JP2005351361A - 油圧制御装置及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電気的に油圧制御を行う油圧制御アクチュエータと、油圧制御アクチュエータにおける実油圧値を検出する油圧検出部と、油圧制御アクチュエータを制御するコントロールユニットと、を備えた油圧制御装置であって、コントロールユニットは、基本油圧指令値の設定及び指令を行う基本油圧値指令部と、基本油圧値に基づき、インバースフィルタによって第1の目標油圧指令値を演算するフィードフォワード制御部と、基本油圧指令値及び検出された実油圧値に基づき、第2の目標油圧指令値を演算するフィードバック制御部と、第1、第2の目標油圧指令値に基づいて目標制御量を決定する目標制御量決定部と、を有し、目標制御量決定部により決定された目標制御量に基づき、油圧制御アクチュエータの制御を行うこととした。
【選択図】 図1
Description
実施例1につき図1に基づき説明する。図1は、油圧制御装置の制御システム図である。コントロールユニット100は、基本油圧値指令部110、F/F(フィードフォワード)制御部120、F/B(フィードバック)制御部130、目標制御量決定部140、故障判断部150を有する。
基本油圧値指令部110は、本願油圧制御装置を適用する制御対象の状態量に対応する油圧マップを備え、この状態量に基づきマップからプラントに対する基本油圧指令値を読み込んでF/F制御部120及びF/B制御部130へ出力する。例えばプラントを車両における駆動用油圧機器とした場合、制御対象の状態量としてスロットル開度TVOや車速VSPを用いることが考えられる。
F/F制御部120はインバースフィルタを備えた逆位相補償器である。故障判断部150により油温センサ220に故障がないと判断されれば、故障判断部150から検出された油温Tcが入力される。この油温Tcに基づき、インバースフィルタによって基本油圧値指令部110から入力された基本油圧指令値P*の逆位相補償を行い、P*の振動領域を集中的に抑えた第1目標油圧指令値P1として目標制御量決定部140へ出力する。
F/B制御部130はF/B目標値設定部131及びPID制御部132を備えたPID制御器である。F/B目標値設定部131は油圧センサ210及び油温センサ220により検出された油温Tc及び実油圧Pcに基づきF/B制御における目標油圧指令値PFBを算出するフィルタを有し、目標油圧指令値PFBを算出して加算部134へ出力する。
故障判断部150は油圧センサ210及び油温センサ220の故障を判断するフェイル検出部である。いずれにも故障が検出されない場合はF/B制御部130から入力された第2目標油圧指令値P2を目標制御量決定部140へ出力するが、いずれかに故障が検出された場合、第2目標油圧指令値P2の出力を行わない。
目標制御量決定部140はソレノイド200の電流制御を行うことでプラントの油圧制御を行う制御部であり、F/F制御部120及び故障判断部150から入力された第1目標油圧指令値P1及び第2目標油圧指令値P2に基づきソレノイド200の目標制御量を決定し、この目標制御量を対応する目標電流itに変換してソレノイド200へ出力する。
図2は、F/F制御部120におけるインバースフィルタの設計方法を示す図である。本願油圧制御装置を適用するプラントにより油圧特性が異なるため、まず実験により特定の油温条件下におけるプラントの油圧波形を検出する(ステップ1)。次に、得られた油圧波形を伝達関数に変換する(ステップ2)。そして、目標とするプラントの油圧応答性を考慮し、伝達関数からインバースフィルタを設計する(ステップ3)。
さらに、油温条件を変えて複数のインバースフィルタを求めることにより、プラントの運転領域に対応する油温領域を網羅したインバースフィルタ群を求める。
F/B制御における目標油圧指令値PFBを算出するフィルタは一次遅れフィルタである。インバースフィルタの設計と同様プラントにより油圧特性が異なるため、まず特定の油温条件下における時定数を求めてフィルタを設計し、さらに油温条件を変えることにより、プラントの運転領域に対応する油温領域を網羅したフィルタ群を求める。
図3は、コントロールユニット100において実行される油圧制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップについて説明する。
図4は、従来技術の油圧制御と本願油圧制御装置のコントロールユニット100における油圧制御の電流及び油圧の経時変化を示すタイムチャートである。図4(a)にインバースフィルタを用いない従来技術のタイムチャートを、図4(b)に本願油圧制御のタイムチャートを示す。
時刻t2では従来技術及び本願実施例ともに油圧が応答を開始する。従来技術における入力電流は既に一定値となっているが、インバースフィルタを組み込んだ本願実施例では電流は変化を継続している。
時刻t3において本願実施例の入力電流が所定値に収束する。油圧は従来技術及び本願実施例ともに変化を継続している。
時刻t4において本願実施例の油圧が所定値に収束し、油圧応答が完了する。一方、従来技術における油圧は未だ収束せずに変化中である。
時刻t5において従来技術の油圧が収束し、油圧応答が完了する。
従来技術においては油圧アクチュエータの制御に一次遅れフィルタを用い、制御状態に応じ、この一次遅れフィルタの遅れ特性を適宜変更しているが、フィルタの遅れ特性を弱くした場合、応答性は良くなる反面振動抑制性に劣り、遅れ特性を強くすると振動抑制性は向上する代わりに応答性が劣るという問題があった(特許文献2参照。)。また、一次遅れフィルタのみを用いる制御構成のため、遅れ特性を強くしたとしても振動抑制性の向上には限度があった。
これにより、油圧センサ210が故障した場合であっても、インバースフィルタを用いた制御を行うことにより油振を抑えた制御が実現できる(請求項3に対応。)。
これにより、油温センサ220が故障した場合であっても、インバースフィルタを用いた制御を行うことにより油圧振動を抑えた制御が実現できる(請求項4に対応。)。
図5は、本願油圧制御装置を適用したCVT搭載車両のシステム構成図である。本願油圧制御装置を適用した車両は、CVTコントロールユニット300、エンジン320、トルクコンバータ330、前後進クラッチ340、オイルポンプ350、第1調圧弁361、第2調圧弁362、CVT310、プライマリソレノイド410、セカンダリソレノイド420、プライマリ調圧弁371、セカンダリ調圧弁372を有する。
オイルポンプ350により発生した油圧は第1調圧弁361によりライン圧に調整され、プライマリ調圧弁371及びセカンダリ調圧弁372に供給される。また、第2調圧弁362によりパイロット圧とされてプライマリソレノイド410及びセカンダリソレノイド420に供給される。CVTコントロールユニット300はプライマリソレノイド410及びセカンダリソレノイド420を制御し、供給されたパイロット圧を所望の信号圧に調整してプライマリ調圧弁371及びセカンダリ調圧弁372に供給する。
図6は、CVTコントロールユニット300の制御ブロック図である。CVTコントロールユニット300は実施例1におけるコントロールユニット100を基本とする制御構成を持つため、詳細な説明は省略する。CVT搭載車両に適用した際の特徴として、基本油圧値指令部110は、油圧制御装置を適用するプラントである車両のスロットル開度TVO、プライマリ回転数RPRI、及び車速VSPに対応する油圧マップを備え、TVO,RPRI,VSPの値に基づきマップからCVT310に対する基本油圧指令値を読み込んでF/F制御部120及びF/B制御部130へ出力する。
実施例2において本願油圧制御装置の適用例として示したCVTは、駆動側及び従動側双方のプーリにかかる油圧を独立して制御することで変速を達成するため精度の高い制御が必要となる。しかし、従来例にあっては単なる一次遅れフィルタによって油圧振動制御を行っていたため制御精度の向上には限界があり、高精度な制御を要求されるCVT制御の制御装置としては不十分であった。
以上、本発明を実施するための最良の形態を実施例1及び実施例2に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
110 基本油圧値指令部
120 フィードフォワード制御部
130 フィードバック制御部
131 目標値設定部
132 PID制御部
133 反転部
134 加算部
140 目標制御量決定部
150 故障判断部
200 ソレノイド
210 油圧センサ
220 油温センサ
300 コントロールユニット
310 CVT
311 プライマリプーリ
311a プライマリスライドプーリ
312 セカンダリプーリ
312a セカンダリスライドプーリ
320 エンジン
330 トルクコンバータ
340 前後進クラッチ
350 オイルポンプ
361 第1調圧弁
362 第2調圧弁
371 プライマリ調圧弁
372 セカンダリ調圧弁
410 プライマリソレノイド
420 セカンダリソレノイド
Claims (13)
- 電気的に油圧制御を行う油圧制御アクチュエータと、
前記油圧制御アクチュエータにおける実油圧値を検出する油圧検出部と、
前記油圧制御アクチュエータを制御するコントロールユニットと、
を備えた油圧制御装置であって、
前記コントロールユニットは、基本油圧指令値の設定及び指令を行う基本油圧値指令部と、
前記基本油圧指令値に基づき、インバースフィルタによって第1の目標油圧指令値を演算するフィードフォワード制御部と、
前記基本油圧指令値及び検出された前記実油圧値に基づき、第2の目標油圧指令値を演算するフィードバック制御部と、
前記第1、第2の目標油圧指令値に基づいて前記油圧制御アクチュエータの目標制御量を決定する目標制御量決定部と、を有し、
前記目標制御量決定部により決定された目標制御量に基づき、前記油圧制御アクチュエータの制御を行うことを特徴とする油圧制御装置。 - 請求項1に記載の油圧制御装置において、
油の現在状態を検出する油状態検出手段を設け、
前記フィードフォワード制御部は、前記油状態検出手段により検出された油の現在状態に対応する複数のインバースフィルタを有することを特徴とする油圧制御装置。 - 請求項2に記載の油圧制御装置において、
前記コントロールユニットに前記油圧検出部の故障を検出する第1故障検出手段を設け、
前記第1故障検出手段により前記油圧検出部の故障が検出されたとき、前記フィードフォワード制御部において、前記複数のインバースフィルタのうち前記油状態検出手段により検出された油の現在状態に対応するインバースフィルタを選択してフィードフォワード制御を実行し、得られた前記第1の目標油圧指令値のみによって前記目標制御量の決定を行うことを特徴とする油圧制御装置。 - 請求項2に記載の油圧制御装置において、
前記コントロールユニットに前記油状態検出手段の故障を検出する第2故障検出手段を設け、
前記第2故障検出手段により前記油状態検出手段の故障が検出されたとき、前記フィードフォワード制御部において、前記複数のインバースフィルタのうち予め定められた所定のインバースフィルタを選択してフィードフォワード制御を実行し、得られた前記第1の目標油圧指令値のみによって前記目標制御量の決定を行うことを特徴とする油圧制御装置。 - 請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の油圧制御装置において、
前記油の現在状態を油温とし、前記油状態検出手段を油温検出部としたことを特徴とする油圧制御装置。 - 請求項5に記載の油圧制御装置において、
前記所定のインバースフィルタは、前記油圧制御装置が適用される制御対象の常用域における油温に対応するインバースフィルタであることを特徴とする油圧制御装置。 - 請求項6に記載の油圧制御装置において、
前記目標制御量決定部は、前記油温検出部により検出された油温が所定値未満のとき、前記フィードフォワード制御部により演算された前記第1の目標油圧指令値のみによって前記目標制御量の決定を行うことを特徴とする油圧制御装置。 - 請求項7に記載の油圧制御装置において、
前記制御対象を、駆動側及び従動側双方のプーリにかかる油圧を独立して制御することで変速を行うCVTの油圧制御装置とし、
前記常用域の油温は、80℃であることを特徴とする油圧制御装置。 - 請求項8に記載の油圧制御装置において、
前記所定値は、マイナス10℃であることを特徴とする油圧制御装置。 - 請求項1に記載の油圧制御装置の制御方法であって、
前記フィードフォワード制御部によって演算された前記第1の目標油圧指令値と、前記フィードバック制御部において演算された前記第2の目標油圧指令値とに基づいて前記目標制御量を決定することを特徴とする油圧制御装置の制御方法。 - 請求項10に記載の油圧制御装置の制御方法であって、
前記油圧検出部が異常かどうかを判断し、
異常と判断されない場合は、前記第1、第2目標油圧指令値に基づき前記目標制御量の決定を行い、
異常と判断されたときは、前記第1目標油圧指令値のみに基づいて前記目標制御量の決定を行う特徴とする油圧制御装置の制御方法。 - 請求項10に記載の油圧制御装置の制御方法であって、
油温検出に異常があるかどうかを判断し、
異常と判断したときは、常用域の油温に対応するインバースフィルタを用いて演算された前記第1目標油圧指令値のみに基づいて前記目標制御量の決定を行う特徴とする油圧制御装置の制御方法。 - 請求項10に記載の油圧制御装置の制御方法であって、
検出された油温が所定値未満のとき、前記第1目標油圧指令値のみに基づいて前記目標制御量の決定を行う特徴とする油圧制御装置の制御方法。
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