JP2005349439A - 銅または銅合金の表面処理剤及び半田付け方法 - Google Patents

銅または銅合金の表面処理剤及び半田付け方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 無鉛半田を使用して電子部品等をプリント配線板に接合する際に、プリント配線板の銅回路部と無鉛半田との濡れ性が向上し、半田付け性を良好なものとすることができる表面処理剤及び、銅または銅合金の表面を、前記の表面処理剤で処理した後に無鉛半田を使用して半田付けを行う半田付け方法を提供する。
【解決手段】 化1の一般式で示される2,4−ジフェニルイミダゾール化合物から選ばれる少なくとも1つのイミダゾール化合物を有効成分として含有させた表面処理剤によって、銅回路部を有するプリント配線板を処理することにより、銅回路部の表面に耐熱性に優れた、即ち無鉛半田の半田付け温度に耐え得る化成被膜を形成させることができ、且つ無鉛半田を使用して半田付けを行うに際して、銅または銅合金の表面に対する無鉛半田の濡れ性を向上させることにより、良好な半田付け性が得られる。
【化1】
Figure 2005349439

(式中、X及びXは水素原子、塩素原子、臭素原子を表し、X及びXが同時に水素原子である場合を除く。Rは水素原子又はメチル基を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子部品などをプリント配線板の銅回路部等に無鉛半田を用いて半田付けする際に使用する表面処理剤及び、該表面処理剤を使用する半田付け方法に関するものである。
近時プリント配線板の実装方法として、実装密度を向上させた表面実装が広く採用されている。このような表面実装方法は、チップ部品をクリーム半田で接合する両面表面実装、チップ部品のクリーム半田による表面実装とディスクリート部品のスルホール実装を組み合わせた混載実装等に分けられる。いずれの実装方法においても、プリント配線板は複数回の半田付けが行われるので、その度に高温に曝されて厳しい熱履歴を受ける。
その結果、プリント配線板の回路部を構成する銅または銅合金の表面は、加熱されることにより酸化皮膜の形成が促進されるので、該回路部表面の半田付け性を良好に保つことができない。
このようなプリント配線板の銅回路部を空気酸化から保護するために、表面処理剤を使用して該回路部表面に化成被膜を形成させる処理が広く行われているが、銅回路部が複数回の熱履歴を受けた後も化成被膜が変成(劣化)することなく銅回路部を保護し、これによって半田付け性を良好なものに保つことが要求されている。
従来から電子部品をプリント配線板などに接合する際には、錫−鉛合金の共晶半田が広く使用されていたが、近年その半田合金中に含まれる鉛による人体への有害性が懸念され、鉛を含まない半田を使用することが求められている。
そのために種々の無鉛半田が検討されているが、例えば錫をベース金属として、銀、亜鉛、ビスマス、インジウム、アンチモンや銅などの金属を添加した無鉛半田が提案されている。
ところで、従来の錫−鉛系共晶半田は、接合母材、特に銅の表面に対する濡れ性に優れており、銅に対して強固に接合するので、高い信頼性が得られている。
これに対して、無鉛半田は従来の錫−鉛半田に比べると、銅の表面に対する濡れ性が劣っているので、半田付け性が悪く、ボイド発生などの接合不良が生じ、接合強度も低いものであった。
そのため無鉛半田を使用するに当たっては、より半田付け性の良好な半田合金および無鉛半田に適したフラックスの選定が求められているが、銅または銅合金表面の酸化防止のために使用される表面処理剤に対しても、無鉛半田の濡れ性を改善し半田付け性を良好なものとする機能が求められている。
また、無鉛半田の多くは融点が高く、半田付け温度が従来の錫−鉛系共晶半田に比べて20〜50℃程高くなるため、当該表面処理剤に対しは、優れた耐熱性を有する化成被膜を形成させることも望まれている。
このような表面処理剤の有効成分として、2−アルキルイミダゾール、2−アリールイミダゾール、2−アルキルベンズイミダゾール、2−アリールベンズイミダゾール、2−アラルキルベンズイミダゾール化合物等の数多くのイミダゾール化合物が検討されてきたが、何れのイミダゾール化合物も、錫−鉛系共晶半田用に検討されてきたものであり、無鉛半田を用いて半田付けを行う際に使用した場合には、半田の濡れ性が未だ不十分なものであり、満足すべき半田付け性が得られていない。
例えば、特許文献1〜3には、下記化1の一般式で示されるイミダゾール環の2位と4位にアリール基を有するイミダゾール化合物を有効成分とする表面処理剤が提案され、同文献1〜3の明細書には、使用し得るイミダゾール化合物として、
2−フェニル−4−(4−クロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(4−ブロモフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(4−クロロフェニル)イミダゾール及び、
2−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾールが例示されているが、これらのイミダゾール化合物を有効成分とする表面処理剤が調製された例は、一切示されていない。
Figure 2005349439
(但し、Rは水素原子またはメチル基、R及びRは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン原子を表す。R及びRは水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、ジ低級アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基を表す。)
また、同文献1〜3に記載された評価試験において使用された半田は、錫−鉛系の共晶半田であり、無鉛半田を使用した場合に半田濡れ性が改善され、半田付け性が良好なものとなる点についても示されていない。
米国特許第5498301号公報 米国特許第5560785号公報 欧州特許第0627499号公開公報
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、無鉛半田を使用して電子部品等をプリント配線板に接合する際に、プリント配線板の回路部等を構成する銅または銅合金の表面と無鉛半田との濡れ性が向上し、半田付け性を良好なものとすることができる表面処理剤を提供することを目的とするものである。
また、本発明の今ひとつの目的は、銅または銅合金の表面を、前記の表面処理剤で処理した後に無鉛半田を使用して半田付けを行う半田付け方法を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、化2の一般式で示される2,4−ジフェニルイミダゾール化合物から選ばれる少なくとも1つのイミダゾール化合物を有効成分として含有させた表面処理剤によって、銅回路部を有するプリント配線板を処理することにより、銅回路部の表面に耐熱性に優れた、即ち無鉛半田の半田付け温度に耐え得る化成被膜を形成させることができ、且つ無鉛半田を使用して半田付けを行うに際して、銅または銅合金の表面に対する無鉛半田の濡れ性を向上させることにより、良好な半田付け性が得られることを認め本発明を完成するに至ったものである。
Figure 2005349439
(式中、X及びXは水素原子、塩素原子、臭素原子を表し、X及びXが同時に水素原子である場合を除く。Rは水素原子又はメチル基を表す。)
本発明の表面処理剤は、プリント配線板の回路部等を構成する銅または銅合金の表面に、耐熱性に優れた化成被膜を形成させることができると共に、該表面に対する無鉛半田の濡れ性を飛躍的に向上させ、無鉛半田の半田付け性を良好なものとすることができる。
また、本発明の半田付け方法は、有害金属である鉛を含まない半田の使用を可能とするので、環境保護の観点において有用なものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の実施に適する化2の一般式で示される2,4−ジフェニルイミダゾール化合物は、
(A)2−クロロフェニル−4−フェニルイミダゾール化合物、
(B)2−クロロフェニル−4−クロロフェニルイミダゾール化合物、
(C)2−フェニル−4−クロロフェニルイミダゾール化合物、
(D)2−ブロモフェニル−4−フェニルイミダゾール化合物、
(E)2−ブロモフェニル−4−ブロモフェニルイミダゾール化合物、
(F)2−フェニル−4−ブロモフェニルイミダゾール化合物、
(G)2−クロロフェニル−4−ブロモフェニルイミダゾール化合物及び、
(H)2−ブロモフェニル−4−クロロフェニルイミダゾール化合物である。
(A)2−クロロフェニル−4−フェニルイミダゾール化合物としては、
2−(2−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール及び、
2−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾールが挙げられる。
(B)2−クロロフェニル−4−クロロフェニルイミダゾール化合物としては、
2−(2−クロロフェニル)−4−(2−クロロフェニル)イミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(3−クロロフェニル)イミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(4−クロロフェニル)イミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(2−クロロフェニル)イミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(3−クロロフェニル)イミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(4−クロロフェニル)イミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(2−クロロフェニル)イミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(3−クロロフェニル)イミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(4−クロロフェニル)イミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(2−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(3−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(4−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(2−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(3−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(4−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(2−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(3−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール及び、
2−(4−クロロフェニル)−4−(4−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾールが挙げられる。
(C)2−フェニル−4−クロロフェニルイミダゾール化合物としては、
2−フェニル−4−(2−クロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3−クロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(4−クロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3−クロロフェニル)−5−イミダゾール及び、
2−フェニル−4−(4−クロロフェニル)−5−イミダゾールが挙げられる。
(D)2−ブロモフェニル−4−フェニルイミダゾール化合物としては、
2−(2−ブロモフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−ブロモフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(4−ブロモフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−ブロモフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3−ブロモフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(4−ブロモフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
(E)2−ブロモフェニル−4−ブロモフェニルイミダゾール化合物としては、
2−(2−ブロモフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(2−ブロモフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(2−ブロモフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(3−ブロモフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(3−ブロモフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(3−ブロモフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(4−ブロモフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(4−ブロモフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(4−ブロモフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(2−ブロモフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(2−ブロモフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(2−ブロモフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(3−ブロモフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(3−ブロモフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(3−ブロモフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(4−ブロモフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(4−ブロモフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール及び、
2−(4−ブロモフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾールが挙げられる。
(F)2−フェニル−4−ブロモフェニルイミダゾール化合物としては、
2−フェニル−4−(2−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3−ブロモフェニル)−5−イミダゾール及び、
2−フェニル−4−(4−ブロモフェニル)−5−イミダゾールが挙げられる。
(G)2−クロロフェニル−4−ブロモフェニルイミダゾール化合物としては、
2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール及び、
2−(4−クロロフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾールが挙げられる。
(H)2−ブロモフェニル−4−クロロフェニルイミダゾール化合物としては、
2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(2−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−(3−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール及び、
2−(4−クロロフェニル)−4−(4−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾールが挙げられる。
これらのイミダゾール化合物は、イミダゾール環の2位及び4位にフェニル基が結合した2,4−ジフェニルイミダゾール化合物の基本骨格を有するものであって、2位及び又は4位のフェニル基が1つの塩素原子及び又は臭素原子によって置換されている点に特徴がある。
また、これらイミダゾール化合物は、表面処理剤中に、0.01〜10重量%の割合、好ましくは0.1〜5重量%の割合で含有される。イミダゾール化合物の含有割合が0.01重量%より少ないと、銅表面に形成される化成被膜の膜厚が薄くなり、銅表面の酸化を防止することができない。また、10重量%より多い場合には表面処理剤中のイミダゾール化合物が溶け残り、均一な水溶液とすることができない。
本発明の実施において、イミダゾール化合物を水溶液化するに当たっては、酸として有機酸または無機酸を使用するが、少量の有機溶媒を併用しても良い。この際に使用される代表的な有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、グリコール酸、グリセリン酸、乳酸、アクリル酸、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、プロポキシ酢酸、ブトキシ酢酸、メトキシプロピオン酸、エトキシプロピオン酸、プロポキシプロピオン酸、ブトキシプロピオン酸、安息香酸、パラニトロ安息香酸、パラトルエンスルホン酸、サリチル酸、ピクリン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、酒石酸、アジピン酸等が挙げられ、無機酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。これらの酸は、水溶液に対し0.1〜50重量%の割合、好ましくは1〜30重量%の割合で添加すれば良い。
また、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールあるいはアセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール等の水と自由に混和するものが適している。
本発明の表面処理剤には、銅または銅合金の表面における化成被膜の形成速度を速めるために銅化合物を添加することができ、また形成された化成被膜の耐熱性を更に向上させるために亜鉛化合物を添加しても良い。
前記銅化合物の代表的なものとしては、酢酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化銅、水酸化銅、リン酸銅、硫酸銅、硝酸銅等であり、また前記亜鉛化合物の代表的なものとしては、酸化亜鉛、蟻酸亜鉛、酢酸亜鉛、蓚酸亜鉛、乳酸亜鉛、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、リン酸亜鉛等が挙げられ、何れも表面処理剤に対して0.01〜10重量%の割合、好ましくは0.02〜5重量%の割合で添加すれば良い。
これらの銅化合物や亜鉛化合物を用いる場合には、有機酸または無機酸の他に、アンモニアあるいはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類等の緩衝作用を有する物質を添加して溶液のpHを安定にすることが望ましい。
本発明の表面処理剤には、化成被膜の形成速度および該被膜の耐熱性を更に向上させるために、ハロゲン化合物を0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%の割合で添加することが望ましい。ハロゲン化合物としては、例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、塩化ナトリム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、ヨウ化ナトリム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム等が挙げられる。
本発明の表面処理剤を用いて銅または銅合金の表面を処理する際の条件としては、表面処理剤の液温を10〜70℃、接触時間を1秒〜10分とすることが適当である。接触方法としては、浸漬、噴霧、塗布等の方法が挙げられる。
また本発明の表面処理を行った後、化成被膜上に熱可塑性樹脂により二重構造を形成し、更に耐熱性を高めることも可能である。
即ち、銅または銅合金の表面上に化成被膜を生成させた後、ロジン、ロジンエステル等のロジン誘導体、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等のテルペン樹脂誘導体、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂等の炭化水素樹脂やこれらの混合物からなる耐熱性に優れた熱可塑性樹脂を、トルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール等の溶媒に溶解し、ロールコーター等により化成被膜上に膜厚1〜30μmの厚みになるように均一に塗布して、化成被膜と熱可塑性樹脂の二重構造を形成させれば良い。
本発明の実施に適する代表的な無鉛半田としては、Sn−Ag−Cu系、Sn−Ag−Bi系、Sn−Bi系、Sn−Ag−Bi−In系、Sn−Zn系、Sn−Cu系等の無鉛半田が挙げられる。
また本発明の半田付け方法は、加熱溶融した液体状の半田が入っている半田槽の上を、プリント配線板を流し、電子部品とプリント配線板の接合部に半田付けを行なうフロー法または、予めプリント配線板にペースト状のクリーム半田を回路パターンに合わせて印刷し、そこに電子部品を実装し、プリント配線板を加熱して半田を溶融させ、半田付けを行うリフロー法等に適応し得るものである。
以下、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で使用したイミダゾール化合物ならびに評価試験方法は次のとおりである。
[イミダゾール化合物]
〔参考例1〕
<2−(2−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール>
2−アセトキシアセトフェノンと、等モルの2−クロロベンズアルデヒドをイソプロピルアルコールに溶解させた溶液に、2.2倍モルの酢酸銅(II)一水和物を20倍モルの25%アンモニア水に溶解させた溶液を水冷下で少量ずつ加え、次いで60℃まで1時間、更に78℃まで3時間かけて昇温した。
反応終了後、反応液を5℃まで冷却し、析出物を濾取して水洗後乾燥して得られた暗緑色粉末状物をメタノールに懸濁させ、0.6倍モルの70%水硫化ナトリウムを加え1時間加熱還流後、冷却、黒色不溶物を濾去した。濾液を減圧乾固し、乾固物をクロロホルムに溶解し、水で洗浄後、クロロホルムを減圧留去し、得られた乾固物をアセトニトリルから再結晶して、乳白色粉末状の2−(2−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾールを得た(収率31%)。
〔参考例2〕
<2−(3−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール>
参考例1の2−クロロベンズアルデヒドを3−クロロベンズアルデヒドに代えて、参考例1の方法に準拠して合成した。
〔参考例3〕
<2−(4−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾールの合成法>
参考例1の2−クロロベンズアルデヒドを4−クロロベンズアルデヒドに代えて、参考例1の方法に準拠して合成した。
〔参考例4〕
<2−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール>
1−フェニル−1,2−プロパンジオンと、等モルの4−クロロベンズアルデヒド及び6倍モルの酢酸アンモニウムを、酢酸中で5時間加熱還流した。反応終了後、大量のアンモニア水に注ぎ、析出した固形物を濾取し水洗後乾燥して、褐色固形物を得た。この固体をアセトニトリルから再結晶して、乳白色粉末状の2−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾールを得た(収率54%)。
〔参考例5〕
<2−フェニル−4−(2−クロロフェニル)イミダゾール>
ベンズアミジン塩酸塩と、3倍モルの炭酸カリウムのテトラヒドロフラン−水混合液に、加温下、等モルの2−ブロモ−2’−クロロアセトフェノンのテトラヒドロフラン溶液を滴下した。滴下終了後2時間加熱還流した。反応液を減圧乾固し、乾固物を水洗、トルエン洗浄したのち、アセトニトリルより再結晶して、白色の粉末状の2−フェニル−4−(2−クロロフェニル)イミダゾールを得た。(収率65%)
〔参考例6〕
<2−フェニル−4−(3−クロロフェニル)イミダゾール>
参考例5の2−ブロモ−2’−クロロアセトフェノンを2−ブロモ−3’−クロロアセトフェノンに代えて、参考例5の方法に準拠して合成した。
〔参考例7〕
<2−フェニル−4−(4−クロロフェニル)イミダゾール>
参考例5の2−ブロモ−2’−クロロアセトフェノンを2−ブロモ−4’−クロロアセトフェノンに代えて、参考例5の方法に準拠して合成した。
〔参考例8〕
<2−フェニル−4−(4−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール>
参考例5の2−ブロモ−2’−クロロアセトフェノンを2−ブロモ−4’−クロロプロピオフェノンに代えて、参考例5の方法に準拠して合成した。
〔参考例9〕
<2−(4−ブロモフェニル)−4−フェニルイミダゾール>
参考例1の2−クロロベンズアルデヒドを4−ブロモベンズアルデヒドに代えて、参考例1の方法に準拠して合成した。
〔参考例10〕
<2−(4−ブロモフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール>
参考例4の4−クロロベンズアルデヒドを4−ブロモベンズアルデヒドに代えて、参考例4の方法に準拠して合成した。
〔参考例11〕
<2−フェニル−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール>
参考例5の2−ブロモ−2’−クロロアセトフェノンを2−ブロモ−4’−ブロモアセトフェノンに代えて、参考例5の方法に準拠して合成した。
〔参考例12〕
<2−フェニル−4−(4−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール>
参考例5の2−ブロモ−2’−クロロアセトフェノンを2−ブロモ−4’−ブロモプロピオフェノンに代えて、参考例5の方法に準拠して合成した。
〔参考例13〕
<2−(4−クロロフェニル)−4−(4−クロロフェニル)イミダゾール>
参考例1の2−クロロベンズアルデヒドを4−クロロベンズアルデヒドに、2−アセトキシアセトフェノンを2−アセトキシ−4’−クロロアセトフェノン代えて、参考例1の方法に準拠して合成した。
〔参考例14〕
<2−(4−クロロフェニル)−4−(4−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール>
参考例1の2−クロロベンズアルデヒドを4−クロロベンズアルデヒドに、2−アセトキシアセトフェノンを2−アセトキシ−4’−クロロプロピオフェノンに代えて、参考例1の方法に準拠して合成した。
以下のイミダゾール化合物は、特開平7−243053号公報に記載された方法により合成した。
・2,4−ジフェニルイミダゾール
・2,4−ジフェニル−5−メチルイミダゾール
[半田上がり性の評価試験]
試験片として、内径0.80mmの銅スルホールを300穴有する120mm(縦)×150mm(横)×1.6mm(厚み)のガラスエポキシ樹脂製のプリント配線板を使用した。この試験片を脱脂、ソフトエッチング及び水洗を行った後、所定の液温に保持した表面処理剤に所定時間浸漬し、次いで水洗、乾燥して銅表面上に厚さ約0.10〜0.50μmの化成被膜を形成させた。
この表面処理を行った試験片について、赤外線リフロー装置(製品名:MULTI−PRO−306、ヴィトロニクス社製)を用いて、ピーク温度が240℃であるリフロー加熱を3回行い、次いで、フロー半田付け装置(コンベア速度:1.0m/分)を用いて半田付けを行った。
なお、使用した半田は、63錫-37鉛(重量%)の組成を有する錫−鉛系共晶半田(商品名:H63A、千住金属工業製)であり、半田付けに際して使用したフラックスはJS−64MSS(弘輝製)である。また、半田温度は240℃とした。
また、前記の表面処理を行った試験片について、錫−鉛系共晶半田の場合と同様にして無鉛半田を使用して半田付けを行った。なお、使用した半田は、96.5錫-3.0銀-0.5銅(重量%)の組成を有する無鉛半田(商品名:H705「エコソルダー」、千住金属工業製)であり、半田付けに際して使用したフラックスはJS−E−09(弘輝製)である。また、リフロー加熱のピーク温度は245℃であり、半田温度も245℃とした。
半田付けを行った試験片について、銅スルーホールの上部ランド部分まで半田が上がった(半田付けされた)スルーホール数を計測し、全スルーホール数(300穴)に対する割合(%)を算出した。
銅の表面に対して半田の濡れ性が大きい程、溶融した半田が銅スルーホール内を浸透し該スルーホールの上部ランド部分まで上がり易くなる。即ち、全スルーホール数に対する上部ランド部分まで半田が上がったスルーホール数の割合が大きい程、銅に対する半田濡れ性が優れ、半田付け性が良好なものと判定される。
[半田広がり性の評価試験]
試験片として、50mm(縦)×50mm(横)×1.2mm(厚み)のガラスエポキシ樹脂製のプリント配線板(回路パターンとして、銅箔からなる導体幅0.80mm、長さ20mmの回路部を、1.0mmの間隔にて幅方向に10本形成させたもの)を使用した。この試験片を脱脂、ソフトエッチング及び水洗を行った後、所定の液温に保持した表面処理剤に所定時間浸漬し、次いで水洗、乾燥して銅表面上に厚さ約0.10〜0.50μmの化成被膜を形成させた。
この表面処理を行った試験片について、赤外線リフロー装置(製品名:MULTI−PRO−306、ヴィトロニクス社製)を用いて、ピーク温度が240℃であるリフロー加熱を1回行った。その後、開口径1.2mm、厚み150μmのメタルマスクを使用して銅回路部の中央に錫−鉛系クリーム半田を印刷し、前期条件でリフロー加熱を行い、半田付けを行った。なお、使用した錫−鉛系クリーム半田は63錫-37鉛(重量%)からなる組成の共晶半田(商品名:OZ−63−330F−40−10、千住金属工業製)である。
また、前記の表面処理を行った試験片について、錫−鉛系クリーム半田の場合と同様にして無鉛系クリーム半田を使用して半田付けを行った。なお、使用した無鉛系クリーム半田は、96.5錫-3.0銀-0.5銅(重量%)からなる組成の無鉛半田(商品名:M705−221BM5−42−11、千住金属工業製)である。また、クリーム半田の印刷前および印刷後に行うリフロー加熱は、ピーク温度が245℃になるように設定した。
得られた試験片について、銅回路部上に濡れ広がった半田の長さ(mm)を測定した。
この長さが大きい程、半田濡れ性が優れ、半田付け性が良好なものと判定される。
〔実施例1〕
イミダゾール化合物として2−(2−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、酸として蟻酸、金属塩として酢酸銅及び、ハロゲン化合物として塩化アンモニウムを、表1に記載した組成になるようにイオン交換水に溶解させた後、アンモニア水でpH2.7に調整して表面処理剤を調製した。
次いで、プリント配線板の試験片を40℃に温調した表面処理剤に60秒間浸漬したのち、水洗、乾燥し、半田上がり性及び半田広がり性を測定した。これらの試験結果は表1に示したとおりであった。
〔実施例2〜14、比較例1〜2〕
実施例1と同様にして、表1記載の組成を有する表面処理剤を調製し、表1に記載の処理条件にて表面処理を行った。得られた試験片について、半田上がり性及び半田広がり性を測定した。これらの試験結果は表1に示したとおりであった。
Figure 2005349439
表1に示される試験結果を以下に説明する。
本発明の表面処理剤に使用するイミダゾール化合物は、実施例1〜14に示されるとおり、2,4−ジフェニルイミダゾール化合物の基本骨格を有するものであって、2位及び又は4位に結合したフェニル基に1つの塩素原子及び又は臭素原子が置換したものである。また、比較例で使用したイミダゾール化合物は、前記のフェニル基が無置換のものである。
表1に示される試験結果によれば、錫−鉛系共晶半田を使用して半田付けを行った場合の半田上がり性の数値は、実施例および比較例の試験結果では何れも90〜100%であり、実施例と比較例の間に殆ど差異が認められない。
しかしながら、無鉛半田を使用した場合の半田上がり性の数値は、実施例の場合には90〜100%を達成しているが、比較例の場合には30〜50%程度に留まっており、本発明の表面処理剤を使用して銅表面を処理し、無鉛半田を用いて半田付けを行った場合の半田濡れ性は飛躍的に向上したものと認められる。
また、錫−鉛系共晶半田を使用した場合の半田広がり性については、実施例の場合が約3.2〜3.6mmであり、比較例の場合は約2.9〜3.1であり、比較例に比べて実施例の場合が顕著に優れているものと認められる。更に、無鉛半田を使用した場合の実施例の試験結果においても、約1.6〜1.7mmに対して、比較例の試験結果では約1.5〜1.6mmとなっており、本発明の表面処理剤を使用して銅表面を処理し、無鉛半田を用いて半田付けを行った場合の半田濡れ性は顕著に向上したものと認められる。
このような効果は、本発明の表面処理剤に使用したイミダゾール化合物が、2,4−ジフェニルイミダゾール化合物の基本骨格を有するものであって、2位及び又は4位に結合したフェニル基に1つの塩素原子及び又は臭素原子が置換したものであることに起因すると考えられる。

Claims (2)

  1. 無鉛半田により半田付けを行うに際して使用する表面処理剤であって、化1の一般式で示される2,4−ジフェニルイミダゾール化合物から選ばれる少なくとも1つのイミダゾール化合物を有効成分として含有することを特徴とする銅または銅合金の表面処理剤。
    Figure 2005349439
    (式中、X及びXは水素原子、塩素原子、臭素原子を表し、X及びXが同時に水素原子である場合を除く。Rは水素原子又はメチル基を表す。)
  2. 銅または銅合金の表面を、請求項1記載の表面処理剤で処理した後に無鉛半田を用いて半田付けを行うことを特徴とする半田付け方法。
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