JP2005505462A - 自動車の膨張可能なエアバック用のケーシング - Google Patents

Abstract

本発明は、自動車の膨張可能なエアバック用のケーシングであって、ガス発生器と、折り畳まれたエアバックを収容するための収容室と、点火されたガス発生器によって解放されたガスを均一に分配するために働きかつケーシングと一体に形成されたディフューザとが設けられており、ガス発生器がディフューザに挿入されている形式のものにおいて、ガス発生器が該ガス発生器をディフューザ内に固定するために、ディフューザ室内壁との形状結合式の結合部を有している。

Description

【０００１】
本発明は、請求項１の上位概念部に記載された形式の、自動車の膨張可能なエアバック用のケーシングに関する。
【０００２】
例えばドイツ連邦共和国特許公開第１９７０３７６７号明細書に基づいて公知のこのような形式のケーシングは、ガス発生器と、折り畳まれたエアバックを収容するための収容室と、点火されたディフューザによって解放されたガスを均一に分配するために働きかつケーシングと一体的に形成されたディフューザとを有している。ガス発生器は直接的にディフューザに挿入されている。自動車において今日益々安全に関する要求が高まっていることに基づいて、事故の際に乗員を大怪我から守る膨張可能なエアバックも、種々様々な形態のものの使用が増加している。そして近年においてはエアバックはもはや高級車における装備だけに留まっておらず、廉価な自動車においても設けられている。これによって、エアバック用のケーシングを安価に製造できることに対する要求も高まった。これに伴って、ケーシング自体の製造時及び自動車への該ケーシングの取付け時における必要な取付け手間もしくはコスト並びに構成部材を減じることに対する要求も、現れている。
【０００３】
ガス発生器を、膨張可能なエアバック用のケーシングと一体的に構成されたディフューザ内に直接挿入することは、同様にドイツ連邦共和国特許公開第１９７０３７６７号明細書に基づいて公知である。この明細書に開示された解決策によれば、ガス発生器は片側においてケーシングとねじ結合されるか又は、ケーシングにスナップ結合を用いて保持されるようになっている。そしてねじ結合部とは反対側に位置する側に、ガス発生器はシール領域を有している。ガス発生器と該ガス発生器を収容するケーシングとの間における必要なねじ結合によって必然的に生じる組立て手間もしくはコスト、及び必要な構成部材並びにケーシングにおける処置は、極めて手間がかかり、コスト高となり、ひいては不経済である。
【０００４】
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式の膨張可能なエアバック用のケーシングを改良して、経済的に製造可能でかつ取付け可能であり、しかもその組立てが従来公知の解決策に比べて簡単なケーシングを提供することである。
【０００５】
この課題は、請求項１の特徴部に記載の構成によって解決される。
【０００６】
本発明のその他の有利な構成は、請求項２以下に記載されている。
【０００７】
本発明の構成によれば、ガス発生器が該ガス発生器をディフューザ内に固定するために、ディフューザ室内壁との形状結合式（ｆｏｒｍｓｃｈｌｕｅｓｓｉｇ）及び／又は摩擦力結合式（ｋｒａｆｔｓｃｈｌｕｅｓｓｉｇ）の結合部を有している。
【０００８】
このような構成によって、ガス発生器は少なくともディフューザ内壁の一部によって緊密にかつしっかりと取り囲まれる。それというのはディフューザ内壁は有利には、ガス発生器の外輪郭に対して相補的な形状をもつ内輪郭を有しており、従って内輪郭はガス発生器にほぼぴったりと添うからである。ガス発生器は本発明の構成に相応してケーシングのディフューザ内に収容されている。ガス発生器の保持は従って付加的な補助手段なしに可能である。また、例えばねじを用いてガス発生器とケーシングとを結合する必要がないことに基づいて、本発明ではケーシングの組立ても著しく簡単になる。さらにまた、ガス発生器をディフューザ内に係止するためには、例えばスナップ結合又は同様な解決策を使用することができる。ディフューザ室の内輪郭にガス発生器の外輪郭が大きな面積で接触することによって、ガス発生器の固定も同様に主として摩擦力結合式に行うことができる。
【０００９】
本発明の別の構成では、ディフューザ内部におけるガス発生器の座着もしくはしっかりとした固定が、ガス発生器とディフューザ室内壁との間におけるプレス嵌めによって達成され得る。そのためにガス発生器はケーシングの組立て中に、ディフューザ内室に直接押し込まれる。ディフューザ室はそのために幾分円錐形に構成されていることができる。
【００１０】
ディフューザ室内部におけるガス発生器の保持力を付加的に高めるための別の有利な構成では、ガス発生器とディフューザ室内壁との間における形状結合式の結合部が、ディフューザ室内へのガス発生器の挿入後に変形される縁部フランジを用いて形成される。この縁部フランジは自体公知の変形方法によって、ガス発生器の外面に接触させられることができる。この場合例えばプラスチック製のケーシングのためには、超音波・変形・又は溶着方法（Ｕｌｔｒａｓｃｈａｌｌ−Ｕｍｆｏｒｍ− ｏｄｅｒ −Ｓｃｈｗｅｉｓｓｖｅｒｆａｈｒｅｎ）もしくは、オービタル・変形・又は溶着方法（Ｏｒｂｉｔａｌ−Ｕｍｆｏｒｍ− ｏｄｅｒ −Ｓｃｈｗｅｉｓｓｖｅｒｆａｈｒｅｎ）又はその他の技術的な処置が可能である。金属製のケーシングでは、又はプラスチック・金属・ハイブリッド材料（Ｋｕｎｓｔｓｔｏｆｆ−Ｍｅｔａｌｌ−Ｈｙｂｒｉｄｗｅｒｋｓｔｏｆｆ）の使用時には、折畳み曲げも可能であり、これによって縁部フランジはガス発生器をディフューザ室において固定する。
【００１１】
本発明の別の有利な構成では、ディフューザがガス流出方向にディフューザキャップを備えており、このディフューザキャップは、ガス発生器によって生ぜしめられたガスを最適化して解放するために複数の流出開口を有しており、これによって均一な開放とエアバックのコンスタントな膨張とを保証することができる。従って流出開口が、均一な間隔をおいてディフューザキャップの全周にわたって分配配置されていると有利である。ディフューザキャップというのは、本発明では、ガス流出方向で見てディフューザの上側部分のことである。
【００１２】
折り畳まれてディフューザに被せられたエアバックは、さらに保持部材を用いて、エアバックを収容する受容室内に固定することができる。この保持部材は、本発明の別の構成ではクランプフックとして構成可能である。エアバックはケーシング内への組込みのためにフランジ領域を有しているので、この接続フランジにクランプフックをスナップ結合するための相応な相補的な開口を設けることが、簡単に可能である。
【００１３】
エアバックの組付けを簡単化するために本発明の別の構成では、ケーシングが、ガス流出側とは反対側に位置する下側に、取付け開口を有している。これらの取付け開口は例えば、取付けフックをケーシングの内部に導入するために使用することができ、取付けフックを用いてクランプフックが変形可能であり、その結果エアバックはその接続フランジでクランプフックを介して案内されることができる。
【００１４】
本発明による膨張可能なエアバック用のケーシングを自動車に経済的に取り付けることを可能にするために、本発明の別の構成では、ケーシングが、ガス流出側とは反対側に位置する下側に、固定フックを備えており、これらの固定フックは自動車構成部材の対応する切欠き内にスナップ結合することができる。上に述べた構成によって、膨張可能なエアバックを収容するケーシングを極めて短時間のうちに組み立てることができ、しかも、このようにして組み立てられたケーシングを自動車に取り付けることも同様に簡単に可能であるので、本発明により全体として極めて経済的な解決策を得ることができる。
【００１５】
固定フックがスナップ結合する自動車構成部材としては、例えばステアリングホイールが挙げられる。しかしながらまた同様に、本発明によるケーシングを助手席側エアバック用のケーシングとして構成することも可能であり、この場合には自動車構成部材はインストルメントパネルもしくはダッシュボードつまりフロント領域における保持体である。
【００１６】
ガス発生器の作動時に生じる爆発力を吸収するために、本発明の別の構成では、ガス発生器が、ガス流出側とは反対側に位置する下側に接触面を有しており、この接触面は、ガス発生器の作動時にその下に位置する自動車構成部材に直接接触し、これによってこの自動車構成部材に支持される。ガス発生器が作動していない状態では、ガス発生器の下側面とそばに位置している自動車構成部材との間には僅かな間隔が存在している。これによって、走行運転中にばたつきによる騒音の発生を回避することのできるポジティブな効果を得ることができる。
【００１７】
誤差を補償するために並びに、走行運転中に生じる振動を回避もしくは減少させるために有利な構成では、ガス発生器とディフューザ室内壁との間に、補償及び／又はシールエレメントが挿入されている。このシールエレメントは最も簡単な場合では、例えばルーズに挿入可能なゴムリングである。
【００１８】
本発明による膨張可能なエアバック用のケーシングに必要な安定性を与えるために、別の有利な構成では、補強のための補強リブを設けること及び／又はケーシングを複数の壁から構成することが提案されている。この場合ケーシングを経済的に製造できるようにするためには、ケーシング全体を一体的に例えばプラスチックから又は金属・プラスチック・ハイブリッド材料から製造すると有利である。このようになっていると、僅かな作業ステップで、本発明によるケーシングを製造すること、ケーシングをガス発生器と結合すること及び、次いでケーシングを自動車に組み込むことが可能になる。
【００１９】
次に図面を参照しながら、膨張可能なエアバックのための本発明によるケーシングの２つの有利な実施例を説明する。
【００２０】
図１は、膨張可能なエアバック用のケーシングの第１実施例を示す断面図、
図２は、膨張可能なエアバック用のケーシングの第２実施例を示す断面図である。
【００２１】
図１及び図２に示された、膨張可能なエアバック用のケーシング３は、完全にプラスチックから製造されている。
【００２２】
ケーシング３は、折り畳まれたエアバックを挿入及び固定するための収容室２を有している。エアバックは図面を簡単にするために図示されていない。ケーシング３の中央領域には、全体を符号４で示されたディフューザが配置されている。このディフューザ４内にはガス発生器１が挿入されている。このガス発生器１は摩擦力結合式（ｒｅｉｂｓｃｈｌｕｅｓｓｉｇ）にディフューザ室内壁５にしっかりと接触している。ガス流出方向Ａ、つまり図面で見てガス発生器１の上に、ディフューザ４はディフューザキャップ７を有している。このディフューザキャップ７は、均一にその全周にわたって流出開口８を備えている。流出開口８を通って、ガス発生器１によって作動時に生ぜしめられたガスは、均一にエアバック内に放出され、これによってエアバックは同様に均一に膨らむことができる。ガス発生器１は図１及び図２に示された本発明によるケーシング３の実施例では、プレス嵌めによってディフューザ室内壁５と結合され、かつディフューザ室内壁５と結合され、かつディフューザ室内壁へのガス発生器１の挿入後に変形される縁部フランジ６を用いて保持されている。変形された縁部フランジ６は、しかしながら同様にスナップ結合部として構成されていてもよい。これによってディフューザ４内におけるガス発生器１の確実な固着を保証することができる。
【００２３】
ガス発生器１は、そのガス流出側Ａとは反対の下側１４に接触面１５を有しており、この接触面１５は、通常状態では、見易くするために図面には示されていない自動車構成部材に対して小さな間隔をおいて位置している。ガス発生器１の作動によって生ぜしめられる力作用の結果、この間隔は０まで減じられ、これによりガス発生器１はその接触面１５を介して直接的に自動車構成部材に支持される。図１及び図２に示された膨張可能なエアバック用のケーシング３の実施例において共通なこととして、さらに次のことが挙げられる。すなわち両実施例において、ケーシング３の内側つまり収容室２の内部に、クランプフックの形をした保持部材９が設けられており、これらの保持部材９は、エアバックに固定された取付けフランジの対応する開口に係合しており、その結果これらの保持部材９を介してエアバックは、ケーシング３の収容室２の内部に固定可能である。エアバックの取付けを簡単にするためには、ケーシング３の下側１０における取付け開口１１が働く。
【００２４】
自動車構成部材におけるケーシング３の迅速固定を可能にするために、ケーシングはその下側１０にさらに固定フック１２を有しており、これらの固定フック１２は、自動車構成部材の対応する受容部にスナップ式に固定可能である。これによって、本発明によるケーシングを大きな手間をかけることなく迅速かつ簡単に取り付けることもしくは自動車に組み込むという課題を、考慮することができる。
【００２５】
図１及び図２に示されている、基本的に同じ構造を有しているケーシング３は、ディフューザキャップ７の構成において互いに異なっている。ディフューザキャップ７は図１の実施例では半球状に構成されており、図２に示された変化実施例では平らな上面を有している。
【００２６】
さらに図２に示されているように、ケーシング３には、補償エレメントもしくはシールエレメント１６がディフューザ室内壁５とガス発生器１との間に設けられている。ディフューザ室内壁５とガス発生器１との間に設けられたこの補償エレメントもしくはシールエレメント１６は、図示の実施例では許容誤差補償及び振動補償部材として働く。補償エレメントもしくはシールエレメント１６の接触もしくは支持を改善するために、ディフューザ４は補償エレメントもしくはシールエレメント１６の領域に、引き込まれたフランジ状の領域１７を備えている。
【図面の簡単な説明】
【図１】
膨張可能なエアバック用のケーシングの第１実施例を示す断面図である。
【図２】
膨張可能なエアバック用のケーシングの第２実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
１ ガス発生器、 ２ 収容室、 ３ ケーシング、 ４ ディフューザ、 ５ ディフューザ室内壁、 ６ 縁部フランジ、 ７ ディフューザキャップ、 ８ 流出開口、 ９ 保持部材、 １０ 下側、 １１ 取付け開口、 １２ 固定フック、 １４ 下側、 １５ 接触面、 １６ 補償エレメントもしくはシールエレメント、 １７ フランジ領域

Claims (16)

1. 自動車の膨張可能なエアバック用のケーシングであって、ガス発生器（１）と、折り畳まれたエアバックを収容するための収容室（２）と、点火されたガス発生器（１）によって解放されたガスを均一に分配するために働きかつケーシング（３）と一体に形成されたディフューザ（４）とが設けられており、ガス発生器（１）がディフューザ（４）に挿入されている形式のものにおいて、ガス発生器（１）が該ガス発生器をディフューザ（４）内に固定するために、ディフューザ室内壁（５）との形状結合式及び／又は摩擦力結合式の結合部を有していることを特徴とする、自動車の膨張可能なエアバック用のケーシング。
2. ガス発生器（１）とディフューザ室内壁（５）との間における形状結合式及び／又は摩擦力結合式の結合部が、プレス嵌めである、請求項１記載のケーシング。
3. ガス発生器（１）とディフューザ室内壁（５）との間における形状結合式及び／又は摩擦力結合式の結合部が、ディフューザ室内へのガス発生器の挿入後に変形される縁部フランジ（６）から成っている、請求項１又は２記載のケーシング。
4. ガス発生器（１）とディフューザ室内壁（５）との間における形状結合式及び／又は摩擦力結合式の結合部が、スナップ結合から成っている、請求項１又は２記載のケーシング。
5. ディフューザ（４）がガス流出方向（Ａ）に、解放されたガスのための流出開口（８）を備えたディフューザキャップ（７）を有している、請求項１から４までのいずれか１項記載のケーシング。
6. 流出開口（８）が、均一な間隔をおいてディフューザキャップ（７）の全周にわたって分配配置されている、請求項５記載のケーシング。
7. 折り畳まれたエアバックを収容するための収容室（２）内に、エアバックを固定するための保持部材（９）が設けられている、請求項１から６までのいずれか１項記載のケーシング。
8. 保持部材（９）がクランプフックである、請求項７記載のケーシング。
9. ケーシング（３）が、ガス流出側とは反対側に位置する下側（１０）に、取付け開口（１１）を有している、請求項１から８までのいずれか１項記載のケーシング。
10. ケーシング（３）が、ガス流出側とは反対側に位置する下側（１０）に、自動車構成部材との結合のための固定フック（１２）を有している、請求項１から９までのいずれか１項記載のケーシング。
11. 自動車構成部材がステアリングホイールである、請求項１０記載のケーシング。
12. ガス発生器（１）が、ガス流出側とは反対側に位置する下側（１４）に、該ガス発生器の作動時に自動車構成部材に支持される接触面（１５）を有している、請求項１０又は１１記載のケーシング。
13. ガス発生器（１）とディフューザ室内壁（５）との間に、補償及び／又はシールエレメント（１６）が挿入されている、請求項１から１２までのいずれか１項記載のケーシング。
14. ディフューザ（４）及び／又はケーシング（３）が、補強リブによって補強されている、請求項１から１３までのいずれか１項記載のケーシング。
15. ケーシング（３）が複数の壁から構成されている、請求項１から１４までのいずれか１項記載のケーシング。
16. 全体を一体的に構成されたケーシング（３）が、プラスチックから又は、金属・プラスチック・ハイブリッド材料から成っている、請求項１から１５までのいずれか１項記載のケーシング。