JP2005502687A - β−ラクタマーゼ阻害剤としての7−アルキリデン−3−置換型−3−セフェム−4−カルボキシラート - Google Patents
β−ラクタマーゼ阻害剤としての7−アルキリデン−3−置換型−3−セフェム−4−カルボキシラート Download PDFInfo
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Abstract
本発明は、R1−R4およびAが本明細書に規定するいずれかの等価物(value)を有する式(I)で示される化合物、およびその医薬上許容される塩を提供し、これらの化合物は、β−ラクタマーゼ酵素を阻害するのに有用であり、β−ラクタム系抗生物質の活性を高めるのに有用であり、かつ、哺乳動物におけるβ−ラクタム耐性の細菌感染症を治療するのに有用である。また、本発明は、式(I)で示される化合物を含む医薬組成物、式(I)で示される化合物を調製するプロセス、ならびに式(I)で示される化合物を合成するのに有用な中間体も提供する。
Description
【0001】
発明の優先権
本願は、2001年7月24日に出願された米国仮特許出願番号60/307,403に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
β−ラクタム系抗生物質に対する微生物耐性の最も重要な機構は、ペニシリンおよびセファロスポリンのごときβ−ラクタム系抗生物質を加水分解的に破壊する酵素、すなわちβ−ラクタマーゼの微生物による産生である。このタイプの耐性は、同菌株の他のメンバーのみならず、他の種にさえも耐性を迅速に拡大することができるプラスミドによって水平的に移行し得る。かかる迅速な遺伝子の移行に起因して、患者は各々が同じβ−ラクタマーゼを所有する異なる生物に感染するようになり得る。β−ラクタマーゼ酵素はアミノ酸配列に基づいて4の分子クラス;A、B、CおよびDに組織されている。クラスAにはRTEMおよびスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)のβ−ラクタマーゼが含まれ、クラスCにはP−99エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)由来のラクタマーゼが含まれ、クラスDはセリン・ヒドラ−ゼである。クラスA酵素は約29kDaの分子量を有しペニシリンを専ら加水分解する。クラスBラクタマーゼは金属酵素であって、他のクラスのタンパク質よりも広い基質特性を有する。クラスC酵素にはグラム陰性細菌の染色体セファロスポリナーゼが含まれ、ほぼ39kDaの分子量を有する。最近になって認識されたクラスD酵素はクラスAおよびクラスCの双方とも著しく異なるユニークな基質特性を示す。
【0003】
特に、クラスCセファロスポリナーゼは、従来および新たに設計された双方の種々の抗生物質に対するグラム陰性細菌の耐性に寄与している。クラスC酵素を所有しているエンテロバクター種は、今や、合衆国における院内感染の三番目に多い原因である。このクラスの酵素は、普通に処方される阻害剤であるクラブラン酸のごときクラスA酵素の阻害剤に対して親和性が低い場合があり、6−β−ヨードペニシリン酸のごとき一般的なイン・ビトロ(in vitro)不活性化剤に対して親和性が低い場合がある。
【0004】
この迅速に進化する細菌の耐性を克服する1の戦略は、β−ラクタマーゼ阻害剤の合成および投与である。よくあるケースとしては、β−ラクタマーゼ阻害剤それ自体は抗生物質活性を所有しておらず、したがって抗生物質と一緒に投与される。かかる相乗的混合物の一例は、AUGMENTIN(アモキシシリン、クラブラン酸カリウム)なる商標名で販売されている商品であり、それには抗生物質であるアモキシシリンおよびβ−ラクタマーゼ阻害剤であるクラブラン酸カリウムが含まれている。
【0005】
新規なβ−ラクタマーゼ阻害剤、とりわけβ−ラクタム系抗生物質と一緒に投与し得るβ−ラクタマーゼ阻害剤に対して継続した要望が存在する。
【0006】
発明の概要
本発明は、式(I):
【0007】
【化1】
【0008】
[式中、
R1およびR2は各々独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、(C1−C10)アルコキシカルボニル、アリール、複素環、ハロ、シアノ、ニトロ、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRfRg、またはS(O)nRhであり;
R3は水素、ハロ、アリール、ヘテロアリール、−S(O)nRh、または−CH=CHC(=O)NRmRpであり;
R4は水素であり;
Aはチオ、スルフィニル、またはスルホニルであり;
各nは独立して、0、1、または2であり;
各Reは独立して、水素、または(C1−C10)アルキルであり;
各RfおよびRgは独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C1−C10)アルコキシ、フェニル、ベンジル、フェネチル、(C1−C10)アルカノイル、または−C(=O)NRfRgであり、ここにRfおよびRgは所望により窒素原子を環−NRe−中に含んでいてもよい環を形成し;
各Rhは独立して、(C1−C10)アルキル、またはアリールであり;
Rmは水素であって、RpはNH2、OH、(C2−C10)シクロアルキル、または−(C2−C10)アルキル−NH2であり;あるいは、RmおよびRpはそれらが結合する窒素と一緒になってピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロリジンまたはピペラジン環を形成し、ここにピペラジンは4−位において水素または(C1−C10)アルキルで置換されており;
ここにR1またはR2のいずれかの(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、または(C1−C10)アルコキシカルボニルは、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、シアナト、ニトロ、メルカプト、オキソ、アリール、複素環、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリール(C1−C6)アルカノイルオキシ、ハロ(C1−C6)アルカノイルオキシ、複素環(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリールオキシ、(複素環)オキシ、(C3−C8)シクロアルキル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、−NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1ないしそれを超える置換基で置換されていてもよく;
ここにいずれのアリールも、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、トリフルオロメトキシ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよい]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0009】
本発明は、医薬上許容される希釈剤または担体と組合せた式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩を含む医薬組成物、ならびにさらにβ−ラクタム系抗生物質を含むかかる医薬組成物も提供する。
本発明は、β−ラクタマーゼと式(I)で示される有効量の化合物;またはその医薬上許容される塩とを(イン・ビトロ(in vitro)またはイン・ビボ(in vivo)で)接触させることによってβ−ラクタマーゼを阻害することを含む方法も提供する。
【0010】
また、本発明は、有効阻害量の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩を投与することによってかかる治療を必要とする哺乳動物におけるβ−ラクタマーゼを阻害することを含む治療方法も提供する。
また、本発明は、有効なβ−ラクタマーゼ阻害量の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩と組合せてβ−ラクタム系抗生物質をそれを必要とする哺乳動物に投与することによって、β−ラクタム系抗生物質の活性を高めることを含む方法も提供する。
【0011】
また、本発明は、有効なβ−ラクタマーゼ阻害量の式(I)で示される化合物;またはその医薬上許容される塩と組合せて有効量のβ−ラクタム系抗生物質を投与することによって哺乳動物におけるβ−ラクタム耐性細菌感染症を治療することを含む方法も提供する。
また、本発明は、医学療法における使用のための(好ましくは哺乳動物においてβ−ラクタマーゼを阻害することに使用するための、または哺乳動物におけるβ−ラクタム耐性細菌感染症を治療するための)式(I)で示される化合物、ならびにヒトにおけるβ−ラクタマーゼを阻害するのに有用な薬物を製造するための式(I)で示される化合物の使用も提供する。
【0012】
また、本発明は、式(I)で示されるβ−ラクタマーゼ阻害剤を調製するのに有用である本明細書中に開示するプロセスおよび中間体も提供する。
【0013】
式(I)で示される化合物は、治療適用用のβ−ラクタマーゼ阻害剤として有用である。それは、抗生物質耐性の機構を研究するための、他の治療抗生物質剤またはβ−ラクタマーゼ阻害剤を同定するのを支援するための、所定の微生物によってβ−ラクタマーゼが発現されているかを同定するための、または微生物における1またはそれを超えるβ−ラクタマーゼを選択的に阻害するためのイン・ビトロ(in vitro)またはイン・ビボ(in vivo)実験用の薬理学的ツールとしても有用である。
【0014】
詳細な説明
別段指摘しない限り、以下の定義を使用する。ハロとはフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードである。アルキル、アルコキシ、アルケニルなどは、直鎖および分岐鎖基の両方を示す。アリールとは、フェニル基、または少なくとも1の環が芳香族である約9ないし10の環原子を有するオルト縮合した二環式の炭素環式基を示す。複素環とは、炭素と非ペルオキシド酸素、硫黄およびN(X)(ここに各Xは存在しないかまたはH、O、(C1−C4)アルキル、フェニルまたはベンジルである)よりなる群から選択される1、2、3または4のヘテロ原子とを含む6ないし10員の不飽和または飽和、単環式、二環式または三環式の環系を示す。”複素環”なる語には、炭素と非ペルオキシド酸素、硫黄およびN(X)(ここに各Xは存在しないかまたはH、O、(C1−C4)アルキル、フェニルまたはベンジルである)よりなる群から各々選択される1ないし4のヘテロ原子とからなる5または6の環原子を含む単環式芳香族環の環原子を介して結合した基を示す”ヘテロアリール”、ならびにそれから由来する約8ないし10の環原子のオルト縮合した二環式複素環の基、特にベンゾ誘導体またはそれにプロピレン、トリメチレン、またはテトラメチレン二価基が縮合することによって誘導されたものが含まれる。好ましいヘテロアリールは、例えばピリジル基である。
【0015】
β−ラクタム系抗生物質の活性を”高める”なる語句は、本発明の化合物の不存在下で化合物によって示された活性に関して、統計学的に測定可能なかつ有意な手段で比較した抗生物質活性の改善または上昇を意味する。
"BH"または"bhl"なる文字はベンズヒドリルエステルを表す。
【0016】
キラル中心を有する本発明の化合物は光学活性形態およびラセミ形で存在し得ることは当業者によって認められる。ある種の化合物は多形を示し得る。本発明が、本明細書中に記載した有用な特性を所有する本発明の化合物のいずれのラセミ、光学活性、多形または立体異性体形、またはそれらの混合物をも包含することは理解されるべきであり、いかにして光学活性形(例えば、再結晶化技術によるラセミ形の分割によって、光学活性出発物質からの合成によって、キラル合成によって、またはキラル固相を用いたクロマトグラフィー分離によって)を調製するか、および本明細書中に記載した標準試験を用いて、もしくは当該技術分野においてよく知られている他の同様の試験を用いていかにしてβ−ラクタマーゼ阻害活性を測定するかは当該技術分野においてよく知られている。
基、置換基および範囲について後記する特定の値は、説明目的のみのものであって;それらは基および置換基について他の規定した値または規定した範囲内の他の値を排除するものではない。
【0017】
具体的には、(C1−C6)アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、3−ペンチル、またはヘキシルとなり得;(C1−C10)アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、3−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、またはデシルとなり得;(C3−C8)シクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルとなり得;(C1−C10)アルコキシはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ、ペントキシ、3−ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシまたはデシルオキシとなり得;(C1−C6)アルコキシはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ、ペントキシ、3−ペントキシ、またはヘキシルオキシとなり得;(C2−C10)アルケニルはビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキシル、5−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、4−ヘプテニル、5−ヘプテニル、6−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、3−オクテニル、4−オクテニル、5−オクテニル、6−オクテニル、7−オクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、4−ノネニル、5−ノネニル、6−ノネニル、7−ノネニル、8−ノネニル、1−デセニル、2−デセニル、3−デセニル、4−デセニル、5−デセニル、6−デセニル、7−デセニル、8−デセニル、または9−デセニルとなり得;(C2−C10)アルキニルはエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、2−ヘプチニル、3−ヘプチニル、4−ヘプチニル、5−ヘプチニル、6−ヘプチニル、1−オクチニル、2−オクチニル、3−オクチニル、4−オクチニル、5−オクチニル、6−オクチニル、7−オクチニル、1−ノニニル、2−ノニニル、3−ノニニル、4−ノニニル、5−ノニニル、6−ノニニル、7−ノニニル、8−ノニニル、1−デシニル、2−デシニル、3−デシニル、4−デシニル、5−デシニル、6−デシニル、7−デシニル、8−デシニル、または9−デシニルとなり得;(C1−C10)アルカノイルはアセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、またはデカノイルとなり得;(C1−C10)アルコキシカルボニルはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ノニルオキシカルボニル、またはデシルオキシカルボニルとなり得;(C1−C10)アルカノイルオキシはホルミルオキシ、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、イソブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ヘプタノイルオキシ、オクタノイルオキシ、ノナノイルオキシ、またはデカノイルオキシとなり得;アリールはフェニル、インデニル、またはナフチルとなり得;複素環はベンゾトリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソオキサゾリル、オキサゾリジノイル、イソキサゾリジノイル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピロリル、ピラジニル、ピリジニル、モルホリニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ピリミジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、またはピペラジニルとなり得;およびヘテロアリールは、例えば、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソオキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾイル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、1−メチル−1H−テトラゾ−ル−5−イル、ピリジル、(またはそのN−オキシド)、チエニル、ピリミジニル(またはそのN−オキシド)、インドリル、イソキノリル(またはそのN−オキシド)、またはキノリル(またはそのN−オキシド)となり得る。
【0018】
1の具体例において、本発明は式(I):
【0019】
【化2】
【0020】
[式中、
R1およびR2は各々独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、(C1−C10)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、ハロ、シアノ、ニトロ、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRfRg、または−S(O)nRhであり;
R3は水素、ハロ、アリール、ヘテロアリール、複素環、−Sn(R5)3、−SAr、−S(O)nAr、−S(O)nRh、−S(O)nNH2、−S(O)nNHRf、−S(O)nNRfRg、−COORm、−C(=O)−Rh、−C(=O)NRfRg、−CH=NORi、−CH=CRjRk、またはシアノであり;
R4は水素、アリール、複素環、(C1−C10)アルキル、ベンジル、フェネチル、−CHAr2または−CHPh2のごとき−ジアリール置換型(C1−C10)アルキルであり;
各R5は独立して、−(C1−C10)アルキル、(C1−C10)アルコキシ、フェニル、ベンジル、フェネチルであり;
Aはチオ、スルフィニル、またはスルホニルであり;
各nは独立して、0、1、または2であり;
各Reは独立して、水素、または(C1−C10)アルキルであり;
各RfおよびRgは独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C1−C10)アルコキシ、フェニル、ベンジル、フェネチル、(C1−C10)アルカノイル、または−C(=O)NRfRg(ここにRfおよびRgは所望により環−NRe−中に窒素原子を含有していてもよい環を形成する)であり;
各Rhは独立して、(C1−C10)アルキル、フェニル、アリール(C1−C6)アルキル、ヘテロアリール、複素環、または複素環(C1−C6)アルキルであり;
Riは水素、または(C1−C6)アルキルであり;および
RjおよびRkは各々独立して、水素、ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、複素環、(C2−C6)アルケニル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRfRg、または−S(O)nRhであり;
Rmは−H、−Na、−K、−Liなどの医薬上許容される塩、−(C1−C10)アルキル、−(C1−C10シクロアルキル、ベンジル、フェネチル、−CHAr2または−CHPh2のごとき−ジアリール置換型(C1−C10)アルキルであり;
ここに、R1、R2、R5、RjおよびRkのいずれかの(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、または(C1−C10)アルコキシカルボニルは、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、シアナト、ニトロ、メルカプト、オキソ、アリール、複素環、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリール(C1−C6)アルカノイルオキシ、ハロ(C1−C6)アルカノイルオキシ、複素環(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリールオキシ、(複素環)オキシ、(C3−C8)シクロアルキル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、−NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよく;および
ここに、いずれかのアリールは、所望によりハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、トリフルオロメトキシ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよい]
で示される化合物、またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0021】
具体的には、Aはスルホニル(−SO2−)である。
具体的には、R1はアリール、複素環、または−COOReである。
具体的には、R1は2−ピリジル、または−COOReである。
具体的には、R2は水素である。
具体的には、R3は水素、ハロ、アリール、複素環、−Sn(R5)3、−SAr、−S(O)nAr、−S(O)nRh、−S(O)nNH2、−S(O)nNHRf、−S(O)nNRfRg、−COORm、−C(=O)−Rh、または−C(=O)NRfRgである。
【0022】
具体的には、R3は水素、アリール、複素環、−Sn(R5)3、−SAr、−S(O)nAr、−S(O)nRh、−S(O)nNH2、−S(O)nNHRf、または−S(O)nNRfRgである。
具体的には、R3は水素である。
具体的には、R3はハロである。
具体的には、R3はフルオロである。
具体的には、R3はクロロである。
具体的には、R3はブロモである。
具体的には、R3はヨードである。
具体的には、R3はアリールである。
具体的には、R3はフェニルである。
具体的には、R3はヘテロアリールである。
具体的には、R3は2−チエニルである。
具体的には、R3はS(O)nRhである。
具体的には、R3はS(O)2Rhである。
具体的には、R3はS(O)2Rhであり;ここにRhはメチルまたはフェニルである。
具体的には、R3はSRhである。
具体的には、R3はSRhであり;ここにRhはメチルまたはフェニルである。
具体的には、R3は水素、ハロ、アリール、ヘテロアリール、または−S(O)nRhであり;
具体的には、RjおよびRkは各々独立して、水素、シアノ、−COORe、(C2−C10)アルケニル、またはヘテロアリールである。
【0023】
式(I)で示される具体的な化合物は、R1およびR2が各々独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、(C1−C10)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、ハロ、シアノ、ニトロ、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRfRg、または−S(O)nRhであり;R3が独立して、水素、フルオロ、−SPh、−SO2Ar、−Sn(CH3)3、または−CH=CH−CO2Hであり;R4が独立して、水素、フェニル、複素環、(C1−C10)アルキル、ベンジル、フェネチル、または−CHPh2であり;Aがチオ、スルフィニル、またはスルホニルであり;各nが独立して0、1、または2であり;各Reが独立して、水素、または(C1−C10)アルキルであり;各RfおよびRgが独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C1−C10)アルコキシ、フェニル、ベンジル、フェネチル、(C1−C10)アルカノイル、または−C(=O)NRfRg(ここに、RfおよびRgは所望により環−NRe−中に窒素原子を含有していてもよい環を形成する);各Rhが独立して、(C1−C10)アルキル、フェニル、アリール(C1−C6)アルキル、複素環、または複素環(C1−C6)アルキルであり;Riが水素、または(C1−C6)アルキルであり;RjおよびRkが各々独立して、水素、ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、複素環、(C2−C6)アルケニル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRfRg、または−S(O)nRhであり;ここに、R1、R2、RjおよびRkのいずれかの(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、または(C1−C10)アルコキシカルボニルが、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、シアナト、ニトロ、メルカプト、オキソ、アリール、複素環、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリール(C1−C6)アルカノイルオキシ、ハロ(C1−C6)アルカノイルオキシ、複素環(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリールオキシ、(複素環)オキシ、(C3−C8)シクロアルキル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよく;ここに、いずれかのアリールが、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、トリフルオロメトキシ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよい化合物またはまたはその医薬上許容される塩である。
【0024】
もう1の具体的な化合物は、式中、RjおよびRkのうちの一方が水素であって、他方がシアノ、−COORe、(C2−C10)アルケニル、またはヘテロアリールである化合物である。
【0025】
もう1の具体的な化合物は、式中、Rjが水素、またはハロであって、Rkがシアノ、メトキシカルボニル、アミノカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、2−ピリジル−N−オキシド、ニトロ、またはビニルである化合物である。
【0026】
もう1の具体的な化合物は、式中、Aがスルホニルであり;R1が2−ピリジル、カルボキシ、またはtert−ブトキシカルボニルであり;R2が水素であり;R3が水素、フルオロ、−SPh、−SO2Ph、−Sn(R5)3、または−CH=CH−CO2Hであって;R4が水素、−CHAr2、または医薬上許容される塩である化合物である。
【0027】
より具体的には、RjおよびRkは各々独立して、水素、シアノ、2−(メトキシカルボニル)、2−ピリジル−N−オキシド、またはビニルである。
【0028】
もう1の具体的な化合物は、式中、Aがスルホニル(−SO2−)であり;R1が2−ピリジル、カルボキシ、またはtert−ブトキシカルボニルであり;R2が水素であって;R3が水素、フルオロのごときハロ、−SPhのごとき−SAr、−Sn(R5)3、シアノ、−S(O)nAr;−CH=NORi、または−CH=CRjRkである式Iで示される化合物;またはその医薬上許容される塩である。
【0029】
式(I)で示されるより具体的な化合物は、R4が水素である式(I)で示されるカルボン酸から形成される医薬上許容される塩である。最も好ましいものは、R4がナトリウムまたはカリウムイオンで置き換わっている塩である。医薬上許容される塩なる語句には、式(I)で示される化合物のポリ塩(例えば、二塩または三塩)も包含される。
【0030】
式(I)で示される化合物を調製するのに有用なプロセスおよび新規な中間体を本発明のさらなる具体例として記載し、下記の工程によって説明するが、ここにおける一般的な基の意味は別段限定しない限り前記と同じである。
【0031】
代表的な化合物は図1ないし6に示したように調製した。市販されている3−ヒドロキシ−3−セフェム1を、Farinaの方法(Farinaら, J. Org. Chem. 54, 4962-4966 (1989))を用いることによってハロゲン化物3a、3b、および3cに変換した。PCl5を用いた処理の際にフェニルアセチル基を除去して、各々遊離アミン4a、4b、および4cを生成した。これらを対応する7−オキソ−3−セフェムに変換し、つづいて7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム5a、5b、および5cに変換した。これらは、過剰量のmCPBAでの処理の際に対応するスルホンに容易に酸化し、TFAでの処理(それにつづく重炭酸塩での中和)によって4−位のカルボン酸が脱保護されて対応するナトリウム塩7a、7b、および7cを生成した。
【0032】
ヨウ化物6cは、図2に示すごとく選択した有機スズを用いたStilleカップリング反応を介して他のC3置換型アナログを生成するのにも有用である。かかる反応により、代表的なC3−スルフィド、アリールおよびヘテロアリール化合物が生成され、これらも図2に示したように脱保護した。またC3スルフィド 8aおよび8bは、図3に示すごとく対応するC3スルホニル化合物に酸化し、脱保護して対応するナトリウム塩を生成し得た。
【0033】
さらに、化合物6cを、図4に示すごとくC3スタンニル化アナログに変換した。示すごとく、この化合物を利用してC3フッ化化合物(14a)およびC3非置換型化合物(14b)を創製した。
【0034】
本明細書に記載した手法と同様の手法ならびに標準的な合成技術を用いて、式(I)で示される化合物を調製し得る。
R4が医薬上許容されるカチオン(例えば、ナトリウムまたはカリウムイオン)で置き換わっている式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩は、好適な塩基との反応によって、R4が水素である式(I)で示される対応する化合物から簡便に調製し得る。
【0035】
R4が水素である式(I)で示される化合物を調製するのに有用な中間体は、R4が好適な除去可能なカルボキシ保護基で置き換わっている対応する化合物である。かかる保護基は当該技術分野でよく知られている。例えば、Greene, T. W.; Wutz, P. G. M."Protecting Groups In Organic Synthesis" 第二版, 1991, New York, John Wiley & Sons, Inc.を参照されたい。好ましい保護基には、(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C2−C10)アルキニル、アリール、ベンジル、またはベンズヒドリルが含まれる。したがって、本発明は、R1、R2、およびR3が本明細書中に定義した等価物(value)、具体的な等価物、または好ましい等価物のいずれかを有し、R4が(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C2−C10)アルキニル、アリール、ベンジル、およびベンズヒドリルである式(I)で示される化合物を提供する。
【0036】
式(I)で示される化合物を調製するのに有用なもう1の中間体は、R3がスズ含有基、例えば式−Sn(R)3で示される基(ここに、各Rは(C1−C6)アルキルである)である式(I)で示される化合物である。したがって、本発明は、R1、R2およびR4が本明細書に記載する等価物のいずれかを有し、R3が−Sn(R)3(ここに、各Rは(C1−C6)アルキルである)である式(I)で示される化合物も提供する。
【0037】
Aがスルホニル(−SO2−)である式(I)で示される化合物は、例えばmeta−クロロ過安息香酸(mCPBA)を用いることによって、Aがチオ(−S−)である式(I)で示される対応する化合物を酸化することによって調製し得る。
Aがスルフィニル(−SO−)である式(I)で示される化合物は、許容し得る酸化剤の1の等価物、例えばmCPBAを用いてAがチオ(−S−)である式(I)で示される対応する化合物を酸化することによって調製し得る。R3が水素、アリール、ヘテロアリール、または−SRhである式(I)で示される化合物は、R3がハロである式(I)で示される対応する化合物と式(Ra)3Sn−R3で示される有機スズおよび触媒とを合して式(I)で示される化合物を得ることによって調製し得る。したがって、本発明は、R3がハロであって、R4が保護基である式(I)で示される対応する化合物と式(Ra)3Sn−R3で示される有機スズおよび触媒とを合して、R3が水素、アリール、ヘテロアリール、または−SRhであって;R4が保護基である式(I)で示される化合物を得、ついで該保護基R4を除去して、R3が水素、アリール、ヘテロアリール、または−SRhであって、R4が水素である式(I)で示される化合物を得ることを含む、R3が水素、アリール、ヘテロアリール、または−SRhであって、R4が水素である式(I)で示される化合物を調製する方法も提供する。1の具体例において、触媒にはパラジウムが含まれる(例えば、Pd2(dba)2)。もう1の具体例において、Raはメチル、エチル、プロピル、またはブチルである。
【0038】
本発明は、R3が−Sn(R)3(ここに、各Rは(C1−C6)アルキルである)であって、R4が保護基である式(I)で示される対応する化合物と、必須の有機ハロゲン化物または有機トリフルオラート(例えば、式R3−X(ここに、Xはハロゲンまたはトリフラートである)で示される化合物)および触媒とを合して、R3がアリール、ヘテロアリール、または−CH=CHC(=O)NRmRpであって;R4が保護基である式(I)で示される化合物を得、ついで該保護基R4を除去して、R3がアリール、ヘテロアリール、または−CH=CHC(=O)NRmRpであって、R4が水素である式(I)で示される化合物を得ることを含む、R3がアリール、ヘテロアリール、または−CH=CHC(=O)NRmRpであって、R4が水素である式(I)で示される化合物を調製する方法も提供する。1の具体例において、各Rはメチル、エチル、プロピル、またはブチルである。
【0039】
本発明は、R3が−Sn(R)3(ここに、各Rは(C1−C6)アルキルである)であって、R4が保護基である式(I)で示される対応する化合物と、AgOTfおよびXeF2とを合して、R3がHまたはFであって;R4が保護基である式(I)で示される化合物を得、ついで該保護基R4を除去して、R3がHまたはFであって、R4が水素である式(I)で示される化合物を得ることを含む、R3がHまたはFであって、R4が水素である式(I)で示される化合物を調製する方法も提供する。1の具体例において、各Rはメチル、エチル、プロピル、またはブチルである。
【0040】
上記した合成方法において使用する出発物質の多くは市販されているか、または科学刊行物に報告されている。前記した合成手法の全工程または一部の工程の間に適宜、保護基を使用することが望ましい場合もある。かかる保護基ならびにその導入および除去方法は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、Greene, T. W.; Wutz, P. G. M. "Protecting Groups In Organic Synthesis"第二版, 1991, New York, John Wiley & Sons, Inc.を参照されたい。
【0041】
化合物が安定な無毒な酸性または塩基性塩を形成するのに十分に塩基性または酸性である場合には、塩として化合物を投与するのが適当である場合がある。医薬上許容される塩の例は、生理学上許容し得るアニオン、例えばトシラート、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、 安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、およびα−グリセロリン酸塩を形成する酸を用いて形成した有機酸付加塩である。好適な無機塩も形成し得、それには塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、および炭酸塩が含まれる。
【0042】
医薬上許容される塩は、例えば、アミンのごとき十分に塩基性の化合物と好適な酸とを反応させて生理学上許容し得るアニオンを得ることによるような、当該技術分野でよく知られている標準的な手法を用いて得ることができる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)塩またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も生成し得る。
【0043】
式(I)で示される化合物は医薬組成物として処方化し、選択した投与経路、すなわち経口、非経口、静脈内、筋肉内、局所、皮下経路に適応した種々の形態でヒト患者のごとき哺乳動物宿主に投与し得る。
したがって、本発明の化合物は、不活性な希釈剤または同化性の食用担体のごとき医薬上許容されるビヒクルと組合せて、全身投与、例えば経口投与し得る。それは硬質または軟質シェルのゼラチンカプセルに封入し得、錠剤に圧縮し得、あるいは患者の食事の食物と一緒に直接的に取り込ませ得る。経口療法投与に関しては、活性化合物を1またはそれを超える賦形剤と合し、摂取可能な錠剤、口内錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリクシル剤、懸濁剤、シロップ剤、オブラートなどの形態で使用し得る。かかる組成物および調製物は少なくとも0.1%の活性化合物を含有すべきである。もちろん、組成物および調製物のパーセンテージは変化することができ、都合よくは所与のユニット投与量形態の約2ないし約60重量%とし得る。かかる治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、有効投与量レベルが得られるような量である。
【0044】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などは以下の成分:トラガカントガム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンのごとき結合剤;リン酸二カルシウムのごとき賦形剤;コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸などのごとき崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのごとき滑剤;およびスクロース、フルクトース、ラクトースまたはアスパルテームのごとき甘味剤またはペパーミント、冬緑油またはチェリーフレーバーのごとき香料も添加し得る。ユニット投与量形態がカプセル剤である場合、それは、上記したタイプの物質に加えて植物油またはポリエチレングリコールのごとき液体担体を含有し得る。コーティング剤として、さもなくば固形ユニット投与量形態の物理学的形態を修飾するための他のものとして、種々の他の物質が存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセル剤はゼラチン、ワックス、セラックまたは砂糖などでコートし得る。シロップ剤またはエリクシル剤は、活性化合物、甘味剤としてのスクロースまたはフルクトース、保存剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、着色料およびチェリーフレーバーまたはオレンジフレーバーのごとき香料を含有し得る。勿論、いずれのユニット投与量形態を調製するのに使用されるいずれの物質も、使用する量において医薬上許容され、かつ、実質的に無毒性でなければならない。また、活性化合物は徐放性の調製物およびデバイスに取り込ませることもできる。
【0045】
活性化合物は、注入または注射によって静脈内または腹膜内投与することもできる。活性化合物またはその塩の液剤は、所望により非毒性の界面活性剤と混合してもよい水中に調製し得る。分散剤は、グリセリン、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、およびそれらの混合物中ならびに油中にも調製し得る。通常の保存および使用条件下においては、これらの調製物に保存剤を含ませて微生物の増殖を予防する。
【0046】
注射または注入に好適な医薬投与量形態には、所望によりリポソームにカプセル化してもよい、無菌の注射または注入可能な液剤または分散剤の即効性調製物に適合する有効成分を含む無菌の水性液剤または水性懸濁剤または無菌の粉剤が含まれ得る。すべての場合において、最終的な投与量形態は製造条件下および保存条件下において無菌、流動性かつ安定であるべきである。液体の担体またはビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、無毒性グリセリルエステル、およびそれらの好適な混合物を含む溶媒または液体分散媒体とし得る。適当な流動性は、例えば、リポソームの形成によって、分散剤の場合においては必要な粒径を維持することによって、あるいは界面活性剤を使用することによって維持し得る。微生物の活動の予防は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって行い得る。多くの場合においては、等張化剤、例えば砂糖、緩衝液または塩化ナトリウムを含有することが好ましいであろう。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に使用することによって行い得る。
【0047】
無菌の注射可能な液剤は、必要により前記に列挙した種々の他の成分と一緒に、適当な溶媒中に必要量の活性化合物を入れ、その後に濾過滅菌することによって調製し得る。無菌の注射可能な液剤を調製するための無菌の粉剤の場合、好ましい調製方法は真空乾燥および凍結乾燥であり、それによって以前に無菌の濾過溶液に存在していた有効成分といずれかのさらなる望ましい成分の粉体が得られる。
【0048】
局所投与に関しては、本発明の化合物は純粋な形態、すなわちそれらが液体の場合に適用し得る。しかしながら、固体または液体となり得る皮膚科学上許容し得る担体と組合せた組成物または処方としてそれらを皮膚に投与することが一般的に望ましいであろう。
【0049】
有用な固体担体には、タルク、クレー、マイクロクリスタリン・セルロース、シリカ、アルミナなどのごとき微細な固形物が含まれる。有用な液体担体には、所望により無毒性の界面活性剤で補助してもよいが、その中に本発明の化合物を有効レベルで溶解または分散し得る水、アルコールまたはグリコールまたは水−アルコール/グリコール混合液が含まれる。芳香剤のごとき補助剤およびさらなる抗微生物剤を添加して、特性を所定の使用に最適化し得る。得られた液体組成物は、吸収パッドから適用することができ、含浸帯(impregnate bandage)および他の外傷用医薬材料に使用し得、あるいはポンプ式またはエアゾールスプレーを用いて幹部に噴霧し得る。
【0050】
使用者の皮膚に直接適用するために、合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸の塩およびエステル、脂肪族アルコール、修飾セルロースまたは修飾無機物質のごとき増粘剤を液体担体と一緒に用いて、引き延し可能なパスタ剤、ゲル剤、軟膏、石鹸なども形成し得る。
【0051】
本発明の化合物を皮膚にデリバリーするために使用し得る有用な皮膚科学組成物の例は、Jacquetら(米国特許第4,608,392号)、Geria(米国特許第4,992,478号)、Smithら(米国特許第4,559,157号)およびWortzman(米国特許第4,820,508号)に開示されている。
【0052】
本発明の組成物は、鼻および喉の粘膜または気管支組織を介した吸収に好適な形態でも調製し得、粉剤または液体のスプレー剤または吸入剤、トローチ剤、咽喉塗剤(throat paint)ほかの形態を簡便にとり得る。目または耳の薬物療法に関しては、調製物を液体または半固体の形態で個別のカプセル剤として提供し得、あるいはドロップ剤ほかとして使用し得る。局所適用剤は、軟膏、クリーム剤、ローション剤、塗剤、粉剤ほかとして疎水性または親水性ベースで処方化し得る。
【0053】
獣医学的薬剤に関しては、組成物は、例えば、長期作用型または迅速放出型ベースのいずれかの乳房内調製物として処方化し得る。
本発明の化合物の有用な投与量は、そのイン・ビトロ(in vitro)活性および動物モデルにおけるイン・ビボ(in vivo)活性を比較することによって決定し得る。ヒトに対してマウスおよび他の動物における有効投与量を外挿する方法は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、米国特許第4,938,949号を参照されたい。
【0054】
一般的に、ローション剤のごとき液体組成物中の(複数の)本発明の化合物の濃度は、約0.1−25重量%、好ましくは約0.5−10重量%であろう。ゲル剤または粉剤のごとき半固体または固体の組成物中の濃度は、約0.1−5重量%、好ましくは約0.5−2.5重量%であろう。
【0055】
液体または固体にかかわらず、ユニット投与量当りの組成物は、0.1ないし99%の活性物質(本発明の7−ビニリデン・セファロスポリンおよび任意の抗生物質)を含み得、好ましい範囲は約10−60%である。一般的に、組成物は組成物の全重量に基づいて約15mgないし約1500mg重量の有効成分を含むであろうが;一般的には、約250mgないし1000mgの範囲の投与量を用いるのが好ましい。非経口投与においては、ユニット投与量は、一般的に、僅かに酸性化した無菌の水溶液中の、または液剤を意図した可溶性粉剤の形態中の純粋な化合物である。注射、注入または摂取用の単一投与量は、例えば、成人に対して、一日当り1−3回投与して約0.5−50mg/kgのレベルを得ることができる。
【0056】
本発明は、本明細書において前記した式(I)で示される有効量の化合物;またはその医薬上許容される塩;および医薬上許容し得る担体を含む医薬組成物を提供する。本発明は、本明細書において前記した式(I)で示される有効量の化合物;またはその医薬上許容される塩;β−ラクタム系抗生物質;および医薬上許容し得る担体を含む医薬組成物も提供する。本発明の組成物は、好ましくは胃腸管による吸収に好適な形態で提供する。
【0057】
いずれのβ−ラクタム系抗生物質も本発明の医薬組成物に使用するのに好適である。当該技術分野でよく知られているβ−ラクタム系抗生物質には、R. B. MorinおよびM. Gorin, M.編; Academic Press, New York, 1982;vol. 1−3によって開示されているものが含まれる。本発明の医薬組成物に使用するのに好適な好ましいβ−ラクタム系抗生物質には、クラスAおよびクラスCのβ−ラクタマーゼ酵素によって優先的に不活性化されるβ−ラクタム系抗生物質、例えば、アモキシシリン、ピペラシリン、アンピシリン、セフチゾキシム、セフォタキシム、セフロキシム、セファレキシン、セファクロル、セファロリジン、およびセフタジジムが含まれる。
【0058】
β−ラクタマーゼ阻害剤として機能する本発明の化合物の能力は、下記する試験を用いることによって、または当該技術分野においてよく知られている他の試験を用いることによって実証し得る。代表的な式(I)で示される化合物は、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)P−99株のクラスC β−ラクタマーゼ、セファロスポリナーゼおよびTEM−1 クラスA ペニシリナーゼの阻害剤として相対IC50分析によって評価した。IC50値は、遊離した酵素の活性の50%喪失に作用するのに必要な阻害剤の濃度を表す。各化合物のIC50値は下記のようにして決定した。酵素(2.56nM)および阻害剤(<0.64mM)の希釈溶液を10分間インキュベートした後に、このインキュベーション混合物の50mLアリコットを1mLのニトロセフィン溶液にさらに希釈し、時間の関数としてニトロセフィンの吸光度をモニターすることによって加水分解の割合を1分間測定した。また、タゾバクタムのIC50値も相対対照として決定した。式Iで示される代表的な化合物についてのデータを下記の表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
式(I)で示される本発明のβ−ラクタマーゼ阻害剤は、エンテロバクター属、シトロバクター属およびセラチア属と関連する感染症の治療に特に有用である。これらの細菌は、膀胱または腎臓の上皮細胞に結合する(尿路感染を引起す)能力を有し、アモキシシリンおよびアンピシリンを含む複数の抗生物質に対して耐性である。
【0061】
式(I)で示される本発明のβ−ラクタマーゼ阻害剤は、非常に耐性の強い肺炎双球菌(Pneumococci)と関連する感染症の治療にも有用である。かかる疾患には、中耳炎、副鼻腔炎、(子供および成人の両方における)髄膜炎、菌血症、および敗血性関節炎が含まれる。耐性の肺炎双球菌株は、世界の多くの地域の地表に現れている。例えば、ハンガリーにおいては58%のエス・ニューモニエ(S. pneumoniae)がペニシリンに対して耐性であり、エス・ニューモニエによってコロニーを形成された子供のうちの70%がテトラサイクリン、エリスロマイシン、トリメトプリン/サルファメトキサゾール(TMP/SMX)に対しても耐性である耐性菌株のキャリアーであり、30%がクロラムフェニコールに対して耐性である。クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)(β−ラクタマーゼの産生を介して耐性である)は、創傷感染および敗血症の病院内の大発生を引起している。
【0062】
本発明のほかの特徴は、本発明を説明するために記載するものであって、それを限定するものではない例示的な具体例の以下の記載の過程で明らかになるであろう。
【0063】
実施例1−3(図1)
化合物2の調製
7−フェニルアセトアミド−3−(トリフルオロスルホニルオキシ)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(2)
この化合物およびその後のハロゲン化物は、Farinaの方法(Farinaら, J. Org. Chem. 54, 4962−4966 (1989))に従って調製した。無水CH2Cl2(600mL)中のベンズヒドリル 3−ヒドロキシ−7−(フェニルアセトアミド)セフェ−3−エム(1、41g、84ミリモル、Otsuka Chemical Corp.から市販されている)の溶液を−78℃に冷却し、乾燥ジイソプロピルエチルアミン(15.6mL、90ミリモル)およびトリフルオロメタンスルホン酸無水和物(14.3mL、85ミリモル)で処理した。ついで、混合物を−78℃にて20分間攪拌した。ついで、溶液をさらに1Lの乾燥CH2Cl2で希釈し、冷却浴を取り除いた。有機相を水(2×1L)およびブライン(1×500mL)で洗浄した。ついで、それをNa2SO4上で乾燥させ、濃縮して、目的のトリフラート(2)を灰色がかった白色の無定形粉体として得た。
収率=43.5g (85%).
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=3.42(d, J=18Hz, 1H), 3.70−3.63(m, 2H), 3.75(d, J=18Hz, 1H), 5.03(d, J=5Hz, 1H), 5.91−5.87(m, 1H), 6.02(d, J=8.7Hz, 1H), 6.98(s, 1H), 7.51−7.24(m, 15H).
【0064】
化合物3a−3cの調製
3−ハロ−7−(フェニルアセトアミド)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(3a、3b、および3c)合成の一般的手法
無水THF(100mL)中のトリフラート2(10ミリモル)の溶液に、新鮮な無水LiX(25ミリモル)を添加し、反応物を1H NMRによって進行をモニターしつつアルゴン下にて24ないし36時間攪拌した。反応が完了したら、水(200mL)およびEtOAc(200mL)を添加し、有機相を水(2×100mL)につづいてブライン(1×100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。溶媒を蒸発させて粗製3−ハロ−3−セフェム−4−カルボン酸エステルを生成し、それをシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0065】
3−クロロ−7−(フェニルアセトアミド)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(3a)
収率=90%.
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=3.43(d, J=18.5Hz, 1H), 3.64−3.57(m, 2H), 3.74(d, J=18.5Hz, 1H), 4.99(d, J=5Hz, 1H), 5.84−5.81(m, 1H), 6.24(d, J=9Hz, 1H), 6.97(s, 1H), 7.39−7.24(m, 15H).
【0066】
3−ブロモ−7−(フェニルアセトアミド)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(3b)
収率=88%.
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=3.64−3.56(m, 3H), 3.83(d, J=18Hz, 1H), 5.02(d, J=5Hz, 1H), 5.81−5.78(m, 1H), 6.21(d, J=9Hz, 1H), 6.97(s, 1H), 7.41−7.25(m, 15H).
【0067】
3−ヨード−7−(フェニルアセトアミド)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(3c)
収率=72%.
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=3.67−3.56(m, 2H), 3.70(d, J=18.5Hz, 1H), 3.84(d, J=18.5Hz, 1H), 5.04(d, J=5Hz, 1H), 5.85−5.81(m, 1H), 6.16(d, J=9Hz, 1H), 6.96(s, 1H), 7.41−7.24(m, 15H).
【0068】
化合物4a−4cの調製
3−ハロ−7−アミノ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(4a、4b、および4c)合成の一般的手法
乾燥CH2Cl2中のPCl5(25ミリモル)の冷却した(0℃)溶液に、反応物を氷浴中で冷却しつつ、乾燥ピリジン(25ミリモル)を徐々に添加した。反応物をこの温度にて1時間攪拌した。ついで、適当なフェニルアセトアミド−3−セフェム−4−カルボキシラート(3a、3bまたは3c)を1度に添加し、反応物を同温度にて1.5時間攪拌し続けた。ついで、反応混合物を−78℃に冷却し、MeOH(30mL)を徐々に添加し、反応物をさらに1時間攪拌した。ついで、反応混合物を徐々に温めて−10℃ないし0℃に達せさせた。ついで、水(30mL)を添加し、溶液を真空下にて濃縮してCH2Cl2および大部分のMeOHを除去した。残存している残査にEtOAc(150mL)および水(100mL)を添加し、NaHCO3を添加することによって水層を塩基性化した。ついで、有機層を分離し、水性層をEtOAc(1×50mL)でさらに抽出した。合した有機層を水(1×100mL)につづいてブライン(1×100mL)で洗浄した。ついで、有機層をNa2SO4上で乾燥させ、真空下にて濃縮した。粗製生成物を、溶出液としてEtOAcおよびCH2Cl2の混合物を用いるカラムクロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0069】
3−クロロ−7−アミノ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(4a)
収率=74%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=1.74(br s, 2H), 3.48(d, J=18.5Hz, 1H), 3.8(d, J=18.5Hz, 1H), 4.75(d, J=5.0Hz, 1H), 4.98(d, J=5.0Hz, 1H), 7.00(s, 1H), 7.57−7.26(m, 10H).
【0070】
3−ブロモ−7−アミノ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(4b)
収率=72%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=1.74(br s, 2H), 3.62(d, J=18Hz, 1H), 3.88(d, J=18Hz, 1H), 4.75(d, J=5.0Hz, 1H), 5.00(d, J=5.0Hz, 1H), 7.00(s, 1H), 7.44−7.25(m, 10H).
【0071】
3−ヨード−7−アミノ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(4c)
収率=76%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=1.75(br s, 2H), 3.76(d, J=18.5Hz, 1H), 3.90(d, J=18.5Hz, 1H), 4.75(d, J=5Hz, 1H), 5.04(d, J=5.0Hz, 1H), 7.00(s, 1H), 7.46−7.26(m, 10H).
【0072】
化合物5a−5cの調製
アミン(4a、4b、および4c)から3−ハロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(5a、5b、および5c)合成の一般的手法
無水THF(150mL)中の塩化トリフェニル(2−ピリジルメチル)ホスホニウム塩酸塩(20ミリモル、Aldrich Chemical Co.)の溶液に、カリウムtert−ブトキシド(15ミリモル)を添加した。ついで、このスラリーを室温にて2時間攪拌してウティッヒ試薬を生成した。
それとは別に、EtOAc(200mL)中のアミン(4、20ミリモル)の溶液に、触媒トリフルオロ酢酸(200μL)および亜硝酸イソプロピル(Blacklockら, J. Org. Chem., 54, 3907−3913(1989)の方法によって調製したCH2Cl2中の30ないし50%の溶液)を添加した。反応が完了した後に(ほぼ5分、TLCによってモニター)、真空下にてEtOAcを除去し、得られた7−ジアゾ−3−セフェム−4−カルボキシラートを高真空下にて完全に乾燥させた。ついで、このジアゾ化合物を無水ベンゼン(200mL)およびプロピレンオキサイド(25mL)に迅速に溶解し、触媒量のオクタン酸ロジウム(0.5g)で処理した。反応物がガスを発生させるのが観察された。かかるガス発生が完了した後に、真空下にてベンゼン溶媒を除去し、残存する固形物(7−オキソ−3−セフェム−4−カルボキシラート)を乾燥CH2Cl2(200mL)に溶解した。ついで、この溶液を−78℃に冷却した。
【0073】
ついで、前記したウティッヒ試薬の溶液をケトンのこの冷却した(−78℃)溶液に徐々に添加し(カニューレを介して)、反応物をこの温度にて30分間攪拌した。ついで、NH4Clの飽和水溶液を添加し、反応混合物を攪拌しつつ徐々に室温まで温めた。層を分離し、水性層をさらなる部のCH2Cl2で抽出した。合した有機層を水(1×100mL)、ブライン(1×100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。粗製生成物を、溶出液としてEtOAcおよびCH2Cl2の混合液を用いるカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製した。
【0074】
3−クロロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(5a)
全体の収率(4aからの三工程)=35%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=3.54(d, J=18.5Hz, 1H), 3.96(d, J=18.5Hz, 1H), 5.71(s, 1H), 7.03(s, 1H), 7.41−7.28(m, 13H), 7.76(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.76(d, J=4Hz, 1H).
【0075】
3−ブロモ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(5b)
全体の収率(4bからの三工程)=35%.
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=3.59(d, J=18.5Hz, 1H), 3.95(d, J=18.5Hz, 1H), 5.73(d, J=1Hz, 1H), 7.05(s, 1H), 7.47−7.26m, 13H), 7.77(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.76(d, J=4Hz, 1H).
【0076】
3−ヨード−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(5c)
全体の収率(4aからの三工程)=33%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=3.70(d, J=18.5Hz, 1H), 3.94(d, J=18.5Hz, 1H), 5.76(s, 1H), 7.06(s, 1H), 7.42−7.26(m, 13H), 7.73(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 8.71(d, J=4.0Hz, 1H).
【0077】
化合物6a−6cの調製
mCPBAでの酸化を用いた1,1−ジオキソ−3−ハロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(6a、6b、および6c)形成の一般的手法
CH2Cl2(15mL)中のスルフィド(5)の溶液にmCPBA(2.5ミリモル)を添加し、反応物を室温にて20分間攪拌した。ついで、Na2SO4の飽和水溶液を添加し、層を分離した。有機層をNaHCO3水溶液(1×25mL)、水(1×25mL)、およびブライン(1×25mL)で洗浄した。ついで、有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮し、粗製生成物を溶出液としてEtOAcおよびCH2Cl2の混合物を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製した。
【0078】
3−クロロ−1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(6a)
収率=72%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=4.04(d, J=18Hz, 1H), 4.23(d, J=18Hz, 1H), 5.93(s, 1H), 7.03(s, 1H), 7.39−7.31(m, 13H), 7.73(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.66(d, J=4Hz, 1H).
【0079】
3−ブロモ−1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(6b)
収率=75%.
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=4.10(d, J=18Hz, 1H), 4.34(d of t, J=18Hz, 1H), 5.95(s, 1H), 7.04(s, 1H), 7.47−7.3(m, 13H), 7.73(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.67(d, J=4Hz, 1H).
【0080】
3−ヨード−1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(6c)
収率=78%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=8.66(d, J=4.0Hz, 1H), 7.71(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 7.49−7.25(m, 13H), 7.03(s, 1H), 5.96(s, 1H), 4.38(d, J=18Hz, 1H), 4.18(d, J=18Hz, 1H).
13C NMR(CDCl3,400MHz) δ=160.3,160.2, 150.4, 150.2, 138.9, 138.6, 137.0, 132.7, 130.9, 128.6, 128.5, 128.4, 128.2, 128.0, 127.5, 127.2, 126.6, 126.4, 125.3, 80.5, 74.1, 64.2.
HRMS C26Hl9IN205S [M+H]+として
計算値599.0138 観察値599.0135.
【0081】
化合物7a−7cの調製 ベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法
乾燥アニソール(3.0ミリモル)中の適当なベンズヒドリルエステル(0.1ミリモル)中の溶液を氷−食塩浴中で冷却し、アルゴン雰囲気下でシリンジを介してトリフルオロ酢酸(12.0ミリモル)を徐々に添加した。20分後に、揮発成分を真空下にて除去し、残査をEtOAc(5mL)に溶解した。EtOAc層を水性NaHCO3(4mLのH2O中の2×0.15ミリモル)で抽出した。合した水層をカラムクロマトグラフィー(高多孔質ポリマー、MCIゲル−CHP20P Mitsubishi Chemical Corp., White Plains NY, ほぼ75ないし150mLの樹脂)に直接負荷し、生成物を脱イオン水中の5%のEtOHで溶出した。収率は典型的には60ないし80%であった。
【0082】
実施例1:3−クロロ−1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(7a)
ベンズヒドリルエステル脱保護に関して前記した一般的手法に従ってエステル7aから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.28(s, 1H), 7.44−7.34(m, 1H), 7.48(s, 1H), 7.62−7.59(m, 1H), 7.84(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.55(d, J=4.0Hz, 1H).
【0083】
実施例2:3−ブロモ−1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(7b)
ベンズヒドリルエステル脱保護に関して前記した一般的手法に従ってエステル7bから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.29(s, 1H), 7.45−7.35(m, 1H), 7.49(s, 1H), 7.6−7.57(m, 1H), 7.85(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 8.56(d, J=4.0Hz, 1H).
【0084】
実施例3:1,1−ジオキソ−3−ヨード−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(7c)
ベンズヒドリルエステル脱保護に関して前記した一般的手法に従ってエステル7cから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.29(d, J=lHz, 1H), 7.33−7.30(m, 1H), 7.45(d, J=lHz, 1H), 7.65−7.61(m, 1H), 7.83(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.54(d, J=4.0Hz, 1H).
【0085】
実施例4−7(図2)
化合物8a−8dの調製 ヨウ化物6cを有機スズとStilleカップリングして化合物8a−8dを生成する一般的手法
アルゴン下、無水THF中の6c(72mg、0.12ミリモル)の溶液に適当な有機スズ(0.11ミリモル、例えばBu3Sn−R3)およびPd2Sn−R3(5mg、0.011ミリモル)を添加した。反応混合物を65℃にて2.5時間攪拌し、1H NMRによってモニターした。反応が完了した後に、減圧下にて溶媒を除去し、生成物をCH2Cl2に溶解した。ついで、溶液を水(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄した。有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製した。
【0086】
1,1−ジオキソ−3−メチルスルファニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(8a)
収率=67%.
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=2.35(s, 3H), 3.98(d, J=15.5Hz, 1H), 4.18(d, J=15.5Hz, 1H), 5.72(d, J=1Hz, 1H), 6.97(s, 1H), 7.4−7.26(m, 13H), 7.71(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 8.66(d, J=4Hz, 1H).
【0087】
1,1−ジオキソ−3−フェニルスルファニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(8b)
収率=72%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=8.63(d, J=3.9Hz, 1H), 7.71(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 7.53−7.26(m, 19H), 7.02(s, 1H), 5.75(s, 1H), 3.75(d, J=15.6Hz, 1H), 3.59(d, J=15.6Hz, 1H).
【0088】
1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−(チオフェン−2’−イル)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(8c)
収率=78%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=8.69(d, J=4.0Hz, 1H), 7.72(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 7.4−7.21(m, 12H), 7.07−7.05(m, 2H), 6.96(s, 1H), 6.84(dd, J=1 and 4Hz, 1H), 6.75(t, J=4Hz, 1H), 5.96(s, 1H), 4.17(d, J=18Hz, 1H), 4.08(d, J=18Hz, 1H).
【0089】
1,1−ジオキソ−3−フェニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(8d)
収率=56%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=8.65(d, J=3.9Hz, 1H), 7.7(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 7.34−7.13(m, 16H), 6.92(d, J=6.7Hz, 2H), 6.85(s, 1H), 5.98(s, 1H), 4.08(s, 2H).
13C NMR(CDCl3,400MHz) δ=160.8, 159.2, 150.2, 150.0, 138.6, 138.1, 136.5, 134.9, 132.8, 129.9, 128.9, 128.5, 128.09, 127.9, 127.7, 127.5, 127.2, 127.0, 126.9, 125.9, 124.7, 79.0, 73.0, 56.7.
【0090】
化合物9a−9dの調製
前記したベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法を用いて化合物8a−8dから化合物9a−9dを調製した。
実施例4:1,1−ジオキソ−3−メチルスルファニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(9a)
前記したベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法に従って化合物8aから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=2.2(s, 3H), 6.17(s, 1H), 7.42−7.36(m, 2H), 7.43(s, 1H), 7.61−7.58(m, 1H), 7.81(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.52(d, J=4.0Hz, 1H).
【0091】
実施例5:1,1−ジオキソ−3−フェニルスルファニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(9b)
前記したベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法に従って化合物8bから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.32(d, J=1Hz, 1H), 7.42−7.33(m, 6H), 7.46(s, 1H), 7.6−7.58(m, 1H), 7.81(tofd, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.51(d, J=4.0Hz, 1H).
【0092】
実施例6:1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−(チオフェン−2’−イル)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(9c)
前記したベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法に従って化合物8cから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.23(s, 1H), 7.03−7.00(m, 1H), 7.1(d, J=4Hz, 1H), 7.42−7.4(m, 2H), 7.45(s, 1H), 7.61(d, J=7.6Hz, 1H), 7.83(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.54(d, J=4.0Hz, 1H).
【0093】
実施例7:1,1−ジオキソ−3−フェニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(9d)
前記したベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法に従って化合物8dから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) 5=6.24(s, 1H), 7.39−7.28(m, 6H), 7.45(s, 1H), 7.62−7.60(m, 1H), 7.82(t of d, J=1.6Hz and 7.6Hz, 1H), 8.54(d, J=4.0Hz, 1H).
【0094】
実施例8および9(図3)
化合物10および10bの調製
化合物8aおよび8bの3−位硫黄を酸化して対応する3−位スルホン(10aおよび10b)を生成する一般的手法
CH2Cl2(5mL)中のスルフィド(8aまたは8b、0.1ミリモル)の溶液にmCPBA(0.4ミリモル)を添加し、反応混合物を反応が完了するまで(TLCによってモニターしてほぼ8時間)、室温にて攪拌した。ついで、反応物をNaHSO3の飽和溶液を添加することによってクエンチした。層を分離し、水性層をさらなる部のCH2Cl2(1×20mL)で抽出した。合した有機層をNaHCO3(1×20mL)、水(1×20mL)およびブライン(1×20mL)で洗浄した。ついで、有機層をNa2SO4上で乾燥し、真空下にて濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製した。
【0095】
1,1−ジオキソ−3−メチルスルホニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(10a)
収率=81%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=2.81(s, 3H), 3.84(d, J=18.5Hz, 1H), 4.34(d, J=18.5Hz, 1H), 6.08(s, 1H), 7.03(s, 1H), 7.43−7.3(m, 13H), 7.74(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.69(d, J=4Hz, 1H).
【0096】
1,1−ジオキソ−3−フェニルスルホニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(10b)
収率=75%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=3.48(d, J=18Hz, 1H), 4.16(d, J=18Hz, 1H), 5.94(s, 1H), 7.05(s, 1H), 7.44−7.19(m, 17H), 7.75−7.71(m, 2H), 8.61(d, J=4Hz, 1H).
【0097】
化合物11aおよび11bの調製
前記したベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法を用いて化合物10aおよび10bから化合物11aおよび11bを調製した。
【0098】
実施例8:1,1−ジオキソ−3−メチルスルホニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(lla)
ベンズヒドリルエステル脱保護について前記した一般的手法に従ってエステル10aから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=3.2(s, 3H), 4.53(d, J=17.6Hz, 1H), 4.32(d, J=17.6Hz, 1H), 6.41(s, 1H), 7.49−7.40(m, 1H), 7.66−7.58(m, 2H), 7.86(t of d, J=1.6 and 7.6Hz, 1H), 8.60(d, J=4.0Hz, 1H).
【0099】
実施例9:1,1−ジオキソ−3−フェニルスルホニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(11b)
ベンズヒドリルエステル脱保護について前記した一般的手法に従ってエステル10bから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.33(s, 1H), 7.40−7.39(m, 1H), 7.62−7.54(m, 6H), 7.71(m, 1H), 7.83(t of d, J=1.6 and 7.6Hz, 1H), 8.55(d, J=4.0Hz, 1H).
【0100】
実施例10および11(図4)
化合物12の調製 1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−(トリメチルスタニル)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(12)
アルゴン雰囲気下、乾燥THF中の6c(1.0g、1.71ミリモル)の溶液に、ヘキサメチル二スズ(0.67g、2.0ミリモル)、Pd2(dba)3(175mg、0.2ミリモル)を添加した。1H NMRによってモニターしつつ、反応混合物を60℃にて1.5時間攪拌した。反応が完了した後に、減圧下にて溶媒を除去した。ついで、生成物をCH2Cl2に溶解し、水(50mL)およびブライン(30mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、減圧下にて濃縮し、溶出液としてEtOAc/CH2Cl2を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製して60%収率の13を得た。
1H NMR(CDCl3,400MHz): δ=8.66(d, J=3.9Hz, 1H), 7.72(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 7.54(d, J=7.5Hz, 2H), 7.43 to 7.26(m, 11H), 6.92(s, 1H), 5.88(s, 1H), 4.07(d, J=18.5Hz, 1H), 3.93(d, J= 18.5Hz, 1H), 0.15(s, 9H).
13C NMR(CDCl3,400MHz): δ=162.6, 158.4, 150.8, 150.3, 142.1, 139.6, 139.2, 136.8, 133.9, 130.6, 129.8, 128.6, 128.4, 128.2, 127.9, 127.5, 127.1, 126.0, 124.9, 80.3, 73.1, 57.6, −6.6.
HRMS C29H29N2O6SSn [M+H]+として計算値 637.0819、観察値 637.0823.
【0101】
化合物13aおよび13bの調製 12とXeF2との反応:1,1−ジオキソ−3−フルオロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(13a)および1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(13b)の合成
アルゴン下、無水CH2Cl2中のスタナン(stannane)12(0.1ミリモル)の溶液にAgOTf(0.11ミリモル)を添加し、反応混合物を氷−食塩浴中で冷却した。ついで、XeF2(0.11ミリモル)を一度に添加し、反応物を10分間攪拌した。この時点で水を添加し、層を分離した。水性層をさらなる部のCH2Cl2(1×25mL)で抽出し、合した有機層を水(1×25mL)およびブライン(1×25mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。真空下にて溶媒を除去した後に、生成物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0102】
1,1−ジオキソ−3−フルオロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(13a)
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=8.65(d, J=4.0Hz, lH) j 7.71(t of d, J=1.5 and 7.7Hz, 1H), 7.47−7.27(m, 13H), 7.04(s, 1H), 5.84(s, 1H), 4.23(d of d, J=5.4 and 20Hz, 1H), 4.08(d of d, J=5.4 and 20Hz, 1H).
【0103】
1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(13b)
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=8.66(d, J=4.0Hz, 1H), 7.76(t of d, J=1.5 and 7.7Hz, 1H), 7.48−7.25(m, 13H), 6.99(s, 1H), 6.34(d of d, J=3.5 and 2.0Hz), 5.94(s, 1H), 4.04(d of d, 1.5 and 17.5Hz, 1H), 3.83(d of d, J=5.6 and 17.5Hz, 1H).
HRMS C26H21N2O5S [M+H]+として計算値 473.1171, 観察値 473.1148.
【0104】
化合物14aおよび14bの調製
ベンズヒドリルエステル脱保護について前記した一般的手法を用いて化合物13aおよび13bから化合物14aおよび14bを調製した。
【0105】
実施例10:1,1−ジオキソ−3−フルオロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(14a)
ベンズヒドリルエステル脱保護について前記した一般的手法に従ってエステル13aから調製した。
1H NMR(D2O, 400MHz) δ=6.19(s, 1H), 7.46−7.35(m, 2H), 7.58−7.55(m, 1H), 7.8(t of d, J=1.6Hz and 7.6Hz, 1H), 8.52(d, J−4.0Hz, 1H).
【0106】
実施例11:1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(14b)
ベンズヒドリルエステル脱保護について前記した一般的手法に従ってエステル13bから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.21(s, 1H), 7.38− 7.35(m, 1H), 7.43(s, 1H), 7.61−7.59(m, 1H), 7.81(t of d, J=1.6Hz and 7.6Hz, 1H), 8.51(d, J=4.0Hz, 1H).
【0107】
実施例12−16(図5および6)
化合物16a、16b、および20a−20cの調製 カルボン酸からアミド形成の一般的手法(反応図式5および6)
下記の手法を用いて化合物15から化合物16aおよび16bを調製し、それを用いて化合物19から化合物20a、20bおよび20cも調製した。
乾燥CH3CN(10mL)中のカルボン酸(0.3ミリモル)の溶液に、Et3N(0.6ミリモル)、適当なアミン、RNH2(0.45ミリモル)およびBOP試薬(0.3ミリモル)を室温にて添加した。反応物をTLCによってモニターし、通常、30分で完了した。ついで、真空下にてCH3CNを除去した。残査にCH2Cl2(25mL)および水(25mL)を添加した。層を分離した後に、水性層をCH2Cl2(25mL)で2回抽出をし、合した有機層を水(10mL)につづいてブライン(25mL)で洗浄した。ついで、これらの有機層をNa2SO4上で乾燥させ、真空下にて濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製した。これらのカップリング反応の収率は典型的に50ないし70%であった。
【0108】
化合物17a、17b、および19の調製
スルフィド16aおよび16bから対応するスルホン17aおよび17bへの酸化ならびにスルフィド15からスルホン19への酸化には一般的な手法を用いた。
この手法は、前記したmCPBAでの酸化を用いた1,1−ジオキソ−3−ハロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(6a、6b、および6c)の形成の一般的手法と同じである。
【0109】
化合物18a、18b、および21a−21cの調製
ベンズヒドリルエステル(17a、17b、20a、20b、および20c)を脱保護して対応するカルボン酸塩(各々、18a、18b、21a、21b、および21c)を生成するための一般的手法
この方法は、前記したベンズヒドリルエステルを脱保護するための一般的手法と同一である。
【0110】
実施例12:3−(N−シクロプロピル−2’−カルバモイルビニル)−1,1−ジオキソ−7−(2’’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(18a)
1H NMR(D20,400MHz) δ=0.56−0.52(m, 2H), 0.8−0.75(m, 2H), 2.68−2.65(m, 1H), 4.26(d, J=17.5Hz, 1H), 4.39(d, J=17.5Hz, 1H), 5.95(d, J=15.5Hz, 1H), 6.38(s, 1H), 7.5−7.45(m, 2H), 7.57(s, 1H), 7.69(d, J=8Hz, 1H), 7.9(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.63(d, J=4Hz, 1H).
【0111】
実施例13:3−(N−ヒドロキシ−2’−カルバモイルビニル)−1,1−ジオキソ−7−(2’’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(18b)
1H NMR(D20, 400MHz) δ=5.88(d, J=16Hz, 1H), 6.33(s, 1H), 7.33(d, J=16Hz, 1H), 7.45−7.41(m, 1H), 7.49(s, 1H), 7.65(d, J=8Hz, 1H), 7.86(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.6(d, J=4Hz, 1H).
【0112】
実施例14:3−[2’−(ヒドラジノカルボニル)ビニル)]−1,1−ジオキソ−7−(2’’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(21a)
1H NMR(D20, 400MHz) δ=5.92(d, J=16Hz, 1H), 6.25(s, 1H), 7.68−7.43(m, 3H), 7.67(d, J=8Hz, 1H), 7.88(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H, 8.61(d, J=4Hz, 1H).
【0113】
実施例15:3−{[N−(3’’−アミノプロピル)−2’−カルバモイル]ビニル)}−1,1−ジオキソ−7−(2’’’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(21b)
1H NMR(D20, 400MHz) δ=1.87(q, J=7Hz, 2H), 2.96(t, J=7.5Hz, 1H), 3.31(t, J=6.5Hz, 1H), 5.98(d, J=16Hz, 1H), 6.33(s, 1H), 7.48−7.40(m, 2H), 7.52(s, 1H), 7.64(d, J=8Hz, 1H), 7.85(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.58(d, J=4Hz, 1H).
【0114】
実施例16:3−[3’−(4’’−メチルピペラジン−1’’−イル)−3’−オキソプロペニル]−1,1−ジオキソ−7−(2’’’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(21c)
1H NMR(D20, 400MHz) δ=2.19(s, 3H), 2.46−2.42(m, 4H), 3.8−3.76(m, 4H), 6.37(d, J=16Hz, 1H), 6.43(s, 1H), 7.51−7.4(m, 3H), 7.53(s, 1H), 7.66(d, J =16Hz, 1H), 7.86(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.59(d, J=4Hz, 1H).
【0115】
実施例17:下記は、ヒトにおける治療または予防用の式(I)で示される化合物(”化合物X”)を含有する、代表的な医薬投与量形態を示す。
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
上記の処方は、医薬分野においてよく知られている慣用的な手法によって得ることができる。”β−ラクタム系抗生物質”とは、抗生物質特性を有するいずれの化合物であってもよい(例えば、アモキシシリン、ピペラシリン、アンピシリン、セフチゾキシム、セフォタキシム、セフロキシム、セファレキシン、セファクロル、セファロリジン、またはセフタジジム)。具体的な量の”化合物X”および”β−ラクタム系抗生物質”を前記の説明目的の例に示したが、目的の抗生物質特性を所有する最終処方を与えるいずれの比率でも化合物を存在させ得ることは理解される。
【0128】
すべての刊行物、特許および特許明細書を出典明示して本明細書の一部とみなす。本発明を種々の特定かつ好ましい具体例および技術に参照して記載した。しかしながら、本発明の意図および範囲に残存しつつ種々の変形および修飾を作成し得ることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は本発明の代表的な化合物の調製を図示する。
【図2】図2は本発明の代表的な化合物の調製を図示する。
【図3】図3は本発明の代表的な化合物の調製を図示する。
【図4】図4は本発明の代表的な化合物の調製を図示する。
【図5】図5は本発明の代表的な化合物の調製を図示する。
【図6】図6は本発明の代表的な化合物の調製を図示する。
発明の優先権
本願は、2001年7月24日に出願された米国仮特許出願番号60/307,403に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
β−ラクタム系抗生物質に対する微生物耐性の最も重要な機構は、ペニシリンおよびセファロスポリンのごときβ−ラクタム系抗生物質を加水分解的に破壊する酵素、すなわちβ−ラクタマーゼの微生物による産生である。このタイプの耐性は、同菌株の他のメンバーのみならず、他の種にさえも耐性を迅速に拡大することができるプラスミドによって水平的に移行し得る。かかる迅速な遺伝子の移行に起因して、患者は各々が同じβ−ラクタマーゼを所有する異なる生物に感染するようになり得る。β−ラクタマーゼ酵素はアミノ酸配列に基づいて4の分子クラス;A、B、CおよびDに組織されている。クラスAにはRTEMおよびスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)のβ−ラクタマーゼが含まれ、クラスCにはP−99エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)由来のラクタマーゼが含まれ、クラスDはセリン・ヒドラ−ゼである。クラスA酵素は約29kDaの分子量を有しペニシリンを専ら加水分解する。クラスBラクタマーゼは金属酵素であって、他のクラスのタンパク質よりも広い基質特性を有する。クラスC酵素にはグラム陰性細菌の染色体セファロスポリナーゼが含まれ、ほぼ39kDaの分子量を有する。最近になって認識されたクラスD酵素はクラスAおよびクラスCの双方とも著しく異なるユニークな基質特性を示す。
【0003】
特に、クラスCセファロスポリナーゼは、従来および新たに設計された双方の種々の抗生物質に対するグラム陰性細菌の耐性に寄与している。クラスC酵素を所有しているエンテロバクター種は、今や、合衆国における院内感染の三番目に多い原因である。このクラスの酵素は、普通に処方される阻害剤であるクラブラン酸のごときクラスA酵素の阻害剤に対して親和性が低い場合があり、6−β−ヨードペニシリン酸のごとき一般的なイン・ビトロ(in vitro)不活性化剤に対して親和性が低い場合がある。
【0004】
この迅速に進化する細菌の耐性を克服する1の戦略は、β−ラクタマーゼ阻害剤の合成および投与である。よくあるケースとしては、β−ラクタマーゼ阻害剤それ自体は抗生物質活性を所有しておらず、したがって抗生物質と一緒に投与される。かかる相乗的混合物の一例は、AUGMENTIN(アモキシシリン、クラブラン酸カリウム)なる商標名で販売されている商品であり、それには抗生物質であるアモキシシリンおよびβ−ラクタマーゼ阻害剤であるクラブラン酸カリウムが含まれている。
【0005】
新規なβ−ラクタマーゼ阻害剤、とりわけβ−ラクタム系抗生物質と一緒に投与し得るβ−ラクタマーゼ阻害剤に対して継続した要望が存在する。
【0006】
発明の概要
本発明は、式(I):
【0007】
【化1】
【0008】
[式中、
R1およびR2は各々独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、(C1−C10)アルコキシカルボニル、アリール、複素環、ハロ、シアノ、ニトロ、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRfRg、またはS(O)nRhであり;
R3は水素、ハロ、アリール、ヘテロアリール、−S(O)nRh、または−CH=CHC(=O)NRmRpであり;
R4は水素であり;
Aはチオ、スルフィニル、またはスルホニルであり;
各nは独立して、0、1、または2であり;
各Reは独立して、水素、または(C1−C10)アルキルであり;
各RfおよびRgは独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C1−C10)アルコキシ、フェニル、ベンジル、フェネチル、(C1−C10)アルカノイル、または−C(=O)NRfRgであり、ここにRfおよびRgは所望により窒素原子を環−NRe−中に含んでいてもよい環を形成し;
各Rhは独立して、(C1−C10)アルキル、またはアリールであり;
Rmは水素であって、RpはNH2、OH、(C2−C10)シクロアルキル、または−(C2−C10)アルキル−NH2であり;あるいは、RmおよびRpはそれらが結合する窒素と一緒になってピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロリジンまたはピペラジン環を形成し、ここにピペラジンは4−位において水素または(C1−C10)アルキルで置換されており;
ここにR1またはR2のいずれかの(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、または(C1−C10)アルコキシカルボニルは、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、シアナト、ニトロ、メルカプト、オキソ、アリール、複素環、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリール(C1−C6)アルカノイルオキシ、ハロ(C1−C6)アルカノイルオキシ、複素環(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリールオキシ、(複素環)オキシ、(C3−C8)シクロアルキル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、−NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1ないしそれを超える置換基で置換されていてもよく;
ここにいずれのアリールも、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、トリフルオロメトキシ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよい]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0009】
本発明は、医薬上許容される希釈剤または担体と組合せた式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩を含む医薬組成物、ならびにさらにβ−ラクタム系抗生物質を含むかかる医薬組成物も提供する。
本発明は、β−ラクタマーゼと式(I)で示される有効量の化合物;またはその医薬上許容される塩とを(イン・ビトロ(in vitro)またはイン・ビボ(in vivo)で)接触させることによってβ−ラクタマーゼを阻害することを含む方法も提供する。
【0010】
また、本発明は、有効阻害量の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩を投与することによってかかる治療を必要とする哺乳動物におけるβ−ラクタマーゼを阻害することを含む治療方法も提供する。
また、本発明は、有効なβ−ラクタマーゼ阻害量の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩と組合せてβ−ラクタム系抗生物質をそれを必要とする哺乳動物に投与することによって、β−ラクタム系抗生物質の活性を高めることを含む方法も提供する。
【0011】
また、本発明は、有効なβ−ラクタマーゼ阻害量の式(I)で示される化合物;またはその医薬上許容される塩と組合せて有効量のβ−ラクタム系抗生物質を投与することによって哺乳動物におけるβ−ラクタム耐性細菌感染症を治療することを含む方法も提供する。
また、本発明は、医学療法における使用のための(好ましくは哺乳動物においてβ−ラクタマーゼを阻害することに使用するための、または哺乳動物におけるβ−ラクタム耐性細菌感染症を治療するための)式(I)で示される化合物、ならびにヒトにおけるβ−ラクタマーゼを阻害するのに有用な薬物を製造するための式(I)で示される化合物の使用も提供する。
【0012】
また、本発明は、式(I)で示されるβ−ラクタマーゼ阻害剤を調製するのに有用である本明細書中に開示するプロセスおよび中間体も提供する。
【0013】
式(I)で示される化合物は、治療適用用のβ−ラクタマーゼ阻害剤として有用である。それは、抗生物質耐性の機構を研究するための、他の治療抗生物質剤またはβ−ラクタマーゼ阻害剤を同定するのを支援するための、所定の微生物によってβ−ラクタマーゼが発現されているかを同定するための、または微生物における1またはそれを超えるβ−ラクタマーゼを選択的に阻害するためのイン・ビトロ(in vitro)またはイン・ビボ(in vivo)実験用の薬理学的ツールとしても有用である。
【0014】
詳細な説明
別段指摘しない限り、以下の定義を使用する。ハロとはフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードである。アルキル、アルコキシ、アルケニルなどは、直鎖および分岐鎖基の両方を示す。アリールとは、フェニル基、または少なくとも1の環が芳香族である約9ないし10の環原子を有するオルト縮合した二環式の炭素環式基を示す。複素環とは、炭素と非ペルオキシド酸素、硫黄およびN(X)(ここに各Xは存在しないかまたはH、O、(C1−C4)アルキル、フェニルまたはベンジルである)よりなる群から選択される1、2、3または4のヘテロ原子とを含む6ないし10員の不飽和または飽和、単環式、二環式または三環式の環系を示す。”複素環”なる語には、炭素と非ペルオキシド酸素、硫黄およびN(X)(ここに各Xは存在しないかまたはH、O、(C1−C4)アルキル、フェニルまたはベンジルである)よりなる群から各々選択される1ないし4のヘテロ原子とからなる5または6の環原子を含む単環式芳香族環の環原子を介して結合した基を示す”ヘテロアリール”、ならびにそれから由来する約8ないし10の環原子のオルト縮合した二環式複素環の基、特にベンゾ誘導体またはそれにプロピレン、トリメチレン、またはテトラメチレン二価基が縮合することによって誘導されたものが含まれる。好ましいヘテロアリールは、例えばピリジル基である。
【0015】
β−ラクタム系抗生物質の活性を”高める”なる語句は、本発明の化合物の不存在下で化合物によって示された活性に関して、統計学的に測定可能なかつ有意な手段で比較した抗生物質活性の改善または上昇を意味する。
"BH"または"bhl"なる文字はベンズヒドリルエステルを表す。
【0016】
キラル中心を有する本発明の化合物は光学活性形態およびラセミ形で存在し得ることは当業者によって認められる。ある種の化合物は多形を示し得る。本発明が、本明細書中に記載した有用な特性を所有する本発明の化合物のいずれのラセミ、光学活性、多形または立体異性体形、またはそれらの混合物をも包含することは理解されるべきであり、いかにして光学活性形(例えば、再結晶化技術によるラセミ形の分割によって、光学活性出発物質からの合成によって、キラル合成によって、またはキラル固相を用いたクロマトグラフィー分離によって)を調製するか、および本明細書中に記載した標準試験を用いて、もしくは当該技術分野においてよく知られている他の同様の試験を用いていかにしてβ−ラクタマーゼ阻害活性を測定するかは当該技術分野においてよく知られている。
基、置換基および範囲について後記する特定の値は、説明目的のみのものであって;それらは基および置換基について他の規定した値または規定した範囲内の他の値を排除するものではない。
【0017】
具体的には、(C1−C6)アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、3−ペンチル、またはヘキシルとなり得;(C1−C10)アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、3−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、またはデシルとなり得;(C3−C8)シクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルとなり得;(C1−C10)アルコキシはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ、ペントキシ、3−ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシまたはデシルオキシとなり得;(C1−C6)アルコキシはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ、ペントキシ、3−ペントキシ、またはヘキシルオキシとなり得;(C2−C10)アルケニルはビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキシル、5−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、4−ヘプテニル、5−ヘプテニル、6−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、3−オクテニル、4−オクテニル、5−オクテニル、6−オクテニル、7−オクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、4−ノネニル、5−ノネニル、6−ノネニル、7−ノネニル、8−ノネニル、1−デセニル、2−デセニル、3−デセニル、4−デセニル、5−デセニル、6−デセニル、7−デセニル、8−デセニル、または9−デセニルとなり得;(C2−C10)アルキニルはエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、2−ヘプチニル、3−ヘプチニル、4−ヘプチニル、5−ヘプチニル、6−ヘプチニル、1−オクチニル、2−オクチニル、3−オクチニル、4−オクチニル、5−オクチニル、6−オクチニル、7−オクチニル、1−ノニニル、2−ノニニル、3−ノニニル、4−ノニニル、5−ノニニル、6−ノニニル、7−ノニニル、8−ノニニル、1−デシニル、2−デシニル、3−デシニル、4−デシニル、5−デシニル、6−デシニル、7−デシニル、8−デシニル、または9−デシニルとなり得;(C1−C10)アルカノイルはアセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、またはデカノイルとなり得;(C1−C10)アルコキシカルボニルはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ノニルオキシカルボニル、またはデシルオキシカルボニルとなり得;(C1−C10)アルカノイルオキシはホルミルオキシ、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、イソブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ヘプタノイルオキシ、オクタノイルオキシ、ノナノイルオキシ、またはデカノイルオキシとなり得;アリールはフェニル、インデニル、またはナフチルとなり得;複素環はベンゾトリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソオキサゾリル、オキサゾリジノイル、イソキサゾリジノイル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピロリル、ピラジニル、ピリジニル、モルホリニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ピリミジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、またはピペラジニルとなり得;およびヘテロアリールは、例えば、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソオキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾイル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、1−メチル−1H−テトラゾ−ル−5−イル、ピリジル、(またはそのN−オキシド)、チエニル、ピリミジニル(またはそのN−オキシド)、インドリル、イソキノリル(またはそのN−オキシド)、またはキノリル(またはそのN−オキシド)となり得る。
【0018】
1の具体例において、本発明は式(I):
【0019】
【化2】
【0020】
[式中、
R1およびR2は各々独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、(C1−C10)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、ハロ、シアノ、ニトロ、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRfRg、または−S(O)nRhであり;
R3は水素、ハロ、アリール、ヘテロアリール、複素環、−Sn(R5)3、−SAr、−S(O)nAr、−S(O)nRh、−S(O)nNH2、−S(O)nNHRf、−S(O)nNRfRg、−COORm、−C(=O)−Rh、−C(=O)NRfRg、−CH=NORi、−CH=CRjRk、またはシアノであり;
R4は水素、アリール、複素環、(C1−C10)アルキル、ベンジル、フェネチル、−CHAr2または−CHPh2のごとき−ジアリール置換型(C1−C10)アルキルであり;
各R5は独立して、−(C1−C10)アルキル、(C1−C10)アルコキシ、フェニル、ベンジル、フェネチルであり;
Aはチオ、スルフィニル、またはスルホニルであり;
各nは独立して、0、1、または2であり;
各Reは独立して、水素、または(C1−C10)アルキルであり;
各RfおよびRgは独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C1−C10)アルコキシ、フェニル、ベンジル、フェネチル、(C1−C10)アルカノイル、または−C(=O)NRfRg(ここにRfおよびRgは所望により環−NRe−中に窒素原子を含有していてもよい環を形成する)であり;
各Rhは独立して、(C1−C10)アルキル、フェニル、アリール(C1−C6)アルキル、ヘテロアリール、複素環、または複素環(C1−C6)アルキルであり;
Riは水素、または(C1−C6)アルキルであり;および
RjおよびRkは各々独立して、水素、ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、複素環、(C2−C6)アルケニル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRfRg、または−S(O)nRhであり;
Rmは−H、−Na、−K、−Liなどの医薬上許容される塩、−(C1−C10)アルキル、−(C1−C10シクロアルキル、ベンジル、フェネチル、−CHAr2または−CHPh2のごとき−ジアリール置換型(C1−C10)アルキルであり;
ここに、R1、R2、R5、RjおよびRkのいずれかの(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、または(C1−C10)アルコキシカルボニルは、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、シアナト、ニトロ、メルカプト、オキソ、アリール、複素環、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリール(C1−C6)アルカノイルオキシ、ハロ(C1−C6)アルカノイルオキシ、複素環(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリールオキシ、(複素環)オキシ、(C3−C8)シクロアルキル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、−NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよく;および
ここに、いずれかのアリールは、所望によりハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、トリフルオロメトキシ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよい]
で示される化合物、またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0021】
具体的には、Aはスルホニル(−SO2−)である。
具体的には、R1はアリール、複素環、または−COOReである。
具体的には、R1は2−ピリジル、または−COOReである。
具体的には、R2は水素である。
具体的には、R3は水素、ハロ、アリール、複素環、−Sn(R5)3、−SAr、−S(O)nAr、−S(O)nRh、−S(O)nNH2、−S(O)nNHRf、−S(O)nNRfRg、−COORm、−C(=O)−Rh、または−C(=O)NRfRgである。
【0022】
具体的には、R3は水素、アリール、複素環、−Sn(R5)3、−SAr、−S(O)nAr、−S(O)nRh、−S(O)nNH2、−S(O)nNHRf、または−S(O)nNRfRgである。
具体的には、R3は水素である。
具体的には、R3はハロである。
具体的には、R3はフルオロである。
具体的には、R3はクロロである。
具体的には、R3はブロモである。
具体的には、R3はヨードである。
具体的には、R3はアリールである。
具体的には、R3はフェニルである。
具体的には、R3はヘテロアリールである。
具体的には、R3は2−チエニルである。
具体的には、R3はS(O)nRhである。
具体的には、R3はS(O)2Rhである。
具体的には、R3はS(O)2Rhであり;ここにRhはメチルまたはフェニルである。
具体的には、R3はSRhである。
具体的には、R3はSRhであり;ここにRhはメチルまたはフェニルである。
具体的には、R3は水素、ハロ、アリール、ヘテロアリール、または−S(O)nRhであり;
具体的には、RjおよびRkは各々独立して、水素、シアノ、−COORe、(C2−C10)アルケニル、またはヘテロアリールである。
【0023】
式(I)で示される具体的な化合物は、R1およびR2が各々独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、(C1−C10)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、ハロ、シアノ、ニトロ、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRfRg、または−S(O)nRhであり;R3が独立して、水素、フルオロ、−SPh、−SO2Ar、−Sn(CH3)3、または−CH=CH−CO2Hであり;R4が独立して、水素、フェニル、複素環、(C1−C10)アルキル、ベンジル、フェネチル、または−CHPh2であり;Aがチオ、スルフィニル、またはスルホニルであり;各nが独立して0、1、または2であり;各Reが独立して、水素、または(C1−C10)アルキルであり;各RfおよびRgが独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C1−C10)アルコキシ、フェニル、ベンジル、フェネチル、(C1−C10)アルカノイル、または−C(=O)NRfRg(ここに、RfおよびRgは所望により環−NRe−中に窒素原子を含有していてもよい環を形成する);各Rhが独立して、(C1−C10)アルキル、フェニル、アリール(C1−C6)アルキル、複素環、または複素環(C1−C6)アルキルであり;Riが水素、または(C1−C6)アルキルであり;RjおよびRkが各々独立して、水素、ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、複素環、(C2−C6)アルケニル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRfRg、または−S(O)nRhであり;ここに、R1、R2、RjおよびRkのいずれかの(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、または(C1−C10)アルコキシカルボニルが、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、シアナト、ニトロ、メルカプト、オキソ、アリール、複素環、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリール(C1−C6)アルカノイルオキシ、ハロ(C1−C6)アルカノイルオキシ、複素環(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリールオキシ、(複素環)オキシ、(C3−C8)シクロアルキル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよく;ここに、いずれかのアリールが、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、トリフルオロメトキシ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよい化合物またはまたはその医薬上許容される塩である。
【0024】
もう1の具体的な化合物は、式中、RjおよびRkのうちの一方が水素であって、他方がシアノ、−COORe、(C2−C10)アルケニル、またはヘテロアリールである化合物である。
【0025】
もう1の具体的な化合物は、式中、Rjが水素、またはハロであって、Rkがシアノ、メトキシカルボニル、アミノカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、2−ピリジル−N−オキシド、ニトロ、またはビニルである化合物である。
【0026】
もう1の具体的な化合物は、式中、Aがスルホニルであり;R1が2−ピリジル、カルボキシ、またはtert−ブトキシカルボニルであり;R2が水素であり;R3が水素、フルオロ、−SPh、−SO2Ph、−Sn(R5)3、または−CH=CH−CO2Hであって;R4が水素、−CHAr2、または医薬上許容される塩である化合物である。
【0027】
より具体的には、RjおよびRkは各々独立して、水素、シアノ、2−(メトキシカルボニル)、2−ピリジル−N−オキシド、またはビニルである。
【0028】
もう1の具体的な化合物は、式中、Aがスルホニル(−SO2−)であり;R1が2−ピリジル、カルボキシ、またはtert−ブトキシカルボニルであり;R2が水素であって;R3が水素、フルオロのごときハロ、−SPhのごとき−SAr、−Sn(R5)3、シアノ、−S(O)nAr;−CH=NORi、または−CH=CRjRkである式Iで示される化合物;またはその医薬上許容される塩である。
【0029】
式(I)で示されるより具体的な化合物は、R4が水素である式(I)で示されるカルボン酸から形成される医薬上許容される塩である。最も好ましいものは、R4がナトリウムまたはカリウムイオンで置き換わっている塩である。医薬上許容される塩なる語句には、式(I)で示される化合物のポリ塩(例えば、二塩または三塩)も包含される。
【0030】
式(I)で示される化合物を調製するのに有用なプロセスおよび新規な中間体を本発明のさらなる具体例として記載し、下記の工程によって説明するが、ここにおける一般的な基の意味は別段限定しない限り前記と同じである。
【0031】
代表的な化合物は図1ないし6に示したように調製した。市販されている3−ヒドロキシ−3−セフェム1を、Farinaの方法(Farinaら, J. Org. Chem. 54, 4962-4966 (1989))を用いることによってハロゲン化物3a、3b、および3cに変換した。PCl5を用いた処理の際にフェニルアセチル基を除去して、各々遊離アミン4a、4b、および4cを生成した。これらを対応する7−オキソ−3−セフェムに変換し、つづいて7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム5a、5b、および5cに変換した。これらは、過剰量のmCPBAでの処理の際に対応するスルホンに容易に酸化し、TFAでの処理(それにつづく重炭酸塩での中和)によって4−位のカルボン酸が脱保護されて対応するナトリウム塩7a、7b、および7cを生成した。
【0032】
ヨウ化物6cは、図2に示すごとく選択した有機スズを用いたStilleカップリング反応を介して他のC3置換型アナログを生成するのにも有用である。かかる反応により、代表的なC3−スルフィド、アリールおよびヘテロアリール化合物が生成され、これらも図2に示したように脱保護した。またC3スルフィド 8aおよび8bは、図3に示すごとく対応するC3スルホニル化合物に酸化し、脱保護して対応するナトリウム塩を生成し得た。
【0033】
さらに、化合物6cを、図4に示すごとくC3スタンニル化アナログに変換した。示すごとく、この化合物を利用してC3フッ化化合物(14a)およびC3非置換型化合物(14b)を創製した。
【0034】
本明細書に記載した手法と同様の手法ならびに標準的な合成技術を用いて、式(I)で示される化合物を調製し得る。
R4が医薬上許容されるカチオン(例えば、ナトリウムまたはカリウムイオン)で置き換わっている式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩は、好適な塩基との反応によって、R4が水素である式(I)で示される対応する化合物から簡便に調製し得る。
【0035】
R4が水素である式(I)で示される化合物を調製するのに有用な中間体は、R4が好適な除去可能なカルボキシ保護基で置き換わっている対応する化合物である。かかる保護基は当該技術分野でよく知られている。例えば、Greene, T. W.; Wutz, P. G. M."Protecting Groups In Organic Synthesis" 第二版, 1991, New York, John Wiley & Sons, Inc.を参照されたい。好ましい保護基には、(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C2−C10)アルキニル、アリール、ベンジル、またはベンズヒドリルが含まれる。したがって、本発明は、R1、R2、およびR3が本明細書中に定義した等価物(value)、具体的な等価物、または好ましい等価物のいずれかを有し、R4が(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C2−C10)アルキニル、アリール、ベンジル、およびベンズヒドリルである式(I)で示される化合物を提供する。
【0036】
式(I)で示される化合物を調製するのに有用なもう1の中間体は、R3がスズ含有基、例えば式−Sn(R)3で示される基(ここに、各Rは(C1−C6)アルキルである)である式(I)で示される化合物である。したがって、本発明は、R1、R2およびR4が本明細書に記載する等価物のいずれかを有し、R3が−Sn(R)3(ここに、各Rは(C1−C6)アルキルである)である式(I)で示される化合物も提供する。
【0037】
Aがスルホニル(−SO2−)である式(I)で示される化合物は、例えばmeta−クロロ過安息香酸(mCPBA)を用いることによって、Aがチオ(−S−)である式(I)で示される対応する化合物を酸化することによって調製し得る。
Aがスルフィニル(−SO−)である式(I)で示される化合物は、許容し得る酸化剤の1の等価物、例えばmCPBAを用いてAがチオ(−S−)である式(I)で示される対応する化合物を酸化することによって調製し得る。R3が水素、アリール、ヘテロアリール、または−SRhである式(I)で示される化合物は、R3がハロである式(I)で示される対応する化合物と式(Ra)3Sn−R3で示される有機スズおよび触媒とを合して式(I)で示される化合物を得ることによって調製し得る。したがって、本発明は、R3がハロであって、R4が保護基である式(I)で示される対応する化合物と式(Ra)3Sn−R3で示される有機スズおよび触媒とを合して、R3が水素、アリール、ヘテロアリール、または−SRhであって;R4が保護基である式(I)で示される化合物を得、ついで該保護基R4を除去して、R3が水素、アリール、ヘテロアリール、または−SRhであって、R4が水素である式(I)で示される化合物を得ることを含む、R3が水素、アリール、ヘテロアリール、または−SRhであって、R4が水素である式(I)で示される化合物を調製する方法も提供する。1の具体例において、触媒にはパラジウムが含まれる(例えば、Pd2(dba)2)。もう1の具体例において、Raはメチル、エチル、プロピル、またはブチルである。
【0038】
本発明は、R3が−Sn(R)3(ここに、各Rは(C1−C6)アルキルである)であって、R4が保護基である式(I)で示される対応する化合物と、必須の有機ハロゲン化物または有機トリフルオラート(例えば、式R3−X(ここに、Xはハロゲンまたはトリフラートである)で示される化合物)および触媒とを合して、R3がアリール、ヘテロアリール、または−CH=CHC(=O)NRmRpであって;R4が保護基である式(I)で示される化合物を得、ついで該保護基R4を除去して、R3がアリール、ヘテロアリール、または−CH=CHC(=O)NRmRpであって、R4が水素である式(I)で示される化合物を得ることを含む、R3がアリール、ヘテロアリール、または−CH=CHC(=O)NRmRpであって、R4が水素である式(I)で示される化合物を調製する方法も提供する。1の具体例において、各Rはメチル、エチル、プロピル、またはブチルである。
【0039】
本発明は、R3が−Sn(R)3(ここに、各Rは(C1−C6)アルキルである)であって、R4が保護基である式(I)で示される対応する化合物と、AgOTfおよびXeF2とを合して、R3がHまたはFであって;R4が保護基である式(I)で示される化合物を得、ついで該保護基R4を除去して、R3がHまたはFであって、R4が水素である式(I)で示される化合物を得ることを含む、R3がHまたはFであって、R4が水素である式(I)で示される化合物を調製する方法も提供する。1の具体例において、各Rはメチル、エチル、プロピル、またはブチルである。
【0040】
上記した合成方法において使用する出発物質の多くは市販されているか、または科学刊行物に報告されている。前記した合成手法の全工程または一部の工程の間に適宜、保護基を使用することが望ましい場合もある。かかる保護基ならびにその導入および除去方法は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、Greene, T. W.; Wutz, P. G. M. "Protecting Groups In Organic Synthesis"第二版, 1991, New York, John Wiley & Sons, Inc.を参照されたい。
【0041】
化合物が安定な無毒な酸性または塩基性塩を形成するのに十分に塩基性または酸性である場合には、塩として化合物を投与するのが適当である場合がある。医薬上許容される塩の例は、生理学上許容し得るアニオン、例えばトシラート、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、 安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、およびα−グリセロリン酸塩を形成する酸を用いて形成した有機酸付加塩である。好適な無機塩も形成し得、それには塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、および炭酸塩が含まれる。
【0042】
医薬上許容される塩は、例えば、アミンのごとき十分に塩基性の化合物と好適な酸とを反応させて生理学上許容し得るアニオンを得ることによるような、当該技術分野でよく知られている標準的な手法を用いて得ることができる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)塩またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も生成し得る。
【0043】
式(I)で示される化合物は医薬組成物として処方化し、選択した投与経路、すなわち経口、非経口、静脈内、筋肉内、局所、皮下経路に適応した種々の形態でヒト患者のごとき哺乳動物宿主に投与し得る。
したがって、本発明の化合物は、不活性な希釈剤または同化性の食用担体のごとき医薬上許容されるビヒクルと組合せて、全身投与、例えば経口投与し得る。それは硬質または軟質シェルのゼラチンカプセルに封入し得、錠剤に圧縮し得、あるいは患者の食事の食物と一緒に直接的に取り込ませ得る。経口療法投与に関しては、活性化合物を1またはそれを超える賦形剤と合し、摂取可能な錠剤、口内錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリクシル剤、懸濁剤、シロップ剤、オブラートなどの形態で使用し得る。かかる組成物および調製物は少なくとも0.1%の活性化合物を含有すべきである。もちろん、組成物および調製物のパーセンテージは変化することができ、都合よくは所与のユニット投与量形態の約2ないし約60重量%とし得る。かかる治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、有効投与量レベルが得られるような量である。
【0044】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などは以下の成分:トラガカントガム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンのごとき結合剤;リン酸二カルシウムのごとき賦形剤;コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸などのごとき崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのごとき滑剤;およびスクロース、フルクトース、ラクトースまたはアスパルテームのごとき甘味剤またはペパーミント、冬緑油またはチェリーフレーバーのごとき香料も添加し得る。ユニット投与量形態がカプセル剤である場合、それは、上記したタイプの物質に加えて植物油またはポリエチレングリコールのごとき液体担体を含有し得る。コーティング剤として、さもなくば固形ユニット投与量形態の物理学的形態を修飾するための他のものとして、種々の他の物質が存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセル剤はゼラチン、ワックス、セラックまたは砂糖などでコートし得る。シロップ剤またはエリクシル剤は、活性化合物、甘味剤としてのスクロースまたはフルクトース、保存剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、着色料およびチェリーフレーバーまたはオレンジフレーバーのごとき香料を含有し得る。勿論、いずれのユニット投与量形態を調製するのに使用されるいずれの物質も、使用する量において医薬上許容され、かつ、実質的に無毒性でなければならない。また、活性化合物は徐放性の調製物およびデバイスに取り込ませることもできる。
【0045】
活性化合物は、注入または注射によって静脈内または腹膜内投与することもできる。活性化合物またはその塩の液剤は、所望により非毒性の界面活性剤と混合してもよい水中に調製し得る。分散剤は、グリセリン、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、およびそれらの混合物中ならびに油中にも調製し得る。通常の保存および使用条件下においては、これらの調製物に保存剤を含ませて微生物の増殖を予防する。
【0046】
注射または注入に好適な医薬投与量形態には、所望によりリポソームにカプセル化してもよい、無菌の注射または注入可能な液剤または分散剤の即効性調製物に適合する有効成分を含む無菌の水性液剤または水性懸濁剤または無菌の粉剤が含まれ得る。すべての場合において、最終的な投与量形態は製造条件下および保存条件下において無菌、流動性かつ安定であるべきである。液体の担体またはビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、無毒性グリセリルエステル、およびそれらの好適な混合物を含む溶媒または液体分散媒体とし得る。適当な流動性は、例えば、リポソームの形成によって、分散剤の場合においては必要な粒径を維持することによって、あるいは界面活性剤を使用することによって維持し得る。微生物の活動の予防は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって行い得る。多くの場合においては、等張化剤、例えば砂糖、緩衝液または塩化ナトリウムを含有することが好ましいであろう。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に使用することによって行い得る。
【0047】
無菌の注射可能な液剤は、必要により前記に列挙した種々の他の成分と一緒に、適当な溶媒中に必要量の活性化合物を入れ、その後に濾過滅菌することによって調製し得る。無菌の注射可能な液剤を調製するための無菌の粉剤の場合、好ましい調製方法は真空乾燥および凍結乾燥であり、それによって以前に無菌の濾過溶液に存在していた有効成分といずれかのさらなる望ましい成分の粉体が得られる。
【0048】
局所投与に関しては、本発明の化合物は純粋な形態、すなわちそれらが液体の場合に適用し得る。しかしながら、固体または液体となり得る皮膚科学上許容し得る担体と組合せた組成物または処方としてそれらを皮膚に投与することが一般的に望ましいであろう。
【0049】
有用な固体担体には、タルク、クレー、マイクロクリスタリン・セルロース、シリカ、アルミナなどのごとき微細な固形物が含まれる。有用な液体担体には、所望により無毒性の界面活性剤で補助してもよいが、その中に本発明の化合物を有効レベルで溶解または分散し得る水、アルコールまたはグリコールまたは水−アルコール/グリコール混合液が含まれる。芳香剤のごとき補助剤およびさらなる抗微生物剤を添加して、特性を所定の使用に最適化し得る。得られた液体組成物は、吸収パッドから適用することができ、含浸帯(impregnate bandage)および他の外傷用医薬材料に使用し得、あるいはポンプ式またはエアゾールスプレーを用いて幹部に噴霧し得る。
【0050】
使用者の皮膚に直接適用するために、合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸の塩およびエステル、脂肪族アルコール、修飾セルロースまたは修飾無機物質のごとき増粘剤を液体担体と一緒に用いて、引き延し可能なパスタ剤、ゲル剤、軟膏、石鹸なども形成し得る。
【0051】
本発明の化合物を皮膚にデリバリーするために使用し得る有用な皮膚科学組成物の例は、Jacquetら(米国特許第4,608,392号)、Geria(米国特許第4,992,478号)、Smithら(米国特許第4,559,157号)およびWortzman(米国特許第4,820,508号)に開示されている。
【0052】
本発明の組成物は、鼻および喉の粘膜または気管支組織を介した吸収に好適な形態でも調製し得、粉剤または液体のスプレー剤または吸入剤、トローチ剤、咽喉塗剤(throat paint)ほかの形態を簡便にとり得る。目または耳の薬物療法に関しては、調製物を液体または半固体の形態で個別のカプセル剤として提供し得、あるいはドロップ剤ほかとして使用し得る。局所適用剤は、軟膏、クリーム剤、ローション剤、塗剤、粉剤ほかとして疎水性または親水性ベースで処方化し得る。
【0053】
獣医学的薬剤に関しては、組成物は、例えば、長期作用型または迅速放出型ベースのいずれかの乳房内調製物として処方化し得る。
本発明の化合物の有用な投与量は、そのイン・ビトロ(in vitro)活性および動物モデルにおけるイン・ビボ(in vivo)活性を比較することによって決定し得る。ヒトに対してマウスおよび他の動物における有効投与量を外挿する方法は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、米国特許第4,938,949号を参照されたい。
【0054】
一般的に、ローション剤のごとき液体組成物中の(複数の)本発明の化合物の濃度は、約0.1−25重量%、好ましくは約0.5−10重量%であろう。ゲル剤または粉剤のごとき半固体または固体の組成物中の濃度は、約0.1−5重量%、好ましくは約0.5−2.5重量%であろう。
【0055】
液体または固体にかかわらず、ユニット投与量当りの組成物は、0.1ないし99%の活性物質(本発明の7−ビニリデン・セファロスポリンおよび任意の抗生物質)を含み得、好ましい範囲は約10−60%である。一般的に、組成物は組成物の全重量に基づいて約15mgないし約1500mg重量の有効成分を含むであろうが;一般的には、約250mgないし1000mgの範囲の投与量を用いるのが好ましい。非経口投与においては、ユニット投与量は、一般的に、僅かに酸性化した無菌の水溶液中の、または液剤を意図した可溶性粉剤の形態中の純粋な化合物である。注射、注入または摂取用の単一投与量は、例えば、成人に対して、一日当り1−3回投与して約0.5−50mg/kgのレベルを得ることができる。
【0056】
本発明は、本明細書において前記した式(I)で示される有効量の化合物;またはその医薬上許容される塩;および医薬上許容し得る担体を含む医薬組成物を提供する。本発明は、本明細書において前記した式(I)で示される有効量の化合物;またはその医薬上許容される塩;β−ラクタム系抗生物質;および医薬上許容し得る担体を含む医薬組成物も提供する。本発明の組成物は、好ましくは胃腸管による吸収に好適な形態で提供する。
【0057】
いずれのβ−ラクタム系抗生物質も本発明の医薬組成物に使用するのに好適である。当該技術分野でよく知られているβ−ラクタム系抗生物質には、R. B. MorinおよびM. Gorin, M.編; Academic Press, New York, 1982;vol. 1−3によって開示されているものが含まれる。本発明の医薬組成物に使用するのに好適な好ましいβ−ラクタム系抗生物質には、クラスAおよびクラスCのβ−ラクタマーゼ酵素によって優先的に不活性化されるβ−ラクタム系抗生物質、例えば、アモキシシリン、ピペラシリン、アンピシリン、セフチゾキシム、セフォタキシム、セフロキシム、セファレキシン、セファクロル、セファロリジン、およびセフタジジムが含まれる。
【0058】
β−ラクタマーゼ阻害剤として機能する本発明の化合物の能力は、下記する試験を用いることによって、または当該技術分野においてよく知られている他の試験を用いることによって実証し得る。代表的な式(I)で示される化合物は、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)P−99株のクラスC β−ラクタマーゼ、セファロスポリナーゼおよびTEM−1 クラスA ペニシリナーゼの阻害剤として相対IC50分析によって評価した。IC50値は、遊離した酵素の活性の50%喪失に作用するのに必要な阻害剤の濃度を表す。各化合物のIC50値は下記のようにして決定した。酵素(2.56nM)および阻害剤(<0.64mM)の希釈溶液を10分間インキュベートした後に、このインキュベーション混合物の50mLアリコットを1mLのニトロセフィン溶液にさらに希釈し、時間の関数としてニトロセフィンの吸光度をモニターすることによって加水分解の割合を1分間測定した。また、タゾバクタムのIC50値も相対対照として決定した。式Iで示される代表的な化合物についてのデータを下記の表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
式(I)で示される本発明のβ−ラクタマーゼ阻害剤は、エンテロバクター属、シトロバクター属およびセラチア属と関連する感染症の治療に特に有用である。これらの細菌は、膀胱または腎臓の上皮細胞に結合する(尿路感染を引起す)能力を有し、アモキシシリンおよびアンピシリンを含む複数の抗生物質に対して耐性である。
【0061】
式(I)で示される本発明のβ−ラクタマーゼ阻害剤は、非常に耐性の強い肺炎双球菌(Pneumococci)と関連する感染症の治療にも有用である。かかる疾患には、中耳炎、副鼻腔炎、(子供および成人の両方における)髄膜炎、菌血症、および敗血性関節炎が含まれる。耐性の肺炎双球菌株は、世界の多くの地域の地表に現れている。例えば、ハンガリーにおいては58%のエス・ニューモニエ(S. pneumoniae)がペニシリンに対して耐性であり、エス・ニューモニエによってコロニーを形成された子供のうちの70%がテトラサイクリン、エリスロマイシン、トリメトプリン/サルファメトキサゾール(TMP/SMX)に対しても耐性である耐性菌株のキャリアーであり、30%がクロラムフェニコールに対して耐性である。クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)(β−ラクタマーゼの産生を介して耐性である)は、創傷感染および敗血症の病院内の大発生を引起している。
【0062】
本発明のほかの特徴は、本発明を説明するために記載するものであって、それを限定するものではない例示的な具体例の以下の記載の過程で明らかになるであろう。
【0063】
実施例1−3(図1)
化合物2の調製
7−フェニルアセトアミド−3−(トリフルオロスルホニルオキシ)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(2)
この化合物およびその後のハロゲン化物は、Farinaの方法(Farinaら, J. Org. Chem. 54, 4962−4966 (1989))に従って調製した。無水CH2Cl2(600mL)中のベンズヒドリル 3−ヒドロキシ−7−(フェニルアセトアミド)セフェ−3−エム(1、41g、84ミリモル、Otsuka Chemical Corp.から市販されている)の溶液を−78℃に冷却し、乾燥ジイソプロピルエチルアミン(15.6mL、90ミリモル)およびトリフルオロメタンスルホン酸無水和物(14.3mL、85ミリモル)で処理した。ついで、混合物を−78℃にて20分間攪拌した。ついで、溶液をさらに1Lの乾燥CH2Cl2で希釈し、冷却浴を取り除いた。有機相を水(2×1L)およびブライン(1×500mL)で洗浄した。ついで、それをNa2SO4上で乾燥させ、濃縮して、目的のトリフラート(2)を灰色がかった白色の無定形粉体として得た。
収率=43.5g (85%).
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=3.42(d, J=18Hz, 1H), 3.70−3.63(m, 2H), 3.75(d, J=18Hz, 1H), 5.03(d, J=5Hz, 1H), 5.91−5.87(m, 1H), 6.02(d, J=8.7Hz, 1H), 6.98(s, 1H), 7.51−7.24(m, 15H).
【0064】
化合物3a−3cの調製
3−ハロ−7−(フェニルアセトアミド)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(3a、3b、および3c)合成の一般的手法
無水THF(100mL)中のトリフラート2(10ミリモル)の溶液に、新鮮な無水LiX(25ミリモル)を添加し、反応物を1H NMRによって進行をモニターしつつアルゴン下にて24ないし36時間攪拌した。反応が完了したら、水(200mL)およびEtOAc(200mL)を添加し、有機相を水(2×100mL)につづいてブライン(1×100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。溶媒を蒸発させて粗製3−ハロ−3−セフェム−4−カルボン酸エステルを生成し、それをシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0065】
3−クロロ−7−(フェニルアセトアミド)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(3a)
収率=90%.
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=3.43(d, J=18.5Hz, 1H), 3.64−3.57(m, 2H), 3.74(d, J=18.5Hz, 1H), 4.99(d, J=5Hz, 1H), 5.84−5.81(m, 1H), 6.24(d, J=9Hz, 1H), 6.97(s, 1H), 7.39−7.24(m, 15H).
【0066】
3−ブロモ−7−(フェニルアセトアミド)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(3b)
収率=88%.
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=3.64−3.56(m, 3H), 3.83(d, J=18Hz, 1H), 5.02(d, J=5Hz, 1H), 5.81−5.78(m, 1H), 6.21(d, J=9Hz, 1H), 6.97(s, 1H), 7.41−7.25(m, 15H).
【0067】
3−ヨード−7−(フェニルアセトアミド)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(3c)
収率=72%.
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=3.67−3.56(m, 2H), 3.70(d, J=18.5Hz, 1H), 3.84(d, J=18.5Hz, 1H), 5.04(d, J=5Hz, 1H), 5.85−5.81(m, 1H), 6.16(d, J=9Hz, 1H), 6.96(s, 1H), 7.41−7.24(m, 15H).
【0068】
化合物4a−4cの調製
3−ハロ−7−アミノ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(4a、4b、および4c)合成の一般的手法
乾燥CH2Cl2中のPCl5(25ミリモル)の冷却した(0℃)溶液に、反応物を氷浴中で冷却しつつ、乾燥ピリジン(25ミリモル)を徐々に添加した。反応物をこの温度にて1時間攪拌した。ついで、適当なフェニルアセトアミド−3−セフェム−4−カルボキシラート(3a、3bまたは3c)を1度に添加し、反応物を同温度にて1.5時間攪拌し続けた。ついで、反応混合物を−78℃に冷却し、MeOH(30mL)を徐々に添加し、反応物をさらに1時間攪拌した。ついで、反応混合物を徐々に温めて−10℃ないし0℃に達せさせた。ついで、水(30mL)を添加し、溶液を真空下にて濃縮してCH2Cl2および大部分のMeOHを除去した。残存している残査にEtOAc(150mL)および水(100mL)を添加し、NaHCO3を添加することによって水層を塩基性化した。ついで、有機層を分離し、水性層をEtOAc(1×50mL)でさらに抽出した。合した有機層を水(1×100mL)につづいてブライン(1×100mL)で洗浄した。ついで、有機層をNa2SO4上で乾燥させ、真空下にて濃縮した。粗製生成物を、溶出液としてEtOAcおよびCH2Cl2の混合物を用いるカラムクロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0069】
3−クロロ−7−アミノ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(4a)
収率=74%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=1.74(br s, 2H), 3.48(d, J=18.5Hz, 1H), 3.8(d, J=18.5Hz, 1H), 4.75(d, J=5.0Hz, 1H), 4.98(d, J=5.0Hz, 1H), 7.00(s, 1H), 7.57−7.26(m, 10H).
【0070】
3−ブロモ−7−アミノ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(4b)
収率=72%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=1.74(br s, 2H), 3.62(d, J=18Hz, 1H), 3.88(d, J=18Hz, 1H), 4.75(d, J=5.0Hz, 1H), 5.00(d, J=5.0Hz, 1H), 7.00(s, 1H), 7.44−7.25(m, 10H).
【0071】
3−ヨード−7−アミノ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(4c)
収率=76%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=1.75(br s, 2H), 3.76(d, J=18.5Hz, 1H), 3.90(d, J=18.5Hz, 1H), 4.75(d, J=5Hz, 1H), 5.04(d, J=5.0Hz, 1H), 7.00(s, 1H), 7.46−7.26(m, 10H).
【0072】
化合物5a−5cの調製
アミン(4a、4b、および4c)から3−ハロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(5a、5b、および5c)合成の一般的手法
無水THF(150mL)中の塩化トリフェニル(2−ピリジルメチル)ホスホニウム塩酸塩(20ミリモル、Aldrich Chemical Co.)の溶液に、カリウムtert−ブトキシド(15ミリモル)を添加した。ついで、このスラリーを室温にて2時間攪拌してウティッヒ試薬を生成した。
それとは別に、EtOAc(200mL)中のアミン(4、20ミリモル)の溶液に、触媒トリフルオロ酢酸(200μL)および亜硝酸イソプロピル(Blacklockら, J. Org. Chem., 54, 3907−3913(1989)の方法によって調製したCH2Cl2中の30ないし50%の溶液)を添加した。反応が完了した後に(ほぼ5分、TLCによってモニター)、真空下にてEtOAcを除去し、得られた7−ジアゾ−3−セフェム−4−カルボキシラートを高真空下にて完全に乾燥させた。ついで、このジアゾ化合物を無水ベンゼン(200mL)およびプロピレンオキサイド(25mL)に迅速に溶解し、触媒量のオクタン酸ロジウム(0.5g)で処理した。反応物がガスを発生させるのが観察された。かかるガス発生が完了した後に、真空下にてベンゼン溶媒を除去し、残存する固形物(7−オキソ−3−セフェム−4−カルボキシラート)を乾燥CH2Cl2(200mL)に溶解した。ついで、この溶液を−78℃に冷却した。
【0073】
ついで、前記したウティッヒ試薬の溶液をケトンのこの冷却した(−78℃)溶液に徐々に添加し(カニューレを介して)、反応物をこの温度にて30分間攪拌した。ついで、NH4Clの飽和水溶液を添加し、反応混合物を攪拌しつつ徐々に室温まで温めた。層を分離し、水性層をさらなる部のCH2Cl2で抽出した。合した有機層を水(1×100mL)、ブライン(1×100mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。粗製生成物を、溶出液としてEtOAcおよびCH2Cl2の混合液を用いるカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製した。
【0074】
3−クロロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(5a)
全体の収率(4aからの三工程)=35%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=3.54(d, J=18.5Hz, 1H), 3.96(d, J=18.5Hz, 1H), 5.71(s, 1H), 7.03(s, 1H), 7.41−7.28(m, 13H), 7.76(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.76(d, J=4Hz, 1H).
【0075】
3−ブロモ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(5b)
全体の収率(4bからの三工程)=35%.
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=3.59(d, J=18.5Hz, 1H), 3.95(d, J=18.5Hz, 1H), 5.73(d, J=1Hz, 1H), 7.05(s, 1H), 7.47−7.26m, 13H), 7.77(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.76(d, J=4Hz, 1H).
【0076】
3−ヨード−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(5c)
全体の収率(4aからの三工程)=33%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=3.70(d, J=18.5Hz, 1H), 3.94(d, J=18.5Hz, 1H), 5.76(s, 1H), 7.06(s, 1H), 7.42−7.26(m, 13H), 7.73(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 8.71(d, J=4.0Hz, 1H).
【0077】
化合物6a−6cの調製
mCPBAでの酸化を用いた1,1−ジオキソ−3−ハロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(6a、6b、および6c)形成の一般的手法
CH2Cl2(15mL)中のスルフィド(5)の溶液にmCPBA(2.5ミリモル)を添加し、反応物を室温にて20分間攪拌した。ついで、Na2SO4の飽和水溶液を添加し、層を分離した。有機層をNaHCO3水溶液(1×25mL)、水(1×25mL)、およびブライン(1×25mL)で洗浄した。ついで、有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮し、粗製生成物を溶出液としてEtOAcおよびCH2Cl2の混合物を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製した。
【0078】
3−クロロ−1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(6a)
収率=72%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=4.04(d, J=18Hz, 1H), 4.23(d, J=18Hz, 1H), 5.93(s, 1H), 7.03(s, 1H), 7.39−7.31(m, 13H), 7.73(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.66(d, J=4Hz, 1H).
【0079】
3−ブロモ−1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(6b)
収率=75%.
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=4.10(d, J=18Hz, 1H), 4.34(d of t, J=18Hz, 1H), 5.95(s, 1H), 7.04(s, 1H), 7.47−7.3(m, 13H), 7.73(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.67(d, J=4Hz, 1H).
【0080】
3−ヨード−1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(6c)
収率=78%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=8.66(d, J=4.0Hz, 1H), 7.71(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 7.49−7.25(m, 13H), 7.03(s, 1H), 5.96(s, 1H), 4.38(d, J=18Hz, 1H), 4.18(d, J=18Hz, 1H).
13C NMR(CDCl3,400MHz) δ=160.3,160.2, 150.4, 150.2, 138.9, 138.6, 137.0, 132.7, 130.9, 128.6, 128.5, 128.4, 128.2, 128.0, 127.5, 127.2, 126.6, 126.4, 125.3, 80.5, 74.1, 64.2.
HRMS C26Hl9IN205S [M+H]+として
計算値599.0138 観察値599.0135.
【0081】
化合物7a−7cの調製 ベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法
乾燥アニソール(3.0ミリモル)中の適当なベンズヒドリルエステル(0.1ミリモル)中の溶液を氷−食塩浴中で冷却し、アルゴン雰囲気下でシリンジを介してトリフルオロ酢酸(12.0ミリモル)を徐々に添加した。20分後に、揮発成分を真空下にて除去し、残査をEtOAc(5mL)に溶解した。EtOAc層を水性NaHCO3(4mLのH2O中の2×0.15ミリモル)で抽出した。合した水層をカラムクロマトグラフィー(高多孔質ポリマー、MCIゲル−CHP20P Mitsubishi Chemical Corp., White Plains NY, ほぼ75ないし150mLの樹脂)に直接負荷し、生成物を脱イオン水中の5%のEtOHで溶出した。収率は典型的には60ないし80%であった。
【0082】
実施例1:3−クロロ−1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(7a)
ベンズヒドリルエステル脱保護に関して前記した一般的手法に従ってエステル7aから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.28(s, 1H), 7.44−7.34(m, 1H), 7.48(s, 1H), 7.62−7.59(m, 1H), 7.84(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.55(d, J=4.0Hz, 1H).
【0083】
実施例2:3−ブロモ−1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(7b)
ベンズヒドリルエステル脱保護に関して前記した一般的手法に従ってエステル7bから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.29(s, 1H), 7.45−7.35(m, 1H), 7.49(s, 1H), 7.6−7.57(m, 1H), 7.85(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 8.56(d, J=4.0Hz, 1H).
【0084】
実施例3:1,1−ジオキソ−3−ヨード−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(7c)
ベンズヒドリルエステル脱保護に関して前記した一般的手法に従ってエステル7cから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.29(d, J=lHz, 1H), 7.33−7.30(m, 1H), 7.45(d, J=lHz, 1H), 7.65−7.61(m, 1H), 7.83(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.54(d, J=4.0Hz, 1H).
【0085】
実施例4−7(図2)
化合物8a−8dの調製 ヨウ化物6cを有機スズとStilleカップリングして化合物8a−8dを生成する一般的手法
アルゴン下、無水THF中の6c(72mg、0.12ミリモル)の溶液に適当な有機スズ(0.11ミリモル、例えばBu3Sn−R3)およびPd2Sn−R3(5mg、0.011ミリモル)を添加した。反応混合物を65℃にて2.5時間攪拌し、1H NMRによってモニターした。反応が完了した後に、減圧下にて溶媒を除去し、生成物をCH2Cl2に溶解した。ついで、溶液を水(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄した。有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製した。
【0086】
1,1−ジオキソ−3−メチルスルファニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(8a)
収率=67%.
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ=2.35(s, 3H), 3.98(d, J=15.5Hz, 1H), 4.18(d, J=15.5Hz, 1H), 5.72(d, J=1Hz, 1H), 6.97(s, 1H), 7.4−7.26(m, 13H), 7.71(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 8.66(d, J=4Hz, 1H).
【0087】
1,1−ジオキソ−3−フェニルスルファニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(8b)
収率=72%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=8.63(d, J=3.9Hz, 1H), 7.71(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 7.53−7.26(m, 19H), 7.02(s, 1H), 5.75(s, 1H), 3.75(d, J=15.6Hz, 1H), 3.59(d, J=15.6Hz, 1H).
【0088】
1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−(チオフェン−2’−イル)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(8c)
収率=78%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=8.69(d, J=4.0Hz, 1H), 7.72(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 7.4−7.21(m, 12H), 7.07−7.05(m, 2H), 6.96(s, 1H), 6.84(dd, J=1 and 4Hz, 1H), 6.75(t, J=4Hz, 1H), 5.96(s, 1H), 4.17(d, J=18Hz, 1H), 4.08(d, J=18Hz, 1H).
【0089】
1,1−ジオキソ−3−フェニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(8d)
収率=56%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=8.65(d, J=3.9Hz, 1H), 7.7(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 7.34−7.13(m, 16H), 6.92(d, J=6.7Hz, 2H), 6.85(s, 1H), 5.98(s, 1H), 4.08(s, 2H).
13C NMR(CDCl3,400MHz) δ=160.8, 159.2, 150.2, 150.0, 138.6, 138.1, 136.5, 134.9, 132.8, 129.9, 128.9, 128.5, 128.09, 127.9, 127.7, 127.5, 127.2, 127.0, 126.9, 125.9, 124.7, 79.0, 73.0, 56.7.
【0090】
化合物9a−9dの調製
前記したベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法を用いて化合物8a−8dから化合物9a−9dを調製した。
実施例4:1,1−ジオキソ−3−メチルスルファニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(9a)
前記したベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法に従って化合物8aから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=2.2(s, 3H), 6.17(s, 1H), 7.42−7.36(m, 2H), 7.43(s, 1H), 7.61−7.58(m, 1H), 7.81(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.52(d, J=4.0Hz, 1H).
【0091】
実施例5:1,1−ジオキソ−3−フェニルスルファニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(9b)
前記したベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法に従って化合物8bから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.32(d, J=1Hz, 1H), 7.42−7.33(m, 6H), 7.46(s, 1H), 7.6−7.58(m, 1H), 7.81(tofd, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.51(d, J=4.0Hz, 1H).
【0092】
実施例6:1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−(チオフェン−2’−イル)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(9c)
前記したベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法に従って化合物8cから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.23(s, 1H), 7.03−7.00(m, 1H), 7.1(d, J=4Hz, 1H), 7.42−7.4(m, 2H), 7.45(s, 1H), 7.61(d, J=7.6Hz, 1H), 7.83(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.54(d, J=4.0Hz, 1H).
【0093】
実施例7:1,1−ジオキソ−3−フェニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(9d)
前記したベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法に従って化合物8dから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) 5=6.24(s, 1H), 7.39−7.28(m, 6H), 7.45(s, 1H), 7.62−7.60(m, 1H), 7.82(t of d, J=1.6Hz and 7.6Hz, 1H), 8.54(d, J=4.0Hz, 1H).
【0094】
実施例8および9(図3)
化合物10および10bの調製
化合物8aおよび8bの3−位硫黄を酸化して対応する3−位スルホン(10aおよび10b)を生成する一般的手法
CH2Cl2(5mL)中のスルフィド(8aまたは8b、0.1ミリモル)の溶液にmCPBA(0.4ミリモル)を添加し、反応混合物を反応が完了するまで(TLCによってモニターしてほぼ8時間)、室温にて攪拌した。ついで、反応物をNaHSO3の飽和溶液を添加することによってクエンチした。層を分離し、水性層をさらなる部のCH2Cl2(1×20mL)で抽出した。合した有機層をNaHCO3(1×20mL)、水(1×20mL)およびブライン(1×20mL)で洗浄した。ついで、有機層をNa2SO4上で乾燥し、真空下にて濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製した。
【0095】
1,1−ジオキソ−3−メチルスルホニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(10a)
収率=81%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=2.81(s, 3H), 3.84(d, J=18.5Hz, 1H), 4.34(d, J=18.5Hz, 1H), 6.08(s, 1H), 7.03(s, 1H), 7.43−7.3(m, 13H), 7.74(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.69(d, J=4Hz, 1H).
【0096】
1,1−ジオキソ−3−フェニルスルホニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(10b)
収率=75%.
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=3.48(d, J=18Hz, 1H), 4.16(d, J=18Hz, 1H), 5.94(s, 1H), 7.05(s, 1H), 7.44−7.19(m, 17H), 7.75−7.71(m, 2H), 8.61(d, J=4Hz, 1H).
【0097】
化合物11aおよび11bの調製
前記したベンズヒドリルエステル脱保護の一般的手法を用いて化合物10aおよび10bから化合物11aおよび11bを調製した。
【0098】
実施例8:1,1−ジオキソ−3−メチルスルホニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(lla)
ベンズヒドリルエステル脱保護について前記した一般的手法に従ってエステル10aから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=3.2(s, 3H), 4.53(d, J=17.6Hz, 1H), 4.32(d, J=17.6Hz, 1H), 6.41(s, 1H), 7.49−7.40(m, 1H), 7.66−7.58(m, 2H), 7.86(t of d, J=1.6 and 7.6Hz, 1H), 8.60(d, J=4.0Hz, 1H).
【0099】
実施例9:1,1−ジオキソ−3−フェニルスルホニル−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(11b)
ベンズヒドリルエステル脱保護について前記した一般的手法に従ってエステル10bから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.33(s, 1H), 7.40−7.39(m, 1H), 7.62−7.54(m, 6H), 7.71(m, 1H), 7.83(t of d, J=1.6 and 7.6Hz, 1H), 8.55(d, J=4.0Hz, 1H).
【0100】
実施例10および11(図4)
化合物12の調製 1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−(トリメチルスタニル)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(12)
アルゴン雰囲気下、乾燥THF中の6c(1.0g、1.71ミリモル)の溶液に、ヘキサメチル二スズ(0.67g、2.0ミリモル)、Pd2(dba)3(175mg、0.2ミリモル)を添加した。1H NMRによってモニターしつつ、反応混合物を60℃にて1.5時間攪拌した。反応が完了した後に、減圧下にて溶媒を除去した。ついで、生成物をCH2Cl2に溶解し、水(50mL)およびブライン(30mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、減圧下にて濃縮し、溶出液としてEtOAc/CH2Cl2を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製して60%収率の13を得た。
1H NMR(CDCl3,400MHz): δ=8.66(d, J=3.9Hz, 1H), 7.72(t of d, J=1.6 and 7.7Hz, 1H), 7.54(d, J=7.5Hz, 2H), 7.43 to 7.26(m, 11H), 6.92(s, 1H), 5.88(s, 1H), 4.07(d, J=18.5Hz, 1H), 3.93(d, J= 18.5Hz, 1H), 0.15(s, 9H).
13C NMR(CDCl3,400MHz): δ=162.6, 158.4, 150.8, 150.3, 142.1, 139.6, 139.2, 136.8, 133.9, 130.6, 129.8, 128.6, 128.4, 128.2, 127.9, 127.5, 127.1, 126.0, 124.9, 80.3, 73.1, 57.6, −6.6.
HRMS C29H29N2O6SSn [M+H]+として計算値 637.0819、観察値 637.0823.
【0101】
化合物13aおよび13bの調製 12とXeF2との反応:1,1−ジオキソ−3−フルオロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(13a)および1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(13b)の合成
アルゴン下、無水CH2Cl2中のスタナン(stannane)12(0.1ミリモル)の溶液にAgOTf(0.11ミリモル)を添加し、反応混合物を氷−食塩浴中で冷却した。ついで、XeF2(0.11ミリモル)を一度に添加し、反応物を10分間攪拌した。この時点で水を添加し、層を分離した。水性層をさらなる部のCH2Cl2(1×25mL)で抽出し、合した有機層を水(1×25mL)およびブライン(1×25mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。真空下にて溶媒を除去した後に、生成物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0102】
1,1−ジオキソ−3−フルオロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(13a)
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=8.65(d, J=4.0Hz, lH) j 7.71(t of d, J=1.5 and 7.7Hz, 1H), 7.47−7.27(m, 13H), 7.04(s, 1H), 5.84(s, 1H), 4.23(d of d, J=5.4 and 20Hz, 1H), 4.08(d of d, J=5.4 and 20Hz, 1H).
【0103】
1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(13b)
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ=8.66(d, J=4.0Hz, 1H), 7.76(t of d, J=1.5 and 7.7Hz, 1H), 7.48−7.25(m, 13H), 6.99(s, 1H), 6.34(d of d, J=3.5 and 2.0Hz), 5.94(s, 1H), 4.04(d of d, 1.5 and 17.5Hz, 1H), 3.83(d of d, J=5.6 and 17.5Hz, 1H).
HRMS C26H21N2O5S [M+H]+として計算値 473.1171, 観察値 473.1148.
【0104】
化合物14aおよび14bの調製
ベンズヒドリルエステル脱保護について前記した一般的手法を用いて化合物13aおよび13bから化合物14aおよび14bを調製した。
【0105】
実施例10:1,1−ジオキソ−3−フルオロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(14a)
ベンズヒドリルエステル脱保護について前記した一般的手法に従ってエステル13aから調製した。
1H NMR(D2O, 400MHz) δ=6.19(s, 1H), 7.46−7.35(m, 2H), 7.58−7.55(m, 1H), 7.8(t of d, J=1.6Hz and 7.6Hz, 1H), 8.52(d, J−4.0Hz, 1H).
【0106】
実施例11:1,1−ジオキソ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(14b)
ベンズヒドリルエステル脱保護について前記した一般的手法に従ってエステル13bから調製した。
1H NMR(D20, 400MHz) δ=6.21(s, 1H), 7.38− 7.35(m, 1H), 7.43(s, 1H), 7.61−7.59(m, 1H), 7.81(t of d, J=1.6Hz and 7.6Hz, 1H), 8.51(d, J=4.0Hz, 1H).
【0107】
実施例12−16(図5および6)
化合物16a、16b、および20a−20cの調製 カルボン酸からアミド形成の一般的手法(反応図式5および6)
下記の手法を用いて化合物15から化合物16aおよび16bを調製し、それを用いて化合物19から化合物20a、20bおよび20cも調製した。
乾燥CH3CN(10mL)中のカルボン酸(0.3ミリモル)の溶液に、Et3N(0.6ミリモル)、適当なアミン、RNH2(0.45ミリモル)およびBOP試薬(0.3ミリモル)を室温にて添加した。反応物をTLCによってモニターし、通常、30分で完了した。ついで、真空下にてCH3CNを除去した。残査にCH2Cl2(25mL)および水(25mL)を添加した。層を分離した後に、水性層をCH2Cl2(25mL)で2回抽出をし、合した有機層を水(10mL)につづいてブライン(25mL)で洗浄した。ついで、これらの有機層をNa2SO4上で乾燥させ、真空下にて濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製した。これらのカップリング反応の収率は典型的に50ないし70%であった。
【0108】
化合物17a、17b、および19の調製
スルフィド16aおよび16bから対応するスルホン17aおよび17bへの酸化ならびにスルフィド15からスルホン19への酸化には一般的な手法を用いた。
この手法は、前記したmCPBAでの酸化を用いた1,1−ジオキソ−3−ハロ−7−(2’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(6a、6b、および6c)の形成の一般的手法と同じである。
【0109】
化合物18a、18b、および21a−21cの調製
ベンズヒドリルエステル(17a、17b、20a、20b、および20c)を脱保護して対応するカルボン酸塩(各々、18a、18b、21a、21b、および21c)を生成するための一般的手法
この方法は、前記したベンズヒドリルエステルを脱保護するための一般的手法と同一である。
【0110】
実施例12:3−(N−シクロプロピル−2’−カルバモイルビニル)−1,1−ジオキソ−7−(2’’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(18a)
1H NMR(D20,400MHz) δ=0.56−0.52(m, 2H), 0.8−0.75(m, 2H), 2.68−2.65(m, 1H), 4.26(d, J=17.5Hz, 1H), 4.39(d, J=17.5Hz, 1H), 5.95(d, J=15.5Hz, 1H), 6.38(s, 1H), 7.5−7.45(m, 2H), 7.57(s, 1H), 7.69(d, J=8Hz, 1H), 7.9(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.63(d, J=4Hz, 1H).
【0111】
実施例13:3−(N−ヒドロキシ−2’−カルバモイルビニル)−1,1−ジオキソ−7−(2’’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(18b)
1H NMR(D20, 400MHz) δ=5.88(d, J=16Hz, 1H), 6.33(s, 1H), 7.33(d, J=16Hz, 1H), 7.45−7.41(m, 1H), 7.49(s, 1H), 7.65(d, J=8Hz, 1H), 7.86(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.6(d, J=4Hz, 1H).
【0112】
実施例14:3−[2’−(ヒドラジノカルボニル)ビニル)]−1,1−ジオキソ−7−(2’’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(21a)
1H NMR(D20, 400MHz) δ=5.92(d, J=16Hz, 1H), 6.25(s, 1H), 7.68−7.43(m, 3H), 7.67(d, J=8Hz, 1H), 7.88(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H, 8.61(d, J=4Hz, 1H).
【0113】
実施例15:3−{[N−(3’’−アミノプロピル)−2’−カルバモイル]ビニル)}−1,1−ジオキソ−7−(2’’’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(21b)
1H NMR(D20, 400MHz) δ=1.87(q, J=7Hz, 2H), 2.96(t, J=7.5Hz, 1H), 3.31(t, J=6.5Hz, 1H), 5.98(d, J=16Hz, 1H), 6.33(s, 1H), 7.48−7.40(m, 2H), 7.52(s, 1H), 7.64(d, J=8Hz, 1H), 7.85(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.58(d, J=4Hz, 1H).
【0114】
実施例16:3−[3’−(4’’−メチルピペラジン−1’’−イル)−3’−オキソプロペニル]−1,1−ジオキソ−7−(2’’’−ピリジルメチリデン)−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(21c)
1H NMR(D20, 400MHz) δ=2.19(s, 3H), 2.46−2.42(m, 4H), 3.8−3.76(m, 4H), 6.37(d, J=16Hz, 1H), 6.43(s, 1H), 7.51−7.4(m, 3H), 7.53(s, 1H), 7.66(d, J =16Hz, 1H), 7.86(t of d, J=1.6Hz and 7.7Hz, 1H), 8.59(d, J=4Hz, 1H).
【0115】
実施例17:下記は、ヒトにおける治療または予防用の式(I)で示される化合物(”化合物X”)を含有する、代表的な医薬投与量形態を示す。
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
上記の処方は、医薬分野においてよく知られている慣用的な手法によって得ることができる。”β−ラクタム系抗生物質”とは、抗生物質特性を有するいずれの化合物であってもよい(例えば、アモキシシリン、ピペラシリン、アンピシリン、セフチゾキシム、セフォタキシム、セフロキシム、セファレキシン、セファクロル、セファロリジン、またはセフタジジム)。具体的な量の”化合物X”および”β−ラクタム系抗生物質”を前記の説明目的の例に示したが、目的の抗生物質特性を所有する最終処方を与えるいずれの比率でも化合物を存在させ得ることは理解される。
【0128】
すべての刊行物、特許および特許明細書を出典明示して本明細書の一部とみなす。本発明を種々の特定かつ好ましい具体例および技術に参照して記載した。しかしながら、本発明の意図および範囲に残存しつつ種々の変形および修飾を作成し得ることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は本発明の代表的な化合物の調製を図示する。
【図2】図2は本発明の代表的な化合物の調製を図示する。
【図3】図3は本発明の代表的な化合物の調製を図示する。
【図4】図4は本発明の代表的な化合物の調製を図示する。
【図5】図5は本発明の代表的な化合物の調製を図示する。
【図6】図6は本発明の代表的な化合物の調製を図示する。
Claims (29)
- 式(I):
R1およびR2は各々独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、(C1−C10)アルコキシカルボニル、アリール、複素環、ハロ、シアノ、ニトロ、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRfRg、または−S(O)nRhであり;
R3は水素、ハロ、アリール、ヘテロアリール、−S(O)nRh、または−CH=CHC(=O)NRmRpであり;
R4は水素であり;
Aはチオ、スルフィニル、またはスルホニルであり;
各nは独立して、0、1、または2であり;
各Reは独立して、水素、または(C1−C10)アルキルであり;
各RfおよびRgは独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C1−C10)アルコキシ、フェニル、ベンジル、フェネチル、(C1−C10)アルカノイル、または−C(=O)NRfRgであり、ここにRfおよびRgは所望により窒素原子を環−NRe−中に含んでいてもよい環を形成し;
各Rhは独立して、(C1−C10)アルキル、またはアリールであり;
Rmは水素であって、RpはNH2、OH、(C2−C10)シクロアルキル、または−(C2−C10)アルキル−NH2であり;あるいは、RmおよびRpはそれらが結合する窒素と一緒になってピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロリジンまたはピペラジン環を形成し、ここにピペラジンは4−位において水素または(C1−C10)アルキルで置換されており;
ここに、R1またはR2のいずれかの(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、または(C1−C10)アルコキシカルボニルは、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、シアナト、ニトロ、メルカプト、オキソ、アリール、複素環、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリール(C1−C6)アルカノイルオキシ、ハロ(C1−C6)アルカノイルオキシ、複素環(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリールオキシ、(複素環)オキシ、(C3−C8)シクロアルキル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、−NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1ないしそれを超える置換基で置換されていてもよく;
ここに、いずれかのアリールは、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、トリフルオロメトキシ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよい]
で示される化合物、またはその医薬上許容される塩。 - R1がアリール、複素環、または−COOReである請求項1記載の化合物。
- R1が2−ピリジル、または−COOReである請求項1記載の化合物。
- R2が水素である請求項1記載の化合物。
- R3が水素である請求項1記載の化合物。
- R3がハロである請求項1記載の化合物。
- R3がフルオロである請求項1記載の化合物。
- R3がクロロである請求項1記載の化合物。
- R3がブロモである請求項1記載の化合物。
- R3がヨードである請求項1記載の化合物。
- R3がアリールである請求項1記載の化合物。
- R3がフェニルである請求項1記載の化合物。
- R3がヘテロアリールである請求項1記載の化合物。
- R3が2−チエニルである請求項1記載の化合物。
- R3がS(O)nRhである請求項1記載の化合物。
- R3がS(O)2Rhである請求項1記載の化合物。
- Rhがメチルまたはフェニルである請求項16記載の化合物。
- R3がSRhである請求項1記載の化合物。
- Rhがメチルまたはフェニルである請求項18記載の化合物。
- R3が水素、ハロ、アリール、ヘテロアリール、または−S(O)nRhである請求項1記載の化合物。
- Aがスルホニルである請求項1記載の化合物。
- Aがスルホニルであり;R1が2−ピリジル、カルボキシ、またはtert−ブトキシカルボニルであり;R2が水素であって;R3が水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、−SPh、−SO2Ph、−SMe、−SO2Me、またはチオフェン−2−イルである請求項1記載の化合物、またはその医薬上許容される塩。
- 請求項1記載の化合物;またはその医薬上許容される塩;および、医薬上許容し得る担体を含む医薬組成物。
- さらに、β−ラクタム系抗生物質を含む請求項23記載の組成物。
- 哺乳動物におけるβ−ラクタマーゼを阻害するのに有用な薬物を製造するための請求項1記載の化合物の使用。
- 哺乳動物におけるβ−ラクタム系抗生物質の活性を高めるのに有用な薬物を製造するための請求項1記載の化合物の使用。
- 哺乳動物におけるβ−ラクタム耐性の細菌感染症を治療するのに有用な薬物を製造するための請求項1記載の化合物の使用。
- 医学療法において使用するための請求項1記載の化合物。
- 式(I):
R1およびR2は各々独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、(C1−C10)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、ハロ、シアノ、ニトロ、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRfRg、または−S(O)nRhであり;
R3は−Sn(R5)3(ここに、各Rは(C1−C6)アルキルである)であり;
R4は水素または保護基であり;
Aはチオ、スルフィニル、またはスルホニルであり;
各nは独立して、0、1、または2であり;
各Reは独立して、水素、または(C1−C10)アルキルであり;
各RfおよびRgは独立して、水素、(C1−C10)アルキル、(C1−C10)アルコキシ、フェニル、ベンジル、フェネチル、(C1−C10)アルカノイル、または−C(=O)NRfRg(ここに、RfおよびRgは所望により環−NRe−中に窒素原子を含有していてもよい環を形成する)であり;
各Rhは独立して、(C1−C10)アルキル、またはアリールであり;
ここに、R1またはR2のいずれかの(C1−C10)アルキル、(C2−C10)アルケニル、(C2−C10)アルキニル、(C3−C8)シクロアルキル、(C1−C10)アルコキシ、(C1−C10)アルカノイル、(C1−C10)アルカノイルオキシ、または(C1−C10)アルコキシカルボニルは、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、シアナト、ニトロ、メルカプト、オキソ、アリール、複素環、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリール(C1−C6)アルカノイルオキシ、ハロ(C1−C6)アルカノイルオキシ、複素環(C1−C6)アルカノイルオキシ、アリールオキシ、(複素環)オキシ、(C3−C8)シクロアルキル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、−NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよく;および
ここに、いずれかのアリールは、所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、トリフルオロメトキシ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、−COORe、−C(=O)NRfRg、−OC(=O)NRfRg、NRhRi、または−S(O)nRkから独立して選択される1またはそれを超える置換基で置換されていてもよい]
で示される化合物、またはその医薬上許容される塩。
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