JP2005344023A - 成形転写用二軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents

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雅彰 金尾
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Abstract

【課題】 十分な成型加工性を有するとともに精彩な印刷が可能な二軸延伸ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルAとブチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルBとを配合したポリエステルフィルムであり、示差走査熱量測定における融解ピークが240〜260℃の範囲に一つ存在し、180℃で5分間の熱収縮率がフィルムの縦方向および横方向のいずれも3.0%以下であることを特徴とする成形転写用二軸延伸ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性、印刷性、成型性等に優れた成形転写用二軸延伸ポリエステルフィルムに関するものであり、特に成形加工時の耐衝撃性に優れ、精彩な印刷が必要とされる例えば電化製品等の加飾に好適に用いることのできる成形転写用二軸延伸ポリエステルフィルムに関するものである。
電化製品等の曲面を有するプラスチック成型品の加飾方法の一つとして、成形と同時に転写印刷を施す、いわゆるインモールド成形法が広く利用されている。インモールド成形法とは、あらかじめ離型層、インキ層、接着層等からなる印刷層を基材フィルムの上に積層させた転写箔を使用し、プラスチックの射出成型時の熱と圧力を利用して転写印刷する方法である。使用される基材フィルムは、成型品の加工度および印刷の精彩さ等の品質により種々の材料が選ばれている。例えば、成型加工度は小さいが精彩な印刷を必要とする加飾には、例えば、特許文献1に記載の特定の屈折率と面配向度を有する二軸延伸ポリエステルフィルム等が用いられている。また、成型加工度が大きいがそれほど精彩な印刷を必要とされない加飾には、塩化ビニルシートや特許文献2等に記載の未延伸PETシート、または特許文献3〜4に記載の特定の共重合成分を特定の割合で配合した共重合ポリエステルフィルム等が用いられている。しかしながら、成型加工性と精彩な印刷適性の両立という点では十分な特性を満足する基材フィルムがなく、改良が望まれているのが現状である。
特開昭64−40400号公報 特開2004−9596号公報 特開平7−196821号公報 特開平9−300892号公報
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであり、その解決課題は、十分な成型加工性を有するとともに精彩な印刷が可能な二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の構成を有するポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルAとブチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルBとを配合したポリエステルフィルムであり、示差走査熱量測定における融解ピークが240〜260℃の範囲に一つ存在し、180℃で5分間の熱収縮率がフィルムの縦方向および横方向のいずれも3.0%以下であることを特徴とする成形転写用二軸延伸ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の成型転写用二軸延伸ポリエステルフィルム(以下、「フィルム」と略称することがある)で使用するポリエステル樹脂について説明する。
本発明で使用するポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールの定法による縮重合反応で得られる。また、同様にして得られ、かつ融点の異なる2種以上のポリエステル樹脂を混合して組成物とすることもできる。
上記の多価カルボン酸成分の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、アゼライン酸、ドデカジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられ、多価アルコール成分の例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカンジオール、2−エチル−ブチル−1−プロパンジオール、ビスフェノールA等が挙げられるが、これらの例に制限されるものではない。
さらに本発明で用いるポリエステル樹脂は、3種類以上の多価カルボン酸や多価アルコールの共重合であってもよく、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のモノマーやポリマーとの共重合体であってもよい。
次に本発明に用いるポリエステルAについて説明する。ポリエステルAとして使用される樹脂は、上述の多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合により得られるポリエステルが好ましく用いられるが、耐熱性、寸法安定性の観点から、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするものであることが必要であり、通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上がエチレンテレフタレート成分である。
一方、ポリエステルBとして使用される樹脂は、上述の多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合により得られるポリエステルが好ましく用いられるが、成形性の観点から、ブチレンテレフタレートを主たる構成成分とするものであることが必要であり、通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上がブチレンテレフタレート成分である。
また、ポリエステルAとポリエステルBの配合比率は、ポリエステルA/ポリエステルB=70/30〜95/5であることが好ましい。ポリエステルBの配合比が30重量%を超えると、後に詳しく説明するが、二次転移温度の低下および融解ピーク温度が二つ観測されることがある。また、ポリエステルBの配合率が5重量%を下回ると成型性が悪くなる傾向がある。なお、本発明においては、本発明の要旨を越えない限り、ポリエステルAおよびB以外のポリエステルの少なくとも1種を配合してもよい。
本発明において、耐熱性、成形加工性、寸法安定性の観点で、示差走査熱量計で測定される融解ピーク温度Tmが240〜260℃、好ましくは245〜255℃の範囲に一つ有することが必要である。Tmが240℃未満である場合は、耐熱性、寸法安定性に劣り、260℃を超える場合は、成形性、生産性が悪くなるため好ましくない。また、Tmが複数観測される場合は、成形時の伸びが不均一になり、印刷歪みを生じるため好ましくない。Tmを一つにする方法は、特には限定しないが、例えば、ポリエステルBの配合量を30重量%以下にすることが好ましい。ポリエステルBの配合量が30重量%を超えると、ポリエステルAとポリエステルBの相溶性が悪くなる傾向があり、Tmが二つ以上観測されることがある。また、本発明において、示差走査熱量計より得られる二次転移温度Tgは65℃〜80℃であることが好ましい。Tgが65℃以下では耐熱性に劣る傾向があり、80℃を超えると、成型性に劣る傾向がある。
本発明において、フィルムの面配向係数ΔPは、通常0.12〜0.17の範囲であり、好ましくは0.13〜0.16、さらに好ましくは0.14〜0.16の範囲である。面配向係数が0.12以下であると、寸法安定性が劣る傾向があり、0.17を超えると、成形性に劣る傾向がある。
また、本発明において、フィルムの複屈折率Δnは、通常0.020以下であることが好ましく、より好ましくは0.015以下、さらに好ましくは0.010以下である。Δnが0.020を超えると、成型時の伸び率にばらつきが生じ、印刷歪みの原因となることがある。
本発明において、フィルムの易滑性向上、表面光沢性等を付与するために、粒子を添加することも好ましい。使用する粒子としては、平均粒径が0.01〜4.0μmの無機粒子、有機粒子、内部析出粒子のうちの1種または2種以上を併用して用いることが好ましい。
また、本発明のフィルムの2次元表面粗さRaは40nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは30nm以下、特に好ましくは20nm以下である。Raが40nmを超えると、表面粗さが印刷層に転写されて成形品の表面光沢が失われることがある。
本発明において、180℃で5分間の熱収縮率は、フィルムの縦方向および横方向のいずれも3.0%以下であることが必要であり、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2.0%以下である。熱収縮率が3.0%を超えると、フィルムへの印刷工程時や成型時のフィルム収縮により印刷歪みを生じるため好ましくない。
本発明のフィルムにおいて、180℃で10分間加熱後に析出するエチレンテレフタレート環状3量体量は、通常2.0mg/m以下、好ましくは1.0mg/m以下、さらに好ましくは0.5mg/m以下である。上記範囲を満足することが成型時の金型汚れ防止のために好ましい。エチレンテレフタレート環状3量体量を上記の範囲にする方法は特には限定されないが、使用するポリエステル樹脂に固層重合法により、あらかじめ環状3量体量を減少させた原料を用いる方法、触媒失活法、オリゴマー析出防止層をコートする方法等が好適に用いられる。
また、本発明のフィルムには、必要に応じて帯電防止剤、着色剤、酸化防止剤、消泡剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有してもよい。また、表面粗さに大きな影響を与えない程度であれば、平均粒径が0.1μm以下の不活性粒子を含有していてもよい。また、必要に応じ、フィルムの表面に易滑性、易蒸着性、帯電防止、易接着、離型性等を付与する目的のコーティング処理を行うこともできる。
本発明のフィルムの厚さは、通常10〜200μmであり、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは10〜75μmである。
また、本発明のフィルムの層構成は特に限定されず、単層、積層のいずれの構成でもよい。例えば、三層の構成とし、中間層にリサイクル樹脂を配合することによれば、経済性が向上するため好ましい。
本フィルムの製造方法は特に限定されないが、例えば次のような方法が好適に採用される。すなわち、原料ポリエステルを含水量が通常100ppm以下となるように乾燥した後、押出機にて溶融させTダイより押出した後、冷却ロールにて急冷することにより非晶性シートとする。その後、50〜120℃程度に加熱した後、縦方向に3.0〜5.0倍程度延伸し、次いで、80〜130℃程度に加熱後、横方向に通常3.0〜5.0倍延伸を行う。最後に縦横に延伸したフィルムを通常200℃〜240℃で0.3〜20秒間程度の熱処理を行う。また、熱処理の際、フィルムの幅方向に1〜10%程度弛緩すれば、寸法安定性を高めることができるため好ましい。
本発明によれば、十分な成型加工性を有しながら精彩な印刷が可能である、転写箔の基材樹脂として好適な成形転写用二軸延伸フィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの例に何ら限定されない。なお、本発明のフィルムの評価方法は以下の通りである。
(1)極限粘度
測定試料をフェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cmの溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηを測定し、下記式より極限粘度[η]を求めた。
(η−1)/c=[η]+[η]2k’c
(ただし、上記式中、k’は0.33とした)
(2)融解ピーク温度(Tm)
ティーエーイインスツルメント社製の示差走査熱良計「MDSC2920型」を使用し、ポリエステル樹脂約5mgを0℃から300℃まで20℃/min.の速度で昇温させた際に得られる融解に伴う吸熱ピークの温度をTmとした。
(3)二次転移温度(Tg)
ティーエーイインスツルメント社製の示差走査熱良計「MDSC2920型」を使用し、ポリエステル樹脂約5mgを0℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温させ、300℃で5分間溶融保持した後に0℃以下まで急冷し、次いで0〜300℃まで20℃/分で300℃まで昇温させた際に観測されるガラス転移に伴う変曲点をTgとした。
(4)面配向係数(ΔP)、複屈折率(Δn)
アタゴ製アッベ式屈折計を使用した。ヨウ化メチレンをマウントして、試料フィルムを測定面が下になるようにプリズムに密着させ、単色光ナトリウムD線(589nm)を光源として長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率(それぞれNx、Ny、Nz)を測定した。得られた値から下記式により各層の面配向係数ΔPおよび複屈折率Δnを求めた。なお、測定試料は製品マスターロールの中央部分より採取した。
ΔP=(Nx+Ny)/2―Nz
Δn=|Nx−Ny|
(5)中心線平均粗さ(Ra)
小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用い、JIS−B−0601−1982に準じて測定した。なお測定長2.5mmとした。
(6)180℃フィルム収縮率
熱風循環炉(田葉井製作所製)を使用し、厚さ25μmの無張力状態のフィルムを180℃の雰囲気中で5分間熱処理し、フィルム縦方向および横方向の熱処理前後の長さを測定し、下記式にて計算し、5本ずつの試料についての平均値で表した。
熱収縮率(%)=(L−L)×100/L
(上記式中、Lは熱処理前のサンプル長さ(mm)、Lは熱処理後のサンプル長さ(mm)を表す)
なお、LがLよりも小さくなる場合(フィルムが膨張する場合)は、熱収縮率の値を−(マイナス)で表した。
(7)エチレンテレフタレート環状3量体量
25cm角の大きさにポリエステルフィルムを切り取り、180℃に設定されたオーブン(田葉井製作所製:熱風循環炉)中で10分間加熱処理した後、上部が開放され、底辺の面積が250cmとなるように、熱処理後のポリエステルフィルムを折って、四角の箱を作成する。塗布層を設けている場合は、塗布層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF10mlを入れ、3分間放置後DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津LC−7A)に供給してDMF中のエチレンテレフタレート環状3量体量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、析出オリゴマー量(mg/m)とする。DMF中のエチレンテレフタレート環状3量体量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、予め分取したエチレンテレフタレート環状三量体を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解して作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製 MCI GEL ODS 1HU
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(8)成形性
フィルムに離型層、印刷層、接着層を順次積層させた転写箔を作成し、図1に示す縦10cm、横10cm、最大深さ1.5cmの金型(1)を用いフィルムを真空および圧空にて金型内部に呼び成形した後、加熱した樹脂を射出して成形と同時に印刷を行った。成型時のフィルム破断頻度によりフィルムの成形性を以下のように評価した。
○:フィルムの破断が全くない
△:時々フィルム破れが1〜2ヶ所発生し、長時間運転時に支障をきたすことがある
×:フィルム破れが頻発し、使用不可能
(9)印刷性
成形後の印刷適性を以下のように評価した。
○:印刷歪み等がなく、光沢性に優れる
△:時々印刷歪みが発生、もしくは光沢性が悪くなる
×:印刷歪みや表面光沢に劣り、使用不可能
次に実施例に使用するポリエステル原料について説明する。
<ポリエステル1の製造法>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法により架橋アクリル粒子(平均粒径0.5μm、含有量0.04重量%)を分散させた極限粘度が0.58dl/gのポリエステルを製造した。続いて、定法の固層重合法によりエチレンテレフタレート環状3量体量を低減させた極限粘度0.75dl/gのポリエステルを製造した。得られたポリエステルのTmは256℃、Tgは80.7℃であった。
<ポリエステル2の製造法>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸およびイソフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法により凝集シリカ粒子(平均粒径1.0μm、含有量0.05重量%)を分散させた極限粘度が0.58dl/gのポリエステルを製造した。ジカルボン酸成分中のイソフタル酸含有量は4.5モル%であった。続いて、定法の固層重合法によりエチレンテレフタレート環状3量体量を低減させた極限粘度0.75dl/gのポリエステルを製造した。得られたポリエステルのTmは247℃、Tgは77.2℃であった。
<ポリエステル3の製造法>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールを使用し、定法の溶融重合法により凝集シリカ粒子(平均粒径1.0μm、含有量0.05重量%)を分散させた極限粘度が0.58dl/gのポリエステルを製造した。多価アルコール成分中の1,4−シクロヘキサンジメタノール含有量は6.0モル%であった。続いて、定法の固層重合法によりエチレンテレフタレート環状3量体量を低減させた極限粘度0.75dl/gのポリエステルを製造した。得られたポリエステルのTmは245℃、Tgは80.9℃であった。
<ポリエステル4の製造法>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法により凝集シリカ粒子(平均粒径2.5μm、含有量0.30重量%)を分散させた極限粘度が0.58dl/gのポリエステルを製造した。得られたポリエステルのTmは256℃、Tgは80.7℃であった。
<ポリエステル5の製造法>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸およびイソフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法により架橋メタクリル酸メチル粒子(平均粒径0.35μm、含有量0.03重量%)を分散させた極限粘度が0.58dl/gのポリエステルを製造した。ジカルボン酸成分中のイソフタル酸含有量は15モル%であった。(Tm=220℃、Tg=75.0℃)
<ポリエステル6の製造法>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分として1,4−ブタンジオールを使用し、定法の溶融重合法により極限粘度が1.20dl/gのポリエステルを製造した。得られたポリエステルのTmは224℃、Tgは34℃であった。
ポリエステルAとしてポリエステル1、ポリエステルBとしてポリエステル6を使用し、ポリエステルA:ポリエステルB=80:20の配合率でブレンドした。ブレンド原料を乾燥し、Tダイを有する押出機を用いて280℃で押し出して25℃に冷却したドラム状にて急冷固化し非晶シートを得た。得られた未延伸シートを80℃で縦方向に3.3倍延伸し、次いで100℃で横方向に3.7倍延伸した後、230℃で5秒間熱処理することにより、厚み38μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性は下記表1のとおりであり、優れた特性を示した。
ポリエステルAとポリエステルBの配合率をポリエステルA:ポリエステルB=95:5に変更した以外は実施例1と同様の方法で厚み38μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1のとおりであり、優れた特性を示した。
ポリエステルAに使用する原料をポリエステル2に変更した以外は実施例1と同様の方法で厚み50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1のとおりであり、優れた特性を示した。
ポリエステルAとしてポリエステル3、ポリエステルBとしてポリエステル6を使用し、ポリエステルA:ポリエステルB=90:10の配合率でブレンドした。ブレンド原料を乾燥し、Tダイを有する押出機を用いて280℃で押し出して25℃に冷却したドラム状にて急冷固化し非晶シートを得た。得られた未延伸シートを90℃で縦方向に3.5倍延伸し、次いで110℃で横方向に4.0倍延伸した後、220℃で8秒間熱処理することにより、厚み75μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1のとおりであり、優れた特性を示した。
(比較例1)
熱処理温度を190℃とした以外は実施例1と同様にして厚み38μmのフィルムを得た。得たれたフィルムの特性は下記表2のとおりであり、成形性は満足するものの熱収縮率が大きいため、印刷時にフィルム主縮、シワが発生し印刷性に劣った。
(比較例2)
ポリエステルAとしてポリエステル4、ポリエステルBとしてポリエステル6を使用し、ポリエステルA:ポリエステルB=50:50の配合率でブレンドした。ブレンド原料を乾燥し、Tダイを有する押出機を用いて280℃で押し出して25℃に冷却したドラム状にて急冷固化し非晶シートを得た。得られた未延伸シートを64℃で縦方向に3.6倍延伸し、次いで90℃で横方向に4.0倍延伸した後、210℃で7秒間熱処理することにより、厚み75μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2のとおりであり、融解ピークが二つ観測されたため、成型時の伸びが不均一となり、印刷歪みが発生した。また、中心線平均粗さが大きかったため表面光沢にも劣っていた。
(比較例3)
ポリエステルAとしてポリエステル4を使用し、ポリエステルBを配合せずに実施例1と同様の方法で厚み38μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2のとおりであり、ポリエステルBを配合しなかったため成形性に劣った。また、エチレンテレフタレート環状3量体量の析出量も多く、連続成型後の金型の汚れが目立った。
(比較例4)
ポリエステルAとしてポリエステル5、ポリエステルBとしてポリエステル6を使用し、ポリエステルA:ポリエステルB=80:20の配合率でブレンドした。ブレンド原料を乾燥し、Tダイを有する押出機を用いて250℃で押し出して25℃に冷却したドラム状にて急冷固化し非晶シートを得た。得られた未延伸シートを70℃で縦方向に3.5倍延伸し、次いで100℃で横方向に3.7倍延伸した後、200℃で8秒間熱処理することにより、厚み75μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2のとおりであり、成型性は満足するものの融解ピーク温度が低く耐熱性に劣り、かつ熱収縮率が大きいため印刷性に劣った。また、エチレンテレフタレート環状3量体の析出量も多く、連続成型後の金型の汚れが目立った。
Figure 2005344023
Figure 2005344023
本発明のフィルムは、例えば、電化製品等の加飾に用いられる転写箔用の基材フィルムとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルAとブチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルBとを配合したポリエステルフィルムであり、示差走査熱量測定における融解ピークが240〜260℃の範囲に一つ存在し、180℃で5分間の熱収縮率がフィルムの縦方向および横方向のいずれも3.0%以下であることを特徴とする成形転写用二軸延伸ポリエステルフィルム。
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