JP2005344023A - 成形転写用二軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルAとブチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルBとを配合したポリエステルフィルムであり、示差走査熱量測定における融解ピークが240〜260℃の範囲に一つ存在し、180℃で5分間の熱収縮率がフィルムの縦方向および横方向のいずれも3.0%以下であることを特徴とする成形転写用二軸延伸ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
まず、本発明の成型転写用二軸延伸ポリエステルフィルム(以下、「フィルム」と略称することがある)で使用するポリエステル樹脂について説明する。
本発明で使用するポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールの定法による縮重合反応で得られる。また、同様にして得られ、かつ融点の異なる2種以上のポリエステル樹脂を混合して組成物とすることもできる。
測定試料をフェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cm3の溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηrを測定し、下記式より極限粘度[η]を求めた。
(ηr−1)/c=[η]+[η]2k’c
(ただし、上記式中、k’は0.33とした)
ティーエーイインスツルメント社製の示差走査熱良計「MDSC2920型」を使用し、ポリエステル樹脂約5mgを0℃から300℃まで20℃/min.の速度で昇温させた際に得られる融解に伴う吸熱ピークの温度をTmとした。
ティーエーイインスツルメント社製の示差走査熱良計「MDSC2920型」を使用し、ポリエステル樹脂約5mgを0℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温させ、300℃で5分間溶融保持した後に0℃以下まで急冷し、次いで0〜300℃まで20℃/分で300℃まで昇温させた際に観測されるガラス転移に伴う変曲点をTgとした。
アタゴ製アッベ式屈折計を使用した。ヨウ化メチレンをマウントして、試料フィルムを測定面が下になるようにプリズムに密着させ、単色光ナトリウムD線(589nm)を光源として長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率(それぞれNx、Ny、Nz)を測定した。得られた値から下記式により各層の面配向係数ΔPおよび複屈折率Δnを求めた。なお、測定試料は製品マスターロールの中央部分より採取した。
ΔP=(Nx+Ny)/2―Nz
Δn=|Nx−Ny|
小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用い、JIS−B−0601−1982に準じて測定した。なお測定長2.5mmとした。
熱風循環炉(田葉井製作所製)を使用し、厚さ25μmの無張力状態のフィルムを180℃の雰囲気中で5分間熱処理し、フィルム縦方向および横方向の熱処理前後の長さを測定し、下記式にて計算し、5本ずつの試料についての平均値で表した。
熱収縮率(%)=(L0−L1)×100/L0
(上記式中、L0は熱処理前のサンプル長さ(mm)、L1は熱処理後のサンプル長さ(mm)を表す)
なお、L0がL1よりも小さくなる場合(フィルムが膨張する場合)は、熱収縮率の値を−(マイナス)で表した。
25cm角の大きさにポリエステルフィルムを切り取り、180℃に設定されたオーブン(田葉井製作所製:熱風循環炉)中で10分間加熱処理した後、上部が開放され、底辺の面積が250cm2となるように、熱処理後のポリエステルフィルムを折って、四角の箱を作成する。塗布層を設けている場合は、塗布層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF10mlを入れ、3分間放置後DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津LC−7A)に供給してDMF中のエチレンテレフタレート環状3量体量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、析出オリゴマー量(mg/m2)とする。DMF中のエチレンテレフタレート環状3量体量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、予め分取したエチレンテレフタレート環状三量体を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解して作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製 MCI GEL ODS 1HU
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
フィルムに離型層、印刷層、接着層を順次積層させた転写箔を作成し、図1に示す縦10cm、横10cm、最大深さ1.5cmの金型(1)を用いフィルムを真空および圧空にて金型内部に呼び成形した後、加熱した樹脂を射出して成形と同時に印刷を行った。成型時のフィルム破断頻度によりフィルムの成形性を以下のように評価した。
○:フィルムの破断が全くない
△:時々フィルム破れが1〜2ヶ所発生し、長時間運転時に支障をきたすことがある
×:フィルム破れが頻発し、使用不可能
成形後の印刷適性を以下のように評価した。
○:印刷歪み等がなく、光沢性に優れる
△:時々印刷歪みが発生、もしくは光沢性が悪くなる
×:印刷歪みや表面光沢に劣り、使用不可能
<ポリエステル1の製造法>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法により架橋アクリル粒子(平均粒径0.5μm、含有量0.04重量%)を分散させた極限粘度が0.58dl/gのポリエステルを製造した。続いて、定法の固層重合法によりエチレンテレフタレート環状3量体量を低減させた極限粘度0.75dl/gのポリエステルを製造した。得られたポリエステルのTmは256℃、Tgは80.7℃であった。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸およびイソフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法により凝集シリカ粒子(平均粒径1.0μm、含有量0.05重量%)を分散させた極限粘度が0.58dl/gのポリエステルを製造した。ジカルボン酸成分中のイソフタル酸含有量は4.5モル%であった。続いて、定法の固層重合法によりエチレンテレフタレート環状3量体量を低減させた極限粘度0.75dl/gのポリエステルを製造した。得られたポリエステルのTmは247℃、Tgは77.2℃であった。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールを使用し、定法の溶融重合法により凝集シリカ粒子(平均粒径1.0μm、含有量0.05重量%)を分散させた極限粘度が0.58dl/gのポリエステルを製造した。多価アルコール成分中の1,4−シクロヘキサンジメタノール含有量は6.0モル%であった。続いて、定法の固層重合法によりエチレンテレフタレート環状3量体量を低減させた極限粘度0.75dl/gのポリエステルを製造した。得られたポリエステルのTmは245℃、Tgは80.9℃であった。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法により凝集シリカ粒子(平均粒径2.5μm、含有量0.30重量%)を分散させた極限粘度が0.58dl/gのポリエステルを製造した。得られたポリエステルのTmは256℃、Tgは80.7℃であった。
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸およびイソフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法により架橋メタクリル酸メチル粒子(平均粒径0.35μm、含有量0.03重量%)を分散させた極限粘度が0.58dl/gのポリエステルを製造した。ジカルボン酸成分中のイソフタル酸含有量は15モル%であった。(Tm=220℃、Tg=75.0℃)
<ポリエステル6の製造法>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分として1,4−ブタンジオールを使用し、定法の溶融重合法により極限粘度が1.20dl/gのポリエステルを製造した。得られたポリエステルのTmは224℃、Tgは34℃であった。
熱処理温度を190℃とした以外は実施例1と同様にして厚み38μmのフィルムを得た。得たれたフィルムの特性は下記表2のとおりであり、成形性は満足するものの熱収縮率が大きいため、印刷時にフィルム主縮、シワが発生し印刷性に劣った。
ポリエステルAとしてポリエステル4、ポリエステルBとしてポリエステル6を使用し、ポリエステルA:ポリエステルB=50:50の配合率でブレンドした。ブレンド原料を乾燥し、Tダイを有する押出機を用いて280℃で押し出して25℃に冷却したドラム状にて急冷固化し非晶シートを得た。得られた未延伸シートを64℃で縦方向に3.6倍延伸し、次いで90℃で横方向に4.0倍延伸した後、210℃で7秒間熱処理することにより、厚み75μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2のとおりであり、融解ピークが二つ観測されたため、成型時の伸びが不均一となり、印刷歪みが発生した。また、中心線平均粗さが大きかったため表面光沢にも劣っていた。
ポリエステルAとしてポリエステル4を使用し、ポリエステルBを配合せずに実施例1と同様の方法で厚み38μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2のとおりであり、ポリエステルBを配合しなかったため成形性に劣った。また、エチレンテレフタレート環状3量体量の析出量も多く、連続成型後の金型の汚れが目立った。
ポリエステルAとしてポリエステル5、ポリエステルBとしてポリエステル6を使用し、ポリエステルA:ポリエステルB=80:20の配合率でブレンドした。ブレンド原料を乾燥し、Tダイを有する押出機を用いて250℃で押し出して25℃に冷却したドラム状にて急冷固化し非晶シートを得た。得られた未延伸シートを70℃で縦方向に3.5倍延伸し、次いで100℃で横方向に3.7倍延伸した後、200℃で8秒間熱処理することにより、厚み75μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2のとおりであり、成型性は満足するものの融解ピーク温度が低く耐熱性に劣り、かつ熱収縮率が大きいため印刷性に劣った。また、エチレンテレフタレート環状3量体の析出量も多く、連続成型後の金型の汚れが目立った。
Claims (1)
- エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルAとブチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルBとを配合したポリエステルフィルムであり、示差走査熱量測定における融解ピークが240〜260℃の範囲に一つ存在し、180℃で5分間の熱収縮率がフィルムの縦方向および横方向のいずれも3.0%以下であることを特徴とする成形転写用二軸延伸ポリエステルフィルム。
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2004
- 2004-06-03 JP JP2004166006A patent/JP2005344023A/ja active Pending
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