JP2005342632A - 油圧破砕機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 破砕機外筐4に連続して形成された固定顎1と破砕機外筐4に開閉自在に軸支された可動顎2、及び可動顎2を開閉駆動する油圧シリンダ3を備えた油圧破砕機において、可動顎2を開閉駆動する油圧シリンダ3に2ピストン油圧シリンダを用いる。可動顎2の閉作動中の油圧シリンダ3の負荷が軽負荷であるとき、2ピストン油圧シリンダの何れか一方の伸油室と縮作動回路とを連通させる連通回路を設ける。
【選択図】 図1
Description
これらの油圧破砕機の構造は、固定顎と可動顎、あるいは一対の可動顎を1ピストン油圧シリンダで開閉駆動するという点では共通している。
油圧破砕機には下記の性能が求められている。
(1)破砕力が強力であること。
(2)軽量・コンパクトであること。
(3)開口幅が大きいこと。
(4)可動顎の開閉速度が速いこと。
例えば、図8に示すような、固定顎51と可動顎52とを備え、油圧シリンダ53を使用する油圧破砕機では、破砕力をより大きくするために、油圧シリンダ53の有効受圧面積を増して出力を上げると、油圧シリンダ53自体が大型化し、質量が増加する。また、油圧シリンダ53を収める破砕機外筐54も大型化し、さらなる質量増となりコンパクトでなくなる。さらに、油圧シリンダ53の1ストロークに要する油量も増加するため、可動顎52の開閉速度が低下する。しかも、油圧シリンダ53が大型化するため、可動顎52との干渉等、破砕機設計上の自由度も低下してしまう。
可動顎52の支点Pとツース55間の距離を減少させると軽量化・コンパクト化できるが、開口幅Wが減少する。
ところで、油圧破砕機を使用する破砕作業では、先ず被破砕物を銜えやすいように破砕機を被破砕物よりも大きく開口し、そこから可動顎52を閉じていき被破砕物を銜える。被破砕物を銜えたら、可動顎52をさらに閉側へ作動させて被破砕物を破砕する。
この無駄な時間をできるだけ短くするためには、軽負荷時の可動顎52の閉じ速度、即ち油圧シリンダ53の伸長速度は速い方が良い。軽負荷時の可動顎52の閉じ速度を速くできれば、無駄な時間が少なくなり、油圧破砕機を使用する破砕作業の能率が上がる。
そこで、軽負荷時の可動顎52の閉じ速度、即ち油圧シリンダ53の伸長速度を向上させるため、従来の油圧破砕機では、いわゆる増速バルブが広く使用されている。この増速バルブは、軽負荷時に油圧シリンダ53を伸長させる場合に限り、油圧シリンダ53の伸油室56と縮油室57との間で油路を連通させる(特許文献3参照)。
なお、油圧破砕機が被破砕物を破砕する重負荷時あるいは油圧シリンダ53の縮小時は、伸油室56と縮油室57との間の油路は遮断され、油圧シリンダ53の性能を100%発揮できるようになっている。
2ピストン油圧シリンダは、他分野では使用例が認められ、その構造は既知であって、前面が開放された外シリンダと、この外シリンダに摺動自在に嵌挿された内シリンダとから成り、内シリンダのピストンロッドが外シリンダの後壁に接続されていて、外シリンダの後壁と内シリンダの後壁との間に第一の伸油室、内シリンダのピストンヘッド側に第二の伸油室、内シリンダのピストンロッド側に縮油室が形成されている。内シリンダのピストンロッドには、第二の伸油室へ作動油を供給する油路と、縮油室へ作動油を供給する油路とが設けられている。
2ピストン油圧シリンダは、伸長側出力を決定する有効受圧面積が第一の伸油室と第二の伸油室の各断面積の和となり、同じ外径で且つ同じ供給圧力の1ピストン油圧シリンダと比較すると、油圧シリンダ全長は同等で、構造が複雑になる分いくらか質量増となり、油圧シリンダの伸長速度は遅くなるが、強大な伸長側出力を得ることができる。
破砕力を同等にする場合は、シリンダ外径、破砕機外筐が小さくなるので、軽量化・コンパクト化できる。可動顎の支点と油圧シリンダの支点間の距離を短くして開口幅を拡大することもできる。
従って、軽負荷時の可動顎の閉じ速度が速くなり、油圧破砕機を使用する破砕作業の能率が向上する。
この油圧破砕機は、破砕機外筐4に連続して形成された固定顎1と破砕機外筐4に開閉自在に軸支された可動顎2、及び可動顎2を開閉駆動する油圧シリンダ3を備えおり、破砕機外筐4の基端部を油圧ショベルのアーム(図示略)に取付けて使用する。
この油圧破砕機は、固定顎1、可動顎2、破砕機外筐4の外形寸法、開口幅W、油圧シリンダ3の外径D、油圧ショベルから供給される作動油の油圧、油量等の条件は、図8に示す従来の油圧破砕機と同等であるが、より強大な破砕力を発生させるため、油圧シリンダ3には、2ピストン油圧シリンダが用いられている。
油圧シリンダ3には、油圧ショベル側の油圧源(図示略)から伸作動回路16と縮作動回路17によって作動油が供給される。伸作動回路16は途中で分岐され、その一方に接続された伸油路21が第一の伸油室11、他方に接続された伸油路22が内シリンダ7のピストンロッド8内を通って第二の伸油室12に連通する。縮作動回路17に接続された縮油路23は内シリンダ7のピストンロッド8内を通って縮油室13に連通している。
なお、油圧シリンダ3は、1ピストン油圧シリンダに比べると構造が複雑になる分いくらか質量増となるが、1ピストン油圧シリンダの有効受圧面積を増加させて出力を大きくする場合にも油圧シリンダの質量は増加するので、この点については大差はない。
しかし、この油圧破砕機では、油圧シリンダ3を収める破砕機外筐4を大型化する必要がないので、破砕機外筐4の質量は増加しない。油圧シリンダ3の外径Dに変化がないので、設計の自由度も維持されている。
従来の1ピストン油圧シリンダを用いた油圧破砕機と同等の破砕力、開口幅を保って、軽量化を図る場合には、図3に示すように、可動顎2の支点Pと油圧シリンダ3の支点Q間の距離Sを短くする。油圧シリンダ3は前述の通り同じ外径Dでは1ピストン油圧シリンダより出力が大きいので、可動顎2の支点Pと油圧シリンダ3の支点Q間の距離Sを短くしても、破砕力を同等に保つことが可能である。
油圧シリンダ3の全長が短くなるので、2ピストン油圧シリンダにしたことによる油圧シリンダ3自体の質量増は相殺される。そして、油圧シリンダ3の全長が短縮されることで、破砕機外筐4が小型化できるので、油圧破砕機全体としては軽量化が実現される。
油圧破砕機の全幅は、油圧シリンダ3を収める必要上、油圧シリンダ3の外径Dに左右される。従って、油圧シリンダ3の外径Dを細くすれば、油圧破砕機の全幅を狭く抑えて軽量化することが可能となる。
この油圧破砕機において、油圧シリンダ3の第一の伸油室11と縮作動回路17との間には、可動顎2の閉作動(油圧シリンダ3の伸長)中の油圧シリンダ3の負荷が軽負荷であるときに連通する連通回路18が設けられている。第一の伸油室11と縮作動回路17との間が連通するとき、伸作動回路16と伸油路21との間の連通は遮断される。
可動顎2の閉作動中の油圧シリンダ3の負荷が重負荷であるとき、あるいは可動顎2の開作動(油圧シリンダ3の縮小)時は、第一の伸油室11と縮作動回路17との間の連通は遮断され、伸作動回路16と伸油路21間が連通する。
図5の連通回路18には、パイロットチェック弁31とパイロット切替弁32が設けられており、パイロットチェック弁31のパイロット油路33は伸作動回路16に接続され、パイロット切替弁32のパイロット油路34はシャトル弁35を介して、伸作動回路16と縮作動回路17に接続されている。そして、パイロット切替弁32の切替えにより伸作動回路16あるいは縮作動回路17が伸油路21と接続されるようになっている。
伸作動回路16から供給された圧油は、第二の伸油室12に流入し、内シリンダ7を前進させる。同時に、縮油室13内の作動油が縮油路23へ流出し、この流出した作動油は連通回路18を通って負圧状態にある第一の伸油室11に流入する。
油圧シリンダ3の負荷が軽負荷である間は、油圧シリンダ3を伸長させるのに、伸作動回路16から第二の伸油室12のみに圧油を供給すればよいので、可動顎2の閉じ速度が速くなる。
可動顎2が被破砕物を噛み破砕が開始されると、油圧シリンダ3の負荷が重負荷になり伸作動回路16の油圧が上昇するので、パイロット切替弁32が切替えられて伸油路21と縮作動回路17との間の連通は遮断され、伸作動回路16と伸油路21が連通する。
よって、油圧シリンダ3が性能を100%発揮できるようになり、油圧破砕機は強力な破砕が可能となる。
縮油室13と第一の伸油室11には容積差があり、縮油室13から流出した作動油だけでは第一の伸油室11を満たすことができないので、この不足分は油圧ショベル側の油圧源から縮作動回路17を経由して供給される。このために油圧ショベル側の油圧源は縮作動回路17へ作動油を供給できる構造でなければならない。
可動顎2が被破砕物を噛み破砕が開始されると、油圧シリンダ3の負荷が重負荷になり伸作動回路16の油圧が上昇してシーケンス弁45が開き、伸作動回路16と伸油路21が連通する。
そこで、伸作動回路16から供給された圧油は、第一の伸油室11と第二の伸油室12の双方に流入して内シリンダ7を前進させる。このとき、チェック弁43によって伸作動回路16から連通回路18側への作動油の流れは阻止される。
よって、油圧シリンダ3が性能を100%発揮できるようになり、油圧破砕機は強力な破砕が可能となる。
可動顎2の開作動(油圧シリンダ3の縮小)の際には、パイロット切替弁42は直ちに切替えられ、縮作動回路17と伸油路21との間は遮断された状態が維持される。縮作動回路17から供給された圧油は、縮油室13に流入し内シリンダ7を後退させる。第一の伸油室11と第二の伸油室12内の作動油は流出し、伸作動回路16を通って油圧ショベル側に戻る。
ところで、図5、図6の構成では、前述のように、可動顎2の閉作動(油圧シリンダ3の伸長)の際に油圧シリンダ3の負荷が軽負荷である間は、伸作動回路16から供給された圧油は、第二の伸油室12に流入し、同時に、縮油室13内の作動油が縮油路23へ流出し、この流出した作動油は連通回路18を通って負圧状態にある第一の伸油室11に流入する。
通常、油圧ショベル側の油圧源は、そのタンクラインから縮作動回路17へ作動油を負圧供給するのに問題はない。しかし、油圧ショベル側からの作動油の負圧供給が十分に行えないような場合には、図7に示すように、伸作動回路16と縮作動回路17との間に油溜め46を設けると良い。油溜め46の伸作動回路16側にパイロットチェック弁47、縮作動回路17にはチェック弁48を設ける。
なお、配管内に蓄圧されると油圧破砕機が不意に作動するおそれがあるため、油溜め46には、アキュムレータのような蓄圧容器ではなく、単に作動油を貯留するだけのもの、例えば、大気開放された単動ピストン型のシリンダ等を用いる。
両油圧シリンダの出力とストロークが同等であれば、両油圧シリンダの伸油室の容積は等しく、また、経験上2ピストン油圧シリンダの第二の伸油室の容積は1ピストン油圧シリンダの縮油室の容積とほぼ同等にできる。
つまり、伸作動回路16から供給すべき作動油量は、2ピストン油圧シリンダの方が少なくて済む。これは、伸作動回路16以外に縮作動回路17から供給すべき作動油量が増加することであり、これを実現するためには、第二の伸油室12にはより高圧の作動油を供給する必要がある。
その結果、油圧シリンダ3は軽負荷時の伸長速度が速く、重負荷時の力が強い。即ち可動顎2の閉じ速度が速くなり、強力な破砕が可能で油圧破砕機を用いた破砕作業の能率が向上する。
2 可動顎
3 油圧シリンダ
4 破砕機外筐
5 ツース
6 外シリンダ
7 内シリンダ
8 ピストンロッド
9 ピストンヘッド
11 伸油室
12 伸油室
13 縮油室
16 伸作動回路
17 縮作動回路
18 連通回路
31 パイロットチェック弁
32 パイロット切替弁
42 パイロット切替弁
43 チェック弁
45 シーケンス弁
Claims (2)
- 破砕機外筐に連続して形成された固定顎と破砕機外筐に開閉自在に軸支された可動顎、あるいは破砕機外筐に開閉自在に軸支された一対の可動顎、及び可動顎を開閉駆動する油圧シリンダを備えた油圧破砕機であって、
可動顎を開閉駆動する油圧シリンダが2つの伸油室を有する2ピストン油圧シリンダであることを特徴とする油圧破砕機。 - 可動顎の閉作動中の油圧シリンダの負荷が軽負荷であるとき、油圧シリンダの2つの伸油室の何れか一方と、縮油室に圧油を供給する縮作動回路とを連通させる連通回路を設けたことを特徴とする請求項1記載の油圧破砕機。
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