JP2005342969A - ヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品 - Google Patents

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Hajime Oyama
一 大山
Tatsuya Hitomi
達也 人見
Shigeru Muramatsu
繁 村松
Yasushi Yamanaka
康史 山中
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Abstract

【課題】 自動車、電気電子分野の機器の高機能化部品として有用な、ヒンジ構造部を有するポリアミド系樹脂成形品を提供すること。
【解決手段】 少なくとも一個のヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品において、ヒンジ構造部の表層から深さ50μmまでのモルフオロジーが、特定の層構造を有していることを特徴とする、ヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品を要旨とする。
【選択図】 図2。

Description

本発明は、ヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品に関するものであり、さらに詳しくは、自動車、電気電子分野の機器の高機能化部品として有用な、ヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品に関する。
ポリアミド樹脂は自動車、電気電子分野をはじめとする種々の用途に使用されている。自動車部品、電気部品のコネクター類、ファスナー類などの部品に使用する際に、各モジュール部の結合、組合せ、固定などの諸機能を複合して高度化を図った、ヒンジ構造部を有する成形品が実用化され、このように高機能化された成形品に対する需要は増加する一方である。
原料樹脂が剛直性の高いポリアミド樹脂であり、成形品が薄い肉厚のヒンジ構造部を有する場合で、このヒンジ構造部を折り曲げ変形するときには折損し易いので、原料樹脂に吸水処理を施して柔軟化する工夫などがなされてきた。しかし、吸水処理を施しても、低温環境下で使用するときは柔軟性が不十分で、ヒンジ構造部折損のトラブルが発生していた。
成形品のヒンジ構造部折損防止の目的で、原料樹脂の面から、剛直性の高いポリアミド6・6または難燃グレードなどの改良検討がなされてきた。原料樹脂に柔軟性を付与するため、剛直性の高いポリアミド樹脂に、柔軟性を付与する成分を共重合化させる方法、などが提案されている(特許文献1参照)。しかし、改良効果はまだ十分とは言えなかった。
また、成形品のヒンジ構造部の厚さは通常は薄くされているので、成形段階で成形品を金型から離型する際に折損することがある。この離型時折損の改良検討は、これまで種々試みられてきた。主な改良技術は、原料樹脂に離型材を配合する試みであり、原料樹脂に、例えば、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウムよりなる群から選ばれた1種以上の化合物を配合(添加)する手法(特許文献2参照)、炭素数10〜20の脂肪族カルボン酸の塩および炭素数22以上の脂肪族カルボン酸、またはその誘導体を配合する手法、粉末粒径が10nm以下の窒化ホウ素の粉末と、炭素数15以上の脂肪族カルボン酸の誘導体とを配合する手法(特許文献3参照)、さらに、分子末端に炭素数6〜22の炭化水素基を有するポリアミド樹脂とする手法(特許文献4参照)などが挙げられる。
特開昭61−229540号公報 特公昭41−8954号公報 特開平7−82474号公報 特開昭61−163935号公報
本発明は、上記従来の諸欠点を排除した技術を提供すべく鋭意検討の結果完成されたものであり、その目的は、成形品の製造時にヒンジ構造部の折損が生じ難く、自動車、電気電子分野における高機能化部品として有用な、ヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、少なくとも一個のヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品において、ヒンジ構造部の表層から深さ50μmまでのモルフオロジーが、次の(I)式および(II)式を満たす層構造を有していることを特徴とする、ヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品を提供することにある。
Figure 2005342969
Figure 2005342969
{(I)式および(II)式において、表面層(A層)は、成形品の縦切断端面において、斑点模様や筋状模様が観察されない最外層部分であり、偏光顕微鏡では実質的に球晶が観察されないスキン層であり、結晶層(B層)は、成形品の縦切断端面において、表面層と配向結晶層との間に、0.5μm以上の大きさの斑点模様が観察される部分である。}
本発明は以下に詳細に説明するとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係るヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品は、成形品製造時にヒンジ構造部の折損が生じ難い。
2.本発明に係るヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品は、ヒンジ部を繰り返し折り曲げても折損し難く、優れたヒンジ特性を発揮する。
3.本発明に係るヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品は、優れたヒンジ特性を有しているので、自動車、電気電子分野の機器の高機能化部品として極めて有用である。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明における「ヒンジ構造部を有する成形品」とは、一個の成形品の中に機能の異なる部分(モジュール)を有し、これらの機能の異なる部分を連結する薄肉の連結部分(ヒンジ構造部)を少なくとも一個有する成形品であって、この連結部分が曲げ変形を受けても折損せずに高機能を発揮する成形品を言う。上記機能を発揮する連結部分(ヒンジ構造部)を構成する具体例としては、薄板状、フィルム状、紐状および糸状の構造のものであり、その厚さは成形品全体の大きさ、連結部分の構造、数などにもよるが、0.1〜1mmの範囲で選ばれる。
従来から、薄片試料の偏向顕微鏡による観察などにより、結晶性樹脂からなる成形品では、球晶が観察されない表面スキン層{以下、表面層(A層)と略称する}と、球晶構造を有する内部コア層{以下、結晶層(B層)と略称する}からなる二層構造が存在することが知られていた。発明者らは、結晶性樹脂からなる成形品ヒンジ構造部のモルフォロジーを、ヒンジ構造部を溶融樹脂の流れ方向に対して直角に切断した端面(以下、縦切断端面と略称する)を、染色して電子顕微鏡により観察することにより詳細に検討した結果、成形品のヒンジ構造部のモルフォロジーは、表面層(A層)、結晶層(B層)、配向結晶層(C)層、およびコア結晶層(D層)の四層構造となることが分かった。
すなわち、表面層(A層)は、斑点模様や筋状模様が観察されない最外層部分であり、成形品の縦切断端面を染色して偏向顕微鏡で観察した際に、球晶が観察されないスキン層である。表面層(A層)の形成メカニズムは、溶融樹脂が金型に射出された際に、急冷されて結晶が生成されないまま形成されると考えられる。結晶層(B層)は、成形品の縦切断端面において、表面層(A)と配向結晶層(C)の間に、0.5μm以上の大きさの斑点模様が観察される部分である。結晶層(B層)の形成メカニズムは、流動中の樹脂と先に形成された表面層との界面において、せん断発熱が発生し、表面層の一部が再溶融した後、徐冷により結晶が生成され形成されると考えられる。
配向結晶層(C層)は、成形品の縦切断端面において、流れ方向に沿って筋状模様が観察される部分である。配向結晶層(C層)の形成メカニズムは、流動中の溶融樹脂と先に形成された表面層との界面近傍において、流動中の溶融樹脂に発生したせん断応力により、溶融樹脂が配向結晶化(伸びきり鎖結晶)して形成されると考えられる。コア結晶層(D層)とは、配向結晶層より内側の成形品内部を言い、偏光顕微鏡による観察では、球晶が観察される部分である。コア結晶層(D層)の形成メカニズムは、溶融樹脂が最後に結晶化して形成されると考えられる。
本発明者らの検討によると、成形品製造時、特に離型時のヒンジ構造部分の折損を防止し、優れたヒンジ特性を有するヒンジ構造部を有する成形品とするには、ヒンジ構造部の縦切断端面における表層から深さ50μmまでのモルフオロジー構造(ミクロ構造)が、前記(I)式および(II)式を満たす層構造とする必要があることが分かった。
すなわち、成形品離型時にヒンジ構造部の折損防止、成形品を装着または使用時のヒンジ構造部の折損は、(1)ヒンジ構造部には結晶層(B層)が実質的に存在せず、表面層(A層)が存在することが有効であり、同時に、(2)表面層(A層)が厚いほど有効であることも分かった。しかし、ポリアミド系樹脂は、結晶化速度が大きく、特にハイサイクル性を改良した結晶核剤を配合した原料樹脂組成物においては、結晶層(B層)の発生の防止は極めて困難である。結晶層(B層)の発生を防止する方法としては、材料面では、原料樹脂に結晶核剤、滑剤、離型剤などを配合する方法、成形面では、射出速度を低速として溶融樹脂の流動速度を調節する方法、などが挙げられる。
本発明に係る成形品製造用の原料ポリアミド樹脂は、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸とジアミンなどの重縮合によって得られるポリアミド類を言う。具体的には、ε一カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどの重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミンと、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンニ塩基酸、グルタール酸などのジカルボン酸とを重縮合させて得られる重合体、またはこれらの共重合体、例えば、ポリアミド4、6、7、8、11、12、6・6、6・9、6・10、6・11、6・12、6T、6/6・6、6/12、6/6Tなどが挙げられる。この中では、ポリアミド6、ポリアミド6・6またはこれらの共重合体が特に好ましく、とりわけポリアミド6が好ましい。ポリアミド系樹脂の好ましい粘度数は、ISO 307準拠して測定した値で90〜190ml/g、特に好ましくは99〜138ml/gの範囲である。
本発明に係る成形品のヒンジ構造部に、前記モルフオロジー構造を発現させるには、特定のポリアミド樹脂組成物の使用が好ましい。すなわち、好ましい原料ポリアミド樹脂は、末端に炭素数6〜22の炭化水素基を有し、この炭化水素貴の数が前記ポリアミド樹脂の全末端基の40〜100%であり、かつ、炭素数12〜22の脂肪族カルボン酸のアルミニウム塩が配合されたポリアミド樹脂である。脂肪族カルボン酸のアルミニウム塩は、ポリアミド樹脂組成物の離型性を顕著に向上させる機能を果たす。
ポリアミド樹脂は、炭素数7〜23のモノカルボン酸類と、炭素数6〜22のモノアミン類、および/または、炭素数2〜22のジアミン類、もしくは、炭素数6〜22のモノアミン類と炭素数3〜24のジカルボン酸類とを組合せて存在させ、重合して得られる末端基が封止されたポリアミド系樹脂である。末端基封止剤の組合せは、ステアリン酸とオクタデシルアミン、ステアリン酸とヘキサメチレンジアミン、アジピン酸とステアリルアミンなどの組合せが好ましく、全末端基中の炭索数6〜22の炭化水素基比率は45%以上が好ましく、更に好ましいのは48%以上である。
炭素数12〜22の脂肪族カルボン酸アルミニウム塩の中でも好ましいのは、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムである。脂肪族カルボン酸のアルミニウム塩の、ポリアミド樹脂組成物中に占める割合は、0.01〜1重量%の範囲とするのが好ましい。脂肪族カルボン酸アルミニウム塩の割合が0.01重量%未満であると、成形品のヒンジ特性改良効果が発現されないし、1重量%より多いと、成形品の機械的性質が低下するだけでなく、ヒンジ特性も低下するので、いずれも好ましくない。脂肪族カルボン酸アルミニウム塩の割合の特に好ましい範囲は0.03〜0.7重量%であり、とりわけ好ましいのは0.05〜0.5重量%である。
脂肪族カルボン酸アルミニウム塩による離型性改良効果を補足するために、上記ポリアミド樹脂に、離型剤を0.005〜0.5量%、より好ましくは0.01〜0.2重量%配合することができる。離型剤の例として、パラフィンワックス類、ポリエチレンワックス類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、ビス脂肪酸アミド類などであり、ポリアミド系樹脂との相溶性の観点から、ビス脂肪酸アミド類が特に好ましい。ビス脂肪酸アミド類の具体例として、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられる。
また、上記ポリアミド樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂や各種樹脂添加剤などを、配合することができる。他の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリスチレン系樹脂などが挙げられる。樹脂添加剤としては、ヒンダードフェノール類などの安定剤、ハロゲン化銅化合物類などの耐熱性改良剤、シアヌル酸メラミンなどの難燃剤、顔料、染料などの着色剤、帯電防止剤などが挙げられる。しかし、結晶化を促進する核剤や無機充填剤などは、特別な目的がない限り配合しないのが好ましい。
本発明に係るヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品は、ポリアミド樹脂と添加剤を配合したドライブレンド物、このブレンド物を溶融してペレット化したもの、または、あらかじめ調製した添加剤量の多いマスターバッチを配合したドライブレンド物を射出成形機に供給して、常法に従って製造することができる。ただし、ヒンジ構造部での溶融樹脂のせん断発熱が大きくなりすぎないように、ヒンジ構造部での溶融樹脂の流動速度を調整する工夫がなされるのが好ましい。溶融樹脂の流動速度を調整する具体的方法としては、材料面では、原料樹脂に結晶核剤、滑剤、離型剤などを配合する方法、成形面では、射出速度を低速として溶融樹脂の流動速度を調節する方法、などが挙げられる。また、射出成形金型温度は、40〜110℃の範囲に調節するのが好ましい。金型温度が高すぎると、表面層 (A層) が薄くなり、折損防止効果が小さくなり、また金型温度が低すぎると成形品の離型不良が発生し、いずれも好ましくない。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の記載例に制限されるものではない。
実施例および比較例で使用した各成分の特性は、次のとおりである。
1.ポリアミド樹脂:
(1)PA−1:ポリアミド6であって、全末端基の50%がステアリン酸とオクタデシルアミンとを導入することによって封鎖された、粘度数118ml/gのものである。
(2)PA−2:ポリアミド6であって、全末端基の40%が酢酸を導入して封鎖された、粘度数118ml/gのものである。
2.脂肪酸金属塩:
(3)A1:ステアリン酸アルミニウム(日本油脂社製)である。
(4)Ca:ステアリン酸カルシウム(日本油脂社製)である。
(5)Ba:ステアリン酸バリウム(日本油脂社製)である。
3.その他の添加剤
(6)EBS:エチレンビスステアリン酸アミド(花王社製)である。
(7)タルク:タルク(林化成製、商品名:ミクロンホワイト5000S)である。
実施例および比較例においては、以下の項目につき、以下に記載の方法で評価試験を行った。
(a)離型性:射出成形機(日精樹脂工業社製、形式:PS40)を使用して、図1および図2に示した構造を有する成形品を、以下に記載の方法で連続して120ショット成形し、得られた成形品について、ヒンジ構造部折損、割れなどの離型トラブル発生の有無を目視観察して評価する方法である。離型トラブルが発生しなかったものを○、離型トラブルが発生したものを×と判定し、評価結果を表−2に示した。なお、図1は実施例、比較例で製造した成形品の平面略図であり、図2は図1のII−II部分での断面図であり、点線は低温ヒンジ特性評価のために折り曲げた状態を示す。図1および図2において、1は成形品、2はゲート、3は厚さが0.4mmのフィルムによって構成されているヒンジ構造部である。
(b)層構造(50μm)の観察:ヒンジ構造部を有する成形品からヒンジ構造部を切り出し、エポキシ樹脂で包埋した。温度が−100℃の低温下で、ダイヤモンドナイフを用いて、ヒンジ構造部の表面を含み溶融樹脂の流れ方向に対して直角に切断し、この縦切断端面から超薄片試料(厚さ80〜200nm)を作製した。得られた超薄切片試料を銅グリッドに載せ、リンタングステン酸(PTA)2%およびベンジルアルコール2%を含む水溶液で30分間処理した後、水洗してTPA染色した試料を得た。この試料のTPA染色した面を、透過型電子顕微鏡(TEM.目本電子製、型式:JEM−1200EXIl型)によって、モルフォロジー構造(ミクロ構造)を観察した。TEMによる観察は、加速電圧100KVで、撮影倍率3000倍または5000倍として行った。観察範囲は、成形品表面から50nm内側までを含む範囲とし、層構造の判定に必要な観察範囲が単一の画像に収まらない場合には、複数の画像を撮影して再構成し、層構造の判定および各層の厚さを計測した。
(c)低温ヒンジ特性:図1に示した成形品(絶乾品)120個を、−20℃の雰囲気下に8時間以上放置した後、図2の点線で示したように角度90度に一回折り曲げ、ヒンジ構造部の折損の有無を目視観察して評価する方法である。成形品120個中、折損や割れが認められた数を表−2に示す。数値が小さいほど、低温ヒンジ特性が優れていることを意味する。
[実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例6]
ポリアミド樹脂、脂肪酸金属塩およびその他の添加剤を、表−1に掲げた割合で秤量し、ブレンダーで混合してドライブレンド物を得た。得られたドライブレンド物を、射出成形機(日精樹脂工業社製、型式:PS40)によって、樹脂温度250℃、射出時間3秒、冷却時間7秒、全サイクル10秒の条件で試験片を成形した。試験片を成形する際の金型温度を80℃と120℃の二条件に設定し、射出時間3秒であるが、射出速度を80mm/秒と設定した場合を「通常」と表示し、20mm/秒と設定した場合を「低速」と表示した。成形時の離型性を目視観察し、表面から50μmの層構造につきA層、B層およびC層それぞれの厚さなどを、透過型電子顕微鏡によって観察・測定した。試験片の成形条件、および測定結果を、表−2に示した。
A層、B層およびC層の厚さの和が50μmに満たない場合は、残りはD層に相当する。図3は、実施例1で得られた成形品ヒンジ構造部の縦切断端面についての電子顕微鏡写真の略図(4000倍)である。図4は、比較例2で得られた成形品ヒンジ構造部の縦切断端面についての電子顕微鏡写真の略図(3000倍)である。図3および図4において、AはA層、BはB層、CはC層、DはD層、4は斑点模様、5は配向結晶である。
Figure 2005342969
Figure 2005342969
表−1および表−2より、次のことが明らかとなる。
1.成形品ヒンジ構造部の縦切断端面にB層が実質的に存在しないようなときは、成形品製造時にヒンジ構造部の折損が生じ難く、かつ、成形品の低温ヒンジ特性が良好である(実施例1〜実施例3参照)。
2.これに対して、成形品ヒンジ構造部の縦切断端面にB層が存在するときは、成形品製造時にヒンジ構造部の折損が生じ易く、しかも成形品の低温ヒンジ特性が劣る(比較例1〜比較例6参照)。
3.原料のポリアミド樹脂が、炭素数6〜22の炭化水素基によって封鎖されていないものは、ステアリン酸アルミニウムを配合しても、成形品製造時にヒンジ構造部の折損が生じ易く、成形品ヒンジ構造部の縦切断端面にB層が形成され、しかも成形品の低温ヒンジ特性が劣る(比較例2参照)。
4.また、特許文献2に記載されている、離型性改良効果の優れているステアリン酸バリウムは、著しい核剤効果も有するためB層の形成が認められ、ヒンジ特性は必ずしも良好ではない(比較例4参照)。
5.さらに、原料ポリアミド樹脂にタルクを配合した組成物は、タルクが結晶化を促進するためにA層が薄く、B層が厚くなり、低温ヒンジ特性が劣る(比較例5参照)。
6.成形品を製造する際の金型温度が120℃と高い場合には、成形品にはA層が薄くなり過ぎ、成形品製造時の離型性が劣り、低温ヒンジ特性にも劣る(比較例6参照)。
本発明に係るヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂製成形品は、成形品製造時にヒンジ構造部の折損が生じ難く、低温ヒンジ特性に優れ、電気・電子部品や自動車用部品として使用・応用可能であり、これら部品の高機能化に役立つ。
実施例で製造した成形品の平面略図である。 図1のII-II部分での断面図である。 実施例2で得られた成形品につき、図2のIII−III部分での縦切断端面についての電子顕微鏡写真の略図である。 比較例5で得られた成形品につき、図2のIII−III部分での縦切断端面についての電子顕微鏡写真の略図である。
符号の説明
1:成形品
2:ゲート
3:ヒンジ構造部
A:A層
B:B層
C:C層
D:D層
4:斑点模様
5:配向結晶

Claims (5)

  1. 少なくとも一個のヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品において、ヒンジ構造部の表層から深さ50μmまでのモルフオロジーが、次の(I)式および(II)式を満たす層構造を有していることを特徴とする、ヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品。
    Figure 2005342969
    Figure 2005342969
    {(I)式および(II)式において、表面層 (A層) は、成形品の縦切断端面において、斑点模様や筋状模様が観察されない最外層部分であり、偏光顕微鏡で実質的に球晶が観察されないスキン層であり、結晶層
    (B層)は、成形品の縦切断端面において、表面層と配向結晶層との間に、0.5μm以上の大きさの斑点模様が観察される部分である。}
  2. ポリアミド樹脂が、末端に炭素数6〜22の炭化水素基を有し、この炭化水素基の数が前記ポリアミド樹脂の全末端基の40〜100%であり、かつ、炭素数12〜22の脂肪族カルボン酸のアルミニウム塩が配合されたポリアミド樹脂である、請求項1に記載のヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品。
  3. 炭素数12〜22の脂肪族カルボン酸のアルミニウム塩の配合量が、ポリアミド樹脂の0.01〜1重量%の範囲である、請求項2に記載のヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品。
  4. ポリアミド樹脂に、さらに、ビス脂肪酸アミド化合物が配合されてなる、請求項2または請求項3に記載のヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品。
  5. ビス脂肪酸アミド化合物の配合量が、ポリアミド樹脂の0.005〜0.5重量%である、請求項4に記載に記載のヒンジ構造部を有するポリアミド樹脂成形品。
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