトランスフェリン融合タンパク質は、治療タンパク質のN末端に融合されたトランスフェリン分子を含有する。代わりの実施形態において、本発明のトランスフェリン融合タンパク質は、治療タンパク質のC末端に融合されたトランスフェリン分子を含有する。
さらなる実施形態において、改変されたトランスフェリン分子は、治療ペプチドのN末端である部分に融合されたトランスフェリン分子のN末端を含有する。代わりの実施形態において、改変されたトランスフェリン分子は、治療ペプチドのC末端に融合されたトランスフェリン分子のN末端を含有する。さらなる代わりの実施形態において、改変されたトランスフェリン分子は、治療ペプチドのC末端である部分に融合されたトランスフェリン分子のC末端を含有する。代わりの実施形態おいて、改変されたトランスフェリン分子は、治療ペプチドのN末端に融合されたトランスフェリン分子のC末端を含有する。
他の実施形態において、本発明のトランスフェリン融合タンパク質は、改変されたトランスフェリンのN末端及びC末端の両方に融合された治療タンパク質を含有する。別の実施形態において、N末端及びC末端において融合された治療タンパク質は同じ治療タンパク質である。代わりの実施形態において、N末端及びC末端において融合された治療タンパク質は異なる治療タンパク質である。別の代わりの実施形態において、N末端及びC末端に融合された治療タンパク質は、同じ疾患又は障害又は状態を処置又は防止するために使用され得る異なる治療タンパク質である。別の実施形態において、N末端及びC末端において融合された治療タンパク質は、一般には患者において同時に生じることがこの分野では知られている疾患又は障害を処置又は防止するために使用され得る異なる治療タンパク質である。
改変されたトランスフェリン部分が治療タンパク質部分のN末端及び/又はC末端に融合されている本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質に加えて、本発明の本発明のトランスフェリン融合タンパク質はまた、目的とする治療タンパク質又は治療ペプチド(例えば、本明細書中に開示されるような治療タンパク質又は治療ペプチド、すなわち、例えば、治療タンパク質又はそのフラグメントもしくは変化体と結合する単鎖抗体)を、改変されたトランスフェリンの内部領域に挿入することによって製造することができる。改変されたトランスフェリンの内部領域には、鉄結合部位、ヒンジ領域、重炭酸塩結合部位、又は受容体結合ドメインが含まれるが、これらに限定されない。
改変されたトランスフェリン分子のタンパク質配列には、ジスルフィド結合によって安定化される多数のループ又はターンが存在する。これらのループは、特異的な生物学的活性を有する改変されたトランスフェリン分子を本質的には作製するための、治療活性なペプチド(特に、二次構造が機能的であることを必要とするペプチド)又は治療タンパク質の挿入又は内部融合のために有用である。
治療タンパク質又は治療ペプチドがTf分子の少なくとも1つのループに挿入されるか、Tf分子の少なくとも1つのループを置換するとき、挿入を、Tfの他の領域に加えて、表面露出ループ領域のいずれかにおいて行うことができる。例えば、挿入を、TFのアミノ酸32〜33、アミノ酸74〜75、アミノ酸256〜257、アミノ酸279〜280及びアミノ酸288〜289を含む各ループにおいて行うことができる(Ali等、上掲)(図3参照)。前記に記載されたように、挿入はまた、より詳細には下記に記載されるように、鉄結合及び重炭酸塩結合に対する部位、ヒンジ領域、並びに受容体結合ドメイン等のTfの他の領域において行うことができる。タンパク質又はペプチドを挿入するために改変/置換が容易であるTfタンパク質配列内のループもまた、ランダムペプチド挿入体のスクリーニング可能なライブラリーを開発するために使用することができる。任意の手順を使用して、Tfのドメイン内へのクローニング及び/又はTfの両端への融合に先立って、利用可能なファージディスプレーシステム及び細菌ディスプレーシステムを含むペプチドライブラリーを作製するための核酸挿入体を製造することができる。
TfのN末端は分子の本体に拘束されておらず、分子の本体から離れるように向いている。従って、N末端におけるタンパク質又はペプチドの融合は好ましい実施形態であると考えられる。そのような融合体は、治療タンパク質又は治療ペプチドをTfから隔てるために、ポリグリシン領域(これに限定されない)等のリンカー領域を含むことができる。リーダー配列との接合、リーダー配列の選択、及びコドン操作/最適化によるmRNAの構造(リボソームの進行を阻害する大きなステムループが存在しない)に対する注意は、分泌を増大させ、そして標準的な組換えタンパク質技術を使用して容易に達成することができる。
TfのC末端は、より多くが埋没し、C末端からジスルフィド結合の6アミノ酸によって固定されているようである。ヒトTfにおいて、C末端アミノ酸はプロリンであり、これは、ヒトTfが配向する経路に依存して、融合体を分子の本体から離れるように向かわせるか、又は分子の本体の中に向かわせるかのいずれかである。C末端におけるリンカー成分又はスペーサー成分は本発明のいくつかの実施形態において使用することができる。
さらに別の実施形態において、小分子の治療剤を、細胞の内部への送達及びBBBを越える送達のために、鉄と複合体化し、改変されたTf融合タンパク質に装填することができる。標的化ペプチド(例えば、SCA)の付加により、装填物が特定の細胞タイプ(例えば、ガン細胞)に標的化される。
核酸
様々な核酸分子もまた本発明によって提供される。これらは、治療タンパク質に共有結合的に連結又は結合されたトランスフェリンタンパク質又はトランスフェリンタンパク質の一部を含む改変されたTf融合タンパク質をコードする。より詳細には下記に議論されるように、任意の治療タンパク質を使用することができる。融合タンパク質は、リンカー領域、例えば、約50アミノ酸残基未満、40アミノ酸残基未満、30アミノ酸残基未満、20アミノ酸残基未満又は10アミノ酸残基未満のリンカーをさらに含むことができる。リンカーは、トランスフェリンタンパク質又はその一部及び治療タンパク質に対して、またトランスフェリンタンパク質又はその一部及び治療タンパク質の間に共有結合的に連結することができる。本発明の核酸分子は精製されてもよく、又は未精製であってもよい。
核酸分子を複製するための宿主細胞及びベクター、そしてコードされる融合タンパク質を発現させるための宿主細胞及びベクターもまた提供される。任意のベクター又は宿主細胞を、それらが原核生物性又は真核生物性であっても使用することができるが、真核生物発現システム(特に、酵母発現システム)が好ましい場合がある。多くのベクター及び宿主細胞がそのような目的のためにこの分野では知られている。所望する適用のために適切な組み合わせを選択することは十分にこの分野の技術の範囲内である。
トランスフェリン、トランスフェリンの一部、及び目的とする治療タンパク質をコードするDNA配列を、この分野で知られている様々なゲノムライブラリー又はcDNAライブラリーからクローン化することができる。プローブに基づく方法を使用してそのようなDNA配列を単離するための技術は、通常的な技術であり、当業者には広く知られている。そのようなDNA配列を単離するためのプローブは、発表されたDNA配列又はタンパク質配列に基づき得る(例えば、Baldwin,G.S.(1993)、種々の種に由来するトランスフェリン配列の比較、Comp.Biochem.Physiol.、106B/1:203〜218、及び本明細書中に引用されるすべての参考文献を参照のこと;これらはその全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。或いは、Mullis等(米国特許第4,683,195号)及びMullis(米国特許第4,683,202号)(これらは参考として本明細書中に組み込まれる)によって開示されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を使用することができる。そのようなDNA配列を単離するためのライブラリーの選択及びプローブの選択はこの分野における通常の技術レベルの範囲内である。
この分野で知られているように、2つのポリヌクレオチド又はポリペプチドの間における「類似性」が、1つのポリヌクレオチド又はポリペプチドのヌクレオチド配列又はアミノ酸配列及びその保存されたヌクレオチド置換又はアミノ酸置換を別のポリヌクレオチド又はポリペプチドの配列と比較することによって決定される。2つのポリペプチド配列又は2つのポリヌクレオチド配列の間における配列関連性の程度を意味する「同一性」もまたこの分野では知られており、これは、そのような配列の2つの鎖の間における対応の同一性によって決定される。同一性及び類似性はともに容易に計算することができる(Computational Molecular Biology、Lesk,A.M.編集、Oxford University Press、New York、1988年;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith,D.W.編集、Academic Press、New York、1993年;Computer Analysis of Sequence Data、第1部、Griffin,A.M.及びGriffin,H.G.編集、Humana Press、New Jersey、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje,G.、Academic Press、1987年;Sequence Analysis Primer、Gribskov,M.及びDevereux,J.編集、M Stockton Press、New York、1991年)。
多数の方法が、2つのポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列の間における同一性及び類似性を測定するために存在するが、用語「同一性」及び用語「類似性」は当業者には広く知られている(Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje,G.、Academic Press、1987年;Sequence Analysis Primer、Gribskov,M.及びDevereux,J.編集、M Stockton Press、New York、1991年;Carillo,H.及びLipman,D.、SIAM J.Applied Math.、48:1073(1988))。2つの配列の間における同一性又は類似性を決定するために一般的に用いられる方法には、Guide to Huge Computers(Martin J.Bishop編集、Academic Press、San Diego、1994年);Carillo,H.及びLipman,D.、SIAM J.Applied Math.、48:1073(1988)に開示される方法が含まれるが、それらに限定されない。
同一性を決定するための好ましい方法は、調べられている2つの配列の間において最大の一致をもたらすように設計される。同一性及び類似性を決定するための方法はコンピュータープログラムにコード化される。2つの配列の間における同一性及び類似性を決定するための好ましいコンピュータープログラム法には、GCGプログラムパッケージ(Devereux等、Nucleic Acids Research、12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul編集、J.Molec.Biol.、215:403(1990))が含まれるが、これらに限定されない。上記で示された類似性又は同一性の程度は、第1の配列が第2の配列に由来することを示す、2つの配列の間における同一性の程度として決定される。2つの核酸配列の間における同一性の程度は、GCGプログラムパッケージで提供されるGAP(Needleman及びWunsch(1970)、Journal of Molecular Biology、48:443〜453)等のこの分野で知られているコンピュータープログラムによって決定することができる。本発明のために2つの核酸配列の間における同一性の程度を決定する場合、GAPは下記の設定で使用される。GAP生成ペナルティー:5.0及びGAP伸長ペナルティー:0.3。
コドンの最適化
遺伝暗号の縮重性は、トランスフェリンタンパク質及び/又は目的とする治療タンパク質のヌクレオチド配列の様々な変化を、天然のDNA配列によってコードされるポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを依然として産生させながら可能にする。「コドンの最適化」として知られている手法(これは米国特許第5,547,871号(これはその全体が参考として本明細書中に組み込まれる)に記載される)により、そのような変化したDNA配列を設計する手段が提供される。コドンが最適化された遺伝子の設計では、生物におけるコドン使用の頻度、隣接頻度、RNA安定性、二次構造を形成する可能性、合成経路、及びその遺伝子の意図された将来のDNA操作を含む様々な要因を考慮に入れなければならない。特に、酵母発現システムが使用されるときには、利用可能な方法を使用して、所与の融合タンパク質をコードするコドンを、酵母によって最も容易に認識されるコドンで変化させることができる。
遺伝暗号の縮重性は、同じアミノ酸配列を多くの異なる方法でコード及び翻訳させることができる。例えば、ロイシン、セリン及びアルギニンはそれぞれ、6つの異なるコドンによってコードされ、一方、バリン、プロリン、トレオニン、アラニン及びグリシンはそれぞれ、4つの異なるコドンによってコードされる。しかしながら、そのような同義的コドンの使用頻度は真核生物及び原核生物の間でゲノム毎に異なる。例えば、哺乳動物の間における同義的コドンの選択パターンは非常に類似しており、その一方で、進化的に離れている生物、例えば、酵母(S.cerevisiae)、細菌(大腸菌等)及び昆虫(D.melanogaster等)等では、ゲノムでのコドン使用頻度の明らかに異なるパターンが明らかにされている(Grantham,R.等、Nucl.Acids Res.、8、49〜62(1980);Grantham,R.等、Nucl.Acids Res.、9、43〜74(1981);Maroyama,T.等、Nucl.Acids Res.、14、151〜197(1986);Aota,S.等、Nucl.Acids Res.、16、315〜402(1988);Wada,K.等、Nucl.Acids Res.、19増刊、1981〜1985(1991);Kurland,C.G.、FEBS Letters、285、165〜169(1991))。コドン選択パターンのこれらの違いは、ペプチド伸長速度を調整することによって個々の遺伝子の全体的な発現レベルに寄与するようである(Kurland,C.G.、FEBS Letters、285、165〜169(1991);Pedersen,S.、EMBO J.、3、2895〜2898(1984);Sorensen,M.A.、J.Mol.Biol.、207、365〜377(1989);Randall,L.L.等、Eur.J.Biochem.、107、375〜379(1980);Curran,J.F.及びYarus,M.、J.Mol.Biol.、209、65〜77(1989);Varenne,S.等、J.Mol.Biol.、180、549〜576(1984)、Varenne,S.等、J.Mol.Biol.、180、549〜576(1984);Garel,J.−P.、J.Theor.Biol.、43、211〜225(1974);Ikemura,T.、J.Mol.Biol.、146、1〜21(1981);Ikemura,T.、J.Mol.Biol.、151、389〜409(1981))。
合成遺伝子に対する好ましいコドン使用頻度は、組換えタンパク質発現のために使用されることが意図される細胞/生物の正確なゲノム(又はできる限り近い関係にあるゲノム)、特に、酵母種のゲノムに由来する核遺伝子のコドン使用を反映しなければならない。上記で議論されたように、1つの好ましい実施形態において、ヒトTf配列は、治療タンパク質のヌクレオチド配列(1つ又は複数)のコドン最適化が行われ得るように、酵母発現のために本明細書中に記載されるような改変の前又はその後で、コドン最適化が行われる。
ベクター
本発明において使用される発現ユニットは、一般に、下記のエレメントを5’から3’の向きで機能的に連結されて含む。転写プロモーター、分泌シグナル配列、目的とする治療タンパク質又は治療ペプチドをコードするDNA配列に結合された、トランスフェリンタンパク質又はトランスフェリンタンパク質の一部を含む改変されたTf融合タンパク質をコードするDNA配列、及び転写ターミネーター。上記で議論されたように、Tfタンパク質に融合されたか、又はTfタンパク質内に融合された治療タンパク質又は治療ペプチドの任意の配置を本発明のベクターにおいて使用することができる。好適なプロモーター、シグナル配列及びターミネーターの選択は、選択された宿主細胞によって決定され、当業者には明かであり、より具体的には下記で議論される。
本発明において使用される好適な酵母ベクターが米国特許第6,291,212号に記載されており、これには、YRp7(Struhl等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、76:1035〜1039、1978)、YEp13(Broach等、Gene、8:121〜133、1979)、pJDB249及びpJDB219(Beggs、Nature、275:104〜108、1978)、pPPC0005、pSeCHSA、pScNHSA、pC4及びそれらの誘導体が含まれる。有用な酵母プラスミドベクターにはまた、Stratagene Cloning Systems(La Jolla、CA、92037、米国)から入手可能なpRS403〜406、pRS413〜416及びピキア(Pichia)ベクターが含まれる。pRS403、pRS404、pRS405及びpRS406の各プラスミドは、酵母組込型プラスミド(YIp)であり、酵母選択マーカー(HIS3、7RPI、LEU2及びURA3)を含む。プラスミドpRS413〜41.6は酵母動原体プラスミド(Ycp)である。
そのようなベクターは一般には選択マーカーを含み、この場合、選択マーカーは、形質転換体が選択されることを可能にするために、それに対する表現型アッセイが存在する優勢な表現型を示す多数の遺伝子の1つであり得る。好ましい選択マーカーは、宿主細胞の栄養要求性を相補するマーカー、抗生物質抵抗性をもたらすマーカー、又は細胞が特定の炭素源を利用することを可能にするマーカーであり、これらには、LEU2(Broach等、同上)、URA3(Botstein等、Gene、8:17、1979)、HIS3(Struhl等、同上)、又はPOT1(Kawasaki及びBell、欧州特許第171,142号)が含まれる。他の好適な選択マーカーには、クロラムフェニコール抵抗性を酵母細胞に付与するCAT遺伝子が含まれる。酵母で使用される好ましいプロモーターには、酵母の解糖系遺伝子に由来するプロモーター(Hitzeman等、J Biol.Chem.、225:12073〜12080、1980;Alber及びKawasaki、J.Mol.Appl.Genet.、1:419〜434、1982;Kawasaki、米国特許第4,599,311号)、又はアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子に由来するプロモーター(Young等、Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals、Hollaender等(編集)、355頁、Plenum、N.Y.、1982年;Ammerer、Meth.Enzymol.、101:192〜201、1983年)が含まれる。これに関連して、特に好ましいプロモーターは、TPI1プロモーター(Kawasaki、米国特許第4,599,311号)及びADH2−4.sup.C[米国特許第6,291,212号を参照のこと]プロモーター(Russell等、Nature、304:652〜654、1983)である。発現ユニットはまた転写ターミネーターを含むことができる。好ましい転写ターミネーターはTPI1ターミネーター(Alber及びKawasaki、同上)である。
酵母に加えて、本発明の改変された融合タンパク質は、糸状菌類で、例えば、アスペルギルス属菌類の株で発現させることができる。有用なプロモーターの例には、アスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)の解糖遺伝子に由来するプロモーター、例えば、ADH3プロモーター(McKnight等、EMBO J.、4:2093〜2099、1985)及びtpiAプロモーター等が含まれる。好適なターミネーターの例には、ADH3ターミネーター(McKnight等、同上)がある。そのような成分を利用する発現ユニットを、例えば、アスペルギルス属の染色体DNA内への挿入を可能にするベクターにクローン化することができる。
本発明を実施する際に使用される哺乳動物発現ベクターは、改変されたTf融合タンパク質の転写を行わせることができるプロモーターを含む。好ましいプロモーターには、ウイルスプロモーター及び細胞プロモーターが含まれる。好ましいウイルスプロモーターには、アデノウイルス2に由来する主要後期プロモーター2(Kaufman及びSharp、Mol.Cell.Biol.、2:1304〜13199、1982)、及びSV40プロモーター(Subramani等、Mol.Cell.Biol.、1:854〜864、1981)が含まれる。好ましい細胞プロモーターには、マウスメタロチオネイン1プロモーター(Palmiter等、Science、222:809〜814、1983)及びマウスV.sub..kappa.[米国特許第6,291、212号を参照のこと]プロモーター(Grant等、Nuc.Acids Res.、15:5496、1987)が含まれる。特に好ましいプロモーターは、マウスV.sub.H[米国特許第6,291,212号を参照のこと]プロモーター(Loh等、同上)である。そのような発現ベクターはまた、プロモーターの下流、及びトランスフェリン融合タンパク質をコードするDNA配列の上流に位置する一組のRNAスプライス部位を含有することができる。好ましいRNAスプライス部位をアデノウイルス遺伝子及び/又は免疫グロブリン遺伝子から得ることができる。
発現ベクターにはまた、目的とするコード配列の下流に位置するポリアデニル化シグナルが含有される。ポリアデニル化シグナルには、SV40に由来する初期ポリアデニル化シグナル及び後期ポリアデニル化シグナル(Kaufman及びSharp、同上)、アデノウイルス5のE1B領域に由来するポリアデニル化シグナル、そしてヒト成長ホルモン遺伝子ターミネーター(DeNoto等、Nuc.Acids Res.、9:3719〜3730、1981)が含まれる。特に好ましいポリアデニル化シグナルには、V.sub.H[米国特許第6,291,212を参照のこと]遺伝子ターミネーター(Loh等、同上)がある。発現ベクターは、プロモーターとRNAスプライス部位との間に位置する非コード性のウイルスリーダー配列(アデノウイルス2の三成分リーダー等)を含むことができる。好ましいベクターはまた、エンハンサー配列、例えば、SV40エンハンサー及びマウスの.mu.[米国特許第6,291,212を参照のこと]エンハンサー(Gillies、Cell、33:717〜728、1983)等を含むことができる。発現ベクターはまた、アデノウイルスVAのRNAをコードする配列を含むことができる。
形質転換
菌類を形質転換するための様々な技術が文献では広く知られており、例えば、Beggs(同上)、Hinnen等(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、75:1929〜1933、1978)、Yelton等(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:1740〜1747、1984)、及びRussell(Nature、301:167〜169、1983)によって記載される。宿主細胞の遺伝子型は、一般に、発現ベクターに存在する選択マーカーによって相補される遺伝的欠陥を含有する。特定の宿主細胞及び選択マーカーの選択は十分にこの分野における通常の技術レベルの範囲内である。
本発明の改変されたTf融合タンパク質を含むクローン化されたDNA配列は、培養された哺乳動物細胞に、例えば、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション(Wigler等、Cell、14:725、1978;Corsaro及びPearson、Somatic Cell Genetics、7:603、1981;Graham及びVan der Eb、Virology、52:456、1973.)によって導入することができる。クローン化されたDNA配列を哺乳動物細胞に導入するための技術、例えば、エレクトロポレーション(Neumann等、EMBO J.、1:841〜845、1982)又はリポフェクション等もまた使用することができる。クローン化されたDNAが組み込まれた細胞を同定するために、選択マーカーが、一般には、目的とする遺伝子又はcDNAと一緒に細胞に導入される。培養された哺乳動物細胞で使用される好ましい選択マーカーには、ネオマイシン、ヒグロマイシン及びメトトレキサート等の薬物に対する抵抗性を付与する遺伝子が含まれる。選択マーカーは、増幅可能な選択マーカーであってもよい。好ましい増幅可能な選択マーカーには、DHFR遺伝子がある。特に好ましい増幅可能な選択マーカーは、DHFR.sup.r[米国特許第6,291,212を参照のこと]cDNA(Simonsen及びLevinson、Proc.Natl.Adac.Sci.USA、80:2495〜2499、1983)である。様々な選択マーカーがThilly(Mammalian Cell Technology、Butterworth Publishers、Stoneham、Mass.)によって総説されており、選択マーカーの選択は十分にこの分野における通常の技術レベルの範囲内である。
宿主細胞
本発明はまた、細胞、好ましくは、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質を発現させるために形質転換された酵母細胞を含む。形質転換された宿主細胞そのものに加えて、本発明はまた、栄養培地におけるそのような細胞の培養物、好ましくは、モノクローナル(クローン的に均一な)培養物、又はモノクローナル培養物に由来する培養物を含む。ポリペプチドが分泌される場合、培地は、細胞とともに、又は、細胞がろ過もしくは遠心分離によって除かれた場合には細胞を伴うことなく、ポリペプチドを含有する。
本発明を実施する際に使用される宿主細胞には、外因性DNAで形質転換又はトランスフェクションされ、培養で増殖させることができる真核生物細胞及び場合により原核生物細胞、例えば、培養された哺乳動物細胞、昆虫細胞、菌類細胞、植物細胞及び細菌細胞等が含まれる。
酵母の様々な種(例えば、Saccharomyces spp.、Schizosaccharomyces spp.、Pichia spp.)を含む菌類細胞を、本発明において宿主細胞として使用することができる。本発明のトランスフェリン融合タンパク質を発現させるための宿主として本発明の実施において有用であると考えられる酵母の例示的な属には、ピキア(Pichia)属(これは以前にはハンセヌラ(Hansenula)属として分類されていた)、サッカロミセス(Saccharomyces)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、カンジダ(Candida)属、トルロプシス(Torulopsis)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、シテロミセス(Citeromyces)属、パキソレン(Pachysolen)属、ザイゴサエカロミセス(Zygosaecharomyces)属、デバロミセス(Debaromyces)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、セファロスポリウム(Cephalosporium)属、フミコラ(Humicola)属、ムコール(Mucor)属、ノイロスポラ(Neurospora)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、メツチュニコウイア(Metschunikowia)属、ロードスポリジウム(Rhodosporidium)、ロイコスポリジウム(Leucosporidium)属、ボトリオアスクス(Botryoascus)属、スポリジオボルス(Sporidiobolus)属、及びエンドミコピイス(Endomycopyis)属等がある。Saccharomyces spp.の例には、S.cerevisiae、S.italicus及びS.rouxiiがある。KIuyveromyces spp.の例には、K.ftagilis、K.lactis及びK.marxianusがある。好適なTorulasppra属種には、T.delbrueckiiがある。Pichia(Hansenula)spp.の例には、P.angusta(以前のH.polymorpha)、P.anomala(以前のH.anomala)及びP.pastorisがある。
本発明のTf融合タンパク質を製造するための特に有用な宿主細胞はメタノール資化性のピキア・パストリス(Pichia pastris)である(Steinlein等(1995)、Protein Express.Purif.、6:619〜624)。ピキア・パストリスは、そのアルコールオキシダーゼプロモーターが単離及びクローン化されていたので、外来タンパク質を製造するための優れた宿主にするために開発されてきた。その形質転換が1985年に初めて報告された。P.pastrisは、グルコースが存在しないとき、メタノールを炭素源として利用することができる。P.pastris発現システムでは、メタノール代謝における最初の段階を触媒するアルコールオキシダーゼを発現させるためにコード遺伝子を制御する、メタノールにより誘導されるアルコールオキシダーゼ(AOX1)プロモーターを使用することができる。このプロモーターは特徴づけられており、一連のP.pastris発現ベクターに取り込まれている。P.pastrisで産生されるタンパク質は、典型的には、正しく折り畳まれ、培地に分泌されるので、遺伝子操作されたP.pastrisの発酵により、大腸菌発現システムに代わる優れた方法が提供される。破傷風毒素フラグメント、百日咳菌(Bordatella pertussis)パータクチンン、ヒト血清アルブミン及びリゾチームを含む多数のタンパク質が、このシステムを使用して製造されている。
例えば、F.oxysporumの形質転換を、Malardier等(1989)、Gene、78:147〜156に記載されるように行うことができる。
酵母サッカロミセス・セレビジアエ(Saccharomyces cerevisiae)の菌株は別の好ましい宿主である。好ましい実施形態において、酵母細胞、より具体的には、糖タンパク質のアスパラギン結合型グルコシル化のために要求される遺伝子に遺伝子的欠損を含有するサッカロミセス・セレビジアエの宿主細胞が使用される。そのような欠陥を有するS.cerevisiae宿主細胞は、変異及び選択の標準的な技術を使用して調製することができるが、多くの利用可能な酵母菌株が、グリコシル化又は過マンノシル化を妨げ、又は低下させるために改変されている。Ballou等(J.Biol.Chem.、255:5989〜5991、1980)は、アスパラギン結合型グリコシル化に影響を及ぼす遺伝子が不完全であるマンノプロテイン生合成変異体の単離を記載している。
異種タンパク質の製造を最適化するために、宿主菌株が、低下したタンパク質分解活性をもたらす変異、例えば、S.cerevisiaeのpep4変異(Jones、Genetics、85:23〜33、1977)を有することもまた好ましい。他のプロテアーゼコード領域に変異を含有する宿主菌株は、本発明のTf融合タンパク質を大量に製造するためには特に有用である。
本発明のDNA構築物を含有する宿主細胞は適切な増殖培地で増殖する。本明細書中で使用される用語「適切な増殖培地」は、細胞の増殖のために要求される栄養分を含有する培地を意味する。細胞増殖のために要求される栄養分には、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル及び増殖因子が含まれ得る。増殖培地は、一般には、DNA構築物を含有する細胞で、DNA構築物に存在する選択マーカーによって相補されるか、又はDNA構築物と同時にトランスフェクションされる細胞について、例えば、薬物選択又は必須栄養分の欠乏によって選択される。例えば、酵母細胞は、好ましくは、非アミノ酸窒素源、無機塩、ビタミン及び必須アミノ酸補充物を含む化学的に規定された培地で増殖させられる。培地のpHは、好ましくは、2よりも大きく、且つ8未満のpHで維持され、好ましくはpH6.5で維持される。安定したpHを維持するための方法には、緩衝化、及び、好ましくは水酸化ナトリウムの添加による一定のpHでの制御が含まれる。好ましい緩衝化剤には、コハク酸及びBis−Tris(Sigma Chemical Co.、St.Louis、MO)が含まれる。アスパラギン結合型グリコシル化のために要求される遺伝子に欠陥を有する酵母細胞は、好ましくは、浸透圧安定化剤を含有する培地で増殖させられる。好ましい浸透圧安定化剤は、0.1M〜1.5Mの濃度で、好ましくは0.5M又は1.0Mで培地に補充されるソルビトールである。
培養された哺乳動物細胞は、一般には、市販の血清含有培地又は無血清培地で増殖させられる。使用される特定の細胞株に対して適切な培地の選択はこの分野における通常の技術レベルの範囲内である。トランスフェクションされた哺乳動物細胞は、目的とするDNA配列(1つ又は複数)の発現を開始させるために、一定の期間、典型的には1日〜2日の期間、増殖させることができる。その後、薬物選択が、選択マーカーを安定した様式で発現している細胞の増殖について選択するために加えられる。増幅可能な選択マーカーでトランスフェクションされている細胞の場合、薬物の濃度を、クローン化された配列の増大したコピー数について選択するために段階的な様式で増大させることができ、それにより発現レベルを増大させることができる。
バキュロウイルス/昆虫細胞の発現システムもまた、本発明の改変されたTf融合タンパク質を製造するために使用することができる。BacPAK(商標)バキュロウイルス発現システム(BD Biosciences、Clonetech)は組換えタンパク質を昆虫宿主細胞において高レベルで発現させる。標的遺伝子が伝達ベクターに挿入され、その後、伝達ベクターが、線状化されたBacPAK6ウイルスDNAとともに昆虫宿主細胞に同時トランスフェクションされる。BacPAK6DNAはバキュロウイルスゲノムの必須部分を有していない。DNAがベクターと再結合したとき、必須エレメントが元に戻り、標的遺伝子がバキュロウイルスのゲノムにトランスフェクションされる。組換え後、少数のウイルスプラークが選択され、精製され、そして組換え表現型が確認される。新しく単離された組換えウイルスは、その後、増幅され、昆虫細胞に感染させ、そして大量の所望するタンパク質を製造するために使用することができる。
分泌シグナル配列
用語「分泌シグナル配列」、用語「シグナル配列」又は用語「分泌リーダー配列」は交換可能に使用され、例えば、米国特許第6,291,212号及び米国特許第5,547,871号(これらはともにその全体が参考として本明細書中に組み込まれる)に記載される。分泌シグナル配列、シグナル配列又は分泌リーダー配列により、分泌ペプチドがコードされる。分泌ペプチドは、成熟ポリペプチド又は成熟タンパク質の細胞からの分泌を行わせるように作用するアミノ酸配列である。分泌ペプチドは、疎水性アミノ酸のコアによって一般には特徴づけられており、典型的には(しかし、絶対的ではないが)、新しく合成されたタンパク質のアミノ末端に見出される。非常に多くの場合、分泌ペプチドは分泌時に成熟タンパク質から切断される。分泌ペプチドは、分泌経路を通過しているときに成熟タンパク質からのシグナルペプチドの切断を可能にするプロセシング部位を含有する場合がある。プロセシング部位はシグナルペプチド内にコードされ得るか、又は、例えば、インビトロ変異誘発によってシグナルペプチドによって付加され得る。
分泌ペプチドは、本発明の改変されたTf融合タンパク質の分泌を行わせるために使用することができる。他の分泌ペプチドとの組み合わせで使用され得る1つのそのような分泌ペプチドとして、酵母バリアタンパク質の第3ドメインがある。分泌シグナル配列、シグナル配列又は分泌リーダー配列は、タンパク質の分泌を生じさせる複雑な一連の翻訳後プロセシング段階のために要求される。完全なシグナル配列が存在する場合、発現途中のタンパク質が粗面小胞体の内腔に進入し、その後、ゴルジ装置を通って分泌小胞に輸送され、最終的には細胞外に輸送される。一般に、シグナル配列は、そのすぐ後に開始コドンが続き、分泌されるタンパク質のアミノ末端にシグナルペプチドをコードする。ほとんどの場合、シグナル配列は、シグナルペプチダーゼと呼ばれる特異的なプロテアーゼによって切断される。好ましいシグナル配列は、ウイルス発現ベクター、哺乳動物発現ベクター又は酵母発現ベクターを使用する組換えタンパク質発現のプロセシング効率及び細胞外輸送効率を改善する。場合により、天然のTfシグナル配列を、本発明の融合タンパク質を発現及び分泌させるために使用することができる。
リンカー
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質のTf成分及び治療タンパク質成分(1つ又は複数)は直接的に融合させることができ、又は、より大きい物理的分離を融合されたタンパク質の間にもたらし、且つより大きな空間的移動性を可能にし、従って、例えば、その同系受容体に対する結合のために治療タンパク質部分の接近性を最大にするために、様々な長さのリンカーペプチドを使用して融合させることができる。リンカーペプチドは、柔軟であるアミノ酸から、又はより剛直であるアミノ酸から構成され得る。例えば、ポリグリシン領域(これに限定されない)等のリンカー。リンカーは、約50アミノ酸残基未満、40アミノ酸残基未満、30アミノ酸残基未満、20アミノ酸残基未満又は10アミノ酸残基未満にすることができる。リンカーは、トランスフェリンタンパク質又はその一部及び治療タンパク質に対して、また、トランスフェリンタンパク質又はその一部と治療タンパク質との間に共有結合的に連結することができる。
Tf融合タンパク質の検出
生物学的に活性な改変されたトランスフェリン−治療タンパク質融合体を検出するためのアッセイには、ウエスタントランスファーフィルター、タンパク質ブロットフィルター又はコロニーフィルター、並びに融合された治療タンパク質を検出する活性に基づくアッセイが挙げることができる。ウエスタントランスファーフィルターは、Towbin等(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、76:4350〜4354、1979)によって記載される方法を使用して調製することができる。簡単に記載すると、サンプルがドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲルで電気泳動される。ゲル中のタンパク質がニトロセルロースペーパーに電気泳動的に転写される。タンパク質ブロットフィルターは、例えば、マニホールド(Schleicher&Schuell、Keene、N.H.)を使用してニトロセルロースフィルターで上清サンプル又は濃縮物をろ過することによって調製することができる。コロニーフィルターは、適切な増殖培地を覆って置かれているニトロセルロースフィルターの上でコロニーを増殖させることによって調製することができる。この方法では、固体培地が好ましい。細胞は、少なくとも12時間、フィルター上で増殖させられる。細胞は、フィルターに結合したタンパク質を除かない適切な緩衝液で洗浄することによってフィルターから除かれる。好ましい緩衝液は、25mM Tris塩基、19mMグリシン(pH8.3)、20%メタノールを含む。
本発明の融合タンパク質はまた、治療タンパク質成分の活性についてアッセイすることによって検出することができる。そのようなアッセイは容易に利用することができ、これには、表1に記載されるそのようなアッセイが含まれるが、それらに限定されない。具体的には、本発明のトランスフェリン融合タンパク質は、表1の「例示的な活性アッセイ」の欄に示されるアッセイを使用して機能的活性(例えば、生物学的活性又は治療活性)についてアッセイすることができる。また、当業者は、本発明の融合タンパク質の治療タンパク質成分に対応する治療タンパク質のフラグメントを、表1のその対応する列に示されるアッセイを使用して活性について定法に従ってアッセイすることができる。さらに、当業者は、この分野で知られているアッセイを使用して活性について、改変されたトランスフェリンタンパク質のフラグメントを定法に従ってアッセイすることができる。
例えば、アッセイが、治療タンパク質と結合するか、又は抗治療ポリペプチド抗体及び/もしくは抗トランスフェリン抗体に対する結合について治療タンパク質と競合する本発明のトランスフェリン融合タンパク質の能力についてアッセイすることである1つの実施形態において、この分野で知られている様々な免疫アッセイを使用することができ、これらには、放射免疫アッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ免疫アッセイ、免疫放射分析アッセイ、ゲル拡散沈殿反応、免疫拡散アッセイ、インシチュー免疫アッセイ(例えば、コロイド状金、酵素又は放射性同位体の標識を使用する)、ウエスタンブロット、沈殿反応、凝集アッセイ(例えば、ゲル凝集アッセイ)、補体結合アッセイ、免疫蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、及び免疫電気泳動アッセイ等の技術を使用する競合的アッセイシステム及び非競合的アッセイシステムが含まれるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、抗体結合が、一次抗体上の標識を検出することによって検出される。別の実施形態において、一次抗体が、一次抗体に対する二次抗体又は試薬の結合を検出することによって検出される。さらなる実施形態において、二次抗体が標識される。多くの手段が、免疫アッセイで結合を検出することについてこの分野では知られており、これらは本発明の範囲内である。
治療タンパク質の結合パートナー(例えば、受容体又はリガンド)が同定されるさらなる実施形態において、その治療タンパク質を融合体の治療タンパク質部分として含有するトランスフェリン融合タンパク質によるその結合パートナーに対する結合を、例えば、この分野で広く知られている手段によって、例えば、還元下及び非還元下でのゲルクロマトグラフィー、タンパク質アフィニティークロマトグラフィー、及びアフィニティーブロッティングによってアッセイすることができる。他の様々な方法が当業者には知られており、これらは本発明の範囲内である。
改変されたトランスフェリン融合タンパク質の単離/精製
分泌された生物学的に活性な改変されたトランスフェリン融合タンパク質を、生物学的に活性な融合タンパク質の分泌を可能にする条件のもとで増殖させた宿主細胞の培地から単離することができる。細胞物が培養培地から除かれ、生物学的に活性な融合タンパク質が、この分野で知られている単離技術を使用して単離される。好適な単離技術には、沈殿化、そして、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー及びアフェニティークロマトグラフィーを含む様々なクロマトグラフィー的方法による分画化が含まれる。
特に好ましい精製方法は、鉄結合カラム又は金属キレート化カラムにおけるアフィニティークロマトグラフィーであり、或いは、ポリペプチド融合体のトランスフェリン部分又は治療タンパク質部分もしくは治療ペプチド部分に対する抗体を使用する免疫アフィニティークロマトグラフィーである。抗体は、好ましくは、固体の担体又は基体に固定化又は結合される。特に好ましい基体はCNBr活性化セファロース(Pharmacia LKB Technologies,Inc.、Piscataway、N.J.)である。この方法によって、培地は、結合を生じさせる条件のもとで抗体/基体と一緒にされる。複合体は、非結合物を除くために洗浄することができ、そしてトランスフェリン融合タンパク質が、複合体形成に好ましくない条件の使用によって放出又は溶出される。特に有用な溶出方法には、pHの変化、この場合、固定化されている抗体が、第1のpHにおいてリガンドに対して大きい親和性を有し、第2のpH(より高いpH又はより低いpH)において低下した親和性を有する。ある種のカオトロピック剤の濃度の変化;又は界面活性剤の使用によることが含まれる。
標識された改変トランスフェリン融合タンパク質
本発明のトランスフェリン融合タンパク質はまた、放射性同位体又は他の画像化剤で標識することができ、そしてインビボ診断目的のために使用することができる。好ましい放射性同位体画像化剤には、ヨウ素−125及びテクネチウム−99が含まれ、テクネチウム−99が特に好ましい。タンパク質−同位体コンジュゲートを製造するための様々な方法がこの分野で広く知られており、例えば、Eckelman等(米国特許第4,652,440号)、Parker等(国際特許出願公開WO87/05030)、及びWilber等(欧州特許第203,764号)によって記載される。或いは、トランスフェリン融合タンパク質をスピンラベルエンハンサーに結合させて、磁気共鳴(MR)画像化のために使用することができる。好適なスピンラベルエンハンサーには、ニトロキシド等の立体的に嵩高い安定なフリーラジカル化合物が含まれる。MR画像化のためにリガンドを標識するための方法が、例えば、Coffman等(米国特許第4,656,026号)によって開示される。投与のために、標識されたトランスフェリン融合タンパク質は、薬学的に受容可能なキャリア又は希釈剤と、例えば、滅菌された生理的食塩水又は滅菌水等と一緒にされる。投与は、好ましくはボーラス注射によって、好ましくは静脈内に行われる。
融合タンパク質の製造
本発明は、本明細書中に記載される核酸分子を使用して、本発明の改変された融合タンパク質を製造するための方法をさらに提供する。一般的に言えば、タンパク質の組換え形態の製造では、典型的には、下記の工程が伴う。
本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードする核酸分子が最初に得られる。その後、核酸分子は、好ましくは、上記に記載されたように、好適な制御配列との機能的な連結で配置され、タンパク質のオープンリーディングフレームを含有する発現ユニットが形成される。発現ユニットは、好適な宿主を形質転換するために使用され、そして形質転換された宿主が、組換えタンパク質の産生を可能にする条件のもとで培養される。場合により、組換えタンパク質が培地又は細胞から単離される。タンパク質の回収及び精製は、多少の不純物が許容され得る場合には必ずしも必要でない場合がある。
前記の各工程は様々な方法で行うことができる。例えば、様々な宿主において機能し得る発現ベクターの構築は、上記に示されたように、適切なレプリコン及び制御配列を使用して達成される。制御配列、発現ベクター及び形質転換方法は、遺伝子を発現させるために使用される宿主細胞のタイプに依存しており、より詳細には前記で議論され、そして、そうでない場合には当業者には知られている。好適な制限部位を、通常的に利用できない場合には、これらのベクターに挿入するために切り出し可能な遺伝子が得られるように、コード配列の両端に付加することができる。当業者は、所望する組換えタンパク質を製造するために本発明の核酸分子とともに使用されるこの分野で知られている任意の宿主/発現システムを容易に適合化することができる。
上記で議論されたように、任意の発現システムを使用することができ、これには、酵母システム、動物システム、植物システム、真核生物システム及び原核生物システムが含まれる。いくつの実施形態において、酵母細胞培養、哺乳動物細胞培養及び遺伝子導入動物又は遺伝子導入植物による製造システムが好ましい。他の実施形態において、酵母の本来のグリコシル化活性又は過グルコシル化活性又はタンパク質分解活性を低下させるために改変されている酵母システムを使用することができる。
治療分子
任意の治療分子を、本発明の方法及び組成物によるTfに対する融合パートナーとして使用することができる。本明細書中で使用される場合、治療分子は、典型的には、有益な生物学的作用をインビトロ又はインビボで発揮することができるタンパク質又はペプチドであり、これらには、正常な恒常性、生理学又は疾患状態に関連して有益な作用を発揮するタンパク質又はペプチドが含まれる。治療分子には、マーカー又はタンパク質精製補助物として一般的に使用されている融合パートナー、例えば、ガラクトシダーゼ(例えば、米国特許第5,986,076号及びAldred等(1984)、Biochem.Biophys.Res.Commun.、122:960〜965を参照のこと)等は含まれない。例えば、疾患状態に関連するとして有益な作用には、処置されている対象にとって好都合である任意の作用が含まれ、これには、疾患防止、疾患安定化、疾患症状の緩和もしくは軽減、又は、処置されている対象に対して有益な作用を生じさせるための、元となる欠陥の調節もしくは軽減もしくは治療が含まれる。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質は、少なくとも治療タンパク質のフラグメント又は変化体及び少なくとも改変された血清トランスフェリンのフラグメント又は変化体を含み、この場合、これらは、好ましくは遺伝子融合又は化学的コンジュゲート化によって相互に結合している。
1つの実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質は、神経薬学的薬剤に連結された改変トランスフェリン分子を含む。別の実施形態において、改変されたトランスフェリン融合タンパク質は、神経薬学的薬剤にアミノ末端で連結されたトランスフェリンをカルボキシル末端に含む。代わりの実施形態において、改変されたトランスフェリン融合タンパク質は、神経薬学的薬剤にカルボキシ末端で連結されたトランスフェリンをアミノ末端に含む。具体的な実施形態において、神経薬学的薬剤は神経増殖因子又は毛様体神経栄養因子のいずれかである。
さらなる実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質は、少なくとも治療タンパク質のフラグメントもしくは変化体、及び/又は少なくとも抗体のフラグメントもしくは変化体を含有することができる。さらなる実施形態において、トランスフェリン融合タンパク質は、タンパク質又は抗体のペプチドフラグメント又はペプチド変化体を含有することができ、この場合、変化体又はフラグメントは少なくとも1つの生物学的活性又は治療活性を保持している。トランスフェリン融合タンパク質は、改変されたトランスフェリンのN末端及び/もしくはC末端に融合されるか、又は改変されたトランスフェリンに挿入されるか、又は改変されたトランスフェリンのループの中に挿入される、少なくとも約4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個又は少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約55個、少なくとも約60個又は少なくとも約70個又はそれ以上のアミノ酸の長さであるペプチドフラグメント又はペプチド変化体であり得る治療タンパク質を含有することができる。
別の実施形態において、改変されたトランスフェリン融合分子は、1つ以上の残基がアミノ酸配列のアミノ末端から欠失されているポリペプチドと同様に全長のタンパク質を含む治療タンパク質のフラグメントであり得る治療タンパク質部分を含有する。
別の実施形態において、改変されたトランスフェリン融合分子は、1つ以上の残基がアミノ酸配列のカルボキシ末端から欠失されているポリペプチドと同様に全長のタンパク質を含む治療タンパク質のフラグメントであり得る治療タンパク質部分を含有する。
別の実施形態において、改変されたトランスフェリン融合分子は、アミノ末端及びカルボキシ末端の両方から欠失された1つ以上のアミノ酸を有し得る治療タンパク質部分を含有する。
別の実施形態において、改変されたトランスフェリン融合分子は、本明細書中に示される1つの参照治療タンパク質に対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%が同一である治療タンパク質部分又はそのフラグメントを含有する。さらなる実施形態において、トランスフェリン融合分子は、上記に記載されたようなN末端欠失体及びC末端欠失体のアミノ酸配列を有する参照ポリペプチドに対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%が同一である治療タンパク質部分を含有する。
別の実施形態において、改変されたトランスフェリン融合分子は、例えば、治療タンパク質の天然又は野生型のアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%が同一である治療タンパク質部分を含有する。これらのポリペプチドのフラグメントもまた提供される。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質の治療タンパク質部分に対応する治療タンパク質、例えば、細胞表面タンパク質及び分泌タンパク質等は、1つ以上のオリゴ糖基の結合によって改変することができる。グリコシル化として示される修飾は、タンパク質の物理的性質に著しい影響を及ぼすことがあり、タンパク質の安定性及び分泌及び局在化において重要であり得る。グリコシル化は、ポリペプチド骨格に沿った特定の位置で生じる。通常、グリコシル化の2つの主要なタイプが存在する。セリン残基又はトレオニン残基に結合するO結合型オリゴ糖を特徴とするグリコシル化;そして、Asn−X−Ser/Thr配列(Xはプロリン以外のアミノ酸であり得る)内のアスパラギン酸に結合するN結合型オリゴ糖を特徴とするグリコシル化。タンパク質構造及び細胞タイプ等の変数によって、種々のグリコシル化部位における鎖内の炭水化物ユニットの数及び性質が影響される。グリコシル化異性体もまた、所与の細胞タイプの間では同じ部位において一般的である。例えば、数タイプのヒトインターフェロンがグリコシル化される。
本発明のトランスフェリン融合タンパク質の治療タンパク質部分に対応する治療タンパク質並びにそのアナログ及び変化体は、1つ以上の部位におけるグリコシル化が、それらが発現される宿主細胞によるその核酸配列の操作の結果として変化するように、又はそれらの発現の他の条件のために変化するように改変することができる。例えば、グリコシル化異性体を、グリコシル化部位を破壊又は導入することによって、例えば、アスパラギンをグルタミンに置換すること等のアミノ酸残基の置換又は欠失によって製造することができる。或いは、グリコシル化されていない組換えタンパク質を、組換えタンパク質をグリコシル化しない宿主細胞において、例えば、グリコシル化欠損酵母において組換えタンパク質を発現させることによって製造することができる。これらの方法はこの分野では知られている。
様々な治療タンパク質及びそれらの核酸配列がこの分野では広く知られており、これらは、Chemical Abstracts Services Databases(例えば、CAS Registry)、GenBank及びGenSeq等の公開されているデータベースにおいて入手することができる。下記で示されるアクセション番号及び配列はその全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
他の実施形態において、本発明のトランスフェリン融合タンパク質は、表1の対応する列及び本出願明細書のどこか(例えば、表1の「生物学的活性」及び「治療タンパク質X」の欄)に示される治療タンパク質の治療活性及び/又は生物学的活性に対応する治療活性及び/又は生物学的活性が可能である。さらなる実施形態において、本発明のトランスフェリン融合タンパク質の治療活性なタンパク質部分は、本明細書中に示される参照配列のフラグメント又は変化体である。
本発明はさらに、本明細書中に記載される治療タンパク質のフラグメントを含む改変されたTf融合タンパク質に関する。タンパク質のN末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失が治療タンパク質部分の1つ以上の生物学的機能の改変又は喪失をもたらす場合でさえ、他の治療活性及び/又は機能的活性(例えば、生物学的活性、多量体化能、リガンド結合能)は依然として保持され得る。例えば、完全なポリペプチドの残基の大多数がN末端から除かれていない場合、ポリペプチドの完全な形態又は成熟形態を認識する抗体を誘導し、且つ/又はそのような抗体に結合するN末端欠失ポリペプチドの能力は一般には保持される。完全なポリペプチドのN末端残基を有しない特定のポリペプチドがそのような免疫学的活性を保持しているかどうかは、本明細書中に記載される日常的な方法及びこの分野で別途知られている日常的な方法によってアッセイすることができる。N末端アミノ酸残基の非常に多くが欠失された変異体がいくつかの生物学的活性又は免疫原活性を保持し得ることは考えられないことではない。実際、6アミノ酸もの少数の残基から構成されるペプチドは、多くの場合、免疫応答を誘発させることができる。
また、上記で述べられたように、治療タンパク質のN末端又はC末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失がタンパク質の1つ以上の生物学的機能の改変又は喪失を生じさせる場合でさえ、他の機能的活性(例えば、生物学的活性、多量体化能、リガンド結合能)及び/又は治療活性は依然として保持され得る。例えば、完全なポリペプチド又は成熟ポリペプチドの残基の大多数がC末端から除かれていないとき、ポリペプチドの完全な形態又は成熟形態を認識する抗体を誘導し、且つ/又はそのような抗体に結合するC末端欠失ポリペプチドの能力は一般には保持される。参照ポリペプチドのN末端残基及び/又はC末端を有しない特定のポリペプチドが治療活性を保持しているかどうかは、本明細書中に記載される日常的な方法及び/又はこの分野で別途知られている日常的な方法によって容易に決定することができる。
治療タンパク質のペプチドフラグメントは、アミノ酸配列がそのフラグメントである治療タンパク質のポリペプチド配列の治療活性及び/又は機能的活性(例えば、生物学的活性)を示すアミノ酸配列を含むフラグメント、或いはそのようなアミノ酸配列からなるフラグメントであり得る。
他のペプチドフラグメントは生物学的に活性なフラグメントである。生物学的に活性なフラグメントは、本発明において使用される治療タンパク質の活性に対して、必ずしも同一である必要はないが、類似する活性を示すフラグメントである。フラグメントの生物学的活性には、改善された所望する活性、又は低下した望ましくない活性が含まれ得る。
一般に、タンパク質の変化体は、全体的には非常に類似しており、そして多くの領域において、本発明のトランスフェリン融合タンパク質の治療タンパク質部分に対応する治療タンパク質のアミノ酸配列と同一である。これらの変化体をコードする核酸もまた本発明によって包含される。
本発明において使用され得るさらなる治療ポリペプチドには、当業者に知られているストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(例えば、Ausubel,F.M.等編集、1989年、Current protocol in Molecular Biology、Green Publishing Associates,Inc.及びJohn Wiley&Sons Inc.、New.Yorkを参照のこと)のもと、治療タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸分子の相補体にハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドがある。これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた本発明によって包含される。
ポリペプチドが、本発明の照会アミノ酸配列に対して、少なくとも、例えば、95%が「同一」であるアミノ酸配列を有することによって、対象ポリペプチド配列が、照会アミノ酸配列の100アミノ酸毎について5個までの変化を含み得ることを除いて、対象ポリペプチドのアミノ酸配列が照会配列と同一であることが意図される。すなわち、照会アミノ酸配列に対して少なくとも95%が同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るためには、対象配列における5%までのアミノ酸残基が挿入され得るか、又は欠失され得るか、又は別のアミノ酸で置換され得る。参照配列のこれらの変化は、参照アミノ酸配列のアミノ末端位置もしくはカルボキシ末端位置に存在し得るか、又はそのような末端位置の間の任意のところに、参照配列内の残基間に個々に点在して、もしくは参照配列内において1つ以上の連続群で点在して、そのいずれかで存在し得る。
実際問題として、任意の特定のポリペプチドが、例えば、本発明のトランスフェリン融合タンパク質又はそのフラグメント(トランスフェリン融合タンパク質の治療タンパク質部分又はトランスフェリン融合タンパク質のトランスフェリン部分等)のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%が同一であるかどうかは、知られているコンピュータープログラムを使用して通常的に決定することができる。照会配列(本発明の配列)と対象配列との間における最もよい全体的な一致(これは、全体的な配列アラインメントとして呼ばれることもある)を決定するための好ましい方法は、Brufiag等(Comp.App.Biosci.、245〜(1990))のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータープログラムを使用して決定することができる。
本発明のポリヌクレオチド変化体は、コード領域、非コード領域又は両方の領域に様々な変化を含有することができる。サイレントな置換、付加又は欠失をもたらし、しかし、コードされるポリペプチドの性質又は活性を変化させない変化を含有するポリヌクレオチド変化体は、改変されたTf融合タンパク質を製造するために使用することができる。遺伝暗号の縮重性によるサイレントな置換によってもたらされるヌクレオチド変化体を使用することができる。さらに、約50個未満、40個未満、30個未満、20個未満、10個未満、又は5個〜50個、5個〜25個、5個〜10個、1個〜5個、又は1個〜2個のアミノ酸が任意の組み合わせで置換、欠失又は付加されるポリペプチド変化体もまた利用することができる。ポリヌクレオチド変化体は、様々な理由のために、例えば、特定の宿主に対するコドン発現を最適化するために(上記で記載されたように、ヒトmRNAにおけるコドンを酵母又は大腸菌等の宿主によって好まれるコドンに変化させるために)作製することができる。
他の実施形態において、治療タンパク質成分は、野生型配列と比較して保存的な置換を有する。「保存的な置換」により、脂肪族又は疎水性のアミノ酸の置換、すなわち、Ala、Val、Leu及びIleの置換;ヒドロキシル残基の置換、すなわち、Ser及びThrの置換;酸性残基の置換、すなわち、Asp及びGluの置換、アミド残基の置換、すなわち、Asn及びGlnの置換;塩基性残基の置換、すなわち、Lys、Arg及びHisの置換;芳香族残基の置換、すなわち、Phe、Tyr及びTrpの置換;並びに小型アミノ酸の置換、すなわち、Ala、Ser、Thr、Met及びGlyの置換等のグループ内での交換が意図される。表現型がサイレントであるアミノ酸置換体を作製する方法に関する指針が、例えば、Bowie等、「タンパク質配列におけるメッセージの解読:アミノ酸置換に対する寛容性」、Science、247:1306〜1310(1990)に示される。具体的な実施形態において、本発明のポリペプチドは、本明細書中に記載される治療タンパク質及び/又は血清トラスフェリンのアミノ酸配列のフラグメント又は変化体、並びに本発明の改変されたトランスフェリンタンパク質を含むか、或いはそれらからなり、この場合、フラグメント又は変化体は、参照アミノ酸配列と比較したとき、1個〜5個、5個〜10個、5個〜25個、5個〜50個、10個〜50個又は50個〜150個のアミノ酸残基の付加及び/又は置換及び/又は欠失を有する。さらなる実施形態において、アミノ酸置換は保存的である。これらのポリペプチドをコードする核酸もまた本発明によって包含される。
本発明の改変された融合タンパク質は、ペプチド結合又は修飾ペプチド結合によって相互に連結されたアミノ酸から構成され得るし、遺伝子によりコードされる20個のアミノ酸とは異なるアミノ酸を含有することができる。ポリペプチドは、翻訳後プロセシング等の天然のプロセスによるか、又はこの分野で広く知られている化学的修飾技術によるかのいずれかで改変することができる。そのような改変は、基本的な教科書、及びより詳しい専門書、並びに多数の研究文献に十分に記載されている。
改変は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖及びアミノ末端又はカルボキシ末端を含むポリペプチド内の任意のところで行うことができる。同じタイプの改変を所与ポリペプチド内のいくつかの部位に同じ程度又は様々な程度で存在させることができることが理解される。また、所与ポリペプチドは多くのタイプの改変を含有することができる。ポリペプチドは、例えば、ユビキチン化の結果として分枝型にすることができ、そして、分枝を伴って、又は分枝を伴うことなく環状にすることができる。環状ポリペプチド、分枝したポリペプチド、及び分枝した環状ポリペプチドは翻訳後の天然のプロセスから生じ得るか、又は合成的方法によって作製され得る。改変には、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合的結合、ヘム成分の共有結合的結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合的結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合的結合、ホスファチルジルイノシトールの共有結合的結合、架橋、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有結合的架橋の形成、システインの形成、グリコシル化、GPIアンカーの形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリスチル化、酸化、peg化、タンパク質分解的プロセシンング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、硫酸化、タンパク質へのアミノ酸の転移RNA媒介付加(アルギニル化等)、及びユビキチン化が含まれる(例えば、PROTEINS−STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES、第2版、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、New York(1993);POST−TRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS、B.C.Johnson編集、Academic Press、New York、1頁〜12頁(1983);Seifter等(1990)、Meth.Enzymol.、182:626〜646;Rattan等、Ann.N.Y.Acad.Sci.、663:48〜62を参照のこと)。
Tf内に融合又は挿入され得る治療分子には、ホルモン、マトリックスタンパク質、免疫抑制剤、気管支拡張剤、心臓血管作用剤、酵素、CNS剤、神経伝達物質、受容体タンパク質又は受容体ペプチド、成長ホルモン、増殖因子、抗ウイルス性ペプチド、融合誘導阻害剤ペプチド、サイトカイン、リンホカイン、モノカイン、インターロイキン、コロニー刺激因子、分化因子、血管形成因子、受容体リガンド、ガン関連タンパク質、抗新生物剤、ウイルスタンパク質、抗生物性ペプチド、血液タンパク質、アンタゴニストタンパク質、転写因子、抗血管形成因子、アンタゴニストタンパク質又はアンタゴニストペプチド、受容体アンタゴニスト、抗体、単鎖抗体、及び細胞接着分子が含まれるが、これらに限定されない。異なる治療分子を、二機能性又は多機能性の治療分子を製造するために1つの融合タンパク質内に一緒にすることができる。異なる分子はまた、治療実体及び標的化実体を有する融合タンパク質を製造するために組み合わせて使用することができる。
サイトカインは、免疫系の細胞によって放出される可溶性のタンパク質であり、免疫応答を調節するために特異的な受容体により非酵素的に作用する。サイトカインは、特異的な受容体に対して大きい親和性で低い濃度で結合して作用する点でホルモンと類似している。用語「サイトカイン」は、そのサイトカインに対する受容体を有する細胞において特異的な生物学的応答を誘発する天然に存在するタンパク質又は組換えタンパク質、それらのアナログ、及びそれらのフラグメントを記載するために本明細書中では使用される。サイトカインには、好ましくは、インターロイキン、例えば、インターロイキン−2(IL−2)(GenBank Acc.No.S77834)、IL−3(GenBank Acc.No.M14743)、IL−4(GenBank Acc.No.M23442)、IL−5(GenBank Acc.No.J03478)、IL−6(GenBank Acc.No.M14584)、IL−7(GenBank Acc.No.NM_000880)、IL−10(GenBank Acc.No.NM_000572)、IL−12(GenBank Acc.No.AF180562及びGenBank Acc.No.AF180563)、IL−13(GenBank Acc.No.U10307)、IL−14(GenBank Acc.No.XM_170924)、IL−15(GenBank Acc.No.X91233)、IL−16(GenBank Acc.No.NM_004513)、IL−17(GenBank Acc.No.NM_002190)及びIL−18(GenBank Acc.No.NM_001562)等、造血系因子、例えば、顆粒球−マクロファージ刺激因子(GM−CSF)(GenBank Acc.No.X03021)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)(GenBank Acc.No.X03656)、血小板活性化因子(GenBank Acc.No.NM_000437)及びエリスロポイエチン(GenBank Acc.No.X02158)等、腫瘍壊死因子(TNF)、例えば、TNFα(GenBank Acc.No.X02910)等、リンホカイン、例えば、リンホトキシン−α(GenBank Acc.No.X02911)、リンホトキシン−β(GenBank Acc.No.L11016)、ロイコレグリン、マクロファージ遊走阻害因子(GenBank Acc.No.M25639)及びニューロロイキン(GenBank Acc.No.K03515)等、代謝プロセスの調節因子、例えば、レプチン(GenBank Acc.No.U43415)等、インターフェロン、例えば、インターフェロンα(IFNα)(GenBank Acc.No.M54886)、IFNβ(GenBank Acc.No.V00534)、IFNγ(GenBank Acc.No.J00219)、IFNo(GenBank Acc.No.NM_002177)、トロンボスポンジン1(THBS1)(GenBank Acc.No.NM_003246)、THBS2(GenBank Acc.No.L12350)、THBS3(GenBank Acc.No.L38969)、THBS4(GenBank Acc.No.NM_003248)等、並びにケモカインが含まれる。好ましくは、本発明の改変されたトランスフェリン−サイトカイン融合タンパク質はサイトカインの生物学的活性を示す。
用語「ホルモン」は、特定の細胞又は組織によって産生され、且つ特異的な生物学的な変化又は活性を、体内のどこか他のところに位置する別の細胞又は組織において生じさせる多数の生物学的に活性な物質のいずれか1つを記載するために本明細書中では使用される。ホルモンには、好ましくは、プロインスリン(GenBank Acc.No.V00565)、インスリン(GenBank Acc.No.NM_000207)、成長ホルモン1(GenBank Acc.No.V00520)、成長ホルモン2(GenBank Acc.No.F006060)、成長ホルモン放出因子(GenBank Acc.No.NM_021081)、インスリン様増殖因子I(GenBank Acc.No.M27544)、インスリン様増殖因子II(GenBank Acc.No.NM_000612)、インスリン様増殖因子結合タンパク質1(IGFBP−1)(GenBank Acc.No.M59316)、IGFBP−2(GenBank Acc.No.X16302)、IGFBP−3(GenBank Acc.No.NM_000598)、IGFBP−4(GenBank Acc.No.Y12508)、IGFBP−5(GenBank Acc.No.M65062)、IGFBP−6(GenBank Acc.No.NM_002178)、IGFBP−7(GenBank Acc.No.NM_001553)、絨毛性ゴナドロピンβ鎖(GenBank Acc.No.NM_033142)、絨毛性ゴナドロピンα鎖(GenBank Acc.No.NM_000735)、黄体形成ホルモンβ(GenBank Acc.No.X00264)、卵胞刺激ホルモンβ(GenBank Acc.No.NM_000510)、甲状腺刺激ホルモンβ(GenBank Acc.No.NM_000549)、プロラクチン(GenBank Acc.No.NM_000948)、プロ−オピオメラノコルチン(GenBank Acc.No.V01510)、コルチコトロピン(ACTH)、β−リポトロピン、α−メラニン細胞刺激ホルモン(α−MSH)、γ−リポトロピン、β−MSH、β-エンドルフィン、及びコルチコトロピン様中葉ペプチド(CLIP)が含まれる。
用語「増殖因子」は、受容体に結合して、細胞増殖を刺激する任意のタンパク質又はペプチドを記載するために本明細書中では使用される。増殖因子には、好ましくは、血小板由来増殖因子−α(PDGF−α)(GenBank Acc.No.X03795)、PDGF−β(GenBank Acc.No.X02811)、ステロイドホルモン、上皮増殖因子(EGF)(GenBank Acc.No.NM_001963)、繊維芽細胞増殖因子、例えば、繊維芽細胞増殖因子1(FGF1)(GenBank Acc.No.NM_000800)、FGF2(GenBank Acc.No.NM_002006)、FGF3(GenBank Acc.No.NM_005247)、FGF4(GenBank Acc.No.NM_002007)、FGF5(GenBank Acc.No.M37825)、FGF6(GenBank Acc.No.X57075)、FGF7(GenBank Acc.No.NM_002009)、FGF8(GenBank Acc.No.AH006649)、FGF9(GenBank Acc.No.NM_002010)、FGF10(GenBank Acc.No.AB002097)、FGF11(GenBank Acc.No.NM_004112)、FGF12(GenBank Acc.No.NM_021032)、FGF13(GenBank Acc.No.NM_004114)、FGF14(GenBank Acc.No.NM_004115)、FGF16(GenBank Acc.No.AB009391)、FGF17(GenBank Acc.No.NM_003867)、FGF18(GenBank Acc.No.AF075292)、FGF19(GenBank Acc.No.NM_005117)、FGF20(GenBank Acc.No.NM_019851)、FGF21(GenBank Acc.No.NM_019113)、FGF22(GenBank Acc.No.NM_020637)及びFGF23(GenBank Acc.No.NM_020638)等、アンギオゲニン(GenBank Acc.No.M11567)、脳由来神経栄養因子(GenBank Acc.No.M61176)、毛様体神経栄養増殖因子(GenBank Acc.No.X60542)、トランスフォーミング増殖因子−α(TGF−α)(GenBank Acc.No.X70340)、TGF−β(GenBank Acc.No.X02812)、神経増殖因子−α(NGF−α)(GenBank Acc.No.NM_010915)、NGF−β(GenBank Acc.No.X52599)、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤1(TIMP1)(GenBank Acc.No.NM_003254)、TIMP2(GenBank Acc.No.NM_003255)、TIMP3(GenBank Acc.No.U02571)、TIMP4(GenBank Acc.No.U76456)、及びマクロファージ刺激因子1(GenBank Acc.No.L11924)が含まれる。
用語「マトリックスタンパク質」は、細胞外マトリックス中に通常的に見出されるタンパク質又はペプチドを記載するために本明細書中では使用される。これらのタンパク質は、強度、ろ過又は接着のために機能的に重要であり得る。マトリックスタンパク質には、好ましくは、コラーゲン、例えば、コラーゲンI(GenBank Acc.No.Z74615)、コラーゲンII(GenBank Acc.No.X16711)、コラーゲンIII(GenBank Acc.No.X14420)、コラーゲンIV(GenBank Acc.No.NM_001845)、コラーゲンV(GenBank Acc.No.NM_000393)、コラーゲンVI(GenBank Acc.No.NM_058175)、コラーゲンVII(GenBank Acc.No.L02870)、コラーゲンVIII(GenBank Acc.No.NM_001850)、コラーゲンIX(GenBank Acc.No.X54412)、コラーゲンX(GenBank Acc.No.X60382)、コラーゲンXI(GenBank Acc.No.J04177)及びコラーゲンXII(GenBank Acc.No.U73778)等、ラミニンタンパク質、例えば、LAMA2(GenBank Acc.No.NM_000426)、LAMA3(GenBank Acc.No.L34155)、LAMA4(GenBank Acc.No.NM_002290)、LAMB1(GenBank Acc.No.NM_002291)、LAMB3(GenBank Acc.No.L25541)、LAMC1(GenBank Acc.No.NM_002293)、ニドゲン(GenBank Acc.No.NM_002508)、α−テクトリン(GenBank Acc.No.NM_005422)、β−テクトリン(GenBank Acc.No.NM_058222)及びフィブロネクチン(GenBank Acc.No.X02761)等が含まれる。
用語「血液タンパク質」は、血漿に起源を有するタンパク質として従来的には定義されるが、現在では、多くが組換え手段によって一般には製造されており、これらには、天然の血清タンパク質、その誘導体、フラグメント及び変異体又は変化体、血液凝固因子、誘導体、変異体、変化体及びフラグメント(VII因子、VIII因子、IX因子、X因子を含む)、プロテアーゼ阻害剤(アンチトロンビン3、α−1アンチトリプシン)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子、免疫グロブリン、フォン・ウィルブランド因子及びフォン・ウィルブランド変異体、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、トロンビン及びヘモグロビンが含まれるが、これらに限定されない。
用語「酵素」は、自身が永続的に変化又は分解されることなく特異的な反応を触媒する任意のタンパク質又はタンパク質性物質を記載するために本明細書中では使用される。酵素には、好ましくは、凝固因子、例えば、F2(GenBank Acc.No.XM_170688)、F7(GenBank Acc.No.XM_027508)、F8(GenBank Acc.No.XM_013124)、F9(GenBank Acc.No.NM_000133)、F10(GenBank Acc.No.AF503510)等、マトリックスメタロプロテイナーゼ、例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼI(GenBank Acc.No.MMP1)(GenBank Acc.No.NM_002421)、MMP2(GenBank Acc.No.NM_004530)、MMP3(GenBank Acc.No.NM_002422)、MMP7(GenBank Acc.No.NM_002423)、MMP8(GenBank Acc.No.NM_002424)、MMP9(GenBank Acc.No.NM_004994)、MMP10(GenBank Acc.No.NM_002425)、MMP12(GenBank Acc.No.NM_002426)、MMP13(GenBank Acc.No.X75308)、MMP20(GenBank Acc.No.NM_004771)等、アデノシンデアミナーゼ(GenBank Acc.No.NM_000022)、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ、例えば、MAPK3(GenBank Acc.No.XM_055766)、MAP2K2(GenBank Acc.No.NM_030662)、MAP2K1(GenBank Acc.No.NM_002755)、MAP2K4(GenBank Acc.No.NM_003010)、MAP2K7(AF013588)及びMAPK12(NM_002969)等、キナーゼ、例えば、JNKK1(GenBank Acc.No.U17743)、JNKK2(GenBank Acc.No.AF014401)、JAK1(M64174)、JAK2(NM_004972)及びJAK3(NM_000215)等、並びにホスファターゼ、例えば、PPM1A(GenBank Acc.No.NM_021003)及びPPM1D(GenBank Acc.No.NM_003620)等が含まれる。
用語「転写因子」は、タンパク質をコードする遺伝子の転写に関与する任意のタンパク質又はペプチドを記載するために本明細書中では使用される。転写因子には、Sp1、Sp2(GenBank Acc.No.NM_003110)、Sp3(GenBank Acc.No.AY070137)、Sp4(GenBank Acc.No.NM_003112)、NFYB(GenBank Acc.No.NM_006166)、Hap2(GenBank Acc.No.M59079)、GATA−1(GenBank Acc.No.NM_002049)、GATA−2(GenBank Acc.No.NM_002050)、GATA−3(GenBank Acc.No.X55122)、GATA−4(GenBank Acc.No.L34357)、GATA−5、GATA−6(GenBank Acc.No.NM_005257)、FOG2(NM_012082)、Eryf1(GenBank Acc.No.X17254)、TRPS1(GenBank Acc.No.NM_014112)、NF−E2(GenBank Acc.No.NM_006163)、NF−E3、NF−E4、TFCP2(GenBank Acc.No.NM_005653)、Oct−1(GenBank Acc.No.X13403)、ホメオボックスタンパク質、例えば、HOXB2(GenBank Acc.No.NM_002145)、HOX2H(GenBank Acc.No.X16665)、hairlessホモログ(GenBank Acc.No.NM_005144)、デカペンタプレージックタンパク質に対する母型体、例えば、MADH1(GenBank Acc.No.NM_005900)、MADH2(GenBank Acc.No.NM_005901)、MADH3(GenBank Acc.No.NM_005902)、MADH4(GenBank Acc.No.NM_005359)、MADH5(GenBank Acc.No.AF009678)、MADH6(GenBank Acc.No.NM_005585)、MADH7(GenBank Acc.No.NM_005904)、MADH9(GenBank Acc.No.NM_005905)等、並びに転写タンパク質のシグナル伝達物質及び活性化因子、例えば、STAT1(GenBank Acc.No.XM_010893)、STAT2(GenBank Acc.No.NM_005419)、STAT3(GenBank Acc.No.AJ012463)、STAT4(GenBank Acc.No.NM_003151)、STAT5(GenBank Acc.No.L41142)及びSTAT6(GenBank Acc.No.NM_003153)等が含まれ得る。
本発明のさらに別の実施形態において、治療分子は非ヒトタンパク質又は非哺乳動物タンパク質である。例えば、HIVのgp120、HIVのTat、等のウイルス(肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス及びRSV等)の表面タンパク質、等のHIV成分、寄生虫表面タンパク質(マラリア抗原等)、及び細菌表面タンパク質が好ましい。これらの非ヒトタンパク質は、例えば、抗原として、又は有用な活性を有するので使用することができる。例えば、治療分子は、ストレプトキナーゼ、スタフィロキナーゼ、ウロキナーゼ、又は有用な酵素活性を有する他のタンパク質であり得る。
代わりの実施形態において、治療分子は、生物学的活性を有するリガンド結合タンパク質である。そのようなリガンド結合タンパク質は、例えば、(1)細胞表面での受容体−リガンド相互作用を阻止することができ、又は(2)血液の液相中の分子の生物学的活性を中和し、それにより、分子がその細胞標的に到達することを妨げることができる。いくつかの実施形態において、改変されたトランスフェリン融合タンパク質は、下記の受容体(これらに限定されない)からなる群から選択される受容体のリガンド結合ドメインに融合された、改変されたトランスフェリン分子を含む。低密度リポタンパク質(LDL)受容体、アセチル化LDL受容体、腫瘍壊死因子α受容体、トランスフォーミング増殖因子β受容体、サイトカイン受容体、免疫グロブリンFc受容体、ホルモン受容体、グルコース受容体、糖脂質受容体、及びグリコサミノグリカン受容体。他の実施形態において、リガンド結合タンパク質には、CD2(M14362)、CD3G(NM_000073)、CD3D(NM_000732)、CD3E(NM_000733)、CD3Z(J04132)、CD28(NM_006139)、CD4(GenBank Acc.No.NM_000616)、CD1A(GenBank Acc.No.M28825)、CD1B(GenBank Acc.No.NM_001764)、CD1C(GenBank Acc.No.NM_001765)、CD1D(GenBank Acc.No.NM_001766)、CD80(GenBank Acc.No.NM_005191)、GNB3(GenBank Acc.No.AF501884)、CTLA−4(GenBank Acc.No.NM_005214)、細胞内接着分子、例えば、ICAM−1(NM_000201)、ICAM−2(NM_000873)及びICAM−3(NM_002162)等、腫瘍壊死因子受容体、例えば、TNFRSF1A(GenBank Acc.No.X55313)、TNFR1SFB(GenBank Acc.No.NM_001066)、TNFRSF9(GenBank Acc.No.NM_001561)、TNFRSF10B(GenBank Acc.No.NM_003842)、TNFRSF11B(GenBank Acc.No.NM_002546)及びTNFRSF13B(GenBank Acc.No.NM_006573)等、並びにインターロイキン受容体、例えば、IL2RA(GenBank Acc.No.NM_000417)、IL2RG(GenBank Acc.No.NM_000206)、IL4R(GenBank Acc.No.AF421855)、IL7R(GenBank Acc.No.NM_002185)、IL9R(GenBank Acc.No.XM_015989)及びIL13R(GenBank Acc.No.X95302)等が含まれる。好ましくは、本発明のTf−リガンド結合タンパク質融合体はリガンド結合タンパク質の生物学的活性を示す。
用語「ガン関連タンパク質」は、その発現がガンに関連するか、又は制御された細胞増殖の維持に関連するタンパク質又はポリペプチド、例えば、腫瘍抑制因子遺伝子又はガン遺伝子によってコードされるタンパク質等を記載するために本明細書中では使用される。ガン関連タンパク質には、p16(GenBank Acc.No.AH005371)、p53(GenBank Acc.No.NM_000546)、p63(GenBank Acc.No.NM_003722)、p73(GenBank Acc.No.NM_005427)、BRCA1(GenBank Acc.No.U14680)、BRCA2(GenBank Acc.No.NM_000059)、CTBP相互作用タンパク質(GenBank Acc.No.U72066)、DMBT1(GenBank Acc.No.NM_004406)、HRAS(GenBank Acc.No.NM_005343)、NCYM(GenBank Acc.No.NM_006316)、FGR(GenBank Acc.No.NM_005248)、myb(GenBank Acc.No.AF104863)、raf1(GenBank Acc.No.NM_002880)、erbB2(GenBank Acc.No.NM_004448)、VAV(GenBank Acc.No.X16316)、c−fos(V GenBank Acc.No.01512)、c−fes(GenBank Acc.No.X52192)、c−jun(GenBank Acc.No.NM_002228)、MAS1(GenBank Acc.No.M13150)、pim−1(GenBank Acc.No.M16750)、TIF1(GenBank Acc.No.NM_003852)、c−fms(GenBank Acc.No.X03663)、EGFR(GenBank Acc.No.NM_005228)、erbA(GenBank Acc.No.X04707)、c−srcチロシンキナーゼ(GenBank Acc.No.XM_044659)、c−abl(GenBank Acc.No.M14752)、N−ras(GenBank Acc.No.X02751)、K−ras(GenBank Acc.No.M54968)、jun−B(GenBank Acc.No.M29039)、c−myc(GenBank Acc.No.AH001511)、RB1(GenBank Acc.No.M28419)、DCC(GenBank Acc.No.X76132)、APC(GenBank Acc.No.NM_000038)、NF1(GenBank Acc.No.M89914)、NF2(GenBank Acc.No.Y18000)及びbcl−2(GenBank Acc.No.M13994)を挙げることができる。
「融合誘導阻害剤ペプチド」は、抗ウイルス活性、抗膜融合能、及び/又は細胞内プロセスを調節する能力を示すペプチド、例えば、コイルドコイルペプチド構造を伴うペプチドを記載するために本明細書中では使用される。抗ウイルス活性には、HIV−1、HIV−2、RSV、SIV、EBV、麻疹ウイルス、インフルエンザウイルス又はCMVの非感染細胞への伝播の阻害が含まれるが、これに限定されない。さらに、ペプチドの抗融合誘導能又は抗ウイルス活性又は細胞内調節活性は、そのペプチドの存在を単に要求するだけであり、特に、そのようなペプチドに対する宿主の免疫応答の刺激を要求しない。抗融合誘導的は、2つ以上の成分の間における膜融合事象のレベルを、ペプチドの非存在下での前記成分の間で生じる膜融合のレベルと比較して阻害するか、又は減少させるペプチドの能力を示す。そのような成分は、例えば、細胞膜又はウイルス構造体(例えば、ウイルスエンベロープ)又は線毛であり得る。本明細書中で使用される用語「抗ウイルスペプチド」は、細胞のウイルス感染を阻害するペプチドの能力、或いは例えば、細胞−細胞の融合又は遊離ウイルスの細胞感染による繁殖的なウイルス感染及び/又はウイルス病理発生のために要求される何らかのウイルス活性を阻害するペプチドの能力を示す。そのような感染は、エンベロープ化ウイルスの場合に生じるような膜融合、又はウイルス構造体及び細胞構造体を伴う何らかの他の融合事象を伴い得る。融合誘導阻害剤ペプチド及び抗ウイルスペプチドは、多くの場合、2つ以上のウイルスタンパク質に由来するアミノ酸配列を有する(例えば、HIV−1、HIV−2、RSV及びSIVに由来するポリペプチド)。
融合誘導阻害剤ペプチド及び抗ウイルスペプチドの様々な例を、国際特許出願公開WO94/2820、同WO96/19495、同WO96/40191、同WO01/64013、そして米国特許第6,333,395号、同第6,258,782号、同第6,228,983号、同第6,133,418号、同第6,093,794号、同第6,068,973号、同第6,060,065号、同第6,054,265号、同第6,020,459号、同第6,017,536号、同第6,013,263号、同第5,464,933号、同第5,346,989号、同第5,603,933号、同第5,656,480号、同第5,759,517号、同第6,245,737号、同第6,326,004号及び同第6,348,568号に見出すことができる(これらはすべて参考として本明細書中に組み込まれる)。好ましい実施形態において、抗融合誘導阻害ペプチドは、HIV T−20(FWNWLSAWKDLELLEQENKEQQNQSEEILSHILSTY、配列番号4)、HIV T−1249、RSV T786(VYPSDEYDASISQVNEEINQALAYIRKADELLENV、配列番号5)、RSV T1584(AVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQL、配列番号6)、及びRSV T112(VFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRESDELLHNV、配列番号7)からなる群から選択される。
他のタイプのペプチドの例には、本明細書中に記載されるような治療タンパク質のフラグメント、特に、元の分子の少なくとも1つの活性を保持しているヒトタンパク質のフラグメントが含まれる。本発明の改変されたTf融合タンパク質を製造するために使用され得るペプチドにはまた、ミメティックペプチド、すなわち、治療タンパク質の生物学的活性を示すが、配列又は三次元構造が全長の治療タンパク質とは異なるペプチドが含まれる。非限定的な例として、ペプチドには、Johnson等(2000)、Nephrol.Dial.Transplant、15(9):1274〜7;Kuai等(2000)、J.Pept.Res.、56(2):59〜62;Barbone等(1999)、Nephrol.Dial.Transplant.、14増刊2:80〜4;Middleton等(1999)、J.Biol.Chem.、274(20):14163〜9;Johnson等(1998)、Biochemistry、37(11):3699〜710;Johnson等(1997)、Chem.Biol.、12:939〜50;Wrighton等(1997)、Nat.Biotechnol.、15(12):1261〜5;Livnah等(1996)、Science、273:464〜71;及びWrighton等(1996)、Science、273:458〜64によって開示されるエリスロポイエチンミメティックペプチドが含まれる。
治療分子にはまた、アレルゲンタンパク質及びその消化されたフラグメントが含まれる。これらには、ブタクサ、ライムギ、ナガハグサ、カモガヤ、ハルガヤ、コヌカグサ、オオアワガエリ、イエロードック、コムギ、トウモロコシ、ヤマヨモギ、イチゴツナギ、カリフォルニアアニュアルグラス、アカザ、ギョウギシバ、ホソバオカヒジキ、マウンテンシーダー、オーク、ネグンドカエデ、スズカケノキ、カエデ、ニレ等に由来する花粉アレルゲン、ダスト及びダニ、ハチ毒、食物アレルゲン、動物鱗屑、並びに昆虫毒が含まれる。
他の治療分子には、ウイルスワクチン、細菌ワクチン及び原生動物ワクチンを含む微生物ワクチン、並びに表面抗原等のそれらの様々な成分が含まれる。これらには、糖タンパク質、このようなタンパク質に由来するタンパク質又はペプチドを含有するワクチンが含まれる。そのようなワクチンは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、サルモネラ属菌(Salmonellae)の種、赤痢菌属菌(Shigellae)の種、大腸菌、クレブジエラ属菌(Klebsiellae)の種、プロテウス(Proteus)属の種、コレラ菌(Vibrio cholera)、カンピロバクター・ピロリ(Campylobacter pylori)、緑膿菌(Pseudomonas aeraginosa)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、クラミジア、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、パラミクロウイルス(ムンプス、麻疹)、風疹ウイルス、ポリオウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、狂犬病ウイルス、HIV−1、HIV−2、RSV及びパピローマウイルスから調製される。
好ましい融合分子は、抗HIVウイルスペプチド、抗RSVペプチド、ヒト成長ホルモン、αインターフェロン及び/又はβインターフェロン、エリスロポイエチン(EPO)、EPO様ペプチド、顆粒球−コロニー刺激因子(GCSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、インスリン、インスリン様増殖因子(IGF)、トロンボポイエチン、抗体のCDRに対応するペプチド、膵島再生関連タンパク質(INGAP)、カルシトニン、アンギオスタチン、エンドスタチン、インターロイキン−2、成長ホルモン放出因子、ヒト副甲状腺ホルモン、抗腫瘍壊死因子(TNF)ペプチド、インターロイキン−1(IL−1)受容体、及び/又は単鎖抗体を含有することができる。
本発明の融合タンパク質はまた、新しい機能又は新規な機能を有する分子についてスクリーニングするために、ペプチドライブラリーに由来するペプチド又はポリペプチドを含むように調製することができる。そのようなペプチドライブラリーには、市販のライブラリー又は公開されて入手可能なライブラリー(例えば、American Peptide Co.Inc.、Cell Sciences Inc.、Invitrogen Corporation、Phoenix Pharmaceuticals Inc.、United States Biological)、並びに利用可能な技術によって作製されるライブラリー、例えば、標準的な手法を使用して作製されるバクテリオファージディスプレーライブラリー及び細菌ディスプレーライブラリーが含まれ得る。
本発明のさらに別の実施形態において、Tf融合タンパク質は、この分野で知られているような治療タンパク質成分、そしてwww.fda.gov/cber/efoi/approve.htmにおいて食品医薬品局により現在承認されているペプチド及びタンパク質によって例示され、そして同様にPCT特許出願公開番号WO01/79258、同WO01/77137、同WO01/79442、同WO01/79443、同WO01/79444及び同WO01/79480(これらはすべて、その全体が参考として本明細書中に組み込まれる)によって例示されるような治療タンパク質成分を使用することによって調製することができる。
表1(PCT国際特許出願公開WO01/79444から採用)には、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質の治療タンパク質部分に対応する治療タンパク質の非包括的な列挙が示される。「治療タンパク質X」の欄には、治療タンパク質分子が開示され、その後には、その治療タンパク質分子又はそのフラグメントもしくは変化体を含むか、或いはその治療タンパク質分子又はそのフラグメントもしくは変化体からなる科学的名称又は商品名を含有する括弧が続く。本明細書中で使用される「治療タンパク質X」は、(CAS及びGenBankアクセション番号から入手可能なアミノ酸配列により定義されるような)個々の治療タンパク質分子、又はこの欄に開示される所与の治療タンパク質分子と関連する治療タンパク質の群全体のいずれかを示し得る。「例示的な識別名」の欄には、タンパク質分子のアミノ酸配列又は治療タンパク質分子のフラグメントもしくは変化体のアミノ酸を含有するCAS Registryデータベース及びGenBankデータベースにおける登録に対応するChemical Abstracts Services(CAS)Registry番号(これはアメリカ化学会により公表されている)及び/又はGenBankアクセション番号(例えば、国立バイオテクノロジーインフォメーションセンター(NCBI)のウェブページ(www.ncbi.nlm.nih.gov)を介して入手可能な所在ID、NP−XXXXX(参照配列タンパク質)及びXP−XXXXX(モデルタンパク質)の識別名)が示される。また、GenSeqアクセション番号及び/又は雑誌刊行物引用が、いくつかのポリペプチドについては、例示的なアミノ酸配列を確認するために示される。
CAS及びGenBank及びGenseqのこれらのアクセション番号並びに引用された雑誌刊行物のそれぞれに関連する要約頁を利用することができ(例えば、PubMed ID番号(PMID))、これらはその全体が参考として本明細書中に組み込まれる。PCT/特許参照の欄には、米国特許番号、或いは治療タンパク質分子を記載する特許及び/又は公開された特許出願に対応するPCT国際特許出願公開番号が示される(これらはすべて、その全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。生物学的活性の欄には、治療タンパク質分子に関連する生物学的活性が記載される。例示的な活性アッセイの欄には、治療タンパク質、又は治療タンパク質X部分を含む本発明のトランスフェリン融合タンパク質の治療活性及び/又は生物学的活性を試験するために使用することができるアッセイを記載する参考文献が示される。これらの参考文献もまた、その全体が参考として本明細書中に組み込まれる。「好ましい適応症Y」の欄には、治療タンパク質Xによって、又は治療タンパク質X部分を含む本発明のトランスフェリン融合タンパク質によって処置、防止、診断又は改善され得る疾患、障害及び/又は状態が記載される。
細胞内部への薬物もしくは治療タンパク質の送達及び/又は血液脳関門(BBB)を越えた薬物もしくは治療タンパク質の送達
本発明の範囲内において、改変されたトランスフェリン融合タンパク質は、トランスフェリンの鉄イオンに対して複合体化された分子又は小分子治療剤を細胞の内部に送達するか、又は血液脳関門を越えて送達するためのキャリアとして使用することができる。これらの実施形態において、Tf融合タンパク質は、典型的には、融合タンパク質及び/又は治療タンパク質部分の血清半減期を延ばすためにグリコシル化を阻害、防止又は除去するために操作又は改変される。標的化ペプチド、すなわち、例えば、単鎖抗体の付加は、Tf融合タンパク質を特定の細胞タイプ(例えば、ガン細胞)に対してさらに標的化するために特に考えられる。
1つの実施形態において、鉄を含有する抗貧血薬である鉄−ソルビトール−クエン酸塩複合体が本発明の改変されたTf融合タンパク質に装填される。鉄−ソルビトール−クエン酸塩(FSC)は、様々なネズミガン細胞の増殖をインビトロで阻害し、そして腫瘍の退行をインビボで生じさせ、その一方で、非悪性細胞の増殖に対する作用を何ら有しないことが示されている(Poljak−Blazi等(2000年6月)、Cancer Biotherapy and Radiopharmaceuticals(合衆国)、15/3:285〜293)。
別の実施形態において、抗新生物薬アドリアマイシン(ドキソルビシン)及び/又は化学療法薬ブレオマイシン(これらはともに、鉄イオンとの複合体を形成することが知られている)が本発明のTf融合タンパク質に装填される。他の実施形態において、薬物の塩、例えば、クエン酸塩又は炭酸塩を調製して、Tfにその後で結合させられる鉄イオンと複合体化することができる。腫瘍細胞は、多くの場合、鉄に対してより大きな代謝回転速度を示すので、少なくとも1つの抗腫瘍剤を運搬するように改変されたトランスフェリンは、腫瘍細胞に対する薬剤の暴露又は装填を増大させる手段を提供し得る(Demant,E.J.、(1983)Eur.J.of Biochem.、137/(1−2):113〜118;Padbury等(1985)、J.Biol.Chem.、260/13:7820〜7823)。
薬学的配合物及び処置方法
本発明の改変された融合タンパク質は、標準的な投与プロトコルを使用してその必要性のある患者に投与することができる。例えば、本発明の改変されたTf融合タンパク質は、単独で、又は組み合わせて、又は、特定の病理学的プロセスを調節する他の薬剤との連続した組み合わせで与えることができる。本明細書中で使用されるように、2つの薬剤が同時に投与されるか、又は2つの薬剤が同時もしくはほぼ同時に作用するような様式で独立して投与されるとき、2つの薬剤は組み合わせで投与されると言われる。
本発明の薬剤は、非経口経路、皮下経路、静脈内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、経皮経路及び口内経路によって投与することができる。例えば、薬剤は、マイクロ注入によって傷害部位に局所的に投与することができる。或いは、又は同時に、投与は、経口経路、吸入経路、鼻腔経路又は肺経路のいずれかによって非侵襲的であり得る。投与される投薬量は、受容者の年齢、健康状態及び体重、同時に行われる処置の種類(存在する場合)、処置頻度、並びに所望される効果の性質に依存する。
本発明はさらに、本発明の融合タンパク質を1つ以上含有する組成物を提供する。個々の必要性は異なるが、各成分の効果的な量の最適な範囲を決定することはこの分野の技術の範囲内である。典型的な投薬量は約1pg/kg体重〜約100mg/kg体重を含む。全身投与に対する好ましい投薬量は約100ng/kg体重〜約100mg/kg体重又は1回の用量あたり約100mg〜200mgのタンパク質を含む。マイクロ注入による部位への直接的な投与に対する好ましい投薬量は約1ng/kg体重〜約1mg/kg体重を含む。直接的な注射又はマイクロ注入によって投与されるとき、本発明の改変された融合タンパク質は、部分的には限局的な鉄毒性を防止するために、鉄の低下した結合を示すか、又は鉄の結合を全く示さないように操作することができる。
薬理学的に活性な融合タンパク質に加えて、本発明の組成物は、活性な化合物を、作用部位への送達のために薬学的に使用され得る調製物に加工することを容易にする賦形剤及び補助剤を含む好適な薬学的に受容可能なキャリアを含有することができる。経口投与される好適な配合物には、水溶性形態(例えば、水溶性塩)の活性な化合物の水溶液が含まれる。また、活性な化合物の懸濁物を適切な油状の注射懸濁物として投与することができる。好適な親油性の溶媒又はビヒクルには、脂肪油(例えば、ゴマ油)又は合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチル又はトリグリセリド)が含まれる。水性の注射懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質を含有することができ、これには、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール及びデキストランが含まれる。必要な場合には、懸濁物は安定化剤をも含有することができる。リポソームもまた、細胞内への送達のために薬剤をカプセル化するために使用することができる。
本発明による全身投与用の薬学的配合物は、経腸投与、非経口投与又は局所投与のために配合され得る。実際、3タイプの配合物のすべてが、有効成分の全身投与を達成するために同時に使用され得る。経口投与される好適な配合物には、硬ゼラチンカプセル又は軟ゼラチンカプセル、ピル、錠剤(コーティング錠剤を含む)、エリキシル剤、懸濁物、シロップ又は吸入物、及びそれらの制御放出形態物が含まれる。
本発明の方法を実施するとき、本発明の薬剤は、単独で、又は組み合わせて、又は他の治療剤もしくは診断剤との組み合わせで使用することができる。いくつかの好ましい実施形態において、本発明の化合物は、一般に受け入れられている医療行為に従ってこれらの状態のために典型的に処方される他の化合物と一緒に同時に投与することができる。本発明の化合物は、インビボで、通常的には、ヒト、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラット及びマウス等の哺乳動物において、又はインビトロで使用することができる。
本発明の改変された融合タンパク質は、内分泌系、神経系、免疫系、呼吸器系、心臓血管系、生殖系、消化系の障害の疾患及び障害に関連する疾患及び/又は障害、細胞増殖に関連する疾患及び/又は障害、並びに/或いは血液に関連する疾患又は障害の診断、予後判定、防止及び/又は処置において使用することができる。
本発明のさらに他の実施形態において、改変されたTf融合タンパク質は、この分野で知られているような治療タンパク質成分、及びPCT特許出願公開番号WO01/79258、同WO01/77137、同WO01/79442、同WO01/79443、同WO01/79444、そして同WO01/79480(これらはすべて、その全体が参考として本明細書中に組み込まれる)によって例示されるような治療タンパク質成分と関連することが知られているか、又はそのような治療タンパク質成分によって処置可能であることが知られている疾患及び障害に関連する疾患及び/又は障害の診断、予後判定、防止及び/又は処置において使用することができる。従って、本発明は、表1の「好ましい適応症Y」の欄に列挙される疾患又は障害を処置する方法で、そのような処置、防止又は改善が所望される患者に、表1の「治療タンパク質X」の欄に開示される治療タンパク質に対応する治療タンパク質部分を含む本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質を、疾患又は障害を処置又は防止又は改善するために効果的な量で投与することを含む方法を包含する。
いくつかの実施形態において、本発明のトランスフェリン融合タンパク質は、疾患及び障害を診断及び/又は予後判定するために使用することができる。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、免疫系の疾患及び/又は障害及び/又は状態を処置し、防止し、診断し、且つ/又は予後判定することにおいて有用であり得る。さらに、本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、免疫系の特定の疾患、障害のマーカー又は検出因子として使用することができる。
好ましい実施形態において、本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、免疫不全者における免疫応答性を高めるための薬剤として使用することができる。具体的な実施形態において、本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、B細胞及び/又はT細胞の免疫不全患者における免疫応答性を高めるための薬剤として使用することができる。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、自己免疫障害を処置し、防止し、診断し、且つ/又は予後判定することにおいて有用であり得る。多くの自己免疫障害は、自己が免疫細胞によって異物として不適切に認識されることから生じる。このような不適切な認識は、宿主組織の破壊をもたらす免疫応答を生じさせる。従って、免疫応答(特に、T細胞の増殖、分化又は走化性)を阻害することができる本発明の融合タンパク質、及び/又はそのような本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの投与は、自己免疫障害を防止することにおける効果的な治療法であり得る。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、造血細胞の疾患及び/又は障害及び/又は状態を処置し、防止し、診断し、且つ/又は予後判定することにおいて有用であり得る。本発明のトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、ある種のタイプ(又は多くのタイプ)の造血細胞の減少に関連するそのような疾患及び/又は障害及び/又は状態(白血球減少症、好中球減少症、貧血及び血小板減少症を含む)を処置又は防止しようとすることにおいて、多機能性幹細胞を含む造血細胞の分化及び増殖を増大させるために使用することができる。
或いは、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、ある種のタイプ(又は多くのタイプ)の造血細胞の増大に関連するそのような疾患及び/又は障害及び/又は状態(組織球症を含む)を処置又は防止しようとすることにおいて、多機能性幹細胞を含む造血細胞の分化及び増殖を増大させるために使用することができる。
アレルギー反応及びアレルギー状態、例えば、喘息(特にアレルギー性喘息)又は他の呼吸器問題もまた、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを使用して処置し、防止し、診断し、且つ/又は予後判定することができる。さらに、これらの分子は、アナフィラキシー、抗原性分子に対する過敏性、又は血液型不適合性を処置、防止、予後判定及び/又は診断するために使用することができる。
また、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、IgEにより媒介されるアレルギー反応を処置し、防止し、診断し、且つ/又は予後判定するために使用することができる。そのようなアレルギー反応には、喘息、鼻炎及び湿疹が含まれるが、これらに限定されない。具体的な実施形態において、本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、IgE濃度をインビトロ又はインビボで調節するために使用することができる。
さらに、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、炎症状態の診断、予後判定、防止及び/又は処置において用途を有する。例えば、本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、炎症応答に関与する細胞の活性化及び/又は増殖及び/又は分化を阻害することができるので、これらの分子は、慢性及び急性の炎症状態を防止及び/又は処置するために使用することができる。そのような炎症状態には、例えば、感染に関連する炎症(例えば、敗血症性ショック、敗血症又は全身性炎症応答症候群)、虚血−再灌流傷害、エンドトキシン致死性、補体により媒介される超急性拒絶、腎炎、サイトカイン又はケモカインにより誘導される肺傷害、炎症性腸疾患、クローン病、サイトカイン(例えば、TNF又はIL−1)の過剰産生、呼吸器障害(例えば、喘息及びアレルギー);胃腸障害(例えば、炎症性腸疾患);ガン(例えば、胃ガン、卵巣ガン、肺ガン、膀胱ガン、肝臓ガン及び乳ガン);CNS障害(例えば、多発性硬化症;虚血性脳傷害及び/又は発作、外傷性脳傷害、神経変性障害(例えば、パーキンソン病及びアルツハイマー病);AIDS関連痴呆;及びプリオン病);心臓血管障害(例えば、アテローム性動脈硬化、心筋炎、心臓血管疾患、及び心肺バイパス術合併症);並びに炎症を特徴とする多くのさらなる疾患及び状態及び障害(例えば、肝炎、慢性関節リウマチ、痛風、外傷、膵臓炎、類肉腫症、皮膚炎、腎臓の虚血−再灌流傷害、グレーヴズ病、全身性エリテマトーデス、真性糖尿病、同種移植の拒絶)が含まれるが、これらに限定されない。
炎症は基本的な防御機構であるので、炎症性障害は、身体の事実上どの組織にも影響を及ぼし得る。従って、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、副腎炎、肺胞炎、血管胆嚢炎、虫垂炎、亀頭炎、眼瞼炎、気管支炎、滑液包炎、心臓炎、蜂巣炎、子宮頸管炎、胆嚢炎、精索炎、コチフティス(cochiftis)、大腸炎、結膜炎、膀胱炎、皮膚炎、憩室炎、脳炎、心内膜炎、食道炎、耳管炎、結合組織炎、毛包炎、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、舌炎、肝脾炎、角膜炎、迷路炎、咽頭炎、リンパ管炎、乳腺炎、中耳炎、髄膜炎、子宮炎、粘膜炎、心筋炎、筋炎、鼓膜炎、腎炎、神経炎、精巣炎、骨軟骨炎、耳炎、心膜炎、腱鞘炎、腹膜炎、咽頭炎、静脈炎、灰白髄炎、前立腺炎、歯髄炎、網膜炎、鼻炎、卵管炎、強膜炎、強膜脈絡膜炎、陰嚢炎、洞炎、脊椎炎、脂肪組織炎、口内炎、滑膜炎、耳管炎、腱炎、扁桃炎、尿道炎及び膣炎(これらに限定されない)を含む組織特異的な炎症性障害の処置において有用である。
具体的な実施形態において、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、臓器移植拒絶及び移植片対宿主病を診断し、予後判定し、防止し、且つ/又は処置するために有用である。臓器拒絶は、免疫応答によって移植組織が宿主の免疫細胞により破壊されることによって生じる。同様に、免疫応答はまた、外来の移植された免疫細胞が宿主組織を破壊するGVHDにも関与する。免疫応答(特に、T細胞の活性化、増殖、分化又は走化性)を阻害する本発明のポリペプチドもしくは抗体もしくはポリヌクレオチド及び/又はそれらのアゴニストもしくはアンタゴニストは、臓器拒絶又はGVHDを防止することにおいて効果的な治療であり得る。
別の具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、抗ウイルス免疫応答を増強するためのアジュバントとして使用される。本発明の組成物をアジュバントとして使用して増強され得る抗ウイルス免疫応答には、本明細書中に記載されるか、そうでなければこの分野で知られている、ウイルス及びウイルスに関連する疾患又は症状が含まれる。具体的な実施形態において、本発明の組成物は、AIDS、髄膜炎、デング、EBV及び肝炎(例えば、B型肝炎)からなる群から選択されるウイルス、疾患又は症状に対する免疫応答を増強するためのアジュバントとして使用される。別の具体的な実施形態において、本発明の組成物は、HIV/AIDS、呼吸器合胞体ウイルス、デング、ロタウイルス、日本脳炎、A型インフルエンザ及びB型インフルエンザ、パラインフルエンザ、麻疹、サイトメガロウイルス、狂犬病、フニン、チクングンヤ、リフトヴァレー熱、単純ヘルペス、黄熱病からなる群から選択されるウイルス、疾患又は症状に対する免疫応答を増強するためのアジュバントとして使用される。
別の具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、抗菌性免疫応答又は抗真菌免疫応答を増強するためのアジュバントとして使用される。本発明の組成物をアジュバントとして使用して増強され得る抗菌性免疫応答又は抗真菌免疫応答には、本明細書中に記載されるか、そうでなければこの分野で知られている、細菌又は真菌及び細菌又は真菌に関連する疾患又は症状が含まれる。具体的な実施形態において、本発明の組成物は、破傷風、ジフテリア、ボツリヌス及びB型髄膜炎からなる群から選択される細菌もしくは真菌、疾患又は症状に対する免疫応答を増強するためのアジュバントとして使用される。
別の具体的な実施形態において、本発明の組成物は、コレラ菌(Vibrio cholerae)、らい菌(Mycobacterium leprae)、チフス菌(Salmonella typhi)、パラチフス菌(Salmonella paratyphi)、髄膜炎菌(Meisseria meningitidis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、B群連鎖球菌、赤痢菌(Shigella spp.)、毒素原性大腸菌、腸管出血性大腸菌、及びボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)からなる群から選択される細菌もしくは真菌、疾患又は症状に対する免疫応答を増強するためのアジュバントとして使用される。
別の具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、抗寄生虫免疫応答を増強するためのアジュバントとして使用される。本発明の組成物をアジュバントとして使用して増強され得る抗寄生虫免疫応答には、本明細書中に記載されるか、そうでなければこの分野で知られている、寄生虫及び寄生虫に関連する疾患又は症状が含まれる。具体的な実施形態において、本発明の組成物は、寄生虫に対する免疫応答を増強するためのアジュバントとして使用される。別の具体的な実施形態において、本発明の組成物は、プラスモジウム(Plasmodium)属(マラリア)又はリーシュマニア(Leishmania)属に対する免疫応答を増強するためのアジュバントとして使用される。
別の具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドはまた、例えば、単核食細胞の動員及び活性化を妨げることによって、珪肺症、類肉腫症及び特発性肺線維症を含む感染性疾患を処置するために用いることができる。
別の具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドに対する免疫媒介応答を阻害又は増強するための抗体を生じさせるための抗原として使用される。
1つの実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、免疫系を刺激して、1つ以上の抗体(例えば、IgG、IgA、IgM及びIaE)の増大した量を産生させるために、且つ/又は親和性がより大きい抗体の産生及び免疫グロブリンのクラススイッチング(例えば、IgG、IgA、IgM及びIaE)を誘導するために、且つ/又は免疫応答を増大させるために、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、ブタ、ミニブタ、ニワトリ、ラクダ、ヤギ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、非ヒト霊長類及びヒト、最も好ましくはヒト)に投与される。
別の実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、動物医療に対して適用され得るので、本明細書中に記載される適用の1つ以上において使用される。
別の具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、外来病原体又は自己に対する免疫応答の様々な態様を阻止する手段として使用される。免疫応答の特定の態様を阻止することが所望され得る疾患又は状態の例には、狼瘡等の自己免疫障害、及び関節炎、並びに、皮膚アレルギー、炎症、腸疾患、傷害、及び病原体に関連する疾患/障害に対する免疫応答性が含まれる。
別の具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、特発性血小板減少性紫斑症、全身性エリテマトーデス及び多発性硬化症等の自己免疫疾患に関連するB細胞増殖及びIg分泌を防止するための治療として使用される。
別の具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、内皮細胞におけるB細胞及び/又はT細胞の遊走阻害剤として使用される。この活性は組織構造又は同系応答を破壊し、従って、例えば、免疫応答を破壊すること、及び敗血症を阻止することにおいて有用である。
別の具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、意義不明の単一クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、ヴァルデンストレーム病、関連する特発性単一クローン性免疫グロブリン血症、及び形質細胞腫のような疾患における慢性的な高ガンマグロブリン事象に対する治療として使用される。
別の具体的な実施形態では、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、例えば、ある種の自己免疫疾患及び慢性の炎症性疾患及び感染性疾患において、マクロファージ及びその前駆細胞、並びに好中球、好塩基球、Bリンパ球、及びいくつかのT細胞サブセット(例えば、活性化T細胞及びCD8細胞傷害性T細胞及びナチュラルキラー細胞)のポリペプチド走化性及び活性化を阻害するために用いることができる。自己免疫疾患の様々な例が本明細書中に記載されており、これには、多発性硬化症及びインスリン依存性糖尿病が含まれる。
別の具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドはまた、例えば、動脈壁内への単球の浸潤を妨げることによって、アテローム性動脈硬化を処置するために用いることができる。
別の具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)を処置するために用いることができる。
別の具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、創傷及び組織の修復を刺激するために、且つ/又は血管形成を刺激するために、且つ/又は血管もしくはリンパの疾患もしくは障害の修復を刺激するために有用であり得る。また、本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、粘膜表面の再生を刺激するために使用することができる。
具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、原発性又は後天的な免疫不全症、不完全な血清免疫グロブリン産生、再発性感染症、及び/又は免疫系機能不全を特徴とする障害を診断し、予後判定し、処置し、且つ/又は防止するために使用される。さらに、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、関節、骨、皮膚及び/又は耳下腺の感染症、血液−骨感染症(例えば、敗血症、髄膜炎、敗血症性関節炎及び/又は骨髄炎)、自己免疫疾患(例えば、本明細書中に開示される疾患)、炎症性障害、及び悪性腫瘍、並びに/又は、CVID、等の原発性免疫不全症、HIV疾患、CLL、再発性気管支炎、洞炎、中耳炎、結膜炎、肺炎、肝炎、髄膜炎、帯状疱疹(例えば、重症な帯状疱疹)、及び/又はカリニ肺炎(これらに限定されない)を含むこれらの感染症、疾患、障害及び/又は悪性腫瘍に関連する任意の疾患、障害又は状態を処置又は防止するために使用することができる。本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて防止され、診断され、予後判定され、且つ/又は処置され得る他の疾患及び障害には、HIV感染、HTLV−BLV感染、リンパ球減少症、食細胞殺菌機能不全貧血、血小板減少症及びヘモグロビン尿症が含まれるが、これらに限定されない。
具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、免疫細胞又は免疫組織に関連するガン又は新生物を含むガン又は新生物を診断し、予後判定し、防止し、且つ/又は処置するために使用することができる。本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによって防止、診断又は処置され得るガン又は新生物の例には、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病、形質細胞腫、多発性骨髄腫、バーキットリンパ腫、EBVにより形質転換された疾患、及び/又は本明細書中の他のどこかに「過増殖性障害」と題された節に記載される疾患及び障害が含まれるが、これらに限定されない。
別の具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、大B細胞リンパ腫の細胞増殖を低下させるための治療として使用される。
具体的な実施形態において、本発明の組成物は、例えば、部分的又は完全な脾臓摘出を受けた人等のB細胞免疫不全者における免疫応答性を刺激するための薬剤として使用される。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、ホメオスタシス活性(出血の停止)又は血栓溶解(凝塊溶解)活性を調節するために使用することができる。例えば、ホメオスタシス活性又は血栓溶解活性を増大させることによって、本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、血液凝固の疾患及び/又は障害及び/又は状態(例えば、無フィブリノゲン血症、因子不全症、血友病)、血液血小板の疾患及び/又は障害及び/又は状態(例えば、血小板減少症)、或いは外傷、手術又は他の原因から生じる創傷を処置又は防止するために使用することができる。或いは、ホメオスタシス活性又は血栓溶解活性を低下させることができる本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、凝固を阻害又は溶解するために使用することができる。これらの分子は、心臓発作(梗塞)、卒中又は瘢痕形成の処置又は防止において重要であり得る。
具体的な実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、血栓症、動脈血栓症、静脈血栓症、血栓塞栓症、肺塞栓症、アテローム性動脈硬化、心筋梗塞、一過性の虚血性発作、不安定狭心症を防止し、診断し、予後判定し、且つ/又は処置するために使用することができる。具体的な実施形態において、本発明のトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、伏在静脈グラフトの閉塞を防止するために、血管形成術手法に付随し得るような処置時の血栓症の危険性を減少させるために、非リウマチ性心房細動を含む心房細動の患者における発作の危険性を減少させるために、機械的心臓弁及び/又は僧坊弁疾患に関連する塞栓症の危険性を減少させるために使用することができる。本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに対する他の使用には、体外デバイス(例えば、血管内カニューレ、血液透析患者における血管接続シャント、血液透析装置、及び心肺バイパス装置)における閉塞を防止することが含まれるが、これに限定されない。
別の実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、血液、及び/又は本発明のポリペプチドが発現する組織に関連する血液形成器官の疾患及び障害を防止し、診断し、予後判定し、且つ/又は処置するために使用することができる。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、造血活性(血液細胞の形成)を調節するために使用することができる。例えば、本発明のトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、例えば、赤血球、リンパ球(B細胞又はT細胞)、骨髄細胞(例えば、好塩基球、好酸球、好中球、マスト細胞、マクロファージ)及び血小板等の血液細胞のすべて又はサブセットの量を増大させるために使用することができる。血液細胞又は血液細胞のサブセットの量を減少させる能力は、下記に記載される貧血及び白血球減少症を防止し、検出し、診断し、且つ/又は処置することにおいて有用であり得る。或いは、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、例えば、赤血球、リンパ球(B細胞又はT細胞)、骨髄細胞(例えば、好塩基球、好酸球、好中球、マスト細胞、マクロファージ)及び血小板等の血液細胞のすべて又はサブセットの量を減少させるために使用することができる。血液細胞又は血液細胞のサブセットの量を減少させる能力は、例えば、好酸球増加症等の白血球増加症を防止し、検出し、診断し、且つ/又は処置することにおいて有用であり得る。本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、血液疾患を防止、処置又は診断するために使用することができる。
貧血は、赤血球の数又はヘモグロビン(酸素を運搬するタンパク質)の量が正常値未満である状態である。貧血は、過度の出血、低下した赤血球産生、又は増大した赤血球分解(溶血)によって引き起こされ得る。本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、貧血を処置及び/又は防止及び/又は診断することにおいて有用であり得る。本発明のトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによって処置、防止又は診断され得る貧血には、鉄欠乏性貧血、低色素性貧血、小球性貧血、萎黄病、遺伝性鉄芽球性貧血、特発性後天的鉄芽球性貧血、赤血球形成不全、巨赤芽球性貧血(例えば、悪性貧血、(ビタミンB12欠乏性)及び葉酸欠乏性貧血)、再生不良性貧血、溶血性貧血(例えば、自己免疫性溶血性貧血、細血管異常性溶血性貧血、及び発作性夜間ヘモグロビン尿症)が含まれる。本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、全身性エリテマトーデス、ガン、リンパ腫、慢性腎疾患及び肥大した脾臓に関連する様々な貧血(これらに限定されない)を含む、疾患に関連する貧血を処置及び/又は防止及び/又は診断することにおいて有用であり得る。本発明のトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、メチルドーパ、ダプソン及び/又はサルファ薬に関連する貧血等の、薬物処置から生じる貧血を処置及び/又は防止及び/又は診断することにおいて有用であり得る。また、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ不全症、鎌状赤血球貧血(これらに限定されない)を含む、異常な赤血球構造に関連する貧血を処置及び/又は防止及び/又は診断することにおいて有用であり得る。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、ヘモグロビンの異常(例えば、鎌状赤血球貧血、ヘモグロビンC疾患、ヘモグロビンS−C疾患、及びヘモグロビンE疾患に関連する異常)を処置及び/又は防止及び/又は診断することにおいて有用であり得る。また、本発明のトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、α−サラセミア及びβ−サラセミアの重症形態及び軽症形態(これらに限定されない)を含むサラセミアを診断し、防止し、且つ/又はその処置で予後判定することにおいて有用であり得る。
別の実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、血小板減少症(例えば、特発性血小板減少性紫斑病及び血栓性血小板減少性紫斑病)、フォン・ウィルブランド病、遺伝性の血小板障害(例えば、貯蔵プール疾患、例えば、チュディアック−東症候群及びヘルマンスキー−パドラック症候群等、トロンボキサンA2機能不全、血小板無力症、及びベルナール−スーリエ症候群)、溶血性尿毒症症候群、血友病(例えば、血友病A(すなわち、第V−11因子欠損症)及びクリスマス病(すなわち、第IX因子欠損症)、遺伝性出血性毛細管拡張症(これはまたランデュ−オースラー−ウェーバー症候群としても知られている)、アレルギー性紫斑病(ヘーノホ−シェーンライン紫斑病)、並びに播種性血管内凝固症候群(これらに限定されない)を含む様々な出血性障害を診断し、予後判定し、防止し、且つ/又は処置することにおいて有用であり得る。
他の実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、サイトカイン産生を増大させるための薬剤として有用であり得る。
いくつかの実施形態における過増殖性障害において、本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、過増殖性障害(新生物を含む)を処置又は検出するために使用することができる。本発明のトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、直接的又は間接的な相互作用を介して障害の増殖を阻害することができる。或いは、本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、過増殖性障害を阻害することができる他の細胞を増殖させることができる。
例えば、免疫応答を増加させること、特に、過剰増殖性障害の抗原的特性を増大させることによって、或いはT細胞を増殖、分化又は動員することによって、過増殖性障害を処置することができる。この免疫応答は、既存の免疫応答を高めることによるか、又は新しい免疫応答を開始させることによるかのいずれかで増大させることができる。或いは、免疫応答を減少させることもまた、過剰増殖性障害を処置する方法であり得る(例えば、化学療法剤)。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによって処置又は検出され得る過増殖性障害の例には、結腸、腹部、骨、胸、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭頸部、神経(中枢及び末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、柔組織、脾臓、胸郭、及び泌尿生殖路に存在する新生物が含まれるが、これらに限定されない。
同様に、他の過増殖性障害もまた、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによって処置又は検出することができる。そのような過増殖性障害の例には、急性小児リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質細胞ガン、成人(原発性)肝細胞ガン、成人(原発性)肝臓ガン、成人急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝臓ガン、成人柔組織肉腫、AIDS関連リンパ腫、AIDS関連悪性疾患、肛門ガン、神経膠星状細胞腫、胆管ガン、膀胱ガン、骨ガン、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳ガン、腎盤及び尿管のガン、中枢神経系(原発性)リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳神経膠星状細胞腫、大脳神経膠星状細胞腫、頸部ガン、小児(原発性)肝細胞ガン、小児(原発性)肝臓ガン、小児急性リンパ芽球性白血病、小児急性骨髄性白血病、小児脳幹神経膠腫、小児小脳神経膠星状細胞腫、小児大脳神経膠星状細胞腫、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、小児ホジキン病、小児ホジキンリンパ腫、小児の視床下部及び視路の神経膠腫、小児リンパ芽球性白血病、小児髄芽細胞腫、小児非ホジキンリンパ腫、小児の松果体及びテント上の未分化神経外胚葉腫瘍、小児原発性肝臓ガン、小児横紋筋肉腫、小児柔組織肉腫、小児の視路及び視床下部の神経膠腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸ガン、皮膚型T細胞リンパ腫、内分泌性膵臓膵島細胞ガン、子宮内膜ガン、脳室上衣細胞腫、上皮ガン、食道ガン、ユーイング肉腫及び関連する腫瘍、外分泌性膵臓ガン、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管ガン、眼ガン、女性乳ガン、ゴーシェ病、胆嚢ガン、胃ガン、胃腸カルチノイド腫瘍、胃腸腫瘍、胚細胞腫瘍、妊娠期栄養膜腫瘍、毛様細胞性白血病、頭頸部ガン、肝細胞ガン、ホジキン病、ホジキンリンパ腫、高ガンマグロブリン血症、下咽頭ガン、腸ガン、眼球内メラノーマ、膵島細胞ガン、膵島細胞膵臓ガン、カポジ肉腫、腎臓ガン、喉頭ガン、唇及び口腔のガン、肝臓ガン、肺ガン、リンパ増殖性障害、マクログロブリン血症、男性乳ガン、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽細胞腫、メラノーマ、中皮腫、転移性潜在性原発性鱗状頸部ガン、転移性原発性鱗状頸部ガン、転移性鱗状頸部ガン、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫/プラズマ細胞新生物、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄性白血病、骨髄増殖性障害、鼻腔及び副鼻腔のガン、鼻咽頭ガン、神経芽細胞腫、妊娠期間中の非ホジキンリンパ腫、非メラノーマ皮膚ガン、非小細胞肺ガン、潜在性原発性転移性鱗状頸部ガン、口腔咽頭ガン、骨線維性肉腫/悪性線維性肉腫、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫、卵巣上皮ガン、卵巣胚細胞腫瘍、低悪性度の未発達卵巣腫瘍、膵臓ガン、パラプロテイン血症、紫斑病、副甲状腺ガン、陰茎ガン、クロム親和性細胞腫、下垂体腫瘍、プラズマ細胞新生物/多発性骨髄腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝臓ガン、前立腺ガン、直腸ガン、腎細胞ガン、腎盤及び尿管のガン、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺ガン、サルコイドーシス肉腫、セザリー症候群、皮膚ガン、小細胞肺ガン、小腸ガン、柔組織肉腫、鱗状頸部ガン、胃ガン、テント上未分化神経外胚葉性腫瘍及び松果体腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣ガン、胸腺腫、甲状腺ガン、腎盤及び尿管の移行上皮ガン、腎盤及び尿管の移行性ガン、栄養膜腫瘍、尿管及び腎盤の細胞ガン、尿道ガン、子宮ガン、子宮肉腫、膣ガン、視路及び視床下部の神経膠腫、外陰部ガン、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍、並びに上記の器官系に存在する、新性組織形成以外の任意の他の過増殖性疾患が含まれるが、これらに限定されない。
別の好ましい実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、前ガン状態を診断し、予後判定し、防止し、且つ/又は処置するために、そして新性組織形成状態又は悪性疾患状態(上記に記載される障害を含むが、それらに限定されない)への進行を防止するために使用される。そのような使用は、新生組織形成又はガン(具体的には、非新生物性の細胞増殖が、過形成、化生からなる新生組織形成又はガン、又は最も具体的には、形成異常が生じている新生組織形成又はガン)への進行の前に起こることが知られている状態、又はそのようなことが疑われる状態において適応される(そのような異常な増殖状態の総説については、Robbins及びAngell、1976、Basic Pathology(第2版)、W.B.Saunders Co.、Philadelphia、68頁〜79頁を参照のこと)。
過形成は、構造又は機能の顕著な変化を伴わない組織又は器官における細胞数の増大を伴う制御された細胞増殖の形態である。本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて診断され、予後判定され、防止され、且つ/又は処置され得る過形成障害には、脈管濾胞性縦隔リンパ節増殖症、好酸球増加随伴性血管類リンパ組織増殖症、非定型メラニン細胞過形成、基底細胞過形成、良性巨大リンパ節増殖症、セメント質過形成、先天性副腎過形成、先天性脂腺増殖症、嚢胞性増殖症、乳房嚢胞性過形成、義歯性過形成、導管過形成、子宮内膜過形成、線維筋過形成、局所性上皮肥厚、歯肉増殖症、炎症性線維性過形成、炎症性乳頭状過形成、血管内乳頭状内皮過形成、結節性前立腺過形成、結節性再生過形成、偽上皮腫性増殖症、老年性脂腺増殖症、及びゆうぜい性肥厚が含まれるが、これらに限定されない。
別の実施形態において、本明細書中に記載されるように毒素又は放射性同位体にコンジュゲート化された、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、様々なガン及び新生物(本明細書中に記載されるガン又は新生物を含むが、それらに限定されない)を処置するために使用することができる。さらなる好ましい実施形態において、本明細書中に記載されるように毒素又は放射性同位体にコンジュゲート化された、本発明のトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、急性骨髄性白血病を処置するために使用することができる。
また、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、アポトーシスに影響を及ぼすことができ、従って、増大した細胞生存又はアポトーシスの阻害に関連する多数の疾患を処置することにおいて有用であり得る。例えば、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、及び/又はアゴニストもしくはアンタゴニストによって診断され、予後判定され、防止され、且つ/又は処置され得る、増大した細胞生存又はアポトーシスの阻害に関連する疾患には、ガン、(例えば、濾胞性リンパ腫、p53の突然変異を伴うガン腫、及びホルモン依存性腫瘍等、これには、結腸ガン、心臓腫瘍、膵臓ガン、メラノーマ、網膜芽細胞腫、神経膠芽細胞腫、肺ガン、腸ガン、精巣ガン、胃ガン、神経芽細胞腫、粘液腫、筋腫、リンパ腫、内皮腫、骨芽細胞腫、破骨細胞腫、骨肉腫、軟骨肉腫、腺腫、乳ガン、前立腺ガン、カポジ肉腫、及び卵巣ガン)を含むが、これらに限定されない。自己免疫障害、例えば、多発性硬化症、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェット病、クローン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎及び慢性関節リウマチ等、並びにウイルス感染(例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、及びアデノウイルス)、炎症、移植片対宿主病、急性移植片拒絶、及び慢性移植片拒絶が含まれる。
好ましい実施形態において、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、ガン(特に、上記に記載されるガン)の成長及び/又は進行及び/又は転移を阻害するために使用される。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによって診断され、予後判定され、防止され、且つ/又は処置され得る、増大した細胞生存に関連するさらなる疾患又は状態には、様々な悪性腫瘍及び関連する障害、例えば、白血病(これには、急性白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、及び赤白血病を含む)、及び慢性白血病(例えば、慢性骨髄性白血病(顆粒球性白血病)及び慢性リンパ性白血病)が含まれる)、真性赤血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病、及び非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、そして固形腫瘍(これには、肉腫及びガン腫、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸ガン、膵臓ガン、乳ガン、卵巣ガン、前立腺ガン、扁平上皮ガン、基底細胞ガン、腺ガン、汗腺ガン、皮脂腺ガン、乳頭状ガン、乳頭状腺ガン、嚢胞腺ガン、髄様ガン、気管支原性ガン、腎細胞ガン、肝細胞ガン、胆管ガン、絨毛ガン、精上皮腫、胎生期ガン、ウィルムス腫瘍、子宮頸ガン、精巣腫瘍、肺ガン、小細胞肺ガン、膀胱ガン、上皮ガン、神経膠腫、神経膠星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、希突起神経膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫及び網膜芽細胞腫等が含まれるが、これらに限定されない)の進行及び/又は転移が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによって診断され、予後判定され、防止され、且つ/又は処置され得る増大したアポトーシスに関連する疾患には、AIDS;神経変性性障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、大脳変性、及び脳腫瘍又はプリオン関連疾患);自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェット病、クローン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎及び慢性関節リウマチ)、骨髄異形成症候群(例えば、再生不良性貧血)、移植片対宿主病、虚血性傷害(例えば、心筋梗塞、脳卒中及び再灌流傷害によって引き起こされる虚血性傷害)、肝臓傷害(例えば、肝炎に関連する肝臓傷害、虚血/再灌流傷害、胆汁うっ滞(胆管傷害)及び肝臓ガン)、毒素により誘発される肝臓疾患(例えば、アルコールによって引き起こされる肝臓疾患)、敗血症性ショック、悪液質及び食欲不振が含まれる。
別の好ましい実施形態では、本発明を使用する遺伝子治療、及び/又はタンパク質融合物もしくはそのフラグメントによって異常な細胞分裂を阻害するために、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドが利用される。
従って、本発明は、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを異常に増殖する細胞に挿入することにより細胞増殖性障害を処置するための方法を提供し、この場合、前記ポリヌクレオチドにより、前記発現が抑制される。
本発明の別の実施形態では、1コピー以上の本発明の活性な遺伝子を異常に増殖する細胞(1つ又は複数)に投与することを含む、個体における細胞増殖障害を処置する方法が提供される。
本発明のポリヌクレオチドは、注射針を疾患部位に直接導くために使用される画像化装置の使用によって、細胞増殖が乱れている体内器官内及び体腔内の疾患部位に直接送達することができる。本発明のポリヌクレオチドはまた、外科的介入のときに疾患部位に投与することができる。
細胞増殖疾患とは、器官、腔又は身体部分のいずれか又は任意の組み合わせに影響を及ぼすヒト又は動物の任意の疾患又は障害で、良性又は悪性のいずれであっても、細胞、細胞群又は組織の単一病巣性又は多病巣性の異常な増殖によって特徴づけられる疾患又は障害を意味する。
任意の量の本発明のポリヌクレオチドを、処置される細胞の増殖に対して生物学的に阻害する作用を有する限り、投与することができる。
さらに、2つ以上の本発明のポリヌクレオチドを同一部位に同時に投与することが可能である。「生物学的に阻害する」により、部分的又は完全な成長阻害、並びに細胞の増殖速度又は成長速度の低下が意味される。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、増殖性の細胞又は組織の転移を阻害することにおいて有用である。阻害は、これらのトランスフェリン融合タンパク質及び/又はポリヌクレオチドを投与することの直接的な結果として生じ得るか、或いは、例えば、転移を阻害することが知られているタンパク質の発現、例えば、αインテグリン(例えば、Curr Top Mirobiol Immunol、1998;231:141を参照のこと。これは本明細書により参考として組み込まれる)の発現を活性化すること等により間接的に生じ得る。本発明のそのような治療的影響は、単独で、又は小分子の薬物もしくはアジュバントとの組み合わせでのいずれかで達成することができる。
別の実施形態において、本発明は、本発明のトランスフェリン融合タンパク質及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する組成物を、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質が結合するポリペプチド、又は本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質に結合するポリペプチド、又は本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質と会合するポリペプチドを発現する標的化された細胞に送達する方法を提供する。本発明のトランスフェリン融合タンパク質は、異種のポリペプチド、異種の核酸、毒素、又はプロドラッグと、疎水性相互作用、親水性相互作用、イオン性相互作用及び/又は共有結合的相互作用を介して会合し得る。
本発明の組成物を用いて診断され、予後判定され、防止され、且つ/又は処置され得る腎臓疾患には、急性腎不全、慢性腎不全、アテローム塞栓性腎不全、終末期腎疾患、腎臓の炎症性疾患(例えば、急性糸球体腎炎、感染後糸球体腎炎、急速進行性糸球体腎炎、腎炎症候群、膜性糸球体腎炎、家族性腎炎症候群、膜増殖性糸球体腎炎及びメサンギウム増殖性糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎、急性尿細管間質性腎炎、慢性尿細管間質性腎炎、連鎖球菌感染後の急性糸球体腎炎(PSGN)、腎盂腎炎、ループス腎炎、慢性腎炎、間質性腎炎、及び連鎖球菌感染後の糸球体腎炎)、腎臓の血管障害(例えば、腎臓梗塞、アテローム塞栓性腎疾患、皮質壊死、悪性腎硬化症、腎静脈血栓症、灌流下の腎臓、腎性網膜症、腎臓の虚血−再灌流、腎動脈塞栓症、及び腎動脈狭窄症)、及び尿管疾患に由来する腎臓障害(例えば、腎盂腎炎、水腎症、尿石症(腎臓結石症、腎石症)、逆流性腎症、尿路感染症、尿閉、並びに急性又は慢性の一側性閉塞性尿路疾患)が含まれるが、これらに限定されない。また、本発明の組成物は、腎臓の代謝障害及び先天的障害(例えば、尿毒症、腎アミロイド症、腎性骨形成異常症、腎尿細管性アシドーシス、腎性糖尿、腎性尿崩症、シスチン尿症、ファンコーニ症候群、腎性線維嚢胞性骨化症(腎性くる病)、ハートナップ病、バーター症候群、リドル症候群、腎多嚢胞病、腎髄質嚢胞病、髄質海綿腎、アルポート症候群、爪−膝蓋骨症候群、先天性腎炎症候群、圧挫症候群、馬蹄腎、糖尿病性腎症、腎性尿崩症、鎮痛薬性腎症、腎臓結石、及び膜性腎症)、及び腎臓の自己免疫障害(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、グッドパスチャー症候群、IgA腎症、及びICFMメサンギウム増殖性糸球体腎炎)を診断し、予後判定し、防止し、且つ/又は処置するために使用することができる。
本発明の組成物はまた、腎臓の硬化性障害又は壊死性障害(例えば、糸球体硬化症、糖尿病性腎症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、壊死性糸球体腎炎、及び腎乳頭壊死)、腎臓のガン(例えば、腎腫、副腎腫、腎芽細胞腫、腎細胞ガン、移行上皮ガン、腎腺ガン、扁平上皮ガン、及びウィルムス腫瘍)、並びに電解質平衡異常(例えば、腎石灰症、膿尿症、水腫、水腎炎(hydronephritis)、タンパク尿、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、低カリウム血症、高カリウム血症、低カルシウム血症、高カルシウム血症、低リン酸塩血症及び高リン酸塩血症)を診断し、予後判定し、予防し、且つ/又は処置するために使用することができる。
本発明の組成物は、この分野で知られている任意の方法を使用して投与することができ、これには、送達部位における直接的な針による注射、静脈内注射、局所的投与、カテーテルによる注入、バイオリスティック注入装置、粒子加速器、ジェルフォームスポンジデポー剤、他の市販の利用可能なデポー剤材料、浸透ポンプ、経口又は坐剤の固形の薬学的配合物、手術時のデカント塗布又は局所的塗布、エアゾール送達を含むが、これらに限定されない。そのような方法はこの分野では知られている。本発明の組成物は、より詳細には下記に記載される治療の一部として投与することができる。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、四肢の虚血等の末梢動脈疾患を含む(これに限定されない)心臓血管障害を処置し、防止し、診断し、且つ/又は予後判定するために使用することができる。
心臓血管障害には、例えば、動脈−動脈フィステル、動静脈フィステル、脳動静脈の奇形、先天性心臓欠陥、肺動脈弁閉鎖症、及びシミター症候群等の心臓血管異常が含まれるが、これらに限定されない。
先天性心臓欠陥には、大動脈縮窄症、三房心、冠血管奇形、十字交差心臓、右胸心、動脈管開存症、エブスタイン奇形、アイゼンメンガー複合体、左心室発育不全症候群、左胸心、ファロー四徴症、大血管転位症、両大血管右室起始症、三尖弁閉鎖症、動脈管遺残、及び心臓中隔欠陥(例えば、大動脈肺動脈中隔欠陥、心内膜床欠陥、リュタンバッシュ症候群、ファロー三徴症、心室中隔欠陥等)が含まれるが、これらに限定されない。
心臓血管障害にはまた、例えば、不整脈、カルチノイド性心疾患、高心拍出量、低心拍出量、心臓タンポナーデ、心内膜炎(細菌性を含む)、心臓動脈瘤、心拍停止、うっ血性心不全、うっ血性心筋症、発作性呼吸困難、心臓性浮腫、心臓肥大、うっ血性心筋症、左心室肥大、右心室肥大、梗塞後心臓破裂、心室中隔破裂、心臓弁疾患、心筋疾患、心筋虚血、心膜液流出、心膜炎(収縮性及び結核性を含む)、心膜気腫、心膜切開後症候群、肺動脈性心疾患、リウマチ性心疾患、心室機能不全、充血、心血管妊娠合併症、シミター症候群、心血管梅毒、及び心血管結核等の心臓疾患が含まれるが、これらに限定されない。
不整脈には、洞性不整脈、心房性細動、心房粗動、徐脈、期外収縮、アダムズ−ストークス症候群、脚ブロック、洞房ブロック、長QT症候群、副収縮、ローン−ギャノング−レヴァイン症候群、マハイム型早期興奮症候群、ウルフ−パーキンソン−ホワイト症候群、洞不全症候群、頻脈、及び心室性細動が含まれるが、これらに限定されない。頻脈には、発作性頻脈、上室性頻拍症、加速した心室固有調律、房室結節性リエントリー性頻拍症、異所性心房性頻拍症、異所性接合部性頻拍症、洞房結節性リエントリー性頻拍症、洞性頻拍、トルサード・ド・ポワント、及び心室性頻拍が含まれる。
心臓弁疾患には、大動脈弁閉鎖不全、大動脈弁狭窄、耳雑音、大動脈弁逸脱、僧帽弁逸脱、三尖弁逸脱、僧帽弁閉鎖不全、僧帽弁狭窄、肺動脈弁閉鎖症、肺動脈弁閉鎖不全、肺動脈弁狭窄、三尖弁閉鎖症、三尖弁閉鎖不全、及び三尖弁狭窄が含まれるが、これらに限定されない。
心筋疾患には、アルコール性心筋症、うっ血性心筋症、肥大性心筋症、弁下部性大動脈狭窄、弁下部性肺動脈狭窄、拘束型心筋症、シャーガス心筋症、心内膜弾性線維症、心内膜心筋線維症、キーンズ症候群、心筋再灌流障害、及び心筋炎が含まれるが、これらに限定されない。
心筋虚血には、例えば、狭心症、冠状動脈瘤、冠状動脈硬化症、冠状動脈血栓症、冠状動脈血管攣縮、心筋梗塞、及び心筋気絶等の冠動脈疾患が含まれるが、これらに限定されない。
心血管疾患にはまた、動脈瘤、血管形成異常、血管腫症、細菌性血管腫症状、ヒッペル−リンダウ病、クリペル−トルノネー−ウェーバー症候群、スタージー−ウェーバー症候群、血管神経性水腫、大動脈疾患、高安動脈炎、大動脈炎、ルリーシュ症候群、動脈閉塞性疾患、関節炎、球関節炎(enarteritis)、結節性動脈周囲炎、脳血管障害、糖尿病性血管障害、糖尿病性網膜症、塞栓症、血栓症、先端紅痛症、痔核、肝静脈閉塞病、高血圧、低血圧、虚血、末梢血管疾患、静脈炎、肺静脈閉塞病、レーノー病、クレスト症候群、網膜静脈閉塞、シミター症候群、上大静脈症候群、毛細血管拡張症、毛細血管拡張性運動失調、遺伝性出血性毛細管拡張症、精索静脈瘤、拡張蛇行静脈、静脈瘤性潰瘍、脈管炎、及び静脈不全等の血管疾患が含まれる。
脳血管障害には、様々な心臓動脈疾患、呼吸器障害が含まれるが、これらに限定されない。本発明のトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、呼吸器系の様々な疾患及び/又は障害を処置し、防止し、診断し、且つ/又は予後判定するために使用することができる。
呼吸器系の疾患及び障害には、鼻前庭炎、非アレルギー性鼻炎(例えば、急性鼻炎、慢性鼻炎、萎縮性鼻炎、血管運動神経性鼻炎)、鼻ポリープ、及び副鼻腔炎、若年性血管線維腫、鼻のガン及び若年性乳頭腫、声帯ポリープ、結節(歌手結節)、接触性潰瘍、声帯麻痺、喉頭気腫、咽頭炎(例えば、ウイルス性及び細菌性)、扁桃炎、扁桃蜂巣炎、咽頭傍隙膿瘍、喉頭炎、喉頭気腫、及び咽喉ガン(例えば、鼻咽頭のガン、扁桃ガン、喉頭ガン)、肺ガン(例えば、扁平上皮ガン、小細胞ガン(燕麦細胞ガン)、大細胞ガン、及び腺ガン)、アレルギー性障害(好酸球性肺炎、過敏性肺炎(例えば、外因性アレルギー性肺胞炎、アレルギー性間質性肺炎、有機塵肺症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、喘息、ヴェーゲナー肉芽腫症(肉芽腫性脈管炎)、グッドパスチャー症候群))、肺炎(例えば、細菌性肺炎(例えば、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)による肺炎(肺炎球菌性肺炎)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)による肺炎(ブドウ球菌性肺炎)、グラム陰性菌による肺炎(例えば、クレブシレラ属菌(Klebuella spp.)及びシュードモナス属菌(Pseudomonas spp.)によって引き起こされる肺炎)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumonia)による肺炎、インフルエンザ菌(Hemophilus influenzae)による肺炎、レジオネラ・ニューモフィラによる肺炎(在郷軍人病)、及びオウム病クラミジア(Chlamydapsittaci)による肺炎(オウム病))、並びにウイルス性肺炎(例えば、インフルエンザ、水疱瘡(水痘)))が含まれるが、これらに限定されない。
呼吸器系のさらなる疾患及び障害には、細気管支炎、ポリオ(灰白髄炎)、クループ、呼吸器合胞体ウイルス感染、流行性耳下腺炎、伝染性紅斑(第五病)、小児バラ疹、進行性風疹汎脳炎、風疹、及び亜急性硬化性汎脳炎、真菌性肺炎(例えば、ヒストプラスマ症、コクシジオイデス症、ブラストミセス症、免疫系が重度に抑制された人における真菌感染(例えば、クリプトコックス・ネオフォルマンスによって引き起こされるクリプトコックス症、アスペルギウス属菌(Aspergillus spp.)により引き起こされるアスペルギウス症)、カンジダ属によって引き起こされるカンジダ症、及びムコール症)、ニューモシスチス・カリヌ(Pneumocystl’s carinu)(ニューモシスチス肺炎)、非定型肺炎(例えば、マイコプラズマ属菌(Mycoplasma spp.)及びクラミジア属菌(Clamyda spp.))、日和見感染性肺炎、院内肺炎、化学性肺炎、及び吸引性肺炎、胸膜障害(例えば、胸膜炎、胸膜滲出及び気胸(例えば、単純自然気胸、併発した自然気胸、緊張性気胸))、閉塞性気道疾患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺動脈疾患(COPID)、気腫、慢性気管支炎又は急性気管支炎)、職業性肺疾患(例えば、珪肺症、黒色肺(炭坑労働者の塵肺症)、石綿症、ベリリウム中毒症、職業性喘息、綿線維肺沈着症、及び良性の塵肺)、浸潤性肺疾患(例えば、肺線維症(例えば、線維性肺胞炎、通常型間質性肺炎)、特発性肺線維症、剥離性間質性肺炎、リンパ性間質性肺炎、組織球増殖症(例えば、レテラー−ジーヴェ病、ハンド−シュラー−クリスチャン病、好酸球性肉芽腫)、特発性肺ヘモジデリン沈着症、サルコイドーシス及び肺胞タンパク症)、急性呼吸窮迫症候群(これはまた、例えば、成人呼吸窮迫症候群とも呼ばれる)、水腫、肺動脈塞栓症、気管支炎(例えば、ウイルス性、細菌性)、気管支拡張症、肺拡張不全、肺膿瘍(例えば、黄色ブドウ球菌又はレジオネラ・ニューモフィラによって引き起こされる)、及び嚢胞性線維症が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて処置され得るガンには、固形腫瘍(前立腺ガン、肺ガン、乳ガン、卵巣ガン、胃ガン、膵臓ガン、喉頭ガン、食道ガン、レステグ(lesteg)ガン、肝臓ガン、耳下腺ガン、胆管ガン、結腸ガン、直腸ガン、子宮頸ガン、子宮ガン、子宮内膜ガン、腎臓ガン、膀胱ガン、甲状腺ガンを含む);原発性腫瘍及び転移物;メラノーマ;神経膠芽細胞腫;カポジ肉腫;平滑筋肉腫;非小細胞肺ガン;結腸直腸ガン;進行した悪性疾患;及び血液由来の腫瘍(例えば、白血病等)が含まれるが、これらに限定されない。例えば、本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、皮膚ガン等のガン、頭頸部腫瘍、胸部腫瘍、及びカポジ肉腫等を処置するために、局所的に送達することができる。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、ガンのほかに、血管形成を伴う他の障害を処置することにおいて有用であり得る。これらの障害には、良性の腫瘍、例えば、血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、及び化膿性肉芽腫等;アテローム性動脈硬化斑;眼の血管形成性疾患、例えば、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖症、ルベオーシス、網膜芽細胞腫、眼のブドウ膜炎、及び翼状片の正常血管成長);慢性関節リウマチ;乾癬;創傷癒合の遅れ;子宮内膜症;脈管形成;肉芽形成;過形成性瘢痕(ケロイド);非癒合性骨折;強皮症;トラコーマ;血管癒着;心筋血管形成;冠状動脈側副枝;脳側副枝;動静脈の奇形;虚血性四肢血管形成;オースラー−ウェーバー症候群;プラーク新生血管形成;毛細血管拡張症;血友病性関節;血管線維腫;線維筋性形成異常;創傷肉芽形成;クローン病;及びアテローム性動脈硬化が含まれるが、これらに限定されない。
従って、本発明の1つの態様において、眼の新生血管疾患を処置するための方法が提供される。
また、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて処置され得る障害には、血管腫、関節炎、乾癬、神経線維腫、アテローム性動脈硬化斑、創傷癒合の遅れ、肉芽形成、血友病性関節、過形成性瘢痕、非癒合性骨折、オースラー−ウェーバー症候群、化膿性肉芽腫、強皮症、トラコーマ、及び脈管癒着が含まれるが、これらに限定されない。
さらに、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて処置され、防止され、診断され、且つ/又は予後判定され得る障害及び/又は状態には、固形腫瘍、血液由来の腫瘍(例えば、白血病等)、腫瘍転移、カポジ肉腫、良性腫瘍(例えば、血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、及び化膿性肉芽腫)、慢性関節リウマチ、乾癬、眼の血管形成性疾患(例えば、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植拒絶、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖症、ルベオーシス、網膜芽細胞腫、及びブドウ膜炎)、創傷癒合の遅れ、子宮内膜症、脈管形成、肉芽形成、過形成性瘢痕(ケロイド)、非癒合性骨折、強皮症、トラコーマ、血管癒着、心筋血管形成、冠状動脈側副枝、脳側副枝、動静脈の奇形、虚血性四肢血管形成、オースラー−ウェーバー症候群、プラーク新生血管形成、毛細血管拡張症、血友病性関節、血管線維腫、線維筋性形成異常、創傷肉芽形成、クローン病、アテローム性動脈硬化症、胚に必要な血管新生を妨げることによる受胎調節剤、着床調節月経、病理学的結果としての血管形成を伴う様々な疾患(例えば、ネコ引っかき病(ロケラ・ヌナリア・キントーサ(Rochele nunalia quintosa))、潰瘍(ヘリコバクター・ピロリ(Helicobactor pylori))、バルトネラ症、及び細菌性血管腫症状)が含まれるが、これらに限定されない。
受胎調節法の1つの態様において、胚の着床を妨害するために十分な量の化合物が、性交及び受精が行われる前又はその後に投与され、それにより、効果的な受胎調節法、おそらくは「事後避妊」法が提供される。本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドはまた、月経を調節することにおいて使用することができ、或いは子宮内膜症の処置における腹膜洗浄液として、又は腹膜移植のために、そのいずれかで投与することができる。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、広範囲の様々な外科的手法において利用することができる。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを使用して処置され、防止され、診断され、且つ/又は予後判定され得る、増大した細胞生存又はアポトーシスの阻害に関連する疾患には、ガン(例えば、濾胞性リンパ腫、変異を伴うガン腫、及びホルモン依存性腫瘍等、これには、結腸ガン、心臓腫瘍、膵臓ガン、メラノーマ、網膜芽細胞腫、神経膠芽細胞腫、肺ガン、腸ガン、精巣ガン、胃ガン、神経芽細胞腫、粘液腫、筋腫、リンパ腫、内皮腫、骨芽細胞腫、破骨細胞腫、骨肉腫、軟骨肉腫、腺腫、乳ガン、前立腺ガン、カポジ肉腫、及び卵巣ガンが含まれるが、これらに限定されない);自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェット病、クローン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎及び慢性関節リウマチ等)、並びにウイルス感染(例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、及びアデノウイルス等)、炎症、移植片対宿主病、急性移植片拒絶、及び慢性移植片拒絶が含まれる。
好ましい実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、ガン(特に上記に記載されるガン)の成長及び/又は進行及び/又は転移を阻害するために使用される。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによって処置又は検出され得る、増大した細胞生存に関連するさらなる疾患又は状態には、様々な悪性腫瘍及び関連する障害、例えば、白血病(これには、急性白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性及び赤白血病を含む))、及び慢性白血病(例えば、慢性骨髄性白血病(顆粒球性白血病)及び慢性リンパ性白血病)が含まれる)、真性赤血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病及び非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、そして固形腫瘍(これには、肉腫及びガン腫等、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸ガン、膵臓ガン、乳ガン、卵巣ガン、前立腺ガン、扁平上皮ガン、基底細胞ガン、腺ガン、汗腺ガン、皮脂腺ガン、乳頭状ガン、乳頭状腺ガン、嚢胞腺ガン、髄様ガン、気管支原性ガン、腎細胞ガン、肝細胞ガン、胆管ガン、絨毛ガン、精上皮腫、胎生期ガン、ウィルムス腫瘍、子宮頸ガン、精巣腫瘍、肺ガン、小細胞肺ガン、膀胱ガン、上皮ガン、神経膠腫、神経膠星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、希突起神経膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、及び網膜芽細胞腫等が含まれるが、これらに限定されない)の進行及び/又は転移が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを使用して処置され、防止され、診断され、且つ/又は予後判定され得る、増大したアポトーシスに関連する疾患には、AIDS;神経変性性障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性、及び脳腫瘍又はプリオン関連疾患);自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、胆汁性肝硬変、ベーチェット病、クローン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎及び慢性関節リウマチ)、骨髄異形成症候群(例えば、再生不良性貧血)、移植片対宿主病、虚血性傷害(例えば、心筋梗塞、脳卒中及び再灌流傷害によって引き起こされる虚血性傷害)、肝臓傷害(例えば、肝炎に関連する肝臓傷害、虚血/再灌流傷害、胆汁うっ滞(胆管傷害)及び肝臓ガン)、毒素により誘発される肝臓疾患(例えば、アルコールによって引き起こされる肝臓疾患)、敗血症性ショック、悪液質及び食欲不振が含まれるが、これらに限定されない。
また、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、真性糖尿病の発症を処置又は予防するために使用することができる。膵島細胞の機能が一部残存している、新たに診断されたI型糖尿病患者及びII型糖尿病患者において、本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、疾患の永続的な発現を軽減させ、又は遅延させ、又は防止するように、小島の機能を維持させるために使用することができる。また、本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、膵島細胞の機能を改善又は促進させるための膵島細胞移植における補助的物質として使用することができる。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、脳及び/又は神経系の疾患、障害、損傷又は傷害を診断及び/又は処置するために使用することができる。本発明の組成物(例えば、本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド)を用いて処置され得る神経系障害で、神経系に限定される神経系障害には、軸索の断絶、ニューロンの減少もしくは変性、又は脱髄のいずれかをもたらす傷害及び疾患又は障害が含まれるが、これらに限定されない。本発明の方法に従って患者(ヒト及び非ヒト哺乳動物の患者を含む)において処置され得る神経系の病変には、中枢神経系(脊髄、脳を含む)又は末梢神経系のいずれかの下記の病変が含まれるが、これらに限定されない。(1)神経系の一部における酸素の欠乏により、ニューロンの傷害又は死がもたらされる虚血性病変、これには、脳の梗塞もしくは虚血、又は脊髄の梗塞もしくは虚血が含まれる。(2)外傷性病変、これには、身体的傷害により引き起こされる病変、又は手術に関連する病変(例えば、神経系の一部を切断する病変)、或いは圧迫性傷害が含まれる。(3)悪性病変、この場合には、神経系の一部が、神経系に関連する悪性腫瘍又は神経系の組織に由来する悪性腫瘍のいずれかである悪性組織によって破壊されているか、又は損傷を受けている。(4)感染性病変、この場合には、神経系の一部が、感染の結果として、例えば、膿瘍によって破壊されているか、又は損傷を受けているか、或いはヒト免疫不全ウイルス、帯状疱疹ウイルス又は単純ヘルペスウイルスによる感染に関連するか、又は、ライム病、結核症もしくは梅毒に関連する。(5)変性性病変、この場合には、神経系の一部が、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンティングトン舞踏病又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関連する変性(これらに限定されない)を含む変性プロセスの結果として破壊されているか、又は傷つけられている。(6)栄養性疾患又は栄養性障害に関連する病変、この場合には、神経系の一部が、ビタミンB12欠損症、葉酸欠損症、ヴェルニッケ病、タバコ−アルコール弱視、マルキアファーヴァ−ビニャーニ病(脳梁の原発性変性)、及びアルコール性脳変性(これらに限定されない)を含む栄養性障害又は代謝障害によって破壊されているか、又は損傷を受けている。(7)全身性疾患(糖尿病(糖尿病性ニューロパシー、ベル麻痺)、全身性エリテマトーデス、ガン腫又はサルコイドーシスを含むが、これらに限定されない)に関連する神経学的病変。(8)アルコール、鉛、又は特定の神経毒を含む毒性物質により引き起こされる病変。及び(9)脱髄性病変、この場合には、神経系の一部が、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウイルスに関連するミエロパシー、横断ミエロパシー又は様々な病因、進行性多病巣性白質脳障害、及び橋中央ミエリン溶解(これらに限定されない)を含む脱髄性疾患によって破壊されているか、又は傷つけられている。
1つの実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、低酸素症の損傷作用から神経細胞を保護するために使用される。さらなる好ましい実施形態において、本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、脳の低酸素症の損傷作用から神経細胞を保護するために使用される。
具体的な実施形態において、本発明に従って処置され得る運動ニューロン障害には、例えば、運動ニューロン並びに神経系の他の成分に影響を及ぼし得る梗塞、感染、毒素への暴露、外傷、手術による損傷、変性性疾患又は悪性腫瘍等の障害、そして同様に、ニューロンに対して選択的な影響を及ぼす障害(例えば、筋萎縮性側索硬化症)、並びに進行性脊髄性筋萎縮症、進行性球麻痺、原発性側索硬化症、小児筋萎縮症及び若年性筋萎縮症、幼児期の進行性球麻痺(ファチオ−ロンデ症候群)、灰白髄炎及びポリオ後症候群、及び遺伝性運動感覚性ニューロパシー(シャルコー−マリー−ツース病)(これらに限定されない)を含む様々な障害が含まれるが、これらに限定されない。
さらに、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、ニューロンの生存、シナプス形成、伝導、神経の分化等において役立ち得る。従って、本発明の組成物(本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む)は、これらの役割に関連する疾患又は障害(学習障害及び/又は認知障害を含むが、これらに限定されない)を診断及び/又は処置又は予防するために使用することができる。本発明の組成物はまた、神経変性性疾患状態及び/又は行動障害を処置又は防止することにおいて有用であり得る。そのような神経変性性疾患状態及び/又は行動障害には、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン病、ツレット症候群、統合失調症、躁病、痴呆、パラノイア、強迫性障害、恐慌性障害、学習不能症、ALS、精神病、自閉症、及び変化した行動(摂食、睡眠パターン、平衡能、及び知覚における障害を含む)が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて処置又は検出され得る神経学的疾患の例には、様々な脳疾患、例えば、代謝性脳疾患(これには、フェニルケトン尿症(例えば、母性フェニルケトン尿症)、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合欠損症が含まれる)、ヴェルニッケ脳障害、脳水腫、脳の新生物(例えば、小脳テント下新生物を含む小脳新生物、脳室新生物(例えば、脈絡叢新生物)、視床下部新生物、テント上新生物)、キャナヴァン病、小脳疾患(例えば、脊髄小脳変性(例えば、毛細血管拡張性運動失調)を含む小脳性運動失調)、小脳性共同運動障害、フリートライヒ運動失調症、マチャド−ジョセフ病、オリーブ橋小脳萎縮症、小脳新生物(例えば、小脳テント下新生物)、汎発性脳硬化症(例えば、軸索周囲性脳炎)、球様細胞白質萎縮症、異染性白質萎縮症、及び亜急性硬化性汎脳炎)が含まれる。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて処置又は検出され得るさらなる神経学的疾患には、脳血管性障害(例えば、頸動脈血栓症、頸動脈狭窄及びモヤモヤ病を含む頸動脈疾患)、脳のアミロイドアンギオパチー、脳動脈瘤、脳無酸素症、脳動脈硬化症、脳動静脈の奇形、脳動脈疾患、脳塞栓症及び脳血栓症(例えば、頸動脈血栓症、洞血栓症及びヴァレンベルク症候群)、脳出血(例えば、表皮血腫、硬膜下血腫及びクモ膜下出血)、脳梗塞、脳虚血(例えば、一過性脳虚血、鎖骨下動脈盗血症候群及び椎骨脳底動脈不全)、血管性痴呆(例えば、多重梗塞性痴呆)、脳室周囲白質軟化症、血管性頭痛(例えば、群発性頭痛及び片頭痛)が含まれる。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて処置又は検出され得るさらなる神経学的疾患には、痴呆(例えば、AIDS痴呆複合症)、初老期痴呆(例えば、アルツハイマー病及びクロイツフェルト−ヤコブ症候群)、老人性痴呆(例えば、アルツハイマー病及び進行性核上性麻痺)、血管性痴呆(例えば、多重梗塞性痴呆)、脳炎(これには、軸索周囲性脳炎、ウイルス性脳炎(例えば、流行性脳炎、日本脳炎、セントルイス脳炎、ダニ媒介脳炎及び西ナイル熱)、急性播種性脳脊髄炎、髄膜脳炎(例えば、ブドウ膜髄膜脳炎症候群)、脳炎後パーキンソン病及び亜急性硬化性汎脳炎が含まれる)、脳軟化症(例えば、脳室周囲白質軟化症)、てんかん(例えば、乳児痙攣を含む全身性てんかん、欠神てんかん、MERRF症候群を含む筋間代性てんかん、強直間代性てんかん、部分てんかん(例えば、複合部分てんかん)、前頭葉てんかん及び側頭葉てんかん、外傷後てんかん、てんかん重積持続状態(例えば、持続性部分てんかん))及びハレルフォルデン−シュパッツ症候群が含まれる。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて処置又は検出され得るさらなる神経学的疾患には、水頭症(例えば、ダンディ−ウォーカー症候群及び正常圧水頭症)、視床下部疾患(例えば、視床下部新生物)、脳マラリア、カタプレキシーを含むナルコレプシー、延髄灰白髄炎、偽脳(cerebripseudo)腫瘍、レット症候群、ライ症候群、視床疾患、脳トキソプラスマ症、頭蓋内結核腫及びツェルヴェーガー症候群、AIDS等の中枢神経系感染、痴呆複合症、脳膿瘍、硬膜下蓄膿症、脳脊髄炎(例えば、ウマ脳脊髄炎、ベネズエラウマ脳脊髄炎、壊死性出血性脳脊髄炎)、ビスナ、及び脳マラリアが含まれる。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて処置又は検出され得るさらなる神経学的疾患には、髄膜炎、例えば、クモ膜炎、ウイルス性髄膜炎等の無菌性髄膜炎(これには、リンパ球性慢性髄膜炎が含まれる)、細菌性髄膜炎(これには、ヘモフィルス性髄膜炎、リステリア性髄膜炎、髄膜炎菌性髄膜炎(例えば、ウォーターハウス−フリーデリックセン症候群)、肺炎双球菌性髄膜炎及び髄膜結核症が含まれる)、真菌性髄膜炎(例えば、クリプトコックス性髄膜炎))、硬膜下滲出、髄膜脳炎(例えば、ブドウ膜髄膜脳炎症候群)、脊髄炎(例えば、横断脊髄炎)、神経梅毒(例えば、脊髄ろう)、灰白髄炎(これには、延髄灰白髄炎及び灰白髄炎後症候群が含まれる)、プリオン病(例えば、クロイツフェルト−ヤコブ症候群、ウシ海綿状脳症、ゲルストマン−シュトロイスラー症候群、クールー、スクラピー)、及び脳トキソプラスマ症が含まれる。
本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて処置又は検出され得るさらなる神経学的疾患には、中枢神経系の新生物、例えば、小脳新生物(例えば、小脳テント下新生物)を含む脳新生物、脳室新生物(例えば、脈絡叢新生物)、視床下部新生物及びテント上新生物、髄膜新生物、硬膜外新生物を含む脊髄新生物、脱髄性疾患(例えば、キャナバン病)、副腎脳白質ジストロフィを含む汎発性脳スクレリー(sculleries)、軸索周囲性脳炎、球様細胞白質萎縮症、汎発性脳硬化症(例えば、異染性白質萎縮症)、アレルギー性脳脊髄炎、壊死性出血性脳脊髄炎、進行性多病巣性白質脳障害、多発性硬化症、橋中央ミエリン溶解、横断脊髄炎、視神経脊髄炎、スクレイピー、脊椎湾曲症、慢性疲労症候群、ビスナ、高圧神経症候群、髄膜症、脊髄性疾患(例えば、先天性筋無緊張症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症(例えば、ヴェルドニッヒ−ホフマン病)、脊髄圧迫症、脊髄新生物(例えば、硬膜外新生物)、脊髄空洞症、脊髄ろう)、スティッフマン症候群、精神遅滞(例えば、アンジェルマン症候群)、ネコ鳴き症候群、ド・ランデ症候群、ダウン症候群、ガングリオシド症(例えば、ガングリオシド症G(M1))、サンドホフ病、テイ−サックス病、ハートナップ病、ホモシスチン尿症、ローレンス−ムーン−ビードル症候群、レッシュ−ナイハン症候群、カエデシロップ尿病、ムコリピドーシス(例えば、フコース蓄積症)、神経セロイドリポフスチン症、眼脳腎症候群、フェニルケトン尿症(例えば、母性フェニルケトン尿症)、プラーダー−ヴィリー症候群、レット症候群、ルービンスタイン−デービ症候群、結節硬化症、WAGR症候群、神経系の異常(例えば、全前脳症)、神経管の欠陥(例えば、水無脳症を含む無脳症)、アルノルト−キアーリ奇形、脳ヘルニア、髄膜ヘルニア、髄膜脊髄瘤、脊椎癒合不全(例えば、嚢胞性二分脊椎及び潜在性二分脊椎)が含まれる。
内分泌系及び/又はホルモンの平衡失調及び/又は疾患には、妊娠及び分娩に伴う合併症(例えば、予定日前の分娩、予定日を過ぎた妊娠、自然流産、及び緩慢な分娩又は停止した分娩(これらに限定されない)を含む子宮の自動運動性障害、並びに月経周期の障害及び/又は疾患(例えば、月経困難症及び子宮内膜症)が含まれる。
内分泌系及び/又はホルモンの平衡失調の障害及び/又は疾患には、膵臓の障害及び/又は疾患、例えば、真性糖尿病、尿崩症、先天的膵臓無発育、クロム親和性細胞腫膵島細胞腫症候群等;副腎の障害及び/又は疾患、例えば、アディソン病、コルチコステロイド欠乏症、男性化疾患、多毛症、クッシング症候群、高アルドステロン症、クロム親和性細胞腫等;下垂体の障害及び/又は疾患、例えば、下垂体機能亢進症、下垂体機能低下症、下垂体性小人症、下垂体腺腫、汎下垂体機能低下症、先端肥大症、巨人症等;甲状腺の障害及び/又は疾患、これらには、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、プラマー病、グレーヴズ病(中毒性びまん性甲状腺腫)、中毒性結節性甲状腺腫、甲状腺炎(橋本甲状腺炎、亜急性肉芽腫性甲状腺炎、及び無症候性リンパ球性甲状腺炎)、ペンドレッド症候群、粘液水腫、クレチン病、甲状腺中毒症、甲状腺ホルモン結合欠陥、胸腺発育不全、甲状腺のヒュルトレ細胞腫瘍、甲状腺ガン、甲状腺ガン腫、甲状腺髄様ガンが含まれるが、これらに限定されない。副甲状腺の障害及び/又は疾患、例えば、副甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症等;視床下部の障害及び/又は疾患が含まれる。
また、内分泌系及び/又はホルモンの平衡失調の障害及び/又は疾患にはまた、精巣又は卵巣の様々な障害及び/又は疾患(ガンを含む)が含まれ得る。精巣又は卵巣の他の障害及び/又は疾患にはさらに、例えば、卵巣ガン、多嚢胞性卵巣症候群、クラインフェルター症候群、精巣消失症(両側性無精巣症)、ライディヒ細胞の先天的欠損症、潜伏精巣症、ヌーナン症候群、筋緊張性ジストロフィー、精巣の毛細血管性血管腫(良性)、精巣の新生組織形成及びネオテスティス(neotestis)が含まれる。
さらに、内分泌系及び/又はホルモンの平衡失調の障害及び/又は疾患にはまた、例えば、多内分泌腺機能低下症候群、クロム親和性細胞腫、神経芽細胞腫、多発性内分泌腫瘍等の障害及び/又は疾患、並びに内分泌組織の障害及び/又はガンが含まれ得る。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、生殖器系の疾患及び/又は障害の診断、処置又は予防のために使用することができる。本発明の組成物によって処置され得る生殖器系障害には、生殖器系の傷害、感染、新生物性障害、先天的欠陥が含まれるが、これらに限定されない。従って、疾患又は障害は、不妊症、妊娠又は分娩又は出産に伴う合併症、及び産後の困難をもたらす。
生殖器系の障害及び/又は疾患には、精巣の疾患及び/又は障害が含まれ、これらには、精巣の萎縮、精巣の女性化、潜伏精巣症(片側性及び両側性)、無精巣症、異所性精巣、精巣上体炎及び精巣炎(典型的には、例えば、淋疾、流行性耳下腺炎、結核及び梅毒等の感染症から生じる)、精巣捻転、結節性精管炎、生殖細胞腫瘍(例えば、セミノーマ、胎児性細胞ガン、奇形ガン、絨毛ガン、卵黄嚢腫瘍、及び奇形腫)、間質性腫瘍(例えば、ライディッヒ細胞腫瘍)、水瘤、血瘤、精索静脈瘤、精液瘤、鼠径ヘルニア)、並びに精子産生の障害(例えば、線毛不動症候群、無精液症(spermia)、精子無力症、無精子症、精子過少症、及び奇形精子症)が含まれる。
生殖器系障害にはまた、例えば、急性非細菌性前立腺炎、慢性非細菌性前立腺炎、急性細菌性前立腺炎、慢性細菌性前立腺炎、前立腺失調症、プロスタトシス(prostatosis)、肉芽腫性前立腺炎、マラコプラキア、良性の前立腺肥大又は前立腺増殖症等を含む前立腺の様々な障害、そして、腺ガン、移行上皮ガン、管ガン及び扁平上皮ガンを含む前立腺の様々な新生物性障害が含まれる。
また、本発明の組成物は、陰茎及び尿道の様々な障害又は疾患(これらには、炎症性障害(例えば、亀頭包皮炎、閉塞性乾燥性亀頭炎、包茎、嵌頓包茎、梅毒、単純ヘルペスウイルス、淋疾、非淋菌性尿道炎、クラミジア感染症、マイコプラズマ感染症、トリコモナス症、HIV、AIDS、ライター症候群、尖形コンジローム、扁平コンジローム、及び真珠様陰茎丘疹)、尿道の異常(例えば、尿道下裂、尿道上裂、及び包茎)、前悪性病変(ケーラー紅色肥厚症、ボーエン病、ボーエン様丘疹症、ブシュケ−レーヴェンシュタインの巨大コンジローム、及びゆうぜいガンが含まれる;、陰茎ガン、これには、扁平上皮ガン、上内皮ガン、ゆうぜいガン、及び播種性陰茎ガンが含まれる;尿道の新生物性障害、これには、陰茎尿道ガン、球状膜性(bulbomembranotis)尿道ガン、及び尿道前立腺部ガンが含まれる;そして勃起障害、例えば、持続性勃起、ペーロニー病、勃起不全、及びインポテンス等の診断及び/又は処置及び/又は予防において有用であり得る。
さらに、精管の疾患及び/又は障害には、脈管炎及びCBAVD(精管の先天的両側性欠損)が含まれる。また、本発明のトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、精嚢の疾患及び/又は障害(これらには、包虫症、先天的クロール下痢症、及び腎多嚢胞疾患が含まれる)の診断及び/又は処置及び/又は予防において使用することができる。
男性生殖器系の他の障害及び/又は疾患には、例えば、クラインフェルター症候群、ヤング症候群、早漏、真性糖尿病、嚢胞性線維症、カルタゲナー症候群、高熱、多発性硬化症、及び女性化乳房が含まれる。
さらに、本発明のポリヌクレオチド、本発明の改変された融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、膣及び外陰部の様々な疾患及び/又は障害の診断及び/又は処置及び/又は予防に使用することができ、これらには、細菌性膣症、カンジダ膣炎、単純ヘルペスウイルス、軟性下疳、鼠径部肉芽腫、性病性リンパ肉芽腫、疥癬、ヒト乳頭腫ウイルス、膣外傷、外陰部外傷、腺症、クラミジア膣炎、淋疾、トリコモナス膣炎、尖形コンジローム、梅毒、伝染性軟属腫、萎縮性膣炎、パーエト(Paaet’s)病、硬化性苔癬、扁平苔癬、ブルボジニア(vulvodynia)、毒性ショック症候群、膣痙、外陰部膣炎、外陰部膣前庭炎、及び新生物性障害(例えば、扁平上皮過形成、明細胞ガン、基底細胞ガン、メラノーマ、バルトリン腺のガン、及び外陰部上皮内新生組織形成)が含まれる。
子宮の障害及び/又は疾患には、月経困難症、子宮後傾、子宮内膜症、子宮平滑筋腫、腺筋症、無排卵性出血、無月経、クッシナー(Cushiner’s)症候群、胞状奇胎、アッシェルマン症候群、早期閉経、性的早熟症、子宮ポリープ、機能不全性子宮出血(例えば、異常なホルモンシグナルによる)、及び新生物性障害(例えば、腺ガン、平滑筋肉腫、及び肉腫)が含まれる。また、本発明のトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、先天的な子宮異常(例えば、双角子宮、中隔子宮、単純性単角子宮、無腔(noncavitary)性の発育不全角を有する単角子宮、非交通腔の発育不全角を有する単角子宮、交通腔角を有する単角子宮、弓状子宮、完全重複子宮、及びT型子宮等)のマーカー又は検出因子として、並びにそれらの診断及び/又は処置及び/又は予防において有用であり得る。
卵巣の疾患及び/又は障害には、排卵、多嚢胞性卵巣症候群(スタイン−リーヴェンサール症候群)、卵巣嚢胞、卵巣機能低下、性腺刺激ホルモンに対する卵巣感受性欠如状態、アンドロゲンの卵巣での過剰産生、右卵巣静脈症候群、無月経、男性型多毛症、及び卵巣ガン(原発性及び二次的なガンの成長、セルトリ−ライディッヒ細胞腫、卵巣の内膜様ガン、卵巣乳頭状漿液性腺ガン、卵巣粘液性腺ガン、及び卵巣クルーケンベルク腫瘍を含むが、これらに限定されない)が含まれる。
子宮頸の疾患及び/又は障害には、子宮頸管炎、慢性子宮頸管炎、粘液膿性子宮頸管炎、及び子宮頸部形成異常、子宮頸ポリープ、ナーボット嚢胞、子宮頸管びらん、子宮頸管機能不全症、及び子宮頸部新生物(例えば、子宮頸ガン、扁平上皮化生、扁平上皮ガン、腺扁平上皮新生組織形成、及び円柱状細胞新生組織形成を含む)が含まれる。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、感染性病原体を処置又は検出するために使用することができる。例えば、免疫応答を増大させることによって、特にB細胞及び/又はT細胞の増殖及び分化を増大させることによって、感染性疾患を処置することができる。免疫応答は、既存の免疫応答を高めることによって、或いは本発明の融合タンパク質によって、及び/又は新規の免疫応答を開始させることによって、それらのいずれかで増大させることができる。或いは、本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドはまた、免疫応答を必ずしも誘発することなく、感染性病原体を直接阻害することができる。
ウイルスは、本発明のトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによって処置又は検出され得る疾患又は症状を引き起こし得る感染性病原体の一例である。ウイルスの例には、下記のDNAウイルス及びRNAウイルス並びにウイルス科が含まれるが、これらに限定されない。アルボウイルス、アデノウイルス科、アレナウイルス科、アルテリウイルス、ビマウイルス科(Bimaviridae)、ブンヤウイルス科、カリシウイルス科、サーコウイルス科、コロナウイルス科、デング熱、EBV、HIV、フラビウイルス科、ヘパドナウイルス科、肝炎、ヘルペスウイルス科(例えば、サイトメガロウイルス、単純ヘルペス、帯状疱疹)、モノネガウイルス(例えば、パラミクソウイルス科、モービリウイルス属、ラブドウイルス科)、オルトミクソウイルス科(例えば、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、及びパラインフルエンザ)、パピローマウイルス、パポバウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイルス科(例えば、天然痘又はワクシニア)、レオウイルス科(例えば、ロタウイルス)、レトロウイルス科(HTLV−I、HTLV−11、レンチウイルス)、及びトガウイルス科(例えば、ルビウイルス属)。
同様に、本発明のトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによって処置又は検出され得る疾患又は症状を引き起こし得る細菌性病原体及び真菌性病原体には、下記のグラム陰性細菌、グラム陽性細菌、細菌科、及び真菌が含まれるが、これらに限定されない。放線菌属(例えば、ノルカルジア(Norcardia)属)、アシネトバクター属、クリプトコックス・ネオフォルマンス、アスペルギルス(Aspergillus)属、バチルス(Bacillaceae)科(例えば、炭疽菌(Bacillus anthrasis))、バクテロイデス(Bacteroides)属(例えば、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis))、ブラストミコシス(Blastomycosis)、ボルデテラ(Bordetella)属、ボレリア(Borrelia)属(例えば、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi))、ブルセラ(Brucella)属、カンジダ(Candida)属、カンピロバクター(Campyrobactor)属、クラミジア(Chiamydia)属、クロストリジウム(Clrostridiuffi)属(例えば、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium dificile)、ウェルチ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani))、コクシジオイデス(Coccidioides)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属(例えば、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae))、クリプトコックス(Cryptococcus)属、デルマトシコシス(Dermatocycoses)、大腸菌(例えば、毒素原性大腸菌及び腸管出血性大腸菌)、エンテロバクター(Enterobacter)属(例えば、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes))、腸内細菌科(クレブシエラ(Klebsiella)属、サルモネラ(Salmonella)属(例えば、腸チフス菌(Salmonella typhi)、腸炎菌(Salmonella enteritidis)、腸チフス菌)、セラチア(Serratia)属、エルジニア(Yersinia)属、赤痢菌(Shigella)属)、エリジペロスリックス(Erysipelothrix)属、ヘモフィルス(Haemophilus)属(例えば、B型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae))、ヘリコバクター(Helicobactor)属、レジオネラ(Legionella)属(例えば、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila))、レプトスピラ(Leptospira)属、リステリア(Listeria)属(例えば、リステリア菌(Listeria monocytogenes))、マイコプラズマ(Mycoplasma)属、ミコバクテリウム(Mycobacterium)属(例えば、らい菌(Mycobacterium leprae)及び結核菌(Mycobacterium tuberculosis))、ビブリオ(Vibrio)属(例えば、コレラ菌(Vibrio cholerae))、ナイセリア(Neisseriaceae)科(例えば、淋菌(Neisseria gonorrhea)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis))、パスツレラ(Pasteurellacea)科、プロテウス(Proteus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属(例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa))、リケッチア(Richettsiaceae)科、スピロヘータ(例えば、トレポネーマ属菌(Treponema spp.)、レプトスピラ属菌(Leptospira spp.)、ボレリア属菌(Borrelia spp.))、赤痢菌属菌(Shigella spp.)、ブドウ球菌(Staphylococcus)属(例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))、髄膜炎菌(Menigiococeus)、肺炎双球菌(Pneumococeus)及び連鎖球菌(Streptococcus)属(例えば、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、並びにA群連鎖球菌、B群連鎖球菌、及びC群連鎖球菌)、並びにウレアプラズマ(Ureaplasma)属。
さらに、疾患を引き起こす寄生性病原体、或いは本発明の融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによって処置及び/又は防止及び/又は診断され得る寄生性病原体には、下記の科又は綱が含まれるが、これらに限定されない。アメーバ症(Amebiasis)、バベシア病(Babesiosis)、コクシジウム症(Coccidiosis)、クリプトスポリジウム症(Cryptosporidiosis)、ジエントアメーバ症(Dientamoebiasis)、交疫、外部寄生虫、ジアルジア(Giardias)属、蠕虫病(Helminthiasis)、リーシュマニア症(Leishmaniasis)、住血吸虫属(Schistisoma)、タイレリア症(Theileriasis)、トキソプラスマ症(Toxoplasmosis)、トリパノソーマ症(Tripanosomiasis)、並びにトリコモナス(Trichomonas)属及び胞子虫(例えば、三日熱マラリア原虫(Plasmodium virax)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparium)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)及び卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale))。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、細胞を分化させ、増殖させ、且つ誘引するために使用することができ、これにより組織の再生を誘導することができる(Science、276:59〜87(1997)を参照のこと)。組織の再生は、先天的欠陥、外傷(創傷、火傷、切開又は潰瘍)、年齢、疾患(例えば、骨粗鬆症、変形性関節炎、歯周疾患、肝不全)、手術(美容形成手術を含む)、線維症、再灌流傷害又は全身的なサイトカイン損傷によって損傷を受けた組織を修復し、置き換え、又は保護するために使用することができる。
本発明を使用して再生され得る組織には、様々な器官(例えば、膵臓、肝臓、腸、腎臓、皮膚、内皮)、筋肉(平滑筋、骨格筋又は心筋)、脈管構造(血管及びリンパ管を含む)、神経組織、造血組織、及び骨格組織(骨、軟骨、腱及び靭帯)が含まれる。好ましくは、再生は、瘢痕の形成を伴わずに生じるか、又は低下した瘢痕形成とともに生じる。再生はまた、血管形成を含むことがある。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、炎症性の疾患及び/又は症状、感染症、ガン(例えば、腸の新生物(小腸のカルチノイド腫瘍、小腸の非ホジキンリンパ腫、小腸リンパ腫))、及び潰瘍(例えば、消化性潰瘍)を含む様々な胃腸障害を処置し、防止し、診断し、且つ/又は予後判定するために使用することができる。
胃腸障害には、嚥下困難、嚥下痛、食道の炎症、消化性食道炎、胃の逆流、粘膜下組織の線維症及び組織化、マロリー−ヴァイス病変、平滑筋腫、脂肪腫、表皮ガン、腺ガン、胃貯留障害、胃腸炎、胃萎縮症、胃/胃部のガン、胃のポリープ、自己免疫障害(例えば、悪性貧血)、幽門狭窄症、胃炎(細菌性胃炎、ウイルス性胃炎、好酸球性胃炎、ストレス誘発性胃炎、慢性びらん性胃炎、萎縮性胃炎、プラズマ細胞性胃炎及びメネトリエ病)、並びに腹膜疾患(例えば、乳び腹膜症、腹膜内出血、腸間膜嚢胞、腸間膜リンパ節炎、腸間膜血管閉塞、皮下脂肪組織炎、新生物、腹膜炎、気腹症、横隔膜下膿瘍)が含まれる。
胃腸障害にはまた、小腸に関連する様々な障害、例えば、吸収不全症候群、膨張、過敏性腸症候群、糖不耐症、セリアック病、十二指腸潰瘍、十二指腸炎、熱帯性スプルー、ウィップル病、腸リンパ管拡張症、クローン病、虫垂炎、回腸閉塞、メッケル憩室、多発性憩室、小腸及び大腸の完全な回旋不全、リンパ腫、並びに細菌性疾患及び寄生虫病(例えば、旅行者の下痢、腸チフス及びパラチフス、コレラ、線虫類(回虫(Ascariasis Itimbricoides))による感染、鉤虫類(ズビニ鉤虫(Anclostoma duodenale))による感染、ぎょう虫類(ぎょう虫(Enterobius vermicularis))による感染、条虫類(無鉤条虫(jaenia saginata)、単包条虫(Echinococcus granulosus)、裂頭条虫属の条虫(Diphyllobothrium spp.)、及び有鉤条虫(T.sohum))による感染)等が含まれる。
肝臓の疾患及び/又は障害には、肝内胆汁うっ滞(アラジール症候群、胆汁性肝硬変)、脂肪肝(アルコール性脂肪肝、ライ症候群)、肝静脈血栓症、肝レンズ核変性症、肝腫大、肝肺症候群、肝腎症候群、門脈高圧症(食道静脈瘤及び胃静脈瘤)、肝膿瘍(アメーバ性肝膿瘍)、肝硬変(アルコール性肝硬変、胆汁性肝硬変及び実験的肝硬変)、アルコール性肝臓疾患(脂肪肝、肝炎、肝硬変)、寄生虫疾患(肝性包虫症、肝蛭症、アメーバ性肝膿瘍)、黄疸(溶血性黄疸、肝細胞性黄疸、及び胆汁うっ滞性黄疸)、胆汁うっ滞、門脈高圧症、肝臓膨大、腹水症、肝炎(アルコール性肝炎、動物性肝炎、慢性肝炎(自己免疫性肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、薬物性肝炎)、中毒性肝炎、ウイルス性ヒト肝炎(A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎))、ウィルソン病、肉芽腫性肝炎、二次的な胆汁性肝硬変、肝性脳症、門脈高圧症、静脈瘤、肝性脳症、原発性胆汁性血管腫、胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、肝細胞性腺腫、結石、肝不全(肝性脳症、急性肝不全)、及び肝臓新生物(血管筋脂肪腫、石灰化した肝臓転移、膿胞性肝臓転移、上皮腫瘍、線維層板肝細胞ガン、限局性結節性過形成、肝細胞腺腫、肝胆汁性嚢胞腺腫、肝芽細胞腫、肝細胞ガン、肝ガン、肝臓ガン、肝臓血管内皮腫、間葉過誤腫、肝臓の間葉腫瘍、結節性再生過形成、良性の肝臓腫瘍(肝嚢胞、単純嚢胞、多嚢胞性肝疾患、肝胆汁性嚢腺腫、総胆管嚢胞、間葉腫瘍、間葉過誤腫、乳児血管内皮腫、血管腫、肝臓紫斑病、脂肪腫、炎症性偽腫瘍、種々の上皮腫瘍、胆管上皮(胆管過誤腫、胆管腺腫)、肝細胞(腺腫、限局性結節性過形成、結節性再生過形成))、悪性の肝臓腫瘍(肝細胞性、肝芽細胞腫、肝細胞ガン、胆管細胞性、胆管ガン、嚢胞腺ガン、血管の腫瘍、血管肉腫、カポジ肉腫、血管内皮腫、他の腫瘍、胚性肉腫、線維肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、ガン肉腫、奇形腫、カルチノイド、扁平上皮ガン、原発性リンパ腫))、肝臓紫斑病、造血肝性ポルフィリン症、肝性ポルフィリン症(急性間欠性ポルフィリン症、晩発性皮膚ポルフィリン症)、ゼリ・ネガー(Zelli Neger)症候群が含まれる。
膵臓の疾患及び/又は障害には、急性膵炎、慢性膵炎(急性壊死性膵炎、アルコール性膵炎)、新生物(膵臓の腺ガン、嚢胞腺ガン、インスリノーマ、ガストリノーマ、及びグルカクロノーマ(glucacronoma)、嚢胞性新生物(cysticcitmeoplasm)、膵島細胞腫瘍、パンクレオブラストーマ(pancreoblastoma))、及び他の膵臓疾患(例えば、嚢胞性線維症、嚢胞(膵臓偽性嚢胞、膵臓フィステル、機能不全))が含まれる。
胆嚢の疾患には、胆石(胆石症及び総胆管結石症)、胆嚢摘出後症候群、胆嚢の憩室症、急性胆嚢炎、慢性胆嚢炎、胆管腫瘍、及び粘液嚢胞腫が含まれる。
大腸の疾患及び/又は障害には、抗生物質に関連する大腸炎、憩室炎、潰瘍性大腸炎、後天性巨大結腸症、膿瘍、真菌感染症及び細菌感染症、肛門直腸障害(例えば、裂溝、痔核)、結腸疾患(大腸炎、結腸新生物、結腸ガン、腺腫様結腸ポリープ(例えば、絨毛状腺腫)、結腸ガン腫、結腸直腸ガン、結腸憩室炎、結腸の憩室症、巨大結腸、ヒルシュスプルング病、中毒性巨大結腸、S状結腸疾患、直腸結腸炎、S状結腸新生物、便秘症、クローン病、下痢(乳児下痢、赤痢)、十二指腸疾患(十二指腸新生物、十二指腸閉塞、十二指腸潰瘍、十二指腸炎)、腸炎(全腸炎)、HIV腸症、回腸疾患(回腸新生物、回腸炎)、免疫増殖性小腸疾患、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、腸閉鎖、寄生虫疾患(アニサキス症、バランチジウム症、ブラストシスティス感染症、クリプトスポリジウム症、ジエントアメーバ症、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫症)、腸フィステル(直腸フィステル)、腸の新生物(盲腸新生物、結腸新生物、十二指腸新生物、回腸新生物、腸ポリープ、空腸新生物、直腸新生物)、腸閉塞(輸入脚症候群、十二指腸閉塞、宿便、仮性腸閉塞盲腸捻転、重積症)、腸穿孔、腸ポリープ(結腸ポリープ、ガードナー症候群、ポイツ−ジェガーズ症候群)、空腸疾患、空腸新生物)、吸収不全症候群(盲係蹄症候群、セリアック病、乳糖不耐性、短腸症候群、熱帯熱スプレー、ウィップル病)、腸間膜血管閉塞、腸壁嚢胞状気腫、タンパク喪失性腸症(腸リンパ管拡張症)、直腸疾患(肛門疾患、便失禁、痔核、直腸炎、直腸フィステル、直腸脱出症、直腸瘤)、消化性潰瘍(十二指腸潰瘍、消化性食道炎、出血、穿孔、胃潰瘍、ゾーリンジャー−エリソン症候群)、胃切除後症候群(ダンピング症候群)、胃疾患(例えば、無塩酸症、十二指腸胃逆流(胆汁逆流)、胃腔血管拡張症、胃フィステル、胃出口閉塞、胃炎(萎縮性胃炎又は肥厚性胃炎)、胃不全麻痺、胃拡張、胃憩室、胃新生物(胃ガン、胃ポリープ、胃腺ガン、過形成胃ポリープ)、胃ヘルニア、胃潰瘍、胃軸捻)、結核、内臓下垂症、嘔吐(例えば、吐血、妊娠悪阻、手術後の悪心及び嘔吐)、及び出血性大腸炎が含まれる。
胃腸系のさらなる疾患及び/又は障害には、胆道疾患、例えば、胃壁破裂症)、フィステル(例えば、胆道フィステル、食道フィステル、胃フィステル、腸フィステル、膵臓フィステル)、新生物(例えば、胆道新生物、食道新生物(例えば、食道の腺ガン、食道扁平上皮ガン)、胃腸新生物、膵臓新生物(例えば、膵臓の腺ガン、膵臓の粘液性嚢胞性新生物、膵臓嚢胞性新生物、パンクレアトブラストーマ(pancreatoblastoma)、及び腹膜新生物)等、食道疾患(例えば、水疱性疾患、カンジダ症、グリコゲンアカントシス、潰瘍形成、バレット食道静脈瘤、閉鎖症、嚢胞、憩室(例えば、ツェンカー憩室)、フィステル(例えば、気管食道フィステル)、自動運動性障害(例えば、クレスト症候群、嚥下障害、アカラシア、痙縮、胃食道逆流)、新生物、穿孔(例えば、ブールハーフェ症候群、マロリー−ヴァイス症候群)、狭窄、食道炎、横隔膜ヘルニア(例えば、裂孔ヘルニア));胃腸疾患、例えば、胃腸炎(例えば、コレラ病、ノーウォークウイルス感染)、出血(例えば、吐血、メレナ、消化性潰瘍出血)、胃新生物(胃ガン、胃ポリープ、胃腺ガン、胃部のガン等、ヘルニア(例えば、先天性横隔膜ヘルニア、大腿ヘルニア、鼠径ヘルニア、閉鎖孔ヘルニア、臍帯ヘルニア、腹壁ヘルニア)、及び腸疾患、(例えば、盲腸疾患(虫垂炎、盲腸新生物))等が含まれる。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、走化性活性を有し得る。走化性分子は、細胞(例えば、単球、繊維芽細胞、好中球、T細胞、マスト細胞、好酸球、上皮細胞及び/又は内皮細胞)を身体の特定部位に、例えば、炎症、感染、又は過剰増殖部位等に誘引するか、又は動員させる。動員された細胞は、その後、特定の外傷又は異常を克服及び/又は治癒することができる。
本発明の改変されたトランスフェリン融合タンパク質、及び/又は本発明のトランスフェリン融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、特定細胞の走化性活性を増大させることができる。これらの走化性分子は、その後、身体の特定位置に対して標的化される細胞数を増大させることによって、炎症、感染、過剰増殖性障害又は任意の免疫系障害を処置するために使用することができる。
遺伝子導入動物
増大した血清半減期、又は増大した血清安定性、又は増大した生物学利用性を有する本発明の改変されたトランスフェリン融合構築物を含有する遺伝子導入された非ヒト動物の作製が本発明の1つの実施形態において考えられる。いくつかの実施形態において、融合タンパク質が乳汁中に産生及び分泌されるように、ラクトフェリンを融合タンパク質のTf部分として使用することができる。
遺伝子導入された非ヒト動物の成功した作製が多数の特許及び刊行物に記載されている(例えば、米国特許第6,291,740号(2001年9月18日発行);米国特許第6,281,408号(2001年8月28日発行);及び米国特許第6,271,436号(2001年8月7日発行)等。それらの内容はその全体が本明細書中に参考として組み込まれる)。
動物、例えば、乳牛、ブタ、ヤギ、ウマ、ウシ及びヒツジを含む家畜化された哺乳動物等の遺伝子構成を変化させることができることにより、多くの商業的適用が可能になる。これらの適用には、容易に採集される形態(例えば、乳汁中又は血液中への発現)で多量の外因性タンパク質を発現する動物の作製、増大した体重増加、給餌効率、肉組成、乳汁生産又は乳汁含有量、疾患抵抗性及び特定の微生物による感染に対する抵抗性を有する動物の作製、そして成長速度又は繁殖能が高められた動物の作製が含まれる。外因性DNA配列をゲノムに含有する動物を、遺伝子導入動物と呼ぶ。
遺伝子導入動物を作製するために最も広範に使用されている方法は、DNAを受精胚の前核に顕微注入することである(Wall等、J.Cell.Biochem.、49:113[1992])。遺伝子導入動物を作製するための他の方法には、レトロウイルス又はレトロウイルスベクターによる胚の感染が含まれる。野生型レトロウイルス又は組換えレトロウイルスのいずれかによる着床前及び着床後の両方のマウス胚の感染が報告されている(Janenich、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、73:1260[1976];Janenich等、Cell、24:519[1981];Stuhlmann等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:7151[1984];Jahner等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:6927[1985];Van der Putten等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:6148〜6152[1985];Stewart等、EMBO J.、6:383〜388[1987])。
レトロウイルスを胚に感染させるための別の手段は、マウス胚の胞胚腔の中にウイルス又はウイルス産生細胞を注入することである(Jahner,D.等、Nature、298:623[1982])。マウス生殖系列への導入遺伝子の導入が、妊娠中期のマウス胚の子宮内レトロウイルス感染を使用して報告されている(Jahner,等、上掲[1982])。遺伝子導入動物を作製するためのレトロウイルス又はレトロウイルスベクターによるウシ胚及びヒツジ胚の感染が報告されている。これらのプロトコルは、レトロウイルス粒子、又はレトロウイルス粒子を放つ成長を停止させた(すなわち、マイトマイシンC処理された)細胞を受精卵又は初期胚の卵黄周囲隙に顕微注入することである(PCT国際特許出願WO90/08832、[1990];Haskell及びBowen、Mol.Reprod.Dev.、40:386[1995])。PCT国際特許出願WO90/08832には、2細胞期〜8細胞期のヒツジ胚の卵黄周囲隙への野生型ネコ白血病ウイルスBの注入が記載される。注入された胚に由来する胎児は、多数の組込み部位を含有することが示された。
米国特許第6,291,740号(2001年9月18日発行)には、分裂中の細胞に形質導入するレトロウイルスベクター(例えば、ネズミ白血病ウイルス[MLV]に由来するベクター)を使用して、外因性DNAを未成熟な卵母細胞及び成熟した未受精卵母細胞(すなわち、受精前の卵母細胞)に導入することによる遺伝子導入動物の作製が記載される。この特許にはまた、様々な組換えタンパク質のサイトメガロウイルスプロモーターにより駆動される発現並びにマウス乳腫瘍LTRによる発現のための方法及び組成物が記載される。
米国特許第6,281,408号(2001年8月28日発行)には、胚性幹細胞を使用して遺伝子火導入動物を作製するための方法が記載される。簡単に記載すると、胚性幹細胞が、遺伝子導入動物を作製するために、桑実胚との混合細胞同時培養において使用される。外来遺伝物質が、例えば、エレクトロポレーション、顕微注入又はレトロウイルス送達によって、同時培養の前に胚性幹細胞に導入される。この様式によりトランスフェクトションされたES細胞が、ネオマイシン等の選択マーカーによって遺伝子の組込みについて選択される。
米国特許第6,271,436号(2001年8月7日発行)には、始原生殖細胞の単離、これらの細胞を培養して、始原生殖細胞由来の細胞株を作製すること、始原生殖細胞及び培養された細胞株の両方を形質転換すること、そしてこれらの形質転換された細胞及び細胞株を使用して、遺伝子導入動物を作製することを含む方法を使用した遺伝子導入動物の作製が記載される。遺伝子導入動物が作製される効率が大きく増大するので、遺伝子導入された非げっ歯類動物種の作製における相同的組換えの使用が可能になる。
遺伝子治療
改変されたトランスフェリンタンパク質又はトランスフェリンドメインが治療タンパク質又は治療ペプチドに連結される改変されたトランスフェリン融合構築物の遺伝子治療のための使用が、本発明の1つの実施形態において考えられる。増大した血清半減期又は血清安定性を有する本発明の改変されたトランスフェリン融合構築物は、遺伝子治療による処置に理想的に適している。
可溶性の融合タンパク質を発現させるための遺伝子治療の成功した使用が記載されている。簡単に記載すると、細胞傷害性リンパ球抗原4(CTLA4)及びヒト免疫グロブリンG1のFc部分からなる可溶性の融合タンパク質をコードする遺伝子を含むアデノウイルスベクターを注入することによる遺伝子治療が、最近、Ijima等((2001年6月10日)、Human Gene Therapy(合衆国)12/9:1063〜77)に示された。遺伝子治療のこの適用において、II型コラーゲンで誘導された関節炎のネズミモデルをベクターの関節内注入によって処置することに成功した。
遺伝子治療はまた、米国特許第6,225,290号(2001年5月1日発行)、米国特許第6,187,305号(2001年2月13日発行)、及び米国特許第6,140,111号(2000年10月31日発行)を含む多数の米国特許に記載される。
米国特許第6,225,290号では、所望される治療効果を有するタンパク質を発現させる遺伝子を機能的に組込むために哺乳動物被験体の腸上皮細胞を遺伝的に変化させる方法及び構築物が提供される。腸細胞の形質転換は、主としてネイクドDNAから構成される配合物の投与によって達成され、そして、DNAは経口投与することができる。経口投与経路又は他の胃腸内投与経路により、簡単な投与方法がもたらされ、同時にネイクド核酸の使用により、遺伝子治療を達成するためのウイルスベクターの使用に関連する合併症が回避される。発現したタンパク質は、タンパク質の治療的血中レベルを得るために胃腸管及び/又は血流中に直接分泌され、それにより、そのタンパク質を必要とする患者が処置される。形質転換された腸上皮細胞は、特定のタンパク質の欠損に関連する疾患、又はタンパク質の過剰発現による処置に反応する疾患に対する短期又は長期の治療法をもたらす。
米国特許第6,187,305号では、脊椎動物起源の細胞、特に、哺乳動物起源の細胞における遺伝子標的化方法又はDNA標的化方法が提供される。簡単に記載すると、DNAが、DNAの相同的組換え又は標的化を介して脊椎動物起源の初代細胞又は二次細胞に導入され、この場合、DNAは、事前に選択された部位において初代細胞又は二次細胞のゲノムDNAに導入される。
米国特許第6,140,111号(2000年10月31日発行)には、レトロウイルス遺伝子治療ベクターが記載される。開示されるレトロウイルスベクターは、目的とする遺伝子に対する挿入部位を含み、そして広範囲の様々な形質転換された細胞タイプにおいて、目的とする遺伝子に由来するタンパク質を高レベルに発現させることができる。また、選択マーカーを有していないレトロウイルスベクター、従って、抗生物質等のマーカー生成物の同時発現を伴わない様々な疾患状態の処置におけるヒトの遺伝子治療に好適であるレトロウイルスベクターも開示される。これらのレトロウイルスベクターは、ある種のパッケージング細胞株における使用に対して特に適している。哺乳動物細胞のゲノムに挿入するレトロウイルスベクターの能力により、レトロベクターは、ヒト及び動物における遺伝子疾患の遺伝子治療で使用される特に有望な候補になっている。遺伝子治療は、典型的には、(1)インビボで患者の細胞に新しい遺伝物質を加えること、又は(2)患者の細胞を身体から取り出し、新しい遺伝物質を細胞に加えて、その細胞を体内に再導入すること(すなわち、インビトロ遺伝子治療)を伴う。レトロウイルスベクターを使用して様々な細胞で遺伝子治療を行なう方法に関する議論を、例えば、米国特許第4,868,116号(1989年9月19日発行)及び米国特許第4,980,286号(1990年12月25日発行)(上皮細胞)、国際特許出願WO89/07136(1989年8月10日公開)(肝細胞)、欧州特許出願EP378,576(1990年7月25日公開)(繊維芽細胞)、並びに国際特許出願WO89/05345(1989年6月15日公開)及び国際特許出願WO/90/06997(1990年6月28日公開)(内皮細胞)において見出すことができる(それらの開示は本明細書中に参考として組込まれる)。
さらなる記載を要することなく、当業者は、上記の記載及び下記の例示的な実施例を使用して、本発明を行ない、且つ利用することができ、そして請求項の方法を実施することができると考えられる。例えば、当業者は、本発明の融合タンパク質構築物に対するインビトロ及びインビボの両方での生物学的活性を、その非融合状態における治療的成分の比較可能な活性と比較して容易に決定することができる。同様に、当業者は、本発明による構築物の血清半減期及び血清安定性を容易に決定することができる。従って、下記の実施例は、本発明の好ましい実施形態を具体的に示しており、いかなる点においても開示の残り部分を限定するものとして解釈してはならない。
改変されたTfと、配列を含む抗融合誘導性HIV−1ペプチド(T−20)との融合タンパク質が、このペプチドをコードするヌクレオチド配列の1コピー以上をTFのヌクレオチド配列に融合して、ペプチドがTfのN末端又はC末端に融合された融合タンパク質を得ることによって作製される。
1つの実施形態において、融合タンパク質のTf部分は、酵母で産生されたときにグリコシル化されないように操作される。上記で議論されたように、ヒトトランスフェリンは2つのN結合型グリコシル化部位をN413付近及びN611付近に有する。N結合型グリコシル化部位は配列N−X−S/Tを構成する。1つの実施形態において、N(Asn)がQ(Gln)に変化させられる;AsnからAla、Ser又は任意の他のアミノ酸への変化等の他の変化が考えられる。
具体的には、N413及びN611のコドンが、dut−及びung−法を使用したオリゴヌクレオチド媒介変異誘発法によってGAT及びGACに変換される(Kunkel等(1985)、Proc.Natl.Acad.Sci.、82:488〜492を参照のこと)。変異誘発オリゴヌクレオチドの5’−GCAGAAAACTACGATAAGAGCGATAAT−3’(配列番号9)及び5’−CTATTTGGAAGCGACGTAACTGACTGC−3’(配列番号10)が、Funk等(米国特許第5,986,067号)の方法に従ってN413及びN611のコドンを変異誘発するために合成され、使用される。
その後、受容体結合及び/又は鉄結合もしくは炭酸塩結合が、下記の鉄結合残基及び/又は炭酸イオン結合残基を変異させることによって破壊される:
(表)
鉄結合が不完全な変異体の作製は数多くの技術によって達成することができる。米国特許第5,986,067号を参照のこと。D63S置換体を、Nelson,R.M.及びLong,G.L.(1989)、Analyt.Biochem.、180:147〜151の方法を使用して調製することができる。簡単に記載すると、hTF/2Nコード配列の5’端から得られるHpaII/BamHIフラグメントをpUC18にサブクローン化し、その後、PCRに基づく2段階の変異誘発手法のためのテンプレートとして使用する。このフラグメントは、その後、全長のD63Sコード配列を作製するために、XbaI及びBamHIによる消化によって配列決定用ベクターの二本鎖形態から切断され、そして元のヒトTf構築物に由来するBamHI/HindIIIフラグメントに連結される。このスプライシングの忠実性が制限消化分析によって確認される。
ピキアでの発現のために、RCT/Invitrogenから得られるシステムを使用することができる。3つのベクターを多コピー発現のために利用することができる(pPIC9K、pPIC3.5K及びpAO815)。本実施例の場合、増殖培地中への分泌を可能にするpPIC9Kベクターが使用される。
改変されたトランスフェリン配列を、重複PCR変異誘発によりトランスフェリンcDNAの両端を変更することによってpPIC9Kベクターにクローン化した。これにより、ベクターpREX0010が得られた。ベクター内及びコード配列内の多数の制限部位が、その後のクローニング工程(図5)を助けるために除去又は付加された。
HIVの抗融合誘導性ペプチドDP−178に対する配列はまたT−20として知られている。このペプチドは、その機能を果たすために運動の自由を必要とし得るので、トランスフェリンのN末端又はC末端における融合に役立つ。
DP−178配列:YTSLIHSLIEESQNQQEKNEQELLELDKWASLWNWF(配列番号4)。
(酵母に対して最適化されたコドンを使用して)DNAに逆翻訳したとき、下記の配列が得られた:
上記配列を挿入するために、改変されたトランスフェリンcDNAを有するベクターpREX0010を、5’末端における挿入のために制限酵素XbaI/KpnIで、そして3’末端における挿入のために制限酵素SalI/HindIIIで消化した。
5’端での挿入のために、上記に示されたDP−178配列の5’末端におけるXbaI突出部及び3’末端におけるKpnI突出部を形成する2つの重なるオリゴを合成した。その後、これらのオリゴを一緒にアニーリング処理し(下記参照)、XbaI/KpnIで消化されたpREX0010ベクターに連結した。
アニーリング処理されたオリゴの挿入は、挿入したとき、KpnI部位の喪失をもたらした。これにより、ベクターpREX0011が得られた(図6)。
C末端での挿入のために、類似する方法が、SalI部位を5’末端に付加し、そしてHindIII部位を3’末端に付加することによって用いられた(図7)。
その後、形質転換、選択及び発現が、Invitrogenピキア発現キットのプロトコル冊子に記載される通りに行われる。
INGAP融合体が、逆翻訳されたヒトINGAPアミノ酸配列を使用して調製される。タンパク質配列は下記の通りである。sp|Q92778|PBCG_HUMANヒトINGAP
DNA(酵母に対して最適化されたコドン)に逆翻訳されたとき、下記(配列番号18及び配列番号19)が得られた。
リーダー配列の切断が最も起こりそうなところは、下線が引かれた上記配列の末端におけるKKにおいてである。
トランスフェリンのN末端又はC末端に融合されたINGAPを発現させるための構築物を作製するために使用され得る1つの方法論は、(下線部のリーダー配列を除いた)上記に示される配列から設計される一連の重複オリゴを合成することである。これらのプライマーをアニリーングすることにより、INGAPのcDNAが得られる。5’末端及び3’末端について設計された種々のオリゴを用いて、アニーリング処理されたcDNAをトランスフェリンの5’末端又は3’末端においてpREX0010に連結することができる。
括弧で挟まれた配列は、INGAP活性を誘導するために使用されるペプチドである。従って、この配列は、完全な配列と、この最小配列との間である程度まで対にすることができる。
N末端融合
N末端の場合、これらは、5’末端でXbaI部位を形成する突出部と、3’末端でKpnI部位と適合し得るが、KpnI部位の破壊をもたらす突出部とを有する。
pREX0010をXbaI及びKpnIで消化し、上記配列を連結することにより、ベクターpREX0013が得られる(図8)。
C末端融合
C末端の場合、5’末端はSalI部位を形成し、3’末端には停止コドン及びHindIII部位が存在する。
pREX0010をSalI及びHindIIIで消化し、上記配列を連結することにより、ベクターpREX0014が得られる(図9)。
その後、形質転換、選択及び発現が、Invitrogenピキア発現キットのプロトコル冊子に記載される通りに行われる。
下記に示されるペプチドは、EPO受容体の二量体化を生じさせることによってEPO活性を模倣することが示されている。環状であるこのペプチドは、EPOに対する相同性を有していない。活性のために、このペプチドは、2コピーの受容体が十分に近くに接近して、活性な複合体を形成するように、別のペプチドと協奏して、すなわち、二量体として作用しなければならない。多くのペプチドの場合のように、このペプチド二量体は、半減期が短いという欠点を有しており、トランスフェリンに対する融合によりもたらされる長寿命から利益を受けることになる。本実施例では、2つのペプチドがトランスフェリン足場の中に操作して入れられる。
Ali等によって詳述されるように、何ら問題を伴うことなく、ペプチドをHis289とGly290との間においてトランスフェリンの中に操作して入れることができる。トランスフェリン分子に固有な重複化は、2つのドメインが互いに鏡像関係にあるので、ペプチドをGlu625とThr626との間においてCドメインの重複領域に操作して入れることが可能であることを意味する。
それぞれの挿入のために、2つの重複する変異誘発プライマーが合成される(下記参照)。pREX0010をテンプレートとして使用して、反応を、それぞれの変異誘発プライマーと、TfcDNAの5’端又は3’端に由来する外側プライマーとを用いて行った。その後、これらの2つの反応から得られる生成物を混合して、さらなる反応を、2つの生成物を連結させるために外側プライマーと一緒に行った。His289−Gly290の挿入体PCR産物を、XbaI/HpaIで消化されたpREX0010への連結のためにXbaI及びHpaIで消化した。得られたベクターを、その後、HpaI/SalIで消化されたGlu625−Thr626挿入体PCR産物の連結のためにHpaI及びSalIで消化した。
これらはプラスミドpREX0015をもたらした(図10)。その後、形質転換、選択及び発現が、Invitrogenピキア発現キットのプロトコル冊子に記載される通りに行われる。
EPOミメティックペプチド(1つ又は複数)又は任意の他のペプチド(1つ又は複数)を挿入するための代わりの場所は、N413及びN611でのトランスフェリンのCドメインにおける2つのグリコシル化部位である。この利点は、1回の同じ事象で、挿入が達成され、且つ、グリコシル化がN−X−S/T配列の破壊により妨げられるということである。
Tfと、RSVに対する融合誘導阻害剤ペプチドとの融合タンパク質が、ペプチド配列をTfのN末端もしくはC末端に融合することによって、又は配列をTfのループ内に挿入することによって作製される。この場合、Tfは、鉄と結合しないように改変され、且つ/又はグリコシル化を妨げるために改変される。RSVペプチドは、T786:VYPSDEYDASISQVNEEINQALAYIRKADELLENV(配列番号5)及び/又はT1584:AVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQL(配列番号6)を含むことができる。
T786ペプチドは、酵母のプロテアーゼKex2pに対する切断部位として作用し得るRKジペプチドを有する。これにより、短縮化されたペプチドが生じる。従って、このペプチドはRKからREに改変される場合がある。T786ペプチドの別の形態であるT112(VFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRESDELLHNV、配列番号7)は、T786よりも強力であるが、その非融合形態での溶解性問題を有している。従って、RKの代わりにREに改変されているT112の変化体もまた、Tfに融合されたペプチドの変化体を製造するために作製される。
遺伝子構築物を作製するために、ペプチド配列が、適するように、ヒト、酵母又は任意の他の生物に対するコドン頻度を使用してDNAに逆翻訳される。
様々なサイトカインを、TfのN末端に、又はC末端に、又はN末端及びC末端に融合することができる。これらの融合体はまた、改変されたトランスフェリンの種々の部分又はドメイン、例えば、Nドメイン又はCドメイン等を使用して構築することができる。タンパク質は、直接的に、又は様々な長さのリンカーペプチドを使用して融合することができる。活性なサイトカインの全体又は一部をトランスフェリンの足場内に融合することもまた可能である。
目的とするサイトカイン(例えば、EPO)に対するcDNAを、標準的な方法がすべてにおいて使用されるが、mRNAからのRT−PCR、cDNAライブラリーからのRT−PCR等の様々な手段によって、又は重複するオリゴヌクレオチドからcDNAを合成的に構築することによって、又はPCRによって、又はこの分野で知られている他の手段によって単離することができる。これらのタンパク質のすべてに対するヌクレオチド配列は、例えば、米国特許第4,703,008号、同第4,810,643号及び同第5,908,763号、並びにGenBank等の公開されているデータベースにおいて知られており、入手することができる。cDNAは、トランスフェリンに対するcDNAを含有するベクターにcDNAをクローン化するためにオリゴヌクレオチドリンカーが使用され得るように、制限部位を作製するために5’端及び3’端を合わせることができる。これは、スペーサー配列の使用とともに、もしくはスペーサー配列を使用することなく、N末端もしくはC末端においてであり得るか、又はトランスフェリンのcDNA内にサイトカインのcDNAを挿入することによって行われ得る。サイトカイン(例えば、EPO)及びTfのcDNAがベクターにクローン化され、その後、ベクターから、完全な発現カセットが切り出され、酵母(又は任意の他の適切な発現システム)における融合タンパク質の発現を可能にするための発現ベクターに挿入される。その後、酵母から分泌された融合タンパク質を培地から回収し、精製して、その生物学的活性について試験することができる。
哺乳動物細胞株における発現の場合、使用される発現カセットにおいて、哺乳動物のプロモーター及びリーダー配列及びターミネーターが用いられることを除いて、類似する手順が採用される。その後、この発現カセットは切り出され、哺乳動物細胞株のトランスフェクションのために好適なプラスミドに挿入される。
様々なインターフェロンを、改変されたトランスフェリンのN末端に、又はC末端に、又はN末端及びC末端に融合することができる。これらの融合体は、トランスフェリンの種々の部分又はドメイン、例えば、Nドメイン又はCドメイン等を使用して構築することができる。タンパク質は、直接的に、又は様々な長さのリンカーペプチドを使用して融合することができる。インターフェロンの全体又は一部をトランスフェリンの足場内に融合することもまた可能である。
Tfに融合され得るインターフェロンの具体的な一例がインターフェロン−βである。IFNβ等の目的とするインターフェロンに対するcDNAを、標準的な方法がすべてにおいて使用されるが、mRNAもしくはcDNAからのRT−PCR、cDNAライブラリーからのRT−PCR等の様々な手段によって、又は重複するオリゴヌクレオチドからcDNAを合成的に構築することによって、又はPCRによって、又はこの分野で知られている他の手段によって単離することができる。IFNα、IFNβ及びINFγ等のインターフェロンに対するヌクレオチド配列は、例えば、米国特許第5,326,859号、同第4,588,585号及び欧州特許第32134号、並びにGenBank等の公開されているデータベースにおいて知られており、入手することができる。cDNAは、改変されたトランスフェリンに対するcDNAを含有するベクターにcDNAをクローン化するためにオリゴヌクレオチドリンカーが使用され得るように、制限部位を作製するために5’端及び3’端を合わせることができる。これは、スペーサー配列の使用とともに、もしくはスペーサー配列を使用することなく、トランスフェリン配列のN末端において、又はC末端において、又はN末端及びC末端においてであり得る。INFβ(又は他のインターフェロン)のcDNAがベクターにクローン化され、その後、ベクターから、完全な発現カセットが切り出され、酵母における融合タンパク質の発現を可能にするための発現ベクターに挿入される。その後、酵母から分泌された融合タンパク質を培地から回収し、精製して、その生物学的活性について試験することができる。
哺乳動物細胞株における発現の場合、使用される発現カセットにおいて、哺乳動物のプロモーター及びリーダー配列及びターミネーターが用いられることを除いて、類似する手順が採用される。その後、この発現カセットは切り出され、哺乳動物細胞株のトランスフェクションのために好適なプラスミドに挿入される。トランスフェリンに融合されたIFNは、はるかにより長い半減期を有しており、従って、融合されたタンパク質の治療的投薬量はIFNよりもはるかに少ない。従って、融合されたインターフェロンは、はるかに少ない毒性で、より大きな効力を有する。
様々な単鎖抗体(SCA)が、抗体の選択及び製造を簡略化するために最初に考案された。しかしながら、単鎖抗体は、そのサイズが小さく、インビボ半減期が短いために、治療的価値が限られるか、全くないことが明らかにされている。SCAに対するトランスフェリンの付加はSCAのインビボ半減期を著しく増大させる。
SCAは、改変されたトランスフェリンのN末端に、又はC末端に、又はN末端及びC末端に融合することができる。これらの融合はまた、トランスフェリンの種々の部分又はドメイン、例えば、Nドメイン又はCドメイン等を使用して行うことができる。タンパク質は、直接的に、又は様々な長さのリンカーペプチドを使用して融合することができる。活性なSCAの全体又は一部をトランスフェリンの足場内に融合することもまた可能である。そのような場合、融合タンパク質が、SCAのcDNAをトランスフェリンのcDNA内に挿入し、タンパク質を細胞において産生させることによって作製される。トランスフェリンに融合され得るSCAの具体的な一例が抗TNF(腫瘍壊死因子)である。抗TNFは、様々な炎症性疾患及び自己免疫疾患を処置するために使用されている。TNF−SCAは、TNF−SCAのコードN末端がトランスフェリンのC末端アミノ酸に対して直接的に結合されるか、又はTNF−SCAのC末端アミノ酸がトランスフェリンのN末端アミノ酸に対して直接的に結合されるような様式で、改変されたトランスフェリンのN末端又はC末端に融合することができる。或いは、ペプチドリンカーを、トランスフェリンとTNF−SCAとの間により大きな分離を提供し、且つ2つの融合されたタンパク質に対するより大きな空間的移動性を可能にするために挿入することができる。TNF−SCAのいくつかの例が図4A〜図4Bに示される。
単鎖抗体はいくつかの方法によって製造され、そのような方法には、ファージライブラリーからの選択、又は特異的な抗体のcDNAをクローン化し、その隣接する定常領域をプライマーとして使用して、可変領域をクローン化することによって特異的な抗体の可変領域をクローン化すること、又は任意の特異的な抗体の可変領域に対応するオリゴヌクレオチドを合成することによって特異的な抗体の可変領域をクローン化することが含まれるが、これらに限定されない。cDNAは、トランスフェリンに対するcDNAを含有するベクターにcDNAをクローン化するためにオリゴヌクレオチドリンカーが使用され得るように、制限部位を作製するために5’端及び3’端を合わせることができる。これは、スペーサー配列の使用とともに、又はスペーサー配列を使用することなく、N末端において、又はC末端において、又はN末端及びC末端においてであり得る。SCA分子のcDNAがベクターにクローン化され、その後、ベクターから、完全な発現カセットが切り出され、酵母における融合タンパク質の発現を可能にするための発現ベクターに挿入される。その後、酵母から分泌された融合タンパク質を培地から回収し、精製して、その生物学的活性について試験することができる。哺乳動物細胞株における発現の場合、使用される発現カセットにおいて、哺乳動物のプロモーター及びリーダー配列及びターミネーターが用いられることを除いて、類似する手順が採用される。その後、この発現カセットは切り出され、哺乳動物細胞株のトランスフェクションのために好適なプラスミドに挿入される。このようにして製造された抗体は培地から精製することができ、そして標準的な免疫化学的方法を使用してその抗原に対するその結合について試験することができる。
CDRは、抗原と相互作用する抗体の可変領域である。可変領域は、通常、ペプチドの相対的に短い領域からなる。抗体は、通常、3つのCDRをその重鎖に有し、3つのCDRをその軽鎖に有する。抗原と相互作用し得る抗体の1つ以上のCDRを改変されたトランスフェリンに融合して、抗原結合活性をトランスフェリン分子に付与することができる。CDRは、N末端に、又はC末端に、又はN末端及びC末端に融合することができ、或いはトランスフェリンの内部の足場の中に操作して入れることができる。抗TNF抗体に由来するCDR配列の例がTNF−SCAに示される(図4A〜図4B)。1つ以上のCDRに対応するcDNAを改変されたトランスフェリンと融合して、TNF結合活性をトランスフェリンに付与することができる。
トランスフェリン融合技術はまた、ファージディスプレーライブラリー及びペプチドライブラリー等の様々な系で発見されるペプチトの治療的性質を改善するために使用することができる。これらのペプチドの多くは、天然のタンパク質又はペプチドに対する相同性を何ら有することなく生物学的活性を有する。これらのペプチドは、そのインビボ半減期が短いために、改変されたトラスフェリンに融合するための良好な候補である。そのサイズが小さいので、これらのペプチドはトランスフェリン分子の様々な領域において融合することができる。N末端及びC末端に加えて、これらのペプチドは、シスチンループ(これに限定されない)を含むトランスフェリン内の様々な領域に挿入することができる。この様式では、トランスフェリン内におけるペプチドの三次元構造は比較的固定されたままである。2コピー以上の各ペプチド及び2つ以上のペプチドを改変されたトランスフェリンに融合することができる。さらに、ペプチド配列は、トランスフェリンの一部を置き換えて、治療活性をトランスフェリンに付与するために使用することができる。これらのペプチドはほとんどが短いので、それらのcDNAは、改変されたトランスフェリンcDNAへの挿入のための適切な制限部位を伴って合成することができる。その後、cDNAは、ペプチドがトランスフェリンの一部として発現されるか、又はトランスフェリン分子に融合されるような様式で、トランスフェリンcDNAを含有するベクターに挿入することができる。或いは、目的とするペプチド及びトランスフェリンの適切な選択を含有するPCRプライマーを合成することができる。これらのプライマーを使用した場合、トランスフェリンcDNAの増幅により、トランスフェリン上の選ばれた部位に対するペプチドの融合がもたらされる。そのようなペプチドの例がEPOミメティックペプチドのGGTYSCHFGPLTWVCKPQGG(配列番号11);DREGCRRGWVGQCKAWFN(配列番号12);及びQRVEILEGRTECVLSNLRGRTRY(配列番号30)であり、これらは、天然のEPOとの相同性を有していないが、アゴニストとして作用するEPO受容体を活性化する点で類似する生物学的活性を有している。これらのペプチドもまた、その最適な活性のためには特異的な立体配座を有する必要がある。EPOミメティックペプチドをトランスフェリンの1つ以上のシスチンループに挿入することができる(又は、EPOミメティックペプチドはトランスフェリンの1つ以上のシスチンループにおいて置き換えることができる)。この様式において、トランスフェリンはEPO活性を獲得することができる。トランスフェリンに融合され得る他のペプチドは、抗体に類似する結合活性を有するペプチドである。これらのペプチドは、比較的大きい親和性でタンパク質に結合することができ、それらのインビボ半減期が非常に短いことを除いて、抗体と同じ生物学的機能を提供することができる。トランスフェリンに対するこれらのペプチドの融合は、その結合活性を破壊することなく、これらのペプチドに対するはるかにより長い半減期をもたらし得る。これらのペプチドはN末端、C末端又はその両方又はトランスフェリン分子内に融合することができる。これらのペプチドはまた、トランスフェリンの一部を置き換えることができる。また、2コピー以上のペプチド又は数個の異なるペプチドを1つのトランスフェリン分子に結合させることができる。そのような分子の一例が、TNFと結合することができるペプチドである。このペプチドをトランスフェリンに結合することにより、トランスフェリンには、TNFと結合し、且つ抗TNF抗体と同様に作用する能力が与えられる。このようにして、抗体様分子を、はるかにより容易且つ経済的な製造プロトコルを用いて作製することができる。
標的化されたTf融合タンパク質は、二機能性分子として役立つために、改変されたトラスフェリンに融合された2つ以上のタンパク質又はペプチドの組み合わせを有する。この場合、改変されたトランスフェリンは、新しい生物学的活性を有するための1つのタンパク質又はペプチドに、そして標的化に対する別のタンパク質又はペプチドに融合される。そのようなタンパク質の一例が、エンドスタチン等の阻害性タンパク質と、SCA等の標的化ペプチド、又は腫瘍を認識することができる結合ペプチドとを含有するトランスフェリンである。このようにして、阻害性分子は、それが必要とされる腫瘍に対して標的化される。目的とするタンパク質に対するcDNAを、標準的な分子生物学的方法を使用して、cDNAライブラリーから単離することができ、又はいくつかの重複するオリゴヌクレオチドプライマーを使用して合成的に作製することができる。適切なヌクレオチドは、他の融合体について記載された方法と同様に、都合のよい制限部位を形成させるためにcDNAにおいて操作することができ、そしてまた、タンパク質のcDNAをトランスフェリンcDNAに結合させることができる。また、単鎖抗体、又はタンパク質を細胞の内部に導くことができるペプチド(例えば、核局在化シグナル等)等の標的化タンパク質又は標的化ペプチドのcDNAを反対側の末端又はトランスフェリン内に融合することができる。目的とするタンパク質及び標的化ペプチドがベクターにクローン化され、これにより、トランスフェリンcDNAとの融合が可能になる。このようにして、両方のタンパク質/ペプチドが、改変されたトランスフェリンに融合される。融合されたcDNAが、その後、切り出され、酵母における融合タンパク質の発現を可能にするための発現ベクターに挿入される。
上記の手順はすべて、分子生物学における標準的な方法を使用して行うことができる。酵母から分泌された融合タンパク質を培地から回収し、精製し、そして適切な生化学的試験及び生物学的試験を使用してその生物学的活性及びその標的化活性について試験することができる。これらのタンパク質は、適当なベクター及びトランスフェリンプロトコルを使用して哺乳動物組織培養等の他のシステムでも作成され得る。
目的とする酵素に対するcDNAを、標準的な方法がすべてにおいて使用されるが、mRNAからのRT−PCR、cDNAライブラリーからのRT−PCR等の様々な手段によって、又は重複するオリゴヌクレオチドからcDNAを合成的に構築することによって、又はPCRによって、又はこの分野で知られている他の手段によって単離することができる。cDNAは、改変されたトランスフェリンに対するcDNAを含有するベクターにcDNAをクローン化するためにオリゴヌクレオチドリンカーが使用され得るように、制限部位を作製するために5’端及び3’端を合わせることができる。これは、スペーサー配列の使用とともに、又はスペーサー配列を使用することなく、N末端又はC末端においてであり得る。酵素のcDNAがベクターにクローン化され、その後、ベクターから、完全な発現カセットが切り出され、酵母における融合タンパク質の発現を可能にするための発現ベクターに挿入される。その後、酵母から分泌された融合タンパク質を培地から回収し、精製して、その生物学的活性について試験することができる。哺乳動物細胞株における発現の場合、使用される発現カセットにおいて、哺乳動物のプロモーター及びリーダー配列及びターミネーターが用いられることを除いて、類似する手順が採用される。その後、この発現カセットが切り出され、哺乳動物細胞株のトランスフェクションのために好適なプラスミドに挿入される。
ファージディスプレーを使用して、例えば、腫瘍細胞の表面に存在する特異的な細胞マーカーに対して特異的なペプチドが単離される。このペプチドは、その後、その特定の細胞タイプに融合体を標的化するために、改変されたトランスフェリンのN末端に、又はC末端に、又はN末端及びC末端に融合される。トランスフェリン融合タンパク質は、その後、そのトランスフェリン結合性が鉄に類似するが、細胞傷害性である金属イオン、例えば、ガリウムイオン又は放射性イオンで装填される。この機構によって、ガリウムイオン又は放射性イオンが細胞タイプに標的化される。
本発明は、上記の実施例を参照して詳細に記載されているが、様々な改変が、本発明の精神から逸脱することなく行われ得ることが理解される。従って、本発明は、下記の請求項によってのみ限定されるだけである。本明細書中で参照される引用された特許及び特許出願及び刊行物はすべて、その全体が参考として本明細書中に組み込まれる。
ヒト(Hu)トランスフェリン(Tf)のNドメイン及びCドメインのアライメントを示す。類似部分及び同一部分が強調される。
種々の種から得られるトランスフェリン配列のアライメントを示す。明るい陰影:類似部分;暗い陰影:同一部分。
種々の種から得られるトランスフェリン配列のアライメントを示す。明るい陰影:類似部分;暗い陰影:同一部分。
治療用のタンパク質又はポリペプチド又はペプチドに対する、Tfの表面に露出する多数の挿入部位の位置を示す。
改変されたTf融合タンパク質を製造するために使用された多数の好ましい抗TNFα抗体に対するVH領域及びVL領域を示す。
改変されたTf融合タンパク質を製造するために使用された多数の好ましい抗TNFα抗体に対するVH領域及びVL領域を示す。
pREX0010を示す。
pREX0011を示す。
pREX0012を示す。
pREX0013を示す。
pREX0014を示す。
pREX0015を示す。