JP4660450B2 - ベルト式無段変速機のライン圧制御装置 - Google Patents

ベルト式無段変速機のライン圧制御装置 Download PDF

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Description

本発明はベルト式無段変速機のライン圧制御装置に関する。
ベルト式無段変速機において、燃費向上のためできるだけライン圧を低下させたいが、ライン圧がプライマリ圧やセカンダリ圧を下回ると、プライマリ圧やセカンダリ圧も低下して変速比が変化する。
そこで、ステップモータの指示値(目標変速比)と実変速比との偏差に基づいて実ライン圧が目標ライン圧となるようにフィードバック制御することで、ライン圧を低下させながらプライマリ圧やセカンダリ圧より高く保持する技術が特許文献1に記載されている。
特開2004−100737公報
変速比が比較的High側の状態で走行中に、ゆっくりアクセルペダルが踏み込まれた場合には、プライマリ圧はセカンダリ圧の上昇に応じて上昇する。しかし、ライン圧がプライマリ圧付近まで低下していることによりライン圧の上昇が遅れ、必要なプライマリ圧を確保することができずに変速不良が発生することがある。
そこで、変速速度に応じてライン圧を増加補正することでライン圧を急激に上昇させてプライマリ圧を確保することが考えられる。
しかし、変速速度に応じてライン圧を増加補正すると、ライン圧を必要以上に上昇させることになるのでその分燃費性能が悪化する。
本発明は、ライン圧フィードバック制御中においてアクセルペダルがゆっくり踏み込まれたとき、燃費の悪化を防止しながらプライマリ圧が不足しないようにライン圧を上昇させることを目的とする。
本発明は、プライマリプーリとセカンダリプーリとにベルトを掛け回し、目標変速比に対応した位置に変速アクチュエータを駆動してライン圧を元圧とするプライマリプーリへの供給圧を制御することでプライマリプーリの可動シーブが変位して変速比が調整されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、実変速比を検出する実変速比検出手段と、実変速比と目標変速比との偏差に基づいてライン圧をフィードバック制御するライン圧フィードバック制御手段と、ライン圧をフィードバック制御中に変速速度が所定値より大きくなったとき、目標変速比が大きいほどライン圧の指示値とセカンダリプーリへの供給圧であるセカンダリ圧の指示値との差が大きくなるように、セカンダリ圧の変化に追従してライン圧の指示値を増加補正するライン圧補正手段とを備える。
本発明によれば、ライン圧フィードバック制御中に変速速度が所定値より大きくなったとき、目標変速比が大きいほどライン圧の指示値とセカンダリプーリへの供給圧であるセカンダリ圧の指示値との差が大きくなるように、ライン圧の指示値を増加補正するので、アクセルペダルがゆっくり踏み込まれたときのセカンダリ圧の上昇に追従してライン圧を上昇させることができ、また過剰なライン圧の上昇を防止できるので、燃費性能の悪化を防止しながらプライマリ圧の不足を防止することができる。
以下では図面等を参照して本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は本実施形態におけるベルト式無段変速機のライン圧制御装置を示す概略構成図である。ベルト式無段変速機10は、プライマリプーリ11と、セカンダリプーリ12と、Vベルト13と、CVTコントロールユニット20(以下「CVTCU」という)と、油圧コントロールユニット30とを備え、ライン圧を元圧として変速動作を行う。
プライマリプーリ11は、このベルト式無段変速機10にエンジン1の回転を入力する入力軸側のプーリである。プライマリプーリ11は、入力軸11dと一体となって回転する固定円錐板11bと、この固定円錐板11bに対向配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、プライマリプーリシリンダ室11cへ作用する油圧によって軸方向へ変位可能な可動円錐板11a(可動シーブ)とを備える。プライマリプーリ11は、前後進切り替え機構3、ロックアップクラッチを備えたトルクコンバータ2を介してエンジン1に連結され、そのエンジン1の回転を入力する。プライマリプーリ11の回転速度は、プライマリプーリ回転速度センサ26によって検出される。
Vベルト13は、プライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12に巻き掛けられ、プライマリプーリ11の回転をセカンダリプーリ12に伝達する。
セカンダリプーリ12は、Vベルト13によって伝達された回転をディファレンシャル4に出力する。セカンダリプーリ12は、出力軸12dと一体となって回転する固定円錐板12bと、この固定円錐板12bに対向配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、セカンダリプーリシリンダ室12cへ作用する油圧に応じて軸方向へ変位可能な可動円錐板12aとを備える。なお、セカンダリプーリシリンダ室12cの受圧面積は、プライマリプーリシリンダ室11cの受圧面積と略等しく設定されている。
セカンダリプーリ12は、アイドラギア14及びアイドラシャフトを介してディファレンシャル4を連結しており、このディファレンシャル4に回転を出力する。セカンダリプーリ12の回転速度は、セカンダリプーリ回転速度センサ27によって検出される。なお、このセカンダリプーリ12の回転速度から車速を算出することができる。
CVTCU20は、インヒビタスイッチ23、アクセルペダルストローク量センサ24、油温センサ25、プライマリプーリ回転速度センサ26、セカンダリプーリ回転速度センサ27等からの信号や、エンジンコントロールユニット21からの入力トルク情報に基づいて、変速比や接触摩擦力を決定し、油圧コントロールユニット30に指令を送信して、ベルト式無段変速機10を制御する。
油圧コントロールユニット30は、CVTCU20からの指令に基づいて応動する。油圧コントロールユニット30は、プライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12に対して油圧を供給し、可動円錐板11a及び可動円錐板12aを回転軸方向に往復移動させる。
可動円錐板11a及び可動円錐板12aが移動するとプーリ溝幅が変化する。すると、Vベルト13が、プライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12上で移動する。これによって、Vベルト13のプライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12に対する接触半径が変わり、変速比及びVベルト13の接触摩擦力がコントロールされる。
エンジン1の回転が、トルクコンバータ2、前後進切り替え機構3を介してベルト式無段変速機10へ入力され、プライマリプーリ11からVベルト13、セカンダリプーリ12を介してディファレンシャル4へ伝達される。
アクセルペダルが踏み込まれたり、マニュアルモードでシフトチェンジされると、プライマリプーリ11の可動円錐板11a及びセカンダリプーリ12の可動円錐板12aを軸方向へ変位させて、Vベルト13との接触半径を変更することにより、変速比を連続的に変化させる。
図2は油圧コントロールユニット及びCVTCUの概念図である。
油圧コントロールユニット30は、レギュレータバルブ31と、変速制御弁32と、減圧弁33とを備え、油圧ポンプ34から供給される油圧を制御してプライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12に供給する。
レギュレータバルブ31は、ソレノイドを有し、油圧ポンプ34から圧送された油の圧力を、CVTCU20からの指令(例えば、デューティ信号など)に応じて運転状態に応じて所定のライン圧に調圧する調圧弁である。
変速制御弁32は、プライマリプーリシリンダ室11cの油圧(以下「プライマリ圧」という)を所望の目標圧となるよう制御する制御弁である。変速制御弁32は、メカニカルフィードバック機構を構成するサーボリンク50に連結され、サーボリンク50の一端に連結されたステップモータ40によって駆動されるとともに、サーボリンク50の他端に連結したプライマリプーリ11の可動円錐板11aから溝幅、つまり実変速比のフィードバックを受ける。変速制御弁32は、スプール32aの変位によってプライマリプーリシリンダ室11cへの油圧の吸排を行って、ステップモータ40の駆動位置で指令された目標変速比となるようにプライマリ圧を調整し、実際に変速が終了するとサーボリンク50からの変位を受けてスプール32aを閉弁位置に保持する。
減圧弁33は、ソレノイドを備え、セカンダリプーリシリンダ室12cへの供給圧(以下「セカンダリ圧」という)を所望の目標圧に制御する制御弁である。
油圧ポンプ34から供給され、レギュレータバルブ31によって調圧されたライン圧は、変速制御弁32と、減圧弁33にそれぞれ供給される。
プライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12の変速比は、CVTCU20からの変速指令信号に応じて駆動されるステップモータ40によって制御され、ステップモータ40に応動するサーボリンク50の変位に応じて変速制御弁32のスプール32aが駆動され、変速制御弁32に供給されたライン圧が調整されてプライマリ圧をプライマリプーリ11へ供給し、溝幅が可変制御されて所定の変速比に設定される。
CVTCU20は、インヒビタスイッチ23からのレンジ信号、アクセルペダルストローク量センサ24からのアクセルペダルストローク量、油温センサ25からのベルト式無段変速機10の油温や、プライマリプーリ速度センサ26、セカンダリプーリ速度センサ27、油圧センサ29からの信号等を読み込んで変速比やVベルト13の接触摩擦力を可変制御する。なお、油圧センサ29は、セカンダリプーリのシリンダ室12cにかかるセカンダリ圧を検出するセンサである。
CVTCU20は、車速やスロットル開度等に応じて目標の変速比を決定し、ステップモータ40を駆動して現在の変速比を目標の変速比へ向けて制御する。さらに、入力トルク情報、変速比、油温に基づいてプライマリプーリ及びセカンダリプーリに供給する油圧のうち、いずれか大きい方の圧力以上となるようにライン圧の目標値を演算し、レギュレータバルブ31のソレノイドを駆動することでライン圧を目標値に一致させるようにフィードバック制御し、また、セカンダリ圧の目標値を決定して、油圧センサ29の検出値と目標値とに応じて減圧弁33のソレノイドを駆動して、フィードバック制御によりセカンダリ圧を制御する。
また、プライマリ圧及びセカンダリ圧の元圧となるライン圧は、できるだけ低く保持することで油圧ポンプの負荷が低減され燃費が向上する。そのため、車両が定常運転状態においてはライン圧を徐々に低下させながらライン圧がプライマリ圧及びセカンダリ圧を下回らないように、実変速比と目標変速比との偏差に基づいてライン圧をフィードバック制御している(ライン圧フィードバック制御手段)。
ライン圧フィードバック制御は、実変速比と目標変速比との偏差に基づいて演算されるライン圧補正量に応じてライン圧を制御しており、ライン圧補正量が大きいほどライン圧が高くなる。なお、ライン圧フィードバック制御は従来から行われているものであり、詳細な説明については省略する。
ここで、ライン圧補正量は図3のブロック図に示すように演算される。すなわち、目標変速比に対応するステップモータ40の指示値と実変速比との偏差を演算し、この偏差から偏差の補正量を減算する。このようにして得られた値をPI制御器100に入力し、PI制御器100の出力値に上限リミッタ及び下限リミッタをかけてライン圧補正量が演算される。なお、偏差の補正量は、ステップモータ40の取り付けばらつきやトルクに依存するステップのずれを考慮して決定される。
以下、CVTCU20で行う制御について図4のフローチャートを参照しながら説明する。なお、これらの制御は微少時間(例えば10ms)ごとに繰り返し行われる。
ステップS1では、ライン圧フィードバック制御中であるか否かを判定する。ライン圧フィードバック制御中であればステップS2へ進み、ライン圧フィードバック制御中でなければ処理を終了する。なお、ライン圧フィードバック制御が、Dレンジであり、非アイドル時であり、変速速度が所定の範囲内であるという条件を満たしたとき実施されるように設定されている場合には、以下のステップS2〜S4を全て満たすときライン圧フィードバック制御中であることが判断されるので、本ステップは省略してもよい。
ステップS2では、シフト位置がDレンジか否かを判定する。DレンジであればステップS3へ進み、Dレンジ以外であれば処理を終了する。
ステップS3では、非アイドル時であるか否かを判定する。非アイドル時であればステップS4へ進み、アイドル時であれば処理を終了する。非アイドル時であることはアクセルペダル24が踏み込まれていることによって判定する。
ステップS4では、変速速度が所定値より大きいか否かを判定する。変速速度が所定値より大きければステップS5へ進み、所定値以下であれば処理を終了する。所定値は、アクセルペダル24がゆっくり踏み込まれたことを判断できる程度の値であり、予め実験などによって求めておく。
ステップS5では、ライン圧補正量がゼロより小さいか否かを判定する。ライン圧補正量がゼロより小さければステップS6へ進み、ゼロ以上であれば処理を終了する。ライン圧補正量がゼロより小さいときは、ライン圧をプライマリ圧付近まで低下させているときである。
以上のステップS2〜S5の条件を満足することでアクセルペダル24がゆっくり踏み込まれた状態であることが判断できる。
ステップS6(ライン圧補正手段)では、ライン圧補正量を上昇制御する。ライン圧補正量の上昇制御は以下のように行われる。まず初めに変速速度が所定値を超える前の状態におけるライン圧指示値とセカンダリ圧指示値との差を記憶する。ここで、この差をαとする。
次にセカンダリ圧の上昇に追従してライン圧を上昇させるが、このときのライン圧指示値を以下の式に示すように設定する。
(ライン圧指示値)=Kα+(セカンダリ圧指示値)
ここで、Kはゲインであり、目標変速比が大きいほど大きく設定される。
すなわち、ライン圧指示値とセカンダリ圧指示値との差が、前述の差αに所定のゲインKを掛けた値となるようにライン圧指示値を上昇させる。ライン圧指示値の上昇は、このライン圧指示値を実現するようにライン圧補正量を所定の上昇率で上昇させることで行われる。
ここで、上述のステップモータを用いた無段変速機では、ライン圧フィードバック制御は変速比が所定値以下(High側)の領域で行われる。Low側の領域ではプライマリ圧よりセカンダリ圧が高いので、ライン圧フィードバック制御によってライン圧が低下するとセカンダリ圧が不足してベルトスリップを生じるおそれがあるからである。したがって、本実施形態における制御は、変速比がHigh側にある場合の定常走行時、例えば車速が80km/h以上の定速走行時に実施することが好ましい。特にこの場合は、少しだけ加速したいケースが多くアクセルペダルをゆっくり踏み込むことが多いので、本実施形態における制御が特に有効である。
次に図5を用いて本実施形態の作用について説明する。定常状態で走行中、アクセルペダル24が緩やかに踏み込まれると変速速度が上昇する。
時刻t1において変速速度が所定値を超えると、定常状態のときのライン圧指示値とセカンダリ圧指示値との差αが記憶され、ライン圧補正量が所定の上昇率で上昇する。セカンダリ圧指示値の上昇に伴ってライン圧指示値も上昇するが、このときライン圧指示値とセカンダリ圧指示値との差が、前述の記憶した差αに所定のゲインKを掛けた値Kαとなるようにライン圧指示値が上昇する。
これにより、ライン圧はプライマリ圧付近であってプライマリ圧より高い圧力を保持することができ、プライマリ圧がセカンダリ圧に追従して必要なプライマリ圧を確保することができる。
以上のように本実施形態では、ライン圧フィードバック制御中にアクセルペダル24がゆっくりと踏み込まれたとき、ライン圧の指示値とセカンダリプーリ12への供給圧であるセカンダリ圧の指示値との差が目標変速比によって決定される所定の関係を保持するようにライン圧補正量を上昇させてライン圧の指示値を上昇させるので、アクセルペダル24がゆっくり踏み込まれたときのセカンダリ圧の上昇に追従してライン圧を上昇させることができ、また過剰なライン圧の上昇を防止できるので、燃費性能の悪化を防止しながらプライマリ圧の不足を防止することができる。(請求項1に対応)
また、ゲインKは一定ではなく目標変速比が大きいほど大きく設定されるので、セカンダリ圧の変化にかかわらず確実にプライマリ圧を確保できるようにライン圧指示値を設定することができる。(請求項2に対応)
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
本実施形態におけるベルト式無段変速機のライン圧制御装置を示す概略構成図である。 油圧コントロールユニット及びCVTCUの概念図である。 ライン圧補正量を演算する方法を示すブロック図である。 本実施形態におけるベルト式無段変速機のライン圧制御装置の制御を示すフローチャートである。 本実施形態におけるベルト式無段変速機のライン圧制御装置の作用を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 エンジン
10 ベルト式無段変速機
11 プライマリプーリ
11a 可動円錐板(可動シーブ)
12 セカンダリプーリ
12a 可動円錐板
13 Vベルト
20 CVTコントロールユニット
30 油圧コントロールユニット
34 油圧ポンプ
40 ステップモータ(変速アクチュエータ)
50 サーボリンク

Claims (1)

  1. プライマリプーリとセカンダリプーリとにベルトを掛け回し、目標変速比に対応した位置に変速アクチュエータを駆動して、ライン圧を元圧とする前記プライマリプーリへの供給圧を制御することで、前記プライマリプーリの可動シーブが変位して変速比が調整されるベルト式無段変速機のライン圧制御装置において、
    実変速比を検出する実変速比検出手段と、
    実変速比と目標変速比との偏差に基づいてライン圧をフィードバック制御するライン圧フィードバック制御手段と、
    ライン圧をフィードバック制御中に変速速度が所定値より大きくなったとき、目標変速比が大きいほどライン圧の指示値と前記セカンダリプーリへの供給圧であるセカンダリ圧の指示値との差が大きくなるように、セカンダリ圧の変化に追従してライン圧の指示値を増加補正するライン圧補正手段と、
    を備えることを特徴とするベルト式無段変速機のライン圧制御装置。
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