JP2005347113A - 多孔質液体吸収保持部材およびアルコール吸収保持部材 - Google Patents

多孔質液体吸収保持部材およびアルコール吸収保持部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 液体に対して毛管現象による強い吸収力を持つと同時にそれ自身も液体を多量に保持でき、そして内部のガスは円滑に排出のできる構造を有する多孔質液体吸収保持部材および燃料電池の燃料となるアルコールの吸収保持部材を提供する。
【解決手段】 空孔の周囲に金属粒が焼結した骨格を有する多孔質焼結体からなり、厚さ10mmあたり流量1m/のガスを通した時の圧力損失が800Pa以下の多孔質液体吸収保持部材である。好ましくは、その骨格部には平均細孔径が200μm以下の細孔を有し、空孔径は3000μm以下であり、多孔質体全体の空隙率は体積率で60%以上、95%以下とする。
また、上述の多孔質液体吸収保持部材にアルコールを吸収、保持させることで、アルコール吸収保持部材となる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、アルコールや水等の液体に対し吸収力を有し、さらにその液体を保持すること、そして、液体保持時に同時に通気性を有する多孔質液体吸収保持部材およびアルコール吸収保持部材に関する。
樹脂や天然素材製のスポンジや繊維基材等の多孔質体は、液体に接触させると表面張力に伴う毛管現象により、多孔質体内部に液体を吸収し保持することができる。しかし、スポンジや繊維基材等は、それ自体強度が無く、形状が保持できないため、強度を有し保水性を保つものとしては、素焼き品に代表される多孔質のセラミックスが通常使用されている。それでも、多孔質であれば毛管現象により液体を吸収出来るが、多孔質体の体積に比べて、吸収保持出来る液体量は少ないものであった。また、液体の吸収保持時に同時に通気性を確保することは困難であった。
最近注目されている燃料電池の分野においては、多孔質体を、直接メタノール形燃料電池(以下、DMFCと略す。)の燃料極(アノード)へのメタノール水溶液供給用部材として使用するという提案が、下記特許文献1になされている。多孔質体は、メタノール水溶液をタンクから毛管現象によって吸収し、燃料極表面上へメタノールを保持できるため好適である。
特開昭59−066066号公報
液体吸収保持部材として多孔質体は有用である。しかし、上述した通り、従来の多孔質体は体積に比べて、その多孔質体自身に保持出来る液体量が少ないという問題がある。例えば、DMFCの場合、多孔質体は、絶えることなく燃料をアノードに供給しなければならないため、単に毛管現象により液体をアノードへ送るだけでなく、多孔質体自身も出来るだけ多量の燃料を保持する必要があり、従来の多孔質体では十分とはいえない。
加えて、DMFCが発電する時は、上記の多孔質体がアノードに対してメタノール水溶液を供給すると同時に、アノードでメタノールが分解して発生するCOガスを多孔質体内を通して外部に逃がす必要がある。そして、多孔質体が絶えず燃料の液体を供給し、多量を保持したとしても、上記の燃料電池の用途においては、作動中に大量に発生するCOガスの放出が円滑に進まなければ、多孔質体とアノードの間にCOガスの気泡が溜まるために、アノードへの燃料の供給に支障を来たす。
また、上記の多孔質体においては、モバイル用や車載用を想定した場合、ある程度の振動や衝撃にも耐える必要があるのであって、材質的には従来のセラミックスでは十分とはいえない。
本発明の目的は、液体に対して毛管現象による強い吸収力を持つと同時に、液体を多量に保持でき、そして、その状態でも通気性を確保した構造を有する多孔質液体吸収保持部材および燃料電池の燃料となるアルコールの吸収保持部材を提供することである。
本発明者は、多孔質体を検討した結果、単純な焼結構造ではなく、空孔の周囲に金属粒が焼結した骨格を有する金属多孔質焼結体とすることに加えて、そのときの構造も調整することにより、上記の課題を解決するに至った。
すなわち、本発明は、空孔の周囲に金属粉末が焼結した骨格を有する多孔質焼結体からなり、厚さ10mmあたり流量1m/Sのガスを通した時の圧力損失が800Pa以下である多孔質液体吸収保持部材である。好ましくは、その骨格部には平均細孔径が200μm以下の細孔を有し、空孔径は3000μm以下であり、また、多孔質体全体の空隙率は体積率で60%以上、95%以下とする。
また、上述の多孔質液体吸収保持部材にアルコールを吸収、保持させることで、アルコール吸収保持部材とするものである。
本発明により、毛管現象による吸収力と保持力を持つと同時に、液体の吸収保持時に通気性を確保した構造を有する多孔質液体吸収保持部材および燃料電池の燃料となるアルコール吸収保持部材の提供が可能となった。
上述した通り、本発明の重要な特徴は、液体の吸収保持に、空孔の周囲に金属粉末が焼結した骨格を有する焼結多孔質体を適用した点にある。すなわち、本発明の多孔質液体吸収保持部材は、空孔の周りを金属粉末による焼結部が取り囲む構造をなし、液体を吸上げる骨格部と、その液体を貯める比較的小さな空孔部、および通気性を確保するための、比較的大きな連通する空孔部から構成される。
まず、本発明の多孔質液体吸収保持部材おいては、モバイル用、車載用のDMFC燃料吸収保持部材も想定し、耐振動性、耐衝撃性の向上のため金属製とし、原料に金属粉末を採用することとした。また、対応する液体ごとに、その影響を受け難い材質を選択することは有効である。金属材料は、一般にそれ自身が持つ表面張力が大きいために液体の濡れ性が良く、液体の吸収保持材料として好適と考えられる。金属の導電性を利用して集電板や電極としての機能を同時に持たせることも可能である。
次に、液体の吸収保持の機能については、本発明の金属粉末が焼結した骨格を形成することで、まず骨格部の細孔による毛管現象にて液体が吸収される。そしてさらに、比較的小さい空孔には、骨格により吸収された液体がしみだして満たされていくというものである。この場合、空孔径が小さいほど、空孔自身も毛管現象により液体の吸い上げに寄与する効果が大きくなる。
一方、連通する比較的大きな空孔は、多孔質体の液体の吸収保持の結果、液体によって骨格部の細孔や比較的小さな空孔が液体によって塞がれた後も、空洞のままで存在するため、通気性も同時に確保される。そして、この液体が吸収保持された状態でこその、優れた通気性を達成するためには、多孔質体の圧力損失を評価して調整することが有効であることを、本発明者は知見した。そして、液体吸収保持時の通気性の指標としては、その吸収保持前(乾燥状態)での圧力損失で評価することができ、本発明の多孔質液体吸収保持部材では、その乾燥状態にて厚さ10mmあたり流量1m/Sのガスを通した時の圧力損失を800Pa以下に調整すれば、液体の吸収保持時の優れた通気性が達成できる。
例えば、特に優れた通気性が求められるDMFCの場合、その動作時(液体の吸収保持状態)の発電セル単位面積あたりのCO発生量は、上記の1m/Sに比べてかなり低いと考えられる。そして、この流量付近で動作中の、液体を吸収保持した多孔質体の圧力損失を管理することで、優れた通気性を達成できるのではあるが、この動作中の多孔質体の圧力損失を測定するとなると、それは液体の種類や測定中の液体の揮発等により少なからず変動し、作用効果の再現性の確保が難しい。
そこで、通気性の評価については、乾燥状態の圧力損失値であれば正確な測定が可能であり、そしてこの時の圧力損失値を最適に調整すれば、それに相関して動作中の優れた通気性を確保できることも分かった。そして、乾燥状態の多孔質液体吸収保持部材の状態において、その圧力損失を特定するためのガス流量条件については、1m/Sという敢えて大きい流量を設定することにより、液体吸収保持時には通気性に寄与しない骨格部の細孔や小さい空孔による影響を仮定的に導入でき、動作状態での圧力損失値を反映できるためである。すなわち、通気性に寄与する連通する比較的大きな空孔の通気性を、乾燥状態における高流量の圧力損失で評価するものである。
そして、この測定条件で800Pa以下の圧力損失を満足できれば、多孔質体に液体を吸収保持させた際も、連通する空孔径は十分大きく、通気性に優れた空洞として確保できる。好ましくは700Pa以下、さらに好ましくは400Pa以下の圧力損失である。なお、本発明の「厚さ10mmあたり流量1m/Sのガスを通した時の圧力損失」については、厚さ10mmの測定部位が取り難ければ、厚さ5mmの部位に対して半量の0.5m/Sの流量で行えばよい。
以下、本発明の多孔質液体吸収保持部材にとって、より好ましい構造を示す。
骨格部は、平均細孔径が200μm以下の細孔を有することが好ましい。これは、骨格部の毛管現象による十分な液体の吸上げ力を確保するためである。
空孔径は、3000μm以下であることが好ましい。空孔径があまり大きい場合は、多孔質体を液体輸送の目的場所、例えばDMFCのアノード部と接触させた場合、燃料の供給に寄与しない大きな空孔が接触部に疎らに存在するために、アノードへ燃料を均一に供給し難いという問題が出てくるからである。
なお、空孔径があまり小さいと毛管力により液体を空孔内に引き込もうとする力が大きくなるため、空孔が液体で閉塞してしまう傾向がある。このため、通気性確保のため、比較的大きい径を持つ連通する空孔の存在が必要である。そして、比較的小さい径を持つ空孔についても、空孔内に液体を引き込もうとする効果が大きいことから、多孔質体の吸収保持能力を向上するのに有効である。よって、空孔については、その径が500μm以上のものを有することが好ましく、あるいはさらに500μm未満の空孔を有することも好ましい。
多孔質体全体の空隙率は、体積率で60%以上が好ましい。これは、空孔を増やして空隙率を高くした方が隣接する空孔同士の連通の度合いが増加し、通気性の確保に有利だからである。空孔同士が孤立している場合、多孔質体が乾燥した状態では骨格部の細孔により、圧力損失が高いながらも通気性を示す。しかし、液体を吸収させると骨格部は毛管力により液体で満たされるために通気性が無くなり、各空孔間でのガスの出入りが出来なくなるから、多孔質体全体として通気は困難になる。この解消のためには、隣接する空孔同士の連通度合いをある程度上げることにより、液体で骨格の細孔が閉塞しても連通度合いの高い空孔、具体的には径が500μm以上の空孔によって通気性を確保することが有効である。よって、多孔質全体の空隙率を60体積%以上とすることが好ましい。
一方、多孔質体全体の空隙率は、体積率で95%以下が好ましい。つまり、多孔質体自身の強度確保および、十分な液体の吸収力を確保するために骨格部の体積率も確保しておく必要があり、多孔質全体の空隙率は95体積%以下にすることが好ましい。
以上の本発明の多孔質液体吸収保持部材において、より好ましい形態としては、骨格を形成する焼結体は、下記する平均粒径100μm以下の金属粉末の焼結骨格として、平均細孔径は5〜60μmとし、空孔部分には径700〜2000μmの連通する空孔を形成し、さらに径500μm未満の空孔を導入して、多孔質体全体の空隙率は70%〜93%とすることが望ましい。
次に、上述した本発明に適用する多孔質体の製造方法としては、例えば以下の方法が適用できる。
まず金属粉末を準備する。金属粉末としては、接触する液体に対して腐食が進むような素材ではなく、ステンレスやチタンおよびチタン合金等が有効である。そして、その骨格自体を形成する金属粉末の粒径としては、毛管力を確保するためには、細孔は小さい方が有利であるので、平均粒径200μm以下、さらには100μm以下が好ましい。この金属粉末に樹脂粒、バインダを混合する。
樹脂粒は焼結までの工程で消失して空孔を形成するが、空孔径を確保するために平均粒径100μm〜3000μmの樹脂粒が好ましい。そして樹脂粒のうちでも、粒径700μm以上の樹脂粒については、その成形材料中における体積比は、その樹脂粒の相対タップ密度(タップ密度/真密度)よりもやや大きめに設定することが望ましい。これは、成形時に、成形体内の隣接する粒径700μm以上の樹脂粒同士の接触頻度と接触面積を大きくするためである。これにより、焼結後の多孔質体中に隣接する500μm以上の空孔は、互いに大きな孔で連通することになり、通気性に寄与することになる。粒径700μm以上の樹脂粒の体積比が大きいほど、また、成形圧力が大きいほど、連通の度合いが大きくなり、通気性に有利となる。
なお、上記の成形材料中における樹脂粒の体積比であるが、これは粒径700μm以上の樹脂粒の体積とその隙間を埋める金属粉末の占める体積(金属粉末の体積/金属粉末の相対タップ密度)の和(粒径700μm未満の樹脂粒も混合する時は、それも合わせた和)を100%としたときの、粒径700μm以上の樹脂粒が占める体積割合として算出している。そして、この値が粒径700μm以上の樹脂粒の相対タップ密度に比べて大きい程、成形材料中の粒径700μm以上の樹脂粒が過剰傾向となり、接触頻度を高めることになる。
また、使用条件によっては、通気性確保のために成形体を機械加工にて孔を開けることにより、得られる多孔質体の圧力損失を800Pa以下に調整することも可能である。
バインダとしては、樹脂も用いることができるが、溶剤で樹脂粒を除去するという効果的な方法を適用する場合は、溶剤に解け合わない、例えばメチルセルロースと水を主成分とするバインダを使用することが有効である。
そして樹脂粒とバインダを混合した上記の金属粉末から、次いで、成形体を作製し、加熱脱脂、焼結する。水をバインダに入れる場合は、成形後に乾燥工程を入れることが好ましく、樹脂粒を溶剤で除去する場合は、加熱脱脂の前に、溶剤抽出、乾燥の工程を付与することが好ましい。
最初に、本発明の多孔質液体吸収保持部材の評価に係り、その実施例と比較例の製作条件を表1に纏めた。以下、それに則して説明する。
(実施例1)
平均粒径が約60μmのSUS316L水アトマイズ粉末、市販のメチルセルロース、および樹脂粒として球状の平均粒径1000μmのパラフィンワックス粒を混合し、水、可塑剤を加えて混合・混練し成形材料を作製した。パラフィンワックス粒のD10(積算分布曲線において10体積%を示す粒子径)は874μmであり、700μm未満の粒子は1体積%未満であった。パラフィンワックス粒の混合量は、金属粉末とパラフィンワックス粒を合わせた体積を100%とした場合、パラフィンワックス粒の体積率が90%になるように設定した。また、このときの成形材料中に占めるパラフィンワックス粒の体積率は80%であり、パラフィンワックス粒の相対タップ密度60%よりも高い値の、隣接するパラフィンワックス粒の接触度合いが高くなるように設定されている。
そして上記の混練体を押出成形機により板状に成形した後、この成形体を50℃で乾燥した。次に成形体から溶剤にて成形体中のパラフィンワックス粒を抽出し、90℃で乾燥を行なった。続いて脱脂炉にて、N雰囲気中で50℃/hで昇温し、600℃で2h保持した。これらにより、残留したパラフィンワックスおよびバインダの分解気散を行なった。そして焼結炉にて、H雰囲気中で1150℃で2h保持して、焼結を行なった。
得られた多孔質焼結体の断面ミクロ写真を図1に示す。白色部が金属部分で、暗色部は空孔および骨格部の細孔を形成する空隙である。水銀圧入法により細孔径を測定したところ骨格部の平均細孔径は24.3μmであり、また、平均空孔径は断面ミクロ写真より約850μmで、3000μmを超える空孔は確認されなかった。多孔質体全体の空隙率は88.2%であった。
(実施例2)
(実施例1)と同じ成形材料を使用するが、成形時には0.7MPaの荷重でプレス成形をして、成形体中のパラフィンワックス粒の接触頻度と接触面積を(実施例1)よりもさらに高めた。続いて(実施例1)と同じ手順で多孔質焼結体を作製した。得られた多孔質焼結体の断面ミクロ写真を図2に示す。骨格部の細孔径を水銀圧入法にて測定したところ平均27.7μm、組織写真より平均空孔径は約850μmで3000μmを超える空孔も確認されず(実施例1)と同様であったが、空孔同士の連通度合いが(実施例1)よりも良くなっている。多孔質体全体の空隙率は88.0%であった。
(実施例3)
樹脂粒には不定形の平均粒径2500μmのパラフィンワックス粒を使用し、その混合量としては、パラフィンワックス粒と金属粉末を合わせた体積を100%とした場合、パラフィンワックス粒が90%となるように混合して、(実施例1)と同じ手順で成形材料を製作した。パラフィンワックス粒の粒度分布は、1400μm以下が1体積%未満であった。そして、このときの成形材料に占めるパラフィンワックス粒の体積率は80%であり、パラフィンワックス粒の相対タップ密度51%よりも高い値を設定した。多孔質焼結体の製作は(実施例2)と同じ手順で行ない、プレス成形にてパラフィンワックス粒の接触度合いを上げている。
得られた多孔質焼結体の断面ミクロ写真を図3に示す。骨格部の細孔径を水銀圧入法で測定したところ平均28.5μm、組織写真より平均空孔径は約1800μmであり、3000μmを超える空孔は確認されなかった。そして、隣接する空孔の連通度合いもよいことがわかる。また、多孔質体全体の空隙率は90.5%であった。
(実施例4)
平均粒径約45μmのSUS316L粉末を使い、樹脂粒には球状の平均粒径1000μmと180μmのパラフィンワックス粒を使用した。その混合量は、パラフィンワックス粒と金属粉末を合わせた体積を100%とした場合、平均粒径1000μmのパラフィンワックス粒が89%、平均粒径180μmのそれが5.5%となるように混合し、(実施例1)と同じ手順で成形材料を製作した。なお、平均粒径180μmのパラフィンワックスの粒径分布は、D90(積算分布曲線において90体積%を示す粒子径)が277μmであり、600μm未満であった。平均粒径1000μmのものは(実施例1,2)と同じものを使用した。成形材料に占める平均粒径1000μmのパラフィンワックス粒の体積率は80%であり、同パラフィンワックス粒の相対タップ密度60%よりも高い値を設定した。多孔質焼結体の製作は(実施例2)と同じ手順で行ない、プレス成形にてパラフィンワックス粒の接触度合いを上げている。
得られた多孔質焼結体の断面ミクロ写真を図4に示す。骨格部の細孔径を水銀圧入法で測定したところ平均で50.5μmである。組織写真より通気性に寄与する径500μm以上の大きな空孔の平均粒径は約700μmであり、隣接する空孔の連通度合いもよいことがわかる。3000μmを超える空孔は確認されず、多孔質体全体の空隙率は92.3%であった。
(比較例1)
平均粒径約60μmのSUS316L粉末を使い、樹脂粒を添加せずに(実施例1)と同じ手順で成形後、加熱脱脂、焼結を行ない多孔質焼結体を作製した。得られた多孔質焼結体の断面ミクロ写真を図5に示す。細孔のみからなり、細孔径は平均22.6μmであった。また、多孔質体全体の空隙率は46.7%であった。
(比較例2)
導電処理されたウレタンフォームをベースにメッキ法で作製したNi−Cr合金の多孔質体であり、その断面ミクロ写真を図6に示す。骨格部は中空のパイプ状であり、骨格表面には細孔は存在しない。平均空孔径は約1600μmで、全体の空隙率は92.2%であった。
以上の実施例1〜4および比較例1、2の各多孔質体について、圧力損失、液体の吸収保持速度の評価を行なった。
圧力損失は、多孔質体からφ80×10t(mm)の円盤の試験片を切り出し、その厚さt方向に対して、図7に示す吸引式の測定器を使って大気の流量が1m/Sの時の圧力損失を測定し、評価した。なお各試験片については、試験前に130℃で2時間乾燥させて測定を行なった。
吸収保持速度は、多孔質体から5×20×100(mm)の試験片を切り出して、図8に示す電子秤に吊るし、試験片下端の高さ10mmの部分をDMFC燃料を想定した10質量%メタノール水溶液中に浸漬させることで、その試験片が1分間に増加した質量、すなわち、吸収保持した液体の質量を単位断面積あたりの吸収保持速度(g/分・cm)として秤量し、評価した。なお各試験片については、試験前にエタノールにて2分間の超音波洗浄後、70℃で十分乾燥させてから測定を行なった。これらの結果を纏めて、表2に示す。
表2より、本発明の実施例1〜4は、低い圧力損失と高い吸収保持速度を達成しており、優れた特性を有する。実施例1、2の比較より、成形時に加圧することで多孔質体中の隣接する空孔の接触頻度と接触面積が高まり、連通の度合いが高い実施例2の圧力損失が、実施例1より大幅に下がっていることがわかる。また、実施例2、3の比較より、空孔径の大きい実施例3の圧力損失が低減していることがわかる。そして、実施例2、4の比較より、製作時には小径のパラフィンワックスも混合した実施例4が、結果的には大径の空孔の連通度合いが上がり、圧力損失が低いことがわかる。なお、比較例1の空孔の無い細孔のみからなる多孔質体は、圧力損失が高すぎるために測定ができなかった。
吸収保持速度については、実施例1〜4は吸上げ試験中も大きな空孔の内面は液体が染み出して濡れていたが、液体で閉塞することはなく、空洞を確保していた。そして、平均粒径の細かい金属粉末を使ったことから骨格部の細孔径が小さく、かつ空孔には比較的小径のものも導入した実施例4の多孔質体が、他のものに比べ吸収保持速度が高く、優れていることがわかる。表2において、実施例4の平均細孔径が大きいのは、水銀圧入径による平均細孔径の測定値では、小さい空孔の存在の影響を受けているためであるが、実施例4の細孔径が小さいことは図4の通りであって、その平均が200μm以下であることもわかる。なお、表2では平均細孔径が小さい比較例1の吸収保持速度が小さいのは、液体の吸収保持に寄与する空隙率が小さいためである。骨格に細孔が無い比較例2は、液体を吸収できなかった。
本発明の多孔質液体吸収保持部材は、上記の燃料電池の用途以外に、気体と液体を反応させるためのリアクターや触媒担体等の多種の用途への適用はもちろんのこと、さらに気体を凝集させて液体を回収するといった用途にも適用が考えられる。
本発明の多孔質焼結体の断面ミクロ写真の一例である。 本発明の多孔質焼結体の断面ミクロ写真の一例である。 本発明の多孔質焼結体の断面ミクロ写真の一例である。 本発明の多孔質焼結体の断面ミクロ写真の一例である。 比較例の多孔質焼結体の断面ミクロ写真の一例である。 比較例の多孔質体の断面ミクロ写真の一例である。 圧力損失評価試験の図である。 液体吸収保持速度評価試験の図である。

Claims (3)

  1. 空孔の周囲に金属粉末が焼結した骨格を有する多孔質焼結体からなり、厚さ10mmあたり流量1m/Sのガスを通した時の圧力損失が800Pa以下であることを特徴とする多孔質液体吸収保持部材。
  2. 骨格部は、平均細孔径が200μm以下の細孔を有し、空孔径は、3000μm以下であり、また、多孔質体全体の空隙率が60体積%以上、95体積%以下であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質液体吸収保持部材。
  3. 請求項1または2に記載の多孔質液体吸収保持部材にアルコールを吸収し保持させることを特徴とするアルコール吸収保持部材。
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