JP2005350546A - 光硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Hironobu Shimazu
宏宣 島津
Shigeru Nomura
茂 野村
Norishige Shichiri
徳重 七里
Shintaro Moriguchi
慎太郎 森口
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】 加熱した場合であっても極めて着色が少なく、電子部品の接着剤や封止剤とし
て好適に用いることができる光硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)により表されるエポキシ化合物を含有する光カチオン硬
化性化合物と光カチオン重合開始剤とを含有する光硬化性樹脂組成物。
Figure 2005350546

式(1)中、R、R、R、R、R、Rは水素基又はアルキル基を表す。また
、R、Rの置換位置は特に限定されず、1〜4置換を含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、加熱した場合であっても極めて着色が少なく、電子部品の接着剤や封止剤とし
て好適に用いることができる光硬化性樹脂組成物に関する。
光硬化性樹脂組成物は、接着剤等の用途に広く用いられている。なかでも、近年では、有
機エレクトロルミネッセンス素子の封止剤や透明基板の接着剤等、電子部品の接着や封止
に多用されている。例えば、ボトムエミッション方式の有機エレクトロルミネッセンス素
子(有機EL素子)においては、透明電極や防湿性基材の貼り合わせ等に用いられており
、トップエミッション方式の有機EL素子においては、互いに対向する一対の電極間に有
機発光材料層が挟持された積層体の封止に用いられている。
このような光硬化性樹脂組成物としては、高い透明性や無着色性が要求される。また、作
業性の観点及び気泡の混入による透明性の低下を防止する観点からも、比較的低粘度であ
ることが要求される。更に、電子部品の製造工程を考えると、一定の耐熱性も求められる

これらの要件を満たす光硬化性組成物としては、例えば、硬化性成分としてビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物が
用いられていた。しかし、これらのエポキシ樹脂を用いた場合、硬化時に僅かながら着色
することがあり、更に、硬化物に光を照射したり加熱したりすると着色することがあると
いう問題があり、近年の電子部品に求められる高度な性能を満たすものではなかった。
これに対して、特許文献1には、硬化性成分として水添エポキシ樹脂や、脂環式エポキシ
樹脂を含有する光重合性化合物を用い、更に、酸化防止剤を含有する光硬化性樹脂組成物
が開示されており、この光硬化性樹脂組成物の硬化物は、極めて着色が少ないとされてい
る。しかしながら、実際にはこの光硬化性樹脂組成物も常温下においては着色の改善が見
られるものの、加熱した場合にはやはり着色してしまうだけでなく、防湿性が充分でない
等、問題を完全に解決できるものではなかった。
特開2003−073452号公報
本発明は、上記現状に鑑み、加熱した場合であっても極めて着色が少なく、電子部品の接
着剤や封止剤として好適に用いることができる光硬化性樹脂組成物を提供することを目的
とする。
本発明1は、下記一般式(1)により表されるエポキシ化合物を含有する光カチオン硬化
性化合物と光カチオン重合開始剤とを含有する光硬化性樹脂組成物である。
Figure 2005350546
式(1)中、R、R、R、R、R、Rは水素基又はアルキル基を表す。また
、R、Rの置換位置は特に限定されず、1〜4置換を含む。
本発明2は、下記一般式(2)により表されるエポキシ化合物を含有する光カチオン硬化
性化合物と光カチオン重合開始剤とを含有する光硬化性樹脂組成物である。
Figure 2005350546
式(2)中、R、R、R、R10、R11は水素基又はアルキル基を表す。また、
11の置換位置は特に限定されず、1〜4置換を含む。
本発明3は、下記一般式(3)により表されるオキセタン化合物及び/又は下記一般式(
4)により表されるエポキシ化合物を含有する光カチオン硬化性化合物と光カチオン重合
開始剤とを含有する光硬化性樹脂組成物である。
Figure 2005350546
式(3)、(4)中、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R
は、水素又はアルキル基を表す。また、R13、R14、R17、R18の置換位置は
特に限定されず、1〜4置換を含む。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、硬化性成分としてビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型
エポキシ樹脂を含有する光硬化性樹脂組成物においてその着色の原因を詳細に検討した結
果、これらの樹脂に含有される芳香族環とエポキシ基との共役が着色の原因になっている
らしいことを突き止めた。本発明者らは、更に鋭意検討の結果、一定の構造を有するエポ
キシ樹脂又はオキセタン樹脂を硬化成分として用いた場合には、加熱した場合であっても
極めて着色が少なく、しかも低粘度で作業性等に優れる光硬化性樹脂組成物が得られるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明1の光硬化性樹脂組成物は、上記一般式(1)により表されるエポキシ化合物を含
有する。上記一般式(1)により表されるエポキシ化合物を硬化成分とする光硬化性樹脂
組成物は、硬化性に優れ、低粘度であることに加え、極めて着色が少なく透明性に優れた
硬化物を与える。しかも、この硬化物は、加熱した場合であってもほとんど着色しない。
これは、2つの芳香族環の間にシクロヘキサン環が挟まれることにより、分子全体として
の共役が分断されるためであると考えられる。
上記一般式(1)により表されるエポキシ化合物もまた、本発明の1つである。
上記一般式(1)により表されるエポキシ化合物を製造する方法としては特に限定されず
、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、フェノール、エピクロルヒドリン等を
原料として用い、Journal of Applied Polymer Scien
ce,vol.72,953−959(1999)に準拠して、縮合、エポキシ化する方
法等が挙げられる。
本発明2の光硬化性樹脂組成物は、上記一般式(2)により表されるエポキシ化合物を含
有する。上記一般式(2)により表されるエポキシ化合物を硬化成分とする光硬化性樹脂
組成物は、硬化性に優れ、低粘度であることに加え、極めて着色が少なく透明性に優れた
硬化物を与える。しかも、この硬化物は、加熱した場合であってもほとんど着色しない。
これは、エポキシ基と芳香族環との間にシクロヘキサン環が挟まれることにより、分子全
体としての共役が分断されるためであると考えられる。
上記一般式(2)により表されるエポキシ化合物もまた、本発明の1つである。
上記一般式(2)により表されるエポキシ化合物を製造する方法としては特に限定されず
、例えば、p−キシリレングリコール、シクロヘキサノール、エピクロルヒドリン等を原
料として用い、Journal of Applied Polymer Scienc
e,vol.72,953−959(1999)に準拠して、縮合、エポキシ化する方法
等が挙げられる。
本発明3の光硬化性樹脂組成物は、上記一般式(3)により表されるオキセタン化合物を
含有する。上記一般式(3)により表されるオキセタン化合物を硬化成分とする光硬化性
樹脂組成物は、硬化性に優れ、低粘度であることに加え、極めて着色が少なく透明性に優
れた硬化物を与える。しかも、この硬化物は、加熱した場合であってもほとんど着色しな
い。
これは、2つの芳香族環が直接結合されているものの、ビフェニル構造においては芳香族
環のねじれ構造により、分子全体としての共役が分断されるためであると考えられる。
上記一般式(3)により表されるオキセタン化合物を製造する方法としては特に限定され
ず、例えば、特開平11−106380号公報に開示された方法に準拠した方法等が挙げ
られる。
また、上記一般式(3)により表されるオキセタン化合物としては、例えば、宇部興産社
製「エタナコール OXBP」等の市販のものを用いてもよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物においては、上記一般式(1)により表されるエポキシ化合
物、上記一般式(2)により表されるエポキシ化合物、上記一般式(3)により表される
オキセタン化合物を併用してもよい。
また、本発明の目的を阻害しない範囲内において、例えば、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂等の、従来から光硬化性樹脂組成物の硬化性成分
として用いられる化合物を併用してもよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光カチオン重合開始剤を含有する。
上記光カチオン重合開始剤としては、下記一般式(5)または下記一般式(6)で表され
るスルホニウムカチオン部分を有することが好ましい。
Figure 2005350546
Figure 2005350546
上記一般式(5)及び一般式(6)中、R20〜R30は、互いに同一であってもよいし
異なっていてもよく、それぞれ1価若しくは2価のフェニル基又はナフチル基を表し、こ
れらフェニル基又はナフチル基は、直鎖状又は分枝鎖状C〜C12アルキル基、直鎖状
又は分枝鎖状C〜C12アルコキシル基、ハロゲン原子、−OH基、−COOH基、及
び、−COO−アルキルエステル基(ここで、アルキル部分は直鎖状又は分枝鎖状C
12残基である)から選択される1個以上の基で任意に置換されていてもよい。
また、上記光カチオン重合開始剤は、下記一般式(7)で表される硼素中心アニオン部分
を有することが好ましい。
Figure 2005350546
上記一般式(7)中、Bは、3価の硼素を表し、R31〜R34の少なくとも1個は、炭
素数6〜30のハロゲン置換芳香族基を表す。このように中心アニオンが硼素であると、
光カチオン重合開始剤の酸強度が強くなるため、この光カチオン重合開始剤を用いた光硬
化性樹脂組成物の硬化性が向上し、高いガラス転移温度を有する硬化物を得ることができ
る。その結果、光硬化性樹脂組成物の硬化物の透湿性(透湿度)が低下するため、この光
硬化性樹脂組成物を用いて作製した例えばEL素子の寿命を長くすることができ、信頼性
を高めることができる。
上記一般式(7)中、R31〜R34の少なくとも1個は、炭素数6〜30のハロゲン置
換芳香族基である。上記芳香族基としては特に限定されず、例えば、フェニル基、ナフチ
ル基、アントラセニル基等が挙げられる。
また、ハロゲン置換基としては特に限定されず、例えば、塩素、フッ素等が挙げられ、な
かでも、フッ素が好適に用いられる。上記ハロゲン置換基は、芳香族基の芳香族環に直接
結合したハロゲン基であってもよいし、例えばハロ−ヒドロカルビル置換基の場合のよう
に他の置換基の一部として導入されたものであってもよい。なかでも、フルオロ−ヒドロ
カルビル置換基が好ましい。
上記光カチオン重合開始剤において、好ましい硼素中心アニオンとしては、特に限定され
ず、例えば、[3,5−(CF、(C、(C
−p−CF、(C−m−CF、(C−p−F)
、(C(CH)B、(C(n−C)B、(C
−p−CH(C)B、(CFB、(C(C
)B、(CH(C−p−CF、(C(n−C18
37O)B等が挙げられる。
上述の好ましい硼素中心アニオンは、一般的に、硼素に結合した3個以上のハロゲン置換
芳香族基を含有しており、そのハロゲン置換基としては、フッ素が最も好ましい。最も好
ましい硼素中心アニオンの例としては特に限定されず、例えば、[3,5−(CF
、(C、(C(CH)B、(C
(n−C)B、(CFB等が挙げられる。
また、他の金属中心又は半金属中心を含有する適当なアニオンも使用可能であり、そのよ
うなアニオンとしては特に限定されず、例えば、[3,5−(CF
、(CAl、(C、(C)FSb、(C
)F等が挙げられる。更に、他の硼素中心非求核的塩や、他の金属や半金属
を含有している他のアニオン等も使用可能である。
上記光カチオン重合開始剤は、上記一般式(5)、一般式(6)及び一般式(7)から明
らかなように、ヨウ素(I)を含有していないので、光照射後にヨウ素ラジカルを発生し
ない。従って、上記光カチオン重合開始剤を用いた光硬化性樹脂組成物は、硬化進行過程
においてヨウ素ラジカルに起因する塗膜の黄変等の着色を起こすことがない。
また、上記光カチオン重合開始剤は、上記一般式(5)又は一般式(6)で表されるカチ
オン部分(カチオン構造)に由来する光の吸収を波長300nm以上の光に有するため、
高圧水銀灯や超高圧水銀灯などを光源とする通常の光を使用する場合でも、必ずしも光増
感剤を併用する必要はない。従って、上記光カチオン重合開始剤を用いた光硬化性樹脂組
成物は、光増感剤自体やその反応物等に起因する着色も防止することができる。
さらに、上記光カチオン重合開始剤は、リン系光カチオン重合開始剤やアンチモン系光カ
チオン重合開始剤とは異なり、光硬化性樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度を著しく高
める機能を有する。従って、上記光カチオン重合開始剤を用いた光硬化性樹脂組成物の硬
化物は、透湿性の低いものとなり、例えばEL素子の寿命を長期間にわたって保つことが
できる。
上記光カチオン重合開始剤は、特に限定されるものではないが、上記一般式(7)で表さ
れるアニオン部分の分子量が400以上であり、かつ、波長300nm以上の光を吸収す
ることが好ましく、より好ましくは波長300〜400nmの光を吸収することである。
上記光カチオン重合開始剤の上記一般式(7)で表されるアニオン部分の分子量が400
未満であると、分子が移動しやすくなって、光カチオン重合開始剤を用いた光硬化性樹脂
組成物を例えばEL素子の作製に用いる場合に、電極腐食を起こすことがある。また、上
記光カチオン重合開始剤の光の吸収が波長300nm未満の光であると、高圧水銀灯や超
高圧水銀灯等を光源とする通常の光を使用する場合に、光カチオン重合開始剤を用いた光
硬化性樹脂組成物の硬化が不充分となることがあり、逆に上記光カチオン重合開始剤の光
の吸収が波長400nmを超える光であると、光カチオン重合開始剤を用いた光硬化性樹
脂組成物が硬化進行過程において着色を起こすことがある。
上記光カチオン重合開始剤は、上記一般式(5)又は一般式(6)で表されるカチオン部
分及び上記一般式(7)で表されるアニオン部分を有し、好ましくは上記アニオン部分の
分子量が400以上であり、かつ、好ましくは光の吸収が波長300nm以上の光、より
好ましくは波長300〜400nmの光のものであればどのような光カチオン重合開始剤
であってもよいが、なかでも、光カチオン重合開始剤を用いた光硬化性樹脂組成物の硬化
進行過程における着色防止効果や硬化物のガラス転移温度上昇効果等に優れることから、
下記一般式(8)又は一般式(9)で表される光カチオン重合開始剤であることが好まし
い。これらの光カチオン重合開始剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用さ
れても良い。
Figure 2005350546
Figure 2005350546
上記一般式(8)及び一般式(9)中、Xは、下記式(10)で表されるアニオンを示
す。
Figure 2005350546
上記光カチオン重合開始剤は、特に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルス
ルホニウムブロマイドなどのスルホニウム化合物とソジウムテトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)ボレート等のフッ化ホウ素化合物とを反応させることにより、合成することが
できる。
更に、上記光カチオン重合開始剤としては、イオン性光酸発生タイプであってもよいし、
非イオン性光酸発生タイプであってもよい。上記イオン性光酸発生タイプの光カチオン重
合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホ
ニウム塩等のオニウム塩類や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−
アルミニウム錯体等の有機金属錯体類等が挙げられる。なかでも、ヨウ素又は硫黄を中心
元素とするオニウムカチオンからなるオニウムボレート錯体を用いた場合には、更に得ら
れる硬化物の着色を低減できることから好適である。
本発明の光硬化性樹脂組成物中における、上記硬化性成分と光カチオン重合開始剤との配
合比としては特に限定されないが、上記硬化性成分100重量部に対する光カチオン重合
開始剤の配合量の好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。0.
1重量部未満であると、光カチオン重合が充分に進行しなかったり、光硬化が遅くなりす
ぎることがあり、10重量部を超えると、光硬化性樹脂組成物の光硬化が速くなりすぎて
、作業性が低下したり、不均一な硬化物となりやすくなることがある。更に好ましい下限
は0.4重量部であり、更に好ましい上限は5重量部である。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、更に、硬化制御剤を含有することが好ましい。硬化制御
剤を配合することにより光照射から一定時間経過後に硬化する光後硬化性樹脂組成物とす
ることができる。このような後硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光の照射から一定時
間の間に作業を行えばよいことから作業性が極めて向上することに加え、例えば、光照射
により劣化する被着体を接着したり封止したりする場合であっても、被着体を劣化させる
ことなく接着又は封止することができる。
上記硬化制御剤としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリアルキレンオキサイ
ド;クラウンエーテル等のエーテル結合を有する化合物が好適である。
上記ポリアルキレンオキサイドの末端としては特に限定されず、水酸基でもよいし、他の
化合物によりエーテル化されていてもよいし、エポキシ基等の官能基となっていてもよい
。なかでも、水酸基、エポキシ基等は、上記光カチオン重合性化合物と反応するので好適
に用いられる。
更に、上記ポリアルキレンオキサイドとしては、ポリアルキレンオキサイド付加ビスフェ
ノール誘導体も好適に用いられ、特に末端が水酸基又はエポキシ基を有する化合物がより
好適に用いられる。
本発明における硬化制御剤は、ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコ
ールを分子内に2つ以上有することが好ましい。
上記硬化制御剤のなかでも、ポリエチレングリコールを分子内に2つ以上有する硬化制御
剤の市販品としては、例えば、「リカレジンBEO−60E」、「リカレジンEO−20
」(いずれも新日本理科社製)等が挙げられる。また、上記ポリプロピレングリコールを
分子内に2つ以上有する硬化制御剤の市販品としては、例えば、「リカレジンBPO−6
0E」、「リカレジンPO−20」(いずれも新日本理科社製)等が挙げられる。
上記クラウンエーテルとしては、例えば、12−クラウン−4、15−クラウン−5、1
8−クラウン−6等が挙げられる。
上記硬化制御剤の配合量としては特に限定されないが、上記光カチオン重合開示剤100
重量部に対して好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は500重量部であり、より
好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は200重量部である。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光を照射した後硬化反応が進行し、接着ができなくなる
までの可使時間が1分以上であることが望ましい。可使時間が1分未満であると、基板等
を貼り合せる前に硬化進行してしまい、充分な接着強度を得られなくなることがあるから
である。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で必要に応じて、光増感
剤を含有してもよい。上記光増感剤としては特に限定されず、例えば、カルボニル化合物
、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物、ハロゲ
ン化合物、光還元性色素等が挙げられる。具体的には、例えば、ベンゾインメチルエーテ
ル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−
ジクロルベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルア
ミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2−クロルチオキサントン、2−イソ
プロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;2−クロルアントラキノン、2−メ
チルアントラキノン等のアントラキノン誘導体等が挙げられる。これらの光増感剤は単独
で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば
、粘接着性をより向上させるための粘接着性ポリマーや粘接着性付与剤(タッキファイヤ
ー)、力学的物性や耐久性をより向上させるための充填剤、粘度を調整するための粘度調
整剤、揺変性(チキソトロープ性)を付与するための揺変性付与剤(チキソトロープ剤)
、力学的物性を改善するための物性調整剤、カップリング剤、補強剤、増量剤、軟化剤(
可塑剤)、タレ防止剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、有
機溶剤等の公知の各種添加剤を含有してもよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物を製造する方法としては特に限定されず、例えば、万能ミキ
サー、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロール、3本ロール、押出機等の公知の各種
混練機を単独で用いるか又は併用して、上記硬化性成分、光カチオン重合開始剤及び必要
に応じて配合される添加剤を、常温下又は加熱下で、常圧下、減圧下、加圧下又は不活性
ガス気流下等の条件下で均一に混練する方法等が挙げられる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光を照射することにより硬化する。
上記光を照射するための光源としては特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯
、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザー、ケミカルランプ、ブラックライトラン
プ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲン
ランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。これらの光
源は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
これらの光源の使用に際しては、例えば光カットフィルター等を用いて、熱線や波長30
0nm未満の光を除去することが好ましい。また、上記光源の光硬化性樹脂組成物への照
射手順としては、例えば、各種光源の同時照射、時間差をおいての逐次照射、同時照射と
逐次照射との組み合わせ照射等が挙げられ、いずれの照射手順を採ってもよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化に際しては、光カチオン重合性化合物の光カチオン重
合をより促進して、硬化時間をより短縮するために、光照射と同時に加熱を行ってもよい
。上記加熱硬化を併用する場合の加熱温度としては特に限定されないが、50〜100℃
程度であることが好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、硬化物の全光線透過率が80%以上であることが好まし
い。80%未満であると、本発明の光硬化性樹脂組成物を有機EL素子の封入剤等の特に
透明性が要求される用途には用いることができないことがある。
なお、全光線透過率は、分光計(例えば、東京電色社製「AUTOMATIC HAZE
MATER MODEL TC−III DPK」)等を用いて測定することができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、硬化物の波長350〜700nmの光の吸収率が80%
以上であることが好ましい。80%未満であると、本発明の光硬化性樹脂組成物を有機E
L素子の封入剤等の特に透明性が要求される用途には用いることができないことがある。
なお、波長350〜700nmの光の吸収率は、色度計(例えば、東京電色社製「COL
OR ANALYZER TC−1800M」)等を用いて測定することができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、硬化物のJIS Z 0208に準拠して85℃−85
%RHの条件下で測定した透湿度が150g/m2 ・24h/100μm以下であること
が好ましい。150g/m2 ・24h/100μmを超えると、本発明の光硬化性樹脂組
成物を、例えば有機EL素子の封入剤として用いた場合に、得られる有機EL素子の寿命
が短くなることがある。
本発明の光硬化性樹脂組成物の用途としては特に限定されず、例えば、接着剤、封止剤、
片面テープ、両面テープ、封止フィルム、シーリング剤、コーティング剤、ライニング剤
、印刷インキ、エレクトロニクス材料等の種々の用途に好適に用いることができる。なか
でも、接着剤や封止剤として用いることが好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤、封止剤もまた、本発明の1つである。
また、これら接着剤、封止剤、片面テープ、両面テープ、封止フィルム等は、透明電極の
接着や、有機EL素子の封止等、透明又は半透明の電子部品の製造に好適に用いることが
できる。
本発明の接着剤及び/又は封止剤を用いてなる電子部品もまた、本発明の1つである。
本発明によれば、加熱した場合であっても極めて着色が少なく、電子部品の接着剤や封止
剤として好適に用いることができる光硬化性樹脂組成物を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
(実施例1)
(1)エポキシ化合物の合成
ジメチルフェノール380gと1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン210gと
を1700mLのエタノールに溶解させた後、1Lの濃塩酸を添加した。得られた溶液を
50℃で72時間撹拌した後、10℃で一晩冷却した。濾過により沈殿物を回収した後、
トルエンで再結晶し、精製物を得た。
得られた精製物170gを2Lのエピクロロヒドリンに溶解させ、70℃に加熱した。次
いで、48%水酸化ナトリウム溶液40gを減圧下で4時間滴下した。得られた溶液を水
で3回洗浄したのち、有機層を減圧することで下記式(11)で表される1,4−ビス(
ジメチル−4−(2,3−エポキシプロピロキシ)ベンジル)シクロヘキサン50gを得
た。
Figure 2005350546
(2)光カチオン重合開始剤の合成
常温下で、トリフェニレルスルホニウムブロマイド200mgを含有する水溶液に対して
、ソジウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの10重量%水分散液5gを
滴下した。その後、遠心分離を5回行って、生成した沈殿物を濾別し精製した後、乾燥し
て、光カチオン重合開始剤を合成した。
(3)光硬化性樹脂組成物の調製
得られた1,4−ビス(ジメチル−4−(2,3−エポキシプロピロキシ)ベンジル)シ
クロヘキサン50重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(大日本インキ社製、EPI
CRON 830CRP)50重量部、合成した光カチオン重合開始剤3重量部、及び、
ジブトキシアントラセン0.2重量部を混合し、3本ロールで混練して光硬化性樹脂組成
物を調製した。
(実施例2)
実施例1で得られた1,4−ビス(ジメチル−4−(2,3−エポキシプロピロキシ)ベ
ンジル)シクロヘキサン20重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキ
シレジン社製、エピコート806)80重量部、実施例1で合成した光カチオン重合開始
剤3重量部、及び、ジブトキシアントラセン0.2重量部を混合し、3本ロールで混練し
て光硬化性樹脂組成物を調製した。
(実施例3)
滴下フロート、冷却管、攪拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、
4,4−ビフェニルジメタノールを70重量部、エピクロルヒドリン250重量部、ジメ
チルスルホキシド120重量部を仕込み、溶解させた。更に、50℃に加熱しフレーク状
水酸化ナトリウム(純分99%)25重量部を90分かけて分割添加し、その後更に60
℃で2時間、70℃で1時間反応させた。反応終了後、130℃で加熱減圧下ジメチルス
ルホキシド及びエピクロルヒドリンを除去し、残留物に250重量部のメチルイソブチル
ケトンを加え、溶解した。
更に、このメチルイソブチルケトンの溶液を、70℃に加熱し30重量%の水酸化ナトリ
ウム水溶液20重量部を添加し1時間反応させた後、水洗を3回繰り返し、pHを中性と
した。更に水層は分離除去し、ロータリーエバポレーターを使用して油層から加熱減圧下
メチルイソブチルケトンを除去し、下記式(12)に示す構造のエポキシ樹脂を得た。得
られたエポキシ樹脂は液状であり、エポキシ当量は182g/eqであった。
Figure 2005350546
式(12)中、Gはグリシジル基を表す。
得られたエポキシ樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして光硬化性樹脂組成物を得た
(実施例4)
温度計、冷却器、攪拌装置及び滴下漏斗を備えた500mLの三つ口丸底フラスコに、純
度60%の油性水素化ナトリウム10.0g(0.25mol)とトルエン50mLとを
入れ、80℃で加熱攪拌した。これに、純度98.6%の3−エチル−3−ヒドロキシメ
チルオキセタン29.5g(0.25mol)を20mLのトルエンに溶解液を滴下漏斗
から35分間かけて滴下した。その間、激しい発泡現象が観られるが、滴下終了後も発泡
現象が観られなくなるまで攪拌を続けた。
引き続き、これに、純度98.8%の4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル26.
0g(0.10mol)をトルエン300mLに溶解した液を、滴下漏斗から50分間か
けて滴下した。滴下終了後、更に80℃で5時間反応を続けた。反応終了後、反応混合物
を室温まで冷却して析出物を濾別した。この濾液と析出物とをトルエン20mLで2回洗
浄して得られた洗浄液を一緒にして100mLの水で3回洗浄した。その油相を分離し、
塩化カルシウムを加えて乾燥後、トルエンを減圧下で留去すると、釜残として薄黄色の粘
調な液体41.4gが得られた。HPLC分析の結果、得られた化合物の純度は85.1
%であり、収率は85.8%であった。
また、FD−MS測定で得られた化合物の分子量は410であることが確認された。
更に、H−NMR(CDCl)の測定結果が、n(ppm);0.86〜0.90(
t,6H,CH−CH)、1.76〜1.82(q,4H,CH−CH)、3.
62(s,4H,−OCH)、4.40〜4.41(d,4H,−OCH−(オキセ
タン環))、4.47〜4.49(d,4H,−OCH−(オキセタン環))、4.6
0(s,4H,Ph−CHO−)、7.40〜7.42(d,4H,芳香環)であった
ことから、得られた化合物は、下記式(13)で表される、3,3’−[4,4’−ビト
リレンジイル−ビス(オキシメチレン)]ビス(3−エチルオキセタン)であると同定さ
れた。
Figure 2005350546
得られた化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして光硬化性樹脂組成物を得た。
(比較例1)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート806)1
00重量部、光カチオン重合開始剤としてボレート系開始剤(ローディア社製、RP20
74)3重量部、及び、ジブトキシアントラセン0.2重量部を混合し、3本ロールで混
練して光硬化性樹脂組成物を調製した。
(比較例2)
水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日本理化社製、リカレジンDME−100)1
00重量部、光カチオン重合開始剤としてボレート系開始剤(ローディア社製、RP20
74)3重量部、及び、ジブトキシアントラセン0.2重量部を混合し、3本ロールで混
練して光硬化性樹脂組成物を調製した。
(評価)
実施例1〜4及び比較例1、2で調製した光硬化性樹脂組成物について以下の方法により
評価を行った。
結果を表1に示した。
光硬化性樹脂組成物を厚さ0.7mmのガラス板(ソーダライムガラス)の片面に厚さが
100μmとなるように塗工し、もう1枚の0.7mmのガラス板(ソーダライムガラス
)を重ねて貼り合わせた。超高圧水銀灯を用いて40mWにて50秒間紫外線を照射し、
次いで80℃、30分間加熱養生した。
色差計(東京電色社製、COLOR ANALYZER TC−1800M)を用いて、
サンプル片を85℃、2000時間加熱した前後での可視光透過率(350〜780nm
)を測定した。
また、上述と同様にして得られた硬化塗膜を所定の大きさ(直径6cmの円)に裁断した
後、塩化カルシウムが設置されたJIS Z 0208に規定のカップの上に載置し、周
辺を蝋で固定した。次いで、85℃−85%RHの雰囲気下に24時間放置した後、重量
変化を測定して、透湿度(g/m・24h/100μm)を求めた。
Figure 2005350546
本発明によれば、加熱した場合であっても極めて着色が少なく、電子部品の接着剤や封止
剤として好適に用いることができる光硬化性樹脂組成物を提供することができる。

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)により表されるエポキシ化合物を含有する光カチオン硬化性化合物と光
    カチオン重合開始剤とを含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
    Figure 2005350546
    式(1)中、R、R、R、R、R、Rは水素基又はアルキル基を表す。また
    、R、Rの置換位置は特に限定されず、1〜4置換を含む。
  2. 下記一般式(2)により表されるエポキシ化合物を含有する光カチオン硬化性化合物と光
    カチオン重合開始剤とを含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
    Figure 2005350546
    式(2)中、R、R、R、R10、R11は水素基又はアルキル基を表す。また、
    11の置換位置は特に限定されず、1〜4置換を含む。
  3. 下記一般式(3)により表されるオキセタン化合物及び/又は下記一般式(4)により表
    されるエポキシ化合物を含有する光カチオン硬化性化合物と光カチオン重合開始剤とを含
    有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
    Figure 2005350546
    式(3)、(4)中、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R
    は、水素又はアルキル基を表す。また、R13、R14、R17、R18の置換位置は
    特に限定されず、1〜4置換を含む。
  4. 光カチオン重合開始剤は、ヨウ素又は硫黄を中心元素とするオニウムカチオンからなるオ
    ニウムボレート錯体であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光硬化性樹脂組成
    物。
  5. 硬化物における波長350〜700nmの光の吸収率が80%以上であり、かつ、JIS
    Z 0208に準拠して85℃−85%RHの条件下で測定した透湿度が150g/m
    ・24h/100μm以下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の光硬
    化性樹脂組成物。
  6. 硬化制御剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の光硬化性樹脂
    組成物。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の光硬化性樹脂組成物を用いてなることを特徴とす
    る接着剤。
  8. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の光硬化性樹脂組成物を用いてなることを特徴とす
    る封止剤。
  9. 請求項7記載の接着剤及び/又は請求項8記載の封止剤を用いてなることを特徴とする表
    示素子。
  10. 下記一般式(1)により表されることを特徴とするエポキシ化合物。
    Figure 2005350546
    式(1)中、R、R、R、R、R、Rは水素基又はアルキル基を表す。また
    、R、Rの置換位置は特に限定されず、1〜4置換を含む。
  11. 下記一般式(2)により表されることを特徴とするエポキシ化合物。
    Figure 2005350546
    式(2)中、R、R、R、R10、R11は水素基又はアルキル基を表す。また、
    11の置換位置は特に限定されず、1〜4置換を含む。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011509171A (ja) * 2007-12-27 2011-03-24 ブルースター・シリコーン・フランス・エスアエス ヨードニウムボラートを含むものの許容可能な臭気しか放出しないカチオン架橋性組成物/カチオン重合性組成物から、硬質フィルムまたは硬質コーティングを実現するための方法
JP2012041493A (ja) * 2010-08-23 2012-03-01 Nikon Corp 硬化性組成物、その硬化物、及び光学材料
WO2014083844A1 (ja) * 2012-11-28 2014-06-05 日本化薬株式会社 樹脂組成物及びその硬化物(2)
JP2016102170A (ja) * 2014-11-28 2016-06-02 株式会社ダイセル 光学素子用接着剤、及びそれを用いた光学ユニット

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