JP2005507659A - 直接ターゲッティング結合タンパク質 - Google Patents
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Abstract
本発明は、多価の単一特異性結合タンパク質に関する。これらの結合タンパク質は2個以上の結合部位を含んでなり、結合部位は各々、同一の種類のターゲット細胞であって、好ましくはこのようなターゲット細胞上に同一の抗原を有するものに特異的に結合する。さらに、本発明は、単一特異性ジアボディー、トリアボディー、およびテトラボディーの組成物、および微生物宿主におけるこれらの機能的結合タンパク質の発現に有用な組換えベクターに関する。また、腫瘍の治療および/または診断に本発明の組成物を使用する方法も提供される。
Description
【発明の背景】
【0001】
関連出願
本出願は、2001年10月15日出願の米国特許仮出願第60/328,835号明細書、および2001年12月21日出願の第60/341,881号明細書、2002年1月8日出願の第60/345,641号明細書、および2002年8月22日出願の第60/404,919号明細書の利益を主張するものであり、前記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に多価の単一特異性結合タンパク質に関する。特に、本発明は、単一特異性ジアボディー(diabody)、トリアボディー(triabody)、およびテトラボディー(tetrabady)の組成物、およびその使用方法に関し、およびこれらの機能的結合タンパク質の微生物宿主における発現に有用な組換えベクターに関する。
【0003】
背景技術
下記の説明は、読者の理解を容易にする目的で提供される。提供される情報や引用文献はいずれも、本発明にとって従来技術であるとは認められない。
【0004】
人工の結合タンパク質、特にモノクローナル抗体および遺伝子工学処理を行った抗体または抗体断片は広汎に試験され、癌、自己免疫疾患、感染性疾患、炎症性疾患、および循環器疾患など様々なヒトの疾患の検出および治療に重要であることが示されている(Filpula and McGuire, Exp. Opin. Ther. Patents 9: 231-245 (1999))。例えば、放射性同位体で標識した抗体は、患者に投与した後に当該技術分野で入手可能な検出器を用いて腫瘍を可視化するのに用いられている。抗体または抗体由来の薬剤の臨床的有用性は、主としてターゲット抗原に特異的に結合するその能力に依存している。選択性は、特に診断または治療薬(薬剤、毒素、サイトカイン、ホルモン、増殖因子、抱合体(conjugate)、放射性核種、または金属など)が体内の正常組織にとって毒性がある場合には、ヒト疾患の検出および/または治療を行う際に診断または治療薬をターゲット位置に効果的に送達するののに重要である。
【0005】
抗体系の潜在的な限界は、当該技術分野で知られている(例えば、Goldenberg, Am. J. Med. 94: 297-312 (1993)を参照されたい)。検出および治療技術の重要なパラメーターとしては、例えば、ターゲット抗原を含む細胞の在する(複数の)部位に特異的に存在する投与量およびその取り込み比、すなわち特異的に結合した抗体の量対周囲の正常組織に含まれる遊離抗体(例えば、放射能によって検出される)の量の比が挙げられる。抗体を血流中に投与すると、それが代謝されて排泄されるに従って多数の生理学的コンパートメントを通過する。最適には、抗体は、身体の他の部分を通過し、ターゲット細胞抗原をつきとめて結合する。抗原ターゲッティングを制御する因子としては、例えば、抗原の位置および大きさ、抗原密度、抗原の入手可能性、ターゲット組織の細胞組成、およびターゲッティング抗体の薬物動態が挙げられる。抗体による腫瘍ターゲッティングに特異的に影響する他の因子としては、腫瘍および正常組織におけるターゲット抗原の発現レベル、および放射能標識した抗体の血液クリアランスが遅いことによる骨髄毒性が挙げられる。
【0006】
ターゲッティングした腫瘍細胞が融合したターゲッティング抗体の量は、腫瘍の血管新生および腫瘍の抗体浸透に対するバリヤー、並びに腫瘍内圧によって影響を受ける。非ターゲット臓器(例えば、肝臓または骨髄)による非特異的取り込みは、特に放射線免疫療法について、骨髄の照射が線量制限毒性を引き起こすことが多い技術のもう一つの潜在的制限である。
【0007】
直接ターゲッティングと呼ばれる方法は、診断または治療用放射性同位体を有する抗体を用いる腫瘍抗原を、ターゲッティングするようにデザインされている。この直接ターゲッティング法は、腫瘍上または内にあるターゲット抗原を特異的に認識する抗腫瘍単一特異性抗体が必要である。この方法は、一般に標識した単一特異性抗体を患者に投与し、抗体を腫瘍に局在化させて診断または治療の利益を得ることを含み、一方、未結合抗体は身体を清浄化する。しかしながら、放射能標識抗体は、ターゲット抗原と極めて安定な複合体を形成するわけではないので、腫瘍部位に長時間留まることはない。
【0008】
従って、当該技術分野では、直接ターゲッティング系において使用するため多価の単一特異性抗体の組成物およびこのような抗体の組換えDNA技術を用いる製造方法が求められている。特に、抗体の取り込みおよびターゲット抗原への結合が高められ、循環中の遊離抗体が少なくなり、抗体と複合体形成した毒性薬剤から、正常組織および細胞を最適に保護する抗体が求められている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、多価の単一特異性結合タンパク質に関する。これらの結合タンパク質は2つ以上の結合部位を含んでなり、結合部位は各々、同一種類のターゲット細胞、好ましくはこのようなターゲット細胞上の同一抗原と特異的に結合する。さらに本発明は、単一特異性ジアボディー、トリアボディーおよびテトラボディーの組成物、およびこれらの機能的結合タンパク質の微生物宿主における発現に有用な組換えベクターに関する。また、腫瘍の治療および/または診断における本発明による組成物の使用方法が提供される。本発明の特定の目的は、抗体取り込みおよびターゲット抗原への結合を高め、腫瘍の診断および治療に用いる抗体を提供することである。
【0010】
本発明の一態様によれば、多価の単一特異性結合タンパク質であって、同一ターゲット抗原に特異的な2以上の結合部位を有するものが提供される。結合部位は各々、2以上の一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成され、scFvは各々、少なくとも2つのヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の可変ドメインを含んでなる。様々な好ましい他の態様によれば、多価の単一特異性結合タンパク質は単一特異性ジアボディー、単一特異性トリアボディー、または単一特異性テトラボディーであってもよい。好ましい態様によれば、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体は、腫瘍関連抗原、最も好ましくは癌胎児性抗原(CEA)に特異的である。
【0011】
本発明の他の態様によれば、多価の単一特異性結合タンパク質は、診断薬、治療薬、および/またはそれらの薬剤の2種類以上の組合せを含むこともできる。様々な態様によれば、診断薬は、抱合体、放射性核種、金属、コントラスト剤、トラッキング剤、検出剤、またはそれらの組合せであることがある。様々な態様によれば、治療薬は、放射性核種、化学療法薬、サイトカイン、ホルモン、増殖因子、毒素、免疫調節薬、またはそれらの組合せであってもよい。
【0012】
さらに、本発明の他の態様によれば、様々な多価の単一特異性結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含んでなる発現ベクター、並びに結合タンパク質の産生のためにこれらの発現ベクターを用いて形質転換した宿主細胞が提供される。
【0013】
さらに、本発明は、腫瘍の存在を診断する方法、および本発明の結合タンパク質を用いて腫瘍を治療する方法も提供する。本発明の結合タンパク質は、1種類以上の診断薬、1種類以上の治療薬、またはこれらの2種類以上の組合せを被験者の腫瘍に送達する有効な手段としても働き、実施者の治療および/または診断用のキットにおいて好適に用いることができる。
【0014】
好ましい態様の詳細な説明
特に断らない限り、「a」または「an」は「1以上」を意味する。
【0015】
本発明の一態様は、多価の単一特異性結合タンパク質に関する。これらの結合タンパク質は、2以上の結合部位であってそれぞれの結合部位が各々、同一の単一ターゲット抗原に親和性を有するものを含んでなる。結合部位は各々、2以上の一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成されている。scFvは各々、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2つの可変ドメインを含んでなる。さらに、本発明は、単一特異性ジアボディー、トリアボディーおよびテトラボディーであって、診断または治療薬、またはそれらの2つ以上の組合せを含んでなるものに関する。
【0016】
従って、本発明は、同一の単一ターゲット抗原に親和性を有する2以上の結合部位を含んでなる多価の単一特異性結合タンパク質であって、前記結合部位が2以上の一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成され、scFv断片が各々、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2の可変ドメインを含んでなる、結合タンパク質を提供する。ある態様では、前記のモノクローナル抗体は、腫瘍関連抗原に特異的である。
【0017】
構造的には、全抗体は、4本のポリペプチド鎖を有するY型単位の1つ以上のコピーから構成されている。2本の鎖は重鎖と呼ばれるポリペプチドの同一コピーであり、2本の鎖は軽鎖と呼ばれるポリペプチドの同一コピーである。それぞれのポリペプチドは、個々のDNAまたは結合したDNA配列によってコードされる。2本の重鎖は1以上のジスルフィド結合によって互いに連結されており、それぞれの軽鎖は1つのジスルフィド結合によって重鎖の一方に連結されている。それぞれの鎖は、それぞれ重鎖および軽鎖に対するVHおよびVLと呼ばれるN末端可変ドメインを有し、Fv断片と呼ばれるVHとVLのペアの非共有会合は、1つの抗原結合部位を形成する。
【0018】
不連続のFv断片は、低タンパク質濃度および生理学的条件下で解離する傾向があり(Glockshuber et al., Biochemistry 29: 1362-1367 (1990))、従って、使用が限定される。安定性を向上させ、かつ、潜在的有用性を高めるため、組換え一本鎖Fv(scFv)断片であって、VHドメイン(またはVL)のC末端が可変長のペプチドリンカーを介してVLドメイン(またはVH)のN末端に結合しているものを製造して、詳細に検討した。(最近の総説については、Hudson and Kortt, J. Immunol. Meth. 231: 177-189 (1999)を参照されたい)。
【0019】
長さが12アミノ酸残基より大きなリンカー(例えば、15-18残基リンカー)を有するscFvsでは、同一ポリペプチド鎖のVHとVL領域との間で相互作用することができ、一般に単量体、二量体(ジアボディーと呼ばれる)、および少量のさらに高質量のマルチマーの混合物を形成する(Kortt et al., Eur. J. Biochem. 221: 151-157 (1994))。しかしながら、5以下のアミノ酸残基のリンカーを有するscFvでは、同一ポリペプチド鎖のVHとVL領域との分子内会合が妨げられ、異なるポリペプチド鎖上のVHおよびVLドメインとペアにならざるを得ない。3-12アミノ酸残基のリンカーは、主に二量体を形成する(Atwell et al., Prot. Eng. 12: 597-604 (1999))。0-2アミノ酸残基のscFvは三量体(トリアボディーと呼ばれる)、四量体(テトラボディーと呼ばれる)または更に大きなオリゴマー構造を形成するが、オリゴマー化の正確なパターンはリンカー長に加えてVドメインの組成並びに配向に依存すると思われる。例えば、抗ノイラミニダーゼ抗体NC10のscFvは、主として0アミノ酸残基リンカーで三量体(VHからVLへの配向)または四量体(VLからVHへの配向)を形成する(Dolezal et al., Prot. Etig. 13: 565-574 (2000))。1および2つのアミノ酸残基リンカーを用いてNC10から構築したScFvは、VHからVLへの配向では、主としてジアボディー(Atwell et al.,上記引用)を形成し、対照的にVLからVHへの配向は四量体、三量体、二量体、およびさらに高質量のマルチマーの混合物を形成する(Dolezal et al.,上記引用)。抗-CD19抗体HD37から構築したscFvは、VHからVLへの配向では、0アミノ酸残基リンカーを用いて三量体のみを形成するが、1アミノ酸残基リンカーを有する同じ構築物は、四量体のみを形成する(Le Gall et al., FEBS Lett. 453: 164-168 (1999))。
【0020】
2個以上のscFv分子の非共有会合は機能的ジアボディー、トリアボディーおよびテトラボディーを形成することができ、これらは多価であるが単一特異性である。単一特異性ジアボディーは同じscFvのホモ二量体であり、scFvは各々、選択された抗体のVLドメインに短いリンカーによって結合した同じ抗体由来のVHドメインを含んでなる。ジアボディーは、2個のscFvの非共有会合によって形成された二価の二量体であり、2個のFv結合部位を生じる。トリアボディーは3個のscFvの三価の三量体の形成により生じ、3個の結合部位を生じ、テトラボディーは4個のscFvの四価の四量体であり、4個の結合部位を生じる。数個の単一特異性ジアボディーが、VH1-リンカー-VL1を含んでなる組換え遺伝子構築物を含む発現ベクターを用いて作製されている(Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993); Atwell et al., Mol. Immunol. 33: 1301- 1312 (1996); Holliger et al., Nature Biotechnol. 15: 632-636 (1997); Helfrich et al., Int. J. Cancer 76: 232-239 (1998); Kipriyanov et al., Int. J. Cancer 77: 763-772 (1998); Holliger et al., Cancer Res. 59: 2909-2916 (1999))。scFvを構築する方法は、米国特許第4,946,778号および第5,132,405号明細書に開示されている。scFvに基づいて多価の単一特異性結合タンパク質を製造する方法は、米国特許第5,837,242号および第5,844,094号明細書、およびPCT出願W098/44001号明細書に開示されている。
【0021】
ヒト化抗体は、一つの種の抗体、例えば齧歯類抗体由来のCDRを、齧歯類抗体の重および軽可変鎖からヒト重および軽可変ドメインへ導入している組換えタンパク質である。抗体分子の定常ドメインは、ヒト抗体のドメイン由来のものである。
【0022】
本発明の一態様は、モノクローナル抗体hMN-14を利用して、抗原特異的ジアボディー、トリアボディー、およびテトラボディーを産生するものである。hMN-14は、CEAに特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体(MAb)である(Shevitz et al., J. Nucl. Med. S34 : 217 (1993);および米国特許第6,254,868号明細書)。最初のMAbはネズミであるが、現在はヒト化抗体試薬を用いてヒト抗マウス抗体応答を減少させている。この抗体の可変領域を遺伝子工学処理を行って、例1に記載の発現構築物(hMN-14-scFv-L5)とした。図1に示すように、hMN-14ジアボディーを発現する核酸構築物(hMN-14-scFv-L5)は、以下の特徴:
(i) ペプチドリンカーGly-Gly-Gly-Gly-Ser(G4S)によって、VKのアミノ末端に結合したVHのカルボキシル末端(G4Sペプチドリンカーを用いることによって、分泌されたポリペプチドを二量体化してジアボディーとし、CEAに対する2つの結合部位を形成することができる)、
(ii) VH遺伝子に先行して、E. coliの細胞周辺腔でのポリペプチドの合成を促進するpelBシグナルペプチド配列、および
(iii) IMACによって精製できるようにするためのカルボキシル末端に付加した6ヒスチジン(6His)アミノ酸残基
を有するポリペプチドをコードする。hMN-14-scFv-L5の核酸のコード配列(配列番号:1)および相当する推定アミノ酸配列(配列番号:2)を、図11に示す。また、図1は、pelBシグナルペプチドのタンパク質分解除去後の成熟ポリペプチドの棒線画図面、およびCEA結合部位を含むhMN-14ジアボディーの棒線画図面を示す。
【0023】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答して特異的ヒト抗体を産生するように「遺伝子工学処理した」トランスジェニックマウスから得られる抗体である。この手法では、ヒト重および軽鎖座の要素を、内在性重鎖および軽鎖座のターゲッティングされた崩壊を含む胚幹細胞系由来のマウスの株に導入する。トランスジェニックマウスはヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することができ、マウスを用いてヒト抗体分泌ハイブリドーマを産生することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得る方法は、Green et al., Nature Genet. 7: 13 (1994)、Lonberg et al., Nature 368: 856 (1994)、およびTaylor et al., Iyat. Immun. 6: 579 (1994)に記載されている。
【0024】
完全なヒト抗体は、また、遺伝子または染色体トランスフェクション法、並びにファージディスプレー技術によって構築することができ、これらはいずれも当該技術分野で知られている。例えば、免役されていないドナーからの免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーからヒト抗体およびその断片をイン・ビトロにて産生することについては、McCafferty et al., Nature 348: 552-553 (1990)を参照されたい。この手法では、抗体可変ドメイン遺伝子は、糸状バクテリオファージの主要または微量コートタンパク質遺伝子にイン・フレーム(in-frame)にてクローニングされ、ファージ粒子の表面上にて機能的抗体断片として表示される。糸状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づく選択により、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子も選択される。この方法において、ファージは、B細胞の特性の幾つかを模倣する。ファージディスプレーは様々な形態にて行うことができ、それらの総説については、例えば、Johnson and Chiswell, Curr. Opin. Struct. Biol. 3: 5564-571 (1993)を参照されたい。
【0025】
ヒト抗体は、イン・ビトロにて活性化したB細胞によって生成させることもできる。米国特許第5,567,610号および第5,229,275号明細書を参照されたい。前記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
【0026】
従って、本発明は、同一の単一ターゲット抗原に親和性を有する2つの結合部位を含んでなる多価の単一特異性結合タンパク質(単一特異性ジアボディーという)であって、その結合部位が2つの一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成され、scFv断片が各々、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2個の可変ドメインを含んでなる、結合タンパク質を提供する。ある態様によれば、前記モノクローナル抗体は腫瘍関連抗原に特異的である。好ましくは、前記腫瘍関連抗原は癌胎児性抗原(CEA)である。
【0027】
他の態様にれば、この単一特異性ジアボディーのヒト化モノクローナル抗体は、hMN-14である。このような態様では、scFvは各々、好ましくは、hMN-14のVHおよびVK領域を含んでなる。場合によっては、scFvは各々、hMN-14のVHおよびVK領域を結合するアミノ酸リンカーをも含んでなる。好ましい態様によれば、scFvは各々、配列番号:2のアミノ酸配列を含んでなる。
【0028】
発現ベクターは、図1に略記され、かつ、例2に記載される一連のサブクローニングの手順によって構築される。単一特異性hMN-14結合タンパク質の発現カセットを、図1に図解的に示す。発現カセットはプラスミドに含まれていてよく、プラスミドは宿主細胞において染色体外自己複製遺伝子要素を形成する小さな二本鎖DNAである。クローニングベクターは、微生物宿主細胞中において、それ自身を複製することができるDNA分子である。本発明は、単一特異性ジアボディー、トリアボディー、およびテトラボディーを発現するベクターを記載する。宿主細胞は再生のためのベクターを受け容れ、このベクターが宿主細胞が分裂するそれぞれの時点において複製する。
【0029】
従って、本発明は、また、上記のように単一特異性ジアボディーをコードするヌクレオチド配列を含んでなる発現ベクターを提供する。
【0030】
一般に用いられる宿主細胞は、Escherichia coli(E. coli)であるが、例えば、様々な細菌、哺乳類細胞、酵母細胞、および植物細胞のような他の宿主細胞が当該技術分野で周知である。酵母では、当業者に知られている多数のベクターを用いて、Saccharomyces cerevisiae(パン酵母)、Schizosaccharomyces pombe(分裂酵母)、Pichia pastoris、およびHansenula polymorpha(メチロトロピック酵母(methylotropic yeasts))に構築物を導入し、発現することができる。さらに、様々な哺乳類発現ベクターを、商業的に入手することができる。さらに、アデノウイルスおよびレトロウイルスのような多数のウイルス性発現系を用いることもできる。このような発現系を用いることによって、多量の組換え抗体を本発明の方法を用いて産生させ、生育可能な送達系としてそれらを用いることができる。
【0031】
従って、本発明は、また、上記のような単一特異性ジアボディーをコードする発現ベクターを含んでなる宿主細胞を提供する。
【0032】
図1に示されるカセットをE. coliにて発現させるときには、ポリペプチドの幾つかは折り畳まれ、自発的に可溶性の単一特異性ジアボディーを形成する。図1の単一特異性ジアボディーは、互いに相互作用する2本のポリペプチド鎖を有しており、CEA抗原に親和性を有する2個のCEA結合部位を形成する。抗原は特異抗体によって結合されて抗原-抗体複合体を形成し、抗原および抗体分子の非共有的相互作用によって互いに固定される。
【0033】
この態様によれば、5つのアミノ酸残基リンカーによってhMN-14 MAbのVK領域に結合したhMN- 14 MAbのVH領域を含んでなる2つのポリペプチドを用いる。それぞれのポリペプチドは、hMN-14ジアボディーの2分の1を形成している。それぞれのポリペプチドの核酸のコード配列(配列番号:1)および相当する推定アミノ酸配列(配列番号:2)を、図11に示す。
【0034】
トリアボディーの場合には、図6に示されるカセットをE. coliで発現させると、ポリペプチドの幾つかは自発的に可溶性の単一特異性トリアボディーを形成する。図6に示す単一特異性トリアボディーは、互いに相互作用する3本のポリペプチド鎖を有しており、CEA抗原に高い親和性を有する3個のCEA結合部位を形成する。3本のポリペプチドは各々、リンカーなしでhMN-14 MAbのVK領域に結合したhMN-14 MAbのVH領域を含んでなる。それぞれのポリペプチドは、hMN-14トリアボディー3分の1を形成する。それぞれのポリペプチドの核酸のコード配列(配列番号:5)および相当する推定アミノ酸配列(配列番号:6)を、図13に示す。
【0035】
従って、本発明は、同一の単一ターゲット抗原に親和性を有する3つの結合部位を含んでなる多価の単一特異性結合タンパク質(単一特異性トリアボディーという)であって、前記結合部位が3本の一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成され、scFv断片が各々、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2個の可変ドメインを含んでなる、結合タンパク質を提供する。ある態様によれば、モノクローナル抗体は腫瘍関連抗原に特異的である。好ましくは、腫瘍関連抗原は癌胎児性抗原(CEA)である。
【0036】
他の態様によれば、この単一特異性トリアボディーのヒト化モノクローナル抗体はhMN-14である。このような態様によれば、scFvは、好ましくはhMN-14のVHおよびVK領域を含んでなる。ある態様によれば、scFvは各々、配列番号:6のアミノ酸配列を含んでなる。本発明は、また、単一特異性トリアボディーをコードするヌクレオチド配列を含んでなる発現ベクター、およびこの発現ベクターを含んでなる宿主細胞を提供する。
【0037】
テトラボディーの場合には、図9に示されるカセットがE. coliにて発現されるときには、ポリペプチドの幾つかは可溶性の単一特異性テトラボディーを自発的に形成する。図9に示される単一特異性テトラボディーは、互いに相互作用する4本のポリペプチド鎖を有しており、CEA抗原に対して高い親和性を有する4個のCEA結合部位を形成する。4個のポリペプチドは各々、単一アミノ酸残基リンカーによってhMN-14 MAbのVKポリペプチドに結合したhMN-14 MAbのVHポリペプチドを含んでなる。それぞれのポリペプチドは、hMN-14テトラボディーの4分の1を形成する。それぞれのポリペプチドの核酸のコード配列(配列番号:7)および相当する推定アミノ酸配列(配列番号:8)は、図14に示されている。
【0038】
従って、本発明は、同一の単一ターゲット抗原に対して親和性を有する4つの結合部位を含んでなる多価の単一特異性結合タンパク質(単一特異性テトラボディーという)であって、前記結合部位が4本の一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成され、それぞれのscFv断片がヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2つの可変ドメインを含んでなる、結合タンパク質を提供する。ある態様によれば、前記モノクローナル抗体は腫瘍関連抗原に対して特異的である。好ましくは、腫瘍関連抗原は癌胎児性抗原(CEA)である。
【0039】
他の態様によれば、ヒト化モノクローナル抗体はhMN-14である。このような態様では、それぞれのscFvは、好ましくはhMN-14のVHおよびVK領域を含んでなる。場合によっては、それぞれのscFvは、hMN-14のVHおよびVK領域を結合しているアミノ酸リンカーをさらに含んでなる。ある態様によれば、scFvは各々、配列番号:8のアミノ酸配列を含んでなる。本発明は、単一特異性テトラボディーをコードするヌクレオチド配列を含んでなる発現ベクター、およびこの発現ベクターを含んでなる宿主細胞を提供する。
【0040】
好ましい態様によれば、本発明の単一特異性ジアボディー、トリアボディー、およびテトラボディーを用いて、CEA陽性腫瘍の診断または治療薬の直接ターゲッティングを行う。A3、A33、BrE3、CD1、CD1a、CD3、CD5、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD30、CD45、CD74、CD79a、CEA、CSAp、EGFR、EGP-1、EGP-2、Ep-CAM、Ba 733、HER2/neu、KC4、KS-1、KS1-4、Le-Y、MAGE、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、PAM-4、PSA、PSMA、RS5、S100、TAG-72、テネイシン、Tn抗原、トムゼン−フリーデンライヒ(Thomson-Friedenreieh)抗原、腫瘍壊死抗原、VEGF、17-1A、血管新生マーカー、サイトカイン、免疫調節薬、癌遺伝子マーカーおよび癌遺伝子生成物のような他の腫瘍関連抗原をターゲッティングすることもできる。単一特異性分子はターゲッティングした抗原に選択的に結合し、分子上の結合部位の数が増加するに従って、ターゲット細胞の親和性が増加する。親和性が強くなることによって、本発明の組成物がターゲット抗原を含む所望な位置にさらに長時間留まることができる。さらに、遊離の未結合抗体分子は、体内から速やかに除去されることにより、正常組織が潜在的に有害な薬剤に暴露されることが極めて少なくなる。
【0041】
腫瘍関連マーカーは、Herberman(例えば、癌の臨床生化学:癌の免疫診断(Immunodiagnosis of Cancer, in THE CLINICAL BIOCHEMISTRY OF CANCER), Fleisher監修, American Association of Clinical Chemists, 1979を参照)によって腫瘍胎児抗原、胎盤抗原、発癌または腫瘍ウイルス関連抗原、組織関連抗原、臓器関連抗原、異所性ホルモンおよび正常抗原、またはそれらの変異体などの多数の種類に分類されている。時には、腫瘍関連マーカーのサブユニットを用いて、一層高い腫瘍特異性を有する抗体、例えば、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のβ-サブユニットまたは癌胎児性抗原(CEA)のγ領域であって、米国特許第4,361,644号および第4,444,744号明細書に開示されているように非腫瘍物質への交差反応性を著しく減少させた抗体の産生を刺激するものを高めるのが有利である。腫瘍脈管構造(例えば、VEGF)、腫瘍壊死、膜受容体(例えば、葉酸受容体、EGFR)、膜貫通抗原(例えば、PSMA)および癌遺伝子生成物のマーカーも、抗体または抗体断片に対する適当な腫瘍関連ターゲットとして用いることができる。B細胞複合体抗原並びにある種の腫瘍細胞によって発現されるサイトカイン(例えば、T細胞悪性腫瘍におけるIL-2受容体)のような正常細胞成分のマーカーも、本発明の抗体および抗体断片に適当なターゲットである。
【0042】
BrE3抗体は、Couto et al., Cancer Res. 55: 5973s-5977s (1995)に記載されている。EGP-1抗体は、米国仮特許出願第60/360,229号明細書に記載されており、EGP-2抗体の幾つかはStaib et al., Int. J. Cancer 92: 79-87 (2001)、およびSchwartzberg et al., Crit. Rev. Oncol. Hemato. 40: 17-24 (2001)に引用されている。KS-1抗体はKoda et al., A4f2ticancer Res. 21: 621-627 (2001)に引用されており、A33抗体はRitter et al., Cancer Res. 61: 6854-6859 (2001)に引用されており、Le(y)抗体B3はDi Carlo et al., Oncol. Rep. 8: 387-392 (2001)に記載されており、A3抗体はTordsson et al., Int. J. Cancer 87: 559-568 (2000)に記載されている。
【0043】
癌遺伝子のマーカーまたは生成物に対する抗体、またはVEGFのような血管新生因子に対する抗体も有用である。VEGF抗体は、米国特許第6,342,221号、第5,965,132号および第6,004,554号明細書に記載されており、それらの内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。CD40に対する抗体のようなある種の免疫応答調節剤に対する抗体は、Todryk et al., J. Immunol. Meth. 248: 139-147 (2001)およびTurner et al., J. Immunol. 166: 89-94 (2001)に記載されている。併用療法に適当な他の抗体としては、Epstein et al.によって報告されている抗壊死抗体が挙げられ、例えば、米国特許第5,019,368号、第5,882,626号および第6,017,514号明細書を参照されたい。
【0044】
従って、本発明は、上記のような多価の単一特異性結合タンパク質であって、癌、黒色腫、肉腫、神経芽細胞腫、白血病、神経膠腫、リンパ腫、および骨髄腫からなる群から選択される疾病状態に関連した腫瘍関連抗原に特異的なヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2個の可変ドメインを含んでなるものを提供する。腫瘍関連抗原は、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管、胸部、頸部、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸、子宮内膜、食道、胃、頭および頸部、ホジキンリンパ腫、肺、髄質甲状腺、非ホジキンリンパ腫、卵巣、膵臓、前立腺および膀胱からなる群から選択される癌の種類と関連させることができる。腫瘍関連抗原は、A3、A33、BrE3、CD1、CD1a、CD3、CD5、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD30、CD45、CD74、CD79a、CEA、CSAp、EGFR、EGP-1、EGP-2、Ep-CAM、Ba 733、HER2/neu、KC4、KS-1、KS1-4、Le- Y、MAGE、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、PAM-4、PSA、PSMA、RS5、S100、T101、TAG-72、テネイシン、Tn抗原、トムゼン−フリーデンライヒ抗原、腫瘍壊死抗原、VEGF、17-1A、血管新生マーカー、サイトカイン、免疫調節薬、癌遺伝子マーカー、および癌遺伝子生成物からなる群から選択することができる。好ましい態様によれば、前記腫瘍関連抗原は癌胎児性抗原(CEA)である。好ましい態様によれば、ヒト化モノクローナル抗体はhMN-14である。
【0045】
本発明の他の態様は、ターゲッティングした組織に特異的に結合する少なくとも2本のアームを含んでなる二価、三価または四価の抗体または抗体断片の有効量を投与することを含んでなる、病気に罹った組織(例えば、癌)を検出し、診断し、および/または治療するための本発明の抗体または抗体断片の使用を伴う。
【0046】
従って、本発明は、上記のような多価の単一特異性結合タンパク質であって、診断薬、治療薬、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の薬剤をも含んでなるものを提供する。診断薬は、抱合体、放射性核種、金属、コントラスト剤、トラッキング剤、検出剤、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択することができる。
【0047】
診断用の放射性核種を含んでなるある種の態様によれば、放射性核種は、11C、13N、15O、18F、32P、51Mn、52Fe、52mMn、55Co、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、72As、75Br、76Br、82mRb、83Sr、86Y、89Zr、90Y、94mTc、94Tc、99mTc、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、154-158Gd、177Lu、186Re、188Re、γ線エミッター、β線エミッター、陽電子線エミッター、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。ある種の他の態様によれば、放射性核種は51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Cu、67Ga、75Se、97Ru、99mTc、111In、114mIn、123I、125I、131I、169Yb、197Hg、201Tl、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0048】
金属を含んでなるある種の態様によれば、金属は、ガドリニウム、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、およびそれらの2個以上の組合せからなる群から選択される。
【0049】
コントラスト剤を含んでなるある種の態様によれば、コントラスト剤はMRIコントラスト剤、CTコントラスト剤、または超音波コントラスト剤であることができる。コントラスト剤は、アガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、別の類似のコントラスト剤、およびそれらの2個以上の組合せからなる群から選択することができる。
【0050】
トラッキング剤を含んでなるある種の態様によれば、トラッキング剤は、ヨウ素化合物、バリウム化合物、ガリウム化合物、タリウム化合物、バリウム、ジアトリゾエート、エチオド化油(ethiodized oil)、クエン酸ガリウム、イオカルム酸、イオセタム酸、イオダミド、イオジパミド、イオドキサム酸、イオグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパン酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメト酸、イオタスル、イオテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポデート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾエート、プロピリオドン、塩化第一タリウム、およびそれらの2個以上の組合せからなる群から選択される。
【0051】
検出剤を含んでなるある種の態様によれば、検出剤は、酵素、蛍光化合物、化学発光化合物、生物発光化合物、放射性同位体、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0052】
治療薬を含んでなるある種の態様によれば、治療薬は、放射性核種、化学療法薬、サイトカイン、ホルモン、増殖因子、毒素、免疫調節薬、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0053】
治療用放射性核種を含んでなるある種の態様によれば、32P、33P、47Sc、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、75Se、77As、89Sr、90Y、99Mo、105Rh、109Pd、111Ag、111In、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、およびそれらの2個以上の組合せからなる群から選択される。ある種の他の態様によれば、放射性核種は、58Co、67Ga、80mBr、99mTc、103mRh、109Pt、111In、119Sb、125I、161Ho、189mOsおよび192Ir、152Dy、211At、211Bi、212Bi、213Bi、215Po、217At、219Rn、221Fr、223Ra、225Ac、255Fm、およびそれらの2個以上の組合せからなる群から選択される。
【0054】
化学療法薬を含んでなるある種の態様によれば、化学療法薬は、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、エピドフィロトキシン、タキサン、代謝拮抗物質、アルキル化剤、抗生物質、Cox-2阻害剤、有糸分裂阻害剤、血管新生抑制剤、アポトーシス剤、ドキソルビシン、メトトレキセート、タキソール、CPT-11、カンプトテカン、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホン酸塩、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体、白金配位錯体、ホルモン、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0055】
毒素を含んでなるある種の態様によれば、毒素は、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、 DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシンA、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリン毒素、プセウドモナス(Pseudomonas)外毒素、プセウドモナス内毒素、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0056】
免疫調節薬を含んでなるある種の態様によれば、免疫調節薬は、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子、インターフェロン、幹細胞増殖因子、エリトロポエチン、トロンボポエチン、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0057】
多種多様な診断および治療試薬を、本発明の抗体に有利に抱合させることができる。本明細書に列挙した治療薬は、本明細書に記載の本発明による多価の結合タンパク質と共に、別個に投与するのにも有用な薬剤である。治療薬としては、例えば、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、エピドフィロトキシン、タキサン、代謝拮抗物質、アルキル化剤、抗生物質、Cox-2阻害剤、有糸分裂阻害剤、血管新生抑制およびアポトーシス剤、特にドキソルビシン、メトトレキセート、タキソール、CPT-11、カンプトテカン、およびこれらの種類および他の種類の抗癌剤などが挙げられる。免疫抱合体や抗体融合タンパク質の製造のための他の有用な癌化学療法薬としては、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホン酸塩、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似体、COX-2阻害剤、ピリミジン類似体、プリン類似体、白金配位錯体、ホルモンなどが挙げられる。有用な治療薬の組合せは、CEA生成癌の治療に用いられる他の薬剤、抗HER2抗体(例えば、Herceptin)、および抗 EGF抗体を含んでなることができる。本発明の多価の結合タンパク質と併用される抗体は、モノクローナル、ポリクローナルまたはヒト化抗体であることができる。他の適当な化学療法薬は、「レミントンの薬科学(REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES)」, 第19版(Mack Publishing Co. 1995)、および「グッドマンとギルマンの治療薬の薬理学的基礎(GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS)」, 第7版(MacMillan Publishing Co. 1985)、並びにこれらの出版物の改訂版に記載されている。他の適当な治療薬としては、当業者に知られているように、実験薬および臨床試験に関連した薬剤が挙げられる。
【0058】
プセウドモナス外毒素のような毒素を、本発明の抗体の免疫抱合体の治療薬部分に複合体形成させまたはその部分を形成させることもできる。このような抱合体または他の融合タンパク質の製造に適当に用いられる他の毒素としては、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシンA、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリン毒素、プセウドモナス外毒素、およびプセウドモナス内毒素が挙げられる(例えば、Pastan et al., Cell 47: 641-648 (1986)、およびGoldenberg, CA Cancer J. Clin. 44: 43964 (1994)を参照されたい)。本発明で用いるのに適する他の毒素は当業者に知られており、米国特許第6,077,499号明細書に開示されており、前記明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
【0059】
診断および治療薬としては、薬剤、毒素、サイトカイン、サイトカインとの抱合体、ホルモン、増殖因子、抱合体、放射性核種、コントラスト剤、金属、細胞毒性薬、および免疫調節剤を挙げることができる。例えば、ガドリニウム金属は磁気共鳴画像形成に用いられ、蛍光色素を光力学的療法の目的で抱合させることができる。さらに、コントラスト剤は、ガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジムまたは他の類似ラベルのようなMRIコントラスト剤、CTコントラスト剤、および超音波コントラスト剤であることができる。
【0060】
本発明の方法において、ターゲッティング可能な構築物は、疾病組織の検出に有用な1種類以上の放射性同位体を含んでなることができる。特に有用な診断用放射性核種としては、11C、13N、15O、18F、32P、51Mn、52Fe、52mMn、55Co、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、72As、75Br、76Br、82mRb、83Sr、86Y、89Zr、90Y、94mTc、94Tc、99mTc、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、154-158Gd、177Lu、186Re、188Re、または好ましくは崩壊エネルギーが20-4,000keVの範囲であり、さらに好ましくは25-4,000keVの範囲であり、さらに一層好ましくは20-1,000keVの範囲であり、さらに一層好ましくは70-700keVの範囲である他のγ線、β線または陽電子線エミッターが挙げられるが、これらに限定されない。有用な陽電子線を放射する放射性核種の総崩壊エネルギーは、好ましくは<2,000keVであり、さらに好ましくは1,000keV未満であり、特に好ましくは<700keVである。
【0061】
γ線検出を利用する診断薬として有用な放射性核種としては、51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Cu、67Ga、75Se、97Ru、99mTc、111In、114mIn、123I、125I、131I、169Yb、197Hg、および201Tlが挙げられるが、これらに限定されない。有用なγ線を放射する放射性核種の崩壊エネルギーは、好ましくは20-2000keVであり、さらに好ましくは60-600keVであり、最も好ましくは100-300keVである。
【0062】
本発明の方法にあっては、ターゲッティング可能な構築物は、疾病組織の治療に有用な1種類以上の放射性同位体を含んでなることができる。特に有用な治療用放射性核種としては、32P、33P、47Sc、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、75Se、77As、89Sr、90Y、99Mo、105Rh、109Pd、111Ag、111In、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、および225Acが挙げられるが、これらに限定されない。治療用放射性核種は、好ましくは崩壊エネルギーが20-6,000keVの範囲であり、好ましくはオージェエミッターについては60-200keVの範囲であり、β線エミッターついては100-2,500keVの範囲であり、α線エミッターについては4,000-6,000keVである。
【0063】
オージェ放射粒子と共に実質的に崩壊する放射性核種も好ましい。このような放射性核種としては、58Co、67Ga、80mBr、99mTc、103mRh、109Pt、111In、119Sb、125I、161Ho、189mOsおよび192Irが挙げられるが、これらに限定されない。α粒子の生成により実質的に崩壊する放射性核種も好ましい。このような放射性核種としては、152Dy、211At、211Bi、212Bi、213Bi、215Po、217At、219Rn、221Fr、223Ra、225Ac、および255Fmが挙げられるが、これらに限定されない。有用なα粒子放射性核種の崩壊エネルギーは、好ましくは2,000-9,000keVであり、さらに好ましくは3,000-8,000keVであり、特に好ましくは4,000-7,000keVである。
【0064】
本発明の抗体およびその断片は、付加的なトラッキング剤を含むことがある。放射線不透過性材料およびコントラスト材料が、X線およびコンピューター処理した断層撮影法の画質向上の目的で用いられ、ヨウ素化合物、バリウム化合物、ガリウム化合物、タリウム化合物などが挙げられる。特定の化合物としては、バリウム、ジアトリゾエート、エチオド化油(ethiodized oil)、クエン酸ガリウム、イオカルム酸、イオセタム酸、イオダミド、イオジパミド、イオドキサム酸、イオグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパン酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメト酸、イオタスル、イオテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポデート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾエート、プロピリオドン、および塩化第一タリウムが挙げられる。
【0065】
本発明の抗体およびその断片は、蛍光化合物で標識することもできる。蛍光標識したMAbの存在は、ターゲット抗原結合タンパク質を適当な波長の光に露出させ、生成する蛍光を検出することによって決定される。蛍光標識化合物としては、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、およびフルオレサミンが挙げられる。蛍光標識した抗原結合タンパク質は、特にフローサイトメトリー分析に有用である。
【0066】
あるいは、抗体およびその断片を、結合タンパク質を化学発光化合物にカップリングすることによって検出可能に標識することができる。化学発光タグを付けたMAbの存在は、化学反応の経過中に生じる発光の存在を検出することによって決定される。化学発光標識化合物の例としては、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジンエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、およびシュウ酸エステルが挙げられる。
【0067】
同様に、生物発光化合物を用いて、抗体およびその断片を標識することができる。生物発光は、触媒タンパク質が化学発光反応の効率を増加させる生物学的系で見られる化学発光の一種である。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することによって決定される。標識に有用な生物発光化合物としては、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびエクオリンが挙げられる。
【0068】
あるいは、抗体およびその断片は、抗体を酵素に連結することによって検出可能に標識することもできる。抗体-酵素抱合体を適当な基質の存在下でインキュベーションすると、酵素残基が基質と反応して、例えば、分光測光法、蛍光測定法、または視覚手段によって検出することができる化学残基を生成する。抗体を検出可能に標識する目的で用いることができる酵素の例としては、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、スタフィロコッカスヌクレアーゼ、δ-V-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレオシダーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。
【0069】
サイトカインのような免疫調節薬は、抗体免疫抱合体の治療薬部分に抱合させまたはこれを形成させることもでき、または本発明のキメラ、ヒト化、またはヒト抗体またはその断片に非抱合的に投与することもできる。本明細書で用いられるように、「免疫調節薬」としては、サイトカイン、幹細胞増殖因子、腫瘍壊死因子(TNF)のようなリンホトキシン、インターロイキン(例えば、インターロイキン-1(IL-1)、IL-2、IL-3、IL-6、IL-10、IL-12、およびIL-18)のような造血因子、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球-コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF))、インターフェロン(例えば、インターフェロン-α、-βおよび-γ)、「S1因子」と呼ばれる幹細胞増殖因子、エリトロポエチンおよびトロンボポエチンが挙げられる。適当な免疫調節薬残基の例としては、IL-2、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、インターフェロン-γ、TNF-αなどが挙げられる。あるいは、被験者は、裸の抗体、および別個に投与されるサイトカインであって、裸の抗体の投与前、投与と同時にまたは後に投与することができるものを受け取ることができる。抗体は、免疫調節薬に抱合させることもできる。免疫調節薬は、異なる抗原に結合する1個以上の抗体からなるハイブリッド抗体に抱合させることもできる。
【0070】
治療または診断薬は、還元抗体成分のヒンジ領域にジスルフィド結合形成によって結合することができる。あるいは、このようなペプチドは、N-スクシニル-3-(2-ピリジルチオ)プロピオネート(proprionate)(SPDP)のようなヘテロ二官能価架橋剤を用いて抗体成分に結合させることができる (Yu et al., Int. J. Cancer 56: 244-248 (1994))。このような抱合の一般的手法は、当該技術分野で周知である。例えば、Wong, 「タンパク質抱合および架橋の化学(CHEMISTRY OF PROTEIN CONJUGATION AND CROSS-LINKING)」(CRC Press 1991); Upeslacis et al.,「化学的方法による抗体の修飾(Modification of Antibodies by Chemical Methods)」/モノクローナル抗体:原理と応用(MONOCLONAL ANTIBODIES: PRINCIPLES AND APPLICATIONS)」Birch et al.(監修), 187-230頁(Wiley-Liss, Inc. 1995); Price, 「合成ペプチド由来の抗体の産生と特性決定(Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies)」/「モノクローナル抗体:産生、遺伝子工学処理および臨床的応用(MONOCLONAL ANTIBODIES: PRODUCTION, ENGINEERING AND CLINICAL APPLICATION)」Ritter et al. (監修), 60-84頁 (Cambridge University Press 1995)を参照されたい。あるいは、治療または診断薬を、抗体のFc領域の炭水化物残基を介して抱合することができる。炭水化物基を用いて、チオール基に結合している同じペプチドの荷重を増加させることができ、または炭水化物残基を用いて異なるペプチドを結合することができる。
【0071】
これらの薬剤は、哺乳類の疾患を診断および/または治療する目的でデザインされる。哺乳類としては、ヒト、家畜、並びにネコおよびイヌのようなペットを挙げることができる。哺乳類の疾患としては、癌腫、黒色腫、肉腫、神経芽細胞腫、白血病、神経膠腫、および骨髄腫のような癌を挙げることができる。癌の典型的な種類としては、胆管、胸部、頸部、結腸直腸、子宮内膜、食道、胃、頭および頸部、肺、髄質甲状腺、卵巣、膵臓、前立腺、および膀胱が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
従って、本発明は、腫瘍の存在を診断する方法であって、腫瘍を有することが疑われる被験者に診断薬を含んでなる前記の多価の単一特異性結合タンパク質の検出可能な量を投与し、被験者を観察して腫瘍への結合タンパク質の結合を検出することを含んでなる、前記方法を提供する。
【0073】
本発明は、また、腫瘍を治療する方法であって、治療を必要としている被験者に、前記の診断薬を含んでなる前記の多価の単一特異性結合タンパク質の有効量を投与することを含んでなる、方法を提供する。
【0074】
また、本発明は、腫瘍の存在を診断する方法であって、腫瘍を有することが疑われる被験者に、前記の多価の単一特異性結合タンパク質の検出可能な量を前記結合タンパク質に結合することができる検出可能な残基と組み合わせて投与し、被験者を観察して腫瘍への結合タンパク質の結合を検出することを含んでなる、方法を提供する。
【0075】
さらに本発明は、腫瘍を治療する方法であって、治療を必要としている被験者に、前記の多価の単一特異性結合タンパク質の有効量を治療薬と組み合わせて投与することを含んでなる、方法を提供する。好ましい態様によれば、治療薬は、化学療法薬、毒素、外部放射線、近接照射療法放射線薬、放射能標識タンパク質、抗癌薬、および抗癌抗体からなる群から選択される。
【0076】
さらに、本発明は、1種類以上の診断薬、1種類以上の治療薬、またはそれらの2種類以上の組合せを腫瘍に送達する方法であって、これを必要とする被験者に、診断薬、治療薬、およびこれらの2種類以上の組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の薬剤をさらに含んでなる多価の単一特異性結合タンパク質を投与することを含んでなる、方法を提供する。
【0077】
本発明による診断または治療の目的での診断または治療薬のターゲットへの送達は、結合タンパク質に診断または治療薬を供給し、それを必要とする被験者に結合タンパク質を投与することを含む。診断は、さらに、結合したタンパク質を既知の手法により検出する工程を必要とする。
【0078】
本発明の診断または治療薬を有する結合タンパク質の哺乳類への投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、胸膜腔内、髄腔内、局所カテーテルによる灌流、または直接病変内注射であってもよい。結合タンパク質を注射によって投与するときには、連続点滴、または一回または多数回のボーラスによることができる。
【0079】
診断または治療薬を有する結合タンパク質は、薬学上許容可能な注射用ビヒクル、好ましくは生理学的pHおよび濃度のリン酸緩衝食塩水(PBS)中のヒトまたは哺乳類の治療および診断用のキットとして提供することができる。製品は、好ましくは、特にヒトで使用しようとするときには、滅菌される。このようなキットの任意成分としては、安定剤、緩衝剤、標識試薬、放射性同位体、常磁性化合物、クリアランスを高めるための二次抗体、通常のシリンジ、カラム、バイアルなどが挙げられる。
【0080】
従って、本発明は、また、治療および/または診断用のキットであって、前記の少なくとも1種類の多価の単一特異性結合タンパク質を含んでなり、さらに診断薬、治療薬、およびそれらの2種類以上の組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の薬剤、および付加的試薬、装置、および使用説明書を含んでなるキットを提供する。
【実施例】
【0081】
下記の例は本発明の態様を例示するものであり、特許請求の範囲を制限する目的で用いるべきではない。
【0082】
例 1 E. coli における hMN-14 ジアボディーの発現のためのプラスミドの構築
標準的組換えDNA法を用いて、下記のようにしてhMN-14-scFv-L5を得た。hMN-14VHおよびVK配列は、Pfuポリメラーゼを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いてhMN-14 Fab'(Leung et al., Cancer Res. 55: 5968s-5972s (1995))を発現するために構築したベクターから増幅した。hMN-14VH配列は、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅した。
hMN-14V H - 左
5'-CGTACCATGGAGGTCCAACTGGTGGAGA-3'(配列番号:9)
hMN-14V H - 右 (G 4 S)
5'-CATAGGATCCACCGCCTCCGGAGACGGTGACCGGGGT-3'(配列番号:10)
【0083】
左PCRプライマーは、5'NcoI制限部位を含む。右PCRプライマーは、5アミノ酸残基リンカー(G4S)の配列とBamHI制限部位を含む。PCR生成物をNcoIおよびBamHIにて消化して、イン・フレーム(in frame)でpelBシグナルペプチド配列と連結して、NcoI/BamHIにて消化したpET-26bベクターとして、hMN-14VHL5-pET26を生成した。hMN-14VK配列は、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅した。
hMN-14V K - 左
5'-CTGAGGATCCGACATCCAGCTGACCCAGAG-3'(配列番号:11)
hMN-14V K - 右
5'-GCTACTCGAGACGTTTGATTTCCACCTTGG-3'(配列番号:12)
【0084】
左および右PCRプライマーは、それぞれBamHIおよびXhoI制限部位を含んでなる。PCR生成物をXhoIおよびBamHIにて消化して、イン・フレームでhMN-14VH、G4Sリンカーおよび6His配列と連結して、XhoI/BamHIにて消化したhMN-14VHL5-pET26構築物とし、発現構築物hMN-14-scFv-L5を生成した。この構築物のDNA配列は、自動化DNAシークエンシングによって確かめ、図11に示す。核酸構築物hMN-14-scFv-L5を図1に示す。
【0085】
例 2 E. coli における hMN-14 ジアボディーの発現
hMN-14-scFv-L5構築物を用いて、BL21(P-LysS)E. coliを形質転換した。培養条件、誘導、および精製は、下記の通りに行った。コンピテントE. coli BL21 (P-Lys-S)細胞を、標準的方法によってhMN-14-scFv-L5を用いて形質転換した。培養物を100μg/mL硫酸カナマイシンと34μg/mLクロラムフェニコールを補足した2xYT培地中で振盪し、37℃でOD600が1.6-1.8になるまで増殖させた。抗生物質および0.8Mスクロースを補足した等容の室温2xYT培地を培養物に加えた後、これを20℃に移した。20℃で30分後、IPTG 40μMを加えて発現を誘導し、20℃で15-18時間継続した。
【0086】
hMN-14ジアボディーの発現は、(1)細胞培養コンディショニング培地、(2)遠心分離後に細胞ペレットから非変性条件下で抽出した可溶性タンパク質、および(3)数サイクルの抽出および遠心分離の後ペレットに残った不溶性材料を用いて検討した。
【0087】
可溶性タンパク質は、下記のようにして細菌細胞ペレットから抽出した。ペレットを凍結および融解した後、リーシス緩衝液(2% Triton X-100; 300mM NaCl; 10mMイミダゾール; 5mM MgSO4; 25単位/mLベンゾナーゼ; 50mM NaH2PO4(pH 8.0))に培養物容積の1% の容積を用いて再懸濁した。懸濁液を音波処理によってホモジナイズし、遠心分離によって清浄化し、Ni-NTAIMACカラムに装填した。20mMイミダゾールを含む緩衝液で洗浄した後、カラムを100mMイミダゾール緩衝液(100mMイミダゾール; 50mM NaCl; 25mM Tris(pH 7.5))で溶出し、溶出液を、Affi-ゲル上に固定した抗id抗体に結合することによりアフィニティークロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0088】
不溶性のペレット状材料を、変性Ni-NTA結合緩衝液(8M尿素; 10mMイミダゾール; 0.1M NaH2PO4; 10mM Tris(pH 8.0))中で可溶化し、Ni-NTAアガロース(Qiagen, Inc.)1mLと混合した。混合物を室温にて1時間振盪した後、樹脂を同じ緩衝液50mLで1回洗浄し、カラムに装填した。カラムを同じ緩衝液20mLで洗浄した後、洗浄緩衝液(8M 尿素; 20mMイミダゾール; 0.1 M NaH2PO4; 10mM Tris (pH 8.0))20mLで洗浄した。結合したタンパク質を、変性溶出緩衝液(8M尿素; 250mMイミダゾール; 0.1M NaH2PO4; 10mM Tris (pH 8.0))5mLを用いて溶出した。
【0089】
Ni-NTA樹脂に結合して、これから溶出された可溶性タンパク質を、WI2抗イディオタイプアフィニティーカラムに装填した。カラムをPBSで洗浄し、結合したポリペプチドを0.1Mグリシン; 0.1M NaCl(pH 2.5)にて溶出し、直ちに中和した。
【0090】
発現したhMN-14scFvのほとんどは不溶性タンパク質として存在したが、可溶性画分から培養物1リットル当たり可溶性hMN-14scFv約1.5mgを精製した。サイズ排除高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって示されるように、主ピークがIMAC精製物並びにアフィニティー精製材料について9.8分に観察された(図2Aおよび2B参照)。分子量が約50kDaのhMN-14 Fab'の保持時間は、図2Bのx軸上に示されるように、9.75分であった。hMN-14scFvの保持時間が極めて類似していることは、モノマー性hMN-14scFvの計算分子量が26kDaであるので、hMN-14scFvは、溶液では二量体またはジアボディーとして存在することを示している。SDS-PAGEゲル分析(図3A参照)は26kDaの予測した大きさの単一バンドを示し、等電点電気泳動(IEP)ゲル分析(図3B参照)では、pI計算値の7.9附近にpIが8.2のバンドを生じる。競合的ELISAは、hMN-14ジアボディーが機能性であり優れた結合特性を示すことを示した。
【0091】
CEA陽性GW-39腫瘍を有するヌードマウスに131Iにて標識したhMN-14ジアボディーを注射し、生体内分布を注射後の様々な時間に分析した。かなりの量のジアボディーは96時間を上回る時間、腫瘍と会合したままであったが、遊離ジアボディーの多くは図4に示されるように血液から速やかに除去された。図5は、投与から48時間後の腫瘍、および肝臓、脾臓、腎臓、肺、血液、胃、小腸、および大腸などの正常組織と会合している投与線量の百分率を示している。それぞれの正常組織における投与線量は、腫瘍における量と比較すると非常に低い。表1には、24、48および72時間後における、表記の正常組織に対する腫瘍において増加した活性の相対量をまとめてある(例えば、24時間後には、腫瘍は肝臓の22.47倍の放射能を有する)。
【0092】
【表1】
【0093】
例 3 hMN-14 トリアボディーの発現のためのプラスミドの構築
hMN-14scFvプラスミド構築物hMN-14-0をデザインし、製造し、試験した。E. coli発現プラスミドは、(1)hMN-14VHのカルボキシル末端は、追加のアミノ酸なしにhMN-14VKのアミノ末端に直接連結し(ゼロリンカーを用いることによって、分泌したポリペプチドがトリアボディーと呼ばれる三量体構造を形成し、CEAに対して3個の結合部位を形成することができる)、(2)pelBシグナルペプチド配列はVH遺伝子に先行して、E. coliの細胞周辺腔におけるポリペプチドの合成を促進し、および(3)6個のヒスチジン(6His)残基をカルボキシル末端に加えて、IMACにより精製することができる、という特徴を有する単一ポリペプチドの合成を指示する。ポリペプチドおよびトリアボディーの図解表現を、図6に示す。
【0094】
標準的組換えDNA法を用いて、hMN-14-0構築物を得た。hMN-14 VHおよびVK配列を、Pfuポリメラーゼを用いるPCRを用いて、hMN-14scFv-L5構築物から増幅した。hMN-14VH配列は、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅した。
hMN-14V H - 左
5'-CGTACCATGGAGGTCCAACTGGTGGAGA-3' (配列番号:13)
hMN-14V H -0 右
5'-GATATCGGAGACGGTGACCGGG-3' (配列番号:14)
【0095】
以前にhMN-14scFv-L5の構築に用いた左PCRプライマーは、5'NcoI制限部位を含んでいる。右PCRプライマーは、EcoRV制限部位を含んでいる。PCR生成物をPCRクローニングベクターpGemT (Promega)にクローニングした。
【0096】
hMN-14VK配列は、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅した。
hMN-14V K -0 左
5'-GATATCCAGCTGACCCAGAGCC-3' (配列番号:15)
hMN-14V k - 右
5'-GCTACTCGAGACGTTTGATTTCCACCTTGG-3' (配列番号:16)
【0097】
左PCRプライマーは、EcoRV制限部位を含んでいる。以前にhMN-14scFv-L5の構築に用いた右プライマーは、XhoI制限部位を含んでいる。PCR生成物をpGemTベクター中にクローニングした。VK-0配列をVx-0-pGemT構築物からEcoRVおよびSalIにて摘出し、VH-0-pGemT構築物の同じ部位に連結して、pGemTにhMN-14-0を生成した。VH-VK配列をNcoIおよびXhoIにて摘出し、pET26bに移して、hMN-14トリアボディー発現構築物hMN-14-0を生成した。この構築物のDNA配列を自動化DNAシークエンシングによって確かめ、図13に示している。核酸構築物hMN-14scFv-0を、図6に示す。
【0098】
例 4 E. coli における hMN-14 トリアボディーの発現
hMN-14-0構築物を用いて、BL21(P-LysS)E. coliを形質転換した。培養条件、誘導、および精製は、hMN-14-0トリアボディーをアフィニティークロマトグラフィーの代わりにQ-Sepharoseアニオン交換クロマトグラフィーによって精製したことを除き、例2のhMN-14ジアボディーについて記載したのと同様に行った。予想したように、hMN-14-0は主としてトリアボディー(〜80kDa)を形成した。
【0099】
培養物1リットル当たり可溶性hMN-14トリアボディー約2.4mgを、誘導培養物の可溶性細胞画分から精製した。サイズ排除HPLCによって示されるように(図7参照)、主ピークはIMACおよびモノ-Qアニオン交換クロマトグラフィーによって精製した材料について9.01分に観察された。比較により、hMN-14ジアボディー(〜52kDa)およびhMN-14F(ab')2(〜100kDa)の保持時間は、それぞれ9.6分および8.44分であった。hMN-14-0の保持時間が52kDaと100kDaタンパク質の保持時間の調度中間であることは、モノマー性hMN-14-0ポリペプチドの計算分子量が〜26kDaであるので、溶液では三量体またはトリアボディーとして存在することを示している。実際に、SDS-PAGE分析は、予想した26kDaの単一バンドを示す。
【0100】
CEA陽性GW-39腫瘍を有するヌードマウスに131Iにて標識したhMN-14トリアボディーを注射し、生体内分布を注射後の様々な時間に分析した。図8は、hMN-14トリアボディー腫瘍取り込みおよび保持は、hMN-14ジアボディーのそれよりも著しく高いことを示している。1時間後には、トリアボディーは腫瘍にジアボディーの約60%のレベルで蓄積する。しかしながら、ジアボディーが1時間後には安定的に減少するのに対して、トリアボディーの腫瘍取り込みは24時間と48時間の間に最大レベルにまで増加する。トリアボディー腫瘍取り込み最大値(24-48時間)は、ジアボディー(1時間)の2倍を上回る。トリアボディーは3個総てのCEA結合部位を利用することによって三価の腫瘍結合を示すことができるので、腫瘍保持もトリアボディーについてはジアボディーと比較してかなり長い。腫瘍取り込みについて有意な影響を有すると思われる追加因子は、分子の大きさである。図8に示されるように、80kDaのトリアボディーについての血中クリアランスは54kDaのジアボディーのそれよりも遙かに遅い。これにより、トリアボディーがジアボディーと比較して腫瘍と遙かに長時間相互作用することができ、従って、一層高レベルの腫瘍取り込みを達成することができる。トリアボディーの血中クリアランスの遅れは、その優れた腫瘍滞留に確実に寄与する。しかしながら、多価またはイン・ビボでの安定性の向上によるアビディティーの増加などの他の因子も寄与することがある。腫瘍対非腫瘍比は、総ての組織について経時的に増加した。これらの比は、より遅い時点で実質的であった。
【0101】
【表2】
【0102】
例 5 hMN-14 テトラボディーの発現のためのプラスミドの構築
hMN-14scFvプラスミド構築物hMN-14-1Gをデザインし、製造して、試験した。E. coli発現プラスミドは、(1)hMN-14VHのカルボキシル末端は、単一グリシン残基によってhMN-14VKのアミノ末端に直接連結し(1Gリンカーを用いることによって、分泌したポリペプチドのあるものがテトラボディーと呼ばれる四量体構造を形成し、CEAに対して4個の結合部位を形成することができる)、(2)pelBシグナルペプチド配列はVH遺伝子に先行して、E. coliの細胞周辺腔におけるポリペプチドの合成を促進し、かつ、(3)6個のヒスチジン(6His)残基をカルボキシル末端に加えて、IMACにより精製することができる、という特徴を有する単一ポリペプチドの合成を指示する。ポリペプチドとテトラボディーの図解表現を、図9に示す。
【0103】
標準的組換えDNA法を用いて、hMN-14-1G構築物を得た。hMN-14 VHおよびVK配列を、Pfuポリメラーゼを用いるPCRを用いて、hMN-14scFv-L5構築物から増幅した。hMN-14VH配列は、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅した。
hMN-14V H - 左
5'-CGTACCATGGAGGTCCAACTGGTGGAGA-3' (配列番号:17)
hMN-14V H -1G 右
5'-GCTGGATATCACCGGAGACGGTGACCGGGGTCC-3' (配列番号:18)
【0104】
以前にhMN-14scFv-L5の構築に用いた左PCRプライマーは、5'NcoI制限部位を含んでいる。右PCRプライマーは、単一グリシンについてのコード配列とEcoRV制限部位を含んでいる。PCR生成物を、PCRクローニングベクターpGemT(Promega)にクローニングした。hMN-14VK-0配列(例3参照)をhMN-14VK-0-pGemT構築物からEcoRVおよびSalIを用いて摘出し、hMN-14VH-1G-pGemT構築物の同じ部位に連結し、pGemTにおいてhMN-14-1Gを生成した。VH-1G-VK配列をNcoIおよびXhoIを用いて摘出し、pET26bに移して、hMN-14テトラボディー発現構築物hMN-14-1Gを生成した。この構築物のDNA配列を自動化DNAシークエンシングによって確かめ、図14に示している。核酸構築物hMN-14scFv-1Gを、図9に示す。
【0105】
例 6 E. coli における hMN-14 テトラボディーの発現
hMN-14-1G構築物を用いて、BL21(P-LysS)E. coliを形質転換した。培養条件、誘導、および精製は、hMN-14テトラボディーをアフィニティークロマトグラフィーの代わりにQ-Sepharoseアニオン交換クロマトグラフィーによって精製したことを除き、例2のhMN-14ジアボディーについて記載したのと同様に行った。可溶性発現レベルは高く、2mgを上回る可溶性生成物が培養物1リットル当たりで単離された。サイズ排除HPLC分析(図10参照)は、hMN-14-1G生成物はジアボディー(53kDa)、トリアボディー(80kDa)およびテトラボディー(105-120kDa)の混合物として存在することを示した。テトラボディーは、ゲル濾過クロマトグラフィーによって比較的純粋な形態で単離することができた。しかしながら、2-8℃で数日後には、図10に示したのと同様にジアボディー、トリアボディーおよびテトラボディーの混合物に次第に戻った。
【0106】
例 7 hMN-14 ジアボディー、トリアボディーおよびテトラボディーの腫瘍取り込み
腫瘍ターゲッティングを、CEA陽性ヒト結腸腫瘍異種移植片を有するマウスで放射性ヨード化試料を用いて評価した。24時間後に、ジアボディー(hMN-14-L5から得た)は腫瘍では1g当たり2.7%の投与線量(ID/g)を示し、血液では0.3%を示し、他の総ての臓器では0.1-0.4%を示した。トリアボディー(hMN-14-0から得た)については、腫瘍取り込みはそれぞれ24、48、72および96時間後には、12.0、12.2、11.1および7.1% ID/gであり、腫瘍対血液比は24時間後の3.4から48時間後の12.4、および96時間後の55まで増加した。テトラボディー(hMN-14-1Gから得た)は3種類の中で最高の腫瘍取り込みを示し、24時間後には25.4% ID/gおよび腫瘍対血液比3.9に達し、72時間後には17.1%まで減少し、腫瘍対血液比は29.3となった。これらの生体内分布の結果は、3種類の新規なscFvを基剤とする薬剤のそれぞれの分子の大きさおよび多価と一致しており、それらの総て、特にhMN-14トリアボディーは画像形成および治療用途に特に有用である。
【0107】
本発明を当業者がこれを作製し使用するのに十分詳細に記載し例示してきたが、様々な代替、修正および改良は本発明の精神および範囲から離反することなく明らかであるべきである。本発明は、これらの目的を実行し、かつ、上記目的および利点並びにそこに内在するものを得るのに特に適している。本明細書に提供された例は、好ましい態様の典型例であり、例示的なものであり、本発明の範囲を制限しようとするものではない。その修正および他の用途は、当業者であれば思い浮かぶであろう。これらの修正は本発明の精神に包含され、特許請求の範囲によって定義される。
上記で引用した総ての出版物の開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】hMN-14-scFv-L5発現プラスミドからE. coliにて合成されたhMN-14scFvポリペプチド、およびhMN-14ジアボディーの形成の図解表現である。未加工ポリペプチドをコードする核酸構築物は、pelBシグナルペプチドをコードする配列、5アミノ酸リンカーによってカップリングされたhMN-14VHおよびhMN-14VKコード配列、およびカルボキシル末端ヒスチジンアフィニティータグを含む。また、この図は、pelBシグナルペプチドのタンパク質分解除去後の成熟ポリペプチドの棒線画図面、およびCEA結合部位を含むhMN-14ジアボディーの棒線画図面を示している。
【図2】hMN-14ジアボディー精製のサイズ排除型高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)の結果をまとめて示したものである。図2Aは、IMAC精製したhMN-14ジアボディーのHPLC溶出曲線である。図2Aおよび2BにおけるhMN-14ジアボディーのHPLC溶出ピークを、矢印で示す。図2Bは、WI2抗イディオタイプアフィニティークロマトグラフィーによって精製したhMN-14ジアボディーのHPLC溶出曲線である。図Bのx軸上に示した*9.75は、コントロールhMN-14-Fab'-S-NEM (MW 〜50kDa)のHPLC保持時間(9.75分)である。
【図3】hMN-14scFvポリペプチドのタンパク質分析の結果をまとめて示したものである。図3Aは、IMAC精製およびWI2抗イディオタイプアフィニティー精製後のhMN-14ジアボディー試料の純度を示すクーマシーブルーにて染色した還元型SDS-PAGEゲルである。分子量標準物とhMN-14scFvポリペプチドの位置を、矢印で示す。図3Bは等電点電気泳動(IEF)ゲルである。pI標準物およびhMN-14scFvポリペプチドの位置を、矢印で示す。図3Bのレーン1は、標準物として用いたhMN-14Fab'-S-NEMを含む。同図のレーン2は、WI2精製hMN-14ジアボディーを含む。レーン3は、WI2アフィニティーカラムからの未結合フロースルー画分を含み、hMN-14scFvジアボディーはこの方法によって効果的に精製されることを示している。
【図4】腫瘍および血液試料中において観察したジアボディーの投与後の最初の96時間の131I-hMN-14ジアボディー濃度を示す。組織1g当たりの投与線量の百分率(%ID/g)として測定した131I-hMN-14ジアボディーの量を、時間に対してプロットしている。黒塗り四角形は腫瘍試料のデーター点を示し、白抜き四角形は血液試料のデーター点を示す。
【図5】投与から48時間後の131I-hMN-14ジアボディーの生体内分布を示す。試料は、肝臓、脾臓、腎臓、肺、血液、胃、小腸および大腸などの正常および腫瘍組織から採取した。131I-hMN-14ジアボディーの量は、組織1g当たりの投与線量の百分率(%ID/g)として示す。
【図6】hMN-14-0発現プラスミドからE. coliにて合成したhMN-14-0ポリペプチドの図解表現である。未加工ポリペプチドをコードする核酸構築物は、pelBシグナルペプチドをコードする配列、hMN-14VHおよびhMN-14VKコード配列、およびカルボキシル末端ヒスチジンアフィニティータグを含む。また、この図は、pelBシグナルペプチドのタンパク質分解除去後の成熟ポリペプチドの棒線画図面、およびCEA結合部位を含むhMN-14トリアボディーの棒線画図面を示している。
【図7】hMN-14トリアボディー精製のサイズ排除HPLC分析の結果を示す。hMN-14トリアボディーのHPLC溶出ピークは、9.01分である。可溶性タンパク質は、Ni-NTA IMACの後Q-Sepharoseアニオン交換クロマトグラフィーによって精製した。Q-Sepharoseカラムのフロースルー画分を、HPLC分析に用いた。hMN-14ジアボディーおよびhMN-14 F(ab')2の保持時間を矢印で示す。
【図8】投与後の最初の96時間のhMN-14ジアボディー(図8A)、hMN-14トリアボディー(図8B)およびhMN-14テトラボディー(図8C)の腫瘍取り込みおよび血中クリアランスの比較。組織1g当たりの投与線量の百分率(%ID/g)として測定した125Iで標識したタンパク質の量を、時間に対してプロットしている。
【図9】hMN-14-1G発現プラスミドからE. coliを用いて合成したhMN-14-1Gポリペプチド、およびhMN-14テトラボディーの形成の図解表現である。未加工ポリペプチドをコードする核酸構築物は、pelBシグナルペプチドをコードする配列、1個のグリシン残基によってカップリングしたhMN-14VHおよびVKコード配列、およびカルボキシル末端ヒスチジンアフィニティータグを含む。また、この図は、pelBシグナルペプチドのタンパク質分解除去後の成熟ポリペプチドの棒線画図面、およびCEA結合部位を含むhMN-14テトラボディーの棒線画図面を示している。
【図10】hMN-14-1Gポリペプチド精製のサイズ排除HPLC分析の結果を示す。可溶性タンパク質は、Ni-NTA IMACの後Q-Sepharoseアニオン交換クロマトグラフィーによって精製した。Q-Sepharoseカラムのフロースルー画分を、HPLC分析に用いた。ジアボディー、トリアボディーおよびテトラボディーのHPLC溶出ピークは、矢印で示す。
【図11】hMN-14-scFv-L5の核酸配列(配列番号:1)および推定アミノ酸配列(配列番号:2)である。核酸塩基1-66はpelBシグナルペプチドをコードし、70-423はhMN-14 VHをコードし、424-438はリンカーペプチド(GGGGS)をコードし、439-759はhMN-14 VKをコードし、766-783はヒスチジンアフィニティータグをコードする。
【図12】hMN-14 VH(配列番号:3)およびhMN-14 VK (配列番号:4)の推定アミノ酸配列である。
【図13】hMN-14-0の核酸配列(配列番号:5)および推定アミノ酸配列(配列番号:6)である。核酸塩基1-66はpelBシグナルペプチドをコードし、70-423はhMN-14VHをコードし、424-744はhMN-14VKをコードし、751-768はヒスチジンアフィニティータグをコードする。
【図14】hMN-14-1Gの核酸配列(配列番号:7)および推定アミノ酸配列(配列番号:8)である。核酸塩基1-66はpelBシグナルペプチドをコードし、70-423はhMN-14VHをコードし、424-427はリンカーペプチド(G)をコードし、427-747はhMN-14VKをコードし、754-771はヒスチジンアフィニティータグをコードする。
【0001】
関連出願
本出願は、2001年10月15日出願の米国特許仮出願第60/328,835号明細書、および2001年12月21日出願の第60/341,881号明細書、2002年1月8日出願の第60/345,641号明細書、および2002年8月22日出願の第60/404,919号明細書の利益を主張するものであり、前記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に多価の単一特異性結合タンパク質に関する。特に、本発明は、単一特異性ジアボディー(diabody)、トリアボディー(triabody)、およびテトラボディー(tetrabady)の組成物、およびその使用方法に関し、およびこれらの機能的結合タンパク質の微生物宿主における発現に有用な組換えベクターに関する。
【0003】
背景技術
下記の説明は、読者の理解を容易にする目的で提供される。提供される情報や引用文献はいずれも、本発明にとって従来技術であるとは認められない。
【0004】
人工の結合タンパク質、特にモノクローナル抗体および遺伝子工学処理を行った抗体または抗体断片は広汎に試験され、癌、自己免疫疾患、感染性疾患、炎症性疾患、および循環器疾患など様々なヒトの疾患の検出および治療に重要であることが示されている(Filpula and McGuire, Exp. Opin. Ther. Patents 9: 231-245 (1999))。例えば、放射性同位体で標識した抗体は、患者に投与した後に当該技術分野で入手可能な検出器を用いて腫瘍を可視化するのに用いられている。抗体または抗体由来の薬剤の臨床的有用性は、主としてターゲット抗原に特異的に結合するその能力に依存している。選択性は、特に診断または治療薬(薬剤、毒素、サイトカイン、ホルモン、増殖因子、抱合体(conjugate)、放射性核種、または金属など)が体内の正常組織にとって毒性がある場合には、ヒト疾患の検出および/または治療を行う際に診断または治療薬をターゲット位置に効果的に送達するののに重要である。
【0005】
抗体系の潜在的な限界は、当該技術分野で知られている(例えば、Goldenberg, Am. J. Med. 94: 297-312 (1993)を参照されたい)。検出および治療技術の重要なパラメーターとしては、例えば、ターゲット抗原を含む細胞の在する(複数の)部位に特異的に存在する投与量およびその取り込み比、すなわち特異的に結合した抗体の量対周囲の正常組織に含まれる遊離抗体(例えば、放射能によって検出される)の量の比が挙げられる。抗体を血流中に投与すると、それが代謝されて排泄されるに従って多数の生理学的コンパートメントを通過する。最適には、抗体は、身体の他の部分を通過し、ターゲット細胞抗原をつきとめて結合する。抗原ターゲッティングを制御する因子としては、例えば、抗原の位置および大きさ、抗原密度、抗原の入手可能性、ターゲット組織の細胞組成、およびターゲッティング抗体の薬物動態が挙げられる。抗体による腫瘍ターゲッティングに特異的に影響する他の因子としては、腫瘍および正常組織におけるターゲット抗原の発現レベル、および放射能標識した抗体の血液クリアランスが遅いことによる骨髄毒性が挙げられる。
【0006】
ターゲッティングした腫瘍細胞が融合したターゲッティング抗体の量は、腫瘍の血管新生および腫瘍の抗体浸透に対するバリヤー、並びに腫瘍内圧によって影響を受ける。非ターゲット臓器(例えば、肝臓または骨髄)による非特異的取り込みは、特に放射線免疫療法について、骨髄の照射が線量制限毒性を引き起こすことが多い技術のもう一つの潜在的制限である。
【0007】
直接ターゲッティングと呼ばれる方法は、診断または治療用放射性同位体を有する抗体を用いる腫瘍抗原を、ターゲッティングするようにデザインされている。この直接ターゲッティング法は、腫瘍上または内にあるターゲット抗原を特異的に認識する抗腫瘍単一特異性抗体が必要である。この方法は、一般に標識した単一特異性抗体を患者に投与し、抗体を腫瘍に局在化させて診断または治療の利益を得ることを含み、一方、未結合抗体は身体を清浄化する。しかしながら、放射能標識抗体は、ターゲット抗原と極めて安定な複合体を形成するわけではないので、腫瘍部位に長時間留まることはない。
【0008】
従って、当該技術分野では、直接ターゲッティング系において使用するため多価の単一特異性抗体の組成物およびこのような抗体の組換えDNA技術を用いる製造方法が求められている。特に、抗体の取り込みおよびターゲット抗原への結合が高められ、循環中の遊離抗体が少なくなり、抗体と複合体形成した毒性薬剤から、正常組織および細胞を最適に保護する抗体が求められている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、多価の単一特異性結合タンパク質に関する。これらの結合タンパク質は2つ以上の結合部位を含んでなり、結合部位は各々、同一種類のターゲット細胞、好ましくはこのようなターゲット細胞上の同一抗原と特異的に結合する。さらに本発明は、単一特異性ジアボディー、トリアボディーおよびテトラボディーの組成物、およびこれらの機能的結合タンパク質の微生物宿主における発現に有用な組換えベクターに関する。また、腫瘍の治療および/または診断における本発明による組成物の使用方法が提供される。本発明の特定の目的は、抗体取り込みおよびターゲット抗原への結合を高め、腫瘍の診断および治療に用いる抗体を提供することである。
【0010】
本発明の一態様によれば、多価の単一特異性結合タンパク質であって、同一ターゲット抗原に特異的な2以上の結合部位を有するものが提供される。結合部位は各々、2以上の一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成され、scFvは各々、少なくとも2つのヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の可変ドメインを含んでなる。様々な好ましい他の態様によれば、多価の単一特異性結合タンパク質は単一特異性ジアボディー、単一特異性トリアボディー、または単一特異性テトラボディーであってもよい。好ましい態様によれば、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体は、腫瘍関連抗原、最も好ましくは癌胎児性抗原(CEA)に特異的である。
【0011】
本発明の他の態様によれば、多価の単一特異性結合タンパク質は、診断薬、治療薬、および/またはそれらの薬剤の2種類以上の組合せを含むこともできる。様々な態様によれば、診断薬は、抱合体、放射性核種、金属、コントラスト剤、トラッキング剤、検出剤、またはそれらの組合せであることがある。様々な態様によれば、治療薬は、放射性核種、化学療法薬、サイトカイン、ホルモン、増殖因子、毒素、免疫調節薬、またはそれらの組合せであってもよい。
【0012】
さらに、本発明の他の態様によれば、様々な多価の単一特異性結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含んでなる発現ベクター、並びに結合タンパク質の産生のためにこれらの発現ベクターを用いて形質転換した宿主細胞が提供される。
【0013】
さらに、本発明は、腫瘍の存在を診断する方法、および本発明の結合タンパク質を用いて腫瘍を治療する方法も提供する。本発明の結合タンパク質は、1種類以上の診断薬、1種類以上の治療薬、またはこれらの2種類以上の組合せを被験者の腫瘍に送達する有効な手段としても働き、実施者の治療および/または診断用のキットにおいて好適に用いることができる。
【0014】
好ましい態様の詳細な説明
特に断らない限り、「a」または「an」は「1以上」を意味する。
【0015】
本発明の一態様は、多価の単一特異性結合タンパク質に関する。これらの結合タンパク質は、2以上の結合部位であってそれぞれの結合部位が各々、同一の単一ターゲット抗原に親和性を有するものを含んでなる。結合部位は各々、2以上の一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成されている。scFvは各々、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2つの可変ドメインを含んでなる。さらに、本発明は、単一特異性ジアボディー、トリアボディーおよびテトラボディーであって、診断または治療薬、またはそれらの2つ以上の組合せを含んでなるものに関する。
【0016】
従って、本発明は、同一の単一ターゲット抗原に親和性を有する2以上の結合部位を含んでなる多価の単一特異性結合タンパク質であって、前記結合部位が2以上の一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成され、scFv断片が各々、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2の可変ドメインを含んでなる、結合タンパク質を提供する。ある態様では、前記のモノクローナル抗体は、腫瘍関連抗原に特異的である。
【0017】
構造的には、全抗体は、4本のポリペプチド鎖を有するY型単位の1つ以上のコピーから構成されている。2本の鎖は重鎖と呼ばれるポリペプチドの同一コピーであり、2本の鎖は軽鎖と呼ばれるポリペプチドの同一コピーである。それぞれのポリペプチドは、個々のDNAまたは結合したDNA配列によってコードされる。2本の重鎖は1以上のジスルフィド結合によって互いに連結されており、それぞれの軽鎖は1つのジスルフィド結合によって重鎖の一方に連結されている。それぞれの鎖は、それぞれ重鎖および軽鎖に対するVHおよびVLと呼ばれるN末端可変ドメインを有し、Fv断片と呼ばれるVHとVLのペアの非共有会合は、1つの抗原結合部位を形成する。
【0018】
不連続のFv断片は、低タンパク質濃度および生理学的条件下で解離する傾向があり(Glockshuber et al., Biochemistry 29: 1362-1367 (1990))、従って、使用が限定される。安定性を向上させ、かつ、潜在的有用性を高めるため、組換え一本鎖Fv(scFv)断片であって、VHドメイン(またはVL)のC末端が可変長のペプチドリンカーを介してVLドメイン(またはVH)のN末端に結合しているものを製造して、詳細に検討した。(最近の総説については、Hudson and Kortt, J. Immunol. Meth. 231: 177-189 (1999)を参照されたい)。
【0019】
長さが12アミノ酸残基より大きなリンカー(例えば、15-18残基リンカー)を有するscFvsでは、同一ポリペプチド鎖のVHとVL領域との間で相互作用することができ、一般に単量体、二量体(ジアボディーと呼ばれる)、および少量のさらに高質量のマルチマーの混合物を形成する(Kortt et al., Eur. J. Biochem. 221: 151-157 (1994))。しかしながら、5以下のアミノ酸残基のリンカーを有するscFvでは、同一ポリペプチド鎖のVHとVL領域との分子内会合が妨げられ、異なるポリペプチド鎖上のVHおよびVLドメインとペアにならざるを得ない。3-12アミノ酸残基のリンカーは、主に二量体を形成する(Atwell et al., Prot. Eng. 12: 597-604 (1999))。0-2アミノ酸残基のscFvは三量体(トリアボディーと呼ばれる)、四量体(テトラボディーと呼ばれる)または更に大きなオリゴマー構造を形成するが、オリゴマー化の正確なパターンはリンカー長に加えてVドメインの組成並びに配向に依存すると思われる。例えば、抗ノイラミニダーゼ抗体NC10のscFvは、主として0アミノ酸残基リンカーで三量体(VHからVLへの配向)または四量体(VLからVHへの配向)を形成する(Dolezal et al., Prot. Etig. 13: 565-574 (2000))。1および2つのアミノ酸残基リンカーを用いてNC10から構築したScFvは、VHからVLへの配向では、主としてジアボディー(Atwell et al.,上記引用)を形成し、対照的にVLからVHへの配向は四量体、三量体、二量体、およびさらに高質量のマルチマーの混合物を形成する(Dolezal et al.,上記引用)。抗-CD19抗体HD37から構築したscFvは、VHからVLへの配向では、0アミノ酸残基リンカーを用いて三量体のみを形成するが、1アミノ酸残基リンカーを有する同じ構築物は、四量体のみを形成する(Le Gall et al., FEBS Lett. 453: 164-168 (1999))。
【0020】
2個以上のscFv分子の非共有会合は機能的ジアボディー、トリアボディーおよびテトラボディーを形成することができ、これらは多価であるが単一特異性である。単一特異性ジアボディーは同じscFvのホモ二量体であり、scFvは各々、選択された抗体のVLドメインに短いリンカーによって結合した同じ抗体由来のVHドメインを含んでなる。ジアボディーは、2個のscFvの非共有会合によって形成された二価の二量体であり、2個のFv結合部位を生じる。トリアボディーは3個のscFvの三価の三量体の形成により生じ、3個の結合部位を生じ、テトラボディーは4個のscFvの四価の四量体であり、4個の結合部位を生じる。数個の単一特異性ジアボディーが、VH1-リンカー-VL1を含んでなる組換え遺伝子構築物を含む発現ベクターを用いて作製されている(Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993); Atwell et al., Mol. Immunol. 33: 1301- 1312 (1996); Holliger et al., Nature Biotechnol. 15: 632-636 (1997); Helfrich et al., Int. J. Cancer 76: 232-239 (1998); Kipriyanov et al., Int. J. Cancer 77: 763-772 (1998); Holliger et al., Cancer Res. 59: 2909-2916 (1999))。scFvを構築する方法は、米国特許第4,946,778号および第5,132,405号明細書に開示されている。scFvに基づいて多価の単一特異性結合タンパク質を製造する方法は、米国特許第5,837,242号および第5,844,094号明細書、およびPCT出願W098/44001号明細書に開示されている。
【0021】
ヒト化抗体は、一つの種の抗体、例えば齧歯類抗体由来のCDRを、齧歯類抗体の重および軽可変鎖からヒト重および軽可変ドメインへ導入している組換えタンパク質である。抗体分子の定常ドメインは、ヒト抗体のドメイン由来のものである。
【0022】
本発明の一態様は、モノクローナル抗体hMN-14を利用して、抗原特異的ジアボディー、トリアボディー、およびテトラボディーを産生するものである。hMN-14は、CEAに特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体(MAb)である(Shevitz et al., J. Nucl. Med. S34 : 217 (1993);および米国特許第6,254,868号明細書)。最初のMAbはネズミであるが、現在はヒト化抗体試薬を用いてヒト抗マウス抗体応答を減少させている。この抗体の可変領域を遺伝子工学処理を行って、例1に記載の発現構築物(hMN-14-scFv-L5)とした。図1に示すように、hMN-14ジアボディーを発現する核酸構築物(hMN-14-scFv-L5)は、以下の特徴:
(i) ペプチドリンカーGly-Gly-Gly-Gly-Ser(G4S)によって、VKのアミノ末端に結合したVHのカルボキシル末端(G4Sペプチドリンカーを用いることによって、分泌されたポリペプチドを二量体化してジアボディーとし、CEAに対する2つの結合部位を形成することができる)、
(ii) VH遺伝子に先行して、E. coliの細胞周辺腔でのポリペプチドの合成を促進するpelBシグナルペプチド配列、および
(iii) IMACによって精製できるようにするためのカルボキシル末端に付加した6ヒスチジン(6His)アミノ酸残基
を有するポリペプチドをコードする。hMN-14-scFv-L5の核酸のコード配列(配列番号:1)および相当する推定アミノ酸配列(配列番号:2)を、図11に示す。また、図1は、pelBシグナルペプチドのタンパク質分解除去後の成熟ポリペプチドの棒線画図面、およびCEA結合部位を含むhMN-14ジアボディーの棒線画図面を示す。
【0023】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答して特異的ヒト抗体を産生するように「遺伝子工学処理した」トランスジェニックマウスから得られる抗体である。この手法では、ヒト重および軽鎖座の要素を、内在性重鎖および軽鎖座のターゲッティングされた崩壊を含む胚幹細胞系由来のマウスの株に導入する。トランスジェニックマウスはヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することができ、マウスを用いてヒト抗体分泌ハイブリドーマを産生することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得る方法は、Green et al., Nature Genet. 7: 13 (1994)、Lonberg et al., Nature 368: 856 (1994)、およびTaylor et al., Iyat. Immun. 6: 579 (1994)に記載されている。
【0024】
完全なヒト抗体は、また、遺伝子または染色体トランスフェクション法、並びにファージディスプレー技術によって構築することができ、これらはいずれも当該技術分野で知られている。例えば、免役されていないドナーからの免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーからヒト抗体およびその断片をイン・ビトロにて産生することについては、McCafferty et al., Nature 348: 552-553 (1990)を参照されたい。この手法では、抗体可変ドメイン遺伝子は、糸状バクテリオファージの主要または微量コートタンパク質遺伝子にイン・フレーム(in-frame)にてクローニングされ、ファージ粒子の表面上にて機能的抗体断片として表示される。糸状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づく選択により、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子も選択される。この方法において、ファージは、B細胞の特性の幾つかを模倣する。ファージディスプレーは様々な形態にて行うことができ、それらの総説については、例えば、Johnson and Chiswell, Curr. Opin. Struct. Biol. 3: 5564-571 (1993)を参照されたい。
【0025】
ヒト抗体は、イン・ビトロにて活性化したB細胞によって生成させることもできる。米国特許第5,567,610号および第5,229,275号明細書を参照されたい。前記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
【0026】
従って、本発明は、同一の単一ターゲット抗原に親和性を有する2つの結合部位を含んでなる多価の単一特異性結合タンパク質(単一特異性ジアボディーという)であって、その結合部位が2つの一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成され、scFv断片が各々、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2個の可変ドメインを含んでなる、結合タンパク質を提供する。ある態様によれば、前記モノクローナル抗体は腫瘍関連抗原に特異的である。好ましくは、前記腫瘍関連抗原は癌胎児性抗原(CEA)である。
【0027】
他の態様にれば、この単一特異性ジアボディーのヒト化モノクローナル抗体は、hMN-14である。このような態様では、scFvは各々、好ましくは、hMN-14のVHおよびVK領域を含んでなる。場合によっては、scFvは各々、hMN-14のVHおよびVK領域を結合するアミノ酸リンカーをも含んでなる。好ましい態様によれば、scFvは各々、配列番号:2のアミノ酸配列を含んでなる。
【0028】
発現ベクターは、図1に略記され、かつ、例2に記載される一連のサブクローニングの手順によって構築される。単一特異性hMN-14結合タンパク質の発現カセットを、図1に図解的に示す。発現カセットはプラスミドに含まれていてよく、プラスミドは宿主細胞において染色体外自己複製遺伝子要素を形成する小さな二本鎖DNAである。クローニングベクターは、微生物宿主細胞中において、それ自身を複製することができるDNA分子である。本発明は、単一特異性ジアボディー、トリアボディー、およびテトラボディーを発現するベクターを記載する。宿主細胞は再生のためのベクターを受け容れ、このベクターが宿主細胞が分裂するそれぞれの時点において複製する。
【0029】
従って、本発明は、また、上記のように単一特異性ジアボディーをコードするヌクレオチド配列を含んでなる発現ベクターを提供する。
【0030】
一般に用いられる宿主細胞は、Escherichia coli(E. coli)であるが、例えば、様々な細菌、哺乳類細胞、酵母細胞、および植物細胞のような他の宿主細胞が当該技術分野で周知である。酵母では、当業者に知られている多数のベクターを用いて、Saccharomyces cerevisiae(パン酵母)、Schizosaccharomyces pombe(分裂酵母)、Pichia pastoris、およびHansenula polymorpha(メチロトロピック酵母(methylotropic yeasts))に構築物を導入し、発現することができる。さらに、様々な哺乳類発現ベクターを、商業的に入手することができる。さらに、アデノウイルスおよびレトロウイルスのような多数のウイルス性発現系を用いることもできる。このような発現系を用いることによって、多量の組換え抗体を本発明の方法を用いて産生させ、生育可能な送達系としてそれらを用いることができる。
【0031】
従って、本発明は、また、上記のような単一特異性ジアボディーをコードする発現ベクターを含んでなる宿主細胞を提供する。
【0032】
図1に示されるカセットをE. coliにて発現させるときには、ポリペプチドの幾つかは折り畳まれ、自発的に可溶性の単一特異性ジアボディーを形成する。図1の単一特異性ジアボディーは、互いに相互作用する2本のポリペプチド鎖を有しており、CEA抗原に親和性を有する2個のCEA結合部位を形成する。抗原は特異抗体によって結合されて抗原-抗体複合体を形成し、抗原および抗体分子の非共有的相互作用によって互いに固定される。
【0033】
この態様によれば、5つのアミノ酸残基リンカーによってhMN-14 MAbのVK領域に結合したhMN- 14 MAbのVH領域を含んでなる2つのポリペプチドを用いる。それぞれのポリペプチドは、hMN-14ジアボディーの2分の1を形成している。それぞれのポリペプチドの核酸のコード配列(配列番号:1)および相当する推定アミノ酸配列(配列番号:2)を、図11に示す。
【0034】
トリアボディーの場合には、図6に示されるカセットをE. coliで発現させると、ポリペプチドの幾つかは自発的に可溶性の単一特異性トリアボディーを形成する。図6に示す単一特異性トリアボディーは、互いに相互作用する3本のポリペプチド鎖を有しており、CEA抗原に高い親和性を有する3個のCEA結合部位を形成する。3本のポリペプチドは各々、リンカーなしでhMN-14 MAbのVK領域に結合したhMN-14 MAbのVH領域を含んでなる。それぞれのポリペプチドは、hMN-14トリアボディー3分の1を形成する。それぞれのポリペプチドの核酸のコード配列(配列番号:5)および相当する推定アミノ酸配列(配列番号:6)を、図13に示す。
【0035】
従って、本発明は、同一の単一ターゲット抗原に親和性を有する3つの結合部位を含んでなる多価の単一特異性結合タンパク質(単一特異性トリアボディーという)であって、前記結合部位が3本の一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成され、scFv断片が各々、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2個の可変ドメインを含んでなる、結合タンパク質を提供する。ある態様によれば、モノクローナル抗体は腫瘍関連抗原に特異的である。好ましくは、腫瘍関連抗原は癌胎児性抗原(CEA)である。
【0036】
他の態様によれば、この単一特異性トリアボディーのヒト化モノクローナル抗体はhMN-14である。このような態様によれば、scFvは、好ましくはhMN-14のVHおよびVK領域を含んでなる。ある態様によれば、scFvは各々、配列番号:6のアミノ酸配列を含んでなる。本発明は、また、単一特異性トリアボディーをコードするヌクレオチド配列を含んでなる発現ベクター、およびこの発現ベクターを含んでなる宿主細胞を提供する。
【0037】
テトラボディーの場合には、図9に示されるカセットがE. coliにて発現されるときには、ポリペプチドの幾つかは可溶性の単一特異性テトラボディーを自発的に形成する。図9に示される単一特異性テトラボディーは、互いに相互作用する4本のポリペプチド鎖を有しており、CEA抗原に対して高い親和性を有する4個のCEA結合部位を形成する。4個のポリペプチドは各々、単一アミノ酸残基リンカーによってhMN-14 MAbのVKポリペプチドに結合したhMN-14 MAbのVHポリペプチドを含んでなる。それぞれのポリペプチドは、hMN-14テトラボディーの4分の1を形成する。それぞれのポリペプチドの核酸のコード配列(配列番号:7)および相当する推定アミノ酸配列(配列番号:8)は、図14に示されている。
【0038】
従って、本発明は、同一の単一ターゲット抗原に対して親和性を有する4つの結合部位を含んでなる多価の単一特異性結合タンパク質(単一特異性テトラボディーという)であって、前記結合部位が4本の一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成され、それぞれのscFv断片がヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2つの可変ドメインを含んでなる、結合タンパク質を提供する。ある態様によれば、前記モノクローナル抗体は腫瘍関連抗原に対して特異的である。好ましくは、腫瘍関連抗原は癌胎児性抗原(CEA)である。
【0039】
他の態様によれば、ヒト化モノクローナル抗体はhMN-14である。このような態様では、それぞれのscFvは、好ましくはhMN-14のVHおよびVK領域を含んでなる。場合によっては、それぞれのscFvは、hMN-14のVHおよびVK領域を結合しているアミノ酸リンカーをさらに含んでなる。ある態様によれば、scFvは各々、配列番号:8のアミノ酸配列を含んでなる。本発明は、単一特異性テトラボディーをコードするヌクレオチド配列を含んでなる発現ベクター、およびこの発現ベクターを含んでなる宿主細胞を提供する。
【0040】
好ましい態様によれば、本発明の単一特異性ジアボディー、トリアボディー、およびテトラボディーを用いて、CEA陽性腫瘍の診断または治療薬の直接ターゲッティングを行う。A3、A33、BrE3、CD1、CD1a、CD3、CD5、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD30、CD45、CD74、CD79a、CEA、CSAp、EGFR、EGP-1、EGP-2、Ep-CAM、Ba 733、HER2/neu、KC4、KS-1、KS1-4、Le-Y、MAGE、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、PAM-4、PSA、PSMA、RS5、S100、TAG-72、テネイシン、Tn抗原、トムゼン−フリーデンライヒ(Thomson-Friedenreieh)抗原、腫瘍壊死抗原、VEGF、17-1A、血管新生マーカー、サイトカイン、免疫調節薬、癌遺伝子マーカーおよび癌遺伝子生成物のような他の腫瘍関連抗原をターゲッティングすることもできる。単一特異性分子はターゲッティングした抗原に選択的に結合し、分子上の結合部位の数が増加するに従って、ターゲット細胞の親和性が増加する。親和性が強くなることによって、本発明の組成物がターゲット抗原を含む所望な位置にさらに長時間留まることができる。さらに、遊離の未結合抗体分子は、体内から速やかに除去されることにより、正常組織が潜在的に有害な薬剤に暴露されることが極めて少なくなる。
【0041】
腫瘍関連マーカーは、Herberman(例えば、癌の臨床生化学:癌の免疫診断(Immunodiagnosis of Cancer, in THE CLINICAL BIOCHEMISTRY OF CANCER), Fleisher監修, American Association of Clinical Chemists, 1979を参照)によって腫瘍胎児抗原、胎盤抗原、発癌または腫瘍ウイルス関連抗原、組織関連抗原、臓器関連抗原、異所性ホルモンおよび正常抗原、またはそれらの変異体などの多数の種類に分類されている。時には、腫瘍関連マーカーのサブユニットを用いて、一層高い腫瘍特異性を有する抗体、例えば、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のβ-サブユニットまたは癌胎児性抗原(CEA)のγ領域であって、米国特許第4,361,644号および第4,444,744号明細書に開示されているように非腫瘍物質への交差反応性を著しく減少させた抗体の産生を刺激するものを高めるのが有利である。腫瘍脈管構造(例えば、VEGF)、腫瘍壊死、膜受容体(例えば、葉酸受容体、EGFR)、膜貫通抗原(例えば、PSMA)および癌遺伝子生成物のマーカーも、抗体または抗体断片に対する適当な腫瘍関連ターゲットとして用いることができる。B細胞複合体抗原並びにある種の腫瘍細胞によって発現されるサイトカイン(例えば、T細胞悪性腫瘍におけるIL-2受容体)のような正常細胞成分のマーカーも、本発明の抗体および抗体断片に適当なターゲットである。
【0042】
BrE3抗体は、Couto et al., Cancer Res. 55: 5973s-5977s (1995)に記載されている。EGP-1抗体は、米国仮特許出願第60/360,229号明細書に記載されており、EGP-2抗体の幾つかはStaib et al., Int. J. Cancer 92: 79-87 (2001)、およびSchwartzberg et al., Crit. Rev. Oncol. Hemato. 40: 17-24 (2001)に引用されている。KS-1抗体はKoda et al., A4f2ticancer Res. 21: 621-627 (2001)に引用されており、A33抗体はRitter et al., Cancer Res. 61: 6854-6859 (2001)に引用されており、Le(y)抗体B3はDi Carlo et al., Oncol. Rep. 8: 387-392 (2001)に記載されており、A3抗体はTordsson et al., Int. J. Cancer 87: 559-568 (2000)に記載されている。
【0043】
癌遺伝子のマーカーまたは生成物に対する抗体、またはVEGFのような血管新生因子に対する抗体も有用である。VEGF抗体は、米国特許第6,342,221号、第5,965,132号および第6,004,554号明細書に記載されており、それらの内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。CD40に対する抗体のようなある種の免疫応答調節剤に対する抗体は、Todryk et al., J. Immunol. Meth. 248: 139-147 (2001)およびTurner et al., J. Immunol. 166: 89-94 (2001)に記載されている。併用療法に適当な他の抗体としては、Epstein et al.によって報告されている抗壊死抗体が挙げられ、例えば、米国特許第5,019,368号、第5,882,626号および第6,017,514号明細書を参照されたい。
【0044】
従って、本発明は、上記のような多価の単一特異性結合タンパク質であって、癌、黒色腫、肉腫、神経芽細胞腫、白血病、神経膠腫、リンパ腫、および骨髄腫からなる群から選択される疾病状態に関連した腫瘍関連抗原に特異的なヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2個の可変ドメインを含んでなるものを提供する。腫瘍関連抗原は、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管、胸部、頸部、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸、子宮内膜、食道、胃、頭および頸部、ホジキンリンパ腫、肺、髄質甲状腺、非ホジキンリンパ腫、卵巣、膵臓、前立腺および膀胱からなる群から選択される癌の種類と関連させることができる。腫瘍関連抗原は、A3、A33、BrE3、CD1、CD1a、CD3、CD5、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD30、CD45、CD74、CD79a、CEA、CSAp、EGFR、EGP-1、EGP-2、Ep-CAM、Ba 733、HER2/neu、KC4、KS-1、KS1-4、Le- Y、MAGE、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、PAM-4、PSA、PSMA、RS5、S100、T101、TAG-72、テネイシン、Tn抗原、トムゼン−フリーデンライヒ抗原、腫瘍壊死抗原、VEGF、17-1A、血管新生マーカー、サイトカイン、免疫調節薬、癌遺伝子マーカー、および癌遺伝子生成物からなる群から選択することができる。好ましい態様によれば、前記腫瘍関連抗原は癌胎児性抗原(CEA)である。好ましい態様によれば、ヒト化モノクローナル抗体はhMN-14である。
【0045】
本発明の他の態様は、ターゲッティングした組織に特異的に結合する少なくとも2本のアームを含んでなる二価、三価または四価の抗体または抗体断片の有効量を投与することを含んでなる、病気に罹った組織(例えば、癌)を検出し、診断し、および/または治療するための本発明の抗体または抗体断片の使用を伴う。
【0046】
従って、本発明は、上記のような多価の単一特異性結合タンパク質であって、診断薬、治療薬、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の薬剤をも含んでなるものを提供する。診断薬は、抱合体、放射性核種、金属、コントラスト剤、トラッキング剤、検出剤、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択することができる。
【0047】
診断用の放射性核種を含んでなるある種の態様によれば、放射性核種は、11C、13N、15O、18F、32P、51Mn、52Fe、52mMn、55Co、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、72As、75Br、76Br、82mRb、83Sr、86Y、89Zr、90Y、94mTc、94Tc、99mTc、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、154-158Gd、177Lu、186Re、188Re、γ線エミッター、β線エミッター、陽電子線エミッター、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。ある種の他の態様によれば、放射性核種は51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Cu、67Ga、75Se、97Ru、99mTc、111In、114mIn、123I、125I、131I、169Yb、197Hg、201Tl、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0048】
金属を含んでなるある種の態様によれば、金属は、ガドリニウム、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、およびそれらの2個以上の組合せからなる群から選択される。
【0049】
コントラスト剤を含んでなるある種の態様によれば、コントラスト剤はMRIコントラスト剤、CTコントラスト剤、または超音波コントラスト剤であることができる。コントラスト剤は、アガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、別の類似のコントラスト剤、およびそれらの2個以上の組合せからなる群から選択することができる。
【0050】
トラッキング剤を含んでなるある種の態様によれば、トラッキング剤は、ヨウ素化合物、バリウム化合物、ガリウム化合物、タリウム化合物、バリウム、ジアトリゾエート、エチオド化油(ethiodized oil)、クエン酸ガリウム、イオカルム酸、イオセタム酸、イオダミド、イオジパミド、イオドキサム酸、イオグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパン酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメト酸、イオタスル、イオテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポデート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾエート、プロピリオドン、塩化第一タリウム、およびそれらの2個以上の組合せからなる群から選択される。
【0051】
検出剤を含んでなるある種の態様によれば、検出剤は、酵素、蛍光化合物、化学発光化合物、生物発光化合物、放射性同位体、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0052】
治療薬を含んでなるある種の態様によれば、治療薬は、放射性核種、化学療法薬、サイトカイン、ホルモン、増殖因子、毒素、免疫調節薬、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0053】
治療用放射性核種を含んでなるある種の態様によれば、32P、33P、47Sc、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、75Se、77As、89Sr、90Y、99Mo、105Rh、109Pd、111Ag、111In、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、およびそれらの2個以上の組合せからなる群から選択される。ある種の他の態様によれば、放射性核種は、58Co、67Ga、80mBr、99mTc、103mRh、109Pt、111In、119Sb、125I、161Ho、189mOsおよび192Ir、152Dy、211At、211Bi、212Bi、213Bi、215Po、217At、219Rn、221Fr、223Ra、225Ac、255Fm、およびそれらの2個以上の組合せからなる群から選択される。
【0054】
化学療法薬を含んでなるある種の態様によれば、化学療法薬は、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、エピドフィロトキシン、タキサン、代謝拮抗物質、アルキル化剤、抗生物質、Cox-2阻害剤、有糸分裂阻害剤、血管新生抑制剤、アポトーシス剤、ドキソルビシン、メトトレキセート、タキソール、CPT-11、カンプトテカン、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホン酸塩、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体、白金配位錯体、ホルモン、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0055】
毒素を含んでなるある種の態様によれば、毒素は、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、 DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシンA、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリン毒素、プセウドモナス(Pseudomonas)外毒素、プセウドモナス内毒素、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0056】
免疫調節薬を含んでなるある種の態様によれば、免疫調節薬は、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子、インターフェロン、幹細胞増殖因子、エリトロポエチン、トロンボポエチン、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される。
【0057】
多種多様な診断および治療試薬を、本発明の抗体に有利に抱合させることができる。本明細書に列挙した治療薬は、本明細書に記載の本発明による多価の結合タンパク質と共に、別個に投与するのにも有用な薬剤である。治療薬としては、例えば、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、エピドフィロトキシン、タキサン、代謝拮抗物質、アルキル化剤、抗生物質、Cox-2阻害剤、有糸分裂阻害剤、血管新生抑制およびアポトーシス剤、特にドキソルビシン、メトトレキセート、タキソール、CPT-11、カンプトテカン、およびこれらの種類および他の種類の抗癌剤などが挙げられる。免疫抱合体や抗体融合タンパク質の製造のための他の有用な癌化学療法薬としては、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホン酸塩、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似体、COX-2阻害剤、ピリミジン類似体、プリン類似体、白金配位錯体、ホルモンなどが挙げられる。有用な治療薬の組合せは、CEA生成癌の治療に用いられる他の薬剤、抗HER2抗体(例えば、Herceptin)、および抗 EGF抗体を含んでなることができる。本発明の多価の結合タンパク質と併用される抗体は、モノクローナル、ポリクローナルまたはヒト化抗体であることができる。他の適当な化学療法薬は、「レミントンの薬科学(REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES)」, 第19版(Mack Publishing Co. 1995)、および「グッドマンとギルマンの治療薬の薬理学的基礎(GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS)」, 第7版(MacMillan Publishing Co. 1985)、並びにこれらの出版物の改訂版に記載されている。他の適当な治療薬としては、当業者に知られているように、実験薬および臨床試験に関連した薬剤が挙げられる。
【0058】
プセウドモナス外毒素のような毒素を、本発明の抗体の免疫抱合体の治療薬部分に複合体形成させまたはその部分を形成させることもできる。このような抱合体または他の融合タンパク質の製造に適当に用いられる他の毒素としては、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシンA、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリン毒素、プセウドモナス外毒素、およびプセウドモナス内毒素が挙げられる(例えば、Pastan et al., Cell 47: 641-648 (1986)、およびGoldenberg, CA Cancer J. Clin. 44: 43964 (1994)を参照されたい)。本発明で用いるのに適する他の毒素は当業者に知られており、米国特許第6,077,499号明細書に開示されており、前記明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
【0059】
診断および治療薬としては、薬剤、毒素、サイトカイン、サイトカインとの抱合体、ホルモン、増殖因子、抱合体、放射性核種、コントラスト剤、金属、細胞毒性薬、および免疫調節剤を挙げることができる。例えば、ガドリニウム金属は磁気共鳴画像形成に用いられ、蛍光色素を光力学的療法の目的で抱合させることができる。さらに、コントラスト剤は、ガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジムまたは他の類似ラベルのようなMRIコントラスト剤、CTコントラスト剤、および超音波コントラスト剤であることができる。
【0060】
本発明の方法において、ターゲッティング可能な構築物は、疾病組織の検出に有用な1種類以上の放射性同位体を含んでなることができる。特に有用な診断用放射性核種としては、11C、13N、15O、18F、32P、51Mn、52Fe、52mMn、55Co、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、72As、75Br、76Br、82mRb、83Sr、86Y、89Zr、90Y、94mTc、94Tc、99mTc、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、154-158Gd、177Lu、186Re、188Re、または好ましくは崩壊エネルギーが20-4,000keVの範囲であり、さらに好ましくは25-4,000keVの範囲であり、さらに一層好ましくは20-1,000keVの範囲であり、さらに一層好ましくは70-700keVの範囲である他のγ線、β線または陽電子線エミッターが挙げられるが、これらに限定されない。有用な陽電子線を放射する放射性核種の総崩壊エネルギーは、好ましくは<2,000keVであり、さらに好ましくは1,000keV未満であり、特に好ましくは<700keVである。
【0061】
γ線検出を利用する診断薬として有用な放射性核種としては、51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Cu、67Ga、75Se、97Ru、99mTc、111In、114mIn、123I、125I、131I、169Yb、197Hg、および201Tlが挙げられるが、これらに限定されない。有用なγ線を放射する放射性核種の崩壊エネルギーは、好ましくは20-2000keVであり、さらに好ましくは60-600keVであり、最も好ましくは100-300keVである。
【0062】
本発明の方法にあっては、ターゲッティング可能な構築物は、疾病組織の治療に有用な1種類以上の放射性同位体を含んでなることができる。特に有用な治療用放射性核種としては、32P、33P、47Sc、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、75Se、77As、89Sr、90Y、99Mo、105Rh、109Pd、111Ag、111In、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、および225Acが挙げられるが、これらに限定されない。治療用放射性核種は、好ましくは崩壊エネルギーが20-6,000keVの範囲であり、好ましくはオージェエミッターについては60-200keVの範囲であり、β線エミッターついては100-2,500keVの範囲であり、α線エミッターについては4,000-6,000keVである。
【0063】
オージェ放射粒子と共に実質的に崩壊する放射性核種も好ましい。このような放射性核種としては、58Co、67Ga、80mBr、99mTc、103mRh、109Pt、111In、119Sb、125I、161Ho、189mOsおよび192Irが挙げられるが、これらに限定されない。α粒子の生成により実質的に崩壊する放射性核種も好ましい。このような放射性核種としては、152Dy、211At、211Bi、212Bi、213Bi、215Po、217At、219Rn、221Fr、223Ra、225Ac、および255Fmが挙げられるが、これらに限定されない。有用なα粒子放射性核種の崩壊エネルギーは、好ましくは2,000-9,000keVであり、さらに好ましくは3,000-8,000keVであり、特に好ましくは4,000-7,000keVである。
【0064】
本発明の抗体およびその断片は、付加的なトラッキング剤を含むことがある。放射線不透過性材料およびコントラスト材料が、X線およびコンピューター処理した断層撮影法の画質向上の目的で用いられ、ヨウ素化合物、バリウム化合物、ガリウム化合物、タリウム化合物などが挙げられる。特定の化合物としては、バリウム、ジアトリゾエート、エチオド化油(ethiodized oil)、クエン酸ガリウム、イオカルム酸、イオセタム酸、イオダミド、イオジパミド、イオドキサム酸、イオグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパン酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメト酸、イオタスル、イオテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポデート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾエート、プロピリオドン、および塩化第一タリウムが挙げられる。
【0065】
本発明の抗体およびその断片は、蛍光化合物で標識することもできる。蛍光標識したMAbの存在は、ターゲット抗原結合タンパク質を適当な波長の光に露出させ、生成する蛍光を検出することによって決定される。蛍光標識化合物としては、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、およびフルオレサミンが挙げられる。蛍光標識した抗原結合タンパク質は、特にフローサイトメトリー分析に有用である。
【0066】
あるいは、抗体およびその断片を、結合タンパク質を化学発光化合物にカップリングすることによって検出可能に標識することができる。化学発光タグを付けたMAbの存在は、化学反応の経過中に生じる発光の存在を検出することによって決定される。化学発光標識化合物の例としては、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジンエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、およびシュウ酸エステルが挙げられる。
【0067】
同様に、生物発光化合物を用いて、抗体およびその断片を標識することができる。生物発光は、触媒タンパク質が化学発光反応の効率を増加させる生物学的系で見られる化学発光の一種である。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することによって決定される。標識に有用な生物発光化合物としては、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびエクオリンが挙げられる。
【0068】
あるいは、抗体およびその断片は、抗体を酵素に連結することによって検出可能に標識することもできる。抗体-酵素抱合体を適当な基質の存在下でインキュベーションすると、酵素残基が基質と反応して、例えば、分光測光法、蛍光測定法、または視覚手段によって検出することができる化学残基を生成する。抗体を検出可能に標識する目的で用いることができる酵素の例としては、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、スタフィロコッカスヌクレアーゼ、δ-V-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレオシダーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。
【0069】
サイトカインのような免疫調節薬は、抗体免疫抱合体の治療薬部分に抱合させまたはこれを形成させることもでき、または本発明のキメラ、ヒト化、またはヒト抗体またはその断片に非抱合的に投与することもできる。本明細書で用いられるように、「免疫調節薬」としては、サイトカイン、幹細胞増殖因子、腫瘍壊死因子(TNF)のようなリンホトキシン、インターロイキン(例えば、インターロイキン-1(IL-1)、IL-2、IL-3、IL-6、IL-10、IL-12、およびIL-18)のような造血因子、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球-コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF))、インターフェロン(例えば、インターフェロン-α、-βおよび-γ)、「S1因子」と呼ばれる幹細胞増殖因子、エリトロポエチンおよびトロンボポエチンが挙げられる。適当な免疫調節薬残基の例としては、IL-2、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、インターフェロン-γ、TNF-αなどが挙げられる。あるいは、被験者は、裸の抗体、および別個に投与されるサイトカインであって、裸の抗体の投与前、投与と同時にまたは後に投与することができるものを受け取ることができる。抗体は、免疫調節薬に抱合させることもできる。免疫調節薬は、異なる抗原に結合する1個以上の抗体からなるハイブリッド抗体に抱合させることもできる。
【0070】
治療または診断薬は、還元抗体成分のヒンジ領域にジスルフィド結合形成によって結合することができる。あるいは、このようなペプチドは、N-スクシニル-3-(2-ピリジルチオ)プロピオネート(proprionate)(SPDP)のようなヘテロ二官能価架橋剤を用いて抗体成分に結合させることができる (Yu et al., Int. J. Cancer 56: 244-248 (1994))。このような抱合の一般的手法は、当該技術分野で周知である。例えば、Wong, 「タンパク質抱合および架橋の化学(CHEMISTRY OF PROTEIN CONJUGATION AND CROSS-LINKING)」(CRC Press 1991); Upeslacis et al.,「化学的方法による抗体の修飾(Modification of Antibodies by Chemical Methods)」/モノクローナル抗体:原理と応用(MONOCLONAL ANTIBODIES: PRINCIPLES AND APPLICATIONS)」Birch et al.(監修), 187-230頁(Wiley-Liss, Inc. 1995); Price, 「合成ペプチド由来の抗体の産生と特性決定(Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies)」/「モノクローナル抗体:産生、遺伝子工学処理および臨床的応用(MONOCLONAL ANTIBODIES: PRODUCTION, ENGINEERING AND CLINICAL APPLICATION)」Ritter et al. (監修), 60-84頁 (Cambridge University Press 1995)を参照されたい。あるいは、治療または診断薬を、抗体のFc領域の炭水化物残基を介して抱合することができる。炭水化物基を用いて、チオール基に結合している同じペプチドの荷重を増加させることができ、または炭水化物残基を用いて異なるペプチドを結合することができる。
【0071】
これらの薬剤は、哺乳類の疾患を診断および/または治療する目的でデザインされる。哺乳類としては、ヒト、家畜、並びにネコおよびイヌのようなペットを挙げることができる。哺乳類の疾患としては、癌腫、黒色腫、肉腫、神経芽細胞腫、白血病、神経膠腫、および骨髄腫のような癌を挙げることができる。癌の典型的な種類としては、胆管、胸部、頸部、結腸直腸、子宮内膜、食道、胃、頭および頸部、肺、髄質甲状腺、卵巣、膵臓、前立腺、および膀胱が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
従って、本発明は、腫瘍の存在を診断する方法であって、腫瘍を有することが疑われる被験者に診断薬を含んでなる前記の多価の単一特異性結合タンパク質の検出可能な量を投与し、被験者を観察して腫瘍への結合タンパク質の結合を検出することを含んでなる、前記方法を提供する。
【0073】
本発明は、また、腫瘍を治療する方法であって、治療を必要としている被験者に、前記の診断薬を含んでなる前記の多価の単一特異性結合タンパク質の有効量を投与することを含んでなる、方法を提供する。
【0074】
また、本発明は、腫瘍の存在を診断する方法であって、腫瘍を有することが疑われる被験者に、前記の多価の単一特異性結合タンパク質の検出可能な量を前記結合タンパク質に結合することができる検出可能な残基と組み合わせて投与し、被験者を観察して腫瘍への結合タンパク質の結合を検出することを含んでなる、方法を提供する。
【0075】
さらに本発明は、腫瘍を治療する方法であって、治療を必要としている被験者に、前記の多価の単一特異性結合タンパク質の有効量を治療薬と組み合わせて投与することを含んでなる、方法を提供する。好ましい態様によれば、治療薬は、化学療法薬、毒素、外部放射線、近接照射療法放射線薬、放射能標識タンパク質、抗癌薬、および抗癌抗体からなる群から選択される。
【0076】
さらに、本発明は、1種類以上の診断薬、1種類以上の治療薬、またはそれらの2種類以上の組合せを腫瘍に送達する方法であって、これを必要とする被験者に、診断薬、治療薬、およびこれらの2種類以上の組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の薬剤をさらに含んでなる多価の単一特異性結合タンパク質を投与することを含んでなる、方法を提供する。
【0077】
本発明による診断または治療の目的での診断または治療薬のターゲットへの送達は、結合タンパク質に診断または治療薬を供給し、それを必要とする被験者に結合タンパク質を投与することを含む。診断は、さらに、結合したタンパク質を既知の手法により検出する工程を必要とする。
【0078】
本発明の診断または治療薬を有する結合タンパク質の哺乳類への投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、胸膜腔内、髄腔内、局所カテーテルによる灌流、または直接病変内注射であってもよい。結合タンパク質を注射によって投与するときには、連続点滴、または一回または多数回のボーラスによることができる。
【0079】
診断または治療薬を有する結合タンパク質は、薬学上許容可能な注射用ビヒクル、好ましくは生理学的pHおよび濃度のリン酸緩衝食塩水(PBS)中のヒトまたは哺乳類の治療および診断用のキットとして提供することができる。製品は、好ましくは、特にヒトで使用しようとするときには、滅菌される。このようなキットの任意成分としては、安定剤、緩衝剤、標識試薬、放射性同位体、常磁性化合物、クリアランスを高めるための二次抗体、通常のシリンジ、カラム、バイアルなどが挙げられる。
【0080】
従って、本発明は、また、治療および/または診断用のキットであって、前記の少なくとも1種類の多価の単一特異性結合タンパク質を含んでなり、さらに診断薬、治療薬、およびそれらの2種類以上の組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の薬剤、および付加的試薬、装置、および使用説明書を含んでなるキットを提供する。
【実施例】
【0081】
下記の例は本発明の態様を例示するものであり、特許請求の範囲を制限する目的で用いるべきではない。
【0082】
例 1 E. coli における hMN-14 ジアボディーの発現のためのプラスミドの構築
標準的組換えDNA法を用いて、下記のようにしてhMN-14-scFv-L5を得た。hMN-14VHおよびVK配列は、Pfuポリメラーゼを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いてhMN-14 Fab'(Leung et al., Cancer Res. 55: 5968s-5972s (1995))を発現するために構築したベクターから増幅した。hMN-14VH配列は、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅した。
hMN-14V H - 左
5'-CGTACCATGGAGGTCCAACTGGTGGAGA-3'(配列番号:9)
hMN-14V H - 右 (G 4 S)
5'-CATAGGATCCACCGCCTCCGGAGACGGTGACCGGGGT-3'(配列番号:10)
【0083】
左PCRプライマーは、5'NcoI制限部位を含む。右PCRプライマーは、5アミノ酸残基リンカー(G4S)の配列とBamHI制限部位を含む。PCR生成物をNcoIおよびBamHIにて消化して、イン・フレーム(in frame)でpelBシグナルペプチド配列と連結して、NcoI/BamHIにて消化したpET-26bベクターとして、hMN-14VHL5-pET26を生成した。hMN-14VK配列は、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅した。
hMN-14V K - 左
5'-CTGAGGATCCGACATCCAGCTGACCCAGAG-3'(配列番号:11)
hMN-14V K - 右
5'-GCTACTCGAGACGTTTGATTTCCACCTTGG-3'(配列番号:12)
【0084】
左および右PCRプライマーは、それぞれBamHIおよびXhoI制限部位を含んでなる。PCR生成物をXhoIおよびBamHIにて消化して、イン・フレームでhMN-14VH、G4Sリンカーおよび6His配列と連結して、XhoI/BamHIにて消化したhMN-14VHL5-pET26構築物とし、発現構築物hMN-14-scFv-L5を生成した。この構築物のDNA配列は、自動化DNAシークエンシングによって確かめ、図11に示す。核酸構築物hMN-14-scFv-L5を図1に示す。
【0085】
例 2 E. coli における hMN-14 ジアボディーの発現
hMN-14-scFv-L5構築物を用いて、BL21(P-LysS)E. coliを形質転換した。培養条件、誘導、および精製は、下記の通りに行った。コンピテントE. coli BL21 (P-Lys-S)細胞を、標準的方法によってhMN-14-scFv-L5を用いて形質転換した。培養物を100μg/mL硫酸カナマイシンと34μg/mLクロラムフェニコールを補足した2xYT培地中で振盪し、37℃でOD600が1.6-1.8になるまで増殖させた。抗生物質および0.8Mスクロースを補足した等容の室温2xYT培地を培養物に加えた後、これを20℃に移した。20℃で30分後、IPTG 40μMを加えて発現を誘導し、20℃で15-18時間継続した。
【0086】
hMN-14ジアボディーの発現は、(1)細胞培養コンディショニング培地、(2)遠心分離後に細胞ペレットから非変性条件下で抽出した可溶性タンパク質、および(3)数サイクルの抽出および遠心分離の後ペレットに残った不溶性材料を用いて検討した。
【0087】
可溶性タンパク質は、下記のようにして細菌細胞ペレットから抽出した。ペレットを凍結および融解した後、リーシス緩衝液(2% Triton X-100; 300mM NaCl; 10mMイミダゾール; 5mM MgSO4; 25単位/mLベンゾナーゼ; 50mM NaH2PO4(pH 8.0))に培養物容積の1% の容積を用いて再懸濁した。懸濁液を音波処理によってホモジナイズし、遠心分離によって清浄化し、Ni-NTAIMACカラムに装填した。20mMイミダゾールを含む緩衝液で洗浄した後、カラムを100mMイミダゾール緩衝液(100mMイミダゾール; 50mM NaCl; 25mM Tris(pH 7.5))で溶出し、溶出液を、Affi-ゲル上に固定した抗id抗体に結合することによりアフィニティークロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0088】
不溶性のペレット状材料を、変性Ni-NTA結合緩衝液(8M尿素; 10mMイミダゾール; 0.1M NaH2PO4; 10mM Tris(pH 8.0))中で可溶化し、Ni-NTAアガロース(Qiagen, Inc.)1mLと混合した。混合物を室温にて1時間振盪した後、樹脂を同じ緩衝液50mLで1回洗浄し、カラムに装填した。カラムを同じ緩衝液20mLで洗浄した後、洗浄緩衝液(8M 尿素; 20mMイミダゾール; 0.1 M NaH2PO4; 10mM Tris (pH 8.0))20mLで洗浄した。結合したタンパク質を、変性溶出緩衝液(8M尿素; 250mMイミダゾール; 0.1M NaH2PO4; 10mM Tris (pH 8.0))5mLを用いて溶出した。
【0089】
Ni-NTA樹脂に結合して、これから溶出された可溶性タンパク質を、WI2抗イディオタイプアフィニティーカラムに装填した。カラムをPBSで洗浄し、結合したポリペプチドを0.1Mグリシン; 0.1M NaCl(pH 2.5)にて溶出し、直ちに中和した。
【0090】
発現したhMN-14scFvのほとんどは不溶性タンパク質として存在したが、可溶性画分から培養物1リットル当たり可溶性hMN-14scFv約1.5mgを精製した。サイズ排除高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって示されるように、主ピークがIMAC精製物並びにアフィニティー精製材料について9.8分に観察された(図2Aおよび2B参照)。分子量が約50kDaのhMN-14 Fab'の保持時間は、図2Bのx軸上に示されるように、9.75分であった。hMN-14scFvの保持時間が極めて類似していることは、モノマー性hMN-14scFvの計算分子量が26kDaであるので、hMN-14scFvは、溶液では二量体またはジアボディーとして存在することを示している。SDS-PAGEゲル分析(図3A参照)は26kDaの予測した大きさの単一バンドを示し、等電点電気泳動(IEP)ゲル分析(図3B参照)では、pI計算値の7.9附近にpIが8.2のバンドを生じる。競合的ELISAは、hMN-14ジアボディーが機能性であり優れた結合特性を示すことを示した。
【0091】
CEA陽性GW-39腫瘍を有するヌードマウスに131Iにて標識したhMN-14ジアボディーを注射し、生体内分布を注射後の様々な時間に分析した。かなりの量のジアボディーは96時間を上回る時間、腫瘍と会合したままであったが、遊離ジアボディーの多くは図4に示されるように血液から速やかに除去された。図5は、投与から48時間後の腫瘍、および肝臓、脾臓、腎臓、肺、血液、胃、小腸、および大腸などの正常組織と会合している投与線量の百分率を示している。それぞれの正常組織における投与線量は、腫瘍における量と比較すると非常に低い。表1には、24、48および72時間後における、表記の正常組織に対する腫瘍において増加した活性の相対量をまとめてある(例えば、24時間後には、腫瘍は肝臓の22.47倍の放射能を有する)。
【0092】
【表1】
【0093】
例 3 hMN-14 トリアボディーの発現のためのプラスミドの構築
hMN-14scFvプラスミド構築物hMN-14-0をデザインし、製造し、試験した。E. coli発現プラスミドは、(1)hMN-14VHのカルボキシル末端は、追加のアミノ酸なしにhMN-14VKのアミノ末端に直接連結し(ゼロリンカーを用いることによって、分泌したポリペプチドがトリアボディーと呼ばれる三量体構造を形成し、CEAに対して3個の結合部位を形成することができる)、(2)pelBシグナルペプチド配列はVH遺伝子に先行して、E. coliの細胞周辺腔におけるポリペプチドの合成を促進し、および(3)6個のヒスチジン(6His)残基をカルボキシル末端に加えて、IMACにより精製することができる、という特徴を有する単一ポリペプチドの合成を指示する。ポリペプチドおよびトリアボディーの図解表現を、図6に示す。
【0094】
標準的組換えDNA法を用いて、hMN-14-0構築物を得た。hMN-14 VHおよびVK配列を、Pfuポリメラーゼを用いるPCRを用いて、hMN-14scFv-L5構築物から増幅した。hMN-14VH配列は、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅した。
hMN-14V H - 左
5'-CGTACCATGGAGGTCCAACTGGTGGAGA-3' (配列番号:13)
hMN-14V H -0 右
5'-GATATCGGAGACGGTGACCGGG-3' (配列番号:14)
【0095】
以前にhMN-14scFv-L5の構築に用いた左PCRプライマーは、5'NcoI制限部位を含んでいる。右PCRプライマーは、EcoRV制限部位を含んでいる。PCR生成物をPCRクローニングベクターpGemT (Promega)にクローニングした。
【0096】
hMN-14VK配列は、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅した。
hMN-14V K -0 左
5'-GATATCCAGCTGACCCAGAGCC-3' (配列番号:15)
hMN-14V k - 右
5'-GCTACTCGAGACGTTTGATTTCCACCTTGG-3' (配列番号:16)
【0097】
左PCRプライマーは、EcoRV制限部位を含んでいる。以前にhMN-14scFv-L5の構築に用いた右プライマーは、XhoI制限部位を含んでいる。PCR生成物をpGemTベクター中にクローニングした。VK-0配列をVx-0-pGemT構築物からEcoRVおよびSalIにて摘出し、VH-0-pGemT構築物の同じ部位に連結して、pGemTにhMN-14-0を生成した。VH-VK配列をNcoIおよびXhoIにて摘出し、pET26bに移して、hMN-14トリアボディー発現構築物hMN-14-0を生成した。この構築物のDNA配列を自動化DNAシークエンシングによって確かめ、図13に示している。核酸構築物hMN-14scFv-0を、図6に示す。
【0098】
例 4 E. coli における hMN-14 トリアボディーの発現
hMN-14-0構築物を用いて、BL21(P-LysS)E. coliを形質転換した。培養条件、誘導、および精製は、hMN-14-0トリアボディーをアフィニティークロマトグラフィーの代わりにQ-Sepharoseアニオン交換クロマトグラフィーによって精製したことを除き、例2のhMN-14ジアボディーについて記載したのと同様に行った。予想したように、hMN-14-0は主としてトリアボディー(〜80kDa)を形成した。
【0099】
培養物1リットル当たり可溶性hMN-14トリアボディー約2.4mgを、誘導培養物の可溶性細胞画分から精製した。サイズ排除HPLCによって示されるように(図7参照)、主ピークはIMACおよびモノ-Qアニオン交換クロマトグラフィーによって精製した材料について9.01分に観察された。比較により、hMN-14ジアボディー(〜52kDa)およびhMN-14F(ab')2(〜100kDa)の保持時間は、それぞれ9.6分および8.44分であった。hMN-14-0の保持時間が52kDaと100kDaタンパク質の保持時間の調度中間であることは、モノマー性hMN-14-0ポリペプチドの計算分子量が〜26kDaであるので、溶液では三量体またはトリアボディーとして存在することを示している。実際に、SDS-PAGE分析は、予想した26kDaの単一バンドを示す。
【0100】
CEA陽性GW-39腫瘍を有するヌードマウスに131Iにて標識したhMN-14トリアボディーを注射し、生体内分布を注射後の様々な時間に分析した。図8は、hMN-14トリアボディー腫瘍取り込みおよび保持は、hMN-14ジアボディーのそれよりも著しく高いことを示している。1時間後には、トリアボディーは腫瘍にジアボディーの約60%のレベルで蓄積する。しかしながら、ジアボディーが1時間後には安定的に減少するのに対して、トリアボディーの腫瘍取り込みは24時間と48時間の間に最大レベルにまで増加する。トリアボディー腫瘍取り込み最大値(24-48時間)は、ジアボディー(1時間)の2倍を上回る。トリアボディーは3個総てのCEA結合部位を利用することによって三価の腫瘍結合を示すことができるので、腫瘍保持もトリアボディーについてはジアボディーと比較してかなり長い。腫瘍取り込みについて有意な影響を有すると思われる追加因子は、分子の大きさである。図8に示されるように、80kDaのトリアボディーについての血中クリアランスは54kDaのジアボディーのそれよりも遙かに遅い。これにより、トリアボディーがジアボディーと比較して腫瘍と遙かに長時間相互作用することができ、従って、一層高レベルの腫瘍取り込みを達成することができる。トリアボディーの血中クリアランスの遅れは、その優れた腫瘍滞留に確実に寄与する。しかしながら、多価またはイン・ビボでの安定性の向上によるアビディティーの増加などの他の因子も寄与することがある。腫瘍対非腫瘍比は、総ての組織について経時的に増加した。これらの比は、より遅い時点で実質的であった。
【0101】
【表2】
【0102】
例 5 hMN-14 テトラボディーの発現のためのプラスミドの構築
hMN-14scFvプラスミド構築物hMN-14-1Gをデザインし、製造して、試験した。E. coli発現プラスミドは、(1)hMN-14VHのカルボキシル末端は、単一グリシン残基によってhMN-14VKのアミノ末端に直接連結し(1Gリンカーを用いることによって、分泌したポリペプチドのあるものがテトラボディーと呼ばれる四量体構造を形成し、CEAに対して4個の結合部位を形成することができる)、(2)pelBシグナルペプチド配列はVH遺伝子に先行して、E. coliの細胞周辺腔におけるポリペプチドの合成を促進し、かつ、(3)6個のヒスチジン(6His)残基をカルボキシル末端に加えて、IMACにより精製することができる、という特徴を有する単一ポリペプチドの合成を指示する。ポリペプチドとテトラボディーの図解表現を、図9に示す。
【0103】
標準的組換えDNA法を用いて、hMN-14-1G構築物を得た。hMN-14 VHおよびVK配列を、Pfuポリメラーゼを用いるPCRを用いて、hMN-14scFv-L5構築物から増幅した。hMN-14VH配列は、下記のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅した。
hMN-14V H - 左
5'-CGTACCATGGAGGTCCAACTGGTGGAGA-3' (配列番号:17)
hMN-14V H -1G 右
5'-GCTGGATATCACCGGAGACGGTGACCGGGGTCC-3' (配列番号:18)
【0104】
以前にhMN-14scFv-L5の構築に用いた左PCRプライマーは、5'NcoI制限部位を含んでいる。右PCRプライマーは、単一グリシンについてのコード配列とEcoRV制限部位を含んでいる。PCR生成物を、PCRクローニングベクターpGemT(Promega)にクローニングした。hMN-14VK-0配列(例3参照)をhMN-14VK-0-pGemT構築物からEcoRVおよびSalIを用いて摘出し、hMN-14VH-1G-pGemT構築物の同じ部位に連結し、pGemTにおいてhMN-14-1Gを生成した。VH-1G-VK配列をNcoIおよびXhoIを用いて摘出し、pET26bに移して、hMN-14テトラボディー発現構築物hMN-14-1Gを生成した。この構築物のDNA配列を自動化DNAシークエンシングによって確かめ、図14に示している。核酸構築物hMN-14scFv-1Gを、図9に示す。
【0105】
例 6 E. coli における hMN-14 テトラボディーの発現
hMN-14-1G構築物を用いて、BL21(P-LysS)E. coliを形質転換した。培養条件、誘導、および精製は、hMN-14テトラボディーをアフィニティークロマトグラフィーの代わりにQ-Sepharoseアニオン交換クロマトグラフィーによって精製したことを除き、例2のhMN-14ジアボディーについて記載したのと同様に行った。可溶性発現レベルは高く、2mgを上回る可溶性生成物が培養物1リットル当たりで単離された。サイズ排除HPLC分析(図10参照)は、hMN-14-1G生成物はジアボディー(53kDa)、トリアボディー(80kDa)およびテトラボディー(105-120kDa)の混合物として存在することを示した。テトラボディーは、ゲル濾過クロマトグラフィーによって比較的純粋な形態で単離することができた。しかしながら、2-8℃で数日後には、図10に示したのと同様にジアボディー、トリアボディーおよびテトラボディーの混合物に次第に戻った。
【0106】
例 7 hMN-14 ジアボディー、トリアボディーおよびテトラボディーの腫瘍取り込み
腫瘍ターゲッティングを、CEA陽性ヒト結腸腫瘍異種移植片を有するマウスで放射性ヨード化試料を用いて評価した。24時間後に、ジアボディー(hMN-14-L5から得た)は腫瘍では1g当たり2.7%の投与線量(ID/g)を示し、血液では0.3%を示し、他の総ての臓器では0.1-0.4%を示した。トリアボディー(hMN-14-0から得た)については、腫瘍取り込みはそれぞれ24、48、72および96時間後には、12.0、12.2、11.1および7.1% ID/gであり、腫瘍対血液比は24時間後の3.4から48時間後の12.4、および96時間後の55まで増加した。テトラボディー(hMN-14-1Gから得た)は3種類の中で最高の腫瘍取り込みを示し、24時間後には25.4% ID/gおよび腫瘍対血液比3.9に達し、72時間後には17.1%まで減少し、腫瘍対血液比は29.3となった。これらの生体内分布の結果は、3種類の新規なscFvを基剤とする薬剤のそれぞれの分子の大きさおよび多価と一致しており、それらの総て、特にhMN-14トリアボディーは画像形成および治療用途に特に有用である。
【0107】
本発明を当業者がこれを作製し使用するのに十分詳細に記載し例示してきたが、様々な代替、修正および改良は本発明の精神および範囲から離反することなく明らかであるべきである。本発明は、これらの目的を実行し、かつ、上記目的および利点並びにそこに内在するものを得るのに特に適している。本明細書に提供された例は、好ましい態様の典型例であり、例示的なものであり、本発明の範囲を制限しようとするものではない。その修正および他の用途は、当業者であれば思い浮かぶであろう。これらの修正は本発明の精神に包含され、特許請求の範囲によって定義される。
上記で引用した総ての出版物の開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】hMN-14-scFv-L5発現プラスミドからE. coliにて合成されたhMN-14scFvポリペプチド、およびhMN-14ジアボディーの形成の図解表現である。未加工ポリペプチドをコードする核酸構築物は、pelBシグナルペプチドをコードする配列、5アミノ酸リンカーによってカップリングされたhMN-14VHおよびhMN-14VKコード配列、およびカルボキシル末端ヒスチジンアフィニティータグを含む。また、この図は、pelBシグナルペプチドのタンパク質分解除去後の成熟ポリペプチドの棒線画図面、およびCEA結合部位を含むhMN-14ジアボディーの棒線画図面を示している。
【図2】hMN-14ジアボディー精製のサイズ排除型高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)の結果をまとめて示したものである。図2Aは、IMAC精製したhMN-14ジアボディーのHPLC溶出曲線である。図2Aおよび2BにおけるhMN-14ジアボディーのHPLC溶出ピークを、矢印で示す。図2Bは、WI2抗イディオタイプアフィニティークロマトグラフィーによって精製したhMN-14ジアボディーのHPLC溶出曲線である。図Bのx軸上に示した*9.75は、コントロールhMN-14-Fab'-S-NEM (MW 〜50kDa)のHPLC保持時間(9.75分)である。
【図3】hMN-14scFvポリペプチドのタンパク質分析の結果をまとめて示したものである。図3Aは、IMAC精製およびWI2抗イディオタイプアフィニティー精製後のhMN-14ジアボディー試料の純度を示すクーマシーブルーにて染色した還元型SDS-PAGEゲルである。分子量標準物とhMN-14scFvポリペプチドの位置を、矢印で示す。図3Bは等電点電気泳動(IEF)ゲルである。pI標準物およびhMN-14scFvポリペプチドの位置を、矢印で示す。図3Bのレーン1は、標準物として用いたhMN-14Fab'-S-NEMを含む。同図のレーン2は、WI2精製hMN-14ジアボディーを含む。レーン3は、WI2アフィニティーカラムからの未結合フロースルー画分を含み、hMN-14scFvジアボディーはこの方法によって効果的に精製されることを示している。
【図4】腫瘍および血液試料中において観察したジアボディーの投与後の最初の96時間の131I-hMN-14ジアボディー濃度を示す。組織1g当たりの投与線量の百分率(%ID/g)として測定した131I-hMN-14ジアボディーの量を、時間に対してプロットしている。黒塗り四角形は腫瘍試料のデーター点を示し、白抜き四角形は血液試料のデーター点を示す。
【図5】投与から48時間後の131I-hMN-14ジアボディーの生体内分布を示す。試料は、肝臓、脾臓、腎臓、肺、血液、胃、小腸および大腸などの正常および腫瘍組織から採取した。131I-hMN-14ジアボディーの量は、組織1g当たりの投与線量の百分率(%ID/g)として示す。
【図6】hMN-14-0発現プラスミドからE. coliにて合成したhMN-14-0ポリペプチドの図解表現である。未加工ポリペプチドをコードする核酸構築物は、pelBシグナルペプチドをコードする配列、hMN-14VHおよびhMN-14VKコード配列、およびカルボキシル末端ヒスチジンアフィニティータグを含む。また、この図は、pelBシグナルペプチドのタンパク質分解除去後の成熟ポリペプチドの棒線画図面、およびCEA結合部位を含むhMN-14トリアボディーの棒線画図面を示している。
【図7】hMN-14トリアボディー精製のサイズ排除HPLC分析の結果を示す。hMN-14トリアボディーのHPLC溶出ピークは、9.01分である。可溶性タンパク質は、Ni-NTA IMACの後Q-Sepharoseアニオン交換クロマトグラフィーによって精製した。Q-Sepharoseカラムのフロースルー画分を、HPLC分析に用いた。hMN-14ジアボディーおよびhMN-14 F(ab')2の保持時間を矢印で示す。
【図8】投与後の最初の96時間のhMN-14ジアボディー(図8A)、hMN-14トリアボディー(図8B)およびhMN-14テトラボディー(図8C)の腫瘍取り込みおよび血中クリアランスの比較。組織1g当たりの投与線量の百分率(%ID/g)として測定した125Iで標識したタンパク質の量を、時間に対してプロットしている。
【図9】hMN-14-1G発現プラスミドからE. coliを用いて合成したhMN-14-1Gポリペプチド、およびhMN-14テトラボディーの形成の図解表現である。未加工ポリペプチドをコードする核酸構築物は、pelBシグナルペプチドをコードする配列、1個のグリシン残基によってカップリングしたhMN-14VHおよびVKコード配列、およびカルボキシル末端ヒスチジンアフィニティータグを含む。また、この図は、pelBシグナルペプチドのタンパク質分解除去後の成熟ポリペプチドの棒線画図面、およびCEA結合部位を含むhMN-14テトラボディーの棒線画図面を示している。
【図10】hMN-14-1Gポリペプチド精製のサイズ排除HPLC分析の結果を示す。可溶性タンパク質は、Ni-NTA IMACの後Q-Sepharoseアニオン交換クロマトグラフィーによって精製した。Q-Sepharoseカラムのフロースルー画分を、HPLC分析に用いた。ジアボディー、トリアボディーおよびテトラボディーのHPLC溶出ピークは、矢印で示す。
【図11】hMN-14-scFv-L5の核酸配列(配列番号:1)および推定アミノ酸配列(配列番号:2)である。核酸塩基1-66はpelBシグナルペプチドをコードし、70-423はhMN-14 VHをコードし、424-438はリンカーペプチド(GGGGS)をコードし、439-759はhMN-14 VKをコードし、766-783はヒスチジンアフィニティータグをコードする。
【図12】hMN-14 VH(配列番号:3)およびhMN-14 VK (配列番号:4)の推定アミノ酸配列である。
【図13】hMN-14-0の核酸配列(配列番号:5)および推定アミノ酸配列(配列番号:6)である。核酸塩基1-66はpelBシグナルペプチドをコードし、70-423はhMN-14VHをコードし、424-744はhMN-14VKをコードし、751-768はヒスチジンアフィニティータグをコードする。
【図14】hMN-14-1Gの核酸配列(配列番号:7)および推定アミノ酸配列(配列番号:8)である。核酸塩基1-66はpelBシグナルペプチドをコードし、70-423はhMN-14VHをコードし、424-427はリンカーペプチド(G)をコードし、427-747はhMN-14VKをコードし、754-771はヒスチジンアフィニティータグをコードする。
Claims (57)
- 同一の単一ターゲット抗原に親和性を有する2つ以上の結合部位を含んでなる多価の単一特異性結合タンパク質であって、前記結合部位が2以上の一本鎖Fv (scFv)断片の会合によって形成され、前記scFv断片が各々、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2つの可変ドメインを含んでなる、結合タンパク質。
- 前記モノクローナル抗体が腫瘍関連抗原に特異的である、請求項1に記載の結合タンパク質。
- 前記腫瘍関連抗原が、癌、黒色腫、肉腫、神経芽細胞腫、白血病、神経膠腫、リンパ腫、および骨髄腫からなる群から選択される疾患状態と関連している、請求項2に記載の結合タンパク質。
- 前記腫瘍関連抗原が、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、胆管、胸部、頸部の慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸、子宮内膜、食道、胃、頭および頸部のホジキンリンパ腫、肺、髄質甲状腺(medullary thyroid)の非ホジキンリンパ腫、卵巣、膵臓、前立腺、および膀胱からなる群から選択される癌の種類と関連している、請求項2に記載の結合タンパク質。
- 前記腫瘍関連抗原が、A3、A33、BrE3、CD1、CD1a、CD3、CD5、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD30、CD45、CD74、CD79a、CEA、CSAp、EGFR、EGP-1、EGP-2、Ep-CAM、Ba 733、HER2/neu、KC4、KS-1、KS1-4、Le- Y、MAGE、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、PAM-4、PSA、PSMA、RS5、S100、T101、TAG-72、テネイシン、Tn抗原、トムゼン−フリーデンライヒ抗原、腫瘍壊死抗原、VEGF、17-1A、血管新生マーカー、サイトカイン、免疫調節薬、癌遺伝子マーカー、および癌遺伝子生成物からなる群から選択される、請求項2に記載の結合タンパク質。
- 前記腫瘍関連抗原が癌胎児性抗原(CEA)である、請求項2に記載の結合タンパク質。
- 前記ヒト化モノクローナル抗体がhMN-14である、請求項6に記載の結合タンパク質。
- 診断薬、治療薬、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の薬剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の結合タンパク質。
- 前記診断薬が、抱合体、放射性核種、金属、コントラスト剤(contrast agent)、トラッキング剤(tracking agent)、検出剤、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の結合タンパク質。
- 前記放射性核種が、11C、13N、15O、18F、32P、51Mn、52Fe、52mMn、55Co、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、72As、75Br、76Br、82mRb、83Sr、86Y、89Zr、90Y、94mTc、94Tc、99mTc、110In、111In、120I、123I、124I、125I、131I、154-158Gd、177Lu、186Re、188Re、γ線エミッター、β線エミッター、陽電子線エミッター、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の結合タンパク質。
- 前記放射性核種が、51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Cu、67Ga、75Se、97Ru、99mTc、111In、114mIn、123I、125I、131I、169Yb、197Hg、201Tl、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の結合タンパク質。
- 前記金属ガドリニウム、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の結合タンパク質。
- 前記コントラスト剤がMRIコントラスト剤である、請求項9に記載の結合タンパク質。
- 前記コントラスト剤がCTコントラスト剤である、請求項9に記載の結合タンパク質。
- 前記コントラスト剤が超音波コントラスト剤である、請求項9に記載の結合タンパク質。
- 前記コントラスト剤が、アガドリニウムイオン、ランタンイオン、マンガンイオン、鉄、クロム、銅、コバルト、ニッケル、ジスプロシウム、レニウム、ユーロピウム、テルビウム、ホルミウム、ネオジム、別の類似のコントラスト剤、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の結合タンパク質。
- 前記トラッキング剤が、ヨウ素化合物、バリウム化合物、ガリウム化合物、タリウム化合物、バリウム、ジアトリゾエート、エチオド化油(ethiodized oil)、クエン酸ガリウム、イオカルム酸、イオセタム酸、イオダミド、イオジパミド、イオドキサム酸、イオグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパン酸、イオプロセム酸、イオセファム酸、イオセル酸、イオスラミドメグルミン、イオセメト酸、イオタスル、イオテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポデート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾエート、プロピリオドン、塩化第一タリウム、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の結合タンパク質。
- 前記検出剤が、酵素、蛍光化合物、化学発光化合物、生物発光化合物、放射性同位体、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の結合タンパク質。
- 前記治療薬が、放射性核種、化学療法薬、サイトカイン、ホルモン、増殖因子、毒素、免疫調節薬、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の結合タンパク質。
- 前記放射性核種が、32P、33P、47Sc、59Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、75Se、77As、89Sr、90Y、99Mo、105Rh、109Pd、111Ag、111In、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の結合タンパク質。
- 前記放射性核種が、58Co、67Ga、80mBr、99mTc、103mRh、109Pt、111In、119Sb、125I、161Ho、189mOsおよび192Ir、152Dy、211At、211Bi、212Bi、213Bi、215Po、217At、219Rn、221Fr、223Ra、225Ac、255Fm、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の結合タンパク質。
- 前記化学療法薬が、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、エピドフィロトキシン、タキサン、代謝拮抗物質、アルキル化剤、抗生物質、Cox-2阻害剤、有糸分裂阻害剤、血管新生抑制剤、アポトーシス剤、ドキソルビシン、メトトレキセート、タキソール、CPT-11、カンプトテカン、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホン酸塩、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体、白金配位錯体、ホルモン、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の結合タンパク質。
- 前記毒素が、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、 DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシンA、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリン毒素、プセウドモナス外毒素、プセウドモナス内毒素、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の結合タンパク質。
- 前記免疫調節薬が、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子、インターフェロン、幹細胞増殖因子、エリトロポエチン、トロンボポエチン、およびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の結合タンパク質。
- 同一の単一ターゲット抗原に親和性を有する2つの結合部位を含んでなる多価の単一特異性結合タンパク質(単一特異性ジアボディという)であって、前記結合部位が2本の一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成され、該scFv断片が各々、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2つの可変ドメインを含んでなる、結合タンパク質。
- 前記モノクローナル抗体が腫瘍関連抗原に特異的である、請求項25に記載の単一特異性ジアボディー。
- 前記腫瘍関連抗原が癌胎児性抗原(CEA)である、請求項26に記載の単一特異性ジアボディー。
- 前記ヒト化モノクローナル抗体がhMN-14である、請求項25に記載の単一特異性ジアボディー。
- 前記scFvが各々、hMN-14のVHおよびVK領域を含んでなる、請求項28に記載の単一特異性ジアボディー。
- 前記scFvが各々、hMN-14のVHおよびVK領域を含むアミノ酸リンカーをさらに含んでなる、請求項29に記載の単一特異性ジアボディー。
- 前記scFvが各々、配列番号:2のアミノ酸配列を含んでなる、請求項30に記載の単一特異性ジアボディー。
- 請求項25に記載の単一特異性ジアボディーをコードするヌクレオチド配列を含んでなる、発現ベクター。
- 請求項32に記載の発現ベクターを含んでなる、宿主細胞。
- 同一の単一ターゲット抗原に親和性を有する3つの結合部位を含んでなる多価の単一特異性結合タンパク質(単一特異性トリアボディという)であって、前記結合部位が3本の一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成され、該scFv断片が各々、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2つの可変ドメインを含んでなる、結合タンパク質。
- 前記モノクローナル抗体が腫瘍関連抗原に特異的である、請求項34に記載の単一特異性トリアボディー。
- 前記腫瘍関連抗原が癌胎児性抗原(CEA)である、請求項35に記載の単一特異性トリアボディー。
- 前記ヒト化モノクローナル抗体がhMN-14である、請求項34に記載の単一特異性トリアボディー。
- 前記scFvが各々、hMN-14のVHおよびVK領域を含んでなる、請求項37に記載の単一特異性トリアボディー。
- 前記scFvが配列番号:6のアミノ酸配列を含んでなる、請求項38に記載の単一特異性トリアボディー。
- 請求項34に記載の単一特異性トリアボディーをコードするヌクレオチド配列を含んでなる、発現ベクター。
- 請求項40に記載の発現ベクターを含んでなる、宿主細胞。
- 同一の単一ターゲット抗原に親和性を有する4つの結合部位を含んでなる、多価の単一特異性結合タンパク質(単一特異性テトラボディーという)であって、前記結合部位が4本の一本鎖Fv(scFv)断片の会合によって形成され、該scFv断片が各々、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体由来の少なくとも2つの可変ドメインを含んでなる、結合タンパク質。
- 前記モノクローナル抗体が腫瘍関連抗原に特異的である、請求項42に記載の単一特異性テトラボディー。
- 前記腫瘍関連抗原が癌胎児性抗原(CEA)である、請求項43に記載の単一特異性テトラボディー。
- 前記ヒト化モノクローナル抗体がhMN-14である、請求項42に記載の単一特異性テトラボディー。
- 前記scFvが各々、hMN-14のVHおよびVK領域を含んでなる、請求項45に記載の単一特異性テトラボディー。
- 前記scFvが各々、hMN-14のVHおよびVx領域を結合するアミノ酸リンカーをさらに含んでなる、請求項46に記載の単一特異性テトラボディー。
- 前記scFvが各々、配列番号:8のアミノ酸配列を含んでなる、請求項47に記載の単一特異性テトラボディー。
- 請求項42に記載の単一特異性テトラボディーをコードするヌクレオチド配列を含んでなる、発現ベクター。
- 請求項49に記載の発現ベクターを含んでなる、宿主細胞。
- 腫瘍の存在の診断方法であって、腫瘍を有することが疑われる被験者に、請求項9に記載の結合タンパク質の検出可能な量を投与し、被験者を観察して腫瘍への結合タンパク質の結合を検出することを含んでなる、方法。
- 腫瘍の治療方法であって、治療を必要とする被験者に、請求項19に記載の結合タンパク質の有効量を投与することを含んでなる、上記方法。
- 腫瘍の存在の診断方法であって、腫瘍を有することが疑われる被験者に、請求項1に記載の結合タンパク質に結合することができる検出可能な残基と組み合わせた前記結合タンパク質の検出可能な量を投与し、被験者を観察して結合タンパク質の腫瘍への結合を検出することを含んでなる、方法。
- 腫瘍の治療方法であって、治療を必要とする被験者に、治療薬と組み合わせた請求項1に記載の結合タンパク質の有効量を投与することを含んでなる、方法。
- 前記治療薬が、化学療法薬、毒素、外部放射線、近接照射療法放射線剤、放射能標識タンパク質、抗癌薬、および抗癌抗体からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
- 1つ以上の診断薬、1つ以上の治療薬、または2つ以上のそれらの組合せを腫瘍に送達する方法であって、前記診断薬、治療薬またはそれらの組合せを必要とする被験者に、請求項8に記載の結合タンパク質を投与することを含んでなる、方法。
- 前記治療および/または診断に使用するキットであって、請求項8に記載の少なくとも1種類の結合タンパク質、および追加の試薬、装置および使用説明書を含んでなる、キット。
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