JP2005500797A - 鉄道車両用多電圧電源 - Google Patents
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Abstract
【選択図】図1
Description
【0001】
本発明は、鉄道車両、主として機関車の推進系への電力供給方法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、各種カテナリ電車線供給電圧下での回路図の変更を伴う電力供給方法に関する。
【0003】
また、本発明は本方法を実現するための装置に関する。
【背景技術】
【0004】
本発明の適用分野は、カテナリ電車線にかかる交流または直流の各種供給電圧を使用する同期機あるいは非同期機の可変速度制御に関する。
【0005】
それゆえ、推進系は、モータ制御用電圧を供給するために、カテナリ電車線電圧の切り替えを目的とした所定数の要素から構成される。
【0006】
これらの推進系は、同期モータあるいは非同期モータを制御するために、カテナリ電車線にかかる電圧を、周波数および振幅可変の平衡正弦波三相システムに可能な限り接近した三相電圧に変換するためのコンバータ、インバータまたは整流器の少なくとも1つから成る。また、これら推進系が、クリッパを連想させるようなブレーキチョッパと各種フィルタを備える場合もある。
【0007】
以下、カテナリ電車線にかかる電圧の具体例に適した推進系の例を挙げる。
【0008】
交流25kV−50Hz
− 電源トランス
− 制御整流器、通常はFSMB(強制切替付き単相ブリッジ型)
− 推進モータ用電源インバータ
− 抵抗ブレーキチョッパ(回復は常に可能というわけではない)
【0009】
交流15kV−16 2/3Hz
− 電源トランス(25kV−50Hzの場合と同様)
− 制御整流器(同上)
− 推進モータ用電源インバータ
− この電圧下ではブレーキチョッパが無くてもよい。
【0010】
直流3kV
− 入力フィルタ
− 推進モータ用電源インバータ
− ブレーキチョッパ(ラインに他のユーザがいる場合に限り回復可能であるため必要)。このブレーキチョッパは(半導体にかかる電圧を制限する)電圧クリッパ機能も実行する。
【0011】
直流1500V
− 入力フィルタ
− 推進モータ用電源インバータ
− ブレーキチョッパ(ラインに他のユーザがいる場合に限り回復可能であるため必要)。このブレーキチョッパは(半導体にかかる電圧を制限する)電圧クリッパ機能も実行する。
【0012】
SNCFネットワーク等に代表される所定ネットワーク下では、カテナリ電車線に電流が逆流しないようにする必要がある。そして、ブレーキ抵抗内のエネルギーを消散させることで完全なブレーキ機能がもたらされる。
【0013】
この機能一覧は他の交流あるいは直流電圧にも拡張され得る。
【0014】
推進系そのものに関連するこれら機能に加え、ファン、コンプレッサ等の推進補助装置に対する電力供給を可能にする補助コンバータ機能(CVS)を追加する必要がある。
【0015】
すべての国で同じ電源を使用しているわけではないために問題が複雑になる。特に、機関車がある国から別の国へ国境を越えて走行する場合、カテナリ電車線への供給電圧が多様な状況下でも電力供給を受けることができる同期あるいは非同期モータが不可欠である。
【0016】
上記記載の推進系要素の大部分は、サイリスタあるいはGTO(ごく最近まで使用されていた)等の電力コンポーネントを利用するスイッチからなる。
【0017】
GTOの特殊な事例、すなわち電圧4.5kVに耐える半導体である場合、後者は「スナッバ」型保護回路、つまり切替補助回路を必然的に備える。
【0018】
これら半導体には以下の利点がある。
− 公称電圧3kVに対して耐電圧が十分であるからクリッパ装置は不要。
− スナッバ、すなわち、何ら重要ではない切替回路の邪魔な誘導コイルの働きによって、切替ループ中、入力コンデンサとコンバータの間にさえ接点スイッチを配置できるように回路を開放することが可能。
【0019】
さらに、GTOの最大耐電圧が4.5kVである点から、1つの構成要素のみで3kVのカテナリ直流電圧に耐えるとは考えられない。この型のスイッチを2つそのまま直列に配置することの困難さを考慮すれば、多くの場合、(GTOを間接的に直列配置すると共に)電圧を下げる入力装置を伴い、より低い電圧下ではインバータを配置することが好ましい。
【0020】
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ))という用語で規定される新型の静的半導体が先ごろ登場した。
【0021】
ごく最近まで、これらIGBT型半導体は3.3kVの最大耐電圧を呈していたが、最新の進歩により6.5kV程度の電圧に到達できる半導体が開発された。これは、半導体を1つ配置すれば3kVの公称直流ネットワーク電圧に直に耐えることが可能であることを含意する。
【0022】
例えば、IGBT型半導体はもはやスナッバを必要としない。従って、コンデンサとコンバータの間の邪魔な誘導コイルを最小限に抑える必要があり、この切替ループ内に接点スイッチを配置することはもはや不可能である。
【0023】
従って、この状況により、新世代の半導体に関連するこの問題の出現を考慮した上で設計者は回路図を再考しなければならないが、同時に回路図をかなり簡略化できる可能性があり、多電圧鉄道車両の推進系に関する回路図に対する新しい解決策が提供される可能性を秘めている。
【0024】
最終的に、直流・交流ネットワークの管理者がカテナリ電流高調波を拒否するための最大テンプレートを課して信号送信に使用される軌道回路を妨げないようにするという状況がみられた。これらテンプレートは、使用される軌道回路の関数として各ネットワークに独自なものである。3kVのイタリア鉄道網等のあるネットワークでは、実際には入力フィルタ(誘導コイル+コンデンサ)の共振周波数である長波および超長波に対してさえ超低電流の拒否を課している。従って、この入力フィルタの最小励起(インバータをオフする、カテナリ電圧ジャンプ等)がこれらテンプレートの越権行為をまねく。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、当該技術分野の欠点回避を可能にする解決策を提供することを目的とする。
【0026】
さらに詳しくは、本発明は、各種供給電圧下で、鉄道推進系の運用に必要な基本電気構成要素の数を最大限制限することによってその数を最適化し、回路図の変更を実現することを目的とする。
【0027】
本発明の主目的は、カテナリ電車線への電流の逆流を回避する解決策を提案することにある。
【0028】
また、本発明は、超長波を含めたテンプレートの越権行為の問題解決を補足目的とする。
【0029】
本発明の第二の目的は、少なくとも1つの補助コンバータの電源の既存回路図の構成要素を再利用することにある。
【0030】
また、本発明は、補助コンバータの電源の周波数の増加および誘導コイル出力の減少を可能にするために、半導体をオンにする際のスイッチング損失を相殺することをさらなる目的とする。
【0031】
本発明の第三の目的は、25kV−50Hzのもと、あるいは直流電圧下でフィルタ2fなしでの運用に対し、電圧15kV−16 2/3Hzのもとでは必要とされるフィルタ2fのコンデンサを回復することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明の第一目的は、カテナリ電車線からの交流および/または直流多電圧電源のための方法に関し、少なくとも1つの推進系を経由して鉄道車両、好ましくは機関車の電気モータに必要電圧を供給することを目的とする。前記推進系は複数の基本パワーアームからなるモジュラー回路図に相当し、前記アームの各々が高電圧に対して逆バイアスされる少なくとも1つのダイオードと半導体とを備え、該アームの使用数を最適化することにより各種供給電圧の関数としてこのモジュラー回路図は変更可能である。前記電源は、電源用電気回路において順次、カテナリ電車線によって電力供給される電源トランスと車両の電気モータとの間に、各アームがカテナリ電車線によってトランス経由で供給される交流電圧を直流電圧へ整流する働きをする少なくとも1つのリバースダイオードを備える制御整流器ブリッジと、実質反作用的な入力フィルタと、クリッピング機能を有することも可能なブレーキチョッパと、多相インバータとをさらに備える。これら様々な要素はパワー半導体等の電子構成要素を備え、前記インバータは直流供給電圧に対してカテナリ電車線に直接連結される。本方法は、ブレーキモードの際、カテナリ電車線の直流電圧下において制御整流器ブリッジの第一アームのダイオードが再利用され、カテナリ電車線による電気エネルギーの回収を防止することを特徴とする。
【0033】
必要であれば、低直流電圧下で制御整流器ブリッジの第一アームを再利用し、この低直流電圧下で前記推進系の電力アップを可能にする昇圧チョッパ機能を提供する。
【0034】
好ましい実施形態によれば、昇圧チョッパの入力誘導コイル機能を実行するために電源トランスの二次コイルを回復することができる。
【0035】
有利なことには、ブレーキモードの際、このダイオードに並列に配置された半導体をオンしてダイオードを短絡させることによって、カテナリ電車線による電気エネルギーの回収に備えることができる。
【0036】
さらに、ある推進系に起こりうる短絡が生じている間、直流電圧下で前記ダイオードが他の推進系のコンデンサによって供給される短絡電流を減少させるようにしてもよい。
【0037】
さらに、本発明は、時折発生する前記フィルタの励起時に直流電圧下で入力フィルタに流れる電流の変動を前記ダイオードが防止して前記フィルタの高調波電流を減少させる方法を提案することによってテンプレートの越権問題を解決することを目的とする。
【0038】
本発明の第二の目的は、カテナリ電車線からの交流および/または直流多電圧電源のための方法に関し、少なくとも1つの推進系を経由して鉄道車両、好ましくは機関車の電気モータに必要電圧を供給することを目的とする。前記推進系は複数の基本パワーアームからなるモジュラー回路図に相当し、前記アームの各々が高電圧に対して逆バイアスされる少なくとも1つのダイオードと半導体とを備え、該アームの使用数を最適化することにより各種供給電圧の関数としてこのモジュラー回路図は変更可能である。前記電源は、電源用電気回路において順次、カテナリ電車線によって電力供給される電源トランスと車両の電気モータとの間に、各アームがカテナリ電車線によってトランス経由で供給される交流電圧を直流電圧へ整流する働きをする少なくとも1つのリバースダイオードを備える制御整流器ブリッジと、実質反作用的な入力フィルタと、クリッピング機能を有することも可能なブレーキチョッパと、多相インバータとをさらに備える。これら様々な要素はパワー半導体等の電子構成要素を備え、前記インバータは直流供給電圧に関してカテナリ電車線に直接連結される。本方法は、供給電力を好ましくは前記車両の補助コンバータに供給可能にする低電圧を生じるために、直流電圧下で制御整流器ブリッジの第二アームを再利用して降圧チョッパ機能を提供することを特徴とする。
【0039】
有利なことには、上部半導体および下部半導体を有する制御整流器ブリッジの再利用された前記第二アームを備えた降圧チョッパが、出力誘導コイルの出力電流を逆転させるために、かなりの量の電流リップルを得るように制御される。その結果、半導体がオンされ対応するダイオードがオフされる際のスイッチング損失を相殺するゼロ交差の間に、ゼロ電流で半導体のスイッチがオンされ、ダイオードの切替がゆるやかに行われる。このように、切替周波数を有利に増加させることができる。
【0040】
好ましくは、実際に使用されるアーム数は選択された電圧によって決まり、開位置あるいは閉位置が前記選択電圧に依存する複数の接点スイッチによってそのアーム数が満たされる。
【0041】
インバータは三相でもよく、好ましくは2つの電圧レベルを有し3つのアームを備える。
【0042】
本発明の第三の目的は、カテナリ電車線からの交流および/または直流多電圧電源のための方法を提案することにあり、少なくとも1つの推進系を経由して鉄道車両、好ましくは機関車の電気モータに必要電圧を供給することを目的とする。前記推進系は複数の基本パワーアームからなるモジュラー回路図に相当し、前記アームの各々が高電圧に対して逆バイアスされる少なくとも1つのダイオードと半導体とを備え、該アームの使用数を最適化することにより各種供給電圧の関数としてこのモジュラー回路図は変更可能である。前記電源は、電源用電気回路において順次、カテナリ電車線によって電力供給される電源トランスと車両の電気モータとの間に、各アームがカテナリ電車線によってトランス経由で供給される交流電圧を直流電圧へ整流する働きをする少なくとも1つのリバースダイオードを備える制御整流器ブリッジと、実質反作用的な入力フィルタと、クリッピング機能を有することも可能なブレーキチョッパと、多相インバータとをさらに備える。これら様々な要素はパワー半導体等の電子構成要素を備え、前記インバータは直流供給電圧に関してカテナリ電車線に直接連結される。本方法は、最低周波数の交流電圧下、好ましくは交流15kV−16 2/3Hz下で、直列誘導コイルと共同し、制御整流器によって生成される基本周波数の2倍の周波数で高調波をフィルタにかけるために使用されるコンデンサであって、前記フィルタは「フィルタ2f」と称され、前記フィルタ2fが他の交流あるいは直流電圧下では不必要であるコンデンサが、他の供給電圧下で直流電圧をフィルタにかけるためのコンデンサ値を増加させるために再利用されることを特徴とする。
【0043】
特に有利なことには、少なくとも以下の電圧、すなわち交流25kV−50Hz、交流15kV−16 2/3Hz、直流3kV、および直流1.5kVを含むグループから選択される多電圧推進系に対して、本発明の各種方法を組み合わせて使用することも可能である。
【0044】
また、本発明は、本発明の各種方法を実現するための装置に関する。推進系を構成するこの装置は、
制御整流器ブリッジ、好ましくは強制切替付き単相ブリッジ(FSMB)と、
好ましくは少なくともある静電容量および/または少なくとも1つの誘導コイルを備える実質反作用的な入力フィルタと、
クリッピング機能を備えることも可能なブレーキチョッパと、
好ましくは三相型の多レベル多相インバータと、
好ましくはIGBT型のパワー半導体であり、各要素がモジュラー回路図の少なくとも1つの基本パワーアームに属する電子構成要素とからなる、所定のカテナリ電圧を選択するための複数の接点スイッチを備える電源用電気回路において、交流あるいは直流の複数のネットワーク電圧を供給可能なカテナリ電車線によって電力供給される電源トランスと車両の電気モータとの間に順次備えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の根底にある基本概念は以下の通りである。すなわち、多電圧推進系の電力回路の回路図が各供給電圧に対応して変更されなければならず、その電力回路がモジュール式で所定数の基本アームを備える場合を考えると、与えられた各供給電圧で、これらアームのうち1つ以上が再利用され、その供給電圧で理想的に満たされなければならない機能を提供する。なお、この状況で再利用されるアームは、さらに余剰で不必要なものか、さもなければ前記供給電圧ではすでに明確な機能を有しているものかのいずれかであるという点に留意しなければならない。
【0046】
本発明の好ましい実施形態に照らして提示される変更図を図1に示す。
【0047】
ここで、電圧はカテナリ電車線1にて交流形式(25kV−50Hzあるいは15kV−16 2/3Hz)か直流形式(3kVあるいは1.5kV)のいずれかに分岐される。
【0048】
電源トランスにはカテナリ電車線1によって交流電流が供給される。トランスは、電力供給される推進系と同じ数の二次巻線(11、12、13、14)と、場合によっては補助二次巻線(15、16)とを備える。これら補助二次巻線は、例えば二次コンバータ(CVS)の交流電源用、あるいは列車暖房用に用いられる。図1に詳述されているのは、一推進系に関する完全図であり、他系統(Prp2、Prp3、Prp4)の同一図は示されていない
。
【0049】
ここでは、25kV−50Hzでの運転に厳密に必要な6本のアームだけを使用し、他の電圧の場合にはそれらを再利用可能にする解決策が提案されている。この図では、各推進系Mを提供する三相インバータがカテナリ電車線に直接連結されている。
【0050】
各種電圧下で使用されるアームを以下に記載する。
【0051】
交流25kV−50Hz
− 2本のアームすなわちハーフブリッジ(A1,A2)から成る制御整流器FSMBと、
− 3本のアーム(C1,C2,C3)から成る推進モータ用電源インバータと、
− 1つのチョッパアームから成るブレーキチョッパ(B)と、
− 主トランスの専用低電圧巻線15に連結される交流補助コンバータ(CVS)とを使用。
【0052】
この構成において、50Hzの交流電圧を制御整流器のブリッジ一式(A1,A2)に印加するために接点スイッチ34は閉じている。整流された電圧は静電容量入力フィルタ(A3、接点スイッチ25は閉じている)を経由してブレーキチョッパ(B)に印加され、その後インバータ(C1,C2,C3)に印加される。
【0053】
交流15kV−16 2/3Hz
− 2本のアームすなわちハーフブリッジ(A1,A2)から成る制御整流器と、
− 3本のアーム(C1,C2,C3)から成る推進モータ用電源インバータと、
− 主トランスの専用低電圧巻線15に連結される交流CVSとを使用。
【0054】
この構成において、交流電圧16 2/3Hzを制御整流器のブリッジ一式(A1,A2)に印加するために接点スイッチ35は閉じている。この交流電圧は、反応型入力フィルタ、即ち静電容量/誘導フィルタ(A3、誘導コイルLであって、接点スイッチ25は開いている)を経由して印加され、その後インバータ(C1,C2,C3)に印加される。
【0055】
直流3kV
− 3本のアーム(C1,C2,C3)から成る推進モータ用電源インバータと、
− チョッパアームから成るブレーキチョッパおよびクリッパ(Bおよび/またはA1)と、
− 可逆チョッパアームであるFSMB第二アーム(A2、CVS上の接点スイッチ24は閉じている)から構成される降圧チョッパから供給される直流CVSとを使用。
【0056】
直流1500V
− 3本のアーム(C1,C2,C3)から成る推進モータ用電源インバータと、
− チョッパアームから成るブレーキチョッパおよびクリッパ(B)と、
− FSMBの第一アーム(A1)で形成され得る昇圧チョッパと、
− 可逆チョッパアームである第二FSMBアーム(A2、CVS上の接点スイッチ24は閉じている)から構成される降圧チョッパから供給される直流CVSとを使用。
【0057】
従って、CVSは3kV段を必要とせず、1000V未満の電圧で電力供給される構成要素(工業部品)のみからなる。別の言い方をすれば、推進系および補助コンバータで高電圧段を分割する必要がない。
【0058】
これらアームは最小限の接点スイッチで再構成され、インバータの入力コンデンサおよび半導体から成るアームで構成されるループ内に接点スイッチが配置されないので、スナッバの使用を課せられることもない。
【0059】
第一FSMBアームA1(接点スイッチ23は閉じている)を介して推進系1にカテナリ電圧を供給することが可能である。この場合、第一FSMBアームA1のダイオードD1が、ブレーキをかけている間に電流がカテナリ電車線に逆流しないようにすることを可能にする。また、この構成は、電流がカテナリ電車線へ逆流しないようにしながら、カテナリ電車線を介して補助コンバータを提供し続けることも可能にする。必要があれば、ダイオードと並列のIGBT半導体の簡単な制御によってこのアームを昇圧チョッパとして再構成することができる。他の直流1500Vネットワークに対してリカバリブレーキが要求される場合でもオンされたIGBTを制御するのに十分である。
【0060】
回路内にダイオードを配置することによって、直流ネットワーク下での短絡電流の減少も可能になる。具体的には、推進系1に短絡が生じることがあれば、他の推進系のコンデンサがそれ以上短絡回路に放電することはない。
【0061】
補助コンバータの降圧チョッパを形成する可逆アームの使用によって、かなりの量の電流リップルの許容が可能になると共に、出力誘導コイルにおいて出力電流の向きを逆にすることができる。
【0062】
従って、ゼロ交差の間に、ゼロ電流で半導体のスイッチがオンされ、ダイオードの切替がゆるやかに行われる。
【0063】
図2は、入力誘導コイル無しで、電源トランスの二次コイルに置き換えた場合の好ましい実施形態を表す。この場合、インバータの入力と二次コイルの直接的な連結がみられる。
【0064】
運用図および運用モードはそれぞれ図3および図4に表される。
【0065】
最終的に、直流電圧で制御整流器によって生成される高調波を基本周波数の2倍の周波数でフィルタにかけるために、最低周波数の交流電圧下、好ましくは交流15kV−16 2/3Hz下で、インダクタンス(「フィルタ2f」、A3)と直列に結合して使用されるコンデンサの有利な再利用についての指摘がなされる。このフィルタは他の(周波数がより高い)交流電圧および直流電圧下では必要ない。コンデンサは、直流電圧でのローパスフィルタリングのためのコンデンサ値を増加させるように再利用され、カテナリ電車線で拒否された電流の高調波成分、さもなければ直流バス上での電圧振動を受け入れ可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】鉄道車両、主として機関車の電源に関するカテナリ電車線から推進系(n=4)への全体電力回路図であり、モーターMを備える推進系番号1が詳述される。
【図2】本発明の好ましい実施形態に係わる図1の変形を表す。
【図3】補助コンバータの降圧チョッパを形成するFSMBの可逆アームを表す概略図である。
【図4】補助コンバータに対して図3に示される可逆アームの出力における電流および電圧を時間の関数として表す図である。
Claims (13)
- カテナリ電車線からの交流および/または直流多電圧電源のための方法であって、少なくとも1つの推進系を経由して必要電圧を鉄道車両、好ましくは機関車の電気モータに供給することを目的とし、前記推進系は複数の基本パワーアームを備えるモジュラー回路図に相当し、前記アームの各々が高電圧に対して逆バイアスされる少なくとも1つのダイオードと半導体とを備え、前記モジュラー回路図は前記アームの使用数を最適化することにより各種供給電圧の関数として変更可能であり、前記電源は、電源用電気回路において順次、カテナリ電車線によって電力供給される電源トランスと前記車両の電気モータとの間に、各アームがカテナリ電車線によってトランス経由で供給される交流電圧を直流電圧へ整流する働きをする少なくとも1つのリバースダイオード(D1,D2)を備える制御整流器ブリッジ(A1,A2)と、実質反作用的な入力フィルタ(A3)と、クリッピング機能(B)を備えることも可能なブレーキチョッパと、多相インバータ(C)とをさらに備え、これら各種要素がパワー半導体等の電子構成要素を備え、前記インバータ(C)が直流供給電圧に対してカテナリ電車線に直接連結される前記方法において、ブレーキモードの際、カテナリ電車線の直流電圧下で制御整流器ブリッジの第一アーム(A1)のダイオード(D1)が再利用されてカテナリ電車線による電気エネルギーの回収を防止することを特徴とする方法。
- 低直流電圧下で制御整流器ブリッジの第一アーム(A1)が再利用され、この低直流電圧下で前記推進系の出力増加を可能にする昇圧チョッパ機能を提供することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 昇圧チョッパの入力誘導コイル機能を実行するために電源トランスの二次コイルが回復されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- ブレーキモードの際、前記ダイオード(D1)と並列に配置された半導体をオンしてこのダイオードを短絡させることによって、カテナリ電車線による電気エネルギーの回収に備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 直流電圧下で、前記ダイオード(D1)は、ある推進系上に起こりうる短絡が生じている間、他の推進系のコンデンサによって供給される短絡電流を減少すべく意図されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記ダイオード(D1)は、時折発生する前記フィルタの励起時に直流電圧下で入力フィルタに流れる電流の変動を防止することによって前記フィルタの高調波電流を減少させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- カテナリ電車線からの交流および/または直流多電圧電源のための方法であって、少なくとも1つの推進系を経由して必要電圧を鉄道車両、好ましくは機関車の電気モータに供給することを目的とし、前記推進系は複数の基本パワーアームを備えるモジュラー回路図に相当し、前記アームの各々が高電圧に対して逆バイアスされる少なくとも1つのダイオードと半導体とを備え、前記モジュラー回路図は前記アームの使用数を最適化することにより各種供給電圧の関数として変更可能であり、前記電源は、電源用電気回路において順次、カテナリ電車線によって電力供給される電源トランスと前記車両の電気モータとの間に、各アームがカテナリ電車線によってトランス経由で供給される交流電圧を直流電圧へ整流する働きをする少なくとも1つのリバースダイオード(D1,D2)を備える制御整流器ブリッジ(A1,A2)と、実質反作用的な入力フィルタ(A3)と、クリッピング機能(B)を備えることも可能なブレーキチョッパと、多相インバータ(C)とをさらに備え、これら各種要素がパワー半導体等の電子構成要素を備え、前記インバータ(C)が直流供給電圧に対してカテナリ電車線に直接連結される前記方法において、好ましくは前記車両の補助コンバータへの電力供給を可能にするより低い電圧を生じるために、直流電圧下で制御整流器ブリッジの第二アームを再利用して降圧チョッパ機能を提供することを特徴とする方法。
- 上部半導体および下部半導体を有する制御整流器ブリッジの再利用された前記第二アーム(A2)によって構成される降圧チョッパが、出力誘導コイルの出力電流を逆転させるために、かなりの量の電流リップルを得るように制御されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
- 実際に使用されるアーム数は選択された電圧によって決まり、開位置あるいは閉位置が前記選択電圧に依存する複数の接点スイッチによってそのアーム数が満たされることを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
- インバータ(C)は三相で、好ましくは2つの電圧レベルを有し3つのアーム(C1,C2,C3)を備えることを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
- カテナリ電車線からの交流および/または直流多電圧電源のための方法であって、少なくとも1つの推進系を経由して必要電圧を鉄道車両、好ましくは機関車の電気モータに供給することを目的とし、前記推進系は複数の基本パワーアームを備えるモジュラー回路図に相当し、前記アームの各々が高電圧に対して逆バイアスされる少なくとも1つのダイオードと半導体とを備え、前記モジュラー回路図は前記アームの使用数を最適化することにより各種供給電圧の関数として変更可能であり、前記電源は、電源用電気回路において順次、カテナリ電車線によって電力供給される電源トランスと前記車両の電気モータとの間に、各アームがカテナリ電車線によってトランス経由で供給される交流電圧を直流電圧へ整流する働きをする少なくとも1つのリバースダイオード(D1,D2)を備える制御整流器ブリッジ(A1,A2)と、実質反作用的な入力フィルタ(A3)と、クリッピング機能(B)を備えることも可能なブレーキチョッパと、多相インバータ(C)とをさらに備え、これら各種要素がパワー半導体等の電子構成要素を備え、前記インバータ(C)が直流供給電圧に対してカテナリ電車線に直接連結される前記方法において、最低周波数の交流電圧下、好ましくは交流15kV−16 2/3Hz下で、直列誘導コイルと共同し、制御整流器によって生成される基本周波数の2倍の周波数で高調波をフィルタにかけるために使用されるコンデンサであって、前記フィルタは「フィルタ2f」と称され、前記フィルタ2fが他の交流あるいは直流電圧下では不必要であるコンデンサが、他の供給電圧下で直流電圧をフィルタにかけるためのコンデンサ値を増加させるために再利用されることを特徴とする方法。
- 少なくとも以下の電圧、すなわち交流25kV−50Hz、交流15kV−16 2/3Hz、直流3kV、および直流1.5kVを含むグループから選択される多電圧推進系に対して、前述の請求項のいずれか1つに記載の方法のうち少なくとも2つを組み合わせて使用する方法。
- 請求項1から11のいずれか1つに記載の方法の実現および推進系の構成を対象とした装置であって、少なくとも
制御整流器ブリッジ(A1,A2)、好ましくは強制切替付き単相ブリッジ(FSMB)と、
好ましくは少なくとも1つのコンデンサおよび/または少なくとも1つの誘導コイルを備える実質反作用的な入力フィルタ(A3)と、
クリッピング機能(B)を備えることも可能なブレーキチョッパと、
好ましくは三相型の多レベル多相インバータ(C1,C2,C3)と、
好ましくは各要素毎のIGBT型パワー半導体であり、各要素がモジュラー回路図の少なくとも1つの基本パワーアームに属する電子構成要素とからなる、所定のカテナリ電圧を選択するための複数の接点スイッチを備える電源用電気回路において、交流あるいは直流の複数のネットワーク電圧を供給可能なカテナリ電車線によって電力供給される電源トランスと車両の電気モータとの間に順次配置されることを特徴とする装置。
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